爆破予告で威力業務妨害事件

2019-05-10

爆破予告で威力業務妨害事件

Aさんは、京都市東山区にある商業施設に電話し、「商業施設内に爆弾をしかけた。今日の昼12時に爆破する」と爆破予告の電話をかけました。
商業施設は爆破予告を受け、京都府東山警察署に通報しました。
そして、商業施設の従業員や利用客を避難させ、爆発物の探索等が行われましたが、商業施設から爆発物は見つかりませんでした。
捜査の結果、爆破予告をしたのがAさんであることが判明し、Aさんは京都府東山警察署威力業務妨害罪の容疑で逮捕されることとなりました。
(※令和元年5月8日産経新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・威力業務妨害罪

Aさんは、商業施設に爆破予告をしたことから、威力業務妨害罪の容疑で逮捕されています。
威力業務妨害罪は、刑法234条に規定されている犯罪です。

刑法234条(威力業務妨害罪)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

この「前条」とは、刑法233条の偽計業務妨害罪のことを指しています。

刑法233嬢(偽計業務妨害罪)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

つまり、「威力を用いて人の業務を妨害」して威力業務妨害罪となれば、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられるということになります。

威力業務妨害罪の「威力」とは、「犯人の威勢、人数及び四囲の状勢からみて、被害者の自由意思を制圧するにたりる勢力」を指すと言われています(最判昭和28.1.30)。
威力業務妨害罪と先ほど挙げた偽計業務妨害罪との違いとしては、威力業務妨害罪で用いられる「威力」が相手の意思を制圧してしまうものであるのに対し、偽計業務妨害罪で用いられる「偽計」は相手の錯誤(勘違い)を誘発するものであるという部分が挙げられます。
なお、どちらの場合においても、これらの犯罪が成立するには現実に相手が抑圧されたり錯誤に陥ったりされる必要はないとされています。

そして、威力業務妨害罪が保護している「人の業務」とは、人が社会的地位に基づいておこなう職業やその他継続して従事することを必要とする仕事を言います。
仕事や業務という言葉があるものの、「人の業務」は経済的な収入を得る目的のものでなくともよいとされています。
威力を用いてこの「人の業務」を妨害した者が威力業務妨害罪となるのですが、威力業務妨害罪の成立には、実際に業務が妨害されたという事実は不要であり、業務が妨害される危険が発生すればよいと考えられています。

・Aさんの威力業務妨害事件

今回のAさんの威力業務妨害事件を検討してみましょう。
Aさんは商業施設に爆破予告をしています。
爆破予告があったことで、商業施設としては利用客や従業員の安全のために、商業施設を通常通り営業することはできなくなりました。
今回のケースでは、爆破予告をすることで商業施設側の自由意思を制圧していると考えることができますから、たとえ実際に爆発物を仕掛けていなかったとしても、「威力」を用いていると考えることができます。
そして、爆破予告によって商業施設は通常営業をすることができなくなっていますから、「業務を妨害した」とも言えるでしょう(先ほど触れた通り、もしも商業施設が実際に営業を取りやめるといったことをしなくても、営業を妨げる危険が認められれば「業務を妨害した」と認められます。)。
以上のことから、Aさんには商業施設に対する威力業務妨害罪が成立すると考えられます。

加えて、今回のような場合には、商業施設に対する威力業務妨害罪だけでなく、警察に対する威力業務妨害罪が成立する可能性もあります。
爆破予告があったと通報があれば、警察は出動して警戒を強化する、爆発物の捜索をする等の対応をしなければなりません。
通常警察官が行っている仕事も業務妨害罪の「人の業務」ですから、爆破予告によって警戒を強化させることで本来の「業務」を滞らせた場合には、警察に対する威力業務妨害罪も成立する可能性があるのです。

爆破予告による威力業務妨害事件は度々報道される刑事事件ではありますが、このように、被害者が複数生じてしまうこともあります。
また、今回のAさんのように、複数の企業がテナントとして入っている商業施設などを対象として威力業務妨害事件を起こしてしまった場合には、示談交渉等を行う際にも交渉や検討が複雑化する可能性もあります。
だからこそ、威力業務妨害事件でお困りの際は、刑事事件に強い弁護士のフォローを受けることがおすすめです。
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爆破予告等による威力業務妨害事件にお困りの際は、0120-631-881までお電話ください。
京都府東山警察署までの初回接見費用:3万4,100円)