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精神鑑定を実施した精神科医が人の秘密を漏らした事件

2024-01-12

精神鑑定を実施した精神科医が人の秘密を漏らした事件

手錠とガベル

精神鑑定を実施した精神科医が人の秘密を漏らした事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事案

京都府上京警察署によると、少年事件について家庭裁判所から鑑定依頼を受けた京都市内の病院に勤務する精神科医Aが、その少年事件について取材を進めている新聞記者に対して、鑑定資料として貸出しを受けていた捜査記録などを見せた疑いがもたれている。。
それを知った少年の父が被害届を京都府上京警察署に提出したところ、Aは、秘密漏示罪の容疑で上京警察署から出頭要請を受けた。
(フィクションです)

秘密漏示罪とは

刑法134条1項 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

秘密漏示罪は、医師のように職業の性質上人の秘密に接する機会が多い一定の職業に従事する者が、その業務をする上で知った人の秘密を漏らす行為を罰しています。

本件で、問題を起こし京都府上京警察署から出頭要請を受けたのは精神科医ですから刑法134条1項の「医師」にあたるといえそうです。
もっとも、Aは、医師として患者を治療する立場にあったわけではなく、裁判所から鑑定を命じられて鑑定をしたにすぎないようです。
したがって、Aの行った鑑定は、「医師の業務」ではなく「鑑定人の業務」であるとして、Aは秘密漏示罪の主体とならないと考える余地はないのでしょうか。

この点、最高裁は、医師が、医師としての知識、経験に基づく、診断を含む医学的判断を内容とする鑑定を命じられた場合には、その鑑定の実施は、医師がその業務として行うものといえるとしています(最高裁決定平成24年2月13日)。
Aは、精神科医としての知識、経験に基づいて少年の精神状態について医学的判断を内容とする鑑定を命じられたようなので、判例に従えばAの鑑定は、医師がその業務として行うものにあたり、秘密漏示罪の主体になる可能性があります。

次に、秘密漏示罪における秘密とは、一般に知られていない非公知の事実をいいます。
本件でAが新聞記者に見せた捜査資料には、少年が起こした事件に関する一般に知られていない非公知の事実が含まれていると考えられますから、秘密漏示罪の秘密に該当する可能性があります。

また、秘密漏示罪の「(秘密を)漏らす」とは、秘密を知らないものに告知することをいいます。
本件でAは、事件について調べている新聞記者に捜査資料を見せています。
新聞記者は少年の起こした事件の現場に居合わせたわけではないでしょうから、Aが事件の詳細を知らない新聞記者に捜査資料を見せた行為は、秘密漏示罪の「(秘密を)漏らす」行為に該当しそうです。
以上より本件では、秘密漏示罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

秘密漏示罪は、親告罪すなわち被害者などの告訴権者による告訴がなければ公訴を提起できない犯罪です(刑法135条)。
公訴の提起がされなければ、不起訴処分となり前科がつくこともありませんから、被害者の告訴を阻止できるかが重要となります。
仮に被害者が告訴をした場合でも、起訴前に告訴を取り消してもらえれば、やはり公訴を提起されません。

告訴を阻止するためには被害者と示談をすることが重要になります。
しかし、被害者は、加害者に対して処罰感情を抱いている可能性が高いため、加害者が自ら示談交渉をして、告訴の取下げを含めた示談を成立させるのは困難です。
そこで、示談交渉のプロである弁護士に示談交渉をお任せすることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、告訴を取り下げてもらい不起訴処分を得ることができる可能性があります。
告訴は、起訴されてしまった後では、取り下げることはできません。
可能な限り早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
詳しくは0120ー631ー881までお電話ください。

価格高騰の腹いせに商品をSNS上で酷評した事件

2024-01-10

価格高騰の腹いせに商品をSNS上で酷評した事件

取調べを受ける男性

価格高騰の腹いせに、PC関連商品についてSNS上で事実に反して酷評したとして信用毀損罪の疑いで男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府中京警察署は、PCを自作する趣味を持つ自営業の男性(27)を信用毀損罪の疑いで逮捕した。
男は、PCを自作した動画をSNS上に投稿することを趣味としていたところ、昨今の半導体不足とマイニング(仮想通貨の取引システムに協力する見返りに、報酬を得ること)の需要による、グラフィックボード(PCの画像処理を担う部品)の高騰で思うようにPCを組むことができず腹を立てていた。
そこで、男は、腹いせにグラフィックボードを専門的に製造しているA社の最新GPUを購入していないにも関わらず、「A社最新グラフィックボードで自作PCしたら発火して故障!返品交換してくれと頼んでも無視!高すぎ!買う価値なし!」というタイトルでSNSに動画を投稿したとされる。
(フィックションです)

信用毀損罪とは

刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法233 条は、信用毀損罪偽計業務妨害罪の2つの罪を規定しています。
本件で問題となっている信用毀損罪は、233 条の「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し(…)た者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」という部分で規定されています。

「虚偽の風説を流布し」とは、客観的事実に反する噂・情報を不特定又は多数の人に伝播させることをいいます。
本件では、男は、実際には所有していないA社のグラフィックボードを使った自作PCが不具合を起こして発火したという客観的事実に反する情報を、動画化してSNS上に投稿しています。
SNS上へ投稿すると、当該SNSを利用する不特定の人に伝播することになりますから、男の行為は「虚偽の風説を流布し」たと判断される可能性があります。

法人の商品の品質を貶めることは「人の信用を毀損した」にあたるか

信用毀損罪が対象としているのは「人の信用」です。
判例によると、ここでの「人」とは生身の人間である自然人だけでなく法人も含みます(大判昭和7年10月10日)。
よって、本件では、男がA社の信用を毀損したと言えるかどうかが問題となりそうです。

まず、男が酷評したのは、A社そのものではなく、A社の商品であるグラフィックボードですが、この場合にも人の「信用」を毀損したと言えるのでしょうか。
判例によると、「信用」とは、「人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限定されるべきものではなく、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含むと解するのが相当である」とされています(最判平成15年3月11日)。
したがって、A社の販売する商品であるグラフィックボードの品質に対する社会的な信頼も「信用」に含まれることとなり、信用毀損罪が成立する可能性があります。

また、条文には「(人の信用を)毀損した」者に刑罰を科すと規定されています。
では、信用を毀損するような行為がされたことに加え、現実にA社の信用が低下するという結果が必要なのでしょうか。
この点、判例は、現実に信用毀損の結果が生じる必要はないとしています(大判大正2年1月27日刑録19輯85頁)。
したがって、男がSNS上に投稿した動画によって、A社の信用が実際に低下しなかったとしても信用毀損罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

信用毀損罪のように被害者のいる犯罪では、示談を成立させることが非常に重要です。
早期の示談締結ができれば、起訴猶予による不起訴処分となる可能性がありますし、起訴されたとしても、示談が成立していることを踏まえて量刑が軽くなる可能性もあるからです。

もっとも、本件のように大切な商品を貶めすような行為をした加害者が、示談交渉のために被害者と連絡をとろうとしても拒絶される可能性が高いでしょう。
そこで、示談交渉は弁護士にお任せすることをおすすめします。
加害者と接触することを拒絶する被害者も、弁護士を通じてであれば示談交渉に応じてくれる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、信用毀損罪を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得や量刑を軽くすることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

SNSで知り合った他県の未成年者を自宅に招いた男が逮捕された事件

2024-01-07

SNSで知り合った他県の未成年者を自宅に招いた男が逮捕された事件

逮捕、連行される男性

SNSで知り合った未成年者を自宅に招いた男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府北警察署によると、SNS上で知り合った女子高校生(17)を車に乗せ自宅に招いたとして、京都市内に住む会社員の男(35)を未成年者誘拐罪の疑いで逮捕した。
男は取り調べに対し、被害者に「人生相談に乗って欲しい、車で迎えに来て」と言われたからその通りにしただけ、女性が未成年だと知らなかったとして、容疑を否定している。
(フィクションです)

未成年者誘拐罪

刑法第224条 
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

刑法224条は、未成年者略取罪未成年者誘拐罪を規定しています。
両罪は、対象を未成年としているで共通しています。
異なるのは、どのようにして、未成年者を本来の生活環境から不法に離脱させ、自己又は第三者の実力的支配下に移すか、という点です。

未成年者略取罪は、略取、すなわち暴行又は脅迫を手段として、人を本来の生活環境から不法に離脱させ自己又は第三者の実力的支配下に移す犯罪です。
未成年者誘拐罪は、誘拐、すなわち欺罔(虚偽の事実を告知すること)又は誘惑(甘言により判断を誤らせること)を手段として、人を本来の生活環境から不法に離脱させ、自己又は第三者の実力支配下に移す犯罪です。

本件では、男は暴行又は脅迫を用いていません。
また、男は「人生相談に乗って欲しい、車で迎えに来て」と被害者に言われ実行に移したようですので、被害者の相談に乗るといった甘言を用いて被害者の判断を誤らせたと判断される可能性があることから、未成年者略取罪ではなく未成年者誘拐罪が成立するケースかと思われます。

もっとも、被害にあった女子高生(被拐取者といいます)は未成年ではあるものの、男に対して人生相談がしたいとして自分から車に乗っています。
そうすると、本来の生活環境から離脱することについて、被拐取者の承諾があると言え、不法ではないとして未成年者誘拐罪は成立しないのではないでしょうか。

未成年者の同意があっても未成年者誘拐罪は成立するか

判例によれば、未成年者誘拐罪を規定する刑法224条が守ろうとしているもの(保護法益といます)は、被拐取者の自由だけでなく両親などの監護者の監護権も含むため、仮に被拐取者の承諾があったとしても監護者が承諾していなければ未成年者誘拐罪は成立するとしています(大判対象13年6月19日、福岡高裁判決昭和31年4月14日)。

本件についてみてみると、男は確かに被拐取者の承諾は得ていると言える可能性がありますが、その両親からの承諾を得ているわけではないようです。
したがって、判例によれば、本件では未成年者誘拐罪が成立する可能性があります。

未成年と知らなかったことは未成年者誘拐罪の成否に影響するか

本件では、男は、被拐取者が未成年とは知らなかったと言っています。
未成年者誘拐罪が成立するためには、故意、すなわち被拐取者が未成年であることの認識が必要です。
男の言う通り、被拐取者が未成年であることを知るすべがなかったといえるのであれば、未成年者誘拐罪は成立しない可能性があります。

