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【事例紹介】集団暴行による傷害罪の疑いで逮捕された事例

2023-01-07

集団暴行による傷害罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都市中京区の木屋町通で男性が殴られ重傷を負った事件で、京都府警中京署は28日、傷害の疑いで、京都市北区の無職男(20)を逮捕した。逮捕は2人目。
逮捕容疑は、アルバイト男(20)=同容疑で逮捕=らと共謀し、25日午前1時50分ごろ、中京区木屋町通三条下ルの路上で、会社員男性(28)に殴る蹴るの暴行を加え、顔面骨折などの重傷を負わせた疑い。同署は認否を明らかにしていない。
(後略)

(2022年12月28日 京都新聞 「京都・木屋町通で起きた集団暴行、共犯の20歳容疑者を逮捕 肩ぶつかり争いか」より引用)

傷害罪

大まかに説明すると、故意に暴行を加えた結果、相手にけがを負わせた場合は傷害罪が成立します。

報道によると、今回の事例では容疑者らが被害者に殴る蹴るの暴行を加え、顔面骨折なのどのけがを負わせたとされています。
報道が事実であれば今回の事例では傷害罪が成立することになり、有罪になってしまうと15年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります。(刑法第204条)

なお、今回の事例では、報道によると逮捕された男性のグループと被害者の男性のグループでトラブルとなって集団暴行に発展したという事件内容とされています。
報道からは詳細な事件内容は読み取れませんが、仮に被害者の男性に対して逮捕された男性らが集団で暴行を加えたという構図である場合には、暴力行為処罰法違反となる可能性も考えられます。
集団暴行事件では、その態様によっては暴行罪傷害罪以外の犯罪も成立し得るため、注意が必要です。

傷害罪の裁判例

今回の事例では、逮捕された男性が傷害罪の容疑をかけられていますが、仮に傷害罪で有罪となった場合、どういった刑罰が下されるのでしょうか。
実際に傷害罪に問われ、裁判になった事例をご紹介します。
(ご紹介する裁判例は、今回の事例と事件内容などが異なります。)

その傷害事件では、被害者ににらまれたと思い込んだ被告人が、被害者の胸倉を掴み、もみ合いになりました。
被告人が不利な態勢になった際に被害者に攻撃を加え、共犯者と2人がかりで被害者の顔面を殴るなどの暴行を加えました。
その結果、被害者は全治約1カ月を要する骨折などを負いました。
裁判では、被告人側が護送過剰防衛を主張していましたが主張は認められず、被告人は傷害罪で有罪になってしまいました。
しかし、被告人が反省していることや被害者に対して弁償を行っていることなどが考慮され、懲役1年執行猶予3年の執行猶予付きの判決が下されました。
(平成14年9月20日 神戸地方裁判所)

今回取り上げた事例では、容疑者を含む複数名で被害者に暴行を加えたと報道されています。
事例の被害者が負ったけがの程度はわかりませんが、顔面を骨折していることから軽いとは言えないでしょう。
ご紹介した裁判例でも、被告人は被害者を骨折させるほどの怪我を負わせており、起訴され刑事裁判になったうえで有罪判決を受けています。
このことから、取り上げた事例でも、起訴され刑事裁判となる可能性があるといえます。
けがの程度や暴行の態様などの事情によっては、ご紹介した裁判例よりも重い刑罰が下される可能性もあるでしょう。

ご紹介した裁判例では、被告人は被害者に被害弁償金を支払っています。
こういった被害弁償や示談などを被害者に申し入れる際に、加害者が直接連絡を取ることを嫌がる被害者の方もおられます。
そういった事情以外にも、直接やりとりをすることでトラブルを生む可能性もありますので、被害弁償や示談を行う際には弁護士を入れることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービスを行っております。
初回接見サービスでは、弊所の弁護士が逮捕されたご家族に接見し、取調べのアドバイスやご家族からの伝言などをお伝えします。
また、弊所では初回接見サービスの他にも、無料法律相談を行っています。
刑事事件に詳しい弁護士に相談をすることで、少しでもあなたやご家族にとって良い結果を得られるかもしれません。
ご家族が逮捕された方、傷害事件などの刑事事件での示談でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【解決事例】示談交渉でのトラブルを回避し不起訴処分に

2023-01-05

事件

Aさんは京都市中京区の路上で車を運転している際に、別の車を運転しているVさんとトラブルとなりました。
VさんがAさんの車の窓を叩くなどしたためAさんが外に出たところ、VさんはAさんに詰め寄って怒鳴ってきたことをきっかけに、AさんはVさんの頬をはたいてしまい、VさんはAさんが手を出してきたとして京都府中京警察署に通報しました。
その後、Vさんは京都府中京警察署に被害届を出し、Aさんは傷害罪の容疑で捜査を受けることになりました。
仕事の関係で前科がつくことは避けたいAさんは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の無料法律相談を利用し、不起訴処分を求める弁護活動を依頼することに決めました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

事件解決のながれ

Aさんから弁護活動の依頼を受けた後、弁護士はAさんの意向を尊重し、Vさんに対して示談交渉を行いました。
AさんはVさんへの示談金の準備も行っており、弁護士は何度かVさんにコンタクトを取り、Aさんの謝罪と賠償の意思を伝えて示談交渉を行ったものの、Vさんは示談金額を釣り上げるような態度を取るのみであったため、示談を締結することはできませんでした。

そこで、弁護士は、こうした示談経過を含めた事情を検察官に考慮してもらうため、検察官に不起訴処分を求める意見書を提出した上で、不起訴処分を求める処分交渉を行うこととしました。
不起訴処分を求める交渉では、AさんがVさんに謝罪と賠償の意思があり、示談締結に至らなかったもののVさんに対して誠実に対応していること、事件はAさんだけでなくVさんによる落ち度もあったこと、罰金刑になればAさんが犯情に比べて過大な不利益を被る可能性があることを検察官に訴えました。

意見書の提出や複数回にわたる検察官との処分交渉により、Aさんは不起訴処分となりました。
不起訴処分の獲得により、Aさんは会社に事件について知られることや罰金刑により前科がつくこと避け、事件を終わらせることができました。

今回の事例では、AさんとVさんのトラブルから発展した傷害事件であったため、AさんとVさんの当事者同士が直接示談交渉をしていた場合、そこからさらにトラブルが生じる可能性がありました。
しかし、弁護士がAさんの代理人となって示談交渉を行うことで、示談締結には至らなかったものの、新たなトラブルを避けて示談交渉を行うことができました。

個人間での示談交渉では、相手から法外な賠償額を請求されることや、作成した示談書に法律的な抜けが生じること等、何かしらの形で新たなトラブルを生む危険性があります。
ですので、少しでも示談交渉に不安を感じる場合には、弁護士を付けることをお勧めします。
また、弁護士による検察官への交渉を適切に行うことで、今回の解決事例のように不起訴処分を獲得できる可能性もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件の豊富な弁護経験をもつ法律事務所です。
傷害事件でお困りの方、示談を検討している方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の無料法律相談をご利用ください。

【事例紹介】万引きが強盗致傷罪に

2022-12-29

万引き強盗致傷罪になった事件を基に、強盗罪強盗致傷罪などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警山科署は22日、強盗致傷の疑いで、京都市伏見区の男(78)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は22日午前9時50分ごろ、山科区のスーパーで袋入りみかん(販売価格322円)を盗んだ後、店の外で呼び止めた男性店員(44)の右人差し指と、男性店長(46)の右腕にかみつき、出血させるけがを負わせるなどした疑い。「分かりません」と容疑を否認しているという。
(後略)

(12月22日 「スーパーでみかん盗み、呼び止めた店長らの手をガブリ 容疑で78歳男逮捕」より引用)

強盗罪

刑法第236条1項
暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

大まかに説明すると、抵抗されないように故意に暴行や脅迫を行って財物を奪った場合は、強盗罪が成立します。
また、強盗罪が成立するためには、一般的に見て抵抗が困難になる程度の暴行や脅迫が必要ですので、その程度に満たない場合は、強盗罪は成立しません。

今回の事例では、容疑者が袋入りみかんを盗み出し、店の外で店員や店長に呼び止められたと報道されています。
実際に容疑者が袋入りみかんの代金を支払わずに店を出たのであれば、窃盗罪が成立します。
ですので、報道内容が事実であれば少なくとも容疑者は窃盗罪に問われることになります。

次に今回の事例で強盗罪が適用できるのかを考えていきましょう。

報道によると、容疑者は呼び止めた店員や店長の指や腕にかみついたと報道されています。
かみつく行為は暴行にあたりますので、報道内容が事実であった場合には、容疑者は袋入りみかんを奪って逃げるために故意に店長や店員に暴行を加えたことになります。

では、今回の事例では強盗罪が成立するのでしょうか。

先ほど確認したように、強盗罪の成立には財物を奪いとる際に暴行や脅迫が必要でした。
ですが、今回の事例では、容疑者は袋入りみかんを盗んだ後に、呼び止めた店員と店長の指や腕にかみついたとされています。
報道が事実であった場合には、容疑者は袋入りみかんを盗んだ後に暴行を加えていますので、強盗罪の要件は満たさないことになってしまいます。

