Archive for the ‘刑事事件’ Category

【事例紹介】重要文化財を損傷 公務執行妨害罪・文化財保護法違反

2022-12-20

重要文化財を損傷した疑いのある男性が公務執行妨害罪の容疑で逮捕された事件を基に、公務執行妨害罪と文化財保護法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

15日午前4時半ごろ、京都市南区九条町の東寺(教王護国寺)で、「門をたたいている男がいる」と警備員が110番した。京都府警南署の署員が駆け付けると、男がつばを吐きかけたため、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕した。
南署と東寺によると、重要文化財の南大門で、男はワインボトルのようなものでたたいていたという。壁面には複数の傷が付いており、同署は文化財保護法違反の疑いでも捜査する。
(後略)

(12月15日 京都新聞 「世界遺産の東寺、ワインボトルでたたかれ門損傷か 京都府警、男を逮捕」より引用)

公務執行妨害罪

刑法第95条1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行または脅迫を加えた者は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪は、簡単に説明すると、暴行や脅迫を行って公務員の職務を妨害した場合に成立します。

人に対して故意に有形力を行使することが、刑法で言う「暴行」になります。
例えば、今回の事例で報道されているようなつばを吐きかける行為は有形力の行使にあたります。
報道によると、容疑者は通報により駆け付けた警察官に対してつばを吐きかけたとされていますので、容疑者の行為が事実であれば、公務執行妨害罪が成立することになります。

実際に、静岡県で職務質問中の警察官の顔につばを吐きかけた事件でも公務執行妨害罪の容疑で逮捕されています。
(2022年4月10日 あなたの静岡新聞 「警察官の顔に唾吐きかける 公務執行妨害の疑いで男逮捕 清水署」より)

文化財保護法

文化財保護法第195条1項
重要文化罪を損壊し、毀損し、または隠匿した者は、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処する。

今回の事例では、容疑者がワインボトルのようなもので重要文化財である南大門をたたいていたと報道されています。
また、壁面には複数の傷が確認されていますので、容疑者が実際にワインボトルのようなもので南大門をたたき、傷をつけたのであれば、容疑者は重要文化財を毀損したことになります。
重要文化財を毀損すると文化財保護法違反になりますので、報道が事実であり、なおかつ容疑者が文化財保護法違反で有罪になってしまった場合には、5年以下の懲役か禁錮もしくは100万円以下の罰金が科されることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
早期に弁護士をつけ検察官や裁判官に働きかけを行うことにより、勾留の阻止や釈放を目指せるかもしれません。
ご家族が逮捕された方、公務執行妨害罪や文化財保護法違反などの刑事事件でお困りの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービスや無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にお電話ください。

【事例紹介】他人のau PAYアカウントを不正利用し逮捕された事例

2022-12-17

他人名義のau PAYアカウントでたばこを買った容疑で逮捕された事例を基に、詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

電子決済サービス「au PAY」の他人名義のアカウントで不正に買い物をしたとして、京都府警サイバー犯罪対策課と南署は6日までに、詐欺の疑いで、住所不定、香港人の男(26)を逮捕した。
逮捕容疑は、大阪府吹田市のアルバイトの男(28)=詐欺罪で起訴=らと共謀し、5月25日、大阪市福島区のコンビニで、京都市北区の60代男性名義の「au PAY」決済用画面を提示し、たばこ3カートン(約1万7千円)を購入してだまし取った疑い。
(後略)

(12月6日 京都新聞 「他人名義「au PAY」アカで買い物疑い 香港人の男、関空で逮捕」より引用)

詐欺罪

刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪を簡単に説明すると、相手の財産交付に関する判断に影響を及ぼすようなうそをつき、欺いた相手から財物を交付されると成立します。

今回の事例では、容疑者が他人名義のau PAY決算画面を提示し、コンビニでたばこ3カートンを購入したと報道されています。
au PAYを提供しているKDDIでは、au PAYを登録している本人以外が利用することを禁止しています。
ですので、au PAY決済画面を用いて買い物をする場合、本人以外はその決算画面を利用できる資格を持っていないことになります。

しかし、報道によると容疑者は他人のau PAY決済画面を提示することで、たばこ3カートンを購入したとされています。
報道のとおり、購入の際に他人名義の決済画面を用いたのであれば、容疑者は購入に用いたau PAYを利用する資格を持っていなかったことになります。
au PAYの決済画面を会計時に提示することは、au PAYを利用できる資格を持っていると店員に示すことになりますから、実際に利用する資格のない容疑者が他人の決済画面を提示したのであれば店員にうそをついたことになります。

また、そういった場合に、店員が客がau PAYを不正利用していることを知っていれば、商品を販売していなかったでしょう。
ですので、報道が事実である場合には、容疑者はコンビニ店員に対して、財物=商品を交付させる判断に影響を及ぼすようなうそをつき、欺いた店員から財物(たばこ)を交付されているので、詐欺罪が成立するといえます。

他人名義のau PAYを不正利用した場合の裁判例

他人名義のau PAYを不正利用し、詐欺罪に問われた事件の裁判例をご紹介します。
(ご紹介する裁判例は、今回の事例と事件内容などが少し異なります。)

他人名義のau PAYの決済画面を用いて、コンビニで加熱式たばこ10カートンを購入した事件では、被告人に懲役2年執行猶予5年が言い渡されました。
(12月9日 京都新聞 「他人名義「au PAY」で買い物、中国籍の男に執行猶予判決 京都地裁」より)

ご紹介した裁判例は今回の事例と同様に、他人名義のau PAYの決済画面を用いて、たばこを購入しています。
裁判例では詐欺罪の成立が認められていますので、報道内容が事実であった場合には、今回の事例の容疑者も詐欺罪が認められ、有罪判決が下される可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
詐欺事件の豊富な弁護経験を持つ弁護士に相談をすることで、事件の見通しや手続の流れ、可能な弁護活動などを把握することに役立ちます。
弊所では初回接見サービス、無料法律相談を行っております。
ご予約は0120ー631ー881で24時間受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

【事例紹介】強盗の準備を行い強盗予備罪で逮捕された事例

2022-12-15

京都市伏見区のコンビニで起きた強盗予備事件を基に、強盗予備罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

コンビニ強盗の準備をしたとして、京都府警伏見署は26日、強盗予備の疑いで、住所不詳の解体工の男(26)を逮捕した。男は、コンビニに入店した後、トイレ内から自ら「強盗する」と110番していた。
逮捕容疑は、26日午前3時55分ごろ、京都市伏見区のコンビニで、カッターナイフ(刃渡り5センチ)を持って強盗の準備をした疑い。
(後略)

(2022年9月26日 京都新聞 「コンビニのトイレから「強盗する」110番 カッター所持、強盗予備疑いで男逮捕」より引用)

強盗予備罪

刑法第237条
強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。

強盗の目的で、強盗に使用する凶器の準備などを行った場合は、強盗予備罪が適用されます。
強盗自体を実行していなくとも、その準備をするだけ強盗予備罪という犯罪になることに、驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の事例の男性は強盗の目的でカッターナイフ(凶器)を準備したとして、強盗予備罪の容疑で逮捕されています。

建造物侵入罪

今回の事例の容疑者は、前述の通り強盗予備罪の容疑で逮捕されたようですが、他にも、建造物侵入罪にあたる可能性があります。

建造物侵入罪は刑法第130条で規定されており、正当な理由なく建造物に侵入した場合に成立します。

コンビニは建造物にあたりますので、今回の事例の容疑者がコンビニに入店する正当な理由がなかった場合には、建造物侵入罪に問われることになります。
コンビニに入店する正当な理由として考えられるのは、買い物や公共料金の支払いなどでしょう。
今回の事例の容疑者は、強盗を行うためにコンビニに入店しています。
強盗などの犯罪行為はコンビニに入店する正当な理由であるとはいえないでしょう。
ですので、容疑者は正当な理由なく建造物に侵入したことになり、強盗予備罪だけでなく建造物侵入罪にも問われる可能性があります。

実際に、今年の7月静岡県でコンビニに盗撮目的で侵入したとして建造物侵入罪で逮捕された事例があります。(2022年7月24日 静岡朝日テレビ 「「盗撮している人がいる」 盗撮目的でコンビニに入店したか…34歳の男を建造物侵入の疑いで現行犯逮捕 静岡・焼津市」より)

強盗の準備を行っただけであっても強盗予備罪に問われる場合があります。
また、正当な理由なく入店した場合には建造物侵入罪が成立しますので、強盗や盗撮など犯罪行為を目的としてコンビニなどに入店した場合には静岡の事例のように建造物侵入罪に問われる可能性があります。

強盗予備罪で有罪になった際には、懲役刑が科されることになります。
加えて、建造物侵入罪にも懲役刑が規定されていますので、建造物侵入罪で有罪になった場合にも懲役刑が科される可能性があります。
しかし、執行猶予を獲得することができれば、有罪判決となった場合でも刑務所へ行くことを避けられることになります。
執行猶予獲得のためには、被害者への対応だけでなく、その後の再犯防止のための取り組みなど、様々なことを行っていかなければなりませんから、早い段階で弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス、無料法律相談を行っております。
強盗予備罪、建造物侵入罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【解決事例】財布から現金を盗み窃盗事件 不起訴処分に

2022-12-13

事件

Aさんは京都市左京区にあるお店で、忘れ物の財布から現金を盗み、財布を捨てました。
数か月後、Aさんは家を家宅捜査され、京都府下鴨警察署の警察官に窃盗罪の容疑で逮捕されました。
その後、Aさんの家族は弊所の初回接見サービスを利用し、弁護活動を弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に依頼することに決めました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

事件解決のながれ

Aさん本人もそのご家族も、被害者と示談を行うことを望んでいました。
ですので、弊所の弁護士はAさんらの意向に沿い、示談交渉に取り掛かりました。
示談交渉の結果、被害者の方に宥恕付きの示談に応じてもらうことができました。

また、弁護士はAさんへ接見を行い、アドバイスなどを行いました。

アドバイスや宥恕付きの示談が功を奏し、Aさんは不起訴処分を獲得することができました。
不起訴処分を得たことにより、Aさんは刑事罰を受けることなく普段通りの生活を送ることができるようになりました。

ここでいう宥恕とは、被害者の方が加害者の処罰を求めていないことを意味します。
検察官が処分の判断を行う際には、示談締結の有無はもちろんのこと、宥恕の有無も考慮されることになります。

しかし、当事者間での示談交渉は、トラブルを生む可能性がありますので、あまりお勧めはできません。
また、示談の際に示談書を取り交わすことを考えると、不備のない示談書を作成するためにも弁護士をつけることが望ましいといえます。

加えて、弁護士は検察官に処分交渉を行うことができます。
弁護士が検察官に働きかけを行うことによって、不起訴処分などあなたやあなたのご家族にとってより良い結果を得られるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービスを行っています。
ご家族が逮捕された方は、弊所の初回接見サービスをご利用ください。
また、弊所では無料法律相談も行っております。

自首を検討されている方の相談も受け付けておりますので、刑事事件でお困りの方はお気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部へご相談くださいませ。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は0120―631―881にて承っております。

【事例紹介】宗教勧誘を隠し契約 特定商取引法違反で逮捕された事例

2022-12-10

事実を隠して契約の勧誘を行い、クーリングオフの書面を交付しなかったとして逮捕された事件を基に、特定商取引法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

オウム真理教の後継団体「アレフ」に勧誘する目的を隠し、客にヨガの受講契約を結ばせたとして、京都府警公安課と南署などは5日、特定商取引法違反(事実の不告知など)の疑いで、京都市南区の学校職員の女(47)を逮捕した。
逮捕容疑は、2020年2月18日、京都市南区の飲食店で、自身が営むヨガ教室が実際はアレフに勧誘する内容だったのに、男性(22)に事実を告げずに受講契約を結ばせ、クーリングオフなどに関する書類を渡さなかった疑い。「よく分かりません」と容疑を否認しているという。
(後略)

(12月5日 京都新聞 「「地下鉄サリン事件は陰謀」アレフ信者の学校職員、勧誘目的隠して契約疑い逮捕」より引用)

特定商取引法

特定商取引法第6条2項では、訪問販売の際に、商品や提供するサービスの内容などについて事実を隠して契約の勧誘を行うことを禁止しています。

今回の事例では、容疑者は飲食店でヨガ教室が宗教勧誘を行っていることを隠して、被害者男性に契約を結ばせたと報道されています。
報道が事実であれば、容疑者はヨガ教室で提供しているサービスの内容について、宗教勧誘を行っているという事実を隠して、契約の勧誘を行っていることになりますので、特定商取引法に違反しているといえます。

