肩がぶつけられた腹いせに現金を脅し取ったとして恐喝罪の疑いで逮捕された事例

肩がぶつけられた腹いせに現金を脅し取ったとして恐喝罪の疑いで逮捕された事例

胸ぐらを掴む男性

肩がぶつけられた腹いせに現金を脅し取ったとして恐喝罪の疑いで逮捕された事例ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事件概要

京都府北警察署は、自営業を営む男性(32)を恐喝罪の疑いで逮捕した。
男は、昼食を購入してコンビニを出ようとしたところ、前から歩いてきた大学生が男の肩にぶつかってしまい、男が手に持っていた栄養ドリンクは落ちて割れてしまった。
大学生は、スマホに夢中で前に男がいることに気づかず男にぶつかってしまったようで、男は、大学生に対し「前見て歩けや!どうしてくれるんや、靴に栄養ドリンクがかかって汚れたやないか。いくらすると思ってんねん」などとまくしたて、胸ぐらを掴み「弁償しないとどつき回すぞ」と言って、突然のことに怖くなった大学生は現金3万円を男に渡し、男がその現金を受け取った疑いが持たれている。
一部始終を目撃していた他の買い物客からの通報を受けた警察官に男は逮捕された。
取調べに対し男は、「ストレスが溜まっていてついキレてしまった。申し訳ないことをした」と反省している。
(フィクションです)

恐喝罪とは

刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

本件で、男は、自分にぶつかってきた大学生に対して、「どつき回すぞ」などど脅して現金3万円を受け取っているようです。
男の行為は恐喝罪にあたる可能性があります。

まず、恐喝罪にいう恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
本件で、男は、弁償しないとどつき回すぞと言って大学生を怖がらせています。
どつき回すと言うのは、身体に対する害悪の告知ですから、男の発言は、財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫に該当すると言えそうです(①)。

次に②を見てみましょう。
男の上記行為は、被害者の反抗を抑圧するに至らない程度と言えるでしょうか?
仮に、被害者の反抗を抑圧する程度の脅迫に該当した場合、恐喝罪ではなく強盗罪の成否が問題となります。
例えば、ナイフなどの凶器を手にした状態で、金品を渡さないと殺すなどと告げた場合には、要求に応じないと殺されるかもしれませんから金品を言われた通り差し出すしかないでしょう。
このような場合、反抗を抑圧する程度の脅迫にあたり、恐喝罪ではなく強盗罪の成否が問題となります。

本件では、男はどつき回すぞと脅して大学生を怖がらせていますが、凶器を持って脅したわけではないので、反抗を抑圧する程度の脅迫とまでは言えないでしょう。
したがって、どつき回すぞという男の発言は恐喝に当たると言えそうです。

また、本件では、男は大学生の胸ぐらを掴んで金品を要求しています。
これは財物交付に向けられた人を畏怖させるに足りる暴行と言えそうです。
また、胸ぐらを掴む行為は、被害者の反抗を抑圧する程度とまでは言えないでしょう。
したがって、胸ぐらを掴んで金品を要求した行為は恐喝に当たる可能性があります。

以上より、男には恐喝罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

本件で男はカッとなってやってしまったと言っていますが、恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役ですから刑法の犯罪の中でも重たい犯罪を犯してしまっています。

執行猶予がつくためには、下される量刑が3年以下であることが必要です。
恐喝罪の法定刑は上述の通り10年以下の懲役ですから、執行猶予がつかない可能性があります。
仮に執行猶予がつかず実刑判決が下った場合、刑務所に拘束されるため大学に通ったり会社に出勤したりすることはできず、解雇退学処分となることが珍しくありません。
したがって、刑務所での拘束を避けるためには、下される量刑を3年以内に抑えて執行猶予付判決を獲得する必要があります。

下される量刑を抑えるには、被害者との間の示談を成立させることが重要になってきます。
ただし、本件のように、胸ぐらを掴んでどつき回すぞと言われた被害者からすると、加害者とは関わりたくないと思っていたり、強い処罰感情を有していたりする可能性があるので、加害者本人が直接示談交渉を進めることは通常困難です。

そこで、交渉のプロである弁護士に第三者的立場から示談交渉をしてもらうことをおすすめします。
さらに、検察官に起訴される前に示談を締結できた場合には不起訴処分となる可能性も存在しますから、できる限り早い段階で弁護士に相談することが極めて重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、恐喝事件をはじめとする豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分の獲得のほか、量刑を軽くしたり執行猶予付判決を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

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