しかし、報道内容が事実であった場合には、強盗罪と扱われる可能性が出てくるのです。

実は、窃盗罪を犯した犯人が逮捕を免れるために逃げる際に暴行や脅迫を行ったときは、事後強盗罪が成立し、強盗罪と同じとして扱われます。(刑法第238条)
この場合であっても事後強盗罪が成立するためには、世間一般的に見て、抵抗が困難になる程度の暴行や脅迫を加える必要があります。

今回の事例では、かみつかれた店員や店長は出血したと報道されていますので、容疑者が相当強くかんだのだと思われます。
出血を伴うほど強くかまれたということであれば、抵抗することは相当程度難しいように思われますが、事後強盗罪が成立するためには、被害者一や個人ではなく世間一般の人が抵抗することが困難だと思う程度でなくてはなりません。
ですので、実際に容疑者が逮捕を免れるために暴行を加えており、世間一般の人が指や腕をかまれると抵抗が難しいと判断された場合には、事後強盗罪が成立することになります。

強盗致傷罪

刑法第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期または6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑または無期懲役に処する。

刑法第240条の前半部分が強盗致傷罪の条文になります。
簡単に説明すると、強盗を行った際に暴行を加えてけがを負わせた場合は強盗致傷罪が適用されます。

今回の事例では、店員と店長がけがを負ったと報道されています。
先ほど説明したように今回の事例で事後強盗罪が成立する場合には、報道によると、強盗の際に容疑者の暴行によりけがを負っていることから、強盗致傷罪が成立する可能性があります。

なお、報道が事実であり、容疑者による暴行が抵抗を困難にさせる程度には満たないと判断された場合には、容疑者は窃盗罪傷害罪に問われる可能性があります。

スーパーで商品を盗んだ(万引きした)場合には、当然に窃盗罪が成立しますが、警備員や店員などに呼び止められた際に暴行を加えた場合には事後強盗罪強盗致傷罪が成立する場合があります。
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役か50万円以下の罰金(刑法第235条)ですが、強盗罪事後強盗罪強盗致傷罪には後述のように罰金刑がなく、有罪になった場合には懲役刑が科されることになります。

強盗罪事後強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役であり、強盗致傷罪無期または6年以上の有期懲役です。
執行猶予は3年を超える懲役刑が言い渡された場合には付けることができませんので、強盗罪事後強盗罪強盗致傷罪で有罪になると刑務所に入らなければならなくなる可能性があります。
ですから、そもそも不起訴を獲得して刑事裁判にしないように活動をしていったり、情状酌量によって刑罰の減軽やそれによって執行猶予を獲得することを目指していったりすることが考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
刑事事件に強い弁護士による検察官・裁判官への交渉や、被害者への示談交渉により、不起訴処分の獲得や刑罰の減軽を目指していくことができます。
初回接見サービス、無料法律相談を行っていますので、ご家族が逮捕された方や強盗致傷罪などでお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】外国籍の男性が傷害罪で逮捕された事例

2022-12-22

外国籍の男性が傷害罪の容疑で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警向日町署は2日、傷害の疑いで、住所不定、フランス国籍の無職の男(32)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)顔を殴り、左ほおや鼻の骨を折る全治6週間のけがを負わせた疑い。容疑を否認している。
(後略)

(11月2日 京都新聞 「不動産会社で相談応対の従業員殴り、頬や鼻の骨折る 容疑で仏国籍の男逮捕」より引用)

傷害罪

大まかに説明すると、傷害罪は故意に暴行を加え、人にけがを負わせた場合に成立します。

今回の事例では、容疑者が被害者の顔を殴り左ほおや鼻の骨を折ったと報道されています。
実際に容疑者が被害者の顔を殴り、顔の骨を折っていたのであれば、暴行を加えてけがを負わせたことになります。
報道によると、容疑者の男性は容疑を否認しているようですが、捜査機関としては男性が暴行によって被害者に怪我を負わせたとして傷害罪の容疑をかけて捜査をしているという経緯なのでしょう。

傷害罪で有罪になった場合

傷害罪で有罪になった場合には15年以下の懲役か50万円以下の罰金が科されます。(刑法第204条)

例えば過去には、滋賀県彦根市の消防員が同僚の隊員を湖に突き落として全治3週間のけがを負わせた傷害事件では、罰金30万円の略式命令が出されたという事例も見られます。
(12月15日 京都新聞 「「いたずらで落とすぞ」訓練中に琵琶湖に同僚突き落とす 消防士長が停職処分」より※今回の事例とは事件内容がことなります。)

