Archive for the ‘刑事事件’ Category

ブランド品のバッグを売ると偽りSNSで知り合った相手から代金を騙しとったとされる事例

2024-02-09

ブランド品のバッグを売ると偽りSNSで知り合った相手から代金を騙しとったとされる事例

犯罪行為で得たお金

ブランド品のバッグを売ると偽りSNSで知り合った相手から代金を騙しとったとされる事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府右京警察署によると、京都市内に住む会社員の女性Aが、SNS上で知り合ったフォロワーに対して、有名高級ブランド品のバッグを売ると偽り、その代金として50万円を騙し取った疑いが持たれている。
被害に遭った女性のフォロワーは、代金を振り込んだ後にAから連絡があまり返ってこなくなり、一向にバッグも送られてこないことを不審に思い最寄りの警察署に被害届を提出したことで事件が発覚した。
Aが京都府右京警察署からの出頭要請を何回も無視したため、逃亡の恐れありとしてAは逮捕された。
女性Aは、「騙すつもりはなく本当に約束のバッグを調達して送るつもりだった」「今回は、バッグの調達予定先が在庫切れとなり、バッグを仕入れることができなくなったため代わりの調達先を探していたため遅くなっただけ」として容疑を否定している。
(フィクションです)

詐欺罪とは

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

「人を欺いて財物を交付させた」というのは、①被害者を欺いて(欺罔行為)、②それにより被害者が錯誤に陥り、③その錯誤に基づいて被害者が処分行為を行い、④その処分行為により財物が行為者に移転する、ということを意味します。
上記の4つの要件が満たされていた場合に、詐欺罪は成立します。

欺罔行為はあったのか?

本件では、Aは有名高級ブランドのバッグをフォロワーに渡すと言っておきながら、いまだに引き渡していないようです。
そのため、被害者とされるフォロワーは、自分は騙された、詐欺に遭ったんだと考えて警察に被害届を提出したという経緯です。
Aがしたことは詐欺罪にあたるのでしょうか?

詐欺罪が成立するためには、少なくとも上記①〜④にあたる事実が全て必要です。

①の欺罔行為とは、財物の交付に向けて人に錯誤に陥らせることをいい、その内容は財物の交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ることであるとされています。

仮に、Aがはじめから約束のバッグを引き渡すつもりがなく取引を持ちかけ現金50万円を受け取ったとします。
この場合、Aは、50万という現金を自分の口座に振り込ませるために、被害女性を、バッグが手に入るという錯誤に陥らせています。
バッグが手に入らないのであれば50万をAに振り込むことはなかったでしょうから、財物交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ったということになりそうです。
したがって、Aによる欺罔行為があったことになり詐欺罪が成立することになりそうです。

ところが、本件では、Aは取調べに対して、容疑を否認しており、騙すつもりはなかったと言っています。
約束のバッグを本当に引き渡すつもりであったとのことなので、50万円の振込をするという判断の基礎となる重要な事項を偽ったわけではないことになります。
したがって、Aの主張が認められれば、欺罔行為は存在しないため詐欺罪が成立することもなさそうです。

結局、本件で詐欺罪が成立するかどうかは、Aの騙すつもりはなかったという主張が認められるかどうかにかかっているといえそうです。

出頭要請にどう対処すればよかった?

それでは、Aは本件でどのような行動を取ればよかったのでしょうか?
Aは、警察からの度重なる出頭要請を無視した結果、逮捕されています。
Aとしては、自分が詐欺をしたとは思っていないわけですから、警察に行く必要はないと考えたのかもしれません。
しかし、出頭要請を無視すると逃亡のおそれありとして逮捕されることがありますし、実際に逮捕されていますから、出頭要請を無視するのは得策ではなく、出頭すべきであったと言えるでしょう。

ただし、出頭するにしても何も準備しないで行くのはやはり得策ではありません。
出頭した場合、捜査機関からの取調べを受けることになります。
捜査機関が、すでにAが怪しいと考えていた場合、取調べにおいて、詐欺をしたと認めるように誘導してくる可能性もあります。
このような誘導に乗ってしまい、その発言を文書化した供述調書にサインをし、裁判になった際に証拠として使われた場合、これを覆すのは非常に困難です。

なるべく早く弁護士に相談を

したがって、出頭する前に、取調べで、何を認めて何を認めないのか、きちんと整理しておくことが重要となります。
このような判断を十分な法律の知識なしに適切に行うことは、非常に困難です。
そこで、法律のプロである弁護士に相談することをお勧めします。

以上をまとめると、Aは、出頭要請を受けた段階ですぐに弁護士に相談して、取調べにどう対処するか準備をした上で出頭すべきであったと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、詐欺罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に事前に相談して取調べのアドバイスを得ることで、逮捕されるのを防げるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

ピザ屋に大量の注文をして受け取りに行かなかった偽計業務妨害罪の事例

2024-02-07

​​ピザ屋に大量の注文をして受け取りに行かなかった偽計業務妨害罪の事例

電話する人

ピザ屋に大量の持ち帰りの注文をして、受け取りに行かなかったとして、偽計業務妨害罪の疑いで男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府南警察署によると、京都市内に住む無職の男性(35)が、近所のピザ屋に大量の持ち帰りピザの注文をしておきながら時間になっても来店せずに無断キャンセルした疑いが持たれている。
京都府南警察署は、男を偽計業務妨害罪の疑いで逮捕した。
取調べに対し男は、「ピザ屋の配達員がデリバリーの際に、ショートカットのため男の私有地を横切っていることに普段から腹が立っていた。ピザ屋を困らせてやろうと思って嘘の注文をした。」と容疑を認めている。
(フィクションです。)

偽計業務妨害罪とは

刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法233条は、信用毀損罪偽計業務妨害罪という2つの犯罪を規定しています。
同条の「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人(…)の業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」という箇所が偽計業務妨害罪にあたります。

偽計業務妨害罪の妨害手段は、①虚偽の風説を流布することと、②偽計すなわち人を騙したり誘惑したり、あるいは人の勘違いや不知を利用することです。
本件では、男は、ピザ屋に大量の持ち帰りピザの注文をしておきながら時間になっても来店せずに無断キャンセルしたとされています。
男は、ピザを注文することであたかも代金を支払う客であるかのように装い、ピザ屋を騙しています。
したがって、男は偽計を用いたと言えそうです。

「業務を妨害した」と言えるか

偽計業務妨害罪が成立するためには、偽計を用いるなどして「業務を妨害した」と言える必要があります。
もっとも、判例によると現実に業務活動が阻害されたことは必要ではなく、業務活動が阻害されるおそれがあると言えれば良いとされています(大判昭和11年5月7日、最判28年1月30日)。
「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づき継続して従事する事務をいいます(東京高裁昭和35年6月9日)。
例えば、職業として行われる活動がこれにあたり、ピザ屋ですと、ピザの製造のほか、仕込み作業、締め作業など多岐にわたります。
本件では、男による大量のピザの注文に応えるため、相当数のスタッフをピザの製造に割り当てています。
男の偽計がなければ、仕込みや清掃などの他の仕事を進めることができたと言えます。
また、男は大量のピザを受け取りに来なかったので、これらのピザを店舗は処理する必要が生じています。
男の偽計がなければ、定時までに終わらせていた締め作業を終わらせることができない可能性が生じています。
したがって、男は、ピザ屋の業務を妨害したと言えそうですから、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。

弁護士に相談して事件の早期解決を

偽計業務妨害罪は被害者が存在する犯罪です。
したがって、事件を早期に解決するためには、被害者と示談を成立させることが、重要となります。
本件では、男の注文によりピザ屋に損害が発生していますから、真摯な謝罪をした上で、被害額を含む示談金をお支払いして示談を成立させることができるかどうかが、男性の未来を左右することになるでしょう。

仮に被害届提出前に示談が成立すれば、警察沙汰にならずにすむかもしれません。
事件化した後に示談が成立した場合でも起訴前であれば、不起訴処分となるかもしれません。
不起訴処分となれば前科がつくこともありません。

もっとも、大量の注文にもかかわらず代金を支払ってもらえなかった被害者からすると、加害者に対して強い処罰感情を有しているのが自然ですから、示談交渉に応じてくれない可能性があります。
そこで、示談交渉は交渉のプロである弁護士にお任せすることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、偽計業務妨害事件を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、事件化や起訴を防ぐことができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて受け付けております。

同僚に誘われて違法賭博をしたところ逮捕された事件

2024-01-31

同僚に誘われて違法賭博をしたところ逮捕された事件

取調べを受ける男性

同僚に誘われて違法賭博をしたところ逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都市内に住む会社員の男性Aは、普段から常習的に賭け麻雀をしていた会社の同僚Bに誘われて断りきれず賭け麻雀に参加したところ、店舗が摘発され同僚と一緒に逮捕された。
京都府下京警察署によると、Aは、5万円ほどを賭けて麻雀をしていた容疑が持たれている。
Bは、以前に常習賭博罪の前科があった。
(フィクションです。)

賭博罪とは

賭博とは、偶然の勝ち負けによって財産を得るか失うかを争うことを言います。
刑法は、賭博をした者について、185条と186条1項を用意しています。

刑法185条
賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

刑法186条1項
常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。

185条は単純賭博罪と呼ばれ法定刑が「五十万円以下の罰金又は科料」であり懲役刑が規定されていないのに対し、186条1項は常習賭博罪と呼ばれ「三年以下の懲役」が規定されているので、常習賭博罪で有罪になった場合は懲役刑に処される可能性があります。
両者はともに、賭博をした場合に成立する犯罪ですが、常習賭博罪は、反復して賭博行為をする習癖のある者賭博をすることにより成立する犯罪です。

本件では、AとBが逮捕されていますが、賭博の常習者であるかどうかで刑罰は大きく異なります。
常習として賭博したか否かは、賭博行為の種類、賭けた金額、賭博の行われた期間・回数、前科の有無などを総合的に考慮して判断されます(最判25年3月10日集刑16号767頁)。
本件では、Bは、常習賭博罪前科があり、普段から賭け麻雀をしているようなので、常習者であると評価される可能性が高いでしょう。
それに対し、Aは今回が初めての参加であるため、成立する犯罪は、常習賭博罪ではなく単純賭博罪となりそうです。
単純賭博罪の場合、適切な弁護活動がなされれば、Aに関しては、微罪処分不起訴処分となる可能性があります。

共犯

ところで、AとBは同じ卓を囲んで賭け麻雀をしていたようですので、一緒に同じ犯罪を犯したと言えそうです。
刑法60条は、「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」と規定しています。
本件で、刑法60条が適用され、Bのした常習賭博罪が正犯にあたり、Aにも常習賭博罪が成立することはないのでしょうか?
結論からいうと、通説によれば、そのようなことにはなりません。
Aのような賭博の常習性がない者と、Bのような賭博の常習性がある者とが、共同して賭博を行った場合、前者には単純賭博罪が、後者には常習賭博罪がそれぞれ成立すると理解されています(条解刑法<第4版>552頁)。

弁護士に相談を

捜査機関は、AがBと同僚であり一緒に賭け麻雀をしていたこと、Bが賭博の常習者であることからAについても賭博の常習者と考えているかもしれません。
その場合、捜査機関は逮捕後の取調べで、Aに常習性を認めるかのような供述をするよう誘導してくる可能性があります。
仮に、常習性を認めるかのような供述をして、その供述を文書化した供述調書にサインしてしまった場合、裁判になってこれを常習性を覆すのは非常に困難です。

したがって、取調べ前に、認めることと認めないことの線引きをしておくことが重要となります。
このような判断を十分な法律の知識なしに適切に行うことは、非常に困難です。
そこで、法律のプロである弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、賭博罪を含む刑事事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に事前に相談して取調べのアドバイスを得ることで、常習賭博罪の嫌疑を晴らすことができるかもしれません。
また、単純賭博罪についても微罪処分不起訴処分に落ち着かせることができるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

金庫の金を脅し取った男を強盗罪で逮捕

2024-01-28

金庫の金を脅し取った男を強盗罪で逮捕

ハンマーを振りかざす男性

金庫の金を脅し取った男が強盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府上京警察署は、無職の男性(34)を強盗罪の疑いで逮捕した。
男は、深夜に包丁を持って一人暮らしの女性宅に侵入し、物音に気づいて起床した女性に刃物を突きつけながら「家にある現金を全てだせ。出すまで刺すぞ」と脅し、金庫に入っていた50万円を奪って逃走した疑いが持たれている。
(フィクションです。)

強盗罪とは

刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

強盗罪は、量刑が5年以上の有期懲役ですから、非常に重たい犯罪の1つです。
例えば、他人を凶器で殴ったり、脅したりして抵抗することを難しくさせ、無理やりに財産を奪うような行為が強盗罪にあたります。

このような行為がなされると、被害者が死亡したり怪我をしたりといったことが非常に発生しやすいと言えますから、とても危険で悪質な犯罪と言えます。
強盗罪に当たる行為が、単に人の財産に対する侵害行為にとどまらず人の生命・身体・自由に対する侵害行為という側面も有するため重い刑が課されます。

手段としての「暴行又は脅迫」

一般に暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは害悪の告知を言います。
しかし、暴行・脅迫を犯罪行為の一部としている犯罪は暴行罪恐喝罪などたくさんあり、各犯罪によってその意味は微妙に異なるものと理解されています。

強盗罪の場合、暴行・脅迫は財物を無理やり奪い取る手段として規定されていますから、本罪における暴行とは、反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使を意味し、脅迫とは、反抗を抑圧するに足りる程度の害悪の告知を言います。
また、反抗を抑圧するに足りる程度とは、簡単にいうと、抵抗することが困難な程度のことをいいます。
問題となった行為が、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫であるか否かは、「社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものかどうか」という客観的基準によって決せられます(最判昭和24年2月8日)。

この判断は、暴行又は脅迫の態様、行為者及び被害者の状況、日時や場所などを総合考慮して判断されます。
特に暴行又は脅迫の態様が重視されます。
例えば、加害者が殺傷能力の高い凶器を使用した場合には、社会通念上一般に被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行又は脅迫と判断される可能性が高くなります。

本件では、男は、現金という財物を手に入れようとして、被害者の女性に対し包丁を突きつけています。
寝起きの無防備な女性が、自分よりも力の大きい男性に包丁という殺傷能力の高い凶器を突きつけられた場合、反抗するのは困難と言えます。
したがって、男の包丁を突きつける行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の有形力の行使、すなわち強盗罪における暴行にあたりそうです。

また、男は被害女性に対し、現金を出さないと包丁で刺すと脅しています。
包丁で刺すというのは身体に対する害悪の告知であり、上述のように、被害女性が男に反抗するのは困難でしょうから、強盗罪における脅迫にもあたりそうです。

結局、本件で男は、暴行脅迫を用いて現金50万という他人の財物を奪ったと言えそうですから、強盗罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士に相談を

強盗罪の量刑は5年以上の有期懲役です。
執行猶予がつくためには懲役刑の場合は下される量刑が3年以下である必要がありますから、本件の男のように強盗罪を犯した場合、執行猶予がつくことは諦めざるを得ないのでしょうか?