逆に言うと、男と被拐取者のやり取りを通じて得た情報を元に合理的に考えれば、被拐取者が未成年であるかもしれないと、男が認識可能だったと判断されれば、本罪の故意ありとして未成年者誘拐罪が成立する可能性があります。

早めに弁護士に相談を

未成年者誘拐罪の故意が成立するかどうかの判断にあたっては、被拐取者の容姿や言動など様々な事情を踏まえて判断されます。

本件のように被拐取者が17歳の場合、容姿から未成年と判断できない可能性があり、メッセージのやり取りなどを踏まえてもどちらとも言えない可能性があります。

このような微妙なケースでも、警察が故意ありと考えれば、取調べで故意を認めるかのような供述をするように誘導され、求められるがままに供述調書にサインをしてしまう可能性があります。
そのような供述調書は、裁判において故意認定の強力な証拠となり、覆すのは非常に困難です。
したがって、可能であれば取調べを受ける前逮捕された場合には逮捕の直後に弁護士に直接会ってアドバイスをもらい、取調べでどのような供述をすべきか、またすべきでないか精査することが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、未成年者誘拐罪を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
逮捕前であれば、初回無料で弁護士に相談していただけます。
逮捕後の場合には、弁護士を留置場まで派遣させていただきます。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
詳しくは0120ー631ー881までお電話ください。

足を踏まれて激怒し相手に土下座を強要した事件

2024-01-05

足を踏まれて激怒し相手に土下座を強要した事件

胸ぐらを掴む男性

コンビニで誤って足を踏んできた相手に対し、土下座と謝罪を強要した事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事案

京都市西京区にあるコンビニで買い物をしていた男性(46)が、下校中の男子高校生(16)に足を踏まれたことに激怒し胸ぐらを掴んだうえ、「痛いなぁ!謝れ!土下座しろ!」などと大声をあげて謝罪と土下座をさせた。
被害にあった男子高校生は、友人と話しながら店内を歩いており、周囲のようすを確認できておらず誤って男の足を踏んでしまった。
被害男子高校生が泣きながら帰宅し両親が被害届を提出したため、西京警察署は店内のカメラから男を特定し、強要罪の疑いで一度署まで出頭するよう要請している。
(事案はフィクションです。)

強要罪

刑法223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

強要罪が成立するには、①強要の手段として脅迫・暴行を加えたこと、②人に義務のないことを行わせたこと、又は人の権利行使を妨害したこと、③強要の手段である脅迫・暴行と、強要の結果との間の因果関係が必要です。

本件では、男は男子高校生の胸ぐらを掴んでいます。
強要罪における暴行とは、人に対する有形力の行使を意味しますから、男の胸ぐらを掴む行為は強要罪における暴行と言えそうです(①)。

次に、男は男子高校生に謝罪と土下座をさせていますから、これが人に義務のないことを行わせたことになるのかが問題となります。
たしかに、悪気はなかったとしても人の足を踏んでしまったのであれば、法的義務はなくても、社会倫理上謝罪すべき義務があるといえるかもしれません。

この点、強要罪における義務とは、法的義務に限定するという立場(法的権利義務限定説)があります。
この立場に立てば、足を踏んだことに対して謝罪することは法的義務ではない以上、強要罪における義務を男子高校生は負っていないことになり、男は義務なき行為をさせたとして強要罪が成立する可能性があります。

これに対し、強要罪における義務とは、法的義務に限定されず社会倫理上の義務も含むという立場(無限定説)があります。
この立場に立てば、男子高校生には人の足を踏んでしまったため社会倫理上謝罪する義務があるといえそうであり、社会倫理上謝罪する義務があるのであれば強要罪における義務に含まれることになります。
そうすると、男は、男子高校生が負っている義務をさせたことになりますから、強要罪は成立しない可能性があります。

もっとも、本件で男は、謝罪だけでなく土下座までさせています。
うっかり人の足を踏んでしまったとしても、土下座させるのはやりすぎでしょう。
法的にはもちろん社会倫理的にも土下座をする義務はないと思われますから、土下座させた点をとらえて、男が「人に義務のないことを行わせた」といえそうです(②)。
したがって、男には強要罪が成立する可能性があります。

さらに①暴行と②土下座の因果関係も必要です。
本件では、高校生は男に胸ぐらを掴まれて怒鳴られたために土下座したようなので、因果関係もあるといえそうです(③)。
以上より、本件では強要罪が成立する可能性があります。

出頭の前に弁護士に相談を

本件では、被害届を受けた西京警察署が男を特定して出頭するように要請しています。
出頭すれば、取調べを受けることになります。
取調べでは、調書にサインを求められる可能性があります。
取調べの結果を記した調書はサインすることで裁判になったときの強力な証拠となるので、不利な調書の作成を防ぐためにも取調べの前に何をどう話すのか精査する必要があります。
もっとも、法的な知識が十分になくては、精査することは困難です。
そこで、法律のプロである弁護士に一度ご相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強要事件を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
初回の相談は無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

女性を騙して車に乗せて監禁罪で逮捕された事例

2024-01-03

女性を騙して車に乗せて監禁罪で逮捕された事例

逮捕される男性

泥酔した女性らを騙して車に乗せて監禁罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事案

京都府下京警察署は、監禁罪の疑いで男性(35)を逮捕した。
男は、京都市内で泥酔していた女性とその女性を介抱していた友人女性を見つけ、わいせつ行為をする意図を隠して「家までおくってあげる」といって車の後部座席にのせた。
男は乗車時に聞いていた女性の自宅住所ではなく山間部へ車を走らせていたところ、途中巡回中のパトカーとすれ違った。
その際、男が挙動不審だったたことに気づいた警察官が、男を停車させ男に事情を尋ねたところ、わいせつ目的で車にのせていたことを認めたため監禁罪の疑いで逮捕した。。
介抱するのに集中していたため友人女性は、男が自宅に向かっていないことに気づいていなかったとのこと。
(フィクションです)

監禁罪とは

刑法220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

刑法220条は逮捕罪監禁罪を規定しています。
「不法に」とは、一般的な違法性阻却事由がないことをいいます。
具体的には、刑訴法に基づいて警察官が犯人を逮捕する場合や、被害者が逮捕・監禁されることに同意している場合には違法が阻却され、「不法に」逮捕・監禁したとはされません。

逮捕とは、羽交い絞めして動けなくした場合のように、直接的な強制作用を加えて場所的移動の自由を奪うことをいいます。
監禁とは、一定の場所から脱出できないようにして場所的移動の自由を奪うことをいいます。

本件では、男は、女性らを車の後部座席に乗せています。
走行している車から脱出することは容易ではありませんから、女性らを車に乗せて走行する行為は監禁といえそうです。
したがって、男には監禁罪が成立する可能性があります。

もっとも、本件で被害女性らは、自分の意思で男の車に乗っています。
被害者自身が、場所的移動の自由が失われることに承諾を与えているといえそうですから、「不法に」監禁したとはいえず、監禁罪は成立しないのではないでしょうか?

被害者の承諾

結論としては、判例は、被害者が本当のことを知れば場所的移動の自由の喪失に承諾しなかったであろう場合には、被害者の承諾は無効である、としています(最高裁決定33年3月19日、広島高裁昭和51年9月21日)。
本件では、たしかに被害女性は男の車に自分から乗っているものの、それは男が家まで送り届けてくれると言ったからであり、わいせつ目的という男の本心を知っていたなら乗車しなかったと考えられます。
したがって、被害女性の同意は無効であり、やはり監禁罪が成立する可能性があります。

意思能力の要否

ところで、介抱されていた女性は泥酔していたようです。
泥酔女性に関しては、場所的移動の自由が奪われていることにそもそも気づいていなかったと思われます。

この点について、監禁罪を定める220条が守りたかったもの(法益といいます)は、現実に移動しようと思ったときに移動できる自由であると考える立場(現実的自由説)があります。
この見解に立てば、被害者に意思能力が必要であり、場所的移動の自由がはく奪されていることを被害者が現実に認識することが必要となります。

この立場によれば、本件の泥酔女性については、泥酔のため意思能力がないとされれば、監禁罪は成立しない可能性があります。

これに対し、監禁罪の法益は、移動しようと思えば移動できる自由である(可能的自由説)とし、被害者に意思能力は不要であり、被害者に場所的移動の自由がはく奪されていることの現実の認識は不要であるとする立場があります。
この立場によれば、本件の泥酔女性についても、泥酔していたという事情をもって、監禁罪の成立が否定されることはなく、監禁罪が成立する可能性があります。
裁判例は、後者の可能的自由説にたっているとされるので、やはり本件では監禁罪が成立する可能性があります。

わいせつ目的誘拐罪

刑法第225条
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

本件では監禁罪だけでなくわいせつ目的誘拐罪が成立する可能性があります。
誘拐とは、欺罔や誘惑を用いることで、生活環境から離脱させて自己または第三者の実力的支配下に移す行為をいいます。
わいせつの目的で誘拐を行った場合は、わいせつ目的誘拐罪が成立します。

本件では、男は女性らを家に送る目的ではなくわいせつ行為をする目的で車に乗せたようです。
女性らに家に送ると誤信させたわけですから、誘拐にあたると考えられます。
ですので、監禁罪だけでなくわいせつ目的誘拐罪も成立する可能性があります。

警察に逮捕されるとどうなる?

事件を起こし逮捕された場合、逮捕後72時間以内に、勾留という逮捕に引き続く10日間の身柄拘束の必要性について、検察官と裁判官から判断されます。
弁護士には、検察官と裁判官に対し、勾留に対する意見書を提出することができます。
逮捕後速やかに弁護士に弁護活動を依頼していれば、このタイミングで釈放を求めることができます。
意見書を提出する機会を逃さないためにも、早い段階で弁護士に相談することが大切です。

仮に、釈放されずに起訴された場合、身柄介抱のため次にとれる手段は、裁判所に対する保釈請求です。
保釈が認められた場合、保釈金を支払うことで身体拘束から解放されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、監禁罪を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
早い段階で弁護士に依頼することで、早期に身柄を解放することができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

特殊詐欺事件で捜査を受けたら弁護士に相談を

2023-12-31

特殊詐欺事件で捜査を受けたら弁護士に相談を

特殊詐欺事件の新聞記事

日々、特殊詐欺事件のニュースを目にします。
特殊詐欺事件を起こした場合には、どのような犯罪が成立するのでしょうか。
今回のコラムでは、特殊詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

