1.裁判員裁判とは?
裁判員制度は、国民の中から選任された裁判員が裁判官ととともに刑事訴訟手続きに関与する制度のことです。
具体的には、抽選で選ばれた一般市民が「裁判員」となって、裁判官と一緒に刑事被告人が有罪であるか否か、どれくらいの刑を課すべきかを決めることとなります。
裁判員裁判は、原則として、裁判官3人と裁判員6人の合議体で行われることとなります。
2.なぜ裁判員裁判制度が導入されたのですか?
かつて、裁判官の判断の中には常識からかけ離れたようなものも少なくありませんでした。
そこで、国民が刑事裁判に参加することにより一般国民の感覚を裁判に反映させ、社会常識に基づく妥当な判決に近づけるよう、この制度が導入されました。
3.「裁判員」と「陪審員」とは違うの?
裁判員制度は、市民から選ばれた裁判員が職業裁判官とともに有罪無罪の判断や、有罪の場合の刑の重さを決める制度です。
一方、陪審員制度では、刑の重さは職業裁判官が判断します。
4.裁判員裁判対象事件はどのようなものですか。
そもそも、日本の裁判員裁判対象事件は「刑事裁判」のみです。
民事裁判(例えば「お金を返してほしい」「家を明渡してほしい」等)では裁判員裁判は行われません。
裁判員制度の対象となる事件は、法定刑に死刑又は無期刑を含む事件、及び裁判官の合議体で審判すべきものと法律で決められている事件(短期1年以上)のうち故意の犯罪行為で人を死亡させた事件です。
基本的に、国民の関心の高い重大事犯が対象とされています。
具体的には、殺人罪(人を殺した場合)、強盗致死傷罪(強盗が、人にけがをさせ、あるいは、死亡させてしまった場合)、傷害致死罪(人にけがをさせ、しぼうさせてしまった場合)、危険運転致死(泥酔した状態で、自動車を運転して人をひき、死亡させてしまった場合)、現住建造物等放火(人の住む家に放火した場合)等が挙げられます。
5.どのような事件で裁判員裁判が行われるの?
まず、裁判員裁判が行われるのは“刑事裁判”のみです。
さらに、刑事裁判の中でも一定の重大事件についてのみ、裁判員裁判が行われます。
具体的には、死刑や無期懲役が定められている罪、短期1年以上の罪で故意の犯罪行為で人を死亡させた罪の裁判において裁判員裁判が行われます。
6.裁判員は誰が選ばれるの?
裁判員は各地の選挙人名簿を基準に抽選で選ばれます。したがって、原則として20歳以上の日本国民で選挙人名簿に登載されている人は誰しもが裁判員に選ばれる可能性があります。
7.「裁判員をやりたくない」といえるの?
裁判員制度は,特定の職業や立場の人に偏らず,広く国民の皆さんに参加してもらう制度ですので,原則として辞退できません。
ただし,国民の皆さんの負担が過重なものとならないようにとの配慮などから,法律等で次のような辞退事由を定めており,裁判所からそのような事情にあたると認められれば辞退することができます。
具体例として下記のものが挙げられます。
- 70歳以上の人
- 学生,生徒
- 一定のやむを得ない理由があって,裁判員の職務を行うことや裁判所に行くことが困難な人。
「やむを得ない理由」としては,例えば,以下のようなものがあります。
- 重い病気又はケガ
- 親族・同居人の介護・養育
- 事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある。
- 父母の葬式への出席など社会生活上の重要な用務がある。
- 妊娠中又は出産の日から8週間を経過していない。
- 重い病気又はケガの治療を受ける親族・同居人の通院・入退院に付き添う必要がある。
- 妻・娘の出産に立ち会い,又はこれに伴う入退院に付き添う必要がある。
- 住所・居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり,裁判所に行くことが困難である。
さらに、裁判員になることによって生活の平穏などが害されることがないように、様々な配慮がなされています。
具体的には、裁判員の氏名は公表されず、検察官・弁護人・被告人が裁判員の氏名を外部に漏らしたときには処罰されます。
また、裁判員やその家族に対し、面会、手紙、電話などの方法を問わず、困惑させる行為は処罰されます。
8.裁判官と裁判員
裁判員制度では、裁判員は裁判官とともに有罪無罪の判断や刑の重さを判断することとなります。
そして、裁判員と裁判官は全く平等です。
裁判員に選ばれた方の中には、今まで法律の勉強を1度もしたことがないと不安に思われる方がいるかもしれません。
しかし、被告人が罪となる事実をやったかどうか、量刑をどれくらいにしようかということは法律の知識とは別のはなしです。
一般国民の感覚を裁判に反映させるのに法律の知識の多寡は関係ありません。
裁判官にも、自信を持って意見を述べましょう!
9.裁判員になった場合、違反してはダメなことはありますか?
裁判員は、独立してその職務を行い、法令に従い公平性実にその職務を行わなければならず、このような職務を果たすよう、裁判員の一定の行為についても罰則が定められています。
- 裁判員として知りえた秘密などを漏らした場合(守秘義務違反)
→6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金(裁判員法108条)
※裁判員には守秘義務が課されています。しかしそれ以外のことについては自由にはなしをできます。裁判員を経験しての感想などはもちろん自由に話すことができます。 - 裁判員候補者が質問票に虚偽の記載をした場合
→50万円以下の罰金、30万円以下の過料(裁判員法110条、111条) - 裁判員候補者が裁判所の呼出しに応じない・公平な裁判をする旨の宣誓を拒んだ場合
→10万円以下の過料(裁判員法112条)
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