実は、被害者に真摯に謝罪して示談が成立していれば、刑の減軽がされ、3年以下の懲役が下される可能性があります。
この場合には、執行猶予がつく可能性があります。
したがって、示談を成立させることができるかどうかが重要となります。

もっとも、本件のように、凶器を突きつけてきた加害者から謝罪がしたいと言われたとしても、被害者はこれに応じてくれる可能性は低いでしょう。
被害者としては、非常に怖いと思っているでしょうし、加害者に対する処罰感情も強いでしょうから、加害者が直接接触しようとするのは得策ではありません。 
そこで、弁護士に示談交渉を一任されることをおすすめいたします。加害者を断固拒絶している被害者も、弁護士とであれば連絡を取ることに応じてくれるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、強盗事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を減軽させたり、執行猶予付判決を得たりすることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

盗品の時計を買い取ったとして逮捕された事件

2024-01-26

盗品の時計を買い取ったとして逮捕された事件

犯罪行為で得たお金

盗品の時計を窃盗犯である友人から、盗品であると知りながら買い取ったとして逮捕された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事案

京都府中京警察署は、盗品等有償譲受け罪の疑いで、京都市内に住む会社員の男性(30)Aを逮捕した。
Aが友人から購入した時計は、先日京都市内で発生した時計店で盗まれたものの1つで、売主である友人はすでに逮捕されている。
問題の時計の相場は中古品で100万円ほどだが、Aは85万円で譲り受けたとされている。
取調べに対し、Aは、「盗品であることは知らなかった。相場より安いかもしれないが、もともと友人には金を貸していて利子を取っていなかったし、友達価格で売ってもらっただけ。」と容疑を否認している。
(フィクションです。)

盗品等有償譲受け罪とは

刑法256条1項
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
同2項
前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

盗品等有償譲受け罪とは、刑法256条2項が規定する盗品等に関する罪の1つです。
窃盗罪などの犯罪によって持ち主から奪われた物などを、盗品等と知りながら有償で譲り受けるような行為を罰しています。

刑法は、盗品等有償譲受け罪の法定刑を10年以下の懲役「及び」50万円以下の罰金としており、これは窃盗罪の法定刑である10年以下の懲役「又は」50万円以下の罰金(刑法第235条)よりも重くなっています。
窃盗罪を犯した人は、懲役のみが課されるか、罰金のみが課されるかのどちらかですが、盗品等有償譲受け罪はその両方が課されることになります。
これは、窃盗犯は盗んだものを売って現金化することが多いところ、盗品などを有償で譲り受ける人が存在することが、窃盗などの動機付けとなりうるためです。

本件では、男性は、時計を窃盗犯である友人から85万円で買い取ったことまでは認めているようですから、盗品等有償譲受け罪が成立する可能性があります。

盗品であることの認識

盗品等有償譲受け罪故意犯、すなわち、自分のする行為が犯罪であると分かっていながら行為に及んだ場合に犯罪が成立します。

本件で言うと、Aが、時計が盗品であると分かっていながら買い取った場合に盗品等有償譲受け罪は成立します。
逆に、Aが、時計が盗品と知らずに買い取った場合には、犯罪が成立しない可能性があります。

Aは、取調べに対して時計を85万で購入したことまでは認めていますが、盗品であるとは知らなかったと容疑を一部否認しているようです。
時計の相場である100万円より安くAは時計を購入していますから、警察は盗品であるという事情が関係していると疑いっているのかもしれません。

弁護士に早めに相談を

上述のように、盗品等有償譲受け罪の成立には、Aが盗品であると知っていたことが必要ですから、捜査機関は取調べで、この点を明らかにしようとするでしょう。
「相場よりも10万以上安く売ってもらえるということは、何かおかしいと思わなかったのか」「金を無心するほど金に困っていた友人が高価な時計を持っているのはおかしいと思わなかったのか」などと、盗品である可能性を認識していたと受け取れるような供述を引き出そうと誘導してくる可能性もあります。

仮に、取調べ盗品である可能性を認識していたかのような供述をし、その供述を文書化した供述調書にサインしてしまった場合、これを裁判で覆すのは非常に困難です。

したがって、取調べ前に、何を認めて何を認めないのか、しっかり線引きしておくことが重要となります。
このような判断を十分な法律の知識なしに適切に行うことは、非常に困難です。
そこで、法律のプロである弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、盗品等に関する事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に事前に相談して取調べのアドバイスを得ることで、冤罪を防げるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

隣人のバイクを倒して傷つけたとして器物損壊罪の疑いで逮捕

2024-01-25

隣人のバイクを倒して傷つけたとして器物損壊罪の疑いで逮捕

ハンマーを振りかざす男性

隣人のバイクを倒して傷つけたとして器物損壊罪の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府東山警察署によると、京都市内に住む会社員の男性Aが、隣人Bのバイクを蹴り倒してヘッドライトを壊すなどしたとして、同署は、器物損壊罪の疑いで逮捕した。
Aは、Bが深夜に大きな音を立てながらバイクで帰宅することに日頃から腹を立てており、何度注意してもBが反省する様子がなかったため怒りが抑えきれずバイクを蹴ってしまったと、容疑を認めている。
(フィクションです。)

器物損壊罪とは

本件では、男は器物損壊罪で逮捕されています。
器物損壊罪を規定する刑法261条は次のようになっています。
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

冒頭の「前三条」は、公用文書、私用文書、建造物等を壊すなどして使えなくするような行為について、規定しています。
これらの物については、その重要性に鑑みて、刑が器物損壊罪よりも加重されています。
本件では、男は、バイクを蹴って倒して一部破損させているようです。
バイクは文書でも建造物でもありませんから、本件では、器物損壊罪が成立するかが問題となります。

器物損壊罪が成立する行為としては、損壊傷害が規定されています。
損壊とは、財物の公用を害する一切の行為をいいます。
例えば、お皿を割ったり、自動販売機を蹴って凹ませたりするような行為がこれに当たります。
本件では、男がバイクを蹴って倒した結果、ヘッドライトが壊れたようですので、他人の物を損壊したと言えそうですから、器物損壊罪が成立する可能性があります。

ちなみに器物損壊罪における「傷害」とは動物を殺したり、逃したりする行為を言います。

親告罪とは

器物損壊罪は、親告罪すなわち告訴がなければ起訴できない犯罪です(刑法264条)。
告訴とは、被害者などの告訴する権利のある者が、捜査機関に対して、犯罪があったことを告げて犯罪者の処罰を求めることを言います。
本件で言うと、Aに蹴り倒されたバイクの持ち主が警察署に告訴した場合、Aは起訴される可能性があります。

なるべく早く弁護士に相談を

仮に、起訴された場合、有罪となり前科がつく可能性があります。
したがって、被害者に告訴しないでもらうために示談をすることが重要となります。

ただし、加害者が直接被害者と示談交渉を進めることは困難です。
本件のように、自分の大切なバイクを蹴って壊した相手に対して、被害者は強い処罰感情を有していることが多く、連絡を取ることさえ拒絶される可能性があります。
そこで、示談交渉は、交渉のプロである弁護士にお任せすることをおすすめします。

告訴は一度されたとしても、起訴前に取り下げてもらうことができれば、やはり起訴されることはありません。
逆に、起訴された後は告訴を取り下げることはできません(刑事訴訟法237条)。
したがって、なるべく早い段階で弁護士に相談されることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、器物損壊事件を含む豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、起訴されることを防ぐことができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
詳しくは0120-631-881までお電話ください。

美容サロン7店に侵入し約130万円を盗み出した事例

2024-01-21

美容サロン7店に侵入し約130万円を盗み出した事例

窃盗や強盗で手に入れたお金

ポストに置かれていた合鍵を使用して美容サロンに進入し、約130万円等を盗んだとして、窃盗罪建造物侵入罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警捜査3課と下京署などは11日、建造物侵入と窃盗の疑いで、(中略)を逮捕、追送検し、7件、計約131万円の被害を裏付け、捜査を終結したと発表した。
府警によると、(中略)夜間帯に京都市下京区(中略)など7府県で、店舗関係者がテナントビルの集合ポストに置いたままにしていた合鍵を使い、美容サロン7店舗に侵入し、売上金や釣り銭計131万円と、鍵やポーチなど計4点を盗んだ疑いがある。「生活のためにやった」と供述しているという。

(1月11日 京都新聞 「ポストの合鍵使い、美容サロンで窃盗繰り返す 容疑の男「生活のため」」より引用)

窃盗罪

窃盗罪は刑法第235条で規定されています。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は簡単に説明すると、お金などの財物を持ち主の許可なく、自分など持ち主以外の人の所有物にすると成立する犯罪です。

今回の事例では、容疑者がテナントビルの集合ポストに置かれていた合鍵を使用して美容サロンに進入し、売上金や鍵、ポーチなどを盗んだと報道されています。
本来の売上金の持ち主は美容サロンですし、鍵やポーチは美容サロンかその従業員の持ち物でしょう。
容疑者が美容サロンの責任者やポーチ等の持ち主の許可なく美容サロンから持ち去ったのであれば、窃盗罪が成立する可能性があります。

建造物侵入罪

建造物侵入罪は刑法第130条で規定されています。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

住居とは人が普段生活している家などを指し、邸宅は現在人が生活していない空き家や使用していない別荘などを指します。
住居や邸宅以外の建物を建造物といい、お店や学校などの公共施設がこの建造物にあたります。

大まかに説明すると、建造物に正当な理由や管理者の許可なく立ち入ると建造物侵入罪が成立します。

今回の事例では、容疑者は集合ポストに置いたままにされていた合鍵を使用して夜間に美容サロンに進入したとされています。
おそらく容疑者は合鍵を使用する許可や、夜間に施錠された美容サロンに立ち入る許可を得ていないでしょう。
また、物を盗むために立ち入る行為は正当な理由にはならないでしょう。美容サロンは建造物にあたりますから、実際に容疑者が合鍵を用いて美容サロンに入ったのであれば、建造物侵入罪が成立する可能性があります。

窃盗罪と裁判

窃盗罪は身近な犯罪の一つだと思います。
そのため、初犯であれば、実刑判決は下されずに執行猶予が付くと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、悪質性が高かったり、被害額が高額な場合には、初犯であっても実刑になる可能性は十分にあります。
ですので、執行猶予付き判決の獲得に向けた弁護活動が重要になってくる場合があります。

今回の事例では、報道によると被害額は130万円を超えているようですし、7店舗で侵入盗をしているそうなので、悪質性が高いと判断され、もしかすると実刑判決を下されてしまうかもしれません。

では、実刑判決を回避するためにはどういったことをすればいいのでしょうか。

執行猶予付き判決の獲得を目指すうえで、一番初めにしてもらいたいことは弁護士に相談をすることです。
事件の見通しは事案ごとによって異なってきます。
ですので、一度弁護士に相談をして科される可能性のある量刑など、今後の見通しを聞いておくことがかなり重要になります。

また、執行猶予付き判決の獲得を目指すうえで、示談の締結が有利に働くことがあります。
当事者だけで示談をすることは不可能ではありませんが、法律の知識が乏しい中で、示談書を作成することはかなり大変な作業になることが予想されます。
何とか示談書を作成し被害者と交渉を行い示談書に署名等をもらったものの、示談書の内容に法的な穴が散見され示談書としての効力を有しない示談書になってしまうおそれもあります。
そういった事態を避けるためにも、弁護士に示談を任せることをおすすめします。
弁護士が代理人として示談交渉を行うことで、トラブルの回避につながることもありますので、そういった面でも示談交渉を行う際には、弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に精通した法律事務所です。
窃盗事件建造物侵入事件の豊富な弁護経験を持つ弁護士による弁護活動で、執行猶予付き判決を獲得できる可能性がありますので、示談を考えている方、窃盗罪建造物侵入罪でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631―881で受け付けております。

後輩に対してカツアゲした疑いで大学生を逮捕

2024-01-19

後輩に対してカツアゲした疑いで大学生を逮捕

犯罪行為で得たお金

後輩に対してカツアゲした疑いで大学生が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府北警察署は、京都市内の大学に通う男子大学生A(22)を恐喝罪の疑いで逮捕した。
体育会系の部活の4回生であるAは、同じ部活に所属する後輩の1回生Vが部活に遅刻した際に、「部活舐めてんのか!?遅刻した罰金として3万よこせ!金払わないならケツバットな!」などと言って、後輩の財布に入っていた2万円と、銀行から下ろさせてきた1万円の計3万円を受け取ったとされている。
京都府北警察署の取調べに対し、Aは「パチンコの新台を打ちたかったが、お金がなかったので、後輩からカツアゲしようと思った」と容疑を認めている。

カツアゲは犯罪?

刑法249条
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

カツアゲ恐喝罪になる可能性があります。
本件では、Aは、同じ部活に所属する後輩Vに3万円を差し出させています。
3万円という財物を交付させていますから、Aの発言が恐喝に当たるのであれば、恐喝罪が成立する可能性があります。

恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
本件で、Aは、Vに対し、金銭をよこさないとケツバットすると言って後輩を怖がらせています。
ケツバットするというのは、身体に対する害悪の告知ですから、Aの発言は、財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫に該当しそうです(①)。

では、②についてはどうでしょうか?
Aの上記行為は、Vの反抗を抑圧するに至らない程度と言えるでしょうか?
反抗を抑圧する程度の脅迫というのは、例えば、拳銃の銃口を突きつけながら「金を出さないと殺す」などと脅すような場合がこれに当たります。
銀行強盗をイメージするとわかりやすいかもしれません。
この場合、要求に応じないと殺されそうなので、言われた通りお金を差し出すほかないでしょうから、上記脅迫は、反抗を抑圧する程度の脅迫と言えます。

これに対し、本件でのAのケツバットするぞという害悪の告知は、大学に入ったばかりの1回生を怖がらせるのには十分かもしれませんが、反抗を抑圧する程度に至ってはいないと考えられます(②)。
以上より、Aのケツバットするぞという発言は恐喝に当たり、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。

恐喝から現金の交付までの因果関係

加えて、恐喝罪の成立には、次の因果関係が必要です。
①相手方を恐喝し、②それにより相手方が畏怖し、③その畏怖に基づいて相手方が交付行為を行い、④その交付行為によって財物が行為者に移転するという因果関係が必要です。

本件では、AがケツバットするぞとVを恐喝し(①)、それによりVが畏怖し(②)、その畏怖に基づいてVは3万円をAに差し出し、(③)、その交付行為によって財物がAに移転(④)しています。
以上より、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。

なるべく早く弁護士に相談を

カツアゲと聞くと大した犯罪ではないと思われるかもしれせんが、恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役と非常に重たくなっています。
執行猶予がつくためには、量刑が3年以下であることが条件の1つですから、カツアゲをすると実刑判決が下される可能性があります。
仮に執行猶予がつかず実刑判決が下った場合、刑務所に拘束されるため大学に通ったり会社に出勤したりすることはできず、解雇退学処分となることが珍しくありません。
したがって、刑務所での拘束を避けるためには、科される量刑を3年以内に抑えて執行猶予付判決を獲得する必要があります。

では、量刑を3年以内に抑えるには、どうすれば良いのでしょうか?
この点については、被害者との間で示談を成立させることで、量刑を抑えることができる可能性があります。
ただし、カツアゲをした当の加害者が、直接被害者と示談交渉を進めることは通常困難です。
被害者は強い処罰感情を有していることは珍しくありません。
示談交渉のテーブルにつくことすらできないかもしれません。
そこで、交渉のプロである弁護士に第三者的立場から示談交渉をしてもらうことをおすすめします。
さらに、検察官に起訴される前に示談を締結できた場合には不起訴処分となる可能性も存在しますから、できる限り早い段階で弁護士に相談することが極めて重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
相談のご予約のお電話は0120-631-881で承っています。

書店で本を万引きして逮捕された事件

2024-01-17

書店で本を万引きして逮捕された事件

万引き

書店で本を万引きして逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事案

大学生のAは、京都市中京区の書店Bで、週刊誌で連載中の漫画の単行本を鞄の中に入れてお金を支払わずに店の外に出た。
一部始終を見ていた私服警備員はAを呼び止めたところ、Aは、「自分は単行本派なので、最新刊が出たらすぐ読みたいとずっと思っていたが財布にお金がなった。どうしても前刊の続きが気になっていたが、週間連載には手を出さずに我慢していたところなので、つい万引きしてしまった。」と万引きしたことを認めた。
書店Bは、京都府中京警察署に通報し、その後Aは逮捕された。
(フィクションです)

窃盗罪とは

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

窃取とは、他人の占有する財物を、その占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転することを言います。
大まかに説明すると、占有とは物の支配や管理のことを指し、占有者は物の所有者を指します。

占有が認められるのは、客観的要件としての財物に対する事実的支配(客観的支配)と、主観的要件として財物に対する支配意思が必要です。
例えば、自宅に置いてあるゲーム機は、自宅という限られた人しか入れない閉鎖的な支配領域内にあるため、強い客観的支配が認められます。
また、すぐ使えるようにテレビの前などの目に入る場所に置いてあるのであれば、このゲーム機は自分の物だという支配意思も強いと言えるでしょうから、家主に占有が認められます。

本件では、Aは、書店で販売されていた単行本を鞄にいれて店外に持ち出したようです。
Aが持ち出した単行本は、書店の中に置かれていたようですので、書店Bには当該単行本に対して強い客観的支配が認められます。
書店Bは、店内に置いてある商品である単行本に対して、自店舗のものだという強い支配意思を有しているでしょう。
したがって、書店Bは、当該単行本を占有していたと言えそうです。

そして、Aは、当該単行本を代金を支払うことなく外に持ち出したようです。
書店Bは、代金を支払わずに商品を店外に持ち出すことを許してはいないでしょうから、Aは、占有者である書店の意思に反して自己の占有に移転したといえます。
したがって、本事案では窃盗罪が成立する可能性があります。

犯行時のAの認識

窃盗罪は故意犯、すなわち自らの行為が犯罪であることをわかった上で行うと成立する犯罪です。
窃盗罪の場合、故意の内容は、他人の財物を窃取することを認識・認容していたことです。
Aは書店に商品として置いてある本を鞄に入れて意識的に店外に持ち出していますから故意は認められそうです。

このほかに、条文には明記されていないものの、窃盗罪の成立には不法領得の意思が必要であると解されています。
不法領得の意思とは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従いこれを利用しまたは処分する意思」とされています(最判昭和26年7月13日)。
権利者を排除し他人の物を自己の所有物として振る舞う意思を権利者排除意思といい、経済的用法に従いこれを利用し処分する意思を利用処分意思と言います。

まず、権利者排除意思は、刑罰を科されない使用窃盗窃盗を区別するための概念です。
使用窃盗とは、他人の財物を無断で一時的に使用することであり、被害者の被る被害が軽微であることから不可罰とされています
本件では、Aは、万引きを認めており、持ち出した単行本を書店Bに返すつもりはなかったようです。
仮にあったとしても商品を持ち出されては商売することができなくなるため、被害者の被る損害は軽微とは言えず、権利者排除意思が認められそうです。

次に、利用処分意思は、毀棄・隠匿の罪と区別するために必要な概念です。
毀棄・隠匿の罪は、物を壊したり隠したりすることで利用を妨げる罪です。
単行本の場合、利用処分意思は、単行本を読むつもりだった場合などに認められると考えられます。
本件では、Aは、前刊の続きが気になっていて最新刊がどうしても読みたかったから万引きしたと言っているので、利用処分意思が認められそうです。
以上より本件では、窃盗罪が成立する可能性があります。

なるべく早く弁護士に相談を

本件では、Aは逮捕されています。
逮捕中は、ただ身体拘束されるだけでなく、警察官や検察官からの取調べが行われます。
取調べの結果は、調書として文書化されて、被疑者はそれにサインするよう求められます。
サインされた調書は、裁判が始まった際に証拠として用いられることがあり、仮に、証拠として提出された場合、被告人のサインがあるため不利な調書の内容を覆すのは非常に困難です。

したがって、取調べ前に何をどのように供述するのか、しっかり考えておく必要があります。
もっとも、法律に詳しくない一般の方にとって、どのように受け答えするのが適切か判断することは困難です。

そこで、できるだけ早い段階で弁護士に相談されることをおすすめします。
法律のプロである弁護士に相談すれば、事件の内容を踏まえて取調べでどのように受け答えすれば良いのかについてアドバイスを得ることができます。
また、逮捕されたことによる不安を軽減して落ち着いて取調べに対応できる可能性が高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、窃盗罪を含む豊富な刑事弁護の経験を持つ法律事務所です。
逮捕前であれば、弊所にて初回無料で弁護士に相談していただけます。
逮捕後の場合には、弁護士を留置場まで派遣する初回接見サービスがございます。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回無料法律相談初回接見サービスをご希望の方は、0120-631-881までお電話ください。

SNS上で同僚を「反社」などと中傷した疑いで逮捕

2024-01-14

SNS上で同僚を「反社」などと中傷した疑いで逮捕

逮捕、連行される男性

SNS上で同僚を「反社」などと中傷した疑いで男が逮捕された事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

京都市中京区の営業会社で働くAは、自分と営業成績を争っている同僚のBが、期末に強引な手法で契約を取りにいった様子を見て、SNS上で「Bは反社。契約をとるためなら汚い手段を躊躇なくとってくる。」などとBを中傷する内容の投稿をした。
これを知ったBは京都府中京警察署に被害届を提出したところ、Aは名誉棄損罪の疑いで逮捕された。
(フィクションです)。

名誉棄損罪

刑法230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

刑法は、名誉棄損罪を規定することで、社会が人に対して与えるプラスの評価を守ろうとしています。

本件で、Aは「公然と」「事実を摘示して」人の名誉を棄損したといえるのでしょうか?

まず、「公然と」とは、摘示された事実を不特定または多数人が認識しうる状態をいいます(最判昭和36年10月13日)。
不特定とは、相手方が限定されていないという意味です。
多数人とは、社会一般に知れわたる程度の人数という意味であり相当の多数であることを必要とします。
本件では、Aは、SNS上でBを反社だとする投稿をしています。
SNSに投稿された内容は、だれでも見ることができますから、Aによって摘示されたBが反社だとする投稿は、不特定の人が認識しうる状態にあったといえますから、「公然と」人の名誉を棄損したといえそうです。

次に、「事実を摘示」したといえるかも問題となります。
ここでの事実とは、事実証明の対象となりうる程度に具体的であり、かつ、それ自体として人の社会的評価を低下させるような事実をいいます。
Aの「Bは反社」とする投稿は、真実かどうか証明の対象となりうる程度に具体的です。
加えて、反社であるといわれると、Bさんは世間から関わってはいけない悪人だと思われて社会的評価が低下する可能性があります。

以上より、Aは、公然と事実を摘示して人の名誉を棄損したとして、名誉棄損罪が成立する可能性があります。

条文にも書いてある通り、ここでの事実とは、真実だけでなく虚偽の事実も含まれます。
したがって、仮にBが本当に反社でありAの投稿が真実であっても名誉棄損罪の成立は妨げられません。

なお、条文の規定上、名誉棄損罪の成立には、現実にBの名誉が棄損されたことが必要であるかのように思えます。
しかし、被害者の名誉が現実に棄損されたかどうかの判断は非常に困難ですから、判例によれば被害者の名誉が現実に侵害される必要はありません(大判昭和13年2月28日)。

できるだけ早く弁護士に相談を

名誉棄損罪親告罪、すなわち検察官が起訴するために被害者などの告訴が必要な犯罪です(刑法232条)。
名誉棄損罪親告罪とされるのは、起訴されることで、かえって被害者の名誉を侵害する恐れがあるためです。
実際に他人の名誉を毀損する行為をして、被害者が告訴をした場合、起訴前に告訴を取り消してもらえるかどうかが非常に重要になってきます。
告訴の取下げに成功すれば、不起訴処分となり前科がつくこともないからです。

もっとも、不特定の人の目に触れる形で、自分のことを「反社だ」などと言って、社会的な評価を下げさせかねない発言をしてきた加害者に対して、被害者は強い処罰感情を抱いている可能性が高いです。
したがって、加害者が自ら示談交渉をして、告訴の取下げを含めた示談を成立させるのは困難です。
そこで、示談交渉のプロである弁護士に示談交渉をお任せすることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、名誉毀損事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行い、告訴を取り下げてもらうことで不起訴処分を得ることができる可能性があります。
一度起訴されてしまうと、告訴を取り下げることはできません。
ですので、可能な限り早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部ご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら