軽犯罪法違反で逮捕?

2019-06-11

軽犯罪法違反で逮捕?

京都市山科区に住んでいるAさんは、ハードロックなどの音楽を聴くことを趣味としていました。
Aさんは朝早くや夜遅くという時間帯にも関わらず自宅の窓を開けて音楽を大音量で聞いており、周辺住民から苦情が入ることもありましたが、それを無視していました。
しばらくこうしたことが続き、周辺住民が京都府山科警察署に通報しました。
通報を受け、京都府山科警察署から警察官がやってきてAさんに注意をしましたが、Aさんは警察官に言い返し、注意に従わず無視したり、警察官を追い返したりしていました。
そうしたことが半年ほど続いたある日、Aさんはついに軽犯罪法違反の容疑で京都府山科警察署逮捕されてしまいました。
(※令和元年6月10日朝日新聞DIGITAL配信記事を基にしたフィクションです。)

・軽犯罪法違反

軽犯罪法とは、33個の行為を挙げ、それらについて取り締まっている法律です。
今回のAさんの場合、警察官の注意を無視して騒音を発生させていたことから、軽犯罪法1条14号「公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者」に該当すると判断され、軽犯罪法違反とされたのでしょう。
軽犯罪法では、こういったいわゆる静穏妨害の罪以外にも、虚偽通報の罪(1条16号)や覗きの罪(1条23号)などが規定されています。

なお、軽犯罪法の規定されている刑罰は全て拘留または科料とされています。
拘留は1日以上30日未満の刑事施設への拘置、科料は1,000円以上1万円未満の没収です。
これだけ見ると比較的軽い刑罰であるように見えますが、刑罰であることには変わりありませんから、軽犯罪法違反で有罪が確定し、これらの刑罰を受ければ前科となります。

・軽犯罪法違反では逮捕されない?

この記事を読まれている方の中には、もしかすると上記事例に疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
上記事例のAさんは、軽犯罪法違反の容疑で逮捕されていますが、インターネット等では、「軽犯罪法違反では逮捕されない」という情報が散見されるからです。
それでは、刑事訴訟法の逮捕についての規定を確認してみましょう。

刑事訴訟法199条
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。
ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

先ほど触れたように、軽犯罪法違反の法定刑は拘留または科料ですので、刑事訴訟法の言う「拘留又は科料に当たる罪」であることになります。
ですから、軽犯罪法違反の場合、逮捕をするには「被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合」に限られることになるのです。
ここで「前条の規定」とは、刑事訴訟法198条の「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。」という規定を指しています。
つまり、軽犯罪法違反の場合、住所不定の場合か正当な理由なく任意出頭を拒否した場合にのみ逮捕される可能性が出てくることになります。
こうしたことから軽犯罪法違反の容疑で逮捕されることが珍しくなり、「軽犯罪法違反逮捕されない」というイメージがついてしまう原因となったのだと考えられます。

しかし、住所不定もしくは正当な理由のない任意出頭の拒否という条件に当てはまれば、軽犯罪法違反であっても逮捕される可能性はあるわけですから注意が必要です。
上記事例のAさんは警察官を追い返すといった行為もしていることから、正当な理由なく任意出頭を拒否したと判断されたのではないかと考えられます。

逮捕されてしまえば一定期間身体拘束されることになりますし、逮捕されたことによって事件が報道され、世間に刑事事件を起こしたと知られてしまう可能性も出てきてしまいます。
ですから、そもそも逮捕をされないようにすること、逮捕されてしまったら釈放を求めていくこと、その後の取調べ等の手続きへの対応を知っておくことが重要となります。
そうしたことは、刑事事件に強い専門家である弁護士に早めに相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、0120-631-881でいつでも専門スタッフが弊所弁護士によるサービスを案内しています。
逮捕が不安な方、ご家族ご友人が逮捕されてしまったという方は、まずは遠慮なくお電話ください。