Archive for the ‘刑事事件’ Category
不倫発覚から刑事事件~恐喝罪②
不倫発覚から刑事事件~恐喝罪②
~前回からの流れ~
京都府向日市に住んでいるAさんは、ある日、夫のBさんと知人であるVさんが不倫していることを知りました。
Aさんは怒り心頭となって、Vさんを自宅に呼び出すと、「今回のことを許してほしいと思うなら払えるだけ慰謝料を支払え。そうでなければVさんの職場にでも近所にでも不倫のことをばらまいてそれ相応の代償を払ってもらうから」と言い放ちました。
Vさんが「今は手持ちのお金がない」と言ったところ、Aさんは「では車でATMまで連れて行くからそこでお金をおろして支払え」と言い、Vさんを車に乗せると近くのATMまで連れていき、そこでVさんに預金を引き出させ、慰謝料として300万円を支払わせました。
Aさんの夫であるBさんは、一連の出来事の最中ずっとAさんのそばにいましたが、Aさんの剣幕を見て、特に止めることもせずに黙ってみていました。
その後、Vさんが京都府向日町警察署に相談したことから、Aさんは恐喝罪と監禁罪の容疑で逮捕されてしまいました。
そして、Bさんも恐喝罪と監禁罪のほう助の容疑で話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
・不倫相手への慰謝料請求で恐喝罪?
前回の記事では、恐喝罪という犯罪について詳しく検討しました。
今回の記事では、Aさんが恐喝罪にあたるのかどうかについて考えていきます。
さて、今回のAさんですが、夫Bさんの不倫相手であるVさんに対し、慰謝料を請求しています。
ここで、「不倫相手に対して慰謝料を請求することは正当なことなのではないのか」とも思えます。
確かに、実際に不倫の事実があった場合には、不倫相手に対して慰謝料を請求できる場合があります。
しかし、問題はその請求等のやり方です。
過去の事案では、借金の取り立てについて恐喝罪の成否が争われたものがあります。
貸したお金を返してもらうことや、その催促をすることは正当な行為であるといえるでしょう。
しかし、その事案では、たとえ権利行使の手段として行った恐喝行為であったとしても、その権利の範囲内を超えた行為であったり、その権利行使の方法が社会通念上一般に認容すべきものと認められるべき程度を超えているような場合には、恐喝罪が成立するとされました(最判昭和30.10.14)。
つまり、不倫の慰謝料を請求するという正当な権利があったとしても、その方法次第では恐喝罪になってしまうおそれがあるのです。
今回のAさんの言動を具体的に見てみましょう。
Aさんは、「不倫を許されたければ慰謝料を払え。さもなくば職場や近所に不倫の事実を広める」という旨をVさんに伝えています。
職場や近所に不倫の事実を広められるということは、Vさんにとって自身の社会的評価を下げる可能性のあること=害を加えられることであるといえます。
ですから、Aさんは害悪の告知=脅迫という手段を用いてVさんに慰謝料=財物を要求していることになり、恐喝行為をしていることになります。
そしてAさんは、その脅し文句に基づき、Vさんから慰謝料として300万円を受け取っています。
不倫の事実を広めることを脅し文句に慰謝料を請求することは、社会通念上一般に認容すべきものとは言い難いでしょうから、Aさんには恐喝罪が成立する可能性が高いと考えられるのです。
京都府・滋賀県の刑事事件にお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談ください。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、京都市中心部にある刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を専門に取り扱う法律事務所です。
京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 京都支部 弁護士紹介
不倫発覚から刑事事件~恐喝罪①
不倫発覚から刑事事件~恐喝罪①
京都府向日市に住んでいるAさんは、ある日、夫のBさんと知人であるVさんが不倫していることを知りました。
Aさんは怒り心頭となって、Vさんを自宅に呼び出すと、「今回のことを許してほしいと思うなら払えるだけ慰謝料を支払え。そうでなければVさんの職場にでも近所にでも不倫のことをばらまいてそれ相応の代償を払ってもらうから」と言い放ちました。
Vさんが「今は手持ちのお金がない」と言ったところ、Aさんは「では車でATMまで連れて行くからそこでお金をおろして支払え」と言い、Vさんを車に乗せると近くのATMまで連れていき、そこでVさんに預金を引き出させ、慰謝料として300万円を支払わせました。
Aさんの夫であるBさんは、一連の出来事の最中ずっとAさんのそばにいましたが、Aさんの剣幕を見て、特に止めることもせずに黙ってみていました。
その後、Vさんが京都府向日町警察署に相談したことから、Aさんは恐喝罪と監禁罪の容疑で逮捕されてしまいました。
そして、Bさんも恐喝罪と監禁罪のほう助の容疑で話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
上記事例のように、不倫発覚からトラブルとなり、それが刑事事件となってしまった、というケースもまま見られます。
今回の記事から複数回、恐喝罪と監禁罪の容疑で逮捕されてしまったAさんと、ほう助犯として取調べを受けているBさんのケースについて取り上げていきます。
・恐喝罪
まず、Aさんが容疑をかけられている犯罪の1つである恐喝罪について詳しく見ていきましょう。
刑法249条(恐喝罪)
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
刑法を見てみると、恐喝罪については以上のように規定されています。
文面だけ見れば非常に短く単純なものではあるのですが、では具体的にどういったことが「恐喝」に当たるのかどうかということは、専門知識がなければ検討することは難しいです。
だからこそ、恐喝罪に限らず、犯罪の容疑をかけられた際には専門知識を有する弁護士に相談することが望ましいのですが、以下では簡単に恐喝罪の内容を説明します。
恐喝罪のいう「恐喝」とは、脅迫または暴行を用いて相手を畏怖させ、財物の交付を要求することを言います。
脅迫は害悪の告知(害悪を加えることの告知)、暴行は有形力の行使を言います。
この時、脅迫または暴行の程度が相手の犯行を抑圧しない程度であることが求められます(もしも相手の犯行を抑圧するほどの脅迫または暴行であった時には、恐喝罪ではなく強盗罪が成立することになります。)。
例えば、ナイフなどの凶器を手にして相手を脅迫し金銭を要求したような場合には、相手はそれに対して反抗することはできないと考えられますから、恐喝罪ではなく強盗罪が成立すると考えられます。
そして、恐喝して「財物を交付させた」とは、先述の恐喝行為によって畏怖した相手が処分行為をすることで、その財物の支配(占有)を得ることを言います。
つまり、恐喝罪が成立するには、恐喝行為と交付行為の間に因果関係がなければならないことになります。
例えば、恐喝行為を受けたものの、被害者が全く畏怖しておらず、逆に恐喝をしてきた者を憐れんで金銭を渡してやった、という場合には、恐喝行為と財物の受け渡しの間に因果関係がないことになりますから、恐喝罪は成立せず、恐喝未遂罪が成立するにとどまることになります。
なお、恐喝行為をしたものの、財物の交付まで達成されなかった場合には、恐喝未遂罪となります。
恐喝未遂罪となった場合には、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる」という刑法43条の規定により、恐喝罪が成立した時よりも刑罰が減軽される可能性があります。
では、今回のAさんはこの恐喝罪にあたるのでしょうか。
次回の記事で詳しく当てはめていきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、恐喝事件の取り扱いももちろん行っています。
逮捕されてしまっている方にも安心して、かつ迅速にご相談いただけるように、初回接見サービスなどのお問い合わせを24時間365日いつでも受け付けています(0120-631-881)。
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爆破予告で威力業務妨害事件
爆破予告で威力業務妨害事件
Aさんは、京都市東山区にある商業施設に電話し、「商業施設内に爆弾をしかけた。今日の昼12時に爆破する」と爆破予告の電話をかけました。
商業施設は爆破予告を受け、京都府東山警察署に通報しました。
そして、商業施設の従業員や利用客を避難させ、爆発物の探索等が行われましたが、商業施設から爆発物は見つかりませんでした。
捜査の結果、爆破予告をしたのがAさんであることが判明し、Aさんは京都府東山警察署に威力業務妨害罪の容疑で逮捕されることとなりました。
(※令和元年5月8日産経新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・威力業務妨害罪
Aさんは、商業施設に爆破予告をしたことから、威力業務妨害罪の容疑で逮捕されています。
威力業務妨害罪は、刑法234条に規定されている犯罪です。
刑法234条(威力業務妨害罪)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
この「前条」とは、刑法233条の偽計業務妨害罪のことを指しています。
刑法233嬢(偽計業務妨害罪)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
つまり、「威力を用いて人の業務を妨害」して威力業務妨害罪となれば、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられるということになります。
威力業務妨害罪の「威力」とは、「犯人の威勢、人数及び四囲の状勢からみて、被害者の自由意思を制圧するにたりる勢力」を指すと言われています(最判昭和28.1.30)。
威力業務妨害罪と先ほど挙げた偽計業務妨害罪との違いとしては、威力業務妨害罪で用いられる「威力」が相手の意思を制圧してしまうものであるのに対し、偽計業務妨害罪で用いられる「偽計」は相手の錯誤(勘違い)を誘発するものであるという部分が挙げられます。
なお、どちらの場合においても、これらの犯罪が成立するには現実に相手が抑圧されたり錯誤に陥ったりされる必要はないとされています。
そして、威力業務妨害罪が保護している「人の業務」とは、人が社会的地位に基づいておこなう職業やその他継続して従事することを必要とする仕事を言います。
仕事や業務という言葉があるものの、「人の業務」は経済的な収入を得る目的のものでなくともよいとされています。
威力を用いてこの「人の業務」を妨害した者が威力業務妨害罪となるのですが、威力業務妨害罪の成立には、実際に業務が妨害されたという事実は不要であり、業務が妨害される危険が発生すればよいと考えられています。
・Aさんの威力業務妨害事件
今回のAさんの威力業務妨害事件を検討してみましょう。
Aさんは商業施設に爆破予告をしています。
爆破予告があったことで、商業施設としては利用客や従業員の安全のために、商業施設を通常通り営業することはできなくなりました。
今回のケースでは、爆破予告をすることで商業施設側の自由意思を制圧していると考えることができますから、たとえ実際に爆発物を仕掛けていなかったとしても、「威力」を用いていると考えることができます。
そして、爆破予告によって商業施設は通常営業をすることができなくなっていますから、「業務を妨害した」とも言えるでしょう(先ほど触れた通り、もしも商業施設が実際に営業を取りやめるといったことをしなくても、営業を妨げる危険が認められれば「業務を妨害した」と認められます。)。
以上のことから、Aさんには商業施設に対する威力業務妨害罪が成立すると考えられます。
加えて、今回のような場合には、商業施設に対する威力業務妨害罪だけでなく、警察に対する威力業務妨害罪が成立する可能性もあります。
爆破予告があったと通報があれば、警察は出動して警戒を強化する、爆発物の捜索をする等の対応をしなければなりません。
通常警察官が行っている仕事も業務妨害罪の「人の業務」ですから、爆破予告によって警戒を強化させることで本来の「業務」を滞らせた場合には、警察に対する威力業務妨害罪も成立する可能性があるのです。
爆破予告による威力業務妨害事件は度々報道される刑事事件ではありますが、このように、被害者が複数生じてしまうこともあります。
また、今回のAさんのように、複数の企業がテナントとして入っている商業施設などを対象として威力業務妨害事件を起こしてしまった場合には、示談交渉等を行う際にも交渉や検討が複雑化する可能性もあります。
だからこそ、威力業務妨害事件でお困りの際は、刑事事件に強い弁護士のフォローを受けることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、専門スタッフが24時間いつでも、相談者様に合ったサービスのご案内を受け付けています。
爆破予告等による威力業務妨害事件にお困りの際は、0120-631-881までお電話ください。
(京都府東山警察署までの初回接見費用:3万4,100円)

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淫行で滋賀県青少年健全育成条例違反②
淫行で滋賀県青少年健全育成条例違反②
~前回からの流れ~
京都市に住んでいるAさんは、三重県に住んでいる女子高生Vさん(16歳)とスマートフォンアプリを通じて知り合い、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
AさんはVさんが16歳の女子高生であると知っていましたが、性交渉をすることを打診し、Vさんが了承したため、2人はホテルで性交渉をしました。
しかし、ホテルから2人で出てきたところを、巡回していた滋賀県甲賀警察署の警察官に職務質問され、AさんとVさんの関係が露見しました。
Aさんは滋賀県甲賀警察署に任意同行され、その後、滋賀県青少年健全育成条例違反(淫行)の容疑で逮捕されるに至りました。
Aさんの家族が依頼した刑事事件に強い弁護士は、すぐに逮捕されたAさんのもとに向かい、事件内容の把握をするとともに、取調べで注意すべき点を説明しました。
(※この事例はフィクションです。)
・淫行事件での取調べ
前回の記事では、Aさんが滋賀県の青少年健全育成条例違反(淫行)にあたるということを取り上げました。
上記事例では、Aさんは接見に訪れた弁護士から取調べで注意すべき点を説明されているようですが、淫行事件の取調べにおいて気を付けなければならないことはあるのでしょうか。
淫行事件に限らず、刑事事件を起こして逮捕されてしまった場合、取調べで何を供述するのか(又は供述しないのか)ということは非常に重要な点の一つです。
取調べで供述した内容から調書が作成され、裁判となった際にはその調書が証拠として使われる可能性があります。
この際、後から「やっぱり供述した内容は事実と異なる」と言っても、覆すことは簡単ではありません。
争いたいと思った事実があっても、取調べでの対応次第では意図しない形で争わないことになってしまっていたり、逆に認めているのに事実を争っているように捉えられてしまったりという可能性が出てきてしまうのです。
ですから、淫行事件を含む刑事事件では、取調べでどういった対応をするのかということが重要なのです。
この点を踏まえて淫行事件について考えてみましょう。
淫行をしてしまって取調べを受けるという際、青少年健全育成条例違反以外にも、容疑をかけられる可能性のある犯罪があります。
それが児童買春防止法違反という犯罪です。
児童買春は、18歳未満の児童に対価を供与したり、供与する約束をしたりして性交等をすること等を指します。
各都道府県で定められている青少年健全育成条例の対象となる「青少年」も18歳未満ですから、児童買春防止法の対象とする「児童」と重なることになります。
青少年健全育成条例違反は青少年に淫行をするだけで成立します。
対して、児童買春をしたと認められるには、児童に対価の供与やその約束をして性交等をする必要があります。
つまり、18歳未満の者と性交等をした場合に、対価の供与やその約束があったかどうかによって、淫行として青少年健全育成条例違反になるのか、児童買春防止法違反となるのかが分かれてくるのです。
では、淫行事件となるのか児童買春事件となるのかで何が変わってくるのでしょうか。
児童買春防止法4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
こちらの条文を見ていただければお分かりいただけるように、児童買春をしたことによる刑罰は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金と非常に重いものです。
前回取り上げた滋賀県青少年健全育成条例違反(淫行)の法定刑が1年以下の懲役又は100万円以下の罰金であることからも、その重さがよく分かります。
不当に重い刑罰を受けることを避けるためにも、淫行をしてしまった場合には、その事実をきちんと主張していく必要があるのです。
しかし、淫行事件なのか児童買春事件なのかを見極めるために、取調べでも対価の供与やその約束がなかったかどうかといった点は詳しく聞かれていくことが予想されます。
取調べに不慣れな被疑者は1人でその対応をしなければなりません。
あいまいに答えてしまったり、捜査員への印象を気にして定かでない部分についても認めてしまったりということで、後々不利になってしまう可能性もあります。
だからこそ、取調べに臨む際には、注意すべき点やその対応の仕方を専門家から詳しく聞いておく必要があるのです。
ですが、一般の方が逮捕されてしまった方に面会することは非常に難しく、さらに逮捕された被疑者自身も、取調べ前に何かで対応を調べて臨む、ということはできません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、そうした状況にもスピーディーに対応すべく、弁護士による初回接見サービスをご用意しています。
初回接見サービスでは、お申込みから24時間以内に刑事事件専門の弁護士が逮捕された方のもとへ向かい、接見(面会)、依頼者様へご報告いたします。
弁護士から直接アドバイスを聞けるため、取調べへの不安の解消にもつながります。
お申込み・お問い合わせは0120-631-881で24時間いつでも受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。
(滋賀県甲賀警察署までの初回接見費用:4万3,100円)

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京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
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淫行で滋賀県青少年健全育成条例違反①
淫行で滋賀県青少年健全育成条例違反①
京都市に住んでいるAさんは、三重県に住んでいる女子高生Vさん(16歳)とスマートフォンアプリを通じて知り合い、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
AさんはVさんが16歳の女子高生であると知っていましたが、性交渉をすることを打診し、Vさんが了承したため、2人はホテルで性交渉をしました。
しかし、ホテルから2人で出てきたところを、巡回していた滋賀県甲賀警察署の警察官に職務質問され、AさんとVさんの関係が露見しました。
Aさんは滋賀県甲賀警察署に任意同行され、その後、滋賀県青少年健全育成条例違反(淫行)の容疑で逮捕されるに至りました。
Aさんの家族が依頼した刑事事件に強い弁護士は、すぐに逮捕されたAさんのもとに向かい、事件内容の把握をするとともに、取調べで注意すべき点を説明しました。
(※この事例はフィクションです。)
・青少年健全育成条例違反(淫行)
今回のAさんは、16歳のVさんと知り合い、性交渉をしています。
こうしたケースでまず疑われるのが、各都道府県で規定されている青少年健全育成条例の中の、いわゆる淫行条例に当たることです。
各都道府県では、青少年(多くの都道府県で18歳未満の者と定義されています)の健全な成長を保護するために、青少年健全育成条例と呼ばれる条例を定めています。
滋賀県では、滋賀県青少年の健全育成に関する条例という条例が定められています。
この青少年健全育成条例の中では、青少年に淫行することを禁止する規定が定められていることが多く、その条文を指して淫行条例などと呼ばれたりもします。
滋賀県の場合、その24条に規定があり、罰則は27条1項に規定されています。
滋賀県青少年の健全育成に関する条例24条1項
何人も、青少年に対していん行またはわいせつな行為をしてはならない。
同条例27条1項
第24条第1項の規定に違反した者は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
Aさんについて考えてみると、滋賀県の青少年健全育成条例では、「青少年」のことを、6歳以上18歳未満の者(同条例10条より)としているため、16歳であるVさんは「青少年」であると言えます。
Aさんはそれを知りながらVさんと性交渉をしていますから、青少年に対して淫行又はわいせつな行為をしたとして、滋賀県青少年健全育成条例違反となりうるのです。
・どこの条例違反になる?
ここで注意すべきなのは、先ほど触れたように、青少年健全育成条例は各都道府県で定められているものであり、その内容は都道府県ごとに異なっているということです。
つまり、どの都道府県の青少年健全育成条例が適用されるかによって罰則の重さが変わったり、どの条文のどの部分に当たるかが異なったりする可能性が出てくるため、どの都道府県の青少年健全育成条例が適用されるのかということを分かっておくことは重要なのです。
例えば今回、Aさんの居住地は京都市、Vさんの居住地は三重県、2人が性行為をしたのは滋賀県甲賀市となっています。
青少年を保護する条例であるのだから、Vさんの居住地である三重県の条例が適用されるのではないか、Aさんが違反したのだからAさんの居住地である京都府の条例ではないか、と考える方もいるかもしれませんが、事例の通り、今回の場合には行為地である滋賀県の条例が適用されます。
今回の淫行事件のような、各都道府県の条例が問題となるような刑事事件では、原則として行為地(事件地)の都道府県の条例が適用されます。
ですから、もし今回、職務質問によって淫行が発覚せずに、後程Vさんが補導される、Vさんが被害届を出す、といった形で三重県の警察に今回の淫行が発覚するという形になったとしても、適用される条例は滋賀県の青少年健全育成条例ということになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、全国に13支部を展開する刑事事件専門の法律事務所です。
全国展開をしている刑事事件に強い法律事務所だからこそ、各都道府県の青少年健全育成条例違反事件にも対応が可能です。
淫行事件にお悩みの際は、まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。
(お問い合わせ:0120-631-881)
次回の記事では、今回のケースで弁護士がつくことによるメリットを中心に取り上げます。

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盗撮事件を家族に隠したい(京都府宇治市)
盗撮事件を家族に隠したい(京都府宇治市)
~京都府宇治市に住んでいるAさんの相談~
先日、私は京都府宇治市にある駅の構内で、利用客の女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮してしまいました。
すると、その様子を見ていた駅員に声をかけられ、京都府宇治警察署に通報されました。
京都府宇治警察署では簡単に話を聞かれ、後日また取調べに呼ばれることになりました。
私は結婚しており、妻もいるのですが、今回の盗撮事件のことを知られてしまえば家庭が崩壊してしまうのではないかと心配しています。