特殊詐欺事件

特殊詐欺事件は、高度な欺罔手段を用いて被害者から財物を騙し取る犯罪です。
これらの事件は、被害者の信頼を悪用し、金銭的な損失だけでなく、精神的な苦痛も引き起こします。
特殊詐欺事件の被害に遭うのは高齢の方が多いイメージですが、年々手口が巧妙化しており、年齢に限らず特殊詐欺事件にひっかかってしまうおそれがあります。
また、闇バイトなどで社会問題になったように、気づけば特殊詐欺事件に加担してしまっていたなど、特殊詐欺事件の被害に遭わないように注意するのと併せて特殊詐欺事件に加担しないために警戒することも重要になります。

詐欺罪

特殊詐欺事件で成立する犯罪として一番に思い浮かぶのは詐欺罪なのではないでしょうか。

詐欺罪は、刑法第246条1項に定められており、人を欺いて財物を交付させると成立します。
この犯罪は、相手に虚偽の事実を伝え、その虚偽を信じさせることで、財物を不当に得ることを目的としています。
詐欺罪の成立には、欺罔行為(人を欺く行為)、錯誤(相手に誤信させる)、財物の交付が必要です。
例えば、存在しない商品を販売することを偽って金銭を受け取る行為は、典型的な詐欺罪に該当します。
詐欺罪は、被害者の財産権を侵害する重大な犯罪であり、最悪の場合、10年の懲役に処される可能性があります。

窃盗罪

窃盗罪は、刑法第235条によって規定されており、大まかに説明すると他人の所有する財物を、その人の意志に反して盗むことで成立します。
窃盗罪の要件には、対象が他人の財物であること、盗む意図があること、所有者の意思に反していることが必要になります。
例えば、店舗から商品をこっそり持ち去る行為や、人の財布から金銭を抜き取る行為は、窃盗罪に該当します。
窃盗罪は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される可能性があります。

詐欺罪と窃盗罪

特殊詐欺事件では、詐欺罪だけでなく窃盗罪の罪に問われる可能性があります。
例えば、キャッシュカードをだまし取り、そのカードを使用してATMから現金を引き出す行為は、詐欺罪窃盗罪の両方が成立するおそれがあります。
詐欺罪では、被害者を欺いて財物を交付させる行為が問題となり、窃盗罪では、その財物(例えば現金)を所有者の意思に反して取得する行為が問題となります。

特殊詐欺事件と弁護活動

弁護活動は、特殊詐欺事件において非常に重要な役割を果たします。
刑事事件では、捜査を受けると取調べが行われることになります。
取調べでは供述の内容を基に供述調書が作成されるのですが、警察官や検察官による供述の誘導や自白の強要などで、意に反した供述調書が作成される可能性があります。
また、刑罰を科されるかもしれないといった不安の中、ストレスにより判断が鈍り、不利になるような供述をしてしまうおそれもあります。
こういった事態を避けるためにも、あらかじめ供述すべき内容とそうでない内容を整理し、余裕をもって取調べに挑むことが重要になります。
とはいえ、何が供述すべき内容で何が供述しない方が良い内容なのかわからない方がほとんどだと思います。
ですので、取調べを受ける前に弁護士に相談をし、取調べの対策を練っておくことをお勧めします。
弁護士に相談をして供述すべき内容を精査することで、気持ちに余裕ができ、不利な内容の供述調書の作成を防げるかもしれません。

また、特殊詐欺事件では、初犯であっても実刑判決を下される可能性があります。
実刑判決を避けるためには、不起訴処分執行猶予付き判決の獲得に向けた弁護活動が重要になります。
特殊詐欺事件では、被害者と示談を締結することで、不起訴処分執行猶予付き判決の獲得に有利に働く可能性があります。
加害者が直接被害者と示談交渉を行うことは不可能ではありませんが、トラブルに発展する可能性が高く、あまりおすすめできません。
また、加害者本人が被害者と直接連絡をとることで、証拠隠滅を疑われてしまう可能性もありますので、示談締結を考えている場合は、弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、詐欺罪窃盗罪の弁護経験が豊富な法律事務所です。
数々の詐欺事件窃盗事件不起訴処分を獲得してきた弁護士に相談をすることで、不起訴処分執行猶予付き判決の獲得などより良い結果を得られる可能性があります。
特殊詐欺事件など、詐欺罪窃盗罪でお困りの方は、年末年始も即日対応可能弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談は、0120-631-881で受け付けております。

【事例紹介】心霊スポットに訪れた人からお金を脅し取った事例

2023-12-29

【事例紹介】心霊スポットに訪れた人からお金を脅し取った事例

犯罪行為で得たお金

心霊スポットに立ち入った人から、示談金の名目でお金を脅し取ったとして恐喝罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

「心霊スポット」とされるホテル跡地に立ち入った若者から示談金名目で現金を脅し取ったなどとして、京都府警木津署は19日、恐喝などの疑いで(中略)容疑者(32)と(中略)容疑者(40)と(中略)容疑者(30)を逮捕した。(中略)容疑者は容疑を認め、(中略)容疑者と(中略)容疑者は否認している。
逮捕容疑は共謀し今年8~9月、京都府笠置町にあるホテル跡地に立ち入った20代男性ら4人に対し「不法侵入です」「前科がつく」などと脅し、示談金として計120万円を脅し取ったなどとしている。
木津署によると(中略)容疑者は今夏から、ホテル跡地の所有者から現場の管理業務を任されていた。(後略)

(12月19日 産経新聞 「廃ホテル侵入者に「前科がつく」 120万円恐喝容疑でユーチューバーら3人逮捕」より引用)

恐喝罪

刑法第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

恐喝罪は、簡単に説明すると、強盗罪にいたらない程度の暴行や脅迫を用いてお金などを受け取ると成立する犯罪です。
大まかに説明すると、強盗罪は抵抗できないような暴行や脅迫を用いてお金などを奪うと成立します。
ですので、恐喝罪が規定する暴行や脅迫は、強盗罪が成立するような抵抗できない程度には至らない程度のものになります。

暴行は、殴る、蹴るはもちろんのこと、腕をつかむ行為や髪の毛を引っ張る行為なども暴行にあたります。
また、相手に恐怖を感じさせる害を与える告知が脅迫にあたります。

今回の事例では、容疑者らが心霊スポットに訪れた被害者らに対して、「不法侵入です」「前科がつく」などと脅して計120万円を脅し取ったとされています。
他人の敷地に無断で侵入して「不法侵入です」や「前科がつく」などと言われれば、前科がついて将来を棒に振ってしまうのではないかと恐怖を感じるのではないでしょうか。
また、「不法侵入です」や「前科がつく」と言われただけでは、その場から逃げ出すなどできそうですから、抵抗できない程度とはいえないでしょう。
ですので、被害者に対して「不法侵入です」や「前科がつく」と言う行為は、恐喝罪で規定する脅迫にあたりそうです。
報道によると、容疑者らは示談金の名目でお金を受け取っているようですので、実際に容疑者らが被害者に対して「前科がつく」などと脅してお金を受け取ったのであれば、恐喝罪が成立する可能性があります。

肝試しと建造物侵入罪

今回の事例では、事件現場が心霊スポットされているホテル跡地のようです。
報道によれば、容疑者らは被害者に「前科がつく」などと脅していたようです。
実際に被害者に前科がつくことはあるのでしょうか。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

大まかに説明すると、人が現在暮らしている家や宿泊しているホテルの一室などを住居、人が住んでいない空き家や使用していない別荘などを邸宅、住居や邸宅にあてはまらない建物を建造物といいます。
住んでいる人や管理している人の許可や正当な理由がなく、住居や邸宅、建造物に進入すると、住居侵入罪邸宅侵入罪建造物侵入罪がそれぞれ成立することになります。

今回の事例では、被害者はホテル跡地に立ち入っているようです。
このホテル跡地にはホテルだった建物が残っているようですから、建造物にあたると考えられます。
ですので、管理者に無断で侵入したり、侵入する正当な理由がない場合には、建造物侵入罪が成立する可能性があります。
今回の事例では、容疑者の一人がホテル跡地の所有者から管理を任されているようですので、許可を得て立ち入ったわけではなさそうです。
また、立ち入った理由は報道からでは明らかではありませんが、仮に肝試し目的での侵入だった場合は侵入するための正当な理由とはいえないでしょうから、被害者は建造物侵入罪に問われる可能性があります。

もしも、今回の事例で建造物侵入罪が成立した場合には、有罪になれば前科がつくことになります。

このように、心霊スポットで廃墟などに進入する行為は建造物侵入罪など、何らかの犯罪が成立する可能性があります。
罪に問われたり、トラブル生まないようにするためにも、他人が所有する敷地内には無断で立ち入らないようにしましょう。

容疑をかけられたら弁護士に相談を

恐喝罪建造物侵入罪は、被害者と示談を締結することで、不起訴処分を得られる可能性があります。
不起訴処分を獲得することができれば、罰金刑や懲役刑は科されませんし、前科がつくこともありません。
示談を締結するためには示談交渉を行う必要がありますが、加害者本人が示談交渉を行う場合には、被害者の連絡先を教えてもらえない場合があります。
ですが、加害者には連絡先を教えたくないが弁護士であれば教えてもいいと思われる被害者の方もいらっしゃいますので、示談交渉を行う場合には、弁護士に相談をすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
恐喝罪建造物侵入罪などの刑事事件でお困りの方は、年末年始も即日対応可能弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

京都市東山区にある元交際相手の家に無断で侵入した男を逮捕

2023-12-27

京都市東山区にある元交際相手の家に無断で侵入した男を逮捕

不法侵入

京都市東山区にある元交際相手の家に、無断で侵入した男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事案

京都府東山警察署は、京都市内に本社を置く製造メーカーに勤める会社員の男性(23)を住居侵入罪の疑いで逮捕した。
逮捕容疑は、京都市東山区で一人暮らしをしている元交際相手の女性宅に、交際当時に渡された鍵を使って無断で侵入した疑い。
帰宅した女性が、誰もいないはずの部屋の明かりがついており物音がすることに不振に思い110番したところ、駆けつけた警察官に男は逮捕された。
女性は、別れたあと男性に対し、自宅の鍵を返すよう再三要求していたとのこと。
(フィクションです)。

住居侵入罪とは

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

刑法130条は、前段(「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入」)で、住居侵入罪などを規定しています。
後段(「要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった」)で不退去罪を規定しています。

前段の侵入場所としては、①人の住居②人の看守する邸宅③建造物④艦船が挙げられています。
①人の住居とは、人の起臥寝食(寝たり起きたり食事をすること)に使用されている場所をいいます。具体的には、自宅マンションや寮などです。
ちなみに、ホテルや旅館のように一時的に使用される場所であっても、人の住居にあたります。
②人の看守する邸宅は、守衛や管理人を置いている別荘などがこれにあたります。
③建造物とは、学校や工場など、住居や邸宅以外の建造物一般のことをいいます。
④艦船とは、軍艦及び船舶のことです。

本件では、男は一人暮らしをしている女性宅に侵入したとされています。
女性はそこで寝たり起きたり食事したりしているでしょうから、刑法130条の①人の住居にあたりそうです。
したがって、本件では住居侵入罪が成立する可能性があります。

侵入の意義

住居侵入罪「侵入」とはどのような行為のこというのでしょうか?
現在の判例(最判58年4月8日など)は、住居権者の意思に反する立入りを「侵入」と理解しているようです(大塚ほか「基本刑法<第2版>」86頁)。

本件では、男は交際当時に渡された鍵を使って、無断で女性宅に立ち入ったようです。
男が住居権者である女性から鍵を渡されている点をふまえて、住居権者の意思に反する立入りではないと考えることはできるでしょうか?

たしかに、交際している期間については、鍵をわたされていたことから、男は自由に女性宅に立ち入ることを許されていたと解される余地がないとはいえないないでしょう。
しかし、女性が、男に対し鍵を返却するように再三求めていることからも明らかなように、交際期間終了後に関しては、女性は、男の女性宅への立入りを許していなかったといえるでしょう。
したがって、本件男性の女性宅への立入りは「侵入」にあたり、住居侵入罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

住居侵入罪のように被害者のいる犯罪では、被害者との間に示談を成立させることができるかどうかが重要となります。
示談が早期に成立すれば不起訴処分となる可能性があります。
ただし、加害者がきちんと反省し謝罪したいと思っていたとしても、相手方がこれに応じてくれる可能性は高くありません。
被害者からすれば、ついこの間自分の家にあがってきた人、が自分に接触しようとしているというだけで恐怖を感じて示談交渉をはじめることすら拒絶されかねません。
そこで、弁護士に示談交渉を一任されることをおすすめします。
加害者と直接連絡をとることに抵抗を感じる被害者も、弁護士とのやりとりであれば応じてくれることは珍しくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、住居侵入罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、起訴を防ぐことができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

偽装心中!愛人をだまして一人で心中させた男が殺人罪で逮捕

2023-12-24

偽装心中!愛人をだまして一人で心中させた男が殺人罪で逮捕

逮捕、連行される男性

愛人をだまして一人で心中させた男が殺人罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事案

京都府伏見警察署は、京都市伏見区に住む薬品関係の会社を経営する男(45)を殺人罪の疑いで逮捕した。
京都府伏見警察署によると、男は妻子ある身であったが不倫関係にある秘書から「奥さんと別れて私と結婚してほしい。できないなら一緒に死のう」と心中を迫られた。
男は心中するつもりはなかったが、その場にあわせ「一緒に心中しよう」と答え、致死量を超える薬を2人分用意し、相手に先に飲ませて自殺させ、自分は飲まなかったとのこと。
(フィクションです)

殺人罪と自殺関与罪

刑法199条 殺人罪
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

本件で男は、199条の殺人罪の嫌疑で逮捕されています。
しかし、亡くなった女性は、男が用意した致死量の薬を自ら飲んで自殺したとのことですので、殺人罪ではなく202条の自殺関与罪とはならないのでしょうか?

刑法202条 自殺関与罪
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ(…)た者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。

202条の自殺関与罪は、さらに自殺教唆罪自殺幇助罪に分かれます。
自殺教唆罪とは、自殺意思のない者を唆して自殺を決意させ、自殺を行わせることです。
自殺幇助罪とは、自殺の決意を有する者の自殺行為を援助し、自殺を遂行させることです。
本件では、女は自分から一緒に死のうと心中をもちかけていますから、男が一緒に死んでくれるという条件付きであるものの自殺の決意を有していたといえそうです。
加えて、男は、致死量の薬を用意して自殺行為を援助し、女に自殺を遂行させています。
したがって、202条の自殺幇助罪が成立するのではないでしょうか?

偽装心中

結論として、判例は、偽装心中のケースでは一貫して199条の殺人罪を適用しています。
最高裁は、女性から心中を申し出られ同意したが、途中で気が変わったのに後を追うように誤信させて女性のみに毒物を飲ませて死亡させた偽装心中の事案にて、被害者は加害者の欺罔の結果、加害者の追死を予期して死を決意したのであり、「その決意は真意に添わない重大な瑕疵ある意思」であるから、殺人罪に該当すると判示しています(最判昭和33年11月21日)。

本件も、被害者の女性は、加害者の男性が一緒に死んでくれると騙されて、死ぬことを決意したようですから、仮に男に死ぬつもりがないと知っていれば、被害女性は死のうとはしなかったでしょう。
そうすると、被害女性の死ぬ決意は、真意に添わない重大な瑕疵ある意思といえます。
判例に従えば、本件でも殺人罪が成立する可能性が高いでしょう。

身体拘束の長期化のおそれ

殺人罪は、刑法の規定する犯罪の中でも法定刑が重くなっていますから、裁判の結果下される量刑も重くなる可能性が高いため、逃亡のおそれがあるとして釈放や保釈が認められづらい犯罪です。

