京都府迷惑防止条例の改正~盗撮②

2019-12-18

京都府迷惑防止条例の改正~盗撮②

京都府迷惑防止条例の改正、特に盗撮行為に関する部分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市左京区にある観光客が利用するホテルの従業員です。
Aさんは自身の働いているホテルの客室に盗撮用の小型カメラを仕掛け、ホテルの利用客の下着姿や裸姿を盗撮していました。
しかしある日、ホテルの利用客であるVさんがAさんの仕掛けた盗撮カメラの存在に気づき、ホテルに報告し、そこからAさんの盗撮行為が発覚しました。
ホテルやVさんが京都府川端警察署に通報したことにより、Aさんは盗撮事件の被疑者として取調べを受けることになりました。
(※この事例はフィクションです。)

・ホテルの一室での盗撮行為は何罪?

前回の記事では、現在の京都府迷惑防止条例盗撮の規制を見ると、Aさんのような盗撮行為京都府迷惑防止条例違反とはならないと考えられるということに触れました。
では今回のAさんのような盗撮事件はどういった犯罪になるのかというと、刑法に規定されている建造物侵入罪や、軽犯罪法違反といった犯罪が考えられます。

刑法130条(建造物侵入罪)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

軽犯罪法1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
23号 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

建造物侵入罪は、簡単に言えばその建造物の管理者の意思に反して建造物に入ることで成立する犯罪です。
今回のAさんはホテルの従業員ではありますが、ホテルの利用客の盗撮をするためにホテルに立ち入り、その客室に盗撮カメラを仕掛けています。
Aさんがホテルの管理者からホテルへの立ち入りを認められているのは、あくまでホテルの従業員としての仕事をするためであり、盗撮をする目的であると分かっていればホテルへの立ち入りは認められていなかったでしょう。
こうしたことから、Aさんには建造物侵入罪が成立する可能性があるのです。

また、軽犯罪法では、正当な理由なく人の住居をひそかにのぞき見た者が軽犯罪法違反とされますが、ホテルの客室も、一時とはいえ利用客が起臥寝食に利用する場所ですから、人の住居といえます。
そこを盗撮することでのぞき見ていることから、Aさんには軽犯罪法違反の可能性も出てきます。

このように、Aさんのような京都府迷惑防止条例違反にならないような盗撮行為については、他の犯罪によってカバーされてきたのですが、Aさんの立場にある人がその盗撮行為がなされた建造物の管理者自身だった場合、「管理者の意思に反して建造物に立ち入っている」とはいえないことから建造物侵入罪の適用はできず、軽犯罪法違反の適用のみになることがありました。
もちろん、軽犯罪法違反とはいえ犯罪は犯罪ですし、前科もつきますが、他の盗撮行為に比べて軽い処罰となってしまうという批判もありました。

そこで、多様な盗撮事件に対応するために、各都道府県で迷惑防止条例を改正する動きが出てきました。
京都府もつい先日、その動きがあったのです。
次回の記事では京都府迷惑防止条例改正について詳しく触れていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、盗撮事件についてのご相談もお受けしています。
都道府県ごとに規定の違う迷惑防止条例だからこそ、なかなかわかりづらい部分もあります。
ぜひ一度、刑事事件専門の弁護士にご相談ください。