Archive for the ‘交通事件’ Category

飲酒運転を隠そうと逃げたら犯罪?

2021-04-01

飲酒運転を隠そうと逃げたら犯罪?

飲酒運転を隠そうと逃げたら犯罪となるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市中京区にある自宅で飲酒していましたが、いつも飲んでいる飲料水を切らしていたことを思い出しました。
そこでAさんは、「そんなに遠い距離ではないし大丈夫だろう」と思い、飲酒運転をして近所のスーパーへに向かいました。
するとその道中で、Aさんの運転する自動車は歩行者Vさんと接触する事故を起こしてしまい、Vさんに怪我をさせてしまいました。
このままでは飲酒運転に問われてしまうと焦ったAさんは、そのまま自動車で走り去り、スーパーで飲料水を購入して大量に飲料水を飲んでアルコールの数値が出ないようにするなど、飲酒運転の事実を隠そうとしました。
しかし、すぐにVさんからの通報を受けて捜査していた京都府中京警察署の警察官によりAさんが発見され、Aさんはひき逃げなどの容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは飲酒運転を隠そうとしたことも犯罪になると聞いて驚き、接見に訪れた弁護士に犯罪の内容を相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・飲酒運転を隠そうとすることは犯罪?

そもそもAさんが行った飲酒運転人身事故、事故を起こしたにもかかわらずその場から立ち去るというひき逃げといった行為は、それぞれが犯罪となることに疑問はないでしょう。
飲酒運転やひき逃げは道路交通法違反に、人身事故は過失運転致傷罪などに問われる行為です。
しかしこれだけではなく、上記事例のAさんは、飲酒運転をしていたことが発覚することを防ぐために事故現場から逃げてスーパーでで飲料水を購入して飲むといった行動をしています。
どうやら今回は、こういったAさんの飲酒運転を隠そうとした行為についても犯罪が成立するようです。
自動車運転処罰法の条文を確認してみましょう。

自動車運転処罰法4条(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪)
アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、12年以下の懲役に処する。

この条文で定めている犯罪は、通称「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」という犯罪です。
大まかに説明すると、ある程度の飲酒運転で人身事故を起こしたにも関わらず、飲酒運転の発覚やその程度を分からなくするために、事故後にあえてアルコールを摂取したり、事故現場を離れてアルコール濃度を下げるための行為等をしたときに成立する犯罪がこの「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」ということになります。
この犯罪は、いわゆる「逃げ得」を防止するために規定された犯罪です。

飲酒運転をして人身事故を起こしてしまった場合、その飲酒運転の程度によっては、自動車運転処罰法内に規定されている危険運転致死傷罪にあたる可能性があります。
例えば、酩酊状態で飲酒運転をして人身事故を起こして危険運転致死傷罪が適用された場合、被害者が怪我をしていれば15年以下の懲役、被害者が死亡していれば1年以上の有期懲役(上限20年)となることになります(自動車運転処罰法第2条)。

しかし、その場を立ち去り酔いがさめたりアルコール濃度が下がったりするまで待ったり、水を飲む等してアルコール濃度を下げる行為をして、事故の際のアルコール濃度を検知できないようにしたり酩酊状態でないようにしたりすれば、危険運転致死傷罪の成立要件である「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ」たと確認できず、ひき逃げによる道路交通法違反と過失運転致死傷罪が成立するにとどまることになります。
事故後にアルコールを摂取した場合でも「得」になるのかと疑問に思われる方もいるかもしれませんが、検知されたアルコールが事故前に飲まれていたものなのか、事故後に飲まれたものなのか分からなくなってしまえば、飲酒運転をしていたかどうかの確認ができなくなってしまいます。
そうなると、ひき逃げと過失運転致死傷罪では最高でも15年の懲役となりますので、最高20年の懲役となる危険運転致死傷罪よりも軽くなってしまいます。
これが許されてしまえば、逃げて飲酒運転を隠した方が「得」である、「逃げ得」であるとされてきたのです。

そういった「逃げ得」を防止するため、今回取り上げた「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が規定されたのです。
過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が認められた場合、ひき逃げと合わせて最高18年の懲役が科される可能性があります。

今回のAさんは、飲酒運転の発覚を免れるために、事故現場から逃亡して飲料水を飲み、アルコール数値を分からないようにしようとしています。
ですから、Aさんは過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪とひき逃げに問われる可能性が考えられます。
ただし、もしもAさんが、実は飲酒運転発覚を避けるために逃げたり飲料水を飲んだりしていたわけではなかったような場合、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪については冤罪であることになります。
先ほど触れたように、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪はひき逃げと合わさると非常に重い刑罰が科せられる可能性があります。
冤罪である場合はもちろん、そうでない場合も、弁護士の助言を逐一受けながら、取調べに臨むことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部には、飲酒運転に関連した刑事事件のご相談も数多く寄せられています。
刑事事件専門の弁護士が、それぞれの事件ごとの事情をお伺いし、丁寧に対応や見通しをお話いたします。
初回の法律相談は無料、初回接見サービスは最短即日対応です。
まずはお気軽にお電話ください(0120-631-881)。

「いけず石」で道路交通法違反に?

2021-02-25

「いけず石」で道路交通法違反に?

いけず石」で道路交通法違反に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都市北区に住んでいるAさんは、自宅周辺の道路を通行する自動車に自宅の周囲にある壁や自宅に傷をつけられたくないという思いから、いわゆる「いけず石」として大きな石を自宅周りに置いていました。
Aさんは、たびたび「ここは公道だから通行の邪魔になってしまう。石を撤去してほしい」と言われていたものの、それを無視していけず石を置き続けていました。
するとある日、京都府北警察署からAさんの元に「道路交通法違反の容疑で話を聞かせてほしい」という連絡が入りました。
Aさんは、運転する自動車で交通違反をした記憶もないのになぜ道路交通法違反の容疑をかけられているのか疑問に思い、弁護士に相談したところ、Aさんの置いた「いけず石」が問題になっている可能性があると言われました。
(※この事例はフィクションです。)

・「いけず石」とは

そもそも、「いけず石」とはどういったものなのでしょうか。
いけず石」とは、家屋の横や家屋に接する曲がり角に置かれている石のことです。
いけず石は、家屋に接する道路を通行する自動車が家屋を傷つけないように=自動車が家屋に近づかないようにするために置かれる石であるとされています。
京都の道路は細く曲がりづらい道が多いことから、自動車と家屋の接触も多く、そのためいけず石が置かれることが多くなったと言われています。
いけず石は京都独特の文化と言えるでしょう。

・「いけず石」で刑事事件になる?

では、今回のAさんの事例を考えてみましょう。
どうやらAさんはこのいけず石の件で道路交通法違反を疑われているということのようです。
いけず石を私道や自分の所有する土地の敷地内に設置することは問題ありません。
しかし、今回のAさんは公道にいけず石を設置してしまっているようです。
公道では、道路交通法による規制が適用されます。
ここで道路交通法の条文を確認してみましょう。

道路交通法第76条第3項
何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。

このように、道路交通法では、公道に交通の妨害になるように物を置くことを禁止しています。
Aさんは公道にいけず石を置いていたことから、そのいけず石の設置方法によってはこの道路交通法の条文に違反することになるのです。
なお、この条文に違反すると、以下の刑罰を受ける可能性が出てきます。

道路交通法第119条第1項
次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
第12号の4 第76条(禁止行為)第3項又は第77条(道路の使用の許可)第1項の規定に違反した者

なお、いけず石の設置方法が道路を通れないほどに道路を塞いでいる方法であれば、道路交通法違反ではなく、刑法の往来妨害罪という犯罪になる場合もあります。

刑法第124条第1項(往来妨害罪)
陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

そもそもいけず石は家屋に自動車が接触することを避けるために置かれるものと言われていますから、往来妨害罪に当たるほど道路を塞ぐことは考えづらいですが、やりすぎてしまえばこれほど重い犯罪になりうるということは注意しておくべきでしょう。

道路交通法違反と言われると、自動車の運転による交通違反というイメージが強いかもしれませんが、今回のAさんのように、運転に関わらずとも道路に関わる事柄であれば道路交通法違反の当事者になってしまいます。
想像しづらい内容で刑事事件の当事者になるということは、刑事手続きや見通しに対しての不安も強くなりやすいということです。
刑事事件の専門家である弁護士に相談することで、その不安を軽減できることが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弁護士による初回無料法律相談を実施しています。
いけず石による道路交通法違反事件など、交通事件にも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。

自転車のひき逃げで逮捕されたら②

2021-02-15

自転車のひき逃げで逮捕されたら②

自転車ひき逃げ逮捕されてしまったケースで、特にひき逃げによる道路交通法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都府亀岡市に住んでいるAさんは、移動の際、スポーツタイプの電動アシスト付き自転車を利用していました。
ある日Aさんがその自転車に乗って移動している際、Aさんがよそ見運転をしていたことをきっかけに、通行人Vさんに衝突してしまいました。
Aさんは、「自転車に当たったくらい大丈夫だろう」と思い、「すみません」とだけ言ってその場を去りました。
しかし、Vさんは衝突によって骨折などの大怪我を負っており、後日、京都府亀岡警察署の捜査によってAさんは重過失傷害罪ひき逃げによる道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、自転車でもひき逃げになることに驚き、接見に訪れた弁護士に今後の対応や見通しについて相談することにしました。
(※令和3年1月25日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・自転車のひき逃げ事件〜道路交通法違反

前回の記事でも簡単に触れましたが、自動車の場合でも自転車の場合でも、ひき逃げ事件は「ひき逃げ」という罪名の犯罪が成立するわけではなく、人身事故を起こしたこと自体に犯罪が成立し(自動車の場合は過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪が、自転車の場合は過失の程度により過失傷害罪・過失致死罪や重過失傷害罪・重過失致死罪が成立します。)、さらにその場から適切な行為をせずに逃げた行為について道路交通法違反が成立するという構図になります。
今回の記事では、適切な行為をせずに逃げた行為、いわゆるひき逃げ行為によって成立する道路交通法違反について確認していきます。

道路交通法では、事故を起こしてしまった場合の対応について、いくつかの義務を定めています。

道路交通法第72条第1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

この条文の中に定められている義務は、一般に「救護義務」(負傷者の救護)、「危険防止措置義務」(道路上の危険を防止する)、「報告義務」(警察官等への通報・報告)と呼ばれています。
ひき逃げは「逃げる」という言葉が入っているものの、正確にはこれらの義務を果たさないことを指します。
ですから、ひき逃げをした際に「救護義務違反」や「報告義務違反」と言ったことを言われる場合がありますが、これはこの道路交通法の義務に違反しているということなのです。

この道路交通法の条文を見ると、「車両等の運転者その他の乗務員」が対象となっています。
過失運転致死傷罪などを定める自動車運転処罰法では、対象の乗り物が「自動車」となっていたのに対し、道路交通法のこの条文では「車両等」となっています。
この「車両等」は道路交通法でどのように定義づけられているのでしょうか。

道路交通法第2条第1項
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
第8号 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
第11号 軽車両 次に掲げるものであつて、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のものをいう。
イ 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)

つまり、道路交通法のひき逃げに関する条文の対象となる「車両等」には「軽車両」が含まれており、その「軽車両」の中に「自転車」が含まれていることから、先程挙げた道路交通法のひき逃げの条文は、自転車にも当てはまるということになるのです。

ひき逃げはあくまで自動車事故の問題だと思われがちですが、自転車でも人身事故を起こした場合、道路交通法上の義務が発生します。
昨今ではスポーツタイプなどのスピードの出る自転車も多く流通していますから、自転車による人身事故を気をつけることはもちろん、もしも事故を起こしてしまったら道路交通法上の義務を果たすよう気をつけましょう。
それでもパニックになってしまうなどしてひき逃げ行為をしてしまった場合、早めに弁護士に相談し、迅速に対応してもらいましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕されてしまった方にも在宅捜査を受けている方にも、まだ捜査はされていないがこれから刑事事件化が心配だという方にもお気軽にご相談いただけるサービスをご用意しています。
まずはお気軽にご相談ください。

自転車のひき逃げで逮捕されたら①

2021-02-11

自転車のひき逃げで逮捕されたら①

自転車ひき逃げ逮捕されてしまったケースで、特に自転車による人身事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都府亀岡市に住んでいるAさんは、移動の際、スポーツタイプの電動アシスト付き自転車を利用していました。
ある日Aさんがその自転車に乗って移動している際、Aさんがよそ見運転をしていたことをきっかけに、通行人Vさんに衝突してしまいました。
Aさんは、「自転車に当たったくらい大丈夫だろう」と思い、「すみません」とだけ言ってその場を去りました。
しかし、Vさんは衝突によって骨折などの大怪我を負っており、後日、京都府亀岡警察署の捜査によってAさんは重過失傷害罪ひき逃げによる道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、自転車でもひき逃げになることに驚き、接見に訪れた弁護士に今後の対応や見通しについて相談することにしました。
(※令和3年1月25日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・自転車のひき逃げ事件〜重過失傷害罪

自動車によるひき逃げ事件は、たびたび報道などで目にすることも多いでしょう。
ですから、「ひき逃げと言えば自動車のことで自転車には関係ない」というイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、自転車であってもひき逃げ事件になり、犯罪行為になることに注意が必要です。
とはいえ、自動車とひき逃げ事件と自転車のひき逃げ事件では成立する犯罪が異なる部分もあります。
まずはその異なる部分について確認してみましょう。

自動車のひき逃げ事件の場合、まずは人身事故を起こしたこと自体に過失運転致傷罪(場合によっては危険運転致傷罪)が成立します。

自動車運転処罰法第5条(過失運転致死傷罪)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

しかし、条文を見て分かる通り、過失運転致死傷罪は「自動車」を運転している際の事故について定めているのであり、ここに自転車は含まれていません。
では自転車のひき逃げ事件の場合どうなるのかというと、刑法の過失傷害罪や重過失傷害罪が適用されると考えられます(被害者が亡くなっている場合には過失致死罪や重過失致死罪になります。)。

刑法第209条(過失傷害罪)
第1項 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
第2項 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

刑法第210条(過失致死罪)
過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。

刑法第211条(業務上過失致死傷罪、重過失致死傷罪)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

過失とは、簡単にいえば故意ではなく不注意で、ということです。
例えば、今回のAさんのようなよそ見運転は、自転車を運転する上で注意を払って運転すべきところを注意を払わず運転してしまったということになりますから、Aさんの過失となるでしょう。
こうした過失によって人に怪我をさせてしまったり人を死なせてしまったりすれば過失傷害罪過失致死罪重過失傷害罪重過失致死罪となるため、自転車による人身事故の場合はこれらの犯罪が該当すると考えられているのです。

では、単なる「過失」=過失傷害罪と「重大な過失」=重過失傷害罪の違いは一体なんなのでしょうか。
重過失傷害罪にいう「重大な過失」とは、僅かでも注意を払えばその結果を簡単に予見・回避できたであろうことを指します。
つまり、過失よりも著しく大きな注意義務違反(注意すべきところでしなかったこと)がある場合に「重大な過失」があると判断されるのです。
とはいえ、「何をすれば/していなければ過失で、何をすれば/していなければ重過失」と具体的に決められているわけではありません。
あくまでその事件当時の状況や当事者の認識など、事件ごとの事情を総合的に考えなければ過失なのか重過失なのか=過失傷害罪なのか重過失傷害罪なのかの判断はできません。
今回のAさんは重過失傷害罪の容疑で逮捕されていることから、著しい注意義務違反があり、それによってVさんとの衝突事故を起こしたと考えられているのでしょう。

その自転車事故で成立するのが過失傷害罪なのか重過失傷害罪なのかということによって、刑罰の重さが大きく異なることはもちろん、親告罪(被害者等の告訴がなければ起訴できない犯罪)なのかどうかといったことも変わってきます。
正式裁判の可能性の有無など、罪名によっては弁護活動にも違いが出てきますから、専門家の弁護士に詳しい事情を聞いてもらった上で判断してもらい、サポートを受けることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、自転車ひき逃げ事件などによる重過失傷害事件にも対応しています。
まずはお気軽にご相談ください。

次回の記事ではひき逃げによる道路交通法違反部分について解説します。

無免許運転で人身事故

2020-12-10

無免許運転で人身事故

無免許運転人身事故を起こしてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市中京区に住んでいるAさんは、度重なる交通違反によって運転免許を取り消されてしまいましたが、「近所で買い物のために運転するくらいなら問題ないだろう」と考え、免許取消後も自動車の運転を続けていました。
しかしある日、Aさんは京都市中京区内の路上で、通行人Vさんと接触してVさんに怪我を負わせてしまうという人身事故を起こしてしまいました。
Aさんは、急いで京都府中京警察署に通報しましたが、そこでAさんが無免許運転をしていたことが発覚。
Aさんは無免許運転人身事故を起こしたとして、捜査されることになりました。
Aさんは、今後の手続や自分の受ける処分が気になって不安になり、京都府人身事故を含む刑事事件を取り扱う弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・無免許運転で人身事故…何罪に?

通常、無免許運転をすれば道路交通法に違反することになり、道路交通法違反という犯罪になります。

道路交通法第64条第1項
何人も、第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第90条第5項、第103条第1項若しくは第4項、第103条の2第1項、第104条の2の3第1項若しくは第3項又は同条第5項において準用する第103条第4項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。

道路交通法第117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第1号 法令の規定による運転の免許を受けている者(第107条の2の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第88条第1項第2号から第4号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が1年を超えている場合を含む。)運転した者

そして、人身事故を起こしてしまった場合、通常であれば自動車運転処罰法(正式名称「」)という法律にある過失運転致傷罪となることが多いです(故意に危険運転行為をして人身事故を起こしてしまった場合は危険運転死傷罪に問われることになります。)。

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

ここで注意しなければいけないのは、無免許運転人身事故を起こした場合、単純に無免許運転による道路交通法違反と人身事故を起こしたことによる過失運転致傷罪(自動車運転処罰法違反)が成立するわけではないということです。
自動車運転処罰法では、過失運転致死傷罪にあたる人身事故無免許運転をして起こしてしまった場合の加重規定を設けているのです。

自動車運転処罰法第6条
第4項 前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、10年以下の懲役に処する。

通常の過失運転致傷罪の刑罰が「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」とされているのに対し、無免許運転をして人身事故を起こした場合の刑罰は「10年以下の懲役」とされており、罰金刑が消え、懲役刑の上限が引き上げられています。
さらに、もしも無免許運転による道路交通法違反と通常の過失運転致傷罪の2つが成立すると考えた場合でも、その刑罰は「10年以下の懲役若しくは禁錮又は150万円以下の罰金」となり、罰金刑が定められることになるため(刑法第45条)、自動車運転処罰法第6条の無免許運転による過失運転致傷罪の加重規定はより厳しく処罰されるよう規定されていることが分かります。

・無免許運転による人身事故を起こしたら

人身事故を起こして刑事事件となった場合、被害者の方と保険とは別に刑事示談をするなどの弁護活動が考えられます。
こうした活動は刑事事件に詳しい弁護士に相談・依頼されることがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、こうした交通事件についても初回無料法律相談を受け付けています。
まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

あおり運転で妨害運転罪

2020-09-10

あおり運転で妨害運転罪

あおり運転妨害運転罪になったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市右京区に住んでいるAさんは、自宅近くの道路で自動車を運転していた際、後続車を運転していたVさんの運転にいらだち、突然急ブレーキを踏むあおり運転を複数回行いました。
Vさんは危険を感じて停車し、京都府右京警察署に通報。
Vさんの車に搭載されていたドライブレコーダーからAさんのあおり運転行為が発覚し、Aさんは京都府右京警察署妨害運転罪の容疑で取調べを受けることになりました。
Aさんは、あおり運転に関わる刑事事件にも対応している弁護士に相談し、取調べへの対応や今後の手続の流れを詳しく聞くことにしました。
(※令和2年9月8日毎日新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・妨害運転罪

昨今、あおり運転が問題となり、あおり運転に関連するニュースもよく目にするようになりました。
あおり運転は重大な交通事故に繋がり得る危険な行為であることもあり、あおり運転を規制する流れができてきました。
その流れの中で、今年の6月に道路交通法が改正され、「妨害運転罪」が創設されたのです。
妨害運転罪は、あおり運転を処罰するものです。

妨害運転罪という名前ではあるものの、正式な犯罪名としては、道路交通法違反となります。
道路交通法では、もともと危険な運転行為を個別に定め、刑罰を決めていましたが、今回の改正では、以下のようにして「妨害運転」=あおり運転に当てはまる運転態様を挙げ、これに当てはまった場合には妨害運転罪として処罰することを定めています。

道路交通法第117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第11号 他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者
イ 第17条(通行区分)第4項の規定の違反となるような行為
ロ 第24条(急ブレーキの禁止)の規定に違反する行為
ハ 第26条(車間距離の保持)の規定の違反となるような行為
ニ 第26条の2(進路の変更の禁止)第2項の規定の違反となるような行為
ホ 第28条(追越しの方法)第1項又は第四項の規定の違反となるような行為
ヘ 第52条(車両等の灯火)第2項の規定に違反する行為
ト 第54条(警音器の使用等)第2項の規定に違反する行為
チ 第70条(安全運転の義務)の規定に違反する行為
リ 第75条の4(最低速度)の規定の違反となるような行為
ヌ 第75条の8(停車及び駐車の禁止)第1項の規定の違反となるような行為

この条文で挙げられているイ~ヌの10個の類型が、いわゆるあおり運転として処罰される運転態様となります。
このあおり運転をして妨害運転罪となった場合、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります。
これは無免許運転や酒気帯び運転の刑罰と同じ重さの刑罰であることからも、あおり運転が厳罰化されたことがお分かりいただけると思います。
今回のAさんは、後続車であるVさんの運転する車に急ブレーキを繰り返していたということですから、このあおり運転の態様のうち「ロ」に該当するとして妨害運転罪の容疑をかけられたものと考えられます。

さらに、あおり運転をしたことによって道路上に著しい危険を生じさせた場合については、以下のように定められています。

道路交通法第117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第6号 次条第11号の罪を犯し、よつて高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者

この場合、ただあおり運転をした場合よりもさらに厳しく罰せられることになります。

最近のあおり運転への世間の関心の高まりにより、今回のAさんの事例のように、ドライブレコーダーをきっかけとしてあおり運転事件が発覚し、刑事事件の当事者となることも少なくないでしょう。
妨害運転罪のような新設された犯罪については、なかなか理解することが難しかったり、見通しが立てづらかったりしますから、まずは刑事事件の専門家に話を聞いてみることをおすすめいたします。
刑事事件専門弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、あおり運転による妨害運転事件のご相談も受け付けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

普通免許で準中型車を運転して無免許運転 

2020-05-21

普通免許準中型車を運転して無免許運転になってしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

◇無免許運転で検挙◇

Aさんは2018年に普通免許を取得し、いつも自家用車で通勤していましたが、ある日、仕事で2トントラックを使う必要が出てきたため、知人から2トントラックを借りて運転しました。
するとその道中、京都府城陽警察署の警察官が行なっていた交通検問にかかりました。
そこでAさんは、警察官から、「あなたが持っているのは普通免許で、このトラックは準中型車だから今あなたは無免許運転していることになる」と言われました。
Aさんは、今まで2トントラックを運転して問題ないという認識だったため、非常に驚きました。
Aさんは京都府城陽警察署で取調べを受けたのですが、その後の刑事手続きが不安で、京都府内の刑事事件を専門にしている弁護士に相談しました。
※フィクションです。

◇無免許運転◇

無免許運転というと、運転免許自体を取得していない人が自動車を運転することで成立する犯罪だというイメージが強いかもしれません。
しかし、運転免許を持っている人であっても、取得した免許の種別以外の自動車を運転すれば無免許運転となってしまいます。

無免許運転は、正式には道路交通法という法律に違反する、道路交通法違反という犯罪のことを指します。
道路交通法では、以下のように無免許運転について定めています。

道路交通法第64条第1項
何人も、第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第90条第5項、第103条第1項若しくは第4項、第103条の2第1項、第104条の2の3第1項若しくは第3項又は同条第5項において準用する第103条第4項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。

そして、道路交通法では、その運転免許について以下のように定めています。

道路交通法第84条
第1項 自動車及び原動機付自転車(以下「自動車等」という。)を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。
第2項 免許は、第一種運転免許(以下「第一種免許」という。)、第二種運転免許(以下「第二種免許」という。)及び仮運転免許(以下「仮免許」という。)に区分する。
第3項 第一種免許を分けて、(略)、準中型自動車免許(以下「準中型免許」という。)、普通自動車免許(以下「普通免許」という。)、(略)と及び牽けん引免許の10種類とする。

さらに、道路交通法では、この次の第85条で、準中型自動車を運転するには準中型免許が必要である旨定めています。
つまり、たとえ普通免許を持っていたとしても、準中型免許を持たずに準中型自動車を運転すれば、それは道路交通法が求めている運転免許を持たずに運転したということになり、無免許運転となってしまうのです。

◇普通免許と準中型免許◇

では、普通免許で運転できる範囲の車と準中型免許で運転できる範囲の車はどういった車なのでしょうか。
現在、普通免許で運転できる車は最大積載量が2.0トン未満の車、準中型免許で運転できる車は最大積載量が4.5トン未満の車となっています。
Aさんが今回運転した2トントラックとは、一般に「2トン積載できるトラック」という意味で使われていますから、2トン以上積載できるトラックであったことが伺われます。
そうなると、Aさんは普通免許で運転できる範囲外の車を運転してしまったこととなり、それにより無免許運転となってしまったのだと考えられます。

なお、実は道路交通法の改正以前は普通免許でも最大積載量3.0トン未満の車であれば運転することができました。
しかし、2017年3月12日の道路交通法の改正により、先ほどあげたような現在の形になったのです。
そして、2007年6月2日から2017年3月11日の間に普通免許を取得した方については、普通免許であっても最大積載量3.0トン未満、車両総重量5.0トン未満の車についても運転ができるという限定がついています。
今回のAさんは2018年に普通免許を取得しているため、これには当てはまりません。
免許を取得した時期や種類で運転できる車の種類が変わってきますので、自分の免許がどれに該当するのか、現在の法律と照らし合わせてよく確認しておくことがおすすめです。

◇無免許運転に強い弁護士◇

無免許運転といっても、こうした運転免許自体は持っているのに無免許運転になってしまうという事例もあります。
そして、無免許運転をしてしまえば3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となる可能性が出てきます(道路交通法第117条の2の2 1号)。
単なる交通違反だと軽く考えず、刑事事件専門の弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、交通違反に関わる刑事事件のご相談も受け付けています。
お困りの際はお気軽にご相談ください。

当て逃げだと思っていたのにひき逃げで逮捕?②

2020-03-31

当て逃げだと思っていたのにひき逃げで逮捕?②

当て逃げだと思っていたのにひき逃げ逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京田辺市にあるショッピングモールに自動車を運転して買い物に来ていました。
Aさんが帰ろうと駐車場から車を発進させた際、運転を誤って、前に停まっていた自動車に追突させてしまいました。
Aさんが車内から様子を伺ったところ、その車には誰も乗っていないように見えたため、「高速で走っているところをぶつかったわけではないのだし、車も大きく壊れたわけではない。放置しても大丈夫だろう」と考えたAさんは、そのまま車を運転して帰宅しました。
すると後日、Aさん宅に京都府田辺警察署の警察官がやってきました。
Aさんは、先日駐車場で車をぶつけてしまったことを思い出し、当て逃げの犯人として取調べを受けるのだろうと思っていました。
しかし、警察官は「ひき逃げ事件の被疑者として逮捕する」という旨を伝え、Aさんはひき逃げ事件の被疑者として逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・当て逃げだと思ってもひき逃げに?

今回のAさんは、自分のした行為が当て逃げだと思っていたようですが、実際にかけられた容疑はひき逃げでした。
前回の記事で確認した通り、当て逃げもひき逃げも、交通事故を起こしながら道路交通法の義務に違反する道路交通法違反ということは共通しています。
そして、その交通事故で人が死傷しているのかどうか、それに対して救護等をしたのかどうかによって当て逃げひき逃げかが代わってくることになります。
ですから、簡単に考えれば、交通事故が物損事故なのか人身事故なのかによって当て逃げひき逃げか変わるということになります。

今回のAさんは、駐車場で自動車を動かした際に低速度で他の車にぶつかったようです。
その際、Aさんは相手の車に誰も乗っていないと思ってそのまま立ち去っていますが、その中に人がいて怪我をしていれば、それは人身事故となる可能性があります。
たとえ駐車場での低速度での交通事故であっても、捻挫やむちうちなどの怪我を負ってしまい診断書が出ることは考えられますし、その怪我が交通事故に由来するものであれば、人身事故として処理されることも考えられます。
今回のAさんの場合も、Aさんが見落としていたところに車の搭乗者がいて、Aさんの車との衝突によって怪我をしていたことが考えられます。

駐車場や渋滞中などに起こった低速度の交通事故でも、人身事故になる可能性があることに注意しましょう。
どちらにせよ、人身事故でも物損事故でも起こしてしまった場合には道路交通法上の義務がありますから、そのまま立ち去らないようにしましょう。

・ひき逃げをしてしまったら何罪?

前回の記事でも触れた通り、ひき逃げ行為自体は道路交通法に違反した道路交通法違反という罪になります。
これは当て逃げ行為の場合も同じですが、ひき逃げをしてしまった場合には、この道路交通法違反のほかにも犯罪が成立します。

人身事故を起こしてしまった場合には、自動車運転処罰法の中に規定のある、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪といった犯罪が成立します。
これはひき逃げ当て逃げといった行為ではなく、人身事故を起こしてしまったこと自体に成立する犯罪です。
今回のAさんのような不注意によって相手に怪我を負わせてしまった交通事故の場合、過失運転致傷罪が成立する可能性が高いでしょう。

自動車運転処罰法5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

まとめると、ひき逃げ事件の場合、ひき逃げ行為に成立する道路交通法違反と、人身事故を起こしたことに成立する過失運転致死傷罪などという、2つの犯罪が成立することになるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、こうした当て逃げひき逃げのような交通事故に関連した刑事事件のご相談も受け付けています。
当て逃げひき逃げといった、現場から一度逃げているという事情のある刑事事件では、逃亡のおそれが高いとして逮捕されることも珍しくありません。
突然の逮捕は刑事事件に強い弁護士にぜひご相談ください。

当て逃げだと思っていたのにひき逃げで逮捕?①

2020-03-29

当て逃げだと思っていたのにひき逃げで逮捕?①

当て逃げだと思っていたのにひき逃げ逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府京田辺市にあるショッピングモールに自動車を運転して買い物に来ていました。
Aさんが帰ろうと駐車場から車を発進させた際、運転を誤って、前に停まっていた自動車に追突させてしまいました。
Aさんが車内から様子を伺ったところ、その車には誰も乗っていないように見えたため、「高速で走っているところをぶつかったわけではないのだし、車も大きく壊れたわけではない。放置しても大丈夫だろう」と考えたAさんは、そのまま車を運転して帰宅しました。
すると後日、Aさん宅に京都府田辺警察署の警察官がやってきました。
Aさんは、先日駐車場で車をぶつけてしまったことを思い出し、当て逃げの犯人として取調べを受けるのだろうと思っていました。
しかし、警察官は「ひき逃げ事件の被疑者として逮捕する」という旨を伝え、Aさんはひき逃げ事件の被疑者として逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・当て逃げとひき逃げの違い

今回のAさんは、自分では当て逃げをしてしまったと思っていたところ、ひき逃げの容疑で逮捕されてしまっています。
当て逃げひき逃げも、交通事故を起こしてしまったところから義務を果たさずに逃げてしまった場合に成立しますが、実は「当て逃げ」「ひき逃げ」という犯罪があるわけではありません。
当て逃げやひき逃げは、道路交通法の条文に違反する、道路交通法違反という犯罪の通称なのです。

まず、道路交通法には、交通事故を起こしてしまった際の義務として、以下の義務が定められています。

道路交通法72条1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

簡単に言えば、交通事故を起こしたときにはすぐに運転をやめ、負傷者を救護する義務や道路上の危険を防止する義務、警察官等に交通事故について報告する義務を果たさなければならないということになっているのです。
これに違反するのが当て逃げ引き逃げ、ということになります。

道路交通法117条
1項 車両等(軽車両を除く。以下この項において同じ。)の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第72条(交通事故の場合の措置)第1項前段の規定に違反したときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2項 前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

道路交通法119条
次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
10号 第72条(交通事故の場合の措置)第1項後段に規定する報告をしなかつた者

道路交通法117条1項・2項が定めているのが、いわゆる救護義務違反または危険防止措置義務違反、つまり、交通事故によって死傷者が出た場合に救護をしたり道路上の危険を防止する措置をしたりする義務を果たさなかったという道路交通法違反です。
多くの場合、これが一般に言われる「ひき逃げ」の罪です。

そして、道路交通法119条10号では、いわゆる報告義務違反、交通事故を起こしたときに警察等に事故を報告しなかったという道路交通法違反です。
交通事故による死傷者がいない物損事故を起こし逃げた場合=当て逃げの場合、この道路交通法違反となることが多いでしょう。

さて、こうした当て逃げひき逃げですが、実際にAさんのように、当て逃げだと思っていたのにひき逃げ逮捕されることはありえるのでしょうか。
次回の記事で詳しく触れていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、交通事故に絡んだ刑事事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
当て逃げ事件ひき逃げ事件逮捕にお困りの際は、遠慮なく弊所弁護士までご相談下さい。

免停中の無免許運転で逮捕

2020-02-04

免停中の無免許運転で逮捕

免停中の無免許運転逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市山科区にある会社に勤務する会社員です。
Aさんは通勤に自動車を使用しており、毎日運転していましたが、運転態度が悪く、度々京都府山科警察署の検問やパトロールで通行禁止違反や一時不停止等の交通違反を指摘され、反則金を支払う等していました。
ある日、Aさんはパトロールをしていた京都府山科警察署の警察官から信号無視を見とがめられ、ついに90日間の免許停止処分を受けることになりました。
しかし、Aさんは通勤に車を使っていたため、「運転できなくなるのは困る。免停と言っても運転したのがばれなければ問題ないだろう」などと考え、免停となった後も運転を続けていました。
そうして免停期間も運転をしていたAさんでしたが、職場からの帰宅途中、交通検問をしていた京都府山科警察署の警察官により免停期間中の運転であることが分かり、無免許運転の容疑で逮捕されることとなってしまいました。
(※令和2年1月31日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・免停中は無免許運転に

無免許運転という言葉からは運転免許自体を持っていない人が自動車の運転をするというイメージがわきやすいですが、今回のAさんのように、たとえ運転免許を取得していたとしても、その免許が免停となっている最中に運転してしまえば、それも無免許運転ということになります。
免停期間中は道路交通法の以下の条文にもある通り、免許の効力が停止されているわけですから、その期間内については運転免許を持っていない無免許の状態と同じということになるのです。

道路交通法103条1項(免許の取り消し、停止等)
免許(仮免許を除く。以下第106条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は6月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。
ただし、第5号に該当する者が前条の規定の適用を受ける者であるときは、当該処分は、その者が同条に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後でなければ、することができない。
(略)
5号 自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき(次項第1号から第4号までのいずれかに該当する場合を除く。)。

今回のAさんのように、交通違反をしてしまって免停となった場合には、この道路交通法103条1項5号等に該当するとして免停となっていることが考えられるでしょう。
この免停という処分は、あくまで運転免許に関する行政上の処分であり、刑事罰というわけではないため、免停になったからといって前科がつくわけではありません。
交通違反による道路交通法違反では、交通違反の種類にはよるものの反則金制度という制度があり、反則金を支払うことで刑事手続に移行せずに交通違反を処理する制度があるため、反則金を支払って免停となった、というだけでは刑事事件となって前科が付くということに必ずしも結びつかないのです。

・無免許運転で逮捕?

しかし、今回のAさんは無免許運転をしたとして逮捕されてしまっています。
実は、無免許運転は前述の反則金制度の対象外となる交通違反で、無免許運転をして検挙されるということは、免停や免許取り消しといった行政上の処分だけでなく、刑事罰を受けるかどうかという刑事事件としての手続きと処分を受けなければならないということになります。

道路交通法117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
1号 法令の規定による運転の免許を受けている者(第107条の2の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第88条第1項第2号から第4号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が1年を超えている場合を含む。)運転した者

この条文にも、無免許運転について「法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。」と書いてあることからも、今回のAさんの免停中の運転が無免許運転として処罰されることがわかります。
たかが無免許運転、ばれなければ大丈夫と考える人もいるかもしれませんが、無免許運転の刑事罰はこれほど重いものとなっていることもあり、態様によってはその場で逮捕されてしまう可能性もありますから、無免許運転とならないよう注意が必要です。

それでも無免許運転をしてしまって逮捕されてしまった、刑事事件の被疑者となってしまったという場合には、今後の対応について弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部弁護士は、こうした交通違反に関連する刑事事件のご相談も承っています。
まずはお気軽に、0120-631-881までお問い合わせください。

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