(事例紹介)他企業へ情報漏えい 不正競争防止法違反で実刑判決

~事例~

スマートフォンなどに用いられるNISSHA(京都市中京区)のタッチセンサー技術の情報を、転職先の中国企業で使用する目的で不正に持ち出したとされる事件で、不正競争防止法違反(営業秘密領得、開示)の罪に問われた同社の元社員の男(45)の判決公判が17日、京都地裁であった。入子光臣裁判長は懲役2年、罰金200万円(求刑懲役3年、罰金300万円)の実刑判決を言い渡した。

起訴状によると、2017年10~12月、兵庫県内のNISSHAの子会社などで、同社のサーバーコンピューターにアクセスし、複数回に渡って営業秘密である同社製品の設備仕様書のデータを自身のハードディスクに複製。18年1月以降、中国で競合企業の従業員にデータの画像を送信したとしている。

公判で弁護側は、多くの社員らにデータへのアクセス権限が与えられており、秘密とは認められないなどとして無罪を主張していた。

(※2021年3月17日13:07京都新聞配信記事より引用)

~情報漏えいと不正競争防止法違反~

不正競争防止法は、事業者間の公正な競争などを確保するための法律です。
大まかにいえば、「ずるをして競合他社との競争に勝つようにする」といったことがこの不正競争防止法によって禁止されているイメージをしていただくと分かりやすいかもしれません。

今回の事例では、被告人の男性は、営業秘密の領得・開示による不正競争防止法違反の罪に問われ、有罪となり、実刑判決を受けたと報道されています。
営業秘密の領得や開示については、不正競争防止法で以下のように禁止されています。

不正競争防止法第21条第1項
次の各号のいずれかに該当する者は、10年以下の懲役若しくは2,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第3号 営業秘密を営業秘密保有者から示された者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、次のいずれかに掲げる方法でその営業秘密を領得した者
ロ 営業秘密記録媒体等の記載若しくは記録について、又は営業秘密が化体された物件について、その複製を作成すること。

第4号 営業秘密を営業秘密保有者から示された者であって、その営業秘密の管理に係る任務に背いて前号イからハまでに掲げる方法により領得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、使用し、又は開示した者

第5号 営業秘密を営業秘密保有者から示されたその役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。次号において同じ。)又は従業者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、その営業秘密を使用し、又は開示した者(前号に掲げる者を除く。)

第6号 営業秘密を営業秘密保有者から示されたその役員又は従業者であった者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その在職中に、その営業秘密の管理に係る任務に背いてその営業秘密の開示の申込みをし、又はその営業秘密の使用若しくは開示について請託を受けて、その営業秘密をその職を退いた後に使用し、又は開示した者(第四号に掲げる者を除く。)

簡単に言えば、会社で営業秘密として秘密にされているものを侵害した場合に、これらの条文に違反する不正競争防止法違反となります。
そのため、これらの条文に違反する不正競争防止法違反営業秘密侵害罪と呼ばれることもあります。
営業秘密を持ち出すことが許されてしまえば、いわゆる企業スパイ・産業スパイのような行為も許されてしまうことになってしまい、企業の公正な競争は望めなくなってしまいます。
こうしたことから、営業秘密の侵害は不正競争防止法で禁止されているのです。

今回の事例では、営業秘密にかかる情報を被告人の男性が持ち出し、競合他社に開示したということから、不正競争防止法違反の罪に問われ、実刑判決を言い渡されたという流れになっています。
先ほど挙げた条文では、営業秘密の侵害、情報漏えいによる不正競争防止法違反は「10年以下の懲役若しくは2,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」することとなっていますが、今回の事例では懲役2年、罰金200万円の判決が下っており、懲役刑と罰金刑が併科されています。
設定されている刑罰が重いこともあり、態様によっては今回の事例のように実刑判決が下る場合もあります。
弁護士に相談し、捜査段階からサポートを受けることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、不正競争防止法違反事件を含めた刑事事件に対応しています。
情報漏えいによって警察から呼び出されている、不正競争防止法違反で逮捕されてしまったといった状況でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

次回の記事では、不正競争防止法の「営業秘密」について取り上げます。

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