傷害事件では、加害者の立場や事件の経緯、犯行の態様、被害者のけがの程度、その後の被害弁償や謝罪の有無など、様々な事情によって刑罰が決められます。
例えば、今ご紹介した滋賀県の事例では、傷害事件の加害者が消防隊員であることから、立場的にも刑事的責任が重いと判断され比較的重い刑罰を科されている可能性も考えられます。
今回の事例では、報道の内容からは容疑者の男性の社会的身分などは分かりませんが、紹介した滋賀県の事例よりも被害者が酷いけがを負っていますから、容疑者の男性が有罪となった場合にはそうした事情も考慮されることが予想されます。
こうした細かい事情を総合的に検討することで、事件の見通しや行うべき活動が分かってきますから、刑事事件の初期の段階で弁護士に一度話を聞いてみることがおすすめです。

また、今回の事例のように容疑を否認している場合は、勾留が長引く可能性があります。
刑事事件では、逮捕されると72時間の間に検察官が勾留請求をするかしないかの判断をします。
検察官が勾留請求を行い、裁判所が許可した場合、刑事事件の容疑者は留置所に勾留されることになります。
また、勾留が決定すると最長で20日間、留置所で生活することになります。
この流れは、たとえ容疑者が外国籍であっても変わりません。
容疑者として取調べられる本人が外国籍の場合、日本の刑事手続きに詳しくないことも多く、抱える不安はいっそう大きいものと予想されます。
だからこそ、早い段階で弁護士のサポートを入れることが重要となるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービスを行っています。
外国籍のご家族が逮捕された、逮捕されたご家族が容疑を否認しているなどのケースにより、刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は0120ー631ー881で受け付けております。

【事例紹介】重要文化財を損傷 公務執行妨害罪・文化財保護法違反

2022-12-20

重要文化財を損傷した疑いのある男性が公務執行妨害罪の容疑で逮捕された事件を基に、公務執行妨害罪と文化財保護法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

15日午前4時半ごろ、京都市南区九条町の東寺(教王護国寺)で、「門をたたいている男がいる」と警備員が110番した。京都府警南署の署員が駆け付けると、男がつばを吐きかけたため、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕した。
南署と東寺によると、重要文化財の南大門で、男はワインボトルのようなものでたたいていたという。壁面には複数の傷が付いており、同署は文化財保護法違反の疑いでも捜査する。
(後略)

(12月15日 京都新聞 「世界遺産の東寺、ワインボトルでたたかれ門損傷か 京都府警、男を逮捕」より引用)

公務執行妨害罪

刑法第95条1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行または脅迫を加えた者は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪は、簡単に説明すると、暴行や脅迫を行って公務員の職務を妨害した場合に成立します。

人に対して故意に有形力を行使することが、刑法で言う「暴行」になります。
例えば、今回の事例で報道されているようなつばを吐きかける行為は有形力の行使にあたります。
報道によると、容疑者は通報により駆け付けた警察官に対してつばを吐きかけたとされていますので、容疑者の行為が事実であれば、公務執行妨害罪が成立することになります。

実際に、静岡県で職務質問中の警察官の顔につばを吐きかけた事件でも公務執行妨害罪の容疑で逮捕されています。
(2022年4月10日 あなたの静岡新聞 「警察官の顔に唾吐きかける 公務執行妨害の疑いで男逮捕 清水署」より)

文化財保護法

文化財保護法第195条1項
重要文化罪を損壊し、毀損し、または隠匿した者は、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処する。

今回の事例では、容疑者がワインボトルのようなもので重要文化財である南大門をたたいていたと報道されています。
また、壁面には複数の傷が確認されていますので、容疑者が実際にワインボトルのようなもので南大門をたたき、傷をつけたのであれば、容疑者は重要文化財を毀損したことになります。
重要文化財を毀損すると文化財保護法違反になりますので、報道が事実であり、なおかつ容疑者が文化財保護法違反で有罪になってしまった場合には、5年以下の懲役か禁錮もしくは100万円以下の罰金が科されることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
早期に弁護士をつけ検察官や裁判官に働きかけを行うことにより、勾留の阻止や釈放を目指せるかもしれません。
ご家族が逮捕された方、公務執行妨害罪や文化財保護法違反などの刑事事件でお困りの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービスや無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にお電話ください。

【事例紹介】強盗の準備を行い強盗予備罪で逮捕された事例

2022-12-15

京都市伏見区のコンビニで起きた強盗予備事件を基に、強盗予備罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

コンビニ強盗の準備をしたとして、京都府警伏見署は26日、強盗予備の疑いで、住所不詳の解体工の男(26)を逮捕した。男は、コンビニに入店した後、トイレ内から自ら「強盗する」と110番していた。
逮捕容疑は、26日午前3時55分ごろ、京都市伏見区のコンビニで、カッターナイフ(刃渡り5センチ)を持って強盗の準備をした疑い。
(後略)

(2022年9月26日 京都新聞 「コンビニのトイレから「強盗する」110番 カッター所持、強盗予備疑いで男逮捕」より引用)

強盗予備罪

刑法第237条
強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。

強盗の目的で、強盗に使用する凶器の準備などを行った場合は、強盗予備罪が適用されます。
強盗自体を実行していなくとも、その準備をするだけ強盗予備罪という犯罪になることに、驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の事例の男性は強盗の目的でカッターナイフ(凶器)を準備したとして、強盗予備罪の容疑で逮捕されています。

建造物侵入罪

今回の事例の容疑者は、前述の通り強盗予備罪の容疑で逮捕されたようですが、他にも、建造物侵入罪にあたる可能性があります。

建造物侵入罪は刑法第130条で規定されており、正当な理由なく建造物に侵入した場合に成立します。

コンビニは建造物にあたりますので、今回の事例の容疑者がコンビニに入店する正当な理由がなかった場合には、建造物侵入罪に問われることになります。
コンビニに入店する正当な理由として考えられるのは、買い物や公共料金の支払いなどでしょう。
今回の事例の容疑者は、強盗を行うためにコンビニに入店しています。
強盗などの犯罪行為はコンビニに入店する正当な理由であるとはいえないでしょう。
ですので、容疑者は正当な理由なく建造物に侵入したことになり、強盗予備罪だけでなく建造物侵入罪にも問われる可能性があります。

実際に、今年の7月静岡県でコンビニに盗撮目的で侵入したとして建造物侵入罪で逮捕された事例があります。(2022年7月24日 静岡朝日テレビ 「「盗撮している人がいる」 盗撮目的でコンビニに入店したか…34歳の男を建造物侵入の疑いで現行犯逮捕 静岡・焼津市」より)

強盗の準備を行っただけであっても強盗予備罪に問われる場合があります。
また、正当な理由なく入店した場合には建造物侵入罪が成立しますので、強盗や盗撮など犯罪行為を目的としてコンビニなどに入店した場合には静岡の事例のように建造物侵入罪に問われる可能性があります。

強盗予備罪で有罪になった際には、懲役刑が科されることになります。
加えて、建造物侵入罪にも懲役刑が規定されていますので、建造物侵入罪で有罪になった場合にも懲役刑が科される可能性があります。
しかし、執行猶予を獲得することができれば、有罪判決となった場合でも刑務所へ行くことを避けられることになります。
執行猶予獲得のためには、被害者への対応だけでなく、その後の再犯防止のための取り組みなど、様々なことを行っていかなければなりませんから、早い段階で弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

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【事例紹介】暴力行為等処罰法違反事件と脅迫罪 現行犯逮捕された事例

2022-11-12

暴力行為等処罰法違反事件で現行犯逮捕された事例を基に、暴力行為等処罰法違反と脅迫罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合京都支部が解説します。

事例

京都府警宇治署は2日、暴力行為等処罰法違反の疑いで、(中略)現行犯逮捕した。
逮捕容疑は(中略)宇治市役所内の相談室で、小型ナイフを机の上に置き、「刺したら痛いんやで。あんたら痛みを知らんやろ」などと(中略)脅した疑い。
「刺すとは言っていない」と容疑を否認しているという。

(11月2日 京都新聞 「「あんたら痛み知らんやろ」ナイフ置き市職員脅す 容疑で79歳女を逮捕」より引用)

脅迫罪

簡単に説明すると、生命や身体に対して害を与えると伝えて、人を脅した(脅迫した)場合に脅迫罪が成立します。

今回の事例では、容疑者が被害者を脅した疑いで逮捕されていますが、容疑者は「刺すとは言っていない」と容疑を否認しているようです。
今回の事例のように、「刺す」と被害者に直接言ったわけではない場合にも、脅迫罪は成立するのでしょうか。
今回の報道が事実であった場合を仮定して、容疑者の行為で脅迫罪が成立するのかについて説明していきます。

一般の人が恐怖を感じるような内容を相手に伝えることを脅迫といいます。
しかし、恐怖を感じるような内容であれば何でもいいというわけではなく、伝えた人が実際に実行できるような内容でなくてはなりません。

今回の事例では、容疑者が小型ナイフを机に置き、「刺したら痛いんやで。あんたら痛みを知らんやろ」と被害者に言ったとされています。
この言葉の中身を見ると、直接的に「刺す」とは言っていないものの、小型ナイフを机に置かれて、「刺したら痛い」と伝えられれば、一般の人は机に置かれた小型ナイフで刺されるのかもしれないと恐怖を感じるでしょう。
今回の事例でも「小型ナイフで刺されるのかもしれない」といった、一般の人が恐怖を感じるような内容が被害者に伝わっていると考えられるため、容疑者は被害者に対して脅迫したと疑われているのだと考えられます。
小型ナイフで刺された場合は当然生命や身体が害されるでしょうから、今回の事例では、被害者は生命や身体に害を与えると容疑者に脅迫されたとされ、容疑者の行為は脅迫罪と疑われる行為であると考えられます。

暴力行為等処罰法と脅迫罪

しかし、報道によると、容疑者は暴力行為等処罰法違反の容疑で逮捕されています。
なぜ脅迫罪ではなく、暴力行為等処罰法違反での逮捕なのでしょうか。
暴力行為等処罰法について簡単に説明していきます。

暴力行為等処罰法第1条では、多人数や凶器を用いて暴行罪、脅迫罪、器物損壊罪の罪を犯した場合についての処罰を定めています。
小型ナイフは凶器にあたりますので、今回の事例のように小型ナイフを用いて脅迫罪に当たる行為を行った場合は、暴力行為等処罰法違反にあたります。
ですので、今回の報道が事実であった場合には、容疑者は脅迫罪ではなく暴力行為等処罰法違反の罪に問われることになります。

また、暴力行為等処罰法第1条に違反した場合の法定刑は3年以下の懲役または30万円以下の罰金脅迫罪の法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金(刑法第222条1項)になっており、暴力行為等処罰法第1条と脅迫罪では法定刑が少し異なっています。
これは、暴力行為等処罰法が、凶器を用いるなどして脅迫罪などを犯した場合を、刑法で定めるよりもより重く処罰するために定められているものであるためです。
脅迫罪などの犯罪を一定の条件・態様で行うと、暴力行為等処罰法によってより厳しく処罰されるというイメージとなります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス、無料法律相談を行っております。
ご相談等のご予約・お問い合わせは、0120ー631ー881でいつでも承っておりますので、脅迫罪暴力行為等処罰法違反などの刑事事件でご不安な方は、ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】うそをついて誘拐・監禁し、強制性交等罪で逮捕された事例

2022-11-10

京都市東山区・伏見区で起きた強制性交等事件を基に、わいせつ目的誘拐罪、監禁罪、強制性交等罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

女子大学生を車で誘拐してマンションで監禁し、性的暴行を加えたとして、京都府警東山署は1日までに、わいせつ目的誘拐と監禁、強制性交の疑いで、(中略)逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)京都市東山区の路上で女(中略)うそをついて乗用車に乗せ、伏見区のマンションに連れ込んで性的暴行し、同日午前4時ごろまで監禁した疑い。
府警は3人の認否を明らかにしていない。

(11月1日 京都新聞 「「落とし物」とウソ、女子大生を誘拐・監禁し性的暴行容疑 20歳の男3人逮捕」より引用)

わいせつ目的誘拐罪

誘拐について簡単に説明すると、人をだましたり誘惑して連れ去る行為のことをいいます。
今回の事例に関連するわいせつ目的誘拐罪という犯罪で有罪になった場合は、1年以上10年以下の懲役が科されます。(刑法第225条)

報道によると、容疑者らはうそをついて被害者を乗用車に乗せたとされています。
これが事実であれば、おそらく被害者は容疑者のうそを信じて乗車したのでしょうから、容疑者は被害者をだましたことになるでしょう。
報道によれば、容疑者らが被害者をだまし、京都市東山区の路上から被害者を連れ去っていると考えられているようですから、ここから容疑者らが誘拐行為をしたと疑われているのでしょう。

誘拐の目的がわいせつ行為をするためだった場合は、わいせつ目的誘拐罪にあたります。
今回の事例の場合、報道によると、容疑者らは被害者の誘拐後にわいせつ行為をしたとされていますから、そもそも誘拐行為がわいせつ行為を目的として行われたのではないかと疑われ、わいせつ目的誘拐罪の容疑がかけられているものと考えられます。

監禁罪

簡単に説明すると、他人を脱出することが難しいような場所に連れ込んだり、閉じ込めた場合に、監禁罪が成立します。
監禁罪で有罪になった場合には、3月以上7年以下の懲役が科されます。(刑法第220条)

今回取り上げた事例で、報道では、容疑者らは京都市東山区の路上で被害者を車に乗せ、京都市伏見区のマンションに連れ込んだとされています。
走行中の車内から脱出することは難しいでしょうから、容疑者らが京都市東山区の路上からマンションまで被害者を車に同乗させた(脱出が困難な場所に連れ込んだ)行為が事実であれば、その行為は監禁罪にあたると考えられます。
また、報道では被害者をマンションに4時ごろまで監禁したと記載されていますが、被害者が連れ込まれたマンションでも、車内と同様に脱出することが困難な状況であったことがうかがわれますから、こうした部分でも監禁罪の容疑をかけられている可能性があります。

強制性交等罪

強制性交等罪は、大まかに説明すると、暴行や脅迫を加え、相手が抵抗できない状態で性交等を行うと成立します。
強制性交等罪が成立し、有罪になった場合には、容疑者らは5年以上の有期懲役が科されることになります。(刑法第177条)

今回の事例においては、報道の内容では暴行や脅迫の有無は分かりませんが、容疑者らが被害者に抵抗できないほどの暴行や脅迫を行い、性交等をしたのであれば、強制性交等罪が成立することになります。

なお、今回の事例では、容疑者らには強制性交等罪以外にも、先ほど触れたわいせつ目的誘拐罪監禁罪の容疑がかけられています。
仮にその全てで有罪になった場合には、複数人での犯行である点も加味されるでしょうから、悪質性が高いと判断され、かなり重い刑罰を科される可能性もあるかもしれません。

わいせつ目的誘拐罪監禁罪強制性交等罪はどれも罰金刑の規定がなく、有罪になってしまうと懲役刑が科される可能性があります。
また、強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっており、3年以下の懲役刑が言い渡されることが条件となっている執行猶予判決を得ることは困難といえます。
しかし、被害者との示談締結などにより、刑罰の減軽が望める可能性はあります。
ただし、当事者間での示談交渉はトラブルが生じる可能性がありますし、被害者側にとっても加害者に個人情報を教えなければならない点でハードルが高いため、当事者だけでの示談交渉はあまりおすすめできません。
そういった事情から、示談交渉をする際には弁護士を代理人としてつけることが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は刑事事件に強い法律事務所です。
示談の交渉でお困りの方、わいせつ目的誘拐罪、監禁罪、強制性交等罪で逮捕・捜査された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】急性ストレス障害を患わせて強制わいせつ致傷罪で逮捕

2022-11-05

京都市中京区で起きた強制わいせつ致傷事件を基に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪について説明します。

事例

京都府警中京署は26日、強制わいせつ致傷の疑いで、京都市伏見区、会社員の男(37)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)抱きついたり胸を触ったりするなどのわいせつな行為をし、在宅療養1カ月の急性ストレス障害を負わせた疑い。
容疑者は「何も言いたくありません」と話しているという。
(後略)

(10月26日 京都新聞 「カラオケ店で女性に抱きつき、胸触った疑い 強制わいせつ致傷容疑で37歳男を逮捕」より引用)

強制わいせつ罪

刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪は、暴行や脅迫により抵抗することを困難にさせた状態でわいせつ行為を行った際に適用されます。

今回の報道からは、容疑者が暴行や脅迫を行っていたかどうかを判断することができませんが、容疑者が被害者に暴行や脅迫を行い、被害者が抵抗できない状態でわいせつ行為を行っていたのであれば、強制わいせつ罪が適用されることになります。

強制わいせつ致傷罪

強制わいせつ致傷罪を大まかに説明すると、強制わいせつ罪を犯した際に、人に傷害を与えた場合に成立する犯罪が強制わいせつ致傷罪です。

今回の報道によると、容疑者は強制わいせつ致傷罪の容疑で逮捕されていますが、逮捕容疑が強制わいせつ罪ではなく強制わいせつ致傷罪であることに疑問を持たれた方もいるのではないでしょうか。

傷害といえば、身体にけがを負った場合を思い浮かべると思います。
しかし、実際は「傷害」とはけがを負った場合だけでなく、精神を傷つけられ精神病などを患った場合も「傷害」にあたります。
ですので、急性ストレス障害を負わせた場合も「傷害」にあたることになります。