ですので、実際に容疑者が事実を隠して勧誘を行っていた場合には、有罪になってしまうと、3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその両方が科されることになります。(特定商取引法第70条1号)

加えて、報道によると、容疑者はクーリングオフなどに関する書面を被害者に渡していないとされています。
特定商取引法では、訪問販売時に役務(サービス)提供契約の申し込みを受けた際には契約の解除事項に関する書面を交付しなければならないと規定しています。(特定商取引法第4条5号)
ですので、容疑者が報道されているように、クーリングオフに関する書面を被害者に渡していなかったのであれば、容疑者は特定商取引法違反に問われることになります。
報道内容が事実であり、容疑者が特定商取引法違反で有罪になれば、6月以下の懲役または100万円以下の罰金もしくはその両方が科されます。(特定商取引法第71条1号)

今回の事例のように逮捕されてしまった場合は、逮捕後72時間の間に勾留の判断が行われます。
ですので、逮捕されてしまった場合には、勾留の判断が出されるまでの72時間がとても重要になります。
この72時間を過ぎてしまうと、勾留判断前に検察官や裁判官に働きかけることができなくなってしまいます。
釈放を求める機会を逃さないためには、早期に弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弊所では無料法律相談や初回接見サービスを行っています。
ご家族が逮捕された方、特定商取引法違反でお困りの方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】インスタグラムに不正ログインし書類送検

2022-12-08

他人のインスタグラム不正ログインをして不正アクセス禁止法違反の容疑で書類送検された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

知人のインスタグラムに嫌がらせをする目的で不正にログインしたとして、京都府警サイバー犯罪対策課と福知山署は1日、不正アクセス禁止法違反の疑いで、京都府福知山市の無職女性(20)を書類送検した。
府警によると、女性は知人女性のインスタグラムにログインするためのパスワードを名前と生年月日から推測し、入力していた。(中略)
書類送検容疑は、6月4~19日、知人女性のインスタグラムに12回にわたって不正にログインした疑い。「嫌がらせをするためやった」などと容疑を認めているという。

(12月1日 京都新聞 「嫌がらせでわいせつ画像投稿 知人女性のインスタに不正ログイン疑い、女性を書類送検」より引用)

不正アクセス禁止法

アクセスを制限されている者が他人の識別符号(ユーザーIDやパスワードなど)を入力してアクセスできるようにする行為は不正アクセスにあたり、不正アクセス禁止法で禁止されています。

今回の事例では、容疑者は被害者のインスタグラムのパスワードを推測し実際に入力することで、被害者のインスタグラムに不正ログインをしたとされています。
インスタグラムを始めとするSNSでは、ユーザーネームやパスワードを入力させることで、本人以外にログインできないようになっていることが多いでしょう。
しかし、容疑者は、本来であれば被害者のアカウントにログインできないようにアクセスが制限されているにもかかわらず、推測したパスワード(被害者の識別符号)を入力することで、被害者のアカウントに不正にログインしたとされています。
こうした行為は不正アクセスにあたりますので、今回の事例では容疑者が不正アクセス禁止法違反の容疑で書類送検されているということなのでしょう。

今回の事例のように、他人のSNSのアカウントに不正ログインをすると不正アクセス禁止法違反の罪に問われる可能性があります。
もしも不正アクセスを行い、不正アクセス禁止法違反で有罪になった場合には3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることになります。(不正アクセス禁止法第11条)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで、予想される刑事手続の流れや最終的な処分の見通し、適切な対応の仕方などを把握することが期待できます。
不正アクセス禁止法違反や刑事事件でご不安な方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
相談のご予約は0120―631―881でいつでも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

【事例紹介】SMS認証代行でアカウントの不正取得

2022-12-06

SMS認証代行によってアカウントの不正取得を行い逮捕された事件を基に、私電磁的記録不正作出・同供用罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を使った本人確認手続き「SMS認証」を代行し、依頼者にフリーマーケットアプリのアカウントを不正取得させたとして、京都府警サイバー犯罪対策課と田辺署は28日、私電磁的記録不正作出、同供用の容疑で、住所不定、無職の男(24)を逮捕した。
逮捕容疑は、6月9日、携帯電話番号とSMS認証コードを山形県天童市の男子大学生(19)に提供し、大手フリマアプリのアカウントを不正に取得させた疑い。
(後略)

