【事例紹介】消費者金融アプリのアカウントに不正アクセスしてお金を不正に借り入れた事例②

【事例紹介】消費者金融アプリのアカウントに不正アクセスしてお金を不正に借り入れた事例②

ATMから引き出し

前回のコラムに引き続き、消費者金融会社のスマートフォンアプリのアカウントに不正アクセスしお金を借り入れたとして不正アクセス禁止法違反窃盗罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警サイバー捜査課などは11日、不正アクセス禁止法違反と窃盗の疑いで、(中略)再逮捕した。
再逮捕容疑は、京都市南区の男(22)=同罪などで起訴=ら男2人と共謀し、昨年8月27日、消費者金融会社のスマートフォンアプリを使い、いずれも20代で東京都や岡山県に住む男女3人のアカウントに不正アクセスし、京都府京丹波町と南丹市のコンビニATMから借入金計150万円を引き出して盗んだ疑い。
(後略)

(3月11日 京都新聞 「インフルエンサー悪用で被害相次ぐ…不正アクセスで150万円引き出した疑いで男を再逮捕」より引用)

窃盗罪

刑法第235条では、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

簡単に説明すると、窃盗罪は他人の持ち物をその人の許可なく自分や第三者の物にすると成立する犯罪です。

今回の事例では、消費者金融会社のスマートフォンアプリのアカウントに不正アクセスし、ATMから借入金を引き出したとして不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反窃盗罪の容疑で再逮捕されたと報道されています。
今回の事例では窃盗罪は成立するのでしょうか。

まず初めに、容疑者らがATMから引き出したとされる借入金刑150万円が容疑者らの手に渡る前の持ち主が誰なのかを考えていきましょう。
考えられる可能性として挙げられるのは、不正アクセスされたアカウントの本来の持ち主である借入の名義人、容疑者らが不正アクセスしたとされる消費者金融会社でしょうか。
実はどちらも違います。
容疑者らの手に渡る前の持ち主は、そのATMを管理している銀行になります。

ではなぜ、借入した名義人や消費者金融会社ではなく銀行が持ち主になるのでしょうか。

銀行と預金者(消費者金融会社の口座名義人)は口座開設の際に、預けたお金は銀行が自由に使うことができ、銀行は預金者が預けたお金と同等の額のお金を預金者が引き出す形で返還する契約を締結しているはずです。
消費者金融会社側が銀行に預けたお金はすでに融資などですでに使われているでしょうから、容疑者らが引き出したとされるお金は消費者金融会社の持ち物だとはいえません。
同様の理由で他の預金者の持ち物だともいえませんの、そのお金が保管されていたATMを管理している銀行が持ち主にあたります。

本来借入金を受け取るはずだった借入人ではない人が借入金を引き出していますので、借入金は銀行の意思に反して容疑者らの持ち物にされたことになります。
ですので、容疑者らが実際に不正アクセスを行ってATMから借入金を引き出したのであれば、窃盗罪が成立する可能性があります。

今回の事例では、被害額が150万円と高額であり、罰金刑では済まずに懲役刑が科されてしまう可能性があります。
懲役刑とは刑務所に収容されて刑務作業を行わなければならない刑罰ですので、懲役刑が執行されると刑務所に行き、自由が制限されることになります。
やはり自由が制限されるのはつらいですし、何とかして刑務所に行くことを避けたいと考える方も多いかと思います。
もしも執行猶予付き判決を獲得することができれば、有罪になって懲役刑が下されたとしても、再犯などしなければ刑務所に行かなくてよくなります。

執行猶予付き判決を獲得するためには、取調べ対応示談締結などが重要になってきます。
窃盗罪の経験豊富な弁護士による弁護活動で執行猶予付き判決を獲得できる可能性がありますので、窃盗罪でお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら