Archive for the ‘性犯罪’ Category

シャワー室への侵入で取調べ

2021-05-17

シャワー室への侵入で取調べ

シャワー室への侵入で取調べを受けたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府城陽市の会社Xに勤務している男性会社員のAさんは、会社にある女性用シャワー室侵入したとして、その現場を目撃した同僚に、京都府城陽警察署に通報されてしまいました。
Aさんは、京都府城陽警察署で事情を聞かれることになり、そこで自身に建造物侵入罪京都府迷惑防止条例違反の容疑がかけられているということを知りました。
自分への処分や自分がたどる刑事手続が今後どのようになるのか不安になったAさんは、京都府刑事事件に対応している弁護士の初回無料法律相談を利用して、弁護士に詳しい話を聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・シャワー室やトイレへの侵入

今回の事例のAさんは、会社内にある女性用のシャワー室に立ち入ったことで犯罪を行った疑いをかけられています。
ただ単純に男性が女性用の、あるいは女性が男性用のシャワー室やトイレなどに立ち入ったということが絶対に犯罪となるわけではありません。
しかし、事情によっては犯罪に問われる可能性のある行為であるということにも注意しなければなりません。
以下では、シャワー室やトイレへの侵入によって問われうる犯罪について確認していきます。

・建造物侵入罪

今回の事例のAさんにかけられている容疑の1つとして建造物侵入罪という犯罪があります。
建造物侵入罪は、刑法第130条前段に規定されている犯罪です。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪という名前から、建造物侵入罪は建物そのものに立ち入る行為を処罰する犯罪であるというイメージのある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、建造物侵入罪では、建造物その物への侵入行為のほかにも、立ち入りが許された建造物内部において立ち入ることが禁止されている区画に立ち入る場合についても処罰することになっています。
立ち入り行為が建造物侵入罪にいう侵入に当たるかどうかは、居住者や看守者の意思に反する立ち入りであるかどうか、立ち入りによって事実上の平穏が侵害されたといえるかどうかという2つの点を考慮して判断されます。

例えば、今回の事例で問題となっているシャワー室やトイレといった場所は、普段衣服によって隠されている身体の一部または全部を露出する場所です。
そこに異性が正当な理由なく立ち入るとなれば、安心してそのシャワー室やトイレなどを利用できない状態になると考えることができます。
さらに、正当な理由なしに異性がシャワー室やトイレに入るようなことは、その建造物の看守者(管理している者)の意思にも反することになるでしょう。
こうしたことから、正当な理由なしに異性用とされているシャワー室やトイレに立ち入ることは建造物侵入罪に当たることになると考えられるのです。

ただし、建造物侵入罪の条文にも「正当な理由がないのに」とあるように、シャワー室やトイレへの立ち入りに正当な理由があれば、建造物侵入罪は成立しないということになります。
例えば、異性によるトイレへの立ち入りについては、本来使用すべきトイレがいっぱいで失禁してしまうのを回避するために止む無く立ち入った場合や、トイレに清掃目的で立ち入った場合などが考えられます。

・迷惑防止条例違反

今回の事例のAさんは、先ほど触れた建造物侵入罪だけでなく、京都府迷惑防止条例違反の疑いもかけられています。
各都道府県の迷惑防止条例では、盗撮やのぞき行為を禁止していることが多く、今回の事例のAさんは女性用シャワー室に立ち入っていたという事情から、そうした行為による迷惑防止条例違反を疑われている可能性があります。

京都府迷惑防止条例第3条
第3項 何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をしようとして、他人の姿態に撮影機器を向けること。

例えば、Aさんが女性用シャワー室に立ち入って盗撮行為をしようとカメラなどをシャワー室を利用している人に向けていたり、その様子を盗撮していたりすれば、Aさんにはこの迷惑防止条例違反も成立することになるのです。
都道府県や行為の行われた場所によっては、のぞき行為でも迷惑防止条例違反となるケースもあります。

・軽犯罪法違反

のぞき行為については、軽犯罪法第1条第23号でも「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を罰する規定があります。
場所などの関係上迷惑防止条例違反にはならない場合でも、立ち入り行為の目的がのぞきであり、実際にのぞき行為をしていたような場合には、軽犯罪法違反に問われる可能性も出てくることになります。

このように、シャワー室やトイレへの侵入によって成立する可能性のある犯罪は複数存在します。
侵入の目的や侵入してからした行為によっても成立する犯罪は異なりますから、シャワー室やトイレへの侵入によって刑事事件化してしまい、取調べを受けることになったら、まずは弁護士に相談し、自分が問われうる犯罪についてきちんと聞いておきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弁護士による初回無料法律相談も受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。

おふざけがエスカレートして強制わいせつ事件に?

2021-05-13

おふざけがエスカレートして強制わいせつ事件に?

