京都府福知山市の青少年保護育成条例違反事件

京都府福知山市の青少年保護育成条例違反事件

~京都府福知山市にお住まいのAさん(男性・20歳)からのご相談~
先日、SNSを通じて知り合った女性と京都府福知山市内のホテルで性交渉をしました。
私とその女性は共通の趣味があったのをきっかけに仲良くなったのですが、実際会ってみると女性は話し方や見た目から意外に幼く見え、私は、「もしかしたら相手は16~17歳くらいなのかもしれない」と思いましたが、深くは考えずに会ったその日に性的な関係を持ってしまいました。
ところが後日京都府福知山警察署から警察官が逮捕状を持って家に来て、京都府青少年保護育成条例違反で逮捕されてしまいました。
どうやら彼女は17歳だったようです。
私は彼女の年齢を知らなかったのですが、このような場合でも犯罪になるのでしょうか。
(※事例はフィクションです)

~青少年保護育成条例について~

京都府で18歳に満たない青少年(男性・女性)と性交あるいは性交類似行為などを行った場合、いわゆる京都府青少年保護育成条例(正式名称「青少年の健全な育成に関する条例」)に違反するかが問題となります。
京都府青少年保護育成条例第12条1号では、18歳未満の者をこの条例のいう「青少年」であるとしています。
そして以下に挙げる通り、「青少年」との性行為は青少年保護育成条例で禁止されています。

第21条
1項 何人も、青少年に対し、金品その他財産上の利益若しくは職務を供与し、若しくはそれらの供与を約束することにより、又は精神的、知的未熟若しくは情緒的不安定に乗じて、淫行又はわいせつ行為をしてはならない。
2項 何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつ行為を教え、又は見せてはならない。

第31条
1項 第21条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
6項 (略)、第21条、(略)の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項、第2項、第3項(第4号に係る部分に限る。)及び第4項(第2号、第5号、第6号及び第10号に係る部分を除く。)の処罰を免れることができない。
ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。

第33条
この条例の罰則は、青少年に対しては適用しない。
この条例に違反する行為をしたとき青少年であつた者についても、同様とする。

~「淫行」とは~

第21条では「淫行」を行ってはならないとありますが、ここでいう「淫行」とはどういうものを指すのでしょうか。
福岡県青少年保護育成条例違反の事例ですが、昭和60年の最高裁大法廷判決では「淫行」について次のように判示されました。

「淫行」とは,「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく,青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似をいうものと解する(昭和60年10月23日最高裁大法廷判決)

続けて、「例えば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為」は処罰の対象に含まれないことが示されています。
条文と最高裁判決から考えると、婚姻・婚約関係あるいは単なる性的欲望を満足させるためだけの関係を超えた恋愛関係が当事者間にあれば、「淫行」には当たらないと考えられます。
しかし、この関係性の判断は客観的になされ、具体的には例えば当事者の年齢差、性行為にいたる過程、性交の態様などの事情を総合的に考慮されることになる事が多いため、当事者の間で事前に恋愛関係を結ぶ合意をした、婚約をした、というだけでは「淫行」と判断される可能性がありますので、注意が必要です。

~18歳未満だとは知らなかった場合~

この条例において、「青少年」は18歳未満の人を意味するものですが、ご相談にあったように、相手が18歳未満であることを知らなかった場合にはどうなるのでしょうか。
前述した通り、京都府青少年保護育成条例第31条6項では、相手の年齢を知らなかったからといって淫行での処罰を免れることはできない、とあります。
しかし、過失なく相手の年齢を知らなかった場合にはこの限りではない、とありますから、相手の女性の年齢が18歳未満であることを知らなかったことについてAさんの落ち度がなければ、Aさんは処罰されずに済む可能性が出てきます。

今回、Aさんは相手の女性から年齢を聞いていませんでしたが、しかし風貌や挙動から幼さを感じたと言っています。
年齢は、厳密に確認しなくとも、外観からある程度分かる場合も多いです。
「Aさんは相手女性の外観等から彼女が18歳未満であることを認識していたはずだ」と判断された場合には、18歳以上であることを認識したことを証明できなければ(例えば身分証で年齢を確認した、等)、「18歳未満」の認識があった、もしくは年齢を知らなかったことに過失があったとされる可能性があります。
ゆえに、単に「年齢を直接聞かなかった」というだけでは、青少年保護育成条例違反が成立してしまうことを防げない、というのが実情です。

青少年保護育成条例はあいまいな判断要素も含まれるため、自分が行った行為が実際に罪に問われるか、警察に捜査されるかをご自分で判断することは難しいと思われます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、各都道府県の青少年保護育成条例違反事件に関して詳しい弁護士が多数在籍しています。
青少年保護育成条例違反事件でお困りの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談ください。

お問い合わせ:0120-631-881

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら