Archive for the ‘交通事件’ Category

偽造大型免許で刑事事件④複数の犯罪

2020-01-15

偽造大型免許で刑事事件④複数の犯罪

偽造大型免許から刑事事件に発展したケースで特に複数の犯罪が成立する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京田辺市にある運送会社で働いています。
ある日、Aさんは上司から、「Aさんが大型トラックを運転できるようになると任せられる業務も増えて助かる。給料もアップするし大型免許を取得してみたらどうだ」と話されました。
Aさんの会社では、大型免許を取得すると給料が上がる給与体系になっていました。
Aさんは普通運転免許しかもっていなかったため、その話を聞いて大型免許を取得することに決め、上司にもその旨を伝えました。
しかし、教習所に通って試験を受けたものの、Aさんは大型免許の取得試験に落ちてしまいました。
それでも給料が上がることなどをあきらめきれなかったAさんは、インターネットで偽造運転免許を購入できることを知り、自分の名義の偽の大型免許を購入し、上司に大型免許を取得したとして報告し、偽造大型免許を提示しました。
その後、Aさんは大型免許取得者として給料を上げてもらい、いわゆる大型トラックを使用する業務をこなしていました。
すると後日、Aさんは京都府京田辺市の道路で行われていた京都府田辺警察署の交通検問で運転免許証の提示を求められ、偽造大型免許を提示しました。
そこで警察官に偽造大型免許が偽物であることを見破られ、Aさんは無免許運転による道路交通法違反と偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんが家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談したところ、Aさんには詐欺罪の成立も考えられると伝えられました。
(※令和2年1月8日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・複数の犯罪が成立する刑事事件

刑事事件と一口に言っても、それぞれ成立する犯罪の種類はもちろん、数も異なります。
例えば、今回のAさんは、複数の種類・数の犯罪を犯してしまっています。

前回までの記事をまとめると、Aさんには以下の犯罪が成立すると考えられます。
①会社の上司へ偽造大型免許を提示したことによる有印公文書行使罪
②警察官に偽造大型免許を提示したことによる有印公文書行使罪
③大型免許を持たずに大型自動車を運転した無免許運転(道路交通法違反)
④大型免許を取得したと見せかけて給料を受け取った詐欺罪

これらの関係を見ていくと、①の会社の上司へ偽造大型免許を提示した行為は、④の大型免許取得者用の給料を受け取るための行為であるといえます。
つまり、④という目的を達成するために①という手段を使ったということです。
このように、複数の犯罪が成立する場合にそれぞれが手段と目的の関係にあるケースを「牽連犯」と呼びます。
牽連犯の関係にある場合、刑罰の重さは以下のような形で判断されます。

刑法54条1項
(略)…犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

つまり、①と④については、その法律で定められている刑罰の範囲のうち、最も重い刑罰の範囲で判断されるということです。
①の有印公文書行使罪の法定刑は1年以上10年以下の懲役であり、④の詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。
「1年以上」という下限が定められていることから、①の有印公文書行使罪の方が重い刑といえるため、①と④の関係では、「1年以上10年以下の懲役」の範囲で刑罰が判断されることになります。

しかし、②・③の犯罪や、それらと①・④の犯罪はそれぞれがばらばらの関係であり、目的・手段の関係になっているわけでも、同じ1個の行為で別の犯罪に当たっている(この場合「観念的競合」という考え方になります。)わけでもありません。
こうした場合を「併合罪」と呼びます。

刑法45条
確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪とする。(以下略)

併合罪のケースでは、以下のように刑罰の重さを判断します。

刑法47条
併合罪のうちの2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする。
ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。

併合罪という言葉からは、全ての犯罪の刑罰を単純に足して刑罰の重さを判断するというイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。
併合罪の場合は、最も重い刑について定めた刑の長期の1.5倍が長期となる範囲で判断されるのです(ただし、但し書きにあるようにそれがそれぞれの犯罪の刑の長期の合計を超えることはできませんから、合計を超えるような場合は刑の長期の合計が長期となる範囲で判断されることになるでしょう。)。

例えば、Aさんの場合、有印公文書行使罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」、無免許運転(道路交通法違反)の法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」、詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
となると、最も重い刑について定めた刑の長期は「(1年以上)10年以下の懲役」ということになりますから、「15年以下の懲役」の範囲でAさんに下される刑罰が判断されることになるでしょう。

複数の犯罪が成立している刑事事件では、このように刑罰の範囲だけでも非常に複雑で、刑事事件の知識がなければ見通しを立てることも大変です。
複数の犯罪の相互関係等を専門的立場から考えることのできる弁護士に相談し、見通しや弁護活動について詳しく聞くことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門弁護士がご相談者様のニーズに合わせたサービスをご用意しています。
逮捕されてしまっている方、在宅捜査を受けている方、刑事事件化が心配な方など、状況を問わず、遠慮なくお問い合わせください。

偽造大型免許で刑事事件③詐欺罪

2020-01-13

偽造大型免許で刑事事件③詐欺罪

偽造大型免許から刑事事件に発展したケースで特に詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京田辺市にある運送会社で働いています。
ある日、Aさんは上司から、「Aさんが大型トラックを運転できるようになると任せられる業務も増えて助かる。給料もアップするし大型免許を取得してみたらどうだ」と話されました。
Aさんの会社では、大型免許を取得すると給料が上がる給与体系になっていました。
Aさんは普通運転免許しかもっていなかったため、その話を聞いて大型免許を取得することに決め、上司にもその旨を伝えました。
しかし、教習所に通って試験を受けたものの、Aさんは大型免許の取得試験に落ちてしまいました。
それでも給料が上がることなどをあきらめきれなかったAさんは、インターネットで偽造運転免許を購入できることを知り、自分の名義の偽の大型免許を購入し、上司に大型免許を取得したとして報告し、偽造大型免許を提示しました。
その後、Aさんは大型免許取得者として給料を上げてもらい、いわゆる大型トラックを使用する業務をこなしていました。
すると後日、Aさんは京都府京田辺市の道路で行われていた京都府田辺警察署の交通検問で運転免許証の提示を求められ、偽造大型免許を提示しました。
そこで警察官に偽造大型免許が偽物であることを見破られ、Aさんは無免許運転による道路交通法違反と偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんが家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談したところ、Aさんには詐欺罪の成立も考えられると伝えられました。
(※令和2年1月8日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・詐欺罪

前回までの記事では、Aさんが偽造大型免許を警察官に提示したり上司に提示したりする行為が偽造有印公文書行使罪にあたること、さらに普通免許しかもっていないのに大型自動車を運転したことが無免許運転(道路交通法違反)にあたることに触れました。
しかし、今回の事例では、Aさんは弁護士から、さらに詐欺罪の成立も考えられると言われています。
Aさんの行為のどの部分が詐欺罪に当たりえるのでしょうか。

まず、詐欺罪は刑法246条に規定されている犯罪です。

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪の典型的な例としては、いわゆるオレオレ詐欺に代表される特殊詐欺や、還付金詐欺といったものが挙げられるでしょう。
詐欺罪の「人を欺いて」という行為は、「欺罔行為」とも呼ばれ、その物を引き渡すかどうかの判断をする際に重要な事項を偽ることであるとされています。
つまり、財物を引き渡させるために、その事実が嘘であると分かっていればその財物を引き渡さなかっただろうという事実について嘘をつくことで詐欺罪の「人を欺」く行為となるのです。
その欺罔行為によって相手が騙され、財物を引き渡すことで詐欺罪が成立します。

今回のAさんの行為を考えてみましょう。
Aさんの勤める会社では、大型免許を取得している人は給料を上げてもらうことができることになるという明確な基準があります。
そしてAさんは、実際には大型免許を取得していないにも関わらず、偽造大型免許を示すことで大型免許を受けたかのように見せかけ、給料を上げてもらっています。
もちろん、会社としては大型免許を取得しているという事実があるからこそ、Aさんの給料を大型免許取得者として上げているわけですから、その資格が嘘であるなら給料を上げることはしないでしょう。
すなわち、上司等会社の人間をだますことによって、Aさんは上がった給料の分だけお金=財物を引き渡させていると考えられるのです。
ですから、Aさんには詐欺罪の成立も考えられるということになるのです。

ちなみに、詐欺罪には未遂罪も規定されており、財物の交付に向けた「人を欺」く行為を開始した時点で詐欺未遂罪が成立するとされています。
今回のケースで言えば、例えば偽造大型免許を見せられた上司が偽造大型免許であることを見抜いたとしても、Aさんには詐欺未遂罪が成立する可能性が出てくるということになります。

たとえ特殊詐欺のような組織的犯行が行われていない詐欺事件であったとしても、偽造有印公文書行使罪などほかの犯罪が絡むことによってより複雑になってしまうこともあります。
刑事事件専門の弁護士が所属する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、こうした刑事事件のご相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

偽造大型免許で刑事事件②無免許運転

2020-01-11

偽造大型免許で刑事事件②無免許運転

偽造大型免許から刑事事件に発展したケースで特に無免許運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京田辺市にある運送会社で働いています。
ある日、Aさんは上司から、「Aさんが大型トラックを運転できるようになると任せられる業務も増えて助かる。給料もアップするし大型免許を取得してみたらどうだ」と話されました。
Aさんの会社では、大型免許を取得すると給料が上がる給与体系になっていました。
Aさんは普通運転免許しかもっていなかったため、その話を聞いて大型免許を取得することに決め、上司にもその旨を伝えました。
しかし、教習所に通って試験を受けたものの、Aさんは大型免許の取得試験に落ちてしまいました。
それでも給料が上がることなどをあきらめきれなかったAさんは、インターネットで偽造運転免許を購入できることを知り、自分の名義の偽の大型免許を購入し、上司に大型免許を取得したとして報告し、偽造大型免許を提示しました。
その後、Aさんは大型免許取得者として給料を上げてもらい、いわゆる大型トラックを使用する業務をこなしていました。
すると後日、Aさんは京都府京田辺市の道路で行われていた京都府田辺警察署の交通検問で運転免許証の提示を求められ、偽造大型免許を提示しました。
そこで警察官に偽造大型免許が偽物であることを見破られ、Aさんは無免許運転による道路交通法違反と偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんが家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談したところ、Aさんには詐欺罪の成立も考えられると伝えられました。
(※令和2年1月8日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・無免許運転

無免許運転と聞くと、そもそも運転免許証を受けずに全く免許を持っていない状態で自動車を運転するケースを思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、今回のAさんは普通運転免許証は持っているようです。
こうしたケースでも、実は無免許運転になりうることに注意が必要です。

道路交通法では、運転免許について、以下のように定めています。

道路交通法84条
1項 自動車及び原動機付自転車(以下「自動車等」という。)を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。
2項 免許は、第一種運転免許(以下「第一種免許」という。)、第二種運転免許(以下「第二種免許」という。)及び仮運転免許(以下「仮免許」という。)に区分する。
3項 第一種免許を分けて、大型自動車免許(以下「大型免許」という。)、中型自動車免許(以下「中型免許」という。)、準中型自動車免許(以下「準中型免許」という。)、普通自動車免許(以下「普通免許」という。)、大型特殊自動車免許(以下「大型特殊免許」という。)、大型自動二輪車免許(以下「大型二輪免許」という。)、普通自動二輪車免許(以下「普通二輪免許」という。)、小型特殊自動車免許(以下「小型特殊免許」という。)、原動機付自転車免許(以下「原付免許」という。)及び牽けん引免許の十種類とする。

そして、道路交通法85条1項の表において、「大型自動車」を運転しようとする場合には、第一種免許の「大型免許」を受けなければならないとしています。
この「大型自動車」とは、道路交通法施行規則2条によると、「大型特殊自動車、大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車以外の自動車で、車両総重量が一一、〇〇〇キログラム以上のもの、最大積載量が六、五〇〇キログラム以上のもの又は乗車定員が三〇人以上のもの」とされており、いわゆる「大型トラック」と呼ばれているものはこの大型自動車に分類されるトラックなのでしょう。

そして、道路交通法では無免許運転を以下のように禁止しています。

道路交通法64条
1項 何人も、第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第90条第5項、第103条第1項若しくは第4項、第103条の2第1項、第104条の2の3第1項若しくは第3項又は同条第5項において準用する第103条第4項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。

道路交通法117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
1号 法令の規定による運転の免許を受けている者(第107条の2の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第88条第1項第2号から第4号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が1年を超えている場合を含む。)運転した者

つまり、たとえ普通運転免許を持っていたとしても、道路交通法の定める「大型自動車」を運転しようというときにはそれだけでは足りず、「大型免許」を受けていなければそれは運転免許の効力のある範囲外の許されていない範囲での運転をしていることになりますから、無免許運転ということになってしまうのです。
このように、無免許運転は全く運転免許を持っていないというケース以外にも成立しうることに注意が必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無免許運転事件などの交通違反に関わる刑事事件のご相談も受け付けています。
今回のAさんのような、偽造大型免許に関わる無免許運転事件では、無免許運転以外の部分の容疑も絡み合い、複雑な刑事事件となることが考えられますから、こうしたケースでは早期に弁護士までご相談ください。

偽造大型免許で刑事事件①偽造有印公文書行使罪

2020-01-09

偽造大型免許で刑事事件①偽造有印公文書行使罪

偽造大型免許から刑事事件に発展したケースで特に偽造有印公文書行使罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京田辺市にある運送会社で働いています。
ある日、Aさんは上司から、「Aさんが大型トラックを運転できるようになると任せられる業務も増えて助かる。給料もアップするし大型免許を取得してみたらどうだ」と話されました。
Aさんの会社では、大型免許を取得すると給料が上がる給与体系になっていました。
Aさんは普通運転免許しかもっていなかったため、その話を聞いて大型免許を取得することに決め、上司にもその旨を伝えました。
しかし、教習所に通って試験を受けたものの、Aさんは大型免許の取得試験に落ちてしまいました。
それでも給料が上がることなどをあきらめきれなかったAさんは、インターネットで偽造運転免許を購入できることを知り、自分の名義の偽の大型免許を購入し、上司に大型免許を取得したとして報告し、偽造大型免許を提示しました。
その後、Aさんは大型免許取得者として給料を上げてもらい、いわゆる大型トラックを使用する業務をこなしていました。
すると後日、Aさんは京都府京田辺市の道路で行われていた京都府田辺警察署の交通検問で運転免許証の提示を求められ、偽造大型免許を提示しました。
そこで警察官に偽造大型免許が偽物であることを見破られ、Aさんは無免許運転による道路交通法違反と偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんが家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談したところ、Aさんには詐欺罪の成立も考えられると伝えられました。
(※令和2年1月8日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・偽造有印公文書行使罪

今回のAさんについて、まず成立が考えられる犯罪として、偽造有印公文書行使罪という犯罪が挙げられます。

刑法158条(偽造公文書行使等)
第154条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第1項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。

参考:刑法155条1項(有印公文書偽造罪)
行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

Aさんがインターネットで購入したのは、偽造されたAさん名義の大型免許です。
そもそも、大型免許などの運転免許証は各都道府県の公安委員会によって発行されるものです。
Aさんが手に入れた偽造大型免許は、本来であれば公安委員会=公務所もしくは公務員が作成するべき文書であり、さらに公安委員会の印章(簡単に言えばハンコ)が用いられている文書です。
それを公安委員会ではない、運転免許証を作成する権限のない第三者が作成したものですから、Aさんの手にした偽造大型免許は、刑法155条1項のいう「公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造」した物であるといえます。
つまり、Aさんの購入した偽造大型免許は刑法158条の「第154条から前条までの文書若しくは図画」であるといえます。

Aさんは、その偽造大型免許を利用して大型トラックを運転し、京都府田辺警察署の交通検問で提示しています。
さらに、Aさんは会社の上司にも偽造大型免許を大型免許を取得したとして提示しています。
これらの行為はこの偽造大型免許を使っていることにほかならず、「行使」しているといえるでしょう。
そのため、Aさんはこれらの偽造大型免許の使用それぞれについて、偽造有印公文書行使罪に問われていると考えられるのです。

今回のAさんはすでに偽造された大型免許を購入しているようですが、自分で大型免許を偽造してしまったような場合は、さらに有印公文書偽造罪も成立することになります。
運転免許証の偽造や偽造された運転免許証の利用だけでも、これだけの犯罪が成立してしまうのです。
どちらも非常に重い刑罰が設定されていますから、これらの刑事事件の当事者となってしまったらすぐに弁護士に相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、偽造有印公文書行使罪有印公文書偽造罪のご相談も刑事事件専門弁護士がお受けいたします。
まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
ご相談者様の状況に応じ、専門スタッフが弊所弁護士によるサービスをご案内いたします。

お屠蘇を飲んで飲酒運転②

2020-01-05

お屠蘇を飲んで飲酒運転②

お屠蘇を飲んで飲酒運転をしてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府木津川市に住んでいるAさんは、元旦にあった親戚の集まりでお屠蘇を飲みました。
Aさんはその集まりに車で来ていたのですが、Aさんは酒に弱かったため、お屠蘇も少ししか飲んでいませんでした。
Aさんは、「お屠蘇を少し飲んだだけだし大丈夫だろう」と考え、親戚の集まりから家に帰る際にも乗ってきた自動車を自分で運転して帰りました。
しかしその道中、飲酒運転のための交通検問をしていた京都府木津警察署の警察官から車の停止を求められ、検査を求められました。
これに応じたAさんでしたが、呼気検査ではアルコール数値は基準値を下回っていたものの、まっすぐ歩けずよれつが回らないなどの状態であったため、飲酒運転をした容疑で京都府木津警察署で話を聞かれることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・飲酒運転をした人でなくとも犯罪に?

前回の記事では、飲酒運転が「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」に分かれ、さらに「酒酔い運転」の場合には、アルコール値が基準値を下回っていても飲酒運転とされるケースがあることを説明しました。
今回は、Aさんのケースにおいて、Aさん以外の人に犯罪が成立する可能性について触れていきます。

今回の事例のAさんは、お屠蘇を口にして酔っ払い飲酒運転をし、京都府木津警察署の警察官に酒酔い運転であると判断されたようです。
Aさんは実際に飲酒運転をしてしまっていますから、Aさんの状況によっては酒酔い運転として検挙されることは自然に思えるでしょう。
しかし、事例をよく見ると、実はAさん以外にも犯罪が成立する可能性があるのです。

道路交通法では、飲酒運転をした本人だけでなく、飲酒運転に関わった人も処罰する規定があります。

道路交通法65条
1項 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
2項 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
3項 何人も、第1項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
4項 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第117条の2の2第6号及び第117条の3の2第3号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第1項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。

道路交通法117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第2項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が酒に酔つた状態で当該車両等を運転した場合に限る。)

道路交通法117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
4号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第2項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が身体に前号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で当該車両等を運転した場合に限るものとし、前条第2号に該当する場合を除く。)
5号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第3項の規定に違反して酒類を提供した者(当該違反により当該酒類の提供を受けた者が酒に酔つた状態で車両等を運転した場合に限る。)
6号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第4項の規定に違反した者(その者が当該同乗した車両の運転者が酒に酔つた状態にあることを知りながら同項の規定に違反した場合であつて、当該運転者が酒に酔つた状態で当該車両を運転したときに限る。)

飲酒運転については、このように飲酒運転のおそれがあるにもかかわらず車を提供したり、運転を頼んで同乗したり、酒を勧めたりし、最終的にその人が飲酒運転をしてしまった場合には、飲酒運転をした本人でなくとも道路交通法違反となってしまうのです。
お正月となれば、新年会や親せきの集まりなどがある方も多く、その席で飲酒することもあるでしょう。
しかし、車を運転する人に安易にお酒を勧めたり、少しの飲酒だから大丈夫と飲酒運転を容認したりすれば、自分も道路交通法違反で検挙されてしまう可能性が出てきます。
おめでたい席だからこそ、刑事事件に巻き込まれないよう注意しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、年末年始も弁護士による初回無料法律相談・初回接見サービスを受け付けています。
飲酒運転に関連した刑事事件にお困りの際は、遠慮なくご連絡ください(0120-631-881)。

お屠蘇を飲んで飲酒運転①

2020-01-03

お屠蘇を飲んで飲酒運転①

お屠蘇を飲んで飲酒運転をしてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府木津川市に住んでいるAさんは、元旦にあった親戚の集まりでお屠蘇を飲みました。
Aさんはその集まりに車で来ていたのですが、Aさんは酒に弱かったため、お屠蘇も少ししか飲んでいませんでした。
Aさんは、「お屠蘇を少し飲んだだけだし大丈夫だろう」と考え、親戚の集まりから家に帰る際にも乗ってきた自動車を自分で運転して帰りました。
しかしその道中、飲酒運転のための交通検問をしていた京都府木津警察署の警察官から車の停止を求められ、検査を求められました。
これに応じたAさんでしたが、呼気検査ではアルコール数値は基準値を下回っていたものの、まっすぐ歩けずよれつが回らないなどの状態であったため、飲酒運転をした容疑で京都府木津警察署で話を聞かれることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・飲酒運転とアルコール値

今回の事例のAさんは、呼気検査のアルコール値が基準値を下回ったにも関わらず、飲酒運転をした容疑で京都府木津警察署で話を聞かれることとなっています。
「アルコール値が基準値を下回っていれば飲酒運転にはならないのではないか」と不思議に思った方もいるかもしれません。
実は一般に言われている「飲酒運転」は、法律上2つの種類に分けられ、そのために今回のAさんのようなケースが起こりうるのです。

そもそも、道路交通法では以下のように飲酒運転が禁止されています。

道路交通法65条
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

この条文からすれば、たとえ1滴でも酒を飲んでしまえば飲酒運転となり、道路交通法に違反することになります。
しかし、実際に処罰される飲酒運転は、道路交通法の以下の規定にあるものとなります。

道路交通法117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
1号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

道路交通法117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
3号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの

このうち、先にあげた道路交通法117条の2の1号に該当する飲酒運転を「酒酔い運転」、道路交通法117条の2の2の3号に該当する飲酒運転を「酒気帯び運転」と呼びます。
酒気帯び運転の条文にある「身体に政令で定める程度」が呼気検査などで確認されるアルコール値の基準値ということになります。
これは道路交通法施行令に詳しい数値が定められています。

道路交通法施行令44条の3
法第117条の2の2第3号の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムとする。
※注:「法」とは道路交通法を指します。

この基準値を超えたアルコール値で運転した場合には、「酒気帯び運転」として飲酒運転となり、道交法違反として処罰されることになるのです。

さて、この「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」について、先ほど挙げた2つの条文をもう一度確認してみましょう。
酒気帯び運転」については今確認したようなアルコール値の基準値を超えるアルコール値が検出された場合に該当するものであると分かります。
対して、「酒酔い運転」については、条文内で特にアルコールの数値については触れられておらず、あくまで「その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)」としか定められていません。
つまり、「酒気帯び運転」が数値が引っかかれば飲酒運転として処罰されるのに対し、「酒酔い運転」はアルコール値に関係なく、「その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)」と認められるかどうかによって「酒酔い運転」の飲酒運転となるかどうかが判断されることになるのです。
そのため、Aさんのように酒に弱いような人の場合には、「酒気帯び運転」になるアルコール値に満たない程度の飲酒運転であっても、「酒酔い運転」と認められるケースが出てくるのです。
酒酔い運転」となるかどうかは、千鳥足になっていたりろれつがはっきりしなかったりといった部分を警察官が見て判断されるようです。

今回のAさんのように、少しの飲酒だから大丈夫といった考えで飲酒運転してしまうと、刑事事件として検挙され、被疑者として捜査されることにもなりかねません。
そもそも、飲酒運転によって事故を起こしてしまう可能性もあります。
飲酒運転は絶対にやめましょう。
それでも飲酒運転をしてしまった、刑事事件に発展してしまったという場合には、すぐに弁護士に相談し、飲酒運転事件への対応や再犯防止に取り組んでいきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、飲酒運転の絡む刑事事件にも対応しています。
お正月でも通常通り無料法律相談初回接見サービスのお問い合わせも受け付けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

罰則強化のながら運転で刑事事件②

2019-12-08

罰則強化のながら運転で刑事事件②

罰則が強化されたながら運転について刑事事件化したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例①~

Aさんは、京都市東山区にある友人の家に向かう際、スマートフォンをカーナビ代わりにして運転していました。
しかし、友人宅への道がわかりづらかったため、Aさんはカーナビ画面を映していたスマートフォンを注視しながら運転していました。
すると、パトロールしていた京都府東山警察署の警察官がAさんのその様子を発見。
Aさんは、ながら運転をしていたとして、後日京都府東山警察署に呼び出されることになってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

~事例②~

Bさんは、京都市東山区内の道路で自動車を運転している際、スマートフォンでゲームアプリを起動し、ゲームをしながら運転する、いわゆるながら運転をしていました。
すると、赤信号に気づくのが遅れ、Aさんは横断歩道前で急ブレーキを踏みました。
交通違反を警戒していた京都府東山警察署の警察官にそれを見とがめられ、Aさんはながら運転で交通の危険を発生させたとして、道路交通法違反の容疑で話を聞かれることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)

・どのながら運転がどの罰則になるか

前回の記事で触れた通り、今年の12月1日に道路交通法が改正され、ながら運転の罰則が強化されました。
該当条文は以下の通りです。

道路交通法71条5号の5
自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第118条第1項第3号の2において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第41条第16号若しくは第17号又は第44条第11号に規定する装置であるものを除く。第118条第1項第3号の2において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。

道路交通法117条の4
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
1号の2 第71条(運転者の遵守事項)第5号の5の規定に違反し、よつて道路における交通の危険を生じさせた者

道路交通法118条
次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
4号 第75条(自動車の使用者の義務等)第1項第2号又は第5号の規定に違反した者

ながら運転の罰則は、ながら運転をして交通の危険を発生させたかどうかによって異なることも前回の記事で取り上げた通りです。
では、事例①②のAさんとBさんは、このうちどちらに当てはまるのでしょうか。

~Aさんの場合~
Aさんは、カーナビ代わりにしていたスマートフォンの画面を注視してしまっています。
これは、道路交通法71条5号の5でいう「当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(略)に表示された画像を注視」することにあたるながら運転です。
ですから、Aさんはながら運転をしてしまっていますが、具体的に交通の危険を発生させたわけではなさそうです。
そのため、Aさんは道路交通法118条4号の、ながら運転禁止の規定に違反したという道路交通法違反になりそうです。
こちらの道路交通法違反は、反則金制度(反則金を納付することで刑事手続にならない制度)の対象となっているため、例えばAさんがその容疑を否認している、何度も交通違反を繰り返しており前科前歴がある等の事情がなければ、反則金を納付することで刑事事件化を免れることができると考えられます。

~Bさんの場合~
Bさんは、スマートフォンのゲームをしながら運転しています。
ゲームをしていることから、スマートフォンの画面を注視しながら運転していたと考えられ、先ほどのAさんと同様、ながら運転禁止の規定に違反していることになります。
こうした態様は、典型的なながら運転といえるでしょう。

ここでBさんはながら運転をしたことで赤信号に気づくのが遅れ、急ブレーキを踏んでいることに注意が必要です。
これは一歩間違えば交通事故ともなりかねない行為であることから、道路交通法117条の4の1号の2にいうような「交通の危険を生じさせた」と判断される可能性があります。
実際に今回の事例②では、Bさんはながら運転により交通の危険を生じさせた道路交通法違反として話を聞かれることとなっています。
Aさんのながら運転の場合とは異なり、ながら運転で交通の危険を生じさせた場合には反則金制度の利用はできず、刑事事件となりますから、Bさんは被疑者として取調べられることになるでしょう。
こうした場合には、まずは刑事事件に強い弁護士へ相談することが望ましいでしょう。

刑事事件専門弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弁護士初回無料法律相談を行っています。
ながら運転は刑罰も強化され、世間からの注目も集まっている犯罪です。
ながら運転刑事事件となってしまった際には、一度弁護士までご相談下さい。

罰則強化のながら運転で刑事事件①

2019-12-06

罰則強化のながら運転で刑事事件①

罰則が強化されたながら運転について刑事事件化したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例①~

Aさんは、京都市東山区にある友人の家に向かう際、スマートフォンをカーナビ代わりにして運転していました。
しかし、友人宅への道がわかりづらかったため、Aさんはカーナビ画面を映していたスマートフォンを注視しながら運転していました。
すると、パトロールしていた京都府東山警察署の警察官がAさんのその様子を発見。
Aさんは、ながら運転をしていたとして、後日京都府東山警察署に呼び出されることになってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

~事例②~

Bさんは、京都市東山区内の道路で自動車を運転している際、スマートフォンでゲームアプリを起動し、ゲームをしながら運転する、いわゆるながら運転をしていました。
すると、赤信号に気づくのが遅れ、Aさんは横断歩道前で急ブレーキを踏みました。
交通違反を警戒していた京都府東山警察署の警察官にそれを見とがめられ、Aさんはながら運転で交通の危険を発生させたとして、道路交通法違反の容疑で話を聞かれることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)

・ながら運転の罰則強化

つい先日のことですが、今年の12月1日、改正道路交通法が施行されました。
今回の道路交通法の改正では、スマートフォンなどを操作しながら自動車等を運転するいわゆる「ながら運転」の罰則が強化されました。
上記事例①②を見ながらその内容を見ていきましょう。

今回罰則が強化された道路交通法の条文は以下の条文です。

道路交通法71条5号の5
自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第118条第1項第3号の2において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第41条第16号若しくは第17号又は第44条第11号に規定する装置であるものを除く。第118条第1項第3号の2において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。

つまり、スマートフォンや携帯電話で通話をしたり、それらの操作をしたり、注視(その物をじっと見ていること)したりしながらの「ながら運転」を禁止しているのがこの条文であるということになります。
では、この条文に違反し、ながら運転をしてしまった時の罰則についての条文を確認してみましょう。

道路交通法117条の4
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
1号の2 第71条(運転者の遵守事項)第5号の5の規定に違反し、よつて道路における交通の危険を生じさせた者

道路交通法118条
次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
4号 第75条(自動車の使用者の義務等)第1項第2号又は第5号の規定に違反した者

どちらも先ほど挙げた道路交通法に違反しながら運転をしてしまった時の罰則ですが、「交通の危険を生じさせた」かどうかによってその区別がなされています。
その刑罰の重さももちろんのこと、ながら運転をして交通の危険を発生させてしまった場合、反則金を支払うことで刑事事件化を免れることができる「反則金制度」の対象外となっていることにも注意が必要です。
つまり、ながら運転によって交通の危険を発生させてしまったら、すぐに刑事事件の手続きに乗ることになるということなのです。

このように、改正された法律違反の犯罪では、刑罰が重くなる以外にもそれまでと大きく違う点が出てきます。
刑事事件に詳しい弁護士に相談し、細かな変更点も一緒に確認していくことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、交通違反から刑事事件に発展してしまったケースについてもご相談をいただいています。
まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

次回の記事では事例①②に照らし合わせて検討を行います。

危険運転致死事件の公判弁護活動

2019-07-29

危険運転致死事件の公判弁護活動

Aさんは、深夜、京都府向日市の交差点で法定速度を大幅に超えるスピードで走行したうえ、赤信号をあえて無視していた結果、歩行者Vさんをはねて死亡させてしまいました。
事故を目撃した人が通報したことで、Aさんは京都府向日町警察署の警察官に危険運転致死罪の容疑で逮捕され、その後勾留されました。
Aさんの家族は、弁護士にAさんの接見に行ってもらい、その後の見通しを聞いたのですが、弁護士からは、公判請求されて刑事裁判になるだろうということを伝えられました。
(※この事例はフィクションです。)

・危険運転致死傷罪と公判請求

危険運転致死罪とは、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」、いわゆる「自動車運転処罰法」に定められている犯罪です。
最近では自動車の暴走やあおり運転での人身事故事件で報道番組や新聞、ネット記事といった皆さんが目にする場所にもこの危険運転致死罪という犯罪名があることも多いため、知っている方も多いかもしれません。

自動車運転処罰法の中では、赤信号を殊更無視したり、アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難であるにもかかわらず運転したり等することを危険運転行為であるとしています。
その危険運転行為を行い、よって人を死亡させた場合、危険運転致死罪となり、1年以上の有期懲役に処せられるのです(人を負傷させた場合は、危険運転致傷罪となり、15年以下の懲役となります。)。

この危険運転致死傷罪については、少し古いデータではありますが、平成28年の犯罪白書の統計によると、平成27年に検察庁へ送致された危険運転致死傷事件のうち76.6%が起訴され(公判請求され)て=刑事裁判とされていることが分かります。
上記の法定刑からも分かっていただけるように、危険運転致死傷罪には罰金刑の規定がありませんから、起訴される=刑事裁判になるということになるのです。
同じ統計で過失運転致死傷罪についてみてみると、こちらは起訴され公判請求されたものが1.1%で、不起訴が86.6%となっていますから、危険運転致死傷罪がどれほど重大な犯罪なのかお分かりいただけると思います。

公判請求され、刑事裁判となれば、公開の法廷に立たなければなりません。
さらに、危険運転致死事件の場合、故意の行為=危険運転行為によって人を死亡させている事件であるため、裁判員裁判の対象事件でもあります。
そして、危険運転致死罪の法定刑には罰金刑の規定がありませんから、執行猶予がつかない有罪判決=すぐに刑務所に行かなければならないということになります。
こうしたことから、危険運転致死事件では、慎重な公判弁護活動が求められます。

ですが、起訴されてから弁護士に相談しても、裁判が間近に迫っていては十分な準備ができないおそれもあります。
先ほど触れたように、危険運転致死事件では高確率で起訴されている現状がありますから、危険運転致死罪の容疑で逮捕されてしまった、取り調べを受けている、という早い段階から弁護士に相談し、見通しとともにこれからとれる弁護活動を詳しく聞いてみることが望ましいでしょう。
そして早い段階から刑事裁判での公判弁護活動を見据えた準備に、弁護士と一緒に取り組んでいくことがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、危険運転致死事件などの交通事故事件の公判弁護活動にも取り組んでいます。
まずは0120-631-881からお問い合わせください。

同乗者相手でもひき逃げになる?②

2019-06-09

同乗者相手でもひき逃げになる?②

~前回からの流れ~
Aさん(20歳男性)は、自身の友人であるVさん(20歳男性)を後ろに乗せ、京都市右京区内の道路をバイクで走行していました。
すると、Aさんがよそ見運転をしてしまったことから、対向車と接触してしまいました。
対向車の運転手とAさんに怪我はありませんでしたが、Vさんはその事故により全治3週間の怪我を負ってしまいました。
Aさんは事故を起こしてしまったことに動揺して、Vさんと対向車の運転手をおいてその場から逃げてしまいました。
すると翌日、Aさん宅に京都府右京警察署の警察官がやってきて、Aさんはひき逃げ事件の被疑者として、過失運転致傷罪と道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
話を聞いたAさんの家族は、対向車の運転手に怪我がないのにひき逃げとなってしまうのか不思議に思い、交通事件も扱う刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(※令和元年6月2日産経新聞配信記事をもとにしたフィクションです。)

・同乗者相手でもひき逃げ?

今回のAさんの起こした事故では、Aさん自身と対向車の運転手は怪我をせず、Aさんの運転していたバイクに同乗していたVさんが怪我をしています。
ひき逃げというと、事故に遭った相手側の運転手や同乗者、歩行者が被害者となるイメージが強いと思いますが、Aさんのような、自分の運転していた車やバイクに同乗していた同乗者が怪我をしたような場合でもひき逃げとなるのでしょうか。

結論から申し上げますと、Aさんのような、事故を起こした人が運転していた車の同乗者が怪我をした場合でも、その同乗者に対して救護等を行わなければ、ひき逃げとなります。
まずは人身事故を過失で引き起こしてしまった場合に適用される、いわゆる過失運転致死傷罪を見てみましょう。

自動車運転処罰法5条(過失運転致死傷罪)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

過失運転致死傷罪の条文を見ると、単に「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者」に過失運転致死傷罪が成立するとされています。
ですから、その「死傷」という結果が、事故の相手の車に乗っていた人や歩行者でなくとも、この犯罪は成立するということになります。
つまり、自分の過失によって事故を起こし、その結果自分の車に乗っていた同乗者が怪我をしたり死亡したりした場合にも、過失運転致死傷罪が成立することになるのです。

そして、ひき逃げについて定めている道路交通法の条文も再度確認してみましょう。

道路交通法72条1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

こちらについても、定められている内容は負傷者を救護することや警察へ報告することだけであり、怪我を負った人がどういった人か=相手側の車に乗っていた人や歩行者なのか、同乗者なのか、といった区別・限定はされていません。
ですから、たとえ負傷者が同乗者だけであったとしても、救護しなかったり警察への報告をしなかったりすれば道路交通法の義務に違反し、ひき逃げとなるのです。
こうしたことから、Aさんの事件についてもひき逃げと認められると考えられます。

ひき逃げ事件では、一度現場から逃げていることから、逮捕や勾留といった身体拘束を伴う捜査が行われやすいといわれています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ひき逃げによって逮捕されてしまったというご相談ももちろん承っています。
まずは0120-631-881からお問い合わせください。

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