おふざけがエスカレートして強制わいせつ事件に至ったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市南区に住むAさんは、自宅で友人の女性Vさんと酒を飲んでいました。
お酒が回ってきたAさんは、おふざけのつもりでVさんの太ももを触りはじめました。
Vさんが嫌がるそぶりを見せないことからAさんの行為はエスカレートし、Vさんのお尻や胸を揉むなどした上、無理矢理キスしようとしたところで突如Vさんが激怒し、そのまま京都府南警察署に通報されてしまいました。
Aさんは、警察官から簡単に話を聞かれた後、強制わいせつ事件の被疑者として京都府南警察署で取調べを受けることになりました。
おふざけの延長線上の行為だったつもりなのに強制わいせつ罪という犯罪の容疑をかけられてしまったと不安になったAさんは、刑事事件を取り扱う弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・強制わいせつ罪

今回のAさんは、Vさんの太ももを触るのに加え、Vさんのお尻や胸を揉み無理矢理キスしようとしています。
この行為は、Aさんに容疑をかけられている強制わいせつ罪(刑法第176条)という犯罪になる可能性のある行為です。

刑法第176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪における「わいせつな行為」とは、被害者の意思に反して他人から触れられたり見られたくない身体の一部に触れたりするなどして被害者の性的羞恥心を害し、かつ一般通常人でも性的羞恥心を害されるであろう行為のことをいいます。
つまり、性的に恥ずかしいと思わせるような行為を相手の意思に反して行うことが強制わいせつ罪の「わいせつな行為」となるのです。
具体的には、陰部や胸、お尻や太ももなどに触れる行為や、裸にして写真を撮る行為、無理矢理キスしようとする行為などが挙げられます。

強制わいせつ罪が成立するためには、この「わいせつな行為」を行う手段として暴行・脅迫が用いられることが必要です。
この暴行・脅迫は被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度のものでなければなりません。
すなわち、相手の抵抗を押さえつける程度に強い暴行・脅迫が用いられることが求められるのです。
ここで注意したいのは、実際に反抗されたとしても、客観的に反抗することが著しく困難であったと認められる限り強制わいせつ罪の成立は妨げられないということです。
ですから、相手が反抗してきたからといって必ずしも強制わいせつ罪の暴行・脅迫に当たらない(強制わいせつ罪が成立しない)とは限らず、加害者と被害者の体格や年齢、関係性、事件の起こった現場の状況など、様々な事情を総合的に考慮して強制わいせつ罪にあたるか判断されることになります。

また、強制わいせつ罪を含む性犯罪ではわいせつな行為と手段としての暴行・脅迫が必ずしも別個に存在しません。
例えば、陰部をもてあそぶという「わいせつな行為」に当たる行為が、手段としての「暴行」としての性格ももつとして、強制わいせつ罪が成立するということもあります。
今回の事例についても、AさんがVさんに行った太ももを触る行為に始まる一連の行為は、その強度などによっては、強制わいせつ罪にいう「わいせつな行為」に当たるおそれがあると同時に、Vさんへの「暴行」でもあると判断される可能性があります。

・おふざけから刑事事件に発展?

ここまでの検討で、Aさんの行為は強制わいせつ罪にあたり得る行為であるということが確認できました。
しかし、強制わいせつ罪は故意犯=故意がなければ成立しない犯罪なので、Aさんに強制わいせつ罪が成立するとなると、Aさんに強制わいせつ罪の故意がなければならないことになります。
AさんはおふざけのつもりでVさんに触れる等の行為をしていますが、こうした場合に「故意」があると判断できるのかと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

刑事事件で「故意がある」というためには、悪いことをしているという意識までは必要ではありませんが、その行為が構成要件(条文に定められているその犯罪が成立するために必要な条件のこと)に該当する行為であることの認識とその行為によって生じる結果の予見が必要です。
したがって、たとえ本人がおふざけのつもりでやった行為だったとしても、必ずしも故意が否定されるわけではありません。
ですから、今回のAさんがおふざけのつもりでVさんの身体を触ったり無理矢理キスしようとしたりしていたのだとしても、事件の状況によっては強制わいせつ罪の故意が認められる可能性もあるということになります。

しかし、今回の事例でいえば、Aさんの行為を嫌がらなかったのだからVさんがわいせつな行為を行われることに同意していたとAさんが考えていた可能性があります。
もしも被害者が行われる行為に同意していたのであれば、それは犯罪とはなりません。
このときに問題となるのは錯誤(=勘違い)です。
勘違いをしていたからといって必ずしも犯罪とならないわけではありませんが、例えば、Aさんがどの程度酒に酔っていたのか、AさんとVさんの関係性はどのような関係性だったのか、事件に至る経緯はどのようなものだったのかといった細かい事情によっては、AさんがVさんの同意があるものだと錯誤をしてしまったことに相当性があるとして、強制わいせつ罪に問われることを避けられる可能性もあります。
ですが、こうした検討は細かい事情全てを専門的に調べていかなければできないものです。
一般の方のみで検討を行うことは困難でしょうから、早い段階で専門家である弁護士に相談し、検討してもらうことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、おふざけからエスカレートして刑事事件に発展してしまったとお困りの方のご相談も受け付けています。
在宅捜査を受けている、または、まだ捜査は受けていないが刑事事件化が不安であるという方については、初回無料法律相談がおすすめです。
まずはお気軽にご相談ください。

児童ポルノ単純所持罪は弁護士に相談

2021-05-03

児童ポルノ単純所持罪は弁護士に相談

児童ポルノ単純所持罪弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府向日市に住むAはネット上で見つけた児童ポルノ画像をアップロードしているサイトから自身のパソコンに画像をダウンロードして保存していました。
すると、あるとき京都府向日町警察署の警察官がAの自宅を訪れ、Aは児童ポルノ所持の疑いで警察署に連行されることになってしまいました。
Aは逮捕はされませんでしたが、このままでは前科がついてしまうと考え、刑事事件に強い弁護士の無料法律相談へ行くことにしました。
(この話はフィクションです。)

~児童ポルノ法~

まず、児童ポルノに関する規定は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、児童買春、児童ポルノ法)」にあります。
児童買春、児童ポルノ法はその名の通り、児童ポルノ関連事件や児童買春関連事件など児童(18歳未満の者)に関する性犯罪を幅広く防止する目的のため設立されました。

今回は、Aが逮捕されてしまった児童ポルノの単純所持について詳しく見ていきましょう。
まず児童ポルノとは、どのようなものを指すのか確認しましょう。
児童ポルノの定義については児童買春、児童ポルノ法第2条第3項に規定されています。

児童買春、児童ポルノ法第2条第3項
この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
1号「児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態」
2号「他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」
3号「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」

そして、児童ポルノの所持については児童買春、児童ポルノ法第7条に規定されており、罰則は、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となっています。

~児童ポルノ所持を疑われてしまったら弁護士に相談を~

今回の事例では、詳しく記載されていませんが、Aが誤って児童ポルノに当たる画像をダウンロードしてしまったかもしれません。
例えば、誤って児童ポルノをダウンロードした場合や他人から勝手に児童ポルノが送られてきたという場合には、しっかりと事実を主張していくことで、不起訴処分の獲得や無罪判決獲得の可能性もあります。
ただ、不起訴処分や無罪判決の獲得を目指していくという場合には刑事事件に強い弁護士に弁護活動を依頼した方がよいでしょう。
刑事事件に強い弁護士であれば、それぞれの事件に合わせた効果的な主張をしていくことができます。
弁護活動の依頼を検討されている方だけでなく、児童買春、児童ポルノ法違反事件を疑われている方や、児童買春、児童ポルノ法違反になってしまうのではないか、と不安を抱えている方は、ひとまず刑事事件に強い弁護士に見解を聞くようにしましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスを行っています。
フリーダイヤル0120-631-881にて24時間体制でご予約を受け付けておりますので、京都府向日市児童買春、児童ポルノ法関連事件でお困りの方やそのご家族がおられましたらお気軽にお問い合わせください。

児童ポルノ禁止法違反事件で罰金刑を目指す

2021-04-12

児童ポルノ禁止法違反事件で罰金刑を目指す

児童ポルノ禁止法違反事件罰金刑を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、小さい子供に性的興味を持っていたこともあり、京都市左京区にある自宅のパソコンなどに18歳未満の子どもが写った児童ポルノ動画10点を保存していたとして、京都府下鴨警察署児童ポルノ禁止法違反の容疑で捜査を受けることになりました。
Aさんは、まさか児童ポルノを持っていただけでも刑事事件の当事者になるとは思ってもよらず、捜査を受けたことに驚いています。
Aさんは、「自分も起訴されてドラマのような法廷に立つことになるのだろうか」と不安に思い、弁護士に今後の手続きについて相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・児童ポルノの所持と児童ポルノ禁止法

上記事例のAさんは、児童ポルノを自宅のパソコンに保存していたことで児童ポルノ禁止法違反の容疑をかけられているようです。
児童ポルノ禁止法では、18歳未満の者を「児童」としています(児童ポルノ禁止法第2条第1項)。
児童ポルノ禁止法では、その「児童」の写った写真や映像について、以下に当てはまるものを「児童ポルノ」としています。

児童ポルノ禁止法第2条第3項
この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
第1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
第2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
第3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

そして、この「児童ポルノ」について、児童ポルノ禁止法では以下のように定めています。

児童ポルノ禁止法第7条第1項
自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

この条文を見ると、児童ポルノは「所持」しているだけで処罰されることが分かります。
児童ポルノは、たとえ自分が撮影していなくとも、持っているだけで犯罪となる物なのです。
今回の事例のAさんは、自身の性的興味から児童ポルノ動画を自宅のパソコンに保存していた=所持していたのですから、児童ポルノ禁止法違反となっているというわけです。

・児童ポルノ禁止法違反と罰金刑

今回の事例でAさんは、ドラマに出てくるような法廷に立って裁判にかけられることになるのかと不安になっているようです。
たしかに、犯罪をしてしまって刑罰を受けるとなると、ドラマにあるような法廷に立って、傍聴人に見られながら裁判を受けるというイメージがわきやすいかもしれません。
しかし、犯罪に問われる場合、必ず公開の法廷に立って裁判を受けなければならないかというとそうではありません。
略式命令による罰金刑になった場合、公開の法廷で裁判を受けずとも事件を終息させることができます。

例えば、今回のAさんの事例では、Aさんにかけられた容疑である児童ポルノ所持による児童ポルノ禁止法違反の法定刑は、上述の通り1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
100万円以下の罰金又は科料を科し得る事件であり、かつ被疑者に異議がないとき、検察官は略式命令の請求をすることができます(刑事訴訟法第461条、第461条の2)。

略式命令は非公開で行われる裁判であるため、いわゆる正式起訴による刑事裁判で公開の法廷で裁判が行われる場合に比べて、被疑者の情報が外部に流出するおそれが低くなります。
ですから、被疑者容疑を認めているようなケースでは、略式命令による罰金刑を目指すことによって、事件のことが外部に拡散されることを防ぐという手段もありえるのです。
ただし、当然罰金刑にしてほしいといったからといって罰金刑になるというわけではなく、被害の重さや犯行態様の悪質性、反省の度合いや再犯防止策の構築具合など、様々な事情から刑罰が決定されますから、専門家の弁護士に相談し、適切な処分を求める活動をしてもらうことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
児童ポルノ禁止法違反事件にお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。

学校内の盗撮事件を弁護士に相談

2021-03-25

学校内の盗撮事件を弁護士に相談

学校内盗撮事件弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市東山区内にある高校に通う高校1年生です。
Aさんは、インターネット上で盗撮された画像や映像を見るうちに、自分でも盗撮をしてみたいと思うようになり、自分の通っている学校内にある教室、更衣室やトイレに度々小型のカメラを仕掛けては盗撮するようになりました。
しかしある日、Aさんが仕掛けたカメラを女子生徒が発見したことから学校内盗撮事件が発覚。
被害の届け出を受けた京都府東山警察署が捜査をすることになりました。
捜査の結果、Aさんが盗撮行為をしていたことが判明し、Aさんは京都府東山警察署に取調べのために呼び出されることになりました。
Aさんの両親は、まさか自分の子供が通っている学校で盗撮事件を起こすとは思ってもおらず、今後どうしたらよいのか分かりません。
そこでAさんの両親は、Aさんと一緒に、少年事件に対応している弁護士に今後について相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・学校内の盗撮事件

今回のAさんは、自分の通う高校の教室や更衣室、トイレにカメラを仕掛け、盗撮していたようです。
こうした行為は、京都府の迷惑防止条例(「京都府迷惑行為等防止条例」)で禁止されている行為です。

京都府迷惑防止条例第3条
第2項 何人も、公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物にいる他人に対し、前項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 通常着衣等で覆われている他人の下着等を撮影すること。
第3項 何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。

「前項に規定する方法」とは、京都府迷惑防止条例第3条第1項にある「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」のことを指します。
一般的な盗撮事件の場合、下着姿や裸の姿を盗撮するという方法自体が「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」であることが多いと言えるでしょう。

そして、京都府迷惑防止条例の第3条で禁止している盗撮行為は、盗撮が行われた場所が「公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物」(第2項)であることや「住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」(第3項)であることに限定されています。
今回のAさんの事例では、学校内の更衣室やトイレが盗撮が行われた場所となっていますが、それぞれ「教室」「更衣室、便所」という京都府迷惑防止条例が帰省している場所に当てはまります。
そのため、Aさんの盗撮行為は京都府迷惑防止条例違反にあたると考えられるのです。

なお、もしもAさんが仕掛けたカメラが仮に撮影できていなかったとしても、京都府では盗撮目的でカメラを仕掛けること自体も迷惑防止条例で禁止されていますから、たとえ盗撮が出来ていなかった場合でもAさんの行為は京都府迷惑防止条例違反となります。

京都府迷惑防止条例第3条第4項
何人も、第1項に規定する方法で第2項に規定する場所若しくは乗物にいる他人の着衣等で覆われている下着等又は前項に規定する場所にいる着衣の全部若しくは一部を着けない状態にある他人の姿態を撮影しようとして、みだりに撮影機器を設置してはならない。

・学校内の盗撮事件を起こしてしまったら

今回のAさんは未成年であることから、刑罰を受けることは原則ありません。
しかし、場合によっては被害者との接触を考慮され逮捕されてしまう可能性もあります。
さらに、学校内盗撮事件を起こしてしまったということから、学校から何かしらの処分を下されることも考えられます。
刑事手続きの面でも、今後の学校への対応の面でも、少年事件だから、学校内の出来事だからといって放置することは望ましくありません。

弁護士に相談・依頼することで、逮捕・勾留されている場合の身体解放活動や取調べへのアドバイスをしてもらったり、学校への対応やそのサポートをしてもらったりすることが期待できます。
もちろん、被害者の方やその保護者の方への謝罪や示談交渉も、弁護士を間にはさむことで円滑に行うことが期待できますから、まずは少年事件に対応している弁護士に相談してみることがおすすめです。

たとえ学校内の出来事であっても、法律に違反すれば当然刑事事件少年事件として捜査・立件されうることになります。
「子供のやったことだから」「学校内のことだから」と軽視せず、まずは専門家に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、少年事件も取り扱っている弁護士初回無料法律相談を受け付けています。
逮捕・勾留されている事件向けのサービスもございますので、まずは遠慮なくご相談ください。

盗撮の常習を疑われたら

2021-02-18

盗撮の常習を疑われたら

盗撮常習を疑われているケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

会社員のAさんは、京都市南区の駅構内で女性Vさんのスカートの中を盗撮していたところを駅員に見つかり、通報されました。
Aさんは、通報を受けた京都府南警察署の警察官に、盗撮をしたことによる京都府迷惑防止条例違反の容疑で警察署へ連行され、そこで話を聞かれることになりました。
Aさんは、迎えにきた家族を身元引受人として帰宅することを許されましたが、押収されたAさんのスマートフォンからは、数百枚単位の盗撮写真が出てきました。
このことからAさんは盗撮常習犯ではないかと疑われていますが、それはSNSからダウンロードしたもので、Aさんは今回の盗撮が初めて実際に自分で行った盗撮でした。
Aさんは、常習的に盗撮をしていたわけではないがどのように対応したら良いのかと不安になり、京都府盗撮事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・盗撮と常習

盗撮は、各都道府県の定める迷惑防止条例によって禁じられています。
盗撮行為の態様や盗撮事件の起こった場所、被害者の年齢によって成立する犯罪は異なりますが、今回のAさんの事例のような、駅構内で起こった多くの盗撮事件は各都道府県の定める迷惑防止条例違反になります。
そして、ほとんどの都道府県の迷惑防止条例では、盗撮の常習性が認められることによってその刑罰が重くなります。
例えば、京都府の迷惑防止条例を確認してみましょう。

京都府迷惑防止条例第3条
第1項 何人も、公共の場所又は公共の乗物にいる他人に対し、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。

第2項 何人も、公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物にいる他人に対し、前項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 通常着衣等で覆われている他人の下着等を撮影すること。

京都府迷惑防止条例第10条
第2項 第3条第2項(第2号を除く。)若しくは第3項(第1号に係る部分に限る。)又は第6条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

第4項 常習として第3条第2項(第2号を除く。)若しくは第3項(第1号に係る部分に限る。)又は第6条の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

ご覧の通り、京都府では、盗撮をした場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」という刑罰が設定されていますが、その盗撮が常習であるとされた場合は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と、より重い刑罰になっていることが分かります。

では、盗撮の常習性が認められるのはどのような場合なのでしょうか。
例えば、カメラやパソコン、スマートフォンに大量の盗撮写真があったり、盗撮の前科や前歴が多くあったりするような事情があれば、盗撮の常習生が認められやすいと言えるでしょう。
盗撮の回数やその頻度、盗撮をしている期間、手口、目的など、さまざまな事情を総合的に考慮することによって常習性の有無が認められることになります。

もしも今回の事例のAさんのように初犯(=初めて盗撮を犯した)にもかかわらず、常習性を疑われてしまうようなことがあれば、不当に重い刑罰を受けることになりかねません。
すぐに刑事事件に強い弁護士に相談し、常習性のないことを主張していくことが大切です。

また、実際に常習的に盗撮を行っていた場合でも、できる限り被害者の方への謝罪・弁償活動を行い、処分を寛大にしてもらうように働きかけていくことが重要です。
常習的に盗撮を行っていた場合、被害者の数が多くなることも予想されますから、その分被害者対応も複雑になることが考えられます。
そういった面でも、まずは弁護士に相談・依頼することが望ましいと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、盗撮事件のご相談・ご依頼も多く受け付けております。
お困りの際は、お気軽に0120ー631ー881までお問い合わせください。
専門スタッフがご相談者様の刑事事件に沿ったサービスをご案内いたします。

写真を送ってもらって児童ポルノ禁止法違反事件に

2021-02-08

写真を送ってもらって児童ポルノ禁止法違反事件に

写真を送ってもらって児童ポルノ禁止法違反事件になったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

滋賀県に住む会社員のAさんは、京都市右京区に住んでいるという中学2年生の女児VさんとSNSを通じて連絡を取るようになりました。
VさんはAさんに好意を持っていたようで、Aさんに対して下着姿の自撮り写真を送るなどしていました。
Aさんは、「相手が自分から送ってくる分には問題ないだろう」と思い、Vさんから送られてくる画像を保存したり、好みのポーズを伝えてその写真を送ってもらったりしていました。
しかし、Vさんの両親がVさんの素行を怪しんでVさんと話した結果、AさんがVさんの下着姿や裸の写真を送ってもらっていたことが判明。
Vさんの両親が京都府右京警察署に相談したことをきっかけとして、Aさんは京都府右京警察署児童ポルノ禁止法違反の容疑で話を聞かれることとなりました。
Aさんは、相手が同意して送ってきてくれたものなのに犯罪になるのか、住んでいる場所ではない警察署で話を聞かれるのか、と不安に思い、弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・相手の同意があっても児童ポルノ禁止法違反

児童ポルノ禁止法では、今回のAさんがVさんに送ってもらっていたような写真は児童ポルノとされます。

児童ポルノ禁止法第2条
第1項 この法律において「児童」とは、18歳に満たない者をいう。
第3項 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
第1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
第2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
第3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