(11月28日 京都新聞 「「SMS認証」代行の男を逮捕 フリマアプリのアカウントを不正取得させた疑い」より引用)

私電磁的記録不正作出・同供用罪

事務処理を誤らせる目的で、事実証明に関する電磁的記録などを不正に作り、提供した場合には、私電磁的記録不正作出・同供用罪に問われることになります。
電磁的記録とは、電子的方式や知覚的に認識することができない記録を指します。
例えば、いわゆるデータはこの電磁的記録に当たるため、今回の事例のフリーマーケットアプリのアカウントなどは、この電磁的記録にあたります。

今回の事例では、容疑者が本人確認手続きであるSMS認証を代行し、アカウントを不正取得させたと報道されています。
SMS認証は本人確認のために用いられるものですので、アカウントの使用者以外がSMS認証を代行することで、間違いなく本人であるという確認を誤らせ、事実証明に関する電磁的記録を不正に作り出したといえます。

また、容疑者が依頼者の代わりにSMS認証(本人確認)を行うことによって、アカウントを使用する本人ではないにも関わらずアカウントを取得してしまっているので、本人確認機能が機能しない(事務処理に誤りが生じている)ことになります。
容疑者は事実証明に関する電磁的記録を不正に作り、本人確認に関して事務処理を誤らせ、その不正に作りだした電磁的記録を依頼者に提供していますので、容疑者の行為は私電磁的記録不正作出・同供用罪にあたります。

私電磁的記録不正作出・同供用罪で有罪になった場合には、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります。(刑法第161条の2第1項)
また、私電磁的記録不正作出・同供用罪は、作った本人だけでなく使用した人も罪に問われますので、今回の事例のSMS認証代行の依頼者も罪に問われる可能性があります。
依頼者が罪に問われ、有罪になった場合にも作り出した本人と同様に、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

SMS認証代行を行うと、私電磁的記録不正作出・同供用罪に問われる場合があります。
犯行の手軽さに反して、有罪になれば懲役刑が科される可能性もあり、私電磁的記録不正作出・同供用罪は刑罰が軽い犯罪とはいえません。
また、現在警察に捜査されていなくても、犯行が発覚してしまえば、今回の事例のように逮捕されてしまうかもしれません。

弊所では、自首を検討している方の相談も受け付けておりますので、私電磁的記録不正作出・同供用罪でお困りの方、自首を検討されている方は、ぜひ数多くの刑事事件を扱ってきた弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】小学生の連れ去り 略取・監禁の容疑で逮捕された事例

2022-12-01

京都府城陽市で起きた小学生の連れ去り事件を基に、略取罪・監禁罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府城陽市で10月、下校中の小学2年の女児が車で一時連れ去られた事件で、京都府警捜査1課と城陽署は24日夜、未成年者略取と監禁の疑いで、城陽市の会社員の男(28)を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。府警は、男が女児を連れ去った目的などを詳しく調べる。
逮捕容疑は、10月5日午後3時15分ごろ、城陽市内の路上で、1人で下校していた小学2年の女児を無理やり乗用車に乗せて連れ去り、約7分間にわたり車内に監禁した疑い。
(後略)

(11月24日 京都新聞 「下校中の小学2年女児を車で連れ去り 容疑で会社員の28歳男を逮捕、京都」より引用)

未成年者略取罪

刑法第224条
未成年を略取し、または誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

略取とは、暴行や脅迫を用いて連れ去ることをいいます。
今回の事例の逮捕容疑である未成年略取罪は、未成年者やその家族などに暴行や脅迫を行い、未成年者を連れ去った場合に成立します。

報道によると、容疑者は被害者を無理やり車に乗せ連れ去ったとされています。
例えば、被害者が歩いているところを突然抱き上げるなどして車に乗り込ませるといった態様であれば、それ自体が暴行であると判断され、暴行によって未成年者を連れ去った=未成年者略取罪が成立すると考えられたのではないかと想定されます。

また、被害者を略取した目的が営利、わいせつ、結婚、生命もしくは身体に加害するためであった場合には、営利目的等略取罪になり、有罪になった場合には未成年略取罪よりも重い、1年以上10年以下の懲役が科されます。(刑法第225条)

監禁罪

刑法第220条
不法に人を逮捕し、または監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

大まかに説明すると、一定の場所に閉じ込めるなどして、被害者をそこから脱出できなくしたり、脱出が著しく困難にしたりした場合、監禁罪が成立します。

今回の事例のように、被害者を車に連れ込んで車を走らせた場合、走行する車内から脱出することは難しいでしょうから、被害者を車に乗せて走る行為も監禁罪にあたります。
報道では認否が明らかになっていませんが、容疑者による一連の行為が事実であった場合には、監禁罪も成立することになるでしょう。

報道が事実であった場合、連れ去った時間が7分間であったとしても、容疑者は未成年略取罪監禁罪に問われることになると。
未成年者略取罪監禁罪はどちらも有罪になってしまうと懲役刑が科されてしまいます。
また、営利目的などで略取したと判断された場合には、未成年者略取罪よりも重い法定刑が科されることになります。

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弁護士に相談することで、釈放や示談締結、不起訴処分の獲得など、良い結果を得られるかもしれません。
未成年略取罪、監禁罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】訪問販売で契約内容を偽り逮捕された事例

2022-11-29

京都府城陽市などで起きた訪問販売で契約内容を偽り逮捕された事例を基に、特定商取引法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

インターネットの光回線を料金の安いアナログ回線に戻すと偽って不当にサービス契約を結んだとして、京都府警生活保安課と城陽署は21日、特定商取引法違反(不実の告知など)の疑いで、札幌市中央区の通信サービス会社社長の男(28)=東京都渋谷区=と、元契約代行業の男(32)=千葉県柏市=を逮捕した。
逮捕容疑は、共謀し、2月26日~3月6日、城陽市の女性(77)ら男女3人の自宅を訪れ、実際には光回線からアナログ回線に戻す工事をしないのに、「回線に戻すと月々1700円の支払いになる」などと事実と異なる説明をした疑い。会社社長の容疑者は「覚えていない」などと容疑を否認しているという。
(後略)

(11月22日 京都新聞 「「ネット光回線を安いアナログに」 架空工事契約、容疑の2人逮捕 2200人被害か」より引用)

特定商取引法

特定商取引法では訪問販売に際して、以下の事項について不実(事実とは異なる内容)の告知を行い契約の勧誘を行うことを禁止しています。(特定商取引法第6条1項)

①商品の種類や性能、品質など
②商品などの販売価格
③商品代金などの支払いの時期や方法
④商品の引き渡し時期や権利などの提供時期
⑤契約の解除など
⑥顧客がその契約を締結する際に必要とする事情
⑦顧客が契約を判断するうえで重要なこと

以上の7つの事項について不実の告知を行った場合や故意に事実を告げなかった場合には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその両方が科されます。(特定商取引法第70条1項)

報道によると、容疑者らは工事を行わないにも関わらず、回線を戻す工事を行うと月々1700円の支払いになると事実とは異なる内容の告知をした疑いで逮捕されています。
容疑者らは事実とは異なった内容で契約の勧誘を行い、勧誘を受けた被害者らは工事を行えば今よりも月々の料金が安くなると判断し、契約を結んだのでしょう。
月々の料金が安くなることは被害者らからすれば契約を考えるうえで重要なことでしょうから、容疑者らは上記でいえばに当たる、顧客が契約を判断するうえで重要なことについて不実の告知を行ったといえます。
報道が事実であれば、容疑者らの行為は特定商取引法違反に該当しますので、有罪になった場合には3年以下の懲役か300万円以下の罰金またはその両方が科されることになります。

今回の事例では、容疑者のうちの1人が容疑を否認しています。
容疑を否認している場合は、逮捕されるリスクや、逮捕・勾留後に接見禁止がつく可能性が高くなります。
逮捕されている場合、連日長時間にわたって取調べが行われることがあります。
連日にわたる長時間の取調べのなか、接見禁止がつき家族であっても面会を許されない状態は体力のみならず精神にも大きな悪影響を及ぼすかもしれません。
加えて、否認を貫くためには多大な体力や精神力が必要になりますので、最後まで否認を貫くことが難しい場合もあります。
こういった中、接見禁止がついている場合でも弁護士は接見を行うことができます。
弁護士と接見を行うことで、余裕をもって取調べに臨めるかもしれません。

また、弁護士は接見禁止の一部解除を裁判所に求めることができます。
接見禁止の一部解除が認められた場合には、認められた人に限り面会や手紙の差入れなどを行うことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
特定商取引法違反で逮捕・捜査されている方、冤罪や接見禁止でお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】舞鶴市のマンションへの放火未遂事件で逮捕

2022-11-24

京都府舞鶴市で起きたマンションへの放火未遂事件を基に、現住建造物等放火未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警舞鶴署は17日、現住建造物等放火未遂の疑いで、京都府舞鶴市の職業不詳の男(43)を逮捕した。
逮捕容疑は1(中略)マンション1階の駐車場で段ボールに火を付け、建物を燃やそうとした疑い。出火に気付いた通行人が消火し、未遂に終わったという。
(中略)同様の不審火が他に計4件発生しており、舞鶴署が関連を調べている。

(11月17日 京都新聞 「段ボールに火を付けマンション放火未遂の疑い、43歳の男逮捕 周辺で同様の不審火発生」より引用)

現住建造物等放火罪

刑法第108条
放火して、現に人が住居に使用しまたは現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船または鉱坑を焼損した者は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役に処する。

現住建造物とは、現在人が生活するのに使っている建物などのことをいいます。
例えば、人が現在住んでいるマンション(現住建造物)に放火すると、現住建造物等放火罪に問われることになります。

現住建造物等放火未遂罪

今回取り上げた事例で、容疑者は現住建造物等放火未遂罪の容疑で逮捕されています。
報道によれば、容疑者はマンション1階の駐車場で段ボールに火をつけたとされています。
ここで、すでに段ボールに火をつけているのであれば、「放火」したことになり、「未遂」ではないのではないかと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
すでに段ボールに火をつけていても「未遂」の扱いになるのでしょうか。

現住建造物等放火罪では、現住建造物等が焼損した場合に既遂として扱われます。
ですので、現住建造物等が焼損していない場合には、「火をつけた」という行為があったとしても「未遂」になります。

では、どのような状態が焼損にあたるのでしょうか。

大正7年3月15日にあった大審院の裁判では、焼損について「焼燬(焼損)とは犯人に依って点せられたる火が媒介物を離れ燃焼の目的たる建造物その他同条列記の物に移り独立してその燃焼を継続する事実を指称する」と判断しています。

ですので、放火犯が放った火が媒介としているもの(今回の事例では段ボール)から離れて、放火したい建物(今回の事例ではマンション)に燃え移り、建物自体が燃焼している場合に、既遂になります。
報道だけではマンションの被害の程度はわかりませんが、逮捕容疑が現住建造物等放火未遂罪であることから、おそらく段ボールに点いた火がマンションには燃え移らなかったか、燃え移ったとしてもマンション自体が独立して燃焼するには至らなかったのでしょう。

現住建造物等放火罪で有罪になった場合には、死刑または5年以上の無期懲役が科されます。
報道だけでは認否がわかりませんが、報道が事実であり、容疑者が現住建造物等放火未遂罪で有罪になった場合にも同様の刑罰が科されるか、未遂による刑罰の減軽が考慮され、それよりも少し軽い刑罰が科されることになるでしょう。

過去には、高知地検中村支部のトイレに火を付け、現住建造物等放火未遂罪に問われた裁判では、被告人に懲役5年の判決が下されています。(2021年6月29日 産経新聞 「放火未遂97歳に懲役5年 裁判員裁判で最高齢被告か」より)
高知県の事例と今回の京都府舞鶴市の事例では、事件内容や被害の程度などが異なりますが、既遂ではなく現住建造物等放火未遂罪であっても懲役5年という実刑判決が下されていることから、大変重い犯罪であるということがお分かりいただけるでしょう。

また、今回の事例では、報道されているマンションでの放火以外にも4件の不審火が発生していると報道されています。
その全てで容疑者が関与しており、立件された場合には、余罪の分重い刑罰が科されるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に強い弁護士事務所です。
今回の事例のように、逮捕されている事件の場合は、早期に弁護活動を行うことが重要になります。
逮捕後すぐに弁護活動を開始できた場合には、検察官が勾留の判断を行う前に、弁護士が検察官に対して働きかけを行うことができます。
そういった検察官への働きかけや、その後の裁判所への働きかけを行うには入念な準備が必要です。
そのためにも、逮捕された場合にはなるべく早く、釈放に向けた弁護活動を行うことが望ましいといえます。
弊所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っております。
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