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京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件②

2019-05-06

京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件②

~前回からの流れ~
京都市中京区の高校に通っているA(17歳)は、3歳年下の妹にいたずらしようと思い、妹が寝ているときに、妹が着ていたパジャマを気付かれないように脱がせました。
パジャマを脱がせたところ、妹が下着を着けておらず、胸があらわになっており、ムラムラしたAは、妹が寝ていることをいいことに、妹の胸を揉みしだいてしまいました。
Aが胸を揉んでいるときに妹が起きてしまい、悲鳴を上げられたため、Aは胸を揉む行為をやめて妹に謝りました。
その場はそれで収まりましたが、次の日に妹が兄に胸を揉まれたことを学校で友達と話したところ、その友達が学校の先生に言ってしまい、学校の先生から児童相談所に通報され、妹は児童相談所に一時保護されることになってしまいました。
その後、児童相談所から通報を受けた京都府中京警察署の警察官がA宅に来て、Aは準強制わいせつ罪の容疑で通常逮捕されてしまいました。
Aの親は今後Aや妹がどうなってしまうのか知るため、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に弁護活動を依頼することにしました。
(フィクションです。)

前回の記事では、Aに成立する「準強制わいせつ罪」という犯罪について解説しました。
今回は、Aが20歳未満の少年であることから、少年事件の特色について触れていきます。

~少年事件の特殊性~

本件のAは17歳であり、未成年です。
未成年は法律上「少年」と呼ばれ、少年の起こした事件は「少年法」の適用を受け、「少年事件」と呼ばれます。

少年事件は、成人の事件とは異なった手続きがとられます。
たとえば、本件のAのように逮捕された場合、一般的に「勾留」と呼ばれる長期の身体拘束も引き続き受けることになりますが、少年を勾留する場合には、成人の事件での勾留の要件に加えて「やむを得ない場合」といえることが必要になります。

特に成人事件と少年事件の違いが大きく出るところは、①原則全件送致主義がとられていること②「調査」という手続きがあること③基本的に「保護処分」が下されることが挙げられます。
全件送致主義とは、成人事件では被害者と示談をするなどした場合、犯罪の嫌疑が十分である場合でも検察官が公訴提起をしない処分(不起訴処分)をすることができますが(「起訴便宜主義」といいます)、少年事件の場合にはこの起訴便宜主義がなく、犯罪の嫌疑がある場合には原則としてすべて家庭裁判所に送致しなければならないということを意味しています。
したがって、少年事件の場合には、犯罪の嫌疑がない場合を除き、仮に示談があったとしても家庭裁判所の判断を仰ぐことになります。

②「調査」とは、警察や検察といった捜査機関が行う「捜査」とは違い、主に「なぜその犯罪(非行)が行われたのか」という原因を探る手続きをいいます。
少年事件の場合、犯罪行為のことを「非行」と言いますが、少年法の建前として、少年の置かれていた環境に悪い面があり、その悪い面のせいで「非行」が発生したという考えをとっているため、悪い環境を探る必要があるために「調査」が必要となっています。
この「調査」には大きく分けて「在宅調査」と「観護措置」の2種類があります。
「在宅調査」は、身体拘束を受けずに調査されるものですが、「観護措置」は「少年鑑別所」というところに身体拘束されて調査を受けるものです。
観護措置は通常4週間とられることになります。

③「保護処分」とは、刑罰とは違い、前科にはなりません。
「保護処分」には、「少年院送致」、「児童自立支援施設などの施設送致」、「保護観察」という3種類があります。
「保護観察」以外はすべて身体拘束を受ける処分です。
このように、少年事件では、成人事件と違った手続きが多数あり、身体拘束期間も長くなりがちです。
そこで、早期の身体解放や、最終的な処分を軽くするためには専門的な知識を有した弁護士に依頼することが大切です。

~一時保護~

ここで、本件でAの妹は児童相談所に一時保護されています。
児童相談所の一時保護は法律上2か月とされていますが、更新ができるため、長期間にわたって児童相談所に保護され続けることになってしまう場合もあります。
本件のような場合、同じ家庭でAと妹は生活しており、Aの処分によっては、今後も妹と同じ空間で生活することになってしまうため、児童相談所の一時保護が長期化する可能性が十分にあります。
Aの処分等によって妹の一時保護の解除時期等も変わってくることになるため、やはり専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件も多く取り扱っており、早期の身体解放や軽い処分に向けた調査対応など実績のある弁護士が丁寧に活動します。
少年事件でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
(お問い合わせ:0120-631-881

京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件①

2019-05-05

京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件①

~事案~
京都市中京区の高校に通っているA(17歳)は、3歳年下の妹にいたずらしようと思い、妹が寝ているときに、妹が着ていたパジャマを気付かれないように脱がせました。
パジャマを脱がせたところ、妹が下着を着けておらず、胸があらわになっており、ムラムラしたAは、妹が寝ていることをいいことに、妹の胸を揉みしだいてしまいました。
Aが胸を揉んでいるときに妹が起きてしまい、悲鳴を上げられたため、Aは胸を揉む行為をやめて妹に謝りました。
その場はそれで収まりましたが、次の日に妹が兄に胸を揉まれたことを学校で友達と話したところ、その友達が学校の先生に言ってしまい、学校の先生から児童相談所に通報され、妹は児童相談所に一時保護されることになってしまいました。
その後、児童相談所から通報を受けた京都府中京警察署の警察官がA宅に来て、Aは準強制わいせつ罪の容疑で通常逮捕されてしまいました。
Aの親は今後Aや妹がどうなってしまうのか知るため、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に弁護活動を依頼することにしました。
(フィクションです。)