どうして盗撮などということをしてしまったのかと、自分でも深く反省しているところなのですが、どうにか家族に盗撮事件を知られずに解決することのできる可能性はないでしょうか。
(※この相談例はフィクションです。)
・駅での盗撮
駅での盗撮行為は、多くの都道府県において、いわゆる「迷惑防止条例」に違反することになります。
京都府では、「京都府迷惑行為防止条例」に盗撮行為についての条文が規定されています。
京都府迷惑行為防止条例3条2項
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法(※注:同条例3条1項「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」)で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
1号 みだりに、着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
駅は不特定又は多数の人が出入り・利用する場所であると言えますから、「公共の場所」です。
そこで他人の下着を盗撮することは、この条文に違反することになるのです。
京都府迷惑行為防止条例では、この条文に違反した場合には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(常習として行っていた場合には2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)に処せられることになっています(同条例10条2項、4項)。
・家族に知られたくない
さて、上記事例のAさんは、盗撮事件を起こして京都府宇治警察署で取調べを受け、後日さらに呼び出しを受ける予定でいますが、盗撮事件が家族に露見することによって家庭内の不和が起こることを心配しているようです。
弊所に寄せられるご相談の中にも、盗撮事件等の刑事事件の被疑者となってしまったということを家族に知られたくないというご相談も散見されます。
盗撮事件等の刑事事件が家族に知られてしまうケースとして多いのは、被疑者として逮捕されてしまうケースが挙げられます。
事例のAさんは逮捕されることなく帰宅を許されているようですが、もしも現行犯逮捕等されてしまった場合には、警察から家族に逮捕の連絡がいってしまったり、帰宅しないことを心配した家族が問い合わせたりした結果、盗撮事件等の刑事事件を起こしてしまったことが露見する、ということが考えられます。
ですから、家族に刑事事件を知られたくない場合には、まずは弁護士を通じて逃亡や証拠隠滅のおそれのないことを主張し、逮捕のリスクを減らす活動を行うことが考えられます。
そして、起訴されて正式な裁判を受けることになれば、公開の法廷に立つことになりますし、今後の監督について家族の方に証人として出廷してもらいお話ししてもらうということも考えられますから、刑事事件について話をしなくてはならない可能性が非常に高まります。
それを回避するためには、不起訴処分の獲得を目指したり、略式罰金手続きの利用による事件の終息を図ったりということが考えられます。
そのためには、自身でできる再犯防止策を計画・実行したり、被害者の方がいれば被害者の方への対応を行い、これらの処分が適切であると主張していくことが考えられますが、それには専門知識に基づいたスピーディーな対応が必要となりますから、やはり弁護士のサポートが重要と言えるでしょう。
もちろん、家族に起こしてしまった刑事事件について包み隠さずお話をすることで得られるサポートも大きく、そうした家族のサポートを主張することで有利な結果を求めていくこともあります。
どういった方針で行くべきなのか、メリット・デメリットはどういったものなのか、刑事事件の内容やご本人・ご家族の環境それぞれによって異なります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、盗撮事件等の刑事事件を起こしてしまったが家族に知られたくない、といったご相談も多く受け付けております。
ご相談内容が外に漏れる心配もないということも、弁護士に相談するメリットの一つです。
まずは初回無料相談のご予約から、0120-631-881までお問い合わせください。

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滋賀県守山市で建造物等損壊・器物損壊事件③
滋賀県守山市で建造物等損壊・器物損壊事件③
~前回からの流れ~
Aさんは、滋賀県守山市に住んでいます。
Aさんは、隣の家に住むBさんとの折り合いが悪く、日頃から小さなトラブルを頻繁に起こしていました。
ある日、Aさんは…
①Vさん宅に招かれた際、Vさん宅の部屋を仕切っているふすまを蹴り壊しました。
②Vさん宅の外壁を斧で殴りつける等して壊しました。
③Vさん宅の玄関の扉を金属バットでたたく等して壊しました。
Aさんは、通報を受けて捜査を開始した滋賀県守山警察署に逮捕されたのですが、まさか自分の家族が刑事事件の被疑者として逮捕されるとは思ってもいなかったAさんの家族は戸惑い、まずは詳しい話を聞きたいと、京都府・滋賀県の刑事事件を取り扱っている弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・2つの犯罪の弁護活動
前回の記事では、Aさんの①~③の行為にそれぞれ建造物等損壊罪と器物損壊罪が成立するということを取り上げました。
刑法260条(建造物等損壊罪)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。
刑法261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
前々回の記事でも取り上げましたが、この2つの犯罪の大きな違いは「親告罪」であるかどうかという点です。
親告罪は、告訴がなければ起訴されない犯罪のことを言います。
告訴とは、犯罪被害の申告に加えて、犯人の処罰を求める申し出のことです。
なお、こちらも刑事事件の手続きでよく使われる「被害届」については、犯罪被害の申告のみを指します。
建造物等損壊罪は非親告罪といい、起訴に告訴を必要としない犯罪ですが、器物損壊罪は親告罪です。
ですから、器物損壊事件で被疑者となった場合には、起訴前に被害者と告訴を出さない、又は告訴を取り下げる内容の入った示談することができれば不起訴になるということになります。
そのため、器物損壊事件では早急な謝罪と示談交渉が求められます。
もちろん、建造物等損壊事件においても被害者への対応は非常に重要です。
器物損壊罪のように親告罪ではないにせよ、建造物等損壊罪も被害者の存在する犯罪ですから、被害者への謝罪や弁償ができているのかどうか、被害感情がどの程度であるのかといったことは処分を決めるに際して重要視されます。
そのため、親告罪のように起訴前に示談締結となったとしても必ずしも不起訴になるわけではないとしても、示談交渉を後回しにしてしまったりおろそかにしてしまったりということはおすすめできません。
また、建造物等損壊罪と器物損壊罪のもう1つの大きな違いは、器物損壊罪には罰金刑の規定があるのに対して、建造物等損壊罪には懲役刑のみの規定となっています。
罰金刑の場合、100万円以下の罰金であれば略式手続という手続きを取ることができます。
略式手続が取られた場合には、公開の法廷に立つ必要はなく、罰金を支払うことで事件の終息となります。
罰金刑の規定がないということは、この略式手続を取ることができないということです。
先ほどあげたように、建造物等損壊罪には罰金刑の規定がありませんから、建造物等損壊罪で起訴されるということは公開の法廷に立ち、正式な刑事裁判を受けるということになるのです。
刑事裁判の弁護活動は早期から準備することでより充実したものになります。
先ほど触れた示談交渉も、起訴前に締結し、評価してもらうことができればそもそも刑事裁判になることを避けられる可能性が出てきますし、刑事裁判になったとしても有利に働く証拠として使うことができます。
今回のAさんのような、近所に住んでいる人同士のトラブルから刑事事件に発展したような場合には、もちろん事件の性質も関連しますが、被疑者と被害者の接触の可能性があるとして逮捕されてしまうことも考えられます。
逮捕されてしまえば当然家族にも会社にも自由に行き来することはできませんし、連絡を入れることもできません。
さらに、先述した示談交渉に取り掛かろうにも、被疑者本人は身体拘束されてしまっていますし、そうでなくともさらなるトラブルを起こしたくないという懸念や被害感情から連絡自体を断られてしまったり、当事者同士での話し合いによりさらにこじれてしまったりというケースも考えられます。
こうしたことから、建造物等損壊事件や器物損壊事件では、早急に弁護士に相談することが必要であると言えます。
0120-631-881では、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の専門スタッフが、弊所弁護士によるサービスのご案内を行っています。
逮捕されている方もそうでない方も、京都・滋賀の刑事事件にお困りの際はお気軽にお電話ください。

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京都を中心に近畿地方一円の刑事事件・少年事件について、逮捕前・逮捕後を問わず、刑事事件・少年事件の刑事弁護活動を専門に扱う実績豊富な弁護士が素早く対応致します。
当事務所は初回の法律相談を無料で行っております。土日祝日であっても夜間を含め、24時間体制でご相談を受け付けております。お急ぎの方については、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。刑事事件・少年事件に関することなら、どんな疑問でも、どなた様でもご相談ください。
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滋賀県守山市で建造物等損壊・器物損壊事件②
滋賀県守山市で建造物等損壊・器物損壊事件②
~前回からの流れ~
Aさんは、滋賀県守山市に住んでいます。
Aさんは、隣の家に住むBさんとの折り合いが悪く、日頃から小さなトラブルを頻繁に起こしていました。
ある日、Aさんは…
①Vさん宅に招かれた際、Vさん宅の部屋を仕切っているふすまを蹴り壊しました。
②Vさん宅の外壁を斧で殴りつける等して壊しました。
③Vさん宅の玄関の扉を金属バットでたたく等して壊しました。
Aさんは、通報を受けて捜査を開始した京都府城陽警察署に逮捕されたのですが、まさか自分の家族が刑事事件の被疑者として逮捕されるとは思ってもいなかったAさんの家族は戸惑い、まずは詳しい話を聞きたいと、京都府・滋賀県の刑事事件を取り扱っている弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
前回の記事では、Aさんの行為に成立しうる2つの犯罪、建造物等損壊罪と器物損壊罪について取り上げました。
刑法260条(建造物等損壊罪)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。
刑法261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
今回の記事では、Aさんの①~③の行為がそれぞれと建造物等損壊罪と器物損壊罪、どちらに当たりうるのでしょうか。
・①について
上記事例の①で、AさんはVさん宅の部屋を仕切っているふすまを蹴り壊しています。
家の中にある戸を壊していることから、建造物等損壊罪となるのではないかとも思えます。
しかし、建造物等損壊罪の「建造物」の一部であると言えるためには、毀損しなければ取り外しができない状態であることを要するとされています(大判明43.12.16)。
例えば、畳は一見建物の一部のように見えますが、取り外しが容易であることから「建造物」の一部とは認められません。
今回のAさんが破壊したのはふすまであり、ふすまは取り外しが容易であることから「建造物」の一部とは認められず、器物損壊罪が成立するにとどまると考えられます。
