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不倫発覚から刑事事件~ほう助犯
不倫発覚から刑事事件~ほう助犯
~前回からの流れ~
京都府向日市に住んでいるAさんは、ある日、夫のBさんと知人であるVさんが不倫していることを知りました。
Aさんは怒り心頭となって、Vさんを自宅に呼び出すと、「今回のことを許してほしいと思うなら払えるだけ慰謝料を支払え。そうでなければVさんの職場にでも近所にでも不倫のことをばらまいてそれ相応の代償を払ってもらうから」と言い放ちました。
Vさんが「今は手持ちのお金がない」と言ったところ、Aさんは「では車でATMまで連れて行くからそこでお金をおろして支払え」と言い、Vさんを車に乗せると近くのATMまで連れていき、そこでVさんに預金を引き出させ、慰謝料として300万円を支払わせました。
Aさんの夫であるBさんは、一連の出来事の最中ずっとAさんのそばにいましたが、Aさんの剣幕を見て、特に止めることもせずに黙ってみていました。
その後、Vさんが京都府向日町警察署に相談したことから、Aさんは恐喝罪と監禁罪の容疑で逮捕されてしまいました。
そして、Bさんも恐喝罪と監禁罪のほう助の容疑で話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
・ほう助犯
前回までの記事では、Aさんを中心に恐喝・監禁事件を検討してきました。
今回の記事では、Bさんについて考えていきます。
Bさんは、恐喝罪と監禁罪のほう助犯として警察か取調べを受けていますが、そもそも「ほう助犯」とはどういったことを指すのでしょうか。
刑法62条
正犯を幇助した者は、従犯とする。
いわゆるほう助犯は、刑法62条のこの条文に当てはまる人のことを指します。
「幇助」は「ほうじょ」と読み、その意味は、(犯罪行為を)実行することを容易にする行為を言います。
つまり、ほう助犯と言われた場合、ある犯罪をする人を手助けして、その犯罪行為の実行を容易にした、という疑いが欠けられていることになります。
このほう助犯のほう助という行為については、物理的方法でも精神的方法でも構わないとされています。
物理的な方法でいえば、殺人をしようという人に対して凶器を渡すようなことが考えられます。
対して精神的な方法でいえば、犯罪をしようとする人に対して激励をするようなことが考えられます(なお、激励などによって犯罪をする意思を促進したり強固にしたりした場合にはほう助犯ということになりますが、犯罪をするつもりのない人に新たに犯罪をする意思を生じさせた場合にはほう助犯ではなく「教唆犯」となります。)。
ここで今回のBさんを考えてみましょう。
Bさんは、AさんのVさんに対する恐喝罪と監禁罪のほう助犯の容疑をかけられているようですが、Bさん自身はAさんに加勢したり、何か道具を準備したりということはしていないようです。
黙って見ていただけのBさんにも、ほう助犯は成立する可能性があるのでしょうか。
ほう助犯は、先ほど確認したように、正犯(犯罪を実行する本人)の犯罪実行行為を容易にすれば成立します。
今回のBさんの場合、Aさんの行為を止めずに黙って見ていることによってAさんが恐喝行為や監禁行為をすることを容易にしていると捉えることができます。
そのため、Bさんに恐喝罪と監禁罪のほう助犯が成立する可能性が出てくるのです。
このように、「何もしない」ということをすることでほう助と判断される可能性があることに注意が必要です。
ほう助犯となった場合、正犯の受ける可能性のある刑罰よりも軽い範囲で刑罰を受けることになります(刑法63条)。
・Bさんの注意点
今回のBさんは、ほう助犯として取調べを受けることになっていますが、ここで注意すべき点があります。
それは、もしも取調べで自分の認識と違う発言をしてしまったり、そういった認識なく誘導に乗ってしまったりした場合、不当に重い犯罪の容疑をかけられてしまう可能性があるということです。
先ほど触れたように、ほう助犯は正犯よりも受ける可能性のある刑罰が軽くなります。
しかし、ほう助犯ではなく共犯(ここでいう「共犯」とは、単に一緒に犯罪に関わったという意味の「共犯」ではなく、犯行の共謀をしたり実行を一緒にしたりといった「共犯」を指します。)であるとされてしまえば、犯行を実行した正犯と同じ範囲で刑罰を科される可能性が出てくるのです。
そうなれば、本来受けるべき刑罰よりも不当に重い刑罰を受けてしまう可能性が出てきてしまうのです。
例えば、実はAさんと共謀して恐喝行為や監禁行為をしていたのではないか、Aさんの恐喝・監禁行為にもっと積極的に加担していたのではないか、と疑われ、取調べでも聞かれるかもしれません。
そうした際、自分の思う主張の通りに供述を行えなければ、知らず知らずの間に冤罪をかけられてしまうかもしれないのです。
これは恐喝・監禁事件に限らず、刑事事件全般に言えることです。
だからこそ、ほう助犯などの容疑をかけられてしまったら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件専門の弁護士までご相談ください。
取調べの対応の仕方から被害者の方への対応まで、刑事事件を専門に扱う弁護士が一貫してサポートを行います。
お問い合わせは0120-631-881までお電話ください。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。
不倫発覚から刑事事件~監禁罪
不倫発覚から刑事事件~監禁罪
~前回からの流れ~
京都府向日市に住んでいるAさんは、ある日、夫のBさんと知人であるVさんが不倫していることを知りました。
Aさんは怒り心頭となって、Vさんを自宅に呼び出すと、「今回のことを許してほしいと思うなら払えるだけ慰謝料を支払え。そうでなければVさんの職場にでも近所にでも不倫のことをばらまいてそれ相応の代償を払ってもらうから」と言い放ちました。
Vさんが「今は手持ちのお金がない」と言ったところ、Aさんは「では車でATMまで連れて行くからそこでお金をおろして支払え」と言い、Vさんを車に乗せると近くのATMまで連れていき、そこでVさんに預金を引き出させ、慰謝料として300万円を支払わせました。
Aさんの夫であるBさんは、一連の出来事の最中ずっとAさんのそばにいましたが、Aさんの剣幕を見て、特に止めることもせずに黙ってみていました。
その後、Vさんが京都府向日町警察署に相談したことから、Aさんは恐喝罪と監禁罪の容疑で逮捕されてしまいました。
そして、Bさんも恐喝罪と監禁罪のほう助の容疑で話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
・監禁罪
前回までの2つの記事では、Aさんにかかっている容疑の1つである恐喝罪という犯罪に着目しました。
今回の記事では、Aさんにかかっているもう1つの容疑である監禁罪という犯罪に注目していきます。
監禁罪は、刑法220条に規定されている犯罪です。
刑法220条(逮捕・監禁罪)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
逮捕・監禁罪は、被害者の行動の自由を奪う行為をする犯罪であり、人の身体・行動の自由を守るための規定であると言えます。
このうち、今回注目する監禁罪は、この刑法220条の後段部分、「不法に人を」「監禁」することで成立します。
監禁罪に言う「監禁」とは、一般に、人の身体を場所的に拘束し、その行動の自由を奪うことを言います。
つまり、ある場所からその人が脱出することを不可能もしくは著しく困難にすることによって「監禁」したと言えるのです。
今回のAさんは、この監禁罪に問われていますが、事例の中で「監禁」という単語に結びつくシチュエーションがなかなか分かりづらいと感じる方も多いのではないでしょうか。
実は、監禁罪の言う「監禁」とは、部屋や建物の中への監禁だけに限りません。
たとえ脱出の方法があったとしても、社会通念上人が脱出するのに困難を感じるような方法で行動の自由を奪っていれば、監禁罪の「監禁」になります。
例えば、過去の事案には、自動車を疾走させて脱出困難としたことに監禁罪を認めた事案(最決昭和30.9.29)や、走る原付バイクから降りられないようにしたことを監禁罪と認めた事案(最決昭和38年4月18日)などがあります。
これらを考えた上でAさんの事案を見てみると、Aさんは不倫の慰謝料を支払わせるために、Vさんを車に乗せてATMまで連れて行っています。
車に乗せられて発進されてしまえば、車がどこかに停車しない限り、車内から脱出することは一般的に困難と言えるでしょう。
こうしたことから、Aさんには、Vさんを車内に監禁したという監禁罪が成立しうるということなのです。
なお、監禁罪の成立には、一般に被害者が「自分は監禁されている」と認識していなくてもよいと考えられています。
冒頭で触れたように、監禁罪は行動の自由を保護するための規定であると考えられているため、「自由に行動できない」という状況がある以上、被害者の現実的な認識は不要であると考えられているのです。
・恐喝罪と監禁罪
今回のAさんは、恐喝罪と監禁罪の容疑をかけられていますが、仮にこの2つの犯罪が成立するとすれば、どれほどの刑罰を受ける可能性があるのでしょうか。
過去の事案では、恐喝罪と監禁罪は併合罪の関係にあるとされました(最判平成17年4月14日)。
併合罪とは、同一人物が起こした確定裁判を経ていない2つ以上の犯罪を処理する時の考え方です。
併合罪となった場合には、以下の刑法の規定にのっとって法定刑が決められます。
刑法47条
併合罪のうちの2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする。
ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。
今回の恐喝罪と監禁罪の場合であれば、最も重い刑は恐喝罪の「10年以下の懲役」であるため、その2分の1を加え、「15年以下の懲役」が恐喝罪・監禁罪が併合罪となった場合に受ける可能性のある刑罰の範囲となるのです。
恐喝罪と監禁罪は、どちらも懲役刑のみの規定という、非常に重い犯罪です。
態様や被害状況によっては刑事裁判となる可能性も高い犯罪ですから、すぐにでも弁護士に相談し、より早く弁護活動やその準備にとりかかってもらうことがおすすめされます。
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不倫発覚から刑事事件~恐喝罪②
不倫発覚から刑事事件~恐喝罪②
~前回からの流れ~
京都府向日市に住んでいるAさんは、ある日、夫のBさんと知人であるVさんが不倫していることを知りました。
Aさんは怒り心頭となって、Vさんを自宅に呼び出すと、「今回のことを許してほしいと思うなら払えるだけ慰謝料を支払え。そうでなければVさんの職場にでも近所にでも不倫のことをばらまいてそれ相応の代償を払ってもらうから」と言い放ちました。
Vさんが「今は手持ちのお金がない」と言ったところ、Aさんは「では車でATMまで連れて行くからそこでお金をおろして支払え」と言い、Vさんを車に乗せると近くのATMまで連れていき、そこでVさんに預金を引き出させ、慰謝料として300万円を支払わせました。
Aさんの夫であるBさんは、一連の出来事の最中ずっとAさんのそばにいましたが、Aさんの剣幕を見て、特に止めることもせずに黙ってみていました。
その後、Vさんが京都府向日町警察署に相談したことから、Aさんは恐喝罪と監禁罪の容疑で逮捕されてしまいました。
そして、Bさんも恐喝罪と監禁罪のほう助の容疑で話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
・不倫相手への慰謝料請求で恐喝罪?
前回の記事では、恐喝罪という犯罪について詳しく検討しました。
今回の記事では、Aさんが恐喝罪にあたるのかどうかについて考えていきます。
さて、今回のAさんですが、夫Bさんの不倫相手であるVさんに対し、慰謝料を請求しています。
ここで、「不倫相手に対して慰謝料を請求することは正当なことなのではないのか」とも思えます。
確かに、実際に不倫の事実があった場合には、不倫相手に対して慰謝料を請求できる場合があります。
しかし、問題はその請求等のやり方です。
過去の事案では、借金の取り立てについて恐喝罪の成否が争われたものがあります。
貸したお金を返してもらうことや、その催促をすることは正当な行為であるといえるでしょう。
しかし、その事案では、たとえ権利行使の手段として行った恐喝行為であったとしても、その権利の範囲内を超えた行為であったり、その権利行使の方法が社会通念上一般に認容すべきものと認められるべき程度を超えているような場合には、恐喝罪が成立するとされました(最判昭和30.10.14)。
つまり、不倫の慰謝料を請求するという正当な権利があったとしても、その方法次第では恐喝罪になってしまうおそれがあるのです。
今回のAさんの言動を具体的に見てみましょう。
Aさんは、「不倫を許されたければ慰謝料を払え。さもなくば職場や近所に不倫の事実を広める」という旨をVさんに伝えています。
職場や近所に不倫の事実を広められるということは、Vさんにとって自身の社会的評価を下げる可能性のあること=害を加えられることであるといえます。
ですから、Aさんは害悪の告知=脅迫という手段を用いてVさんに慰謝料=財物を要求していることになり、恐喝行為をしていることになります。
そしてAさんは、その脅し文句に基づき、Vさんから慰謝料として300万円を受け取っています。
不倫の事実を広めることを脅し文句に慰謝料を請求することは、社会通念上一般に認容すべきものとは言い難いでしょうから、Aさんには恐喝罪が成立する可能性が高いと考えられるのです。
京都府・滋賀県の刑事事件にお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談ください。
不倫のトラブルが絡んだ刑事事件では、その性質上、なかなか他人には相談しづらいでしょう。
しかし、弁護士が相手であれば、相談内容が漏洩する心配もありませんし、専門知識に基づいて見通しやアドバイスをもらうことができます。
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不倫発覚から刑事事件~恐喝罪①
不倫発覚から刑事事件~恐喝罪①
京都府向日市に住んでいるAさんは、ある日、夫のBさんと知人であるVさんが不倫していることを知りました。
Aさんは怒り心頭となって、Vさんを自宅に呼び出すと、「今回のことを許してほしいと思うなら払えるだけ慰謝料を支払え。そうでなければVさんの職場にでも近所にでも不倫のことをばらまいてそれ相応の代償を払ってもらうから」と言い放ちました。
Vさんが「今は手持ちのお金がない」と言ったところ、Aさんは「では車でATMまで連れて行くからそこでお金をおろして支払え」と言い、Vさんを車に乗せると近くのATMまで連れていき、そこでVさんに預金を引き出させ、慰謝料として300万円を支払わせました。
Aさんの夫であるBさんは、一連の出来事の最中ずっとAさんのそばにいましたが、Aさんの剣幕を見て、特に止めることもせずに黙ってみていました。
その後、Vさんが京都府向日町警察署に相談したことから、Aさんは恐喝罪と監禁罪の容疑で逮捕されてしまいました。
そして、Bさんも恐喝罪と監禁罪のほう助の容疑で話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
上記事例のように、不倫発覚からトラブルとなり、それが刑事事件となってしまった、というケースもまま見られます。
今回の記事から複数回、恐喝罪と監禁罪の容疑で逮捕されてしまったAさんと、ほう助犯として取調べを受けているBさんのケースについて取り上げていきます。
・恐喝罪
まず、Aさんが容疑をかけられている犯罪の1つである恐喝罪について詳しく見ていきましょう。
刑法249条(恐喝罪)
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
刑法を見てみると、恐喝罪については以上のように規定されています。
文面だけ見れば非常に短く単純なものではあるのですが、では具体的にどういったことが「恐喝」に当たるのかどうかということは、専門知識がなければ検討することは難しいです。
だからこそ、恐喝罪に限らず、犯罪の容疑をかけられた際には専門知識を有する弁護士に相談することが望ましいのですが、以下では簡単に恐喝罪の内容を説明します。
恐喝罪のいう「恐喝」とは、脅迫または暴行を用いて相手を畏怖させ、財物の交付を要求することを言います。
脅迫は害悪の告知(害悪を加えることの告知)、暴行は有形力の行使を言います。
この時、脅迫または暴行の程度が相手の犯行を抑圧しない程度であることが求められます(もしも相手の犯行を抑圧するほどの脅迫または暴行であった時には、恐喝罪ではなく強盗罪が成立することになります。)。
例えば、ナイフなどの凶器を手にして相手を脅迫し金銭を要求したような場合には、相手はそれに対して反抗することはできないと考えられますから、恐喝罪ではなく強盗罪が成立すると考えられます。
そして、恐喝して「財物を交付させた」とは、先述の恐喝行為によって畏怖した相手が処分行為をすることで、その財物の支配(占有)を得ることを言います。
つまり、恐喝罪が成立するには、恐喝行為と交付行為の間に因果関係がなければならないことになります。
例えば、恐喝行為を受けたものの、被害者が全く畏怖しておらず、逆に恐喝をしてきた者を憐れんで金銭を渡してやった、という場合には、恐喝行為と財物の受け渡しの間に因果関係がないことになりますから、恐喝罪は成立せず、恐喝未遂罪が成立するにとどまることになります。
なお、恐喝行為をしたものの、財物の交付まで達成されなかった場合には、恐喝未遂罪となります。
恐喝未遂罪となった場合には、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる」という刑法43条の規定により、恐喝罪が成立した時よりも刑罰が減軽される可能性があります。