~準強制わいせつ罪~

準強制わいせつ罪」とは、心神喪失又は抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせてわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
一般に「強制わいせつ罪」という場合には、暴行脅迫を用いてわいせつ行為をすることが必要で、例外的に13歳未満の者に対してわいせつ行為をした場合には、暴行脅迫を用いなくても「強制わいせつ罪」となります。
しかし、「準強制わいせつ罪」は、暴行脅迫がなくても、抵抗ができない状態にある人にわいせつな行為をした場合に成立し、「強制わいせつ罪」と同様に扱われることになります。
したがって、抵抗ができないような状態にある人にわいせつな行為をした場合には、成人の場合、懲役6月以上10年以下の刑罰が法律上科せることになります。

本件のAは、妹が寝ていることに乗じて胸を揉むという明らかにわいせつな行為をしており、寝ている妹は抵抗ができない状態にあったということができるため、Aには「準強制わいせつ罪」が成立することになります。

~パジャマを脱がせた行為~

また、Aが寝ている妹のパジャマを脱がせた行為自体も、わいせつな行為と評価することができるといえるため、パジャマを脱がせた行為も「準強制わいせつ罪」当たる行為ということができます。

もっとも、パジャマを脱がせた段階では、Aはいたずらの目的しかなく、わいせつな目的があったといえません。
強制わいせつ罪」には、「わいせつな目的」が必要とされているのと同様に、「準強制わいせつ罪」にも「わいせつな目的」が必要です。
そこで、「わいせつな目的」がなかった場合、「準強制わいせつ罪」が成立しないと主張することが考えられます。

しかし、最近の最高裁判所の判断によれば、「強制わいせつ罪」の事例ではありますが、行為自体がわいせつな行為と評価できる場合にはわいせつな目的があったものということができると判断したものがあり、行為自体がわいせつといえるか微妙な場合のみ「わいせつな目的」の有無が問題となると評価できるような判断となっています。
そうすると、本件でパジャマを脱がせた行為は、一般的に女子の服を脱がせる行為はわいせつな行為と評価することができるため、「わいせつな目的」がなかったとしても、「準強制わいせつ罪」に問われる可能性があることになります。
この場合には、厳密に考えるとパジャマを脱がせた行為と胸を揉んだ行為それぞれに「準強制わいせつ罪」が成立することになりますが、実質的には一連の行為といえるため、これらを一つの行為として「準強制わいせつ罪」1個が成立することになると考えられます。
もっとも、厳密には2つの行為が行われているといえるため、量刑の判断においては、パジャマを脱がせていない場合に比べて重く判断される可能性があります。

そこで、パジャマを脱がせた行為については「準強制わいせつ罪」に当たらないと主張することが考えられます。
準強制わいせつ罪」に当たるかどうかは、上記の判例の評価も含めて非常に複雑で専門的な判断が必要になるため、専門家に判断をゆだねることが賢明です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱っており、このような判断についても専門的な知識を有した弁護士が、事案の内容を細かく聞き取り、しっかりと判断することができます。
準強制わいせつ罪にあたるかどうかでお悩みの方はぜひ一度弊所の弁護士までお問い合わせください。
京都府中京警察署までの初回接見費用:3万4,800円

滋賀県守山市で建造物等損壊・器物損壊事件③

2019-05-04

滋賀県守山市で建造物等損壊・器物損壊事件③

~前回からの流れ~
Aさんは、滋賀県守山市に住んでいます。
Aさんは、隣の家に住むBさんとの折り合いが悪く、日頃から小さなトラブルを頻繁に起こしていました。
ある日、Aさんは…
①Vさん宅に招かれた際、Vさん宅の部屋を仕切っているふすまを蹴り壊しました。
②Vさん宅の外壁を斧で殴りつける等して壊しました。
③Vさん宅の玄関の扉を金属バットでたたく等して壊しました。
Aさんは、通報を受けて捜査を開始した滋賀県守山警察署に逮捕されたのですが、まさか自分の家族が刑事事件の被疑者として逮捕されるとは思ってもいなかったAさんの家族は戸惑い、まずは詳しい話を聞きたいと、京都府滋賀県刑事事件を取り扱っている弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・2つの犯罪の弁護活動

前回の記事では、Aさんの①~③の行為にそれぞれ建造物等損壊罪器物損壊罪が成立するということを取り上げました。

刑法260条(建造物等損壊罪)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。

刑法261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

前々回の記事でも取り上げましたが、この2つの犯罪の大きな違いは「親告罪」であるかどうかという点です。
親告罪は、告訴がなければ起訴されない犯罪のことを言います。
告訴とは、犯罪被害の申告に加えて、犯人の処罰を求める申し出のことです。
なお、こちらも刑事事件の手続きでよく使われる「被害届」については、犯罪被害の申告のみを指します。
建造物等損壊罪は非親告罪といい、起訴に告訴を必要としない犯罪ですが、器物損壊罪は親告罪です。
ですから、器物損壊事件で被疑者となった場合には、起訴前に被害者と告訴を出さない、又は告訴を取り下げる内容の入った示談することができれば不起訴になるということになります。
そのため、器物損壊事件では早急な謝罪と示談交渉が求められます。

もちろん、建造物等損壊事件においても被害者への対応は非常に重要です。
器物損壊罪のように親告罪ではないにせよ、建造物等損壊罪も被害者の存在する犯罪ですから、被害者への謝罪や弁償ができているのかどうか、被害感情がどの程度であるのかといったことは処分を決めるに際して重要視されます。
そのため、親告罪のように起訴前に示談締結となったとしても必ずしも不起訴になるわけではないとしても、示談交渉を後回しにしてしまったりおろそかにしてしまったりということはおすすめできません。

また、建造物等損壊罪器物損壊罪のもう1つの大きな違いは、器物損壊罪には罰金刑の規定があるのに対して、建造物等損壊罪には懲役刑のみの規定となっています。
罰金刑の場合、100万円以下の罰金であれば略式手続という手続きを取ることができます。
略式手続が取られた場合には、公開の法廷に立つ必要はなく、罰金を支払うことで事件の終息となります。
罰金刑の規定がないということは、この略式手続を取ることができないということです。
先ほどあげたように、建造物等損壊罪には罰金刑の規定がありませんから、建造物等損壊罪で起訴されるということは公開の法廷に立ち、正式な刑事裁判を受けるということになるのです。
刑事裁判の弁護活動は早期から準備することでより充実したものになります。
先ほど触れた示談交渉も、起訴前に締結し、評価してもらうことができればそもそも刑事裁判になることを避けられる可能性が出てきますし、刑事裁判になったとしても有利に働く証拠として使うことができます。

今回のAさんのような、近所に住んでいる人同士のトラブルから刑事事件に発展したような場合には、もちろん事件の性質も関連しますが、被疑者と被害者の接触の可能性があるとして逮捕されてしまうことも考えられます。
逮捕されてしまえば当然家族にも会社にも自由に行き来することはできませんし、連絡を入れることもできません。
さらに、先述した示談交渉に取り掛かろうにも、被疑者本人は身体拘束されてしまっていますし、そうでなくともさらなるトラブルを起こしたくないという懸念や被害感情から連絡自体を断られてしまったり、当事者同士での話し合いによりさらにこじれてしまったりというケースも考えられます。
こうしたことから、建造物等損壊事件器物損壊事件では、早急に弁護士に相談することが必要であると言えます。
0120-631-881では、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専門スタッフが、弊所弁護士によるサービスのご案内を行っています。
逮捕されている方もそうでない方も、京都滋賀刑事事件にお困りの際はお気軽にお電話ください。

滋賀県守山市で建造物等損壊・器物損壊事件②

2019-05-03

滋賀県守山市で建造物等損壊・器物損壊事件②

~前回からの流れ~
Aさんは、滋賀県守山市に住んでいます。
Aさんは、隣の家に住むBさんとの折り合いが悪く、日頃から小さなトラブルを頻繁に起こしていました。
ある日、Aさんは…
①Vさん宅に招かれた際、Vさん宅の部屋を仕切っているふすまを蹴り壊しました。
②Vさん宅の外壁を斧で殴りつける等して壊しました。
③Vさん宅の玄関の扉を金属バットでたたく等して壊しました。
Aさんは、通報を受けて捜査を開始した京都府城陽警察署に逮捕されたのですが、まさか自分の家族が刑事事件の被疑者として逮捕されるとは思ってもいなかったAさんの家族は戸惑い、まずは詳しい話を聞きたいと、京都府滋賀県刑事事件を取り扱っている弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

前回の記事では、Aさんの行為に成立しうる2つの犯罪、建造物等損壊罪と器物損壊罪について取り上げました。

刑法260条(建造物等損壊罪)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。

刑法261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

今回の記事では、Aさんの①~③の行為がそれぞれと建造物等損壊罪器物損壊罪、どちらに当たりうるのでしょうか。

・①について

上記事例の①で、AさんはVさん宅の部屋を仕切っているふすまを蹴り壊しています。
家の中にある戸を壊していることから、建造物等損壊罪となるのではないかとも思えます。
しかし、建造物等損壊罪の「建造物」の一部であると言えるためには、毀損しなければ取り外しができない状態であることを要するとされています(大判明43.12.16)。
例えば、畳は一見建物の一部のように見えますが、取り外しが容易であることから「建造物」の一部とは認められません。

今回のAさんが破壊したのはふすまであり、ふすまは取り外しが容易であることから「建造物」の一部とは認められず、器物損壊罪が成立するにとどまると考えられます。

・②について

次に、上記事例の②について検討しましょう。
AさんはVさん宅の外壁を殴りつけるなどして壊しています。
①で見た条件を考えると、住宅の外壁は住宅から取り外すことはできませんし、Vさん宅が「建造物」であることは疑いようがありません。

こうしたことから、②ではAさんに建造物等損壊罪が成立すると考えられます。

・③について

③では、AさんはVさん宅の玄関の扉を壊しています。
①で取り上げたような考え方を使えば、玄関の扉は取り外しができるものであることから、「建造物」の一部とは考えられず、器物損壊罪が成立するように思われます。
しかし、実は建造物等損壊罪の「建造物」については、単純に取り外しできるかどうかだけで判断されるわけではありません。

「建造物」かどうかの判断の際には、その物がどれほど建造物と接合しているのか、その物が建造物の機能にとってどれほど重要なのかというったことが総合的に判断されます。
今回のAさんの③の行為のような、玄関の扉を壊した過去の事例では、玄関の扉は建造物の建物内と外界との遮断や防犯、防風、防音といった機能を担っていることから「建造物」の一部であると認められたものがあります(最判平19.3.20)。
ですから、今回の③についても、玄関の扉を破壊した行為については建造物等損壊罪が成立すると考えられるのです。

法律名からは違いが分かりやすいように思える建造物等損壊罪器物損壊罪ですが、法律の細かい解釈まで知っていなければ、どちらが成立するのが適当であるのか判断することは非常に難しいです。
だからこそ、建造物等損壊事件器物損壊事件の被疑者となってしまったら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。
弊所の刑事事件専門の弁護士が、成立する犯罪やそれに伴った手続き、見通しについて丁寧にご相談に乗らせていただきます。
(お問い合わせ:0120-631-881

滋賀県守山市で建造物等損壊・器物損壊事件①

2019-05-02

滋賀県守山市で建造物等損壊・器物損壊事件①

Aさんは、滋賀県守山市に住んでいます。
Aさんは、隣の家に住むVさんとの折り合いが悪く、日頃から小さなトラブルを頻繁に起こしていました。
ある日、Aさんは…
①Vさん宅に招かれた際、Vさん宅の部屋を仕切っているふすまを蹴り壊しました。
②Vさん宅の外壁を斧で殴りつける等して壊しました。
③Vさん宅の玄関の扉を金属バットでたたく等して壊しました。
Aさんは、通報を受けて捜査を開始した滋賀県守山警察署に逮捕されたのですが、まさか自分の家族が刑事事件の被疑者として逮捕されるとは思ってもいなかったAさんの家族は戸惑い、まずは詳しい話を聞きたいと、京都府滋賀県刑事事件を取り扱っている弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

Aさんは、隣の家に住むVさんの家に関連する物を壊したことによって逮捕されています。
今回の事例で成立が考えられる犯罪は、建造物を壊した時に成立する「建造物等損壊罪」と、物を壊した時に成立する「器物損壊罪」でしょう。
まずはこの2つの犯罪がどういった犯罪であるのか確認してみましょう。

・建造物等損壊

建造物等損壊罪は、刑法260条に規定されている犯罪です。

刑法260条(建造物等損壊及び同致死傷)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。
よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

建造物等損壊罪は、「建造物」か「艦船」を「損壊」した場合に成立する犯罪です。
この建造物等損壊罪の対象となる「建造物」とは、家屋やそれに類似する建築物を指すとされており、「建造物」と認められるには、屋外を有し障壁又は柱材で支えられて土地に定着し、その内部に人が出入りできるようになっていることが求められるとされています。
つまり、外塀や門については建造物等損壊罪の「建造物」とは認められないことになります。

そして、「損壊」とは、単純に物理的にその「建造物」を壊すということだけではなく、その効用を滅却・減損させることをいうとされています。
ですから、何かの建物を破壊した時はもちろん、その「建造物」の用途をなくさせたり、価値を下げてしまうようなことをしてしまったりすれば、建造物等損壊罪の「損壊」をしたということになります。
例えば、建物の外壁に大々的にペンキで落書きをしたような場合には、その建物の外観や美観を著しく損ねることになり、さらに原状回復に相当な困難を生じさせることから、その建物(「建造物」)の効用を減損させたとして建造物等損壊罪が成立する場合があります。

・器物損壊罪

器物損壊罪は、刑法261条に規定されている犯罪です。

刑法261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪の条文の「前3条」とは、先ほど触れた建造物等損壊罪と、公文書等毀棄罪、私文書等毀棄罪のことを指します。
つまり、この3つの犯罪の客体に当てはまらない「他人の物」を「損壊」又は「傷害」することで器物損壊罪が成立する、ということになります。
なお、この「他人の物」には、動産・不動産のほか、動物も含まれますから、他人のペットを傷つけたような場合にも器物損壊罪となります。

器物損壊罪のいう「損壊」は、先ほどの建造物等損壊罪でも類似の説明を行いましたが、物理的にその物を壊してしまうことのほか、物本来の効用を失わせることも含みます。
例えば、他人の食器に対して放尿した場合に器物損壊罪を認めた事例が見られます(大判明42.4.16)。
これは、食器に放尿するという行為によって、食器本来の効用である飲食に使用するということができなくなってしまう(洗ったとしても放尿された食器を使用して飲食するということは難しいと考えられる)ため、物の効用を失わせたと判断されたのです。

そして、器物損壊罪を考える上で重要な点の1つとして、器物損壊罪が親告罪であることが挙げられます。

刑法264条
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
(※注:刑法261条が器物損壊罪)

親告罪とは、告訴がなければ起訴できない犯罪のことで、告訴とは、被害者等の告訴権者が、捜査機関等に対して犯罪被害の申告に加えて、犯人への処罰を希望する申告を言います。
ですから、器物損壊罪については、告訴がなされる前に示談を締結して告訴を出さないようにしてもらうか、告訴が出されてから起訴されるまでの間に示談を締結して告訴を取り下げてもらうかすることによって、起訴されることなく、前科がつくことを回避することができます。

一見違いが分かりやすいように見える2つの犯罪ですが、実はAさんのような事例の場合、どのような判断がなされるかは専門知識が必要となってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件について、自分が犯してしまった犯罪が何なのか、またどういった時に成立するどういった犯罪なのか、ということから、その犯罪での弁護活動はどういったものが考えられるのか、見通しはどういったものなのか、というところまで、刑事事件専門の弁護士が丁寧にお答えいたします。
京都府滋賀県刑事事件にお悩みの際は、まずは一度、弊所弁護士までご相談ください。
次回の記事では、Aさんの①~③についてそれぞれ何罪が成立するのかを検討していきます。
滋賀県守山警察署までの初回接見費用:4万1,200円)

大麻バター所持で逮捕

2019-05-01

大麻バター所持で逮捕

京都府城陽市に住んでいる19歳のAさんは、大麻に興味を持っていました。
するとある日、インターネットで知り合ったBさんから、「大麻バターというものがあって、気軽に大麻を使える」という話を聞きました。
インターネットで大麻バターのことを調べたAさんは、大麻バターは合法だと書いてあるホームページも見受けられたし、大麻バターであれば大麻草自体を所持するわけではないのだから大丈夫だろうと思い、Bさんから大麻バターを購入し、使用していました。
しかしある日、京都府城陽警察署の警察官がAさんの家に家宅捜索に訪れました。
そこでAさんの所持していた大麻バターは押収され、Aさんは大麻取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・大麻バター

大麻バターとは、大麻成分を含むバターのことで、その成分からカンナビスバターなどとも呼ばれることがあるようです。
大麻草にはカンナビノイドという化学物質が含まれており、このカンナビノイドという化学物質が、大麻を利用した際に多幸感をもたらすなどの精神作用を与えると言われています。
そのカンナビノイドという大麻成分は、油に溶ける性質を持っているため、この性質を利用してバターに大麻成分を溶け込ませたのが大麻バターです。
大麻バターは通常のバターと同様、食事に利用することで用いられ、そうして大麻を摂取するのです。

一般的に広まっているイメージとしては、乾燥させた大麻をパイプなどで喫煙することによって摂取するイメージが強いかもしれませんが、大麻バターのような大麻草そのものではなく、大麻入り食品を摂取することで大麻を使用するケースもあるのです。
大麻バターの他にも、大麻成分を油に溶け込ませた大麻オイルや、そもそも大麻自体を食品に混ぜる大麻クッキーなどがあると言われています。

・大麻入り食品と大麻取締法違反

さて、今回のAさんは大麻バターという大麻成分の入った食品を所持していたことによって、大麻取締法違反の容疑で逮捕されてしまったようです。
しかし、Aさんの考えていたように、大麻草そのものを持っていたわけではなくとも、大麻取締法違反となってしまうのでしょうか。
大麻取締法を見てみましょう。

大麻取締法1条
この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。
ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。

この条文によると、大麻取締法のいう「大麻」とは、大麻草そのものだけでなく大麻草を使用した製品のことも含んでいるということが分かります。
つまり、大麻草からバターに大麻成分を溶け込ませたものである大麻バターも、大麻取締法の規制対象である「大麻」に該当するということになるのです。

大麻取締法24条の2
大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。

ですから、大麻バターを所持することはこの大麻取締法24条の2に違反することになるのです。

ただし、今回のAさんは19歳であり20歳未満の少年であるため、原則的には少年事件として扱われることになり、刑罰を受けることは基本的にはありません。
しかし、Aさんの年齢が19歳であることから、手続き途中に成人し、刑事事件としての扱いに切り替わる可能性があることも注意が必要です。
今回のAさんの事案では、大麻取締法違反という犯罪の性質に注目した弁護活動はもちろんのこと、刑事事件としての手続きに切り替わる可能性のある少年事件としての弁護活動も意識しなければならないということです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件だけでなく少年事件も多く取り扱っています。
だからこそ、それぞれの犯罪の特色に注目した弁護活動も、刑事事件少年事件それぞれの特徴を抑えた弁護活動も可能です。
京都府滋賀県大麻取締法違反事件などの刑事事件少年事件逮捕にお困りの際は、弊所弁護士までご相談下さい。
京都府城陽警察署までの初回接見費用:3万8,200円)

京都市下京区のバイトテロ事件

2019-04-30

京都市下京区のバイトテロ事件

京都市下京区のコンビニ店でアルバイトをしていた大学生Aは,勤務中の深夜2時ごろ,商品のおでんを口に入れ,これを吐き出して容器に戻す様子を友人と撮影し,SNSにアップロードした。
後日,この動画をみた人物からの通報により事件が発覚し,Aは京都府下京警察署にて取り調べを受けることとなった。
Aはその日は帰宅を許されたが,後日複数回呼び出しをすると警察官から告げられ,今後自分がどのようになっていくのか不安を感じるようになった。
そこでAは,京都刑事事件に強い弁護士の無料法律相談を受け,今後の手続きや対応について詳しい話を聞いてみることにした。
(ニュース記事を基に作成したフィクションです。)