・②について
次に、上記事例の②について検討しましょう。
AさんはVさん宅の外壁を殴りつけるなどして壊しています。
①で見た条件を考えると、住宅の外壁は住宅から取り外すことはできませんし、Vさん宅が「建造物」であることは疑いようがありません。
こうしたことから、②ではAさんに建造物等損壊罪が成立すると考えられます。
・③について
③では、AさんはVさん宅の玄関の扉を壊しています。
①で取り上げたような考え方を使えば、玄関の扉は取り外しができるものであることから、「建造物」の一部とは考えられず、器物損壊罪が成立するように思われます。
しかし、実は建造物等損壊罪の「建造物」については、単純に取り外しできるかどうかだけで判断されるわけではありません。
「建造物」かどうかの判断の際には、その物がどれほど建造物と接合しているのか、その物が建造物の機能にとってどれほど重要なのかというったことが総合的に判断されます。
今回のAさんの③の行為のような、玄関の扉を壊した過去の事例では、玄関の扉は建造物の建物内と外界との遮断や防犯、防風、防音といった機能を担っていることから「建造物」の一部であると認められたものがあります(最判平19.3.20)。
ですから、今回の③についても、玄関の扉を破壊した行為については建造物等損壊罪が成立すると考えられるのです。
法律名からは違いが分かりやすいように思える建造物等損壊罪と器物損壊罪ですが、法律の細かい解釈まで知っていなければ、どちらが成立するのが適当であるのか判断することは非常に難しいです。
だからこそ、建造物等損壊事件や器物損壊事件の被疑者となってしまったら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談ください。
弊所の刑事事件専門の弁護士が、成立する犯罪やそれに伴った手続き、見通しについて丁寧にご相談に乗らせていただきます。
(お問い合わせ:0120-631-881)

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滋賀県守山市で建造物等損壊・器物損壊事件①
滋賀県守山市で建造物等損壊・器物損壊事件①
Aさんは、滋賀県守山市に住んでいます。
Aさんは、隣の家に住むVさんとの折り合いが悪く、日頃から小さなトラブルを頻繁に起こしていました。
ある日、Aさんは…
①Vさん宅に招かれた際、Vさん宅の部屋を仕切っているふすまを蹴り壊しました。
②Vさん宅の外壁を斧で殴りつける等して壊しました。
③Vさん宅の玄関の扉を金属バットでたたく等して壊しました。
Aさんは、通報を受けて捜査を開始した滋賀県守山警察署に逮捕されたのですが、まさか自分の家族が刑事事件の被疑者として逮捕されるとは思ってもいなかったAさんの家族は戸惑い、まずは詳しい話を聞きたいと、京都府・滋賀県の刑事事件を取り扱っている弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
Aさんは、隣の家に住むVさんの家に関連する物を壊したことによって逮捕されています。
今回の事例で成立が考えられる犯罪は、建造物を壊した時に成立する「建造物等損壊罪」と、物を壊した時に成立する「器物損壊罪」でしょう。
まずはこの2つの犯罪がどういった犯罪であるのか確認してみましょう。
・建造物等損壊
建造物等損壊罪は、刑法260条に規定されている犯罪です。
刑法260条(建造物等損壊及び同致死傷)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。
よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
建造物等損壊罪は、「建造物」か「艦船」を「損壊」した場合に成立する犯罪です。
この建造物等損壊罪の対象となる「建造物」とは、家屋やそれに類似する建築物を指すとされており、「建造物」と認められるには、屋外を有し障壁又は柱材で支えられて土地に定着し、その内部に人が出入りできるようになっていることが求められるとされています。
つまり、外塀や門については建造物等損壊罪の「建造物」とは認められないことになります。
そして、「損壊」とは、単純に物理的にその「建造物」を壊すということだけではなく、その効用を滅却・減損させることをいうとされています。
ですから、何かの建物を破壊した時はもちろん、その「建造物」の用途をなくさせたり、価値を下げてしまうようなことをしてしまったりすれば、建造物等損壊罪の「損壊」をしたということになります。
例えば、建物の外壁に大々的にペンキで落書きをしたような場合には、その建物の外観や美観を著しく損ねることになり、さらに原状回復に相当な困難を生じさせることから、その建物(「建造物」)の効用を減損させたとして建造物等損壊罪が成立する場合があります。
・器物損壊罪
器物損壊罪は、刑法261条に規定されている犯罪です。
刑法261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
器物損壊罪の条文の「前3条」とは、先ほど触れた建造物等損壊罪と、公文書等毀棄罪、私文書等毀棄罪のことを指します。
つまり、この3つの犯罪の客体に当てはまらない「他人の物」を「損壊」又は「傷害」することで器物損壊罪が成立する、ということになります。
なお、この「他人の物」には、動産・不動産のほか、動物も含まれますから、他人のペットを傷つけたような場合にも器物損壊罪となります。
器物損壊罪のいう「損壊」は、先ほどの建造物等損壊罪でも類似の説明を行いましたが、物理的にその物を壊してしまうことのほか、物本来の効用を失わせることも含みます。
例えば、他人の食器に対して放尿した場合に器物損壊罪を認めた事例が見られます(大判明42.4.16)。
これは、食器に放尿するという行為によって、食器本来の効用である飲食に使用するということができなくなってしまう(洗ったとしても放尿された食器を使用して飲食するということは難しいと考えられる)ため、物の効用を失わせたと判断されたのです。