では、今回のAさんはこの恐喝罪にあたるのでしょうか。
次回の記事で詳しく当てはめていきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、恐喝事件の取り扱いももちろん行っています。
逮捕されてしまっている方にも安心して、かつ迅速にご相談いただけるように、初回接見サービスなどのお問い合わせを24時間365日いつでも受け付けています(0120-631-881)。
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(京都府向日町警察署までの初回接見費用:3万7,200円)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
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爆破予告で威力業務妨害事件
爆破予告で威力業務妨害事件
Aさんは、京都市東山区にある商業施設に電話し、「商業施設内に爆弾をしかけた。今日の昼12時に爆破する」と爆破予告の電話をかけました。
商業施設は爆破予告を受け、京都府東山警察署に通報しました。
そして、商業施設の従業員や利用客を避難させ、爆発物の探索等が行われましたが、商業施設から爆発物は見つかりませんでした。
捜査の結果、爆破予告をしたのがAさんであることが判明し、Aさんは京都府東山警察署に威力業務妨害罪の容疑で逮捕されることとなりました。
(※令和元年5月8日産経新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・威力業務妨害罪
Aさんは、商業施設に爆破予告をしたことから、威力業務妨害罪の容疑で逮捕されています。
威力業務妨害罪は、刑法234条に規定されている犯罪です。
刑法234条(威力業務妨害罪)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
この「前条」とは、刑法233条の偽計業務妨害罪のことを指しています。
刑法233嬢(偽計業務妨害罪)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
つまり、「威力を用いて人の業務を妨害」して威力業務妨害罪となれば、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられるということになります。
威力業務妨害罪の「威力」とは、「犯人の威勢、人数及び四囲の状勢からみて、被害者の自由意思を制圧するにたりる勢力」を指すと言われています(最判昭和28.1.30)。
威力業務妨害罪と先ほど挙げた偽計業務妨害罪との違いとしては、威力業務妨害罪で用いられる「威力」が相手の意思を制圧してしまうものであるのに対し、偽計業務妨害罪で用いられる「偽計」は相手の錯誤(勘違い)を誘発するものであるという部分が挙げられます。
なお、どちらの場合においても、これらの犯罪が成立するには現実に相手が抑圧されたり錯誤に陥ったりされる必要はないとされています。
そして、威力業務妨害罪が保護している「人の業務」とは、人が社会的地位に基づいておこなう職業やその他継続して従事することを必要とする仕事を言います。
仕事や業務という言葉があるものの、「人の業務」は経済的な収入を得る目的のものでなくともよいとされています。
威力を用いてこの「人の業務」を妨害した者が威力業務妨害罪となるのですが、威力業務妨害罪の成立には、実際に業務が妨害されたという事実は不要であり、業務が妨害される危険が発生すればよいと考えられています。
・Aさんの威力業務妨害事件
今回のAさんの威力業務妨害事件を検討してみましょう。
Aさんは商業施設に爆破予告をしています。
爆破予告があったことで、商業施設としては利用客や従業員の安全のために、商業施設を通常通り営業することはできなくなりました。
今回のケースでは、爆破予告をすることで商業施設側の自由意思を制圧していると考えることができますから、たとえ実際に爆発物を仕掛けていなかったとしても、「威力」を用いていると考えることができます。
そして、爆破予告によって商業施設は通常営業をすることができなくなっていますから、「業務を妨害した」とも言えるでしょう(先ほど触れた通り、もしも商業施設が実際に営業を取りやめるといったことをしなくても、営業を妨げる危険が認められれば「業務を妨害した」と認められます。)。
以上のことから、Aさんには商業施設に対する威力業務妨害罪が成立すると考えられます。
加えて、今回のような場合には、商業施設に対する威力業務妨害罪だけでなく、警察に対する威力業務妨害罪が成立する可能性もあります。
爆破予告があったと通報があれば、警察は出動して警戒を強化する、爆発物の捜索をする等の対応をしなければなりません。
通常警察官が行っている仕事も業務妨害罪の「人の業務」ですから、爆破予告によって警戒を強化させることで本来の「業務」を滞らせた場合には、警察に対する威力業務妨害罪も成立する可能性があるのです。
爆破予告による威力業務妨害事件は度々報道される刑事事件ではありますが、このように、被害者が複数生じてしまうこともあります。
また、今回のAさんのように、複数の企業がテナントとして入っている商業施設などを対象として威力業務妨害事件を起こしてしまった場合には、示談交渉等を行う際にも交渉や検討が複雑化する可能性もあります。
だからこそ、威力業務妨害事件でお困りの際は、刑事事件に強い弁護士のフォローを受けることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、専門スタッフが24時間いつでも、相談者様に合ったサービスのご案内を受け付けています。
爆破予告等による威力業務妨害事件にお困りの際は、0120-631-881までお電話ください。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
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淫行で滋賀県青少年健全育成条例違反②
淫行で滋賀県青少年健全育成条例違反②
~前回からの流れ~
京都市に住んでいるAさんは、三重県に住んでいる女子高生Vさん(16歳)とスマートフォンアプリを通じて知り合い、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
AさんはVさんが16歳の女子高生であると知っていましたが、性交渉をすることを打診し、Vさんが了承したため、2人はホテルで性交渉をしました。
しかし、ホテルから2人で出てきたところを、巡回していた滋賀県甲賀警察署の警察官に職務質問され、AさんとVさんの関係が露見しました。
Aさんは滋賀県甲賀警察署に任意同行され、その後、滋賀県青少年健全育成条例違反(淫行)の容疑で逮捕されるに至りました。
Aさんの家族が依頼した刑事事件に強い弁護士は、すぐに逮捕されたAさんのもとに向かい、事件内容の把握をするとともに、取調べで注意すべき点を説明しました。
(※この事例はフィクションです。)
・淫行事件での取調べ
前回の記事では、Aさんが滋賀県の青少年健全育成条例違反(淫行)にあたるということを取り上げました。
上記事例では、Aさんは接見に訪れた弁護士から取調べで注意すべき点を説明されているようですが、淫行事件の取調べにおいて気を付けなければならないことはあるのでしょうか。
淫行事件に限らず、刑事事件を起こして逮捕されてしまった場合、取調べで何を供述するのか(又は供述しないのか)ということは非常に重要な点の一つです。
取調べで供述した内容から調書が作成され、裁判となった際にはその調書が証拠として使われる可能性があります。
この際、後から「やっぱり供述した内容は事実と異なる」と言っても、覆すことは簡単ではありません。
争いたいと思った事実があっても、取調べでの対応次第では意図しない形で争わないことになってしまっていたり、逆に認めているのに事実を争っているように捉えられてしまったりという可能性が出てきてしまうのです。
ですから、淫行事件を含む刑事事件では、取調べでどういった対応をするのかということが重要なのです。
この点を踏まえて淫行事件について考えてみましょう。
淫行をしてしまって取調べを受けるという際、青少年健全育成条例違反以外にも、容疑をかけられる可能性のある犯罪があります。
それが児童買春防止法違反という犯罪です。
児童買春は、18歳未満の児童に対価を供与したり、供与する約束をしたりして性交等をすること等を指します。
各都道府県で定められている青少年健全育成条例の対象となる「青少年」も18歳未満ですから、児童買春防止法の対象とする「児童」と重なることになります。
青少年健全育成条例違反は青少年に淫行をするだけで成立します。
対して、児童買春をしたと認められるには、児童に対価の供与やその約束をして性交等をする必要があります。
つまり、18歳未満の者と性交等をした場合に、対価の供与やその約束があったかどうかによって、淫行として青少年健全育成条例違反になるのか、児童買春防止法違反となるのかが分かれてくるのです。
では、淫行事件となるのか児童買春事件となるのかで何が変わってくるのでしょうか。
児童買春防止法4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
こちらの条文を見ていただければお分かりいただけるように、児童買春をしたことによる刑罰は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金と非常に重いものです。
前回取り上げた滋賀県青少年健全育成条例違反(淫行)の法定刑が1年以下の懲役又は100万円以下の罰金であることからも、その重さがよく分かります。
不当に重い刑罰を受けることを避けるためにも、淫行をしてしまった場合には、その事実をきちんと主張していく必要があるのです。
しかし、淫行事件なのか児童買春事件なのかを見極めるために、取調べでも対価の供与やその約束がなかったかどうかといった点は詳しく聞かれていくことが予想されます。
取調べに不慣れな被疑者は1人でその対応をしなければなりません。
あいまいに答えてしまったり、捜査員への印象を気にして定かでない部分についても認めてしまったりということで、後々不利になってしまう可能性もあります。
だからこそ、取調べに臨む際には、注意すべき点やその対応の仕方を専門家から詳しく聞いておく必要があるのです。
ですが、一般の方が逮捕されてしまった方に面会することは非常に難しく、さらに逮捕された被疑者自身も、取調べ前に何かで対応を調べて臨む、ということはできません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、そうした状況にもスピーディーに対応すべく、弁護士による初回接見サービスをご用意しています。
初回接見サービスでは、お申込みから24時間以内に刑事事件専門の弁護士が逮捕された方のもとへ向かい、接見(面会)、依頼者様へご報告いたします。
弁護士から直接アドバイスを聞けるため、取調べへの不安の解消にもつながります。
お申込み・お問い合わせは0120-631-881で24時間いつでも受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。
(滋賀県甲賀警察署までの初回接見費用:4万3,100円)

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淫行で滋賀県青少年健全育成条例違反①
淫行で滋賀県青少年健全育成条例違反①
京都市に住んでいるAさんは、三重県に住んでいる女子高生Vさん(16歳)とスマートフォンアプリを通じて知り合い、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
AさんはVさんが16歳の女子高生であると知っていましたが、性交渉をすることを打診し、Vさんが了承したため、2人はホテルで性交渉をしました。
しかし、ホテルから2人で出てきたところを、巡回していた滋賀県甲賀警察署の警察官に職務質問され、AさんとVさんの関係が露見しました。
Aさんは滋賀県甲賀警察署に任意同行され、その後、滋賀県青少年健全育成条例違反(淫行)の容疑で逮捕されるに至りました。
Aさんの家族が依頼した刑事事件に強い弁護士は、すぐに逮捕されたAさんのもとに向かい、事件内容の把握をするとともに、取調べで注意すべき点を説明しました。
(※この事例はフィクションです。)
・青少年健全育成条例違反(淫行)
今回のAさんは、16歳のVさんと知り合い、性交渉をしています。
こうしたケースでまず疑われるのが、各都道府県で規定されている青少年健全育成条例の中の、いわゆる淫行条例に当たることです。
各都道府県では、青少年(多くの都道府県で18歳未満の者と定義されています)の健全な成長を保護するために、青少年健全育成条例と呼ばれる条例を定めています。
滋賀県では、滋賀県青少年の健全育成に関する条例という条例が定められています。
この青少年健全育成条例の中では、青少年に淫行することを禁止する規定が定められていることが多く、その条文を指して淫行条例などと呼ばれたりもします。
滋賀県の場合、その24条に規定があり、罰則は27条1項に規定されています。
滋賀県青少年の健全育成に関する条例24条1項
何人も、青少年に対していん行またはわいせつな行為をしてはならない。
同条例27条1項
第24条第1項の規定に違反した者は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
Aさんについて考えてみると、滋賀県の青少年健全育成条例では、「青少年」のことを、6歳以上18歳未満の者(同条例10条より)としているため、16歳であるVさんは「青少年」であると言えます。
Aさんはそれを知りながらVさんと性交渉をしていますから、青少年に対して淫行又はわいせつな行為をしたとして、滋賀県青少年健全育成条例違反となりうるのです。
・どこの条例違反になる?
ここで注意すべきなのは、先ほど触れたように、青少年健全育成条例は各都道府県で定められているものであり、その内容は都道府県ごとに異なっているということです。
つまり、どの都道府県の青少年健全育成条例が適用されるかによって罰則の重さが変わったり、どの条文のどの部分に当たるかが異なったりする可能性が出てくるため、どの都道府県の青少年健全育成条例が適用されるのかということを分かっておくことは重要なのです。
例えば今回、Aさんの居住地は京都市、Vさんの居住地は三重県、2人が性行為をしたのは滋賀県甲賀市となっています。
青少年を保護する条例であるのだから、Vさんの居住地である三重県の条例が適用されるのではないか、Aさんが違反したのだからAさんの居住地である京都府の条例ではないか、と考える方もいるかもしれませんが、事例の通り、今回の場合には行為地である滋賀県の条例が適用されます。
今回の淫行事件のような、各都道府県の条例が問題となるような刑事事件では、原則として行為地(事件地)の都道府県の条例が適用されます。
ですから、もし今回、職務質問によって淫行が発覚せずに、後程Vさんが補導される、Vさんが被害届を出す、といった形で三重県の警察に今回の淫行が発覚するという形になったとしても、適用される条例は滋賀県の青少年健全育成条例ということになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、全国に13支部を展開する刑事事件専門の法律事務所です。
全国展開をしている刑事事件に強い法律事務所だからこそ、各都道府県の青少年健全育成条例違反事件にも対応が可能です。
淫行事件にお悩みの際は、まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。
(お問い合わせ:0120-631-881)
次回の記事では、今回のケースで弁護士がつくことによるメリットを中心に取り上げます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。
盗撮事件を家族に隠したい(京都府宇治市)
盗撮事件を家族に隠したい(京都府宇治市)
~京都府宇治市に住んでいるAさんの相談~
先日、私は京都府宇治市にある駅の構内で、利用客の女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮してしまいました。
すると、その様子を見ていた駅員に声をかけられ、京都府宇治警察署に通報されました。
京都府宇治警察署では簡単に話を聞かれ、後日また取調べに呼ばれることになりました。
私は結婚しており、妻もいるのですが、今回の盗撮事件のことを知られてしまえば家庭が崩壊してしまうのではないかと心配しています。
どうして盗撮などということをしてしまったのかと、自分でも深く反省しているところなのですが、どうにか家族に盗撮事件を知られずに解決することのできる可能性はないでしょうか。
(※この相談例はフィクションです。)
・駅での盗撮
駅での盗撮行為は、多くの都道府県において、いわゆる「迷惑防止条例」に違反することになります。
京都府では、「京都府迷惑行為防止条例」に盗撮行為についての条文が規定されています。
京都府迷惑行為防止条例3条2項
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法(※注:同条例3条1項「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」)で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
1号 みだりに、着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
駅は不特定又は多数の人が出入り・利用する場所であると言えますから、「公共の場所」です。
そこで他人の下着を盗撮することは、この条文に違反することになるのです。
京都府迷惑行為防止条例では、この条文に違反した場合には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(常習として行っていた場合には2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)に処せられることになっています(同条例10条2項、4項)。
・家族に知られたくない
さて、上記事例のAさんは、盗撮事件を起こして京都府宇治警察署で取調べを受け、後日さらに呼び出しを受ける予定でいますが、盗撮事件が家族に露見することによって家庭内の不和が起こることを心配しているようです。
弊所に寄せられるご相談の中にも、盗撮事件等の刑事事件の被疑者となってしまったということを家族に知られたくないというご相談も散見されます。
盗撮事件等の刑事事件が家族に知られてしまうケースとして多いのは、被疑者として逮捕されてしまうケースが挙げられます。
事例のAさんは逮捕されることなく帰宅を許されているようですが、もしも現行犯逮捕等されてしまった場合には、警察から家族に逮捕の連絡がいってしまったり、帰宅しないことを心配した家族が問い合わせたりした結果、盗撮事件等の刑事事件を起こしてしまったことが露見する、ということが考えられます。
ですから、家族に刑事事件を知られたくない場合には、まずは弁護士を通じて逃亡や証拠隠滅のおそれのないことを主張し、逮捕のリスクを減らす活動を行うことが考えられます。
そして、起訴されて正式な裁判を受けることになれば、公開の法廷に立つことになりますし、今後の監督について家族の方に証人として出廷してもらいお話ししてもらうということも考えられますから、刑事事件について話をしなくてはならない可能性が非常に高まります。
それを回避するためには、不起訴処分の獲得を目指したり、略式罰金手続きの利用による事件の終息を図ったりということが考えられます。
そのためには、自身でできる再犯防止策を計画・実行したり、被害者の方がいれば被害者の方への対応を行い、これらの処分が適切であると主張していくことが考えられますが、それには専門知識に基づいたスピーディーな対応が必要となりますから、やはり弁護士のサポートが重要と言えるでしょう。
もちろん、家族に起こしてしまった刑事事件について包み隠さずお話をすることで得られるサポートも大きく、そうした家族のサポートを主張することで有利な結果を求めていくこともあります。
どういった方針で行くべきなのか、メリット・デメリットはどういったものなのか、刑事事件の内容やご本人・ご家族の環境それぞれによって異なります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、盗撮事件等の刑事事件を起こしてしまったが家族に知られたくない、といったご相談も多く受け付けております。
ご相談内容が外に漏れる心配もないということも、弁護士に相談するメリットの一つです。
まずは初回無料相談のご予約から、0120-631-881までお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。
京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件②
京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件②
~前回からの流れ~
京都市中京区の高校に通っているA(17歳)は、3歳年下の妹にいたずらしようと思い、妹が寝ているときに、妹が着ていたパジャマを気付かれないように脱がせました。
パジャマを脱がせたところ、妹が下着を着けておらず、胸があらわになっており、ムラムラしたAは、妹が寝ていることをいいことに、妹の胸を揉みしだいてしまいました。
Aが胸を揉んでいるときに妹が起きてしまい、悲鳴を上げられたため、Aは胸を揉む行為をやめて妹に謝りました。
その場はそれで収まりましたが、次の日に妹が兄に胸を揉まれたことを学校で友達と話したところ、その友達が学校の先生に言ってしまい、学校の先生から児童相談所に通報され、妹は児童相談所に一時保護されることになってしまいました。
その後、児童相談所から通報を受けた京都府中京警察署の警察官がA宅に来て、Aは準強制わいせつ罪の容疑で通常逮捕されてしまいました。
Aの親は今後Aや妹がどうなってしまうのか知るため、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に弁護活動を依頼することにしました。
(フィクションです。)
前回の記事では、Aに成立する「準強制わいせつ罪」という犯罪について解説しました。
今回は、Aが20歳未満の少年であることから、少年事件の特色について触れていきます。
~少年事件の特殊性~
本件のAは17歳であり、未成年です。
未成年は法律上「少年」と呼ばれ、少年の起こした事件は「少年法」の適用を受け、「少年事件」と呼ばれます。
少年事件は、成人の事件とは異なった手続きがとられます。
たとえば、本件のAのように逮捕された場合、一般的に「勾留」と呼ばれる長期の身体拘束も引き続き受けることになりますが、少年を勾留する場合には、成人の事件での勾留の要件に加えて「やむを得ない場合」といえることが必要になります。
特に成人事件と少年事件の違いが大きく出るところは、①原則全件送致主義がとられていること、②「調査」という手続きがあること、③基本的に「保護処分」が下されることが挙げられます。
①全件送致主義とは、成人事件では被害者と示談をするなどした場合、犯罪の嫌疑が十分である場合でも検察官が公訴提起をしない処分(不起訴処分)をすることができますが(「起訴便宜主義」といいます)、少年事件の場合にはこの起訴便宜主義がなく、犯罪の嫌疑がある場合には原則としてすべて家庭裁判所に送致しなければならないということを意味しています。
したがって、少年事件の場合には、犯罪の嫌疑がない場合を除き、仮に示談があったとしても家庭裁判所の判断を仰ぐことになります。
②「調査」とは、警察や検察といった捜査機関が行う「捜査」とは違い、主に「なぜその犯罪(非行)が行われたのか」という原因を探る手続きをいいます。
少年事件の場合、犯罪行為のことを「非行」と言いますが、少年法の建前として、少年の置かれていた環境に悪い面があり、その悪い面のせいで「非行」が発生したという考えをとっているため、悪い環境を探る必要があるために「調査」が必要となっています。
この「調査」には大きく分けて「在宅調査」と「観護措置」の2種類があります。
「在宅調査」は、身体拘束を受けずに調査されるものですが、「観護措置」は「少年鑑別所」というところに身体拘束されて調査を受けるものです。
観護措置は通常4週間とられることになります。
③「保護処分」とは、刑罰とは違い、前科にはなりません。
「保護処分」には、「少年院送致」、「児童自立支援施設などの施設送致」、「保護観察」という3種類があります。
「保護観察」以外はすべて身体拘束を受ける処分です。
このように、少年事件では、成人事件と違った手続きが多数あり、身体拘束期間も長くなりがちです。
そこで、早期の身体解放や、最終的な処分を軽くするためには専門的な知識を有した弁護士に依頼することが大切です。
~一時保護~
ここで、本件でAの妹は児童相談所に一時保護されています。
児童相談所の一時保護は法律上2か月とされていますが、更新ができるため、長期間にわたって児童相談所に保護され続けることになってしまう場合もあります。
本件のような場合、同じ家庭でAと妹は生活しており、Aの処分によっては、今後も妹と同じ空間で生活することになってしまうため、児童相談所の一時保護が長期化する可能性が十分にあります。
Aの処分等によって妹の一時保護の解除時期等も変わってくることになるため、やはり専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件も多く取り扱っており、早期の身体解放や軽い処分に向けた調査対応など実績のある弁護士が丁寧に活動します。
少年事件でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
(お問い合わせ:0120-631-881)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。
京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件①
京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件①
~事案~
京都市中京区の高校に通っているA(17歳)は、3歳年下の妹にいたずらしようと思い、妹が寝ているときに、妹が着ていたパジャマを気付かれないように脱がせました。
パジャマを脱がせたところ、妹が下着を着けておらず、胸があらわになっており、ムラムラしたAは、妹が寝ていることをいいことに、妹の胸を揉みしだいてしまいました。
Aが胸を揉んでいるときに妹が起きてしまい、悲鳴を上げられたため、Aは胸を揉む行為をやめて妹に謝りました。
その場はそれで収まりましたが、次の日に妹が兄に胸を揉まれたことを学校で友達と話したところ、その友達が学校の先生に言ってしまい、学校の先生から児童相談所に通報され、妹は児童相談所に一時保護されることになってしまいました。
その後、児童相談所から通報を受けた京都府中京警察署の警察官がA宅に来て、Aは準強制わいせつ罪の容疑で通常逮捕されてしまいました。
Aの親は今後Aや妹がどうなってしまうのか知るため、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に弁護活動を依頼することにしました。
(フィクションです。)
~準強制わいせつ罪~
「準強制わいせつ罪」とは、心神喪失又は抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせてわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
一般に「強制わいせつ罪」という場合には、暴行脅迫を用いてわいせつ行為をすることが必要で、例外的に13歳未満の者に対してわいせつ行為をした場合には、暴行脅迫を用いなくても「強制わいせつ罪」となります。
しかし、「準強制わいせつ罪」は、暴行脅迫がなくても、抵抗ができない状態にある人にわいせつな行為をした場合に成立し、「強制わいせつ罪」と同様に扱われることになります。
したがって、抵抗ができないような状態にある人にわいせつな行為をした場合には、成人の場合、懲役6月以上10年以下の刑罰が法律上科せることになります。
本件のAは、妹が寝ていることに乗じて胸を揉むという明らかにわいせつな行為をしており、寝ている妹は抵抗ができない状態にあったということができるため、Aには「準強制わいせつ罪」が成立することになります。
~パジャマを脱がせた行為~
また、Aが寝ている妹のパジャマを脱がせた行為自体も、わいせつな行為と評価することができるといえるため、パジャマを脱がせた行為も「準強制わいせつ罪」当たる行為ということができます。
もっとも、パジャマを脱がせた段階では、Aはいたずらの目的しかなく、わいせつな目的があったといえません。
「強制わいせつ罪」には、「わいせつな目的」が必要とされているのと同様に、「準強制わいせつ罪」にも「わいせつな目的」が必要です。
そこで、「わいせつな目的」がなかった場合、「準強制わいせつ罪」が成立しないと主張することが考えられます。
しかし、最近の最高裁判所の判断によれば、「強制わいせつ罪」の事例ではありますが、行為自体がわいせつな行為と評価できる場合にはわいせつな目的があったものということができると判断したものがあり、行為自体がわいせつといえるか微妙な場合のみ「わいせつな目的」の有無が問題となると評価できるような判断となっています。
そうすると、本件でパジャマを脱がせた行為は、一般的に女子の服を脱がせる行為はわいせつな行為と評価することができるため、「わいせつな目的」がなかったとしても、「準強制わいせつ罪」に問われる可能性があることになります。
この場合には、厳密に考えるとパジャマを脱がせた行為と胸を揉んだ行為それぞれに「準強制わいせつ罪」が成立することになりますが、実質的には一連の行為といえるため、これらを一つの行為として「準強制わいせつ罪」1個が成立することになると考えられます。
もっとも、厳密には2つの行為が行われているといえるため、量刑の判断においては、パジャマを脱がせていない場合に比べて重く判断される可能性があります。
そこで、パジャマを脱がせた行為については「準強制わいせつ罪」に当たらないと主張することが考えられます。
「準強制わいせつ罪」に当たるかどうかは、上記の判例の評価も含めて非常に複雑で専門的な判断が必要になるため、専門家に判断をゆだねることが賢明です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱っており、このような判断についても専門的な知識を有した弁護士が、事案の内容を細かく聞き取り、しっかりと判断することができます。
準強制わいせつ罪にあたるかどうかでお悩みの方はぜひ一度弊所の弁護士までお問い合わせください。
(京都府中京警察署までの初回接見費用:3万4,800円)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。