VさんがAさんに送った画像は、中学3年生=18歳未満の「児童」(児童ポルノ禁止法第2条第1項)であるVさんの下着姿や裸の姿=「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」(児童ポルノ禁止法第2条第3項第3号)であると考えられるため、児童ポルノ禁止法の「児童ポルノ」であると考えられるのです。
児童ポルノ禁止法では、この児童ポルノについて以下のように規定しています。

自動ポルノ禁止法第7条
第1項 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
自己の性的好奇心を満たす目的で、第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
第4項 前項に規定するもののほか、児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。

児童ポルノ禁止法では、児童ポルノを所持すること自体を禁止しており、その所持に児童ポルノに映っている児童自身の同意の有無については関係ありません。
ですから、たとえVさんが同意して送ってきたものであっても、その児童ポルノを保存し所持した時点でAさんは児童ポルノ所持による児童ポルノ禁止法違反となると考えられるのです。
さらに、今回のAさんはVさんに好みのポーズなどを伝えていたようですから、態様次第では、Vさんに指示して児童ポルノを作らせたとして児童ポルノ製造による児童ポルノ禁止法違反にも問われる可能性があります。

・住んでいる場所以外の警察署に呼ばれる?

今回のAさんのような、SNSやインターネットを通じて起こった児童ポルノ禁止法違反事件では、被害者の居住地が被疑者の居住地とは異なっているということが珍しくありません。
被害者が警察に相談して事件が発覚・捜査に至った場合、被害者の相談した警察署が事件を管轄することが多く、そうしたケースでは被疑者の居住地と離れた警察署に呼び出されたり、場合によってはその警察署に逮捕されたりすることも考えられます。
ですから、自身の居住地だけでなく、事件を管轄する警察署にも対応できる弁護士に相談することがより望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、京都支部を含む全国13都市に事務所があります。
今回のAさんの事例のような児童ポルノ禁止法違反事件にも、各支部に所属する弁護士が連携して対応が可能です。
写真を送ってもらって児童ポルノ禁止法違反事件となってしまったとお困りの際は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。

監護者わいせつ事件で逮捕が不安

2021-01-28

監護者わいせつ事件で逮捕が不安

監護者わいせつ事件逮捕が不安である場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

会社員の男性Aさんは、妻のBさんと娘である中学3年生のVさんと京都府京田辺市で暮らしていました。
Aさんは、Vさんが成長するごとにVさんに性的興味を持つようになり、Vさんが抵抗しなかったことをいいことに、Vさんの体を触るなどしていました。
しかしある日、Vさんが通学している中学校でAさんからわいせつな行為をされていることを相談したことをきっかけに、Vさんは児童相談所に保護され、Aさんは京都府田辺警察署監護者わいせつ罪の容疑で取り調べられることになりました。
Aさんは、自分がもしかしたら逮捕されるかもしれないと思うと今後どのように対応していくべきなのかわからなくなり、刑事事件を取り扱っている弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・監護者わいせつ罪

監護者わいせつ罪は、2017年に刑法が改正された際に新設された犯罪の1つです。

刑法第179条第1項(監護者わいせつ罪)
18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による。

監護者わいせつ罪の中にある「第176条」とは、刑法第176条に定のある強制わいせつ罪のことを指しています。

刑法第176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪は「13歳以上の者に対し」「暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為」をするか、「13歳未満の者に対し」「わいせつな行為」をすることで成立する犯罪で、強制わいせつ罪となると「6月以上10年以下の懲役」に処されます。
これに対し、監護者わいせつ罪は、「18歳未満の者に対し」「その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為」をすることで成立し、「第176条(=強制わいせつ罪)の例による」=「6月以上10年以下の懲役」に処せられるということになります。
強制わいせつ罪が被害者に対して暴行又は脅迫を用いることを成立要件としているのに対し、監護者わいせつ罪は暴行又は脅迫を用いることを要件としておらず、監護者(被害者の親であることが多いです。)がその影響力に乗じてわいせつな行為をすることが成立要件となっています。
というのも、監護者わいせつ罪の被害者となるのは18歳未満で加害者に監護されている者ですから、精神的に未熟で、監護者との関係で精神的・経済的に依存していると考えられます。
そうした場合、被害者が全く抵抗できないとまでは言えなくとも、被害者の有効な同意に基づく行為であるとは考えにくいだろうという趣旨から監護者わいせつ罪が制定されたのです。

刑法改正前、監護者わいせつ罪が制定される前は、例えば親が子供に対してわいせつ行為をしたというケースでも暴行・脅迫が用いられていなければ強制わいせつ罪が適用されず、児童に淫交をさせたことよる児童福祉法違反(児童福祉法第34条第1項第6号、10年以下の懲役又は300万円以下の罰金)という強制わいせつ罪よりも軽い刑罰となる犯罪が適用されていました。
しかし、先ほど記載したように、暴行・脅迫がなくとも、監護者からわいせつな行為をされた場合、被害者となる18歳未満の者の有効な同意に基づく行為であるとは考えにくく、強制わいせつ罪と実質的に違法性の高さは変わらないということから監護者わいせつ罪ができたという経緯があるのです。

・監護者わいせつ罪で逮捕が不安なら

監護者わいせつ事件の場合、今回のAさんの事例のように被害者が同じ家庭内にいるというケースが多く、被害者との接触を避けるために逮捕・勾留による身体拘束をした上で捜査されることも珍しくありません。
今回の事例のAさんの監護者わいせつ事件はVさんが保護されていることもあるのか在宅捜査で進められているようですが、事件の性質上、途中から逮捕されてしまう可能性もないとは言えません。

監護者わいせつ事件に限らず、逮捕が不安である場合には早めに弁護士に相談・依頼しておくことが重要です。
そもそも逮捕されるリスクがどの程度あるのかは、刑事事件自体の種類・状況や被疑者となっている方の周囲の環境など、様々な事情を合わせて考えなければいけません。
そして、逮捕の可能性がある場合には、事前に弁護士から取調べへの対応方法や逮捕後の手続き、被疑者が持っている権利を聞いて把握しておくことで不安の軽減や嘘の自白をしてしまうリスクの軽減が期待できます。
だからこそ、早めに刑事事件の専門家である弁護士の話を聞いておくことが望ましいのです。

元々旧強姦罪という似た犯罪があった強制性交等罪とは異なり、監護者わいせつ罪は全く新しい犯罪として新設されたため、もしかするとまだ一般には周知されていない犯罪かもしれません。
しかし、監護者わいせつ罪は非常に重い犯罪であり、当事者となってしまった場合は早めの活動が求められます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、監護者わいせつ事件についても刑事事件専門の弁護士がご相談・ご依頼を受け付けています。
まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

子どもの痴漢事件を弁護士に相談

2021-01-14

子どもの痴漢事件を弁護士に相談

子どもの痴漢事件弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府八幡市に住んでいるBさんは、会社員である夫のCさんと高校生になる息子のBさんと3人で生活しています。
ある日、Bさんのもとに京都府八幡警察署の警察官から連絡があり、「Bさんが京都府八幡市内の駅で痴漢事件を起こしたということで京都府八幡警察署で取調べをしている。親御さんが迎えに来てくれるのであれば今日は家に帰ってもらう」と言われました。
Bさんはまさか自分の子どもが警察のお世話になるとは思ってもおらず、急いで京都府八幡警察署に向かったところ、Aさんと一緒に帰宅するよう伝えられました。
しかし、そこで警察官から「次回の取調べはまた連絡する」と伝えられ、さらにAさんとも事件について詳しく話すことができなかったBさんは今後の対応に不安を抱き、少年事件を取り扱う弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・子どもが痴漢事件を起こしてしまったら

今回のBさんのように、子どもが痴漢事件を起こしてしまい、突然警察署から連絡が来たというケースは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に寄せられる少年事件のご相談の中でも少なくありません。
親御さんからしてみれば、突然子どもが事件を起こしたということで、混乱されることも多いです。
子どもが本当に痴漢事件を起こしたのか信じられない思いの方もいらっしゃるでしょう。

しかし、実際に子どもの立場からすれば、自分が犯罪にあたる行為をしてしまったことは親には言いづらいことです。
特に、今回のAさんが起こしてしまったとされる痴漢事件のような性犯罪の場合、多感な時期の少年が自分の性癖等に関わることを親に言うということはハードルが高いことです。
そのため、本当は痴漢行為をしてしまっているのに親だけには自分はやっていないと否認してしまったり、親と痴漢事件について詳しく話し合えなかったりするケースも存在します。

ですが、少年事件の終局処分は、少年の更生にどういった処分が適切かといった点を重視して決定されます。
少年自身や少年の周囲の家族が、起こしてしまった痴漢事件に向き合えていないと判断されれば、その環境のままでいることは少年の更生に適切ではないと判断されてしまう可能性が出てくるのです。
例えば、少年院送致などの施設に送致する処分によって、現在の環境から切り離して更生を目指す処分なども考えられるとなってくるのです。

社会内での更生を目指すのであれば、まずは家庭内や学校内での生活を整え、さらに少年自身の内省を深める、ご家族など周囲の方と事件に向き合って再犯防止のための策を考え構築する、といった活動が重要となってきます。
そういった活動をするためには、やはり少年自身と少年の周囲の方がきちんと事件自体に向き合い、なぜ少年事件を起こすに至ったか、少年事件を起こしてしまうことで被害者や周囲の人にどういった影響を与えてしまうのか、どうすれば繰り返さずに済むか等を考え話し合うことも重要なこととなります。

それでも、先ほど触れたように少年事件を起こしてしまった子ども自身からすると、家族に事件の話をすることのハードルは高いため、少年事件に対応している弁護士の力を借りることをおすすめします。
弁護士という第三者かつ専門家であれば、身内には言いづらいことも相談することができるため、家族には打ち明けづらいことがあっても弁護士には話せるというケースも少なくないのです。
例えば弊所では、痴漢事件などを含む少年事件では、お子さんと親御さんで部屋を分けて事情を聴きとるといった対応を取ることもあります。
少年事件に対応している弁護士であれば、当然少年事件の手続やそのポイントは熟知していますので、お話を聞いたうえで、少年自身へのアドバイスはもちろん、それに基づいた家族へのアドバイス、環境づくりのご提案をしていくことが期待できるのです。

もちろん、疑いをかけられた痴漢事件冤罪である場合にも、弁護士のサポートを受けることがおすすめされます。
少年事件であっても、成人の刑事事件同様、捜査機関による取調べは行われます。
まだ未熟な部分もある少年が1人で臨むには、不安も大きいことでしょう。
弁護士へ相談することで、取調べへの対応の仕方や注意点などを事前にアドバイスしてもらうことができますから、不本意な自白をしてしまうリスクや不安の軽減に期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、「子どもが痴漢事件を起こしてしまった」「少年事件の対応に不安を感じている」という方のご相談も受け付けています。
在宅事件の場合は初回無料で法律相談をご利用いただけるため、お気軽にご相談いただけます。
京都府少年事件痴漢事件にお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

合意のつもりが強制性交等事件に

2020-12-17

合意のつもりが強制性交等事件に

合意のつもりが強制性交等事件になってしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

会社員の男性Aさんは、京都府宇治市にある居酒屋で出会った女性Vさんと意気投合し、京都府宇治市内にあるAさん宅に行くことになりました。
Aさん宅で飲み直した2人は性行為をしました。
Aさんは当然Vさんの合意があって性行為をしたと思っていたのですが、翌朝Aさんが目覚めたときにはVさんはすでにいなくなっており、京都府宇治警察署から「強制性交等罪の被害を受けたという被害届が出ている」と呼び出しの連絡がありました。
Aさんは、まさか合意のつもりでした性交で刑事事件になるとは思いもよらず、警察署に行く前に強制性交等事件について扱っている刑事事件専門の弁護士へ相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・合意のつもりが強制性交等事件に

刑法改正によって旧強姦罪から強制性交等罪に改められて久しく、一般にも強制性交等罪の名前が浸透してきた頃ではないでしょうか。

刑法第177条(強制性交等罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

強制性交等罪の条文には、性交等をする手段として「暴行又は脅迫を用い」ることが強制性交等罪が成立する要件として書かれています。
この「暴行又は脅迫」は、被害者の抵抗を押さえつける程度の強さがなければならないと考えられています。
ですから、目立った暴行等がなければ「暴行又は脅迫」をしていないとして強制性交等罪にあたらないのではないかと考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際に殴る蹴るといった分かりやすく強い暴行があったのかということだけではなく、被害者との体格等の違いや関係性、事件の起きた場所やその状況といった様々な事情を総合して考慮した結果、強制性交等罪の「暴行又は脅迫」に当たるのかどうかが判断されます。
そのため、強制性交等罪にあたり得るかどうかは、本人の供述だけではなく、事件当時の状況や被害者との関係等、全ての詳しい事情を専門的に検討する必要があるのです。

そして、今回の事例のAさんのように、強制性交等事件では「合意があった」と思って性交等をしたのに、相手方はそう思っておらず、思いもよらず被害届や告訴が出されたというケースも存在します。
このような場合、無理矢理行為をしたわけではない、合意があったと思ってしたのだ、と主張するのであれば、「否認」の態度を取っていくことになります。

強制性交等事件では、先述のように、客観的に見て合意があったように見えたのかどうか、当時の当事者の関係性はどうであったのか等の事情を詳細に検討する必要があります。

加えて、取調べを受ける際にも、否認を貫くための取調べ対応の仕方をきちんと把握しておく必要があります。
被疑者の権利や刑事事件の手続を知らずに取調べに対応することはそもそも不安の大きいことでしょうし、自分の持っている権利等を知らないことで意図せず不利な言動をしてしまうリスクもあります。
もしも自白を迫られ自白をした供述調書を取られてしまえば、それを覆さなければならないという難しい状況にも陥ってしまいます。
だからこそ、まずは刑事事件に強い弁護士に相談し、強制性交等罪にあたる可能性があるのかどうか、捜査への対応はどのようにすべきなのかといったことを聞いておくことが大切なのです。

・合意があっても強制性交等罪になるケース

今回のAさんは、相手のVさんの合意があると思って性交等をしたものの強制性交等事件の疑いをかけられてしまっているという事例でしたが、たとえ確実に相手の合意があっても強制性交等事件となるケースがあることにも注意しておかなければなりません。
それは、相手の年齢が13歳未満であるケースです。

先ほど掲載した刑法第177条の後段にある通り、強制性交等罪は「13歳未満の者に対し、性交等をした者」にも成立します。
13歳未満の者に対し、性交等をした者」に成立するわけですから、性交等の相手が13歳未満であるだけで強制性交等罪が成立するということになります。
つまり、そこに暴行や脅迫がある必要はなく、相手に性交等の同意があったかどうかということも関係ないということなのです。
こういったケースもあることから、合意があったのに強制性交等罪の容疑をかけられたとお悩みの場合は、やはりまずは弁護士に相談してみるということが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、強制性交等事件などの性犯罪についてのご相談も受け付けています。
弁護士だからこそ、周りには相談しづらいデリケートな問題でも相談できます。
まずはお気軽にご連絡ください。

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