クリーニング代と称して5万円を脅し取った男を逮捕

クリーニング代と称して5万円を脅し取った男を逮捕

手錠とガベル

クリーニング代と称して5万円を脅し取った男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

事例

京都府下京警察署は、京都市内で不動産会社に勤務する男A(37)を恐喝罪の疑いで逮捕した。
Aは、外回りの営業で歩道を歩いていたところ、後方から自転車でやってきた主婦VがAのそばを通り過ぎる時に、昨日の大雨でできた水たまりの上を通ってしまい、飛び散った泥水がAのスーツにかかってしまった。
そのまま過ぎ去ろうとした自転車に対し、Aは大声で「おいこら!待てや!何してくれとんねん!」と呼び止め、髪を掴みながら「今から客先に行くところやのにどうしくれんねん!」「クリニーング代よこせ!」などと怒鳴り、Vから5万円を受け取ったとされている。
京都府下京警察署の警察官の取調べに対し、Aは「営業がうまくいかずイライラしてるところに泥水をかけられてぶちぎれてしまった」と容疑を認めている。
(フィクションです)

恐喝罪とは

刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

本件で、Aは、スーツを泥水で汚されて激怒しクリーニング代と称してVから5万円を受け取っています。
Aは、5万円という財物を自身に交付させたと言えますから、本件では、恐喝罪が成立する可能性がありそうです。

では、A の行為は恐喝にあたるのでしょうか。

恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
本件で、Aは、Vの髪を掴んでクリーニングと称して現金をよこせと言ったようです。
髪を掴むのは暴行に当たりますから、Aは財物交付に向けて、人を畏怖させるに足りる暴行をしたと言えそうです(①)。

では、Aの上記行為は、Vの反抗を抑圧するに至らない程度と言えるでしょうか(②)?
例えば、鋭利な刃物を突きつけながら金銭を要求する行為は、反抗を抑圧するに至る程度の暴行または脅迫に当たると考えられます。
なぜなら、反抗した場合、刃物で刺されて命を落とす可能性があるので、抵抗せずに要求を飲むしかないと考えられるからです。
このような場合には、恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性があります。

本件では、Aは、Vの髪の毛を掴みながら現金を要求したようです。
たしかに、Aはナイフや拳銃などの凶器を使用したわけではないですから、Aの行為は反抗を抑圧する程度には至っていないとされる可能性があります。
しかし、Vは成人男性であるのに対しAは女性であり力に大きな差があるため、Vの反抗を抑圧する程度に至っていたとされる可能性もあります。

Vの反抗を抑圧する程度に至っていないと判断されれば、Aの行為は恐喝に当たり、恐喝罪が成立する可能性があります。
一方で、Vの反抗を抑圧する程度に至っていると判断された場合には、恐喝罪ではなく、強盗罪が成立する可能性があります。

凶器の有無だけで判断されるわけではありませんが、本件では凶器を使用しておらず、髪の毛を掴んだだけでは反抗を抑圧する程度の暴行にはあたらないように思われます。
ですので、本件では、強盗罪ではなく恐喝罪が成立する可能性が高いと考えられます。
ただ、反抗を抑圧する程度かどうかは総合的に判断されますので、絶対に強盗罪が成立しないかといえば、そうではなく、状況によっては、本件でも強盗罪が成立する可能性があるかもしれません。

なるべく早く弁護士に相談を

恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役です。
執行猶予がつくためには、量刑が3年以下であることが条件の1つですから、恐喝罪を犯すと執行猶予がつかない可能性があります。
仮に執行猶予がつかなかった場合、刑務所の中で服役することなり大学に通ったり会社に出勤したりすることはできず、解雇退学処分となることが珍しくありません。
したがって、刑務所での拘束を避けるためには、科される量刑を3年以内に抑えて執行猶予付判決を獲得する必要があり、被害者との間で示談を締結できるかが非常に重要となります。

通常、恐喝事件の被害者は加害者のことを怖いと思っているでしょうから、加害者本人が謝罪するために連絡してきたとしても応じてくれない可能性が高いです。
本件の被害者の女性の場合、突然大声で呼び止められ髪の毛を掴むなどの暴行を受けているわけですから、加害者と金輪際関わりたくないと思っているでしょう。

そこで、交渉のプロである弁護士に第三者的立場から示談交渉をしてもらうことをおすすめします。
加害者と直接連絡を取ることに強い抵抗を示す被害者であっても、弁護士を通じてであれば示談交渉に応じてくれることは珍しくありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成功させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、量刑を軽くしたり執行猶予付判決不起訴処分を得ることができる可能性があります。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120-631-881で承っています。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら