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児童ポルノを送らせて逮捕①~児童ポルノ製造~
児童ポルノを送らせて逮捕①~児童ポルノ製造~
児童ポルノを送らせて逮捕されたケースの児童ポルノ製造行為について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
会社員のAさんは、SNSの配信機能を通じて、京都市下京区に住む15歳の女子高生Vさんと知り合いました。
ある日Aさんは、Vさんに対し、「ちょっとだけでいいから服を脱いでいる写真が欲しい。お礼にSNSのポイントをあげる」などと言って、Vさんに体を露出した写真を送るように求めました。
Vさんがそれに応じて下着姿の写真を撮り、Aさんに送ったところ、今度はAさんは「次は裸の写真を送ってこい。そうでなければ下着姿の写真をSNSでばらまいてやる」などと言い、Vさんにさらなる要求を行いました。
Vさんは怖くなり、しばらく要求に従って写真を送り続けていましたが、今後要求がさらに過剰になるのではと不安になったことから両親に相談しました。
その結果、Vさんは両親とともに京都府下京警察署に被害申告を行い、捜査ののち、Aさんは児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)と強要罪の容疑で逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)
・送らせたのに児童ポルノ製造罪?
ご存知の方も多いでしょうが、18歳未満の者の性行為や衣服を身に着けない姿態の画像や動画は、「児童ポルノ」として「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(略称:児童ポルノ禁止法、児童買春禁止法等)で規制されています。
児童ポルノ禁止法2条3項
この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
この児童ポルノは、児童ポルノ禁止法で所持や提供、製造等が禁止されています。
今回の事例のAさんはそのうち、児童ポルノ製造の容疑をかけられて逮捕されているようです。
児童ポルノ禁止法7条
3項 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。
同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
※注:「前項」「前項に掲げる行為」とは、児童ポルノ禁止法7条2項で禁止されている児童ポルノの提供行為とその規定を指しています(法定刑は後述)。
4項 前項に規定するもののほか、児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。
※注:「第2項」は児童ポルノの提供の禁止を定めており、その刑罰は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」です。
条文の項目は2つに分かれていますが、つまるところ、児童ポルノ製造をすれば「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」となるということになります。
「製造」という言葉から、自分自身で児童ポルノを作り出す=自分で実際に児童ポルノを撮影するというイメージがわきやすいため、Aさんのように児童ポルノを児童自身に自撮りをさせて送らせた事例では、児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反になることにピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、こうした自撮りの要求をして児童ポルノを撮らせることは児童ポルノにあたる「姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写する」ことに当てはまります。
そのため、たとえ児童を直接目の前にして自分自身が児童ポルノを撮影していなくとも、児童ポルノにあたる画像や動画を撮影させることは児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反となるのです。
SNSやメッセージアプリの普及により、Aさんのようなケースの児童ポルノ製造事件も増えています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部ではこういった児童ポルノ製造事件のご相談もお受けしていますので、まずはお気軽にご相談ください。
向日市の公衆トイレで建造物侵入盗撮事件
向日市の公衆トイレで建造物侵入盗撮事件
向日市の公衆トイレでの建造物侵入盗撮事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都府向日市に住むAさん(高校2年生)は,アダルトサイトを見ているうちに,自分でも盗撮をしてみたいと考えるようになりました。
そこでAさんは,近所にある公園の公衆トイレに盗撮カメラを仕掛けて盗撮をしようと考え,自宅近くにある公園の女子トイレに侵入してカメラを設置しました。
しかし後日,Vさんがトイレを利用しようとした際,Aさんが仕掛けたカメラを発見し,京都府向日町警察署へ通報しました。
捜査の結果,Aさんは京都府向日町警察署の警察官に建造物侵入罪と京都府迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)
今回のAさんは,建造物侵入罪と京都府迷惑防止条例違反の容疑で逮捕されていますが,この2つの犯罪についてみていきましょう。
~建造物侵入罪~
正当な理由がないのに建造物に侵入した者には,建造物侵入罪(刑法130条前段)が成立し,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科せられます。
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
建造物侵入罪の対象となる「建造物」は,住居と邸宅以外の建物を広く含みます。
ですから,今回Aさんが立ち入った公園の女子トイレも「建造物」に当たると考えられます。
そして,建造物侵入罪の「侵入」とは,管理権者の意思に反した立ち入りをいいます(最決昭和31年8月22日)。
Aさんは,盗撮目的という不当な目的で女子トイレに入っています。
そのような立ち入りは,公園の管理権者の意思に反するものといえるでしょう。
こうしたことから,Aさんの行為は建造物侵入罪に当たると考えられます。
~京都府迷惑防止条例違反~
京都府迷惑防止条例では,盗撮行為自体はもちろんのこと,盗撮するためにカメラを設置したり差し出したりする行為も禁止しています。
京都府迷惑防止条例3条2項
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
1号 みだりに,着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
2号 みだりに,前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み,又は着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等をすること。
※注:「前項に規定する方法」とは,「他人を著しく羞恥させ,又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」のことを指します。
今回,Vさんはトイレを利用する前にAさんの盗撮カメラに気づいたためにおそらくVさんの下着等については盗撮ができていないでしょう。
しかし,このように盗撮行為自体ができていない場合であっても,上記の京都府迷惑防止条例によって規制されているのです。
今回のAさんも,女子トイレ内に盗撮用のカメラを設置していますから,「着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等」しているといえます。
そのため,Aさんは京都府迷惑防止条例違反になると考えられるでしょう。
~少年の盗撮事件と弁護活動~
少年の盗撮事件の場合,性犯罪であるために,少年自身が保護者に犯行について話したくないがために否認してしまったり,保護者の手前正直な理由や態様を話せなかったりすることもあります。
少年事件では,少年が再犯をしないために,更生をするためにどのような処分とすべきかが重視されます。
そのため,少年が事件について周囲ときちんと話し合えないということは,この更生のための環境を作る上でデメリットとなってしまう可能性が出てきます。
ですから,そういった場合には,第三者的立場であり,さらに少年事件の知識のある弁護士がサポートとして入ることに効果が期待できるのです。
第三者であるからこそ,少年が相談しやすい立場であり,少年事件の手続きの上でもアドバイスを送ることができます。
また,少年事件といえど,被害者の方に対する謝罪や弁償を行うこと,示談締結は大切なことです。
建造物侵入罪の示談の相手方は建造物の管理者となりますが,今回のVさんのように実際に盗撮被害に遭いそうになった女性がいるような場合には,そのような実質的な被害者と示談することもあり得ます。
こうした被害者や被害に遭いそうになった方への謝罪により,少年自身やその家族が事件について受け入れ,反省していることを示すことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では,少年事件についてのご相談・ご依頼も承っております。
まずはお気軽にご連絡ください(0120-631-881)。
盗撮事件の逮捕と示談
盗撮事件の逮捕と示談
Aさんは,京都府京田辺市のスーパーマーケットで,動画撮影モードにした状態のスマートフォンを入れた買い物かごを床に置いて,Vさんのスカート内を撮影しました。
Vさんが買い物かごに動画撮影モードのスマートフォンが入っていることに気づいて通報し,Aさんは京都府の迷惑防止条例違反(盗撮)の容疑で,京都府京田辺市を管轄する京都府田辺警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんの逮捕を聞き,どうにかAさんを釈放してもらえないかと悩んだAさんの家族は,まずは刑事事件を取り扱っている弁護士に相談しました。
弁護士にそしてAさんへ面会に行ってもらい,Aさんの意向や盗撮事件の詳細を確認した上で,釈放に向けて被害者であるVさんへの謝罪や弁償を行い,示談締結を目指した弁護活動をしてもらうことにしました。
(フィクションです。)
~迷惑防止条例違反(盗撮)~
公共の場で盗撮をした場合,各都道府県で定められた迷惑防止条例違反となり,処罰される可能性があります。
最近では公共の場や公共の乗り物以外の場所の盗撮行為も迷惑防止条例で規制する都道府県も出てきており,そういった場所や乗り物での盗撮行為が迷惑防止条例違反になるかどうかには,事件の起こった都道府県によってばらつきがあります。
しかし,公共の場での盗撮行為については,どの都道府県で行ったとしても迷惑防止条例違反となる可能性が高いといえます。
例えば京都府の場合,京都府迷惑行為防止条例(京都府迷惑防止条例)3条2項1号で,公共の場での盗撮行為が禁止されています。
京都府迷惑防止条例3条2項
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
1号 みだりに、着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
※注:「前項に規定する方法」とは、京都府迷惑防止条例3条1項の「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」のことを指します。
この条文に違反して公共の場で盗撮を行った場合,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます(京都府迷惑防止条例10条2項)。
さらに常習としてこういった盗撮行為を行った場合は,2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます(京都府迷惑防止条例10条4項)。
今回のケースで考えれば,スーパーマーケットは誰でも立ち入ることができるため,公共の場に当たると考えられます。
Aさんは,買い物かごに入れたスマートフォンをVさんのスカート内が映るように差し入れ盗撮しているので,Aさんの行為は迷惑防止条例違反(盗撮)となる可能性が高いです。
なお,京都府の場合,実際に盗撮を行わなくても,撮影目的で撮影機器を差し出すなど場合にも盗撮を行ったのと同様に処罰されます。
京都府迷惑防止条例3条2項
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
2号 みだりに、前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、又は着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等をすること。
ですから,今回のAさんのケースでもしも撮影ができておらず,スマートフォン内にVさんのスカートの中の映像が録画されていなかったとしても,Aさんは京都府の迷惑防止条例違反として検挙されることも考えられるのです。
なお,この場合の刑罰は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(京都府迷惑防止条例10条1項)。
~盗撮事件の逮捕と示談~
盗撮をしてしまったことについて争いがない場合,弁護士に依頼し,被害者に謝罪と賠償を行い,示談をすることによって,逮捕をされている場合でも早期釈放が実現する可能性が高まります。
示談締結という事実は,被害者の処罰感情のおさまりや,被疑者の反省や証拠隠滅・逃亡の意思のないことを主張するための大きな事情の1つとなるのです。
さらに,示談締結のタイミングによってはそもそもの刑事事件化を防ぐことや,不起訴処分によって前科がつかずに済む可能性があります。
ただし,盗撮事件の場合は被害者と面識のない場合が圧倒的に多く,そうした場合はそもそも連絡を取ることが不可能です。
捜査機関も,加害者である被疑者に直接被害者と連絡を取らせることは難しいと考えるでしょうし,被害者自身もそういった事態は避けたいと考えることが多いです。
それでも無理に連絡を取ってしまえば証拠隠滅ととらえられてしまう可能性も否定できません。
だからこそ,信頼のおける第三者として弁護士を間に挟んで示談交渉を行うことがおすすめされます。
弁護士限りということであれば連絡をしてもよいと言ってくださる被害者の方も少なくありませんし,弁護士であれば,いざ示談を締結するというときにも適正な示談書を作成して将来の紛争の蒸し返しを防止することもできます。
いずれにしても,早期に弁護士に依頼し,示談交渉をするのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,盗撮事件についての初回無料法律相談(在宅捜査を受けている方向け)・初回接見サービス(逮捕・勾留されている方向け)も行っております。
0120-631-881ではそれぞれのお悩みに合ったご案内を行っておりますので,まずはお電話ください。
京都市左京区で準強制性交等事件
京都市左京区で準強制性交等事件
【事件】
Aさんは京都市左京区にある居酒屋で同じ部署の同僚数人と飲み会をしていました。
Aさんはその飲み会で以前から好意をもっていた後輩の女性社員Vさんといい雰囲気になりました。
飲み会の後、AさんはVさんに「これから一緒に飲み直さないか」などと言い、Vさんはこれに応じました。
しばらく二人で飲んだ後、かなり酔っていたVさんをAさんは自宅に送り届けようとしましたが、途中でVさんと一夜を共にしたいと思うようになりました。
AさんはそのままVさんを連れて駅近くのホテルに入りました。
AさんはVさんがベッドで熟睡しているのを確認した上でVさんと性交に及びました。
翌日、被害届を受けた京都府川端警察署の警察官によってAさんは準強制性交等罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)
【準強制性交等罪】
準強制性交等罪(刑法178条2項)は、人の心神喪失・抗拒不能に乗じ、または心神喪失・抗拒不能にさせて、性交等に及んだ場合に成立する罪です。
準強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役(有期懲役刑の上限は20年で、加重によって30年)となっています。
この罪は平成29年の刑法改正によって新設された罪で、強制性交等罪(刑法177条)・準強制性交等罪が成立する前は強姦罪・準強姦罪がありました。
改正前の強姦罪の客体は女性に限定されていましたが、強制性交等罪への改正によって男性もこの罪の客体になれるようになりました。
準強制性交等罪の成立要件について詳しくみていきましょう。
準強制性交等罪の成立には、性交等に及ぶ時点で相手が心神喪失状態または抗拒不能に陥っていることが必要です。
心神喪失とは、精神的な障害によって正常な判断力を失った状態をいいます。
抗拒不能とは、精神的・物理的に抵抗できない状態をいいます。
心神喪失・抗拒不能の程度について、完全に抵抗が不可能であることまでは要求されません。
反抗が著しく困難な程度に至っていれば、心神喪失・抗拒不能であると認められます。
心神喪失にあたるとされた事例には、睡眠・飲酒酩酊のほか、著しい精神障害や、知的障害によって被害者が行為(性交等)の意味を理解できない場合などがあります。
抗拒不能にあたるとされた事例には、行為自体は認識しているものの、それが医療行為であると誤信していた場合など、勘違いによって抵抗する意思を失っている場合などがあります。
また、心神喪失や抗拒不能な状態を作るのに暴行・脅迫を用いた場合は、準強制性交等罪ではなく強制性交等罪の成立が考えられます。
次に、性交等についてです。
準強制性交等罪の「性交等」とは、性交、肛門性交または口腔性交を指します。
ちなみに、相手方が13歳未満の者の場合は、暴行・脅迫がなく、または双方の同意があったとしても強制性交等罪を構成します(刑法177条後段)。
今回の場合ですと、AさんがVさんを相手に性交に及んでしまった時点でVさんは酔って熟睡しています。
Vさんは心神喪失にあたり、Aさんはそれに乗じて性交に及んでいますので、準強制性交等罪にあたりそうです。
【準強制性交等事件の弁護活動の方針】
改正前の準強姦罪は、被害者(またはその法定代理人等)の告訴がなければ起訴できない親告罪でした。
親告罪の場合ですと、被害者と示談や弁償をすることによって告訴されないようにする、あるいは告訴を取り下げてもらうことによって起訴を回避することができます。
しかし、準強制性交等罪への改正によって、告訴がなくても検察官が起訴できる非親告罪となりました。
それでも、被害者が告訴しているかどうかは、検察官が起訴するかどうかを決めるうえで重要な要素となっています。
そのため、準強制性交等事件の弁護活動としては、被害者との示談締結が効果的といえます。
被害者が告訴する前に示談を締結することができれば、事件の内容や示談内容、タイミングによってはそもそも刑事事件化を避けられる場合もあります。
また、警察等の捜査当局に告訴された後であっても、起訴前に示談をすることによって被害者に告訴を取り下げてもらうことができれば、不起訴獲得の可能性も出てきます。
Aさんの場合、Vさんから警察へ被害届の提出はありますが、被害届はあくまで被害にあったことを申告するもので、処罰を求める性質はありません。
もっとも、被害届を提出する場合は被害者が犯人を見つけ出したいと思っていたり、さらには犯人を処罰してほしいと思っている場合が多いことも事実ですので、早急な対応が必要です。
可能な限り早く弁護士を通じて被害者に謝罪することによって、被害者感情を抑えることができ示談できる可能性があるので、このような事件でお困りの方は、一刻も早く刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
ご家族やご友人が準強制性交等罪によって逮捕されてしまった方、京都府川端警察署の捜査対象となってしまって困っている方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。
捜索差押時にパスワード聞き出し黙秘権侵害?②
捜索差押時にパスワード聞き出し黙秘権侵害?②
~前回からの流れ~
Aさんは京都市上京区内を走る電車内で、自身のスマートフォンを用いて乗客であるVさんのスカート内を盗撮しました。
VさんはAさんから盗撮されていることに気付いたため、Aさんが停車駅で降りようとした際に「この人盗撮してました」と大声で叫びました。
慌てたAさんはその場から逃走しましたが、事件の3日後、Aさんの自宅に京都府上京警察署の警察官が、捜索差押許可状を持ってやって来ました。
警察官は捜索差押許可状に基づき、Aさんの携帯電話を差し押さえました。
しかし、Aさんの携帯電話にはロックがかかっていたため、警察官はAさんに対しパスワードを質問し、Aさんは警察官に正直にパスワードを教えました。
警察官はそのパスワードをも用いてAさんの携帯電話のロックを解除し、Aさんの携帯電話内に多数の盗撮画像が保存されていることを発見しました。
そしてそれらの盗撮画像や動画を詳しく調べたところそのうちの1本の動画がVさんのスカート内を撮影していた物であることが判明しました。
本件でパスワードを教えた際にはAさんに対する警察官からの黙秘権の告知はありませんでした。
この直後に、警察官は逮捕状をAさんに示し、Aさんは京都府迷惑防止条例違反で通常逮捕されました。
Aさんの家族は直ちに刑事事件専門の弁護士事務所に初回接見を依頼し、接見に来た弁護士にAさんは上記経過について相談しました。
(この事案はフィクションです)
・パスワードを聞く際に黙秘権を告知しないことは違法?
前回の記事では、なぜパスワードを聞く際に黙秘権告知がないことが問題となりうるのか、そもそも黙秘権とは何か、といった点に触れていきました。
今回の記事では、具体的に今回の事案に沿って検討を行います。
本件のように、捜索差押中に黙秘権の告知を行わずパスワードを聞き出した事案につき裁判例があります(東京高裁平成31年2月19日決定)。
以下、その裁判例から引用を行います。
「そこで検討すると、上記のような捜索差押えの現場で警察官が質問する際に黙秘権告知を義務付ける規定はない上、上記質問の際、被告人が実際に逮捕されるなどして外部との連絡を絶たれて供述を迫られたり、警察官が被告人に供述義務があると積極的に誤信させたりした状況はなかったのであるから、本件捜査が違法であるとはいえず所論は採用できない」
裁判例では以上のように述べて、黙秘権の告知を行わなかったことは違法ではなかったと結論付けています。
したがって、本件のAさんのような場合でも違法を主張しても、違法性は認められない可能性が高いと思われます。
しかしながら、この裁判例でパスワードを聞き出すことが違法になる場合にも言及することには注目する必要があります。
すなわち、パスワードを聞き出す状況が「逮捕されるなどして外部との連絡を絶たれた状況」であるとか、「警察官が被告人に供述義務があると積極的に誤信させたりした状況」がある場合には、黙秘権を告知せずにパスワードを聞き出すことが違法であると判断される場合があることが考えられます。
本件に当てはめれば、聞き出した状況が何時間も周囲を複数人の警察官に囲まれ実質的に見れば逮捕されているのと変わらない状況であったり、一度はAさんがパスワードを答えることを拒否したにもかかわらず、警察官から「パスワードは伝えなければならない義務がある」と強く迫って言わせた場合には、黙秘権を告知せずパスワードを聞き出したことが違法と判断される可能性もあるといえます。
よって、黙秘権を告知しないことが違法になるかは、聞き出した際の警察官とのやり取りや当時の状況が重要であるということになります。
・初回接見の重要性
本件では、逮捕されたAさんのもとに直ちに弁護士が接見に向かっています。
逮捕されてから1回目の接見のことを初回接見といいます。
逮捕されれば、外部との連絡を遮断され、捜査機関の下に身体を置かれることになります。
したがって、初回接見は多くの場合逮捕された方が最初に外部の人と接触を持つ機会になります。
初回接見では、弁護士が事実を聴き取った上で、被疑者に黙秘権などの権利を説明します。
法律の専門家である弁護士が直ちに逮捕された方に面会することで被疑者を安心させるとともに、被疑者が適切に捜査機関に対し対応できるようにアドバイスをすることができます。
本件でも、弁護士が初回接見でAさんに面会したことで、黙秘権の説明を行い、Aさんが黙秘権を告知されないままパスワードを聞き出された違和感に気付くことができました。
本件では、違法と判断される可能性が低いケースでしたが、仮に具体例で挙げた違法と判断される可能性が高いケースでは迅速な証拠収集も重要になってきます。
警察官の対応が問題になるケースでは、直ちに逮捕された方から事情を聴き取った上で証拠化することが必要になります。人の記憶はどんどん薄れるのでスピードが重要になります。
刑事事件専門の弁護士であれば、捜査の違法が問題になるケースについても経験が豊富であり、被疑者から丁寧な聞き取りを行い、的確なアドバイスをすることができます。
また違法捜査が疑われる場合であれば、直ちに証拠化に動き、その後問題になる場合に備えることもできます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスのお問い合わせ・受付を24時間365日いつでも受け付けております(0120-631-881)。
土日祝日でも対応を行っていますから、逮捕直後から弁護士を手配することができ、今後の刑事手続きへ備えることが可能です。
「とりあえず弁護士の接見だけ」といったご相談でも結構です。
お気軽にお問い合わせください。
捜索差押時にパスワード聞き出し黙秘権侵害?①
捜索差押時にパスワード聞き出し黙秘権侵害?①
Aさんは京都市上京区内を走る電車内で、自身のスマートフォンを用いて乗客であるVさんのスカート内を盗撮しました。
VさんはAさんから盗撮されていることに気付いたため、Aさんが停車駅で降りようとした際に「この人盗撮してました」と大声で叫びました。
慌てたAさんはその場から逃走しましたが、事件の3日後、Aさんの自宅に京都府上京警察署の警察官が、捜索差押許可状を持ってやって来ました。
警察官は捜索差押許可状に基づき、Aさんの携帯電話を差し押さえました。
しかし、Aさんの携帯電話にはロックがかかっていたため、警察官はAさんに対しパスワードを質問し、Aさんは警察官に正直にパスワードを教えました。
警察官はそのパスワードを用いてAさんの携帯電話のロックを解除し、Aさんの携帯電話内に多数の盗撮画像が保存されていることを発見しました。
そしてそれらの盗撮画像や動画を詳しく調べたところそのうちの1本の動画がVさんのスカート内を撮影していた物であることが判明しました。
本件でパスワードを教えた際にはAさんに対する警察官からの黙秘権の告知はありませんでした。
この直後に、警察官は逮捕状をAさんに示し、Aさんは京都府迷惑防止条例違反で通常逮捕されました。
Aさんの家族は直ちに刑事事件専門の弁護士事務所に初回接見を依頼し、接見に来た弁護士にAさんは上記経過について相談しました。
(この事案はフィクションです)
・パスワードを聞き出したことは黙秘権侵害?
本件で法的に問題になることはいくつかありますが、この記事では警察官が本件のような場合に、黙秘権の告知を行わずにパスワードを聞きだしたことが違法かについて検討します。
まず、パスワードを聞き出したことの違法性が問題になる理由について説明します。
刑事裁判では「違法収集証拠排除法則」というルールがあります。
詳細な説明は省きますが、簡単に言えば捜査機関が違法に集めた証拠は、刑事裁判において事件の証拠として使えない場合があるというルールです。
現に裁判で「違法収集証拠排除法則」により、ある証拠が裁判での証拠として認められなかったために無罪になったケースもあります。
ここで、本当はある人が犯人であることを示す証拠があるのに、その証拠を裁判で使えないから処罰されないというのは正義に反すると思われる方がいるかもしれません。
しかし、日本の刑事事件では、適正なルールに基づいた捜査を経ているからこそ適正に処罰できるという考えに基づいており、違法に集めた証拠は裁判で証拠として使うことができない場合があるというルールが用いられているのです。
本件のような盗撮事件では、盗撮した画像や動画が重要な証拠となります。
したがって、これらが証拠として使えるかどうかはAさんの処分において重要な意味を持ちます。
ですから、本件でAさんが盗撮した画像や動画を発見した過程であるパスワードの聞き出し行為が違法かどうかが問題となるのです。
・黙秘権の告知
まず、一般的な黙秘権について説明します。
黙秘権は簡単に言えば、自分の意思に反して発言しなくてもよいという権利です。
憲法38条1項でも「何人も自己に不利益な供述を強要されない」とあり、黙秘権は憲法でも国民に保障された重要な権利であるといえます。
例えば、今回のパスワードを伝えることも、言いたくないとして黙秘権を行使し、何も言わないこともできたわけです。
そしてこの権利を保障するために、被疑者を取り調べる場合には黙秘権を告知しなければならないことが刑事訴訟法で定められています(刑事訴訟法198条2項)。
仮に黙秘権を告知しなければいけない場合に、黙秘権の告知がされていない場合には、被疑者の黙秘権を侵害したとして違法な捜査であるといえます。
本件では、取り調べの場面ではなく捜索差押の場面での黙秘権の告知が問題となっています。
本件のような場面で黙秘権を告知していないことが違法といえるかどうかにつき、次に検討していくことにします。
黙秘権という言葉は比較的一般に知られている言葉ですが、それが一体どういった権利でどのように使われるのか、また、どのような場合に侵害といえるのかはなかなか浸透していません。
だからこそ、少しでも疑問や不安を感じたら、刑事事件に詳しい専門家、弁護士に相談してみましょう。
刑事事件専門の弁護士が所属する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、24時間いつでもお問い合わせが可能です(0120-631-881)。
専門スタッフがお困りの方の状況それぞれに合った弊所弁護士によるサービスをご案内いたしますので、遠慮なくお電話ください。
京都府迷惑防止条例違反(痴漢)で勾留回避
京都府迷惑防止条例違反(痴漢)で勾留回避
京都府南丹市在住のAさんは,京都府南丹市内を走行中の電車内で,偶然乗り合わせたVさんのお尻を右掌で触りました。
Aさんは,Vさんに右手を掴まれ,電車が停車した駅の駅員に突き出されました。
駅員が通報し,Aさんは臨場した警察官と京都府南丹警察署まで任意同行された後,取調べを受け,痴漢行為を認めたため逮捕されました。
Aさんの妻は,京都府南丹警察署からAさんを痴漢事件の被疑者として逮捕したと聞き,急いで弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
~迷惑防止条例違反(痴漢)~
迷惑防止条例は,市民に迷惑を与えるさまざまな行為を禁止し,罰則を定めたもので,都道府県ごとに定められています。
迷惑防止条例では,性犯罪についても規定しており,いわゆる痴漢にも罰則が定められているので,痴漢をした場合,その痴漢事件の発生地の迷惑防止条例違反として刑事事件となりえます(なお,態様によっては各都道府県の迷惑防止条例違反ではなく,刑法上の強制わいせつ罪となる可能性もあります。)。
京都府の迷惑防止条例=京都府迷惑行為防止条例では,以下のようにして痴漢行為を禁止しています。
京都府迷惑防止条例3条
何人も,公共の場所又は公共の乗物において,他人を著しく羞恥させ,又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で,次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
(1) みだりに,他人の身体の一部に触ること(着衣の上から触ることを含む。)。
(2) みだりに,物を用いて他人の身体に性的な感触を与えようとすること。
(以下略)
Aさんは電車内でVさんのお尻を右の掌で触るという行為をしていますが,このAさんの行為はいわゆる痴漢であり,典型的な迷惑防止条例違反といえます。
そして,京都府の迷惑防止条例違反のうち,この痴漢行為に当てはまった場合には,「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」(京都府迷惑防止条例10条1項)となります。
ただし,常習としてこうした痴漢行為をしていたと認められた場合には,より重い「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります(京都府迷惑防止条例10条3項)。
なお,この常習であるかどうかは単に痴漢の余罪や回数が多いかどうかということだけではなく,前科前歴の有無や期間といった様々な事情から判断されます。
迷惑防止条例違反(痴漢)の法定刑は前述のとおりであり,他の犯罪と比較して軽い部類といえます。
しかし,現行犯であった場合やAさんのように被害者や目撃者がその場で駅員や警察へ通報したような場合には,逮捕されてしまうことも十分考えられます。
迷惑防止条例違反(痴漢)で逮捕されてしまった場合,何もしないでいると,勾留されてしまい,長期間身体拘束されてしまう可能性もありますが,特に現行犯逮捕のような場合には,弁護士が身柄解放活動をすることで釈放される場合も少なくありません。
ですから,こうした痴漢事件で逮捕されてしまった際には,なるべく早く弁護士に依頼して,刑事事件化や勾留を避けるために動くべきでしょう。
逮捕に引き続く身体拘束である勾留をするためには,被疑者に逃亡の可能性と証拠隠滅の可能性があることが必要です。
そのため,弁護士の活動としては,検察官や裁判所に対し,逃亡や証拠隠滅の可能性がないことを主張することが考えられます。
例えば,同居家族の監督が期待できること,被疑者に扶養家族がいること,被疑者が職場で責任ある立場にあること,被疑者と被害者が全くの他人であること,駅の1日の乗降客数が多く被害者に接触することは現実的ではないこと,被疑者が反省し謝罪の意思を有していること,示談が成立しそうであることなどの事情があれば,それらを的確に主張していくことになるでしょう。
また,弁護士は示談のために動き,被疑者に代わって被疑者に対して謝罪の意思を伝え,損害を賠償する示談交渉を行うこともできます。
電車内での痴漢事件では,被害者がどこのどなたかということが分からないことが圧倒的に多いです。
そのため,示談交渉をするには被害者の同意のもとに捜査機関から被害者の方の連絡先を教えてもらう必要がありますが,通常被疑者本人やその関係者に直接被害者の方の情報を教えるということは考えにくいです。
それは,痴漢行為を受けた被害者の方の恐怖感情や処罰感情が強いことも多く,その被害者の方が被疑者に個人情報を知られることをよしとしないことが多いためです。
だからこそ,弁護士を間に入れ,直接のやり取りをしなくてよい状況を作ることで示談交渉を受けてもらいやすくしていくことができるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は痴漢事件も含む刑事事件専門の法律事務所です。
京都府の痴漢事件にお困りの際は弊所弁護士までご相談ください。
のぞきで少年事件②
のぞきで少年事件②
~前回からの流れ~
Aくんは、京都市下京区の中学校に通っている15歳です。
ある日の下校途中、Aくんは自分の好みの女性がすぐそばのマンションの1階の部屋に入っていくのを目撃しました。
Aくんは女性のことが気になり、しばらくその姿を見ていると、ちょうどマンションの脇道部分に面している窓が風呂場の窓であることに気がつきました。
興味が出てきてしまったAくんは、その風呂場の窓の方へ行き、女性が風呂に入っている様子をのぞくようになりました。
後日、ついに女性がAくんののぞき行為に気づき、京都府下京警察署に通報しました。
