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DVから過剰防衛をして殺人罪に

2021-03-18

DVから過剰防衛をして殺人罪に

DVから過剰防衛をして殺人罪に問われてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

京都市上京区に住んでいるAさんは、同棲中している恋人の男性Vさんから、日常的に殴られたり蹴られたりと言ったDVを受けていました。
このままDVが続けば自分が殺されてしまうのではないかと怖くなったAさんは、ある日、暴行を加えようとしてきたVさんに対して咄嗟に包丁を突き出しました。
包丁はVさんの腹部に深く突き刺さってしまい、Vさんは倒れ込みましたが、その後Aさんはさらに包丁でVさんを突き刺しました。
しばらくしてからとんでもないことをしてしまったとAさんが通報したことにより、Vさんは病院に運ばれたものの、これが致命傷となりVさんは後日死亡しました。
Aさんは殺人罪の容疑で京都府上京警察署に逮捕され、Aさんの家族はDVに反撃した結果の事件だという話を聞き、どうにかAさんの弁護をしてやれないかと弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです)

・過剰防衛とは?

今回のAさんは、日常的にDVを受けており、そこから自分を守るために殺人行為をしてしまったようです。
ここで、「AさんはDVから身を守るためにVさんを刺したのだから正当防衛となり、殺人罪にならないのではないか」「なぜAさんは殺人罪に問われているのか」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
今回のAさんは、過剰防衛と呼ばれるケースに相当すると考えられたのだと思われます。
過剰防衛とは、正当防衛になりうる状況で行われた防衛行為が防衛の程度を超えた場合を指します。

刑法第36条
第1項 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
第2項 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

ご存知の方も多い正当防衛は、刑法第36条第1項の部分に規定されているものです。
今回問題になる過剰防衛は、同じ条文の第2項の部分に定められています。
防衛の程度を超えたかどうかは、侵害を排除するのに必要と考えられる程度以上の侵害性を備えていた場合(質的過剰)と、急迫不正の侵害に対して行われた反撃が継続されるうちに量的に必要以上の侵害性を伴ってしまった場合(量的過剰)の2つの場合に分けられます。

質的過剰を具体的な例で表すと、素手での侵害行為(殴りかかるなど)に対して日本刀や拳銃などで反撃した場合が挙げられます。
判例では質的過剰の事例について過剰防衛が認められることとなっています。

対して、量的過剰の場合については必ずしも過剰防衛の成立が肯定されるわけではありません。
複数の暴行(反撃)が加えられる量的過剰の事案については、これらの暴行を一連一体のものとして捉えられる場合に過剰防衛が認められるとされているものがあります(最判昭和34.2.5)。
複数の暴行が一連一体のものとして捉えられるかどうかについては、判例では「防衛の意思」の同一性を基準にしていると考えられます(最決平成20.6.25など)。

防衛の意思とは、正当防衛の成立要件のうち、反撃行為が「自己又は他人の権利を防衛するため」にされたものかどうかという部分です。
防衛の意思が認められれば反撃行為は防衛行為と認められます。
対して、正当防衛になりうるだからといって相手を積極的に加害する意思(積極的加害意思)が認められれば、その意思のもとに行われた行為は防衛行為とはいえないことになります。
例えば、「相手が殴りかかってきたのだから正当防衛になりうる。これを理由にして日頃の恨みを晴らして痛い目を見せてやろう」と相手を殴り返すと場合には、防衛の意思はないと考えられるのです。

この防衛の意思の同一性による判断とは、複数の暴行いずれもが同一の防衛の意思によるものであることかどうか(=複数の暴行のどれにも加害意思がないかどうか)という判断ということになります。

もし複数の暴行のうち後の方の暴行が防衛の意思によるものでなければ、防衛の意思に基づいて行った暴行のみについて正当防衛あるいは過剰防衛が成立し、そのほかの暴行については暴行罪(刑法第208条)や傷害罪(刑法第204条)に問われる可能性があります。

ここで注意しなければならないのは、相手の侵害行為が終了していても反撃行為が継続していた状況であることが量的過剰の前提とされていることです。

あくまで侵害者に向けられた複数の行為の時間的・場所的連続性を前提として、防衛の意思の同一性が認められれば過剰防衛となりうるということです。

ここでAさんのケースを見てみましょう。
Aさんは倒れ込んだVさんにも複数回包丁を刺していることから、やりすぎている=量的過剰による過剰防衛が成立するのではないか、と考えられます。
ですからAさんによる複数の暴行に先ほどまで見てきた「防衛の意思」が一貫しているかどうかと言ったことが問題になるでしょう。

AさんはVからのDV(=侵害)に対する反撃として咄嗟に包丁を突き出し、Vさんに傷害を負わせています。
さらに、倒れ込んだVさんはもうAさんに暴行をすることはできませんが、それでもAさんは再度包丁でVさんを突き刺し致命傷を与えました。
最初にAさんが包丁を突き出した行為と2回目にVさんに包丁を突き刺した行為との間には時間的・場所的連続性は認められそうです。

次に、これらが同一の防衛の意思のもとにとられた行為であるかが問題となります。
最初にAさんが包丁を突き出した行為は、VさんによるDVから身を守るための行為であると考えられます。
VさんのDVが素手で殴るという手段だったことから、包丁で対抗したのは質的過剰であることも考えられますが、積極的加害意思を認めるような事情なく、防衛の意思はあったと考えられそうです。

しかし、その後再びVさんに包丁を突き刺した行為については、Aさんの内心が事例からは不明であるため一概には言えません。
ですが、この行為が最初の行為と一連一体のものとして認められれば、全体について過剰防衛が成立する可能性があります。

このように、正当防衛や過剰防衛が認められるかどうかといった判断は容易なものではなく専門家の分析を必要とします。
自身あるいは他人を守るためにとった行為について被疑者となってしまった場合には刑事事件に強い弁護士に弁護を依頼することがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が被疑者やそのご家族に直接刑事事件やその手続き、かけられている容疑や検討すべき事項を丁寧にご説明します。
専門家から詳しい話を聞くことで解消できる不安もあるでしょう。
まずはお気軽にご相談ください。

電車での過失傷害事件

2021-03-15

電車での過失傷害事件

電車での過失傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

Aさんは、京都府舞鶴市内を走る電車内で、大きなスーツケースを荷物棚からおろす際、不注意からそのスーツケースを隣に座っていた利用客Vさんの顔に激しくぶつけてしまいました。
Vさんは鼻血を出すほど強く顔面を打ち付けており、駅に着いた際にAさんとVさんは一緒に駅員の元へ向かいました。
その際、Aさんがさほど反省した様子を見せていなかったことからVさんは激怒し、京都府舞鶴警察署に被害を届け出ると言ってきました。
Aさんは、「わざとぶつけたわけではないがそれでも犯罪になるのか」と不安に思い、京都府内の刑事事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・不注意で人に怪我をさせてしまった…犯罪になる?

人に暴行をして怪我をさせたり、怪我をさせるに至らなくても人に暴行をしたりすれば、刑法の傷害罪暴行罪に当たることは皆さんご存知の通りでしょう。

刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

では、今回のAさんのように、不注意で暴行を加えてしまい、相手に怪我をさせたような場合、これらの犯罪は成立するのでしょうか。
傷害罪や暴行罪は故意犯と呼ばれる犯罪であり、暴行の故意=相手に暴行をするという意思や認識が認められなければ犯罪として成立しません。
つまり、今回のAさんがスーツケースをVさんにぶつけてやろうという意思をもっていない限り、傷害罪や暴行罪は成立しないということになります。
ただし、スーツケースがぶつかりそうであることを分かっていながらあえて「ぶつかってもいいだろう」と思ってぶつけたような場合には、いわゆる「未必の故意」が認められ傷害罪や暴行罪が成立する可能性もあるため、詳細な状況を専門的に検討することは必要です。

・過失傷害罪

では、Aさんのように不注意で人に怪我をさせた場合には、なんの犯罪も成立する可能性はないのかというと、そうではありません。
刑法には、過失傷害罪という犯罪が規定されています。

刑法第209条第1項(過失傷害罪)
過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。

過失傷害罪は、過失=不注意によって人を傷害してしまった時に成立する犯罪です。
つまり、今回のAさんのケースのような場合には、過失傷害罪が問題となるのです。

では、どんな時に過失傷害罪の「過失」(不注意)が認められるかというと、結果の発生が予見でき、さらに、その結果を回避する義務に違反した場合に限って過失が認められるとされています。
例えば今回の事例の場合、荷物棚からスーツケースをとる際に、スーツケースを落とすなどして他の乗客にぶつかってしまうことが予想できたか、その結果を回避するためにAさんはなんらかの対策を取っていたか、といったことが検討されることになるでしょう。
単に「不注意だった」というだけで過失傷害罪の成否が判断されるわけではないため、やはり専門家の弁護士に詳細な事情とともにアドバイスをもらうことが必要とされるでしょう。

なお、過失傷害罪は親告罪(刑法第209条第2項)となっていますので、告訴がなければ起訴されません。
ですから、過失傷害事件では迅速に示談を締結することによって不起訴処分の獲得など、寛大な処分を得ることができます。
そういった点からも、早めに弁護士に相談・依頼することが重要と言えるでしょう。

ふとした不注意から刑事事件の当事者になってしまうこともあります。
弁護士のサポートを受けることで、突然の刑事手続きへの不安や疑問を解消することにつながります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士刑事事件の始まりから終わりまでフルサポートいたします。
まずはお気軽にご相談ください。

品物を預かって盗品保管罪に

2021-03-11

品物を預かって盗品保管罪に

品物を預かって盗品保管罪に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都市左京区に住んでいるAさんは、骨董品店を営んでいるBさんから「店が手狭になったから品物を数店預かってくれないか」と骨董品を数点渡されました。
Aさんは、「預かるくらいならいいか」と思い、自宅で骨董品を預かり、しばらく保管していました。
しかし、実はこの骨董品は数日前にBさんが京都市左京区にあるVさん宅から盗んだ盗品だったのでした。
後日、Vさん宅の窃盗事件京都府川端警察署に捜査され、Bさんが窃盗罪の容疑で捜査されることになり、そこでBさんが盗品をAさんに預けたと供述したことから、Aさんは盗品保管罪の容疑で話を聞かれることになってしまいました。
困ったAさんは、弁護士に対応を相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・盗品関与罪〜盗品保管罪

今回Aさんが疑われている盗品保管罪は、盗品関与罪と呼ばれる犯罪の1つです。
盗品等関与罪は、刑法第256条に定められている犯罪です。

刑法第256条
第1項 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
第2項 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪(刑法第235条)や詐欺罪(刑法第246条第1項)などの財産罪を犯した人が、これらの犯罪によって得た財物をどう処分しようと、そのことによって改めて盗品等関与罪で処罰されることはありません(このような行為を不可罰的事後行為といいます。)。
しかし、窃盗罪を犯した本人や詐欺罪を犯した本人以外の人については、この盗品等関与罪が成立する可能性があります。

盗品等関与罪は、盗品等を譲り受けることなどによって本犯の被害者が盗品等の回復を行うことを困難にしたり、本犯により生じた違法な財産状態を維持・継続させることになるために処罰されます。
例えば、窃盗罪の被害を受けた人(盗まれた人)からすれば、被害品=盗品が盗んだ本人から別の人に移ってしまえばそれを取り戻しにくくなるということです。

盗品等関与罪が成立し得る具体的な態様としては、譲り受け、有償処分のあっせん、運搬、保管があります。
このうち、今回のAさんが疑われているのは盗品保管罪ということになります。

盗品等関与罪は故意犯ですから、目的物が盗品等であることを認識・予見していなければ処罰されることはありません。
今回のケースでは、AさんはBさんからのしばらく預かっていてほしいという依頼を受け、盗品である骨董品を保管しています。
しかし、Bさんから骨董品を預かり保管していた時点で、Aさんがこの骨董品が盗品であることを認識・予見していたかどうかは事例からはわかりません。
もしもAさんがBさんが売買などによって正当に所有している骨董品であると認識していた場合、盗品保管罪の故意はないことになり盗品保管罪は成立しません。

ただし、判例によれば、保管開始後、保管中に盗品であることを知った場合にも故意を認め盗品保管罪が成立するとされています。
ここでの故意は、譲り受けや保管などの目的物が盗品等であることを確定的に知っていることまでは必要ではなく、もしかしたら盗品かもしれないと思いながら敢えて譲り受けたり保管するなどの意思を有していた場合(いわゆる未必の故意)にも認められます。
ですから、今回のケースでは、Aさんの認識や当時の状況を詳しく聞いた上で主張を組み立てていく必要があると言えます。

取調べなどで主張をしていくには、自分にかけられた容疑の犯罪がどのような犯罪であるのか、自分の認識はどのようなものなのか、客観的な事情はどういったものがあるのかといった詳しい事情を専門的に検討しなければいけません。
だからこそ、弁護士に細かく相談することがお勧めです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回無料法律相談も受け付けています。
預かり物から盗品保管事件に巻き込まれてしまった方は、まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

官製談合事件で逮捕されたら

2021-03-08

官製談合事件で逮捕されたら

官製談合事件逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都府福知山市の市役所の土木建築部に勤務しているAさんは、土木建設会社を経営しているBさんから、「今度京都府福知山市である浄水場工事の入札情報を教えてくれないか」と言われ、非公表のはずの情報を事前に教えました。
そしてBさんは、落札できる最低限価格で工事を落札し、受注しました。
しかし、こうしたことが連続して起きたために調査が入り、Aさんが入札情報を漏らしていたことが発覚。
京都府福知山警察署が捜査を開始し、Aさんは官製談合防止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和3年2月12日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・官製談合防止法

官製談合とは、公共事業の入札で、発注者側の人間と業者側の人間で事前に話し合い、落札価格などを決めてしまうことを指します。
例えば、今回のAさんとBさんは、工事を発注する京都府福知山市に属するAさんと、入札に参加する工事を受注したい業者のBさんという関係にあり、その2人が入札情報をやり取りしてBさんが落札できるようにしていることから、まさに官製談合をしていると言えるでしょう。

この官製談合については、官製談合防止法(正式名称「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」)で禁止され、刑罰も定められています。

官製談合防止法第8条
職員が、その所属する国等が入札等により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、5年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処する。

今回の事例のAさんに当てはめて考えてみましょう。
Aさんは京都府福知山市の職員であり、土木建築部に所属していることから、入札等の業務を外部に漏らさないことが職務上求められていると考えられます。
AさんはBさんに対して入札情報を漏らしていることから「その職務に反し」「事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること」によってBさんに落札させていますから、この行為によって工事の入札は不公平に行われてしまったと言えるでしょう。
ですから、Aさんは「当該入札等の公正を害すべき行為」をしたと考えられ、官製談合防止法第8条に該当する官製談合防止法違反となると考えられるのです。

・「職員」でない業者は何罪に?

ここで注意すべきなのは、官製談合防止法では国などの「職員が」談合を唆したり入札に関しての情報を漏らしたりして入札の公正を害する行為をした場合について定めているということです。
つまり、官製談合防止法では官製談合の発注者側を取り締まっていると言えます。
では、官製談合防止法のいう「職員」ではない業者側(今回の事例でいうBさん)には犯罪は成立しないのでしょうか。

実は、官製談合防止法違反とは別に、刑法には公契約関係競売等妨害罪という犯罪が規定されています。

刑法第96条の6
第1項 偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第2項 公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も、前項と同様とする。

刑法第96条第2項では、「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した」者について「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」という刑罰を定めています。
今回の事例のBさんのような官製談合の業者側については、この公契約関係競売等妨害罪が成立すると言えます。

官製談合をしたことによる官製談合法違反事件では、犯行態様によってこの他の犯罪が成立する可能性があります。
例えば、賄賂によって官製談合が行われたような場合には、発注側・業者側(今回の事例ではそれぞれAさん・Bさん)共に収賄罪や贈賄罪が成立する可能性があります。
そして、発注側が公務員という立場ながらその職務に反する形で官製談合をしているのであれば、地方公務員法違反や国家公務員法違反といった犯罪も成立すると考えられます。
官製談合自体も検討が複雑になりがちですが、官製談合によって成立する犯罪も多くなる可能性があるため、より複雑で対応しづらい刑事事件となるおそれがあるのです。

だからこそ、官製談合防止法違反事件では、様々な刑事事件に対応可能な弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件専門の法律事務所だからこそ、様々な種類の犯罪に対応が可能です。
まずはお気軽にご相談ください。

家出少女を匿ったら未成年者誘拐罪に?

2021-03-04

家出少女を匿ったら未成年者誘拐罪に?

家出少女を匿ったら未成年者誘拐罪に問われてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都市西京区に住んでいる会社員のAさんは、動画配信アプリを通じて親しくなった女子高生のVさんとメッセージアプリで頻繁にやりとりをしていました。
すると、Vさんが「家が嫌になって家出をしている」といった旨のことを言っていたため、Aさんは「ホテルなどに未成年がいるのは危ないからうちにおいで」と自宅に来るように誘いました。
VさんはAさんの誘いに乗り、Aさんは家出していたVさんを自宅に泊めることとなりました。
しばらくして、Vさんが帰宅しないことを心配したVさんの家族が京都府西京警察署に捜索届けを出したことをきっかけに捜査が開始され、Aさんは未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんとしては、家出少女を匿っただけの認識でいたため、自分が未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されたことに納得できません。
そこでAさんは、家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・家出した未成年を匿っても「誘拐」?

「誘拐」と聞くと、被害者を無理矢理連れ去ったり被害者を騙して連れ去ったり、被害者自身の意思に反して連れ去るというイメージが強いかもしれません。
しかし、未成年者誘拐罪にいう「誘拐」とは、そのイメージ通りとはいきません。

未成年者誘拐罪は、刑法第224条に定められている犯罪です。

刑法第224条(未成年者略取及び誘拐罪)
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

条文の中には「略取」と「誘拐」という2つの言葉が出てきますが、未成年者を略取すれば未成年者略取罪、誘拐すれば未成年者誘拐罪となります。
「略取」とは、暴行や脅迫などを用いて強制的に未成年者を本来の生活環境から離して自分や第三者の元に置くことを指します。
これに対して「誘拐」は、偽計または誘惑を用いて未成年者を本来の生活環境から離して自分や第三者の元に置くことを指します。
例えば、未成年者の腕を引っ張って無理矢理連れ出したという場合には未成年者略取罪が成立すると考えられますし、「お菓子をあげるからおいで」などと言って誘い出したような場合には未成年者誘拐罪が成立すると考えられます。

今回の事例で言えば、AさんはVさんに対して「うちにおいで」と誘っていることになります。
これが未成年者誘拐罪の「誘拐」でいう誘惑に当てはまると考えられます。

ここで、注意しなければいけないのは、未成年者誘拐罪が保護しているのは未成年者の権利だけでなく、未成年者の保護者が未成年者を監護する権利も含まれているということです。
すなわち、未成年者本人が今回の事例のように家出しており、本来の生活環境から離れることに同意していたとしても、未成年者の保護者(多くの場合はその未成年者の両親)の同意がないのであれば、それは未成年者の保護者の権利を害していることになってしまうのです。
こうしたことから、未成年者誘拐罪では未成年者本人の同意があっても未成年者誘拐罪が成立するとされているのです。
今回の事例のような家出少女を匿った事例であってもそれは同じです。
家出した本人がその場にいることに同意していたとしても、その保護者が同意していないのであれば、それは保護者の監護する権利を侵害していることになるのです。
家出少女を匿ったような場合には、積極的・能動的に家出少女を生活環境から連れ出したわけではないため、「誘拐」と結びつきづらいかもしれませんが、このような形で未成年者誘拐罪が成立しうるのです。

このような実際の刑事事件とイメージのギャップは未成年者誘拐事件に限ったことではなく、ままある話です。
だからこそ、刑事事件に詳しい弁護士に相談し、詳しい説明をしてもらうことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕されてしまった方にも在宅捜査を受けている方にもご利用いただけるサービスをご用意しています。
未成年者誘拐事件をはじめとする刑事事件にお困りの際は、遠慮なくご相談ください。

データの書き換えで不正競争防止法違反に

2021-03-01

データの書き換えで不正競争防止法違反に

データの書き換え不正競争防止法違反に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

Aさんは、京都府綾部市に本社のあるV社が発売しているゲームXについて、ゲーム中に登場するキャラクターの能力を客が求めている数値に書き換えてデータを渡して報酬を得るという行為を繰り返していました。
V社がデータを書き換えたキャラクターを使用しているユーザーが増えてきたことから調査を開始し、京都府綾部警察署に被害を相談したことをきっかけに、京都府綾部警察署で捜査が開始されました。
そして捜査の結果Aさんの行為が発覚し、Aさんは不正競争防止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは聞き慣れない罪名に不安を感じ、家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に今後の手続きや事件の見通し、可能な弁護活動について詳しく聞いてみることにしました。
(※令和3年2月4日朝日新聞DIGITAL配信記事を基にしたフィクションです。)

・データの書き換えと不正競争防止法違反

不正競争防止法は、その名前の通り、市場における不正な競争を防止するための法律です。
市場経済の正常な機能のためには、不正な行為によって企業同士の競争が行われることを防止し、公正な競争が行われるようにしなければならないということから、不正競争防止法が定められています。

この不正競争防止法では、いくつかの行為を「不正競争」として禁止しています。
今回のAさんはゲームデータの書き換えをしたことで不正競争防止法違反に問われているようですから、それに関連する部分を確認してみましょう。

不正競争防止法第2条第1項
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
第17号 営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に記録されたものに限る。以下この号、次号及び第8項において同じ。)の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為
第18号 他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為

これらは技術的制限手段無効化役務提供行為の禁止などと呼ばれる不正競争行為です。
長くわかりづらい部分も多いですが、簡単に言えば、今回のゲームデータなど、デジタルコンテンツのコピー管理技術やアクセス管理技術といった技術を無効化する機器やプログラムを提供することが禁止されています。
昨今のゲームデータには、データを不正に書き換えられないようにするためのプログラムなどがあり、勝手に不正な変更をすることは禁止されていますが、Aさんのようなゲームデータの書き換え行為はこれをかいくぐってゲームデータを変更してしまうことから、アクセス管理技術などの技術を無効化してそれらを提供しているということになってしまうのです。
こうしたことから、Aさんの行為は不正競争防止法違反とされたのです。

不正競争防止法違反という犯罪はなかなか聞き馴染みがないかもしれませんが、今回のAさんが問われている不正競争行為による不正競争防止法違反に定められている刑罰は「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」とされており(不正競争防止法第21条第2項第4号)、非常に重い犯罪であることが分かります。
何件も同じ行為をしていたような場合には、余罪の追求やその分の被害弁償にも対応しなければならず、事件への対応が複雑化してしまうおそれもありますから、専門家である弁護士に対応を任せることがお勧めです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、不正競争防止法違反事件のご相談・ご依頼も受け付けていますから、まずはお気軽にご相談ください。

「いけず石」で道路交通法違反に?

2021-02-25

「いけず石」で道路交通法違反に?

いけず石」で道路交通法違反に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都市北区に住んでいるAさんは、自宅周辺の道路を通行する自動車に自宅の周囲にある壁や自宅に傷をつけられたくないという思いから、いわゆる「いけず石」として大きな石を自宅周りに置いていました。
Aさんは、たびたび「ここは公道だから通行の邪魔になってしまう。石を撤去してほしい」と言われていたものの、それを無視していけず石を置き続けていました。
するとある日、京都府北警察署からAさんの元に「道路交通法違反の容疑で話を聞かせてほしい」という連絡が入りました。
Aさんは、運転する自動車で交通違反をした記憶もないのになぜ道路交通法違反の容疑をかけられているのか疑問に思い、弁護士に相談したところ、Aさんの置いた「いけず石」が問題になっている可能性があると言われました。
(※この事例はフィクションです。)

・「いけず石」とは

そもそも、「いけず石」とはどういったものなのでしょうか。
いけず石」とは、家屋の横や家屋に接する曲がり角に置かれている石のことです。
いけず石は、家屋に接する道路を通行する自動車が家屋を傷つけないように=自動車が家屋に近づかないようにするために置かれる石であるとされています。
京都の道路は細く曲がりづらい道が多いことから、自動車と家屋の接触も多く、そのためいけず石が置かれることが多くなったと言われています。
いけず石は京都独特の文化と言えるでしょう。

・「いけず石」で刑事事件になる?

では、今回のAさんの事例を考えてみましょう。
どうやらAさんはこのいけず石の件で道路交通法違反を疑われているということのようです。
いけず石を私道や自分の所有する土地の敷地内に設置することは問題ありません。
しかし、今回のAさんは公道にいけず石を設置してしまっているようです。
公道では、道路交通法による規制が適用されます。
ここで道路交通法の条文を確認してみましょう。

道路交通法第76条第3項
何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。

このように、道路交通法では、公道に交通の妨害になるように物を置くことを禁止しています。
Aさんは公道にいけず石を置いていたことから、そのいけず石の設置方法によってはこの道路交通法の条文に違反することになるのです。
なお、この条文に違反すると、以下の刑罰を受ける可能性が出てきます。

道路交通法第119条第1項
次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
第12号の4 第76条(禁止行為)第3項又は第77条(道路の使用の許可)第1項の規定に違反した者

なお、いけず石の設置方法が道路を通れないほどに道路を塞いでいる方法であれば、道路交通法違反ではなく、刑法の往来妨害罪という犯罪になる場合もあります。

刑法第124条第1項(往来妨害罪)
陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

そもそもいけず石は家屋に自動車が接触することを避けるために置かれるものと言われていますから、往来妨害罪に当たるほど道路を塞ぐことは考えづらいですが、やりすぎてしまえばこれほど重い犯罪になりうるということは注意しておくべきでしょう。

道路交通法違反と言われると、自動車の運転による交通違反というイメージが強いかもしれませんが、今回のAさんのように、運転に関わらずとも道路に関わる事柄であれば道路交通法違反の当事者になってしまいます。
想像しづらい内容で刑事事件の当事者になるということは、刑事手続きや見通しに対しての不安も強くなりやすいということです。
刑事事件の専門家である弁護士に相談することで、その不安を軽減できることが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弁護士による初回無料法律相談を実施しています。
いけず石による道路交通法違反事件など、交通事件にも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。

サイバーパトロールで麻薬特例法違反が発覚したら

2021-02-22

サイバーパトロールで麻薬特例法違反が発覚したら

サイバーパトロール麻薬特例法違反が発覚したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都府南丹市に住んでいるAさんは、SNSを通じて大麻を購入したいという人を募り、自身の持っている大麻を販売していました。
ある日、AさんはいつものようにSNSに「チョコ(大麻の隠語)の入荷あります」「営業しています」などと書き込み、大麻の買取手を募り、SNSの閲覧者に大麻の買取を持ちかけました。
すると、サイバーパトロールをしていた京都府南丹警察署の警察官がその書き込みを発見。
Aさんは、大麻の取引を持ちかけたことによる麻薬特例法違反の容疑で、京都府南丹警察署に逮捕されてしまいました。
Aさんは、SNSに書き込んだことで逮捕されたことを疑問に思い、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に相談することにしました。
(※令和3年1月30日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・大麻の所持・販売

まず、今回の事例のAさんは大麻の所持や販売といった行為をしているようです。
これらは大麻取締法に違反する行為ですから、現在Aさんが麻薬特例法違反の容疑で捜査されていたとしても、後々大麻取締法違反についても捜査される可能性は十分考えられます。

大麻取締法第24条の2
第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。

大麻の所持行為等は、その目的が営利目的であればより重く処罰されることになりますが、今回のAさんは大麻を販売しており、大麻を所持しているのも販売目的であると考えられます。
ですから、Aさんの行為は大麻取締法第24条の2第2項に当てはまり、大麻をただ単純に所持していた場合よりも重く処罰されるものと考えられます。

・麻薬特例法とサイバーパトロール

今回の事例のAさんが麻薬特例法違反で摘発されたきっかけは、サイバーパトロールによってSNSで大麻の取引を持ちかけているところを発見されたことです。
大麻の取引きを持ちかけただけにも関わらず犯罪として摘発されることに疑問を感じられる方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、今回のAさんの逮捕容疑である麻薬特例法には、以下のような条文があります。

麻薬特例法第9条
薬物犯罪(前条及びこの条の罪を除く。)、第6条の罪若しくは第7条の罪を実行すること又は規制薬物を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

麻薬特例法では、薬物犯罪や違法薬物の濫用をあおるだけでも犯罪とされていることがわかります。
今回のAさんは、SNSで大麻の買い取り手を募り、大麻の取引を持ちかけていることから、大麻取締法違反となる行為=「薬物犯罪」をあおり唆していると考えられるのです。
この麻薬特例法違反に該当する行為は大麻などの違法薬物を直接渡したり使用したりするわけではないことから見落とされがちですが、こうした行為も犯罪となるのです。

大麻などの薬物犯罪は、直接違法薬物に関わる犯罪だけでなく、今回のようなあおり・唆しに関わる犯罪まで多岐にわたります。
近年では、サイバーパトロールを積極的に行なっている捜査機関も少なくないことから、今回のAさんのようにSNSの投稿などから刑事事件に発展することも十分考えられます。
サイバーパトロールによって検挙された場合、住んでいる土地から離れた場所の警察署で逮捕されるなど、当事者だけではなかなか対応しづらいケースとなることも考えられますから、専門家の弁護士の力を早めに借りることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、サイバーパトロールによって検挙された刑事事件や、麻薬特例法違反大麻取締法違反といった薬物事件にも対応しています。
まずはお早めにご相談ください。

盗撮の常習を疑われたら

2021-02-18

盗撮の常習を疑われたら

盗撮常習を疑われているケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

会社員のAさんは、京都市南区の駅構内で女性Vさんのスカートの中を盗撮していたところを駅員に見つかり、通報されました。
Aさんは、通報を受けた京都府南警察署の警察官に、盗撮をしたことによる京都府迷惑防止条例違反の容疑で警察署へ連行され、そこで話を聞かれることになりました。
Aさんは、迎えにきた家族を身元引受人として帰宅することを許されましたが、押収されたAさんのスマートフォンからは、数百枚単位の盗撮写真が出てきました。
このことからAさんは盗撮常習犯ではないかと疑われていますが、それはSNSからダウンロードしたもので、Aさんは今回の盗撮が初めて実際に自分で行った盗撮でした。
Aさんは、常習的に盗撮をしていたわけではないがどのように対応したら良いのかと不安になり、京都府盗撮事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・盗撮と常習

盗撮は、各都道府県の定める迷惑防止条例によって禁じられています。
盗撮行為の態様や盗撮事件の起こった場所、被害者の年齢によって成立する犯罪は異なりますが、今回のAさんの事例のような、駅構内で起こった多くの盗撮事件は各都道府県の定める迷惑防止条例違反になります。
そして、ほとんどの都道府県の迷惑防止条例では、盗撮の常習性が認められることによってその刑罰が重くなります。
例えば、京都府の迷惑防止条例を確認してみましょう。

京都府迷惑防止条例第3条
第1項 何人も、公共の場所又は公共の乗物にいる他人に対し、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。

第2項 何人も、公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物にいる他人に対し、前項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 通常着衣等で覆われている他人の下着等を撮影すること。

京都府迷惑防止条例第10条
第2項 第3条第2項(第2号を除く。)若しくは第3項(第1号に係る部分に限る。)又は第6条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

第4項 常習として第3条第2項(第2号を除く。)若しくは第3項(第1号に係る部分に限る。)又は第6条の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

ご覧の通り、京都府では、盗撮をした場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」という刑罰が設定されていますが、その盗撮が常習であるとされた場合は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と、より重い刑罰になっていることが分かります。

では、盗撮の常習性が認められるのはどのような場合なのでしょうか。
例えば、カメラやパソコン、スマートフォンに大量の盗撮写真があったり、盗撮の前科や前歴が多くあったりするような事情があれば、盗撮の常習生が認められやすいと言えるでしょう。
盗撮の回数やその頻度、盗撮をしている期間、手口、目的など、さまざまな事情を総合的に考慮することによって常習性の有無が認められることになります。