そして、器物損壊罪を考える上で重要な点の1つとして、器物損壊罪が親告罪であることが挙げられます。
刑法264条
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
(※注:刑法261条が器物損壊罪)
親告罪とは、告訴がなければ起訴できない犯罪のことで、告訴とは、被害者等の告訴権者が、捜査機関等に対して犯罪被害の申告に加えて、犯人への処罰を希望する申告を言います。
ですから、器物損壊罪については、告訴がなされる前に示談を締結して告訴を出さないようにしてもらうか、告訴が出されてから起訴されるまでの間に示談を締結して告訴を取り下げてもらうかすることによって、起訴されることなく、前科がつくことを回避することができます。
一見違いが分かりやすいように見える2つの犯罪ですが、実はAさんのような事例の場合、どのような判断がなされるかは専門知識が必要となってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件について、自分が犯してしまった犯罪が何なのか、またどういった時に成立するどういった犯罪なのか、ということから、その犯罪での弁護活動はどういったものが考えられるのか、見通しはどういったものなのか、というところまで、刑事事件専門の弁護士が丁寧にお答えいたします。
京都府・滋賀県の刑事事件にお悩みの際は、まずは一度、弊所弁護士までご相談ください。
次回の記事では、Aさんの①~③についてそれぞれ何罪が成立するのかを検討していきます。
(滋賀県守山警察署までの初回接見費用:4万1,200円)

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京都市下京区のバイトテロ事件
京都市下京区のバイトテロ事件
京都市下京区のコンビニ店でアルバイトをしていた大学生Aは,勤務中の深夜2時ごろ,商品のおでんを口に入れ,これを吐き出して容器に戻す様子を友人と撮影し,SNSにアップロードした。
後日,この動画をみた人物からの通報により事件が発覚し,Aは京都府下京警察署にて取り調べを受けることとなった。
Aはその日は帰宅を許されたが,後日複数回呼び出しをすると警察官から告げられ,今後自分がどのようになっていくのか不安を感じるようになった。
そこでAは,京都の刑事事件に強い弁護士の無料法律相談を受け,今後の手続きや対応について詳しい話を聞いてみることにした。
(ニュース記事を基に作成したフィクションです。)
最近では,いわゆる「バイトテロ」と呼ばれる行為が話題となり,バイトテロについての報道がなされることも多いです。
バイトテロとは,和製英語であり,アルバイト従業員等が働いている店において悪ふざけ等をしている様子をSNS等で拡散することでいわゆる「炎上」状態となることを指しますが,炎上状態となることでその店や企業のイメージダウンとなってしまったり,賠償等の損害を負わせてしまったりすることからアルバイトによるテロ行為=「バイトテロ」と呼ばれているようです。
このバイトテロですが,犯罪となって刑事事件となることはあるのでしょうか。
特に今回のAの行為に注目し,Aのバイトテロ行為がどういった犯罪になりうるのか考えてみましょう。
・業務妨害罪
上の事例でAに成立する犯罪として,偽計業務妨害罪の成立が考えられます。
偽計とは人の不知や錯誤を利用することを言います。
そして,この犯罪における「業務を妨害」とは,業務を妨害する結果となる恐れが生じれば足りるとされており,実際に業務が妨害されていなくとも偽計業務妨害罪は成立します。
Aの場合,商品を口に入れてこれを吐き出して容器に戻す行為により,店全体がこのような行為をしている,この店の商品は全てこういった扱いを受けている,等と人々が錯誤し,店は客が来なくなるなどのおそれがあるため,「業務を妨害した」に当たると考えられます。
なお,業務妨害罪の罰則は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
・傷害罪
また,客が健康被害を訴えた場合などで,Aの行為によって客が食中毒などを起こした場合は傷害罪の成立が考えられます。
「傷害」とは,人の生理的機能を害することを指します。
生理的機能を害するということには,出血を伴うような分かりやすい外傷だけでなく,何かの中毒になるような症状を引き起こすことも含まれます。
ですから,被害者が食中毒を起こしたり,お腹を下したりすれば生理的機能を害したといえるのです。
そして,他人が口に含んだものは衛生的ではないと考えられるでしょうし,それを食した客が体調を悪くしてしまうことも一般的には予想しうる事態です。
そうしたことが予想される中,Aはあえて口に含んだ食品をそのまま戻すという行為をしたと認められれば,傷害罪の故意も認められることになるでしょう。
なお,傷害罪の罰則は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
・刑事事件に強い弁護士に相談
昨今,バイトテロとよばれる事件がニュースなどでしばしば取り上げられ,社会問題化しています。
そのため,バイトテロをしてしまって警察で取調べを受けた方などは,こうした事件の動向に詳しい弁護士に相談し,解決を目指すことをお勧めいたします。
また,事件の内容によっては,示談交渉をすることで不起訴となり,前科が付かずに済むこともありますから,やはりまずは刑事事件に詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします。
被害者との間で示談を成立させることで被害感情のおさまりを主張することができれば,不起訴となり,前科が付かなくて済む場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が初回法律相談を無料でおこなっております。
無料法律相談のご予約は0120-631-881にて24時間受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

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