警察に逮捕された被疑者は、逮捕から72時間以内に、「勾留」という逮捕に引き続く10日間の身柄拘束の必要性について、検察官と裁判官から判断されます。
弁護士は、検察官と裁判官に対し、勾留に対する意見書を提出することができますから、このタイミングで釈放を求めることができます。
したがって、早い段階で弁護士に相談して、意見書を提出する機会を逃さないことが大切です。

仮に、釈放されずに起訴された場合、次にすることができることは裁判所に対する保釈請求です。
保釈が認められた場合、保釈金を支払うことで身体拘束から解放されます。

たしかに、殺人罪釈放保釈が認められずらいものの、絶対に釈放保釈が認められないわけではありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件の豊富な弁護経験のある法律事務所です。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

【事例紹介】かばんに包丁を所持し、ユーチューバー逮捕

2023-12-22

【事例紹介】かばんに包丁を所持し、ユーチューバー逮捕

ナイフを持つ人

ユーチューバーがかばんに包丁を所持したとして、銃刀法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

かばんに包丁を所持していたとして、京都府警右京署は17日、ユーチューバーの男(33)(右京区)を銃刀法違反容疑で逮捕した、と発表した。
発表によると、男は(中略)京都市右京区の駐輪場前で、包丁(刃渡り約15センチ)1本を所持した疑い。男の母親が「息子が包丁を持って出かけたかもしれない」と通報し、駆けつけた署員が職務質問の上、現行犯逮捕した。
(中略)「死ぬために持っていた」と容疑を認めているという。

(12月18日 読売新聞オンライン 「「死ぬために持っていた」包丁を所持していたユーチューバーの男を逮捕、母が京都府警に通報」より引用)

刃物の所持と銃刀法

銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」といいます。)第22条では、「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。」と規定しています。

簡単に説明すると、仕事で使用する場合や正当な理由なく、刃の長さが6センチを超える刃物を持ち歩くと銃刀法違反が成立します。

今回の事例では、容疑者がかばんに包丁を所持していたとして、銃刀法違反の容疑で逮捕されたようです。
今回の事例で銃刀法違反は成立するのでしょうか。

容疑者が所持していた包丁は刃渡り約15センチとのことですので、銃刀法で携帯の認められていない刃物に該当する可能性が高いでしょう。

次に正当な理由などがあるかどうかについて考えていきましょう。

報道によれば、容疑者が包丁を所持していた理由は「死ぬために持っていた」ようです。
銃刀法で認められるような正当な理由とは、例えば、草刈りのために鎌を携帯する行為が当てはまると考えられます。
今回の事例のような、死ぬために刃物を所持することは正当な理由には当てはまらないでしょうし、仕事のために持っていたわけでもないようですから、実際に容疑者が死ぬために包丁を所持していたのであれば、銃刀法違反が成立する可能性があります。

銃刀法違反と不起訴処分

銃刀法違反が問題になるケースとして、車から刃物を降ろし忘れたことで銃刀法違反の罪に問われてしまうケースが存在します。
例えば、草刈りを行うために鎌を車に乗せ、草刈りが終わった後も鎌を降ろし忘れて車を使用していた場合などがこのケースにあたります。
草を刈りに行く道中や帰る際には「草刈りを行うため」という鎌を携帯する正当な理由があるといえますが、草刈りが終わった翌日以降も車に鎌を乗せた状態が続いてしまうと、「草刈りを行う」という正当な理由がなくなるわけですから、正当な理由なく刃物を携帯することになり、銃刀法違反が成立してしまうおそれがあります。

今回の事例や上記のケースのような場合では、銃刀法違反で有罪になることは避けられないのでしょうか。

結論から言うと、銃刀法違反で有罪になることを避けられる可能性があります。

弁護士は検察官に対して処分交渉を行うことができます。
弁護士が検察官に不起訴処分を求めることで、不起訴処分を獲得できる可能性があります。

例えば、今回のような事例では、今後は通報をした母親が容疑者が刃物を持って出歩かないように監視監督を行うなど、再犯防止に尽くすことを弁護士が検察官に訴えることで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。

また、不起訴処分を得るためには、弁護士の処分交渉だけでなく、取調べ対応も重要となります。

取調べでは、供述調書と呼ばれる裁判で使用される証拠を作成します。
この供述調書は一度不利な内容で作成されてしまうと、その内容を覆すことは容易ではありません。
供述調書は裁判だけでなく、検察官が起訴の判断を行う際の判断材料になる可能性もありますから、不起訴処分を目指す際には取調べ対応もかなり重要になってきます。

取調べの際には、警察官や検察官が、思い通りの筋書きにしようと供述を誘導してくることが多々あります。
誘導に乗ってしまうことで、不利な供述調書の作成につながる可能性が高くなりますから、そういったリスクを避けるためにも、あらかじめ弁護士と供述すべき内容と黙秘すべき内容の精査を行っておくことが重要です。
取調べ前に弁護士と打ち合わせを行うことで、不利な供述調書の作成を防げる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に精通した法律事務所です。
数多くの事件で不起訴処分を獲得してきた経験豊富な弁護士に相談をすることで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
銃刀法違反事件やその他刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部初回接見サービス無料法律相談をご利用ください。

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