最近では,いわゆる「バイトテロ」と呼ばれる行為が話題となり,バイトテロについての報道がなされることも多いです。
バイトテロとは,和製英語であり,アルバイト従業員等が働いている店において悪ふざけ等をしている様子をSNS等で拡散することでいわゆる「炎上」状態となることを指しますが,炎上状態となることでその店や企業のイメージダウンとなってしまったり,賠償等の損害を負わせてしまったりすることからアルバイトによるテロ行為=「バイトテロ」と呼ばれているようです。

このバイトテロですが,犯罪となって刑事事件となることはあるのでしょうか。
特に今回のAの行為に注目し,Aのバイトテロ行為がどういった犯罪になりうるのか考えてみましょう。

・業務妨害罪

上の事例でAに成立する犯罪として,偽計業務妨害罪の成立が考えられます。
偽計とは人の不知や錯誤を利用することを言います。
そして,この犯罪における「業務を妨害」とは,業務を妨害する結果となる恐れが生じれば足りるとされており,実際に業務が妨害されていなくとも偽計業務妨害罪は成立します。

Aの場合,商品を口に入れてこれを吐き出して容器に戻す行為により,店全体がこのような行為をしている,この店の商品は全てこういった扱いを受けている,等と人々が錯誤し,店は客が来なくなるなどのおそれがあるため,「業務を妨害した」に当たると考えられます。

なお,業務妨害罪の罰則は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

・傷害罪

また,客が健康被害を訴えた場合などで,Aの行為によって客が食中毒などを起こした場合は傷害罪の成立が考えられます。
「傷害」とは,人の生理的機能を害することを指します。
生理的機能を害するということには,出血を伴うような分かりやすい外傷だけでなく,何かの中毒になるような症状を引き起こすことも含まれます。
ですから,被害者が食中毒を起こしたり,お腹を下したりすれば生理的機能を害したといえるのです。

そして,他人が口に含んだものは衛生的ではないと考えられるでしょうし,それを食した客が体調を悪くしてしまうことも一般的には予想しうる事態です。
そうしたことが予想される中,Aはあえて口に含んだ食品をそのまま戻すという行為をしたと認められれば,傷害罪の故意も認められることになるでしょう。
なお,傷害罪の罰則は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

・刑事事件に強い弁護士に相談

昨今,バイトテロとよばれる事件がニュースなどでしばしば取り上げられ,社会問題化しています。
そのため,バイトテロをしてしまって警察で取調べを受けた方などは,こうした事件の動向に詳しい弁護士に相談し,解決を目指すことをお勧めいたします。

また,事件の内容によっては,示談交渉をすることで不起訴となり,前科が付かずに済むこともありますから,やはりまずは刑事事件に詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします。
被害者との間で示談を成立させることで被害感情のおさまりを主張することができれば,不起訴となり,前科が付かなくて済む場合があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士初回法律相談を無料でおこなっております。
無料法律相談のご予約は0120-631-881にて24時間受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

飲酒の上で傷害事件③

2019-04-29

飲酒の上で傷害事件③

~前回からの流れ~
滋賀県草津市に住むAさんは、友人たちとの飲み会をした後、自宅に帰るためにバスに乗り込んだところ、酔っぱらって眠ってしまった。
Aさんが目を覚ますと滋賀県草津警察署の警察官に囲まれており、バスの終点でAを起こそうとした運転手Vさんに対し、「俺の眠りを邪魔するな」等と言いながら殴りかかり、怪我を負わせたとのことだった。
Aさんは「酔っていて何も覚えていない」と警察官に話したところ、傷害罪の容疑で逮捕されてしまった。
Aさんは、滋賀県草津警察署に引致されたところで、家族の依頼によってやってきた、京都府滋賀県刑事事件に対応している弁護士と面会することになった。
Aさんは弁護士に、飲酒によって何も記憶がないが、今回の傷害事件がどういった風に進んでいくのか相談することにした。
(フィクションです。)

前回の記事では、記憶をなくすほど飲酒をして酔っ払っていたAさんにも責任能力が認められ、傷害罪が成立する可能性があることについて触れました。
今回は、Aさんのように飲酒した際に酔っ払って傷害事件を起こしてしまったような場合に考えられる弁護活動について詳しく取り上げていきます。

・飲酒時の傷害事件での弁護活動

1 取調べ対応
まず、自分の犯行を思い出せない場合には、そもそも冤罪である可能性があるので、警察官の取調べに対し安易に事実を認めるのは危険です。
また責任能力は、前回の記事で述べたように様々な要素を総合的に考慮する、極めて専門的な判断になります。
ですので、気付かないうちに誘導されてしまい、自分の認識とは異なる不利な事実を認める調書を作成されてしまう場合もあります。
取調べのプロと相対する捜査機関での取調べにおいて、逮捕された方が自分一人で適切に答えるのは非常に難しいと言えます。

したがって、逮捕された場合には、どれだけ早くすぐに弁護士が接見し、逮捕された方の認識などを聴き取って、どのように取調べに対応すれば自分の言い分をきちんと伝えられるのかといったアドバイスをできるどうかかが重要になります。
逮捕直後から取調べは行われるので、弁護士の接見は早いに越したことはありません。

2 示談
飲酒して自分の犯行を覚えていないという事件では、被害者の方の話に加えて、防犯カメラなどの客観的証拠が重要になってきます。
特に防犯カメラの映像などは、逮捕直後には見せられず、捜査の進行にしたがってこれらの証拠を見せられ、自分の犯行状況を確認することもあります。

そして、覚えていないが自分の犯行に間違いなく、責任能力を争うことも難しいとなった場合には、被害者の方と示談することを目指していくことが考えられます。
被害者の方に賠償金を支払い、示談を締結することで、身体拘束から早期に解放される可能性を高めたり、最終的に不起訴となる可能性を高くすることができるので、飲酒によってはっきり事件の事を覚えていないとしても、示談は非常に重要になります。

しかし、飲酒により犯行を覚えていない場合には、そもそも積極的に示談を進めるかどうかについても、逮捕された方に見せられる証拠や供述などを分析した上で慎重な判断が求められます。
また、被疑者と被害者という当事者同士では、被害者との接触が許されない、感情的になり法外な賠償の要求を受けるなど、示談交渉をしたいはずであったのにトラブルになることもあります。
ですので、示談を検討する場合には同種の事件を多く経験している、刑事事件を専門に扱う弁護士に依頼することをお勧めします。

0120-631-881では、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士によるサービスについてのお問い合わせやお申込みを24時間365日いつでも受け付けています。
飲酒していた家族が夜中に逮捕されたと連絡がきた、飲み会から帰ってこなかった家族が逮捕されてしまったと聞いた、というようなときも、24時間いつでもお問い合わせが可能だからこそ、すぐにご連絡いただけます。
京都滋賀飲酒時の刑事事件にお悩みの際は、弊所弁護士までご相談ください。
責任能力の問題等複雑な事情の絡む刑事事件でも、刑事事件専門だからこそ、丁寧にご説明いたします。
滋賀県草津警察署までの初回接見費用:37,300円)

飲酒の上で傷害事件②

2019-04-28

飲酒の上で傷害事件②

~前回からの流れ~
滋賀県草津市に住むAさんは、友人たちとの飲み会をした後、自宅に帰るためにバスに乗り込んだところ、酔っぱらって眠ってしまった。
Aさんが目を覚ますと滋賀県草津警察署の警察官に囲まれており、バスの終点でAを起こそうとした運転手Vさんに対し、「俺の眠りを邪魔するな」等と言いながら殴りかかり、怪我を負わせたとのことだった。
Aさんは「酔っていて何も覚えていない」と警察官に話したところ、傷害罪の容疑で逮捕されてしまった。
Aさんは、滋賀県草津警察署に引致されたところで、家族の依頼によってやってきた、京都府滋賀県刑事事件に対応している弁護士と面会することになった。
Aさんは弁護士に、飲酒によって何も記憶がないが、今回の傷害事件がどういった風に進んでいくのか相談することにした。
(フィクションです。)

前回の記事では、犯罪が成立するためには、犯罪の構成要件を満たす行為をしていて、その行為が違法であり、さらに責任能力が必要であることに触れました。
そして、Aさんは、刑法の傷害罪の構成要件に当てはまる行為をしてしまっています。
しかし、Aさんは記憶をなくすほど飲酒をして酔っ払っていますから、犯罪が成立するための責任能力があるのか疑問に思われる方もいるでしょう。
今回は、この責任能力について詳しく取り上げます。

・責任能力

刑法で責任能力について定める条文は以下の通りです。

刑法第39条(心神喪失及び心神耗弱)
①心神喪失者の行為は、罰しない。
②心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

心神喪失は簡単に言えば、「精神の障害により行為の是非や善悪を判断する能力がない状態」をいいます。
それに対して心神耗弱は、「精神の障害により行為の是非や善悪を判断する能力が著しく減退した状態」をいいます。
そして、精神の障害の典型例としては、統合失調症やアルコール中毒、薬物中毒が挙げられます。

次に、心神喪失や心神耗弱が認められた場合の効果について説明します。
心神喪失の場合には「罰しない」(刑法39条1項)と定められています。
これは、責任能力が認められず、犯罪が成立しないことを意味します。
これに対して、心神耗弱の場合は「減軽する」(刑法39条2項)とあるので、犯罪が成立した上で、どのくらいの刑罰を科すのかという量刑の部分で考慮されなければならないことになります。

したがって、本件Aさんの場合でも、アルコールによる精神障害により「心神喪失」であると判断されれば、傷害罪が成立しない可能性もあります。
では、Aさんについては、心神喪失であるか、心神耗弱であるか、または完全な責任能力が認められるかについてどのように判断されるのでしょうか。

・責任能力の判断方法について

一般に責任能力があるかどうかは、犯行当時の精神障害の状態、犯行前後の行動、犯行の動機、態様などを総合的に考慮して判断されます。

そして本件のように飲酒しての犯行であればどの程度酔っているかが重要な要素になると考えられています。

酩酊の程度については、一般的な酩酊状態である「単純酩酊」と、それを超える程度の「異常酩酊」の状態があるとされます。
そして異常酩酊の中にも、激しく興奮して記憶が断片的になる「複雑酩酊」と、意識障害があり幻覚妄想などによって理解不能な言動が出てくる「病的酩酊」の二つの状態があります。
これはあくまで判断の目安に過ぎず、それぞれの境界は明確ではありません。
しかし、一般的には、単純酩酊であれば完全な責任能力が認められる、すなわち刑法39条のいう「心神喪失」や「心神耗弱」には当たらないとされることが多いです。
そして、複雑酩酊の場合は心神耗弱状態、病的酩酊の場合には心神喪失と認められる可能性が高いと言われています。

では、飲酒の際の暴行を覚えていなければ直ちに異常酩酊であると認められるかというとそうではなく、様々な事情が総合的に判断されます。
したがって、それまでの行為に至るまでの理由や犯行後の行動に何か異常であると認めらる事情がなければ、「単純酩酊」状態であるとされ、責任能力は認められると思われます。
本件であれば、バスの運転手Vさんに起こされたことに腹を立てて、殴りかかるという行動は、是非はともかくとして理由があり、異常とまではいえず、Aさんの責任能力が肯定され、Aさんには傷害罪が成立する可能性が高いと言えます。

このように、責任能力について検討するためには、専門的な知識と事案を照らし合わせていかなければならず、非常に難しいです。
飲酒時の刑事事件では、被疑者本人の記憶があいまいなために、どのように争うべきか、どういった弁護活動をすべきか分かりづらいことも多いですから、こうした刑事事件で逮捕されてしまったら、まずは専門家の弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、24時間いつでも0120-631-881でお問い合わせを受け付けています。
突然の逮捕の知らせにお困りの際や、責任能力についての専門家の意見を聞きたいという際には、お気軽にご連絡ください。
滋賀県草津警察署までの初回接見費用:37,300円)

飲酒の上で傷害事件①

2019-04-27

飲酒の上で傷害事件①

滋賀県草津市に住むAさんは、友人たちとの飲み会をした後、自宅に帰るためにバスに乗り込んだところ、酔っぱらって眠ってしまった。
Aさんが目を覚ますと滋賀県草津警察署の警察官に囲まれており、バスの終点でAを起こそうとした運転手Vさんに対し、「俺の眠りを邪魔するな」等と言いながら殴りかかり、怪我を負わせたとのことだった。
Aさんは「酔っていて何も覚えていない」と警察官に話したところ、傷害罪の容疑で逮捕されてしまった。
Aさんは、滋賀県草津警察署に引致されたところで、家族の依頼によってやってきた、京都府滋賀県刑事事件に対応している弁護士と面会することになった。
Aさんは弁護士に、飲酒によって何も記憶がないが、今回の傷害事件がどういった形で進んでいくのか、自分はいったいどうなってしまうのか相談することにした。
(フィクションです。)

さて、事案のAさんは、飲酒して酔っ払った際に傷害事件を起こしてしまい、刑事事件の被疑者として逮捕されてしまったようです。
しかし、Aさんには飲酒の影響で事件当時の記憶が全くないようです。
飲酒によって酔っ払い、記憶のない状態で起こしてしまった刑事事件でも、Aさんは傷害罪に問われることになるのでしょうか。
今回の事案では、Aさんが飲酒により覚えていないだけで、AさんからVさんへの暴行は間違いなくあったという前提で説明していきます。

・犯罪が成立するには

まず、AさんがVさんを殴って怪我をさせた行為については、傷害罪(刑法204条)が成立します。

刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法は、傷害罪の他にも多くの犯罪の構成要件について定めています。
よく刑事事件で出てくる「構成要件」とは、簡単に言えば、その要件を満たせば原則として犯罪が成立するというものです。
例えば、傷害罪の構成要件は、「人の身体を傷害した」という部分であり、この構成要件を満たすことで原則として傷害罪が成立するということになります。

ここで「原則として」と説明したのは、構成要件をすべて満たしていても犯罪が成立しない場合が刑法に定められているからです。
具体的には、刑法において犯罪が成立するためには、具体的な行為が①犯罪(刑法には限りません)の構成要件を満たし、②その行為が違法であり、③その行為を行ったことについて責任があることが必要です。
③の責任がある場合を言い換えれば、報道などでも使われることのある言葉ですが、「責任能力」があるということになります。
Aさんは飲酒によって記憶をなくすほど酔っぱらっていたことから、この「責任能力」について欠けているのではないかと考えられる方もいるかもしれません。
次回の記事では、この責任能力とAさんの事案について詳しく説明していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒時の刑事事件についてのご相談・ご依頼も多く承っております。
Aさんのような、酔っ払って刑事事件を起こし、逮捕されてしまった後に酔いがさめて気が付いた、という刑事事件のケースも少なからず見られます。
そうした場合、ご本人はもちろん、ご家族など周囲の方も、刑事事件の詳細や逮捕の経緯が把握できずに大きな不安を抱えられることも多いです。
弊所では、刑事事件専門の弁護士がお申込みから24時間以内に逮捕された方の元へ向かい、ご依頼者様に報告する初回接見サービスをご用意しています。
京都滋賀飲酒時の刑事事件やその逮捕にお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談下さい。
(お問い合わせ:0120-631-881

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