もしも今回の事例のAさんのように初犯(=初めて盗撮を犯した)にもかかわらず、常習性を疑われてしまうようなことがあれば、不当に重い刑罰を受けることになりかねません。
すぐに刑事事件に強い弁護士に相談し、常習性のないことを主張していくことが大切です。

また、実際に常習的に盗撮を行っていた場合でも、できる限り被害者の方への謝罪・弁償活動を行い、処分を寛大にしてもらうように働きかけていくことが重要です。
常習的に盗撮を行っていた場合、被害者の数が多くなることも予想されますから、その分被害者対応も複雑になることが考えられます。
そういった面でも、まずは弁護士に相談・依頼することが望ましいと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、盗撮事件のご相談・ご依頼も多く受け付けております。
お困りの際は、お気軽に0120ー631ー881までお問い合わせください。
専門スタッフがご相談者様の刑事事件に沿ったサービスをご案内いたします。

自転車のひき逃げで逮捕されたら②

2021-02-15

自転車のひき逃げで逮捕されたら②

自転車ひき逃げ逮捕されてしまったケースで、特にひき逃げによる道路交通法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都府亀岡市に住んでいるAさんは、移動の際、スポーツタイプの電動アシスト付き自転車を利用していました。
ある日Aさんがその自転車に乗って移動している際、Aさんがよそ見運転をしていたことをきっかけに、通行人Vさんに衝突してしまいました。
Aさんは、「自転車に当たったくらい大丈夫だろう」と思い、「すみません」とだけ言ってその場を去りました。
しかし、Vさんは衝突によって骨折などの大怪我を負っており、後日、京都府亀岡警察署の捜査によってAさんは重過失傷害罪ひき逃げによる道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、自転車でもひき逃げになることに驚き、接見に訪れた弁護士に今後の対応や見通しについて相談することにしました。
(※令和3年1月25日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・自転車のひき逃げ事件〜道路交通法違反

前回の記事でも簡単に触れましたが、自動車の場合でも自転車の場合でも、ひき逃げ事件は「ひき逃げ」という罪名の犯罪が成立するわけではなく、人身事故を起こしたこと自体に犯罪が成立し(自動車の場合は過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪が、自転車の場合は過失の程度により過失傷害罪・過失致死罪や重過失傷害罪・重過失致死罪が成立します。)、さらにその場から適切な行為をせずに逃げた行為について道路交通法違反が成立するという構図になります。
今回の記事では、適切な行為をせずに逃げた行為、いわゆるひき逃げ行為によって成立する道路交通法違反について確認していきます。

道路交通法では、事故を起こしてしまった場合の対応について、いくつかの義務を定めています。

道路交通法第72条第1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

この条文の中に定められている義務は、一般に「救護義務」(負傷者の救護)、「危険防止措置義務」(道路上の危険を防止する)、「報告義務」(警察官等への通報・報告)と呼ばれています。
ひき逃げは「逃げる」という言葉が入っているものの、正確にはこれらの義務を果たさないことを指します。
ですから、ひき逃げをした際に「救護義務違反」や「報告義務違反」と言ったことを言われる場合がありますが、これはこの道路交通法の義務に違反しているということなのです。

この道路交通法の条文を見ると、「車両等の運転者その他の乗務員」が対象となっています。
過失運転致死傷罪などを定める自動車運転処罰法では、対象の乗り物が「自動車」となっていたのに対し、道路交通法のこの条文では「車両等」となっています。
この「車両等」は道路交通法でどのように定義づけられているのでしょうか。

道路交通法第2条第1項
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
第8号 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
第11号 軽車両 次に掲げるものであつて、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のものをいう。
イ 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)

つまり、道路交通法のひき逃げに関する条文の対象となる「車両等」には「軽車両」が含まれており、その「軽車両」の中に「自転車」が含まれていることから、先程挙げた道路交通法のひき逃げの条文は、自転車にも当てはまるということになるのです。

ひき逃げはあくまで自動車事故の問題だと思われがちですが、自転車でも人身事故を起こした場合、道路交通法上の義務が発生します。
昨今ではスポーツタイプなどのスピードの出る自転車も多く流通していますから、自転車による人身事故を気をつけることはもちろん、もしも事故を起こしてしまったら道路交通法上の義務を果たすよう気をつけましょう。
それでもパニックになってしまうなどしてひき逃げ行為をしてしまった場合、早めに弁護士に相談し、迅速に対応してもらいましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕されてしまった方にも在宅捜査を受けている方にも、まだ捜査はされていないがこれから刑事事件化が心配だという方にもお気軽にご相談いただけるサービスをご用意しています。
まずはお気軽にご相談ください。

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