その後の捜査でAくんがのぞき事件の犯人であることが発覚し、Aくんは京都府下京警察署に呼ばれることになりました。
Aくんの両親は寝耳に水のことで驚き、Aくんになぜそんなことをしたのか問い詰めましたが、Aくんはやましい気持ちがありなかなか両親に話すことができず悩んでいます。
そこで、AくんとAくんの両親は少年事件に精通している弁護士に相談し、のぞき事件への対応や、これからどういった活動をすべきなのかを相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・のぞき事件と住居侵入罪・建造物侵入罪
前回は、のぞき行為自体がどういった犯罪に抵触するのかについて取り上げましたが、のぞき事件では他にも犯罪が成立する可能性があります。
のぞきをするためにマンションの部屋やベランダ、敷地内に入っていたような場合には、住居侵入罪や建造物侵入罪が成立する可能性が出てくるのです。
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
住居侵入罪・建造物侵入罪は刑法の同じ条文に定められており、どこに侵入したかで罪名が変わります。
今回のようなのぞき事件の場合、女性の部屋やベランダに侵入したような場合は住居侵入罪が、マンションの敷地内に侵入したような場合は建造物侵入罪が成立すると考えられます。
これは、住居侵入罪や建造物侵入罪は、その住居や建造物の管理者の意思に反して侵入することで成立すると解されていることからで、マンションの個別の部屋やそれに付随するベランダはそこの住人が管理しており、そうでないマンションの共用部分や敷地内についてはマンションの管理人やオーナーが管理していることから、罪名が変化するのです。
こうした場合、示談交渉の相手も侵入した場所の管理者になるため、住居侵入罪となるか建造物侵入罪となるかでは示談交渉の相手も異なってくることにも注意が必要です。
また、住居侵入罪・建造物侵入罪については、実際にのぞき行為が達成されていなかったとしてものぞき目的で部屋内やベランダ内、マンションの敷地内に入っただけで成立してしまうことにも注意が必要となります。
・のぞきと少年事件
特に、今回のAくんがそうであるように、少年事件、とりわけ性犯罪にかかわるようなものでは、なかなか少年自身が家族に素直に話ができないケースも多く見られます。
実際にはやってしまったことに間違いがないにもかかわらず親の手前容疑を認められずに話がこじれてしまった、少年事件を起こした原因を正直に話すことができずに再犯防止のための対策が立てられなかった、というケースも少なくありません。
だからこそ、第三者である弁護士のサポートを受けながら少年事件に対応していくことで、スムーズな解決を目指すことができます。
親などの身近な人にはなかなか話しにくいことであっても、他人だからこそ打ち明けやすいというケースもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱ってきていますから、まだ発展途上の少年が当事者だからこそ悩むポイントも多い少年事件への対応も心得ています。
まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料法律相談は土日祝日も対応していますから、平日は仕事や学校があって相談しづらい、という少年やそのご家族の方でも安心です。
ご予約・お問い合わせも24時間いつでも受け付けていますから、遠慮なく0120-631-881までお電話ください。
のぞきで少年事件①
のぞきで少年事件①
Aくんは、京都市下京区の中学校に通っている15歳です。
ある日の下校途中、Aくんは自分の好みの女性がすぐそばのマンションの1階の部屋に入っていくのを目撃しました。
Aくんは女性のことが気になり、しばらくその姿を見ていると、ちょうどマンションの脇道部分に面している窓が風呂場の窓であることに気がつきました。
興味が出てきてしまったAくんは、その風呂場の窓の方へ行き、女性が風呂に入っている様子をのぞくようになりました。
後日、ついに女性がAくんののぞき行為に気づき、京都府下京警察署に通報しました。
その後の捜査でAくんがのぞき事件の犯人であることが発覚し、Aくんは京都府下京警察署に呼ばれることになりました。
Aくんの両親は寝耳に水のことで驚き、Aくんになぜそんなことをしたのか問い詰めましたが、Aくんはやましい気持ちがありなかなか両親に話すことができず悩んでいます。
そこで、AくんとAくんの両親は少年事件に精通している弁護士に相談し、のぞき事件への対応や、これからどういった活動をすべきなのかを相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・のぞき事件と軽犯罪法
のぞき事件の場合、その態様によっては成立する犯罪が分かれます。
上記のAくんのように他人の風呂場をのぞき見した場合、まずは軽犯罪法違反とされる可能性があります。
軽犯罪法1条23号では、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を軽犯罪法違反とすることが規定されており、これに違反すると、拘留又は科料に処せられる可能性があります(ただし、Aくんの事件は少年事件となるため、原則として刑罰を受けることはありません。)。
なお、この「拘留」は、1日以上30日未満刑事施設に収容される刑罰のことで、捜査段階で逮捕に引き続いて行われる身体拘束である「勾留」とは別物です。
そして、「科料」は1,000円以上1万円未満を徴収する財産刑です。
・のぞき事件と迷惑防止条例違反
今回のAくんのように他人の風呂場をのぞき見た場合は、先述のように、軽犯罪法違反事件とされるケースが多いです。
しかし、その一方で、のぞきをした場所や態様が違えば、成立する犯罪も変わる可能性があるのです。
例えば、デパートや公園など、不特定多数の人が出入りする、いわゆる「公共の場所」で他人の下着等に対してのぞきを行った場合、軽犯罪法違反事件ではなく、各都道府県に定めのある、迷惑防止条例違反事件とされる可能性もあります。
