強制性交等未遂事件で子どもが逮捕された②

強制性交等未遂事件で子どもが逮捕された②

強制性交等未遂事件で子どもが逮捕されてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府亀岡市に住んでいるAさん(高校3年生)は、インターネットサイトでアダルトビデオを見るうちに、路上で女性を襲うという設定のアダルトビデオに魅力を感じるようになりました。
次第にアダルトビデオの内容のようなことを自分でやってみたいと思うようになったAさんは、ある日、京都府亀岡市内の路上を歩いていた女性Vさんを後ろから羽交い絞めにして路地裏に連れ込むと、Vさんの服を脱がせその体を触るなどしました。
Aさんは無理矢理性交をしようと嫌がるVさんの体を押さえて胸や臀部を触っていたのですが、Vさんが大声を上げて人を呼んだため、「このままでは見つかってしまう」と思い、その場から逃走しました。
後日、Aさんの自宅に京都府亀岡警察署の警察官がやってきて、Aさん自宅の家宅捜索を行うとともに、Aさんに逮捕状を見せました。
Aさんの両親は、自分たちの子どもが逮捕される事態となったことに驚き、警察官にAさんの容疑を聞きましたが、詳しく教えてもらえませんでした。
困ったAさんの両親は、刑事事件少年事件を取り扱う弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・強制性交等未遂罪から強制性交等致傷罪へ?

前回の記事で取り上げた通り、現段階でAさんが容疑をかけられているのは強制性交等未遂罪です。

しかし、実はこの後、Aさんが容疑をかけられる罪名が変更される可能性があります。

それが強制性交等致傷罪です。

刑法180条2項(強制性交等致死傷罪)
第177条、第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は6年以上の懲役に処する。

実は、Aさんの暴行によりVさんが負傷していた場合、Aさんの容疑が強制性交等未遂罪から強制性交等致傷罪に切り替わる可能性があるのです。
前回の記事で触れたように、AさんはVさんと性交等をするまでに至っていません。
しかし、強制性交等致傷罪を定める刑法180条2項の条文を見ると分かるように、強制性交等致傷罪強制性交等罪の犯人が被害者に傷害を与えた時だけでなく、「第177条(略)の罪の未遂罪を犯し」た者が被害者に傷害を与えた場合も強制性交等致傷罪が成立するとしています。
刑法第177条は先ほど挙げた通り強制性交等罪のことを指しますから、強制性交等未遂罪が成立する者も強制性交等致傷罪の主体となりえるのです。
そして、前回の記事で取り上げた通り、強制性交等未遂罪はたとえ性交等に取り掛かっていなかったとしても、性交等を目的とした暴行又は脅迫に取り掛かった段階で成立します。
すなわち、たとえ性交等に取り掛かっていない段階であったとしても、性交等を目的とした暴行又は脅迫を開始し、それによって被害者を傷害すれば、性交等は未遂であったとしても強制性交等致傷罪が成立することになるのです。

今回のAさんは、事件当日から時間が経って逮捕されていますが、事例の内容だけではVさんが怪我をしているのかどうかはわかりません。
ある程度時間が経ってから診断書が提出され、被害者が怪我をしていることが分かったということもあり得ますから、容疑をかけられている罪名が強制性交等未遂罪から強制性交等致傷罪に切り替わる可能性も視野に入れつつ、弁護活動を行うことが必要となるでしょう。

・弁護士の活動

未遂とはいえ、強制性交等罪は法定刑からも分かる通り非常に重い犯罪です。
少年事件の場合、原則として少年は刑罰によって処罰されることはありません。
少年事件の手続きでは、その少年の更生にはどういった処分が適切なのかが調査され、判断されます。
ですから、法定刑の軽重で一概にその処分が決まるというわけではありません。
しかし、これだけ重い刑罰が定められているほど重大な犯罪をしてしまうということは、それだけの原因が少年自身の内部やその周囲の環境にある可能性がある、と判断されることは十分考えられます。

だからこそ、少年による強制性交等事件では、その少年本人だけでなく、その周囲のご家族等が協力して更生のための環境づくりをしていく必要があります。
少年事件に強い弁護士がいれば、そのサポートを行うことができます。

例えば、被害者の方への謝罪は、少年自身やその家族がどういったことをしてしまったのか反省し受け止めることにつながると考えられますが、特に強制性交等事件のような暴力や脅迫をともなう性犯罪事件では、被害者の方へ直接連絡を取りお詫びをすることは非常に難しいです。
弁護士が間に入ることで、少しでも被害者の方の不安を軽減し、かつ少年やその家族の謝罪や反省を伝えられることが期待できます。
また、少年が再犯をしない環境づくりのためには、少年自身の反省だけでなく、その原因を探り対策を立てることも重要です。
第三者であり少年事件の知識・経験のある弁護士であれば、家族には相談しづらいことも相談しやすく、客観的なアドバイスをもらうことも可能です。
強制性交等事件で子どもが逮捕されてしまったら、まずは一度、少年事件に強い弁護士に相談されることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕されてしまった少年に弁護士が直接会いに行く初回接見サービスもございます。
未成年の少年が逮捕されてしまえば、その不安は大きいものでしょう。
弁護士が直接少年に会って、少年事件の流れやアドバイスを伝えることで、その不安を軽減することもできます。
まずはお気軽にお問い合わせください(0120-631-881)。

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