報道内容によると、容疑者は被害者にわいせつ行為を行い、そのわいせつ行為によって被害者の精神を傷つけ急性ストレス障害を負わせたということを疑われているようです。
容疑者が強制わいせつ罪に当たる行為をしており、それによって被害者が急性ストレス障害を患ったのであれば、強制わいせつ致傷罪が成立すると考えられるため、こうした容疑をかけられているのでしょう。
ただし、そもそも容疑者が強制わいせつ罪に当たる行為をしていないといった場合や、強制わいせつ罪に当たると考えられる行為と被害者の急性ストレス障害の間に因果関係が認められないといった場合には、強制わいせつ致傷罪は成立しないということになると考えられます。

強制わいせつ致傷罪強制わいせつ罪よりも法定刑が重く、有罪になれば、無期または3年以上の懲役が科されることになります。(刑法第181条1項)

強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪はどちらも罰金刑の定めがなく、有罪になってしまえば執行猶予付き判決を獲得しない限り懲役刑が科されることになります。
ですが、示談の締結などにより、不起訴処分や執行猶予の獲得を望める場合があります。
示談交渉を行う際には、トラブルなどを回避するためにも、弁護士を付けることが望ましいでしょう。

示談交渉でお困りの方や強制わいせつ罪強制わいせつ致傷罪で逮捕、捜査されている方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】京都府宇治市 傷害罪と傷害致死罪

2022-10-27

京都府宇治市で起きた刑事事件を基に、傷害罪傷害致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府宇治署は23日、傷害の疑いで、京都府宇治市の男(44)を逮捕した。
逮捕容疑は(中略)男性(72)の顔を足で蹴り、頬や額に打撲などのけがを負わせた疑い。
同署によると、男性は病院で容体が急変し約9時間後に死亡した。
(後略)

(10月24日 京都新聞「同じアパートの住人に傷害疑い逮捕 蹴られた男性9時間後に死亡 京都・宇治」より引用)

傷害罪

簡単に説明すると、人に暴行を加えてけがを負わせた場合、傷害罪に問われることになります。

報道によると、容疑者は被害者の顔を足で蹴り、被害者の頬や額に打撲などのけがを負わせたとされています。
人を蹴る行為は暴行にあたりますし、その暴行の結果打撲などのけがを負わせているので、報道されている行為は傷害罪に該当します。

報道では容疑者の認否が明らかにされていませんが、報道が事実であり、傷害罪で有罪になった場合は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。(刑法第204条)

傷害致死罪と殺人罪

今回の事例では、被害者が9時間後に死亡しています。
先ほど、今回の事例の行為は傷害罪に該当すると書きましたが、被害者の死因が容疑者の暴行によるものであった場合、傷害致死罪殺人罪が適用される可能性があります(現時点では、捜査は傷害致死罪の容疑に切り替えられているようです:参考記事)。

では、傷害致死罪殺人罪は何が違うのでしょうか。

傷害致死罪殺人罪の違いを簡単に説明していきます。

傷害致死罪は傷害の結果、人を死なせてしまった場合に適用される犯罪です。
一方で殺人罪は殺意をもって、人を殺した場合に適用されます。

傷害致死罪殺人罪は、どちらも加害者の行為により人が死んだ場合に適用されます。
しかし、傷害致死罪殺人罪には明確な違いがあります。
殺人罪が適用されるためには、加害者が被害者に対して殺意をもっている必要があります。
一方で、傷害致死罪の場合は、加害者が被害者に暴行を加えけがを負わせた結果、死んでしまった場合に適用されますので、殺人罪のように殺意をもっている必要はありません。

ですので、今回の事例の容疑者が殺意をもって被害者の顔を蹴り、殺したのであれば殺人罪が、殺意がなく単に傷害の結果被害者が亡くなったのであれば傷害致死罪が適用されることになります。
(※報道では認否や死因が記載されていないため、報道内容が事実であり、被害者の死因が容疑者の暴行であった場合を仮定しています。)

傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役(刑法第205条)、殺人罪の法定刑は死刑または無期もしくは5年以上の有期懲役(刑法第199条)です。
傷害致死罪とは違って殺人罪の場合は死刑や無期懲役が科される可能性があります。
殺人罪の場合、殺意をもっていたことが重要になりますので、裁判で殺意がなかったと判断されれば傷害致死罪など、殺人罪以外の罪が適用されるでしょう。

また、殺人罪傷害致死罪はどちらも、被害者の死因が加害者の行為によらなければなりませんので、因果関係が認められなかった際にはどちらの罪にも問われない場合があります。

こうした、容疑をかけられ得る犯罪・成立し得る犯罪が複数考えられるケースでは、そのポイントを抑えながらの対応が必要になります。
専門家である弁護士のフォローを受けながら対応することで、スムーズな対応が期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
殺人罪、傷害致死罪、傷害罪でお困りの方は刑事事件に強い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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