京都府の迷惑防止条例(京都府迷惑行為防止条例)では、以下のような規定があります。
京都府迷惑防止条例3条1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
1~3号 (略)
4号 みだりに、着衣で覆われている他人の下着又は身体の一部(以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
5号 みだりに、前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、又は着衣の中が見える位置に鏡等を差し出し、置く等をすること。
6号 みだりに、写真機等を使用して透視する方法により、着衣で覆われている他人の下着等の映像を見ること。
2項
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
2号 みだりに、前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、又は着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等をすること。
こうしたのぞき行為であった場合、以上の京都府迷惑防止条例違反となり、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(ただし、先ほど触れた通り、Aくんののぞき事件は少年事件として扱われるため、原則として刑罰が科せられることはありません。)。
このように、のぞき行為自体でも、その態様や状況で成立する犯罪が変わってきます。
少年事件では原則として刑罰を受けることはありませんが、成人の刑事事件の場合では刑罰の重さも異なってきますし、軽犯罪法違反なのか京都府迷惑防止条例違反なのかによって逮捕される可能性も異なってきます。
こうした違いやそれぞれに行うべき対応は、事案によって変わるものですから、まずは弁護士に相談し、適切な対応の仕方や見通しを聞いてみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、のぞき事件についてのご相談ももちろんお任せいただけます。
刑事事件・少年事件にお困りの際は、遠慮なく弊所弁護士にご相談ください。
ご来所いただいての法律相談は初回無料でご利用いただけます。
少年鑑別所での面会も弁護士へ
少年鑑別所での面会も弁護士へ
15歳のAさんは、京都市下京区で複数痴漢事件を起こし、京都府下京警察署に逮捕されました。
その後、釈放されたAさんでしたが、事件が京都家庭裁判所に送致されると、観護措置となることになり、少年鑑別所に収容されることになりました。
警察署から釈放されていたため、たいしたことにはならないと考えていたAさんとその両親は、少年鑑別所に収容となったことに不安を覚え、少年事件にも対応している弁護士に相談し、まずはAさんに面会に行ってもらうことにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・少年鑑別所
少年鑑別所とは、少年の資質や環境などを専門家が専門的に調査するための施設です。
少年事件を起こした少年が少年鑑別所に収容されるパターンは主に2つあります。
まずは、捜査段階=被疑者として警察や検察に捜査されている段階で行われる「勾留に代わる観護措置」となった場合です。
「勾留に代わる観護措置」となった場合、被疑者である少年の留置場所は、警察署の留置所ではなく少年鑑別所となります。
「勾留に代わる観護措置」とは、逮捕後の10日間、少年鑑別所に身体拘束をして捜査を行うもので、少年事件独特の手続きです。
この「勾留に代わる観護措置」となった場合、成人の刑事事件に見られるような勾留の延長は認められず、最大10日間の身体拘束期間の後は事件はすぐに家庭裁判所に送致されることになります。
そして、「勾留に代わる観護措置」の後、家庭裁判所に事件が送致された場合、次に説明する「観護措置」に自動的に切り替わり、引き続き少年鑑別所に身体拘束されることになります。
次に、事件が捜査機関から家庭裁判所に送致された後、「観護措置」となって、少年鑑別所に入ることになった場合です。
この場合の観護措置とは、通常4週間~8週間程度、少年鑑別所において、少年の性格等を専門的に調査するものを言います。
最初に触れた少年鑑別所の役割は、この「観護措置」の際に発揮されます。
「観護措置」中、少年は少年鑑別所に収容され、家庭裁判所調査官や少年鑑別所の技師等から調査されます。
・少年鑑別所での面会
少年事件を起こした少年が少年鑑別所に収容された場合、警察署で面会するのとは何が異なるのでしょうか。
まず、少年鑑別所では、警察署のようにアクリル板の仕切りなしで面会することが可能となります(ただし、少年鑑別所によっては、勾留に代わる観護措置の場合はアクリル板のある部屋で面会させる場所もあります。)。
少年本人と遮るものなくコミュニケーションを取ることができるため、ご家族にとっても少年にとっても、ストレスの少ない面会ができます。
また、警察署での一般面会は近親者以外も可能ですが、少年鑑別所での一般面会は、近親者や保護者に限られており、誰でも面会できるというわけではありません。
なお、面会時間が10分~20分と限られていたり、受付が平日の昼間のみであったりすることは、警察署での一般面会と同様です。
しかし、土日祝日の面会については、弁護士であっても予約が必要であったりできなかったりするため、そういった点では警察署等の留置とは異なります。
どちらにせよ、ご家族の面会の際には事前に少年鑑別所や警察署にその日・その時間帯の面会が可能かどうか確認されてから面会に向かわれることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年鑑別所への接見依頼も承っております(初回接見サービス)。
少年事件も多く取り扱う弁護士が、少年本人はもちろんそのご家族にも、丁寧にご相談に乗らせていただきます。
接見のご依頼は、0120-631-881までお問い合わせください。