Archive for the ‘財産事件’ Category

チケット譲渡詐欺事件で逮捕

2020-11-05

チケット譲渡詐欺事件で逮捕

チケット譲渡詐欺事件逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

東京都に住む高校2年生のAさんは、SNSで人気アイドルグループXのコンサートのチケットを譲渡する相手を募集しました。
すると、京都府宮津市に住むVさんがAさんの募集に応えて連絡してきたことから、交渉の結果、AさんはVさんにチケットを譲ることを伝えました。
しかしAさんは実際にはアイドルグループのチケットを持っておらず、元々チケット代金を募集相手からだまし取ろうと考えていたため、Aさんはその考え通りにVさんからチケット代金だけをだまし取りました。
チケットが発送されてこないことを不審に思ったVさんが京都府宮津警察署に相談したことで事件が発覚し、Aさんは京都府宮津警察署詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、自宅から離れたところで逮捕されてしまったAさんのことを心配し、京都ですぐに少年事件逮捕に対応してくれる弁護士に相談をしました。
(※この事例はフィクションです。)

・子どもが逮捕されてしまったケース

今回のように20歳未満の子どもが逮捕された場合、少年事件として扱われ、手続きが進められます。
しかし、少年事件だからといって逮捕されないということはなく、少年事件であっても逮捕の必要があると判断されれば逮捕され身体拘束を受けた上で捜査されることになります。
身体拘束され、家族や友人とも切り離されて1人で捜査を受ける状況は、未成熟である子どもに大きな負担となってしまうことが予想されます。

さらに、チケット譲渡詐欺事件でAさんのようにSNSを利用した手口であった場合、後述のようにチケット譲渡の取引先であった被害者が届け出た警察署によってはお子さんが住んでいる住所とは違う住所地の管轄の警察署が逮捕や捜査を行うことも考えられます。
そうした場合、ご家族もなかなか面会に行けませんし、お子さん自身も強い不安を感じられることでしょう。
だからこそ、チケット譲渡詐欺事件逮捕されたら、少年事件に迅速に対応が可能な弁護士に相談すべきと言えます。

・チケット譲渡詐欺事件の逮捕

昨今、SNSなどで見知らぬ人と気軽にやり取りができてしまうこともあり、チケット譲渡詐欺という手口の詐欺事件が目に付くようになりました。
チケット譲渡詐欺とは、上記事例のAさんのように、実際にはチケットを譲る気はないにもかかわらずアイドルグループのコンサートやバンドのライブ等のチケットを譲渡するように装い、チケット譲渡予定の相手からチケット代金をだまし取る詐欺のことです。

このチケット譲渡詐欺事件は、先述のようにSNSやインターネットを通じて引き起こされることが多いです。
そうなると、詐欺行為の被害者が詐欺行為をしている当事者とは離れた土地に住んでいるというケースも当然起こり得ます。
こうした詐欺事件の場合、被害者が被害を届け出た先の警察署が捜査を行うことが多いため、先ほど触れたように、チケット譲渡詐欺事件を起こした被疑者(今回であればAさん)の住んでいる場所とは離れた場所にある警察署が捜査をしてそこに逮捕・留置されてしまうということも起こり得るのです。

特に今回のAさんのような少年事件の場合、被疑者は未成年であることから逮捕によって日常と全く異なる環境に置かれることで精神的にも不安定となる可能性があります。
さらに住所地と離れた場所で家族の面会も難しいというような状況になれば、その負担はより大きくなってしまうおそれがあります。
そうした負担を軽減するためにも、弁護士が接見に通って様子を見る、家族からの伝言をこまめに伝える、アドバイスを行うといった活動も重要になってくるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、京都支部を含めて、全国に13支部展開しています。
家族がチケット譲渡詐欺事件などで離れた警察署に逮捕されてしまった場合でも、全国に展開しているからこそ迅速な対応が可能です。
逮捕された方向けの初回接見サービスのお申込みは24時間いつでも専門スタッフが受け付けていますので、夕方や夜の逮捕にもすぐに動き出すことができます。
京都府チケット譲渡詐欺事件逮捕にお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。

フィッシングメールによる詐欺事件②電子計算機使用詐欺罪

2020-10-01

フィッシングメールによる詐欺事件②電子計算機使用詐欺罪

フィッシングメールによる詐欺事件で、特に電子計算機使用詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市南区に住むVさんに、「私は銀行の委託を受けて、口座の不正利用を調査している業者のものです。あなたの銀行口座が不正に利用されていないかチェックするために、URLにあるサイトで口座情報を登録してください」といったメールを送り、Vさんを架空の業者のサイトに誘導すると、口座番号や契約者情報、暗証番号といった情報を入力させました。
そうしてVさんの口座情報等を手に入れたAさんは、その情報を利用してネットバンキングのVさんのアカウントにアクセスし、Vさんの口座から自分の口座に200万円送金しました。
後日、見覚えのない送金に気付いたVさんが京都府南警察署に被害を訴えたことでAさんの犯行が発覚。
捜査の結果、Aさんは不正アクセス禁止法違反電子計算機使用詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・電子計算機使用詐欺罪

前回の記事では、今回のAさんのフィッシングメールを送る行為や、フィッシングメールで取得した情報を用いてVさんのネットバンキングのアカウントにアクセスした行為が不正アクセス禁止法違反となることに触れました。
今回の記事では、Aさんのもう1つの逮捕理由である電子計算機使用詐欺罪について触れていきます。

電子計算機使用詐欺罪は、刑法に定められている犯罪の1つです。

刑法第246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。
※注:「前条」とは、刑法第246条に規定されている詐欺罪のことを指します。

オレオレ詐欺などで詐欺罪という犯罪名はよく聞かれるところですが、電子計算機使用詐欺罪という罪名はなかなか聞きなれないかもしれません。
詐欺罪が「人を欺いて財物を交付させた」場合に成立するのに対し、電子計算機使用詐欺罪は、簡単に言えば人ではなくコンピューターを騙した場合に成立します。
電子計算機使用詐欺罪の「電子計算機」とは、簡単に言えばコンピューターのことです。

今回のAさんは、ネットバンキングのVさんのアカウントにアクセスして自分の口座に送金を行っているのですが、これは本当は行為者がVさんではない(Aさんである)にも関わらず、コンピューターに行為者がVさんであるかのように偽って指令を出し処理をさせ、それによって不正にお金を自分のもとに送って手に入れていることになります。
そのため、Aさんには電子計算機使用詐欺罪が成立すると考えられるのです。

・不正アクセス禁止法違反と電子計算機使用詐欺罪

まとめると、今回のAさんには、フィッシングメールを送ったことによる不正アクセス禁止法違反と、Vさんのアカウントにアクセスしたことによる不正アクセス禁止法違反、ネットバンキングを利用してVさんのお金を自分のもとに送ったことによる電子計算機使用詐欺罪の3つの犯罪が成立すると考えられます。
そして、これらは全て手段と目的の関係にあります。
フィッシングメールを送ったのはVさんのアカウントにアクセスするためであり、VさんのアカウントにアクセスしたのはAさんのもとにお金を送金するためだ、という関係です。

このように、複数の犯罪を犯してしまった時、その関係性が目的と手段となっている場合を「牽連犯」と呼び、以下の刑法の条文に基づいて刑罰の重さが決められます。

刑法第54条
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

つまり、今回のAさんでいえば、フィッシングメールを送ったことによる不正アクセス禁止法違反は「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(不正アクセス禁止法第12条第4号)、不正アクセス行為による不正アクセス禁止法違反は「3年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(不正アクセス禁止法第11条)、電子計算機使用詐欺罪が「10年以下の懲役」(刑法第246条の2)であるため、最も重い電子計算機使用詐欺罪の「10年以下の懲役」という範囲内で刑罰が決められることになるのです。

フィッシングメールに関わる詐欺事件では、このように複数の犯罪が成立しうる上、その関係性などの検討も必要になってきます。
さらに、詐欺行為の被害者が複数の地域に散らばり複数人存在するケースもあり、弁護活動を広範囲にわたって行うことが求められることも考えられますから、全国の刑事事件に強い弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門弁護士フィッシングメールによる詐欺事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
京都支部以外にも12都市に支部があるため、複数の地域での詐欺事件が問題になる場合でも安心してお任せいただけます。
まずはお気軽にご相談ください。

フィッシングメールによる詐欺事件①不正アクセス禁止法違反

2020-09-24

フィッシングメールによる詐欺事件①不正アクセス禁止法違反

フィッシングメールによる詐欺事件で、特に不正アクセス禁止法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市南区に住むVさんに、「私は銀行の委託を受けて、口座の不正利用を調査している業者のものです。あなたの銀行口座が不正に利用されていないかチェックするために、URLにあるサイトで口座情報を登録してください」といったメールを送り、Vさんを架空の業者のサイトに誘導すると、口座番号や契約者情報、暗証番号といった情報を入力させました。
そうしてVさんの口座情報等を手に入れたAさんは、その情報を利用してネットバンキングのVさんのアカウントにアクセスし、Vさんの口座から自分の口座に200万円送金しました。
後日、見覚えのない送金に気付いたVさんが京都府南警察署に被害を訴えたことでAさんの犯行が発覚。
捜査の結果、Aさんは不正アクセス禁止法違反電子計算機使用詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・フィッシングメールとは

フィッシングとは、インターネットのユーザーから個人情報やID、パスワードといった情報をだまし取る行為のことをいいます。
このフィッシングを誘うメールがいわゆるフィッシングメールというもので、多くの場合、金融機関や有名企業、有名人を騙ったメールが送られます。
そして、そのメールに記載されているURLなどからフィッシングサイトへ誘導し、個人情報やID、パスワードといった情報を入力させるという手口が典型的な手口です。

実は、このフィッシング行為自体も犯罪行為です。
不正アクセス禁止法(正式名称:不正アクセス行為の禁止等に関する法律)では、以下のようにしてフィッシング行為を禁止しています。

不正アクセス禁止法第7条
何人も、アクセス制御機能を特定電子計算機に付加したアクセス管理者になりすまし、その他当該アクセス管理者
であると誤認させて、次に掲げる行為をしてはならない。
ただし、当該アクセス管理者の承諾を得てする場合は、この限りでない。
第2号 当該アクセス管理者が当該アクセス制御機能に係る識別符号を付された利用権者に対し当該識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)第2条第1号に規定する電子メールをいう。)により当該利用権者に送信する行為

不正アクセス禁止法第12条
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第4号 第7条の規定に違反した者

フィッシングメールを送るということは、差出人を金融機関や有名企業であるかのように偽ってメールの受信者を騙し、個人情報やID、パスワードといった情報を入力することを求める旨のメールを送ることになります。
つまり、フィッシングメールを送る行為は、不正アクセス禁止法の言うところの「アクセス制御機能を特定電子計算機に付加したアクセス管理者になりすまし、その他当該アクセス管理者であると誤認させて」「当該アクセス管理者が当該アクセス制御機能に係る識別符号を付された利用権者に対し当該識別符号を特定電子計算機に入力することを求める旨の情報を、電子メール(中略)により当該利用権者に送信する行為」となるのです。

・他人のアカウントにアクセスする行為

フィッシング行為により、IDやパスワードといった情報を入手し、それを基に勝手に他人のアカウントにアクセスすれば、それもまた不正アクセス行為として不正アクセス禁止法違反となります。

不正アクセス禁止法第2条第4項
この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
第1号 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)

不正アクセス禁止法第3条
何人も、不正アクセス行為をしてはならない。

不正アクセス禁止法第11条
第3条の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

不正アクセス禁止法第2条田4項第1号のいうように、そのアカウント所持者の同意なく他人のIDやパスワードを利用して他人のアカウントにアクセスし、アカウントにアクセスしなければできないような行為をできる状態にすることは不正アクセス行為として規制されています。
例えば、今回のAさんの事例のように、ネットバンキングは契約者個人のアカウントにアクセス・ログインしなければ、送金などネットバンキングの利用をする事はできないように制限されています。
ですから、個人のアカウントにそのIDやパスワードを利用してアクセス・ログインすることでネットバンキングをその個人として利用することができるようになり、「アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為」であるといえるのです。

つまり、今回のAさんは、フィッシングメールを送る行為による不正アクセス禁止法違反と、Vさんのアカウントにアクセスしたことによる不正アクセス禁止法違反の2つの不正アクセス禁止法違反があることになるのです。

不正アクセス禁止法違反などの特別法違反事件はなかなか馴染みのないことが多く、どの行為にどの条文の犯罪が該当するのかなど、分かりにくいことも多いかもしれません。
しかし、自分や家族にどういった容疑がかかっているのかきちんと把握することは、取調べなどに対応する上でも非常に重要です。
弁護士に相談し、詳しい説明を聞いておくことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、フィッシングメールに関わる不正アクセス禁止法違反事件のご相談も受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。

子どもが強盗未遂事件で逮捕されたら

2020-08-20

子どもが強盗未遂事件で逮捕されたら

子どもが強盗未遂事件逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

17歳の高校生Aさんは、小遣い欲しさに高齢者から金品を奪い取ることを思いつきました。
Aさんは、京都府亀岡市にある商業施設で買い物をしていた80歳の女性Vさんの鞄を奪い取ろうとしました。
しかし、Aさんの予想よりもVさんが抵抗したためAさんは鞄を奪い取ることができず、そうしているうちにVさんの声を聞いて人が集まってきたため、Aさんはその場から逃げ出しました。
その後、通報を受けて捜査を開始した京都府亀岡警察署の警察官により、Aさんは強盗未遂罪逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、子どもが強盗未遂事件を起こして逮捕されたと聞いてどうしてよいか分からなくなり、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(※令和2年8月10日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・強盗未遂罪

強盗罪というと、凶器などを手に家や店舗に押し入って金品を脅し取るような、いわゆる押し入り強盗がイメージされやすいです。
しかし、今回のAさんのケースのように、凶器を用いないケースや、家や店舗に押し入らないケースでも強盗罪は成立する可能性があります。
刑法の条文では、強盗罪は以下の条件に当てはまる場合に成立するとされています。

刑法第236条
第1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

金品を奪い取るような強盗事件の場合、刑法第236条第1項に該当する強盗罪が成立することになり、多くの強盗事件でこの条文に当てはまる強盗罪が成立することになります。

強盗罪が成立するには、他人の財物を奪う手段として暴行や脅迫を用いている必要があります。
この時用いられる暴行や脅迫は、相手の反抗を抑圧する程度の強さが必要とされています。
つまり、相手が反抗できないほどの強さで暴行や脅迫をして金品を奪うことで強盗罪が成立するということになります。
ですから、たとえ凶器を使用していなかったとしても、例えば相手の手足を押さえつけるなどして相手の反抗を押さえつけて金品を奪えば強盗罪となるのです。
そして、注意しなければいけないのは、例えば最初はひったくりや置き引きのような形で相手の財物を奪おうと考えていたとしても、被害者が抵抗したことに対抗してその抵抗を押さえつけて財物を奪い取れば、強盗罪が成立してしまうということです。
今回のAさんはどのような態様でVさんの鞄を奪い取ろうとしたのかは定かではありませんが、Vさんの抵抗を押さえつけるような形で脅迫や暴行を用いていたのであれば、強盗罪強盗未遂罪の成立が考えられます。

また、今回のAさんは、強盗罪の実行に着手しているものの、結果としてVさんの鞄=財物を奪い取るまでには至っていません。
ですから、Aさんには強盗未遂罪(刑法第243条)が成立すると考えられるのです。

・子どもが強盗未遂事件で逮捕されてしまったら

Aさんは20歳未満であることから、この強盗未遂事件少年事件として扱われることになります。
少年事件では、基本的に刑罰を受けることはありません。
少年の更生のための「保護処分」という処分を受けることが基本的な少年事件の終局処分です。
しかし、少年が少年事件を起こしてしまった環境などによっては、保護処分ではなく刑罰を受けさせる刑事手続きに移す、いわゆる「逆送」が行われることも考えられます。
「逆送」された少年事件は、成人の刑事事件のように起訴か不起訴か判断され、起訴されれば有罪・無罪を裁判で決められることになります。
有罪となれば刑罰を受けることになり、刑務所に行くことも考えられます。

「逆送」されずに少年事件の手続きによって処理されることとなったとしても、強盗未遂罪のような重大な犯罪を起こしてしまった場合、現在の環境に大きな問題があると判断され、その環境から切り離して更生を目指すことが適切=少年院送致などの施設送致という処分が下されることも考えられます。
当然、少年院送致も少年の更生を目指す「保護処分」であることから、少年のためにならない処分というわけではありません。
しかし、少年院に入ってしまえば、その期間社会から遠ざかってしまうことも否定できません。
スムーズな社会復帰のためにも、少年院送致を避けたいと考えるご家族も少なくありません。

このように、強盗事件強盗未遂事件は「逆送」の有無にかかわらず少年やその家族にとって大きな影響を及ぼす処分が下されることが考えられます。
だからこそ、強盗事件強盗未遂事件で子どもが逮捕されてしまったら、早期にできる弁護活動・付添人活動を始めることが求められるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件少年事件専門の弁護士が、逮捕直後から少年審判や刑事裁判までフルサポートを行います。
強盗事件強盗未遂事件子どもが逮捕されてしまったら、お気軽にご相談ください。

置き引き事件で準現行犯逮捕

2020-08-06

置き引き事件で準現行犯逮捕

置き引き事件準現行犯逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府木津川市の道路で、傍らに荷物を置いて電話をしていたVさんの荷物を手に取ると、素早くその場を去ろうとしました。
しかし、Vさんは荷物を取られたことにすぐに気が付き、Vさんの荷物を持って逃げるAさんを「待て、泥棒!」などと声を上げながら追いかけました。
途中でAさんは追いかけてきたVさんに捕まり、その場で通報を受けた京都府木津警察署の警察官に引き渡されました。
Aさんは、窃盗罪の容疑で準現行犯逮捕されたこととなり、京都府木津警察署に留置されることになりました。
その知らせを聞いたAさんの家族は、すぐに弁護士に相談してAさんの様子を見てきてもらったうえで、準現行犯逮捕とは何か、今後の手続きはどのようになるのかなどを詳しく聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・置き引き

そもそも、置き引きとは、置いてある他人の荷物を勝手に持って行ってしまうことを指し、窃盗行為の1種類であるとされています。
状況によっては占有離脱物横領罪という犯罪が成立することもありますが、置き引きは多くの場合、刑法の窃盗罪が成立するとされています。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

今回のAさんも、Vさんの傍に置いてあったVさんの荷物を勝手に持っていくという置き引きの態様であることから、この窃盗罪が成立すると考えられます。

・準現行犯逮捕とは?

現行犯逮捕とは、皆さんがご存知のように、現在犯罪をしている人や現在犯罪を行い終わった現行犯を逮捕することを指します。

刑事訴訟法第212条第1項
現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。

刑事訴訟法第213条
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

現行犯逮捕はまさに犯罪が行われていたり行い終わったりしているその場で犯人を逮捕することから冤罪の危険性も少ないとされ、通常の逮捕とは異なり、「逮捕状なくして」できる逮捕です。
さらに、現行犯逮捕は「何人でも」できるとされていることから、警察官や検察官だけでなく、一般人もすることができます。
一般人の行った現行犯逮捕は「常人逮捕」や「私人逮捕」と呼ばれることもあります。

では、今回のAさんがされた準現行犯逮捕とはどういった逮捕なのでしょうか。
刑事訴訟法では、先ほど挙げた「現行犯人」でなくとも、以下の条件に当てはまった場合には「現行犯人」とみなすとしています。

刑事訴訟法212条第2項
左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
第1号 犯人として追呼されているとき。
第2号 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
第3号 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
第4号 誰何されて逃走しようとするとき。

つまり、まさに犯行現場であるという状況でなくとも、上記の条件に当てはまれば現行犯人と同じように現行犯逮捕ができるということになります。
こうしたことから、刑事訴訟法第212条第2項に該当して現行犯逮捕されることを、現行犯逮捕に準ずることから「準現行犯逮捕」と呼ぶのです。

今回のAさんは、置き引きをしてからすぐにVさんに見つかり追いかけられていますから、「罪を行い終つてから間がないと明らかに認められる」と言えるでしょう。
そして、AさんはVさんに「待て、泥棒!」と声を上げられながら追いかけられていますが、これは「犯人として追呼されているとき」に当たります。
こうしたことから、Aさんは「現行犯人」とみなされることになりますから、準現行犯逮捕されうることになります。
先述のように、現行犯逮捕は警察官でない一般人でも可能な逮捕ですから、今回の場合はVさんがAさんを準現行犯逮捕し、京都府木津警察署の警察官に引き渡したということになるでしょう。

現行犯逮捕準現行犯逮捕されてしまうと、突然周囲と連絡がつかなくなってしまい、逮捕された方の家族も心配されることが多いです。
特に準現行犯逮捕の場合には、本当に準現行犯逮捕の条件に当てはまっているのか、手続きに誤りはないのかなど検討すべきことも多いです。
だからこそ、準現行犯逮捕されてしまったらまずは弁護士に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、365日いつでもお問い合わせを受け付けていますので、京都府準現行犯逮捕にお困りの際はお気軽にお問い合わせください。

開店前の店での窃盗事件で逮捕

2020-06-25

開店前の店での窃盗事件で逮捕

開店前の店での窃盗事件逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、自分の欲しい商品が人気商品であり、自分が店に行ったときには売切れになってしまっていることに不満を持っていました。
そこでAさんは、「開店前の店であれば在庫があるに違いない」と考えると、京都府八幡市にあるドラッグストアに開店時間前に忍び込み、目当ての商品を盗み出しました。
しかし、店を出るところで出勤してきた店員に見つかり、京都府八幡警察署に通報され、Aさんは建造物侵入罪窃盗罪の容疑で逮捕されました。
(※この事例はフィクションです。)

・窃盗事件で逮捕

今回のAさんは、開店前の店に忍び込んで窃盗事件を起こし、京都府八幡警察署逮捕されてしまっています。
当然、物を盗むことは刑法の窃盗罪に当たります。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

今回のAさんもドラッグストアの商品を盗み出していることから、窃盗罪が成立することには疑いがないでしょう。
しかし、今回のAさんの犯行態様を考えると、成立する犯罪は窃盗罪だけではない可能性が出てきます。
それが、今回のAさんのもう1つの逮捕容疑である建造物侵入罪です。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

Aさんは、欲しかった商品を盗むために開店時間前のドラッグストアに忍び込んでいます。
建造物侵入罪での「侵入」とは、その建造物の管理者の意思に反する立ち入りを指すと言われています。
つまり、ドラッグストアの管理者(例えば店長など)が許可しない立ち入りは建造物侵入罪の「侵入」となりうるのですが、ドラッグストアの開店時間前に店員でもない人が商品を盗むために店内に立ち入る行為は、この「侵入」となりうるでしょう。

・窃盗罪と建造物侵入罪の関係

ここまで見てきたように、Aさんには窃盗罪建造物侵入罪が成立すると考えられます。
Aさんの窃盗事件では、この窃盗罪建造物侵入罪の2つは、結果と手段の関係にあります。
すなわち、建造物侵入罪に当たる行為を手段として用いられ、窃盗罪に当たる行為が結果になるという関係です。
今回のAさんはドラッグストアに忍び込むことを手段として、商品を盗むという結果を起こしていることから、このような関係となります。
2つ以上の犯罪が成立するとき、このようにそれぞれの犯罪が手段と結果の関係になるものを「牽連犯」と言います。

刑法第54条第1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

条文でいうと、この刑法第54条第1項の後段部分が「牽連犯」にあたります。
「その最も重い刑により処断」されることになるため、窃盗罪建造物侵入罪では、最も重い窃盗罪の「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という法定刑の中で刑罰の重さが決められることになります。

今回のAさんのような窃盗事件は、窃盗罪に加えて建造物侵入罪という犯罪が成立することもあり、単純な窃盗事件よりも重く処分されることが考えられます。
だからこそ、まずは刑事事件に強い弁護士に相談し、どのように釈放や刑罰の減軽を目指していくのか把握しながら対応していくことが重要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕されている方には初回接見サービスを、在宅捜査を受けている方には初回無料法律相談をご用意しています。
まずは弁護士の話を聞いてみたいという方もお気軽にご利用いただけます。
0120ー631ー881では、スタッフがサービスについていつでもご案内しています。
まずはお電話ください。

給付金詐欺事件・助成金詐欺事件で逮捕

2020-06-18

給付金詐欺事件・助成金詐欺事件で逮捕

給付金詐欺事件助成金詐欺事件逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市東山区に住んでいるVさんは、「給付金の申請代行のご案内」という葉書を受け取りました。
そこには、京都市東山区から頼まれて、政府からの給付金を受け取るための手続きを代行するサービスをしている業者であること、申請から給付金を受け取るまで全て任せられることといった内容が書いてありました。
Vさんはその葉書の内容をすっかり信じ込み、葉書に書いてあった電話番号に電話すると、やってきた代行業者を名乗るAさんに自身の口座情報とキャッシュカードを手渡しました。
しかし、Vさんの元にAさんが戻ってくることはなく、Vさんが京都府東山警察署に相談したことで、これが給付金詐欺であることが発覚。
捜査の結果、Aさんがこの給付金詐欺事件に関わっていることが判明し、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・給付金詐欺事件・助成金詐欺事件

今回のAさんが行った形態の詐欺行為は、給付金詐欺助成金詐欺と呼ばれる種類のものです。
今回のAさんの事例のように、給付金や助成金の申請代行をすると偽ってキャッシュカード等を騙し取ったり、存在しない給付金自体を偽ってATMなどに誘導し、預金を犯人の口座へ振り込ませたりといった手口が考えられます。
こういった行為は、名前の通り詐欺罪に当たることになります。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪の「人を欺」く行為は、「欺もう行為」とも呼ばれます。
詐欺罪の「欺もう行為」は、簡単に言えば人を騙す行為であるのですが、「財物を交付」するかどうかの判断に際して重要な事項について人を騙す行為でなければいけません。
ですから、単純に嘘をついていたからといって必ずしも詐欺罪の「欺もう行為」に当てはまるわけではありません。

今回のAさんの給付金詐欺事件では、AさんはVさんに給付金の申請代行サービスであると偽ってキャッシュカードを引き渡させていますが、この代行サービスが嘘であれば、当然Vさんはキャッシュカードを引き渡すことはしなかったでしょう。
すなわち、Aさんは、財物(=キャッシュカード)を引き渡すに当たって重要な事項(=給付金代行サービス)を偽っていたと言えますから、Aさんは詐欺罪の「欺もう行為」をしてVさんを騙し、それによって財物を交付させていることから詐欺罪が成立すると考えられるのです。

・給付金詐欺事件・助成金詐欺事件で逮捕されたら

今回のような給付金詐欺事件助成金詐欺事件は、複数人で構成されるグループによって犯行が行われていることも多いです。
当然、捜査機関としてもそうした場合を想定して捜査を行うでしょう。
共犯者がいる刑事事件の場合、口裏合わせなどによる逃亡・証拠隠滅のおそれがあることから、逮捕されて捜査が進められる可能性が高いです。
釈放を求めたい場合、捜査段階から迅速に活動することはもちろん、起訴後の保釈請求も粘り強く活動していくことが求められます。

また、給付金詐欺事件助成金詐欺事件では、Vさんのような被害者が存在します。
被害者への謝罪・弁償の有無は釈放・保釈を求める上でも、裁判で量刑が決められる際にも重要な事情となります。
ですから、示談交渉についても並行して活動することが求められます。

こうした活動は、刑事事件に精通した弁護士に相談しながら活動してもらうことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門弁護士給付金詐欺事件逮捕にも迅速に対応しています。
京都府刑事事件にお困りの際は、お気軽にご連絡ください。

侵入盗事件で逮捕されたら

2020-05-05

侵入盗事件で逮捕されたら

侵入盗事件逮捕されたケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市北区に住むAさんは,ある日,近所に住んでいるVさんが,「今自宅には200万円の現金が保管してある」と話していたのを聞き,Vさん宅からその200万円を盗み出すことを思いつきました。
AさんはVさんが出かけた時間を狙ってVさん宅に侵入し,部屋内から金庫の合い鍵を見つけ金庫の鍵を開けて現金200万円を盗みました。
帰宅したVさんが金庫が開いていることに気づき,200万円の盗難が発覚。
Vさんの通報により,京都府北警察署が捜査を開始しました。
捜査の結果,防犯カメラの映像からAさんの犯行であると発覚し,Aさんは,住居侵入罪窃盗罪の容疑で京都市北区を管轄する京都府北警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)

~侵入盗事件~

他人の財物を盗んだ(窃取した)者には,窃盗罪(刑法235条)が成立します。
窃盗罪で有罪となれば,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられます。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は,他人の財物を窃取した場合に成立します。
「窃取」とは,その物の持ち主の意思に反して財物の占有を移転し,それを取得することをいいます。
窃盗罪の典型例である万引きや,侵入盗・空き巣の手口を考えれば,持ち主の意思に反して勝手にその物を自分の物としてしまっていることがわかると思います。
もちろん,今回のAさんの行為も窃盗罪に当たると考えられます。

さて,この窃盗罪は様々な手口によって犯行が行われていますが,今回のAさんの手口は,人の家や建物に侵入して物を盗む,いわゆる侵入盗という分類にあたるでしょう。
侵入盗としては,空き巣や忍び込み,金庫破り,事務所荒らしや出店荒らしなどが挙げられます。
今回のAさんはVさんの留守中を狙って忍び込んで窃盗行為をしていることから,侵入盗のうち空き巣にあたるでしょう。
なお,窃盗事件の中には侵入盗とは反対に,家等に侵入せずに盗みをはたらく非侵入盗と呼ばれる分類もあります。
非侵入盗の手口としては,万引きやすりといった手口が挙げられます。

侵入盗事件の場合,窃盗行為をするためにどこかに侵入しているわけですから,窃盗罪だけでなく住居侵入罪や建造物侵入罪(刑法130条)にも問われることになります。

刑法130条
正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

例えば今回のAさんは,窃盗行為をする目的で勝手にVさん宅に侵入しています。
窃盗行為をする目的で立ち入っていることから,もちろん「正当な理由」とは言えませんし,家主であるVさんもこの立ち入りには同意しないでしょうから,Aさんには窃盗罪に加えて住居侵入罪も成立することになるでしょう。

Aさんのような侵入盗事件では,窃盗罪に当たる行為と住居侵入罪に当たる行為は,手段と目的の関係に立ちます(窃盗罪という目的のために住居侵入罪という手段を使ったということです。)。
そのため,牽連犯という考えが用いられ,重い窃盗罪の刑で処断されることになります(刑法54条1項前段)。

刑法54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ,又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは,その最も重い刑により処断する。

~侵入盗事件と弁護活動~

侵入盗事件を起こしたことに争いがない場合,弁護士を通じて早期に被害者の方に対する被害弁償や示談交渉を進めることが重要です。
侵入盗事件の被害届が提出される前であれば,示談締結により警察の介入を回避し,逮捕されたりすることなく,刑事事件化を阻止できる可能性もあります。
また,警察が介入して刑事事件化し,逮捕されてしまったような場合でも,示談締結ができれば早期釈放や不起訴処分など早期の職場復帰や社会復帰を実現できる可能性が高くなります。
なお,刑事事件化し,裁判が始まった後の示談であっても,示談締結の事実により執行猶予付き判決や減刑など効果が期待できます。

侵入盗事件では,窃盗罪だけでなく住居侵入罪も成立することから,犯行が悪質であると判断されやすく,厳しい処分がくだされることも考えられます。
なるべく早く弁護士に相談し,示談交渉等の活動に取り掛かってもらうのが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では,侵入盗事件逮捕にお悩みの方のご相談も受け付けています。
まずはお気軽に,弊所弁護士までご相談ください。

置き引きで出頭要請

2020-05-03

置き引きで出頭要請

置き引き出頭要請を受けたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

京都府綾部市内の駅近くのファミリーレストランにいたAさんは、Vさんが同じフロアのトイレに行くために席を外したことに乗じて、Vさんの席に置いてあった財布を盗み店を後にした。
5分後、席に戻ったVさんは財布が盗まれたことに気付き、京都府綾部警察署に通報した。
通報を受けた京都府綾部警察署の警察官は捜査を開始し、店の防犯カメラからAさんを特定。
後日、Aさんへ京都府綾部警察署から連絡があり、Aさんは置き引き事件の事情聴取のために京都府綾部警察署へ出頭するように指示を受けました。
(事例はフィクションです。)

本件はいわゆる「置き引き」の事例ですが、刑法的には窃盗罪又は占有離脱物横領罪に該当する行為です。
この2つの犯罪はどのように区別されるのでしょうか。

(1)窃盗罪

刑法第235条(窃盗罪
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪にいう「窃取」とは、他人が占有する財物を、占有者の意思に反し自己又は第三者の占有に移転させる行為をいいます。
なお、騙したり脅すなどして占有者の(瑕疵ある)意思による財物の交付を受けた場合は、詐欺罪や恐喝罪になります。
ここでの「意思に反して」とは、占有者の隙を突いて財物を奪い取るひったくりのようなケースもあれば、被害者の目の届かないところに置いてある財物を持ち去る置き引きのようなケースもあります。

注意して頂きたいのは、窃盗罪の条文に「他人が占有する財物」とあるように、財物の所有権は問題とされていないことです。
したがって、一度盗られた自分の持ち物を取り返そうと犯人(占有者)から奪い返すことも、窃盗罪の実行行為に当たることになります。

(2)占有離脱物横領罪

刑法第254条(占有離脱物横領罪
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

他人の占有下にある財物を盗った場合は窃盗罪になりますが、占有下にない財物を盗った、つまり持ち主が財物を置いて完全に立ち去ってしまっていた時にその財物を盗った場合などには、占有離脱物横領罪に問われる可能性が出てきます。

占有離脱物横領罪の「横領」とは、不法領得の意思の発現行為一切をとされています。
そして、ここでの「不法領得の意思」とは、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思をいいます。
したがって、端的にいえば、「横領」とは、その物を自分の所有物として扱うことを意味します。
所有物として扱うということは、壊したり、捨てたりすることもできますので、これらの目的での占有離脱物横領罪も罰せられることが考えられます。
この点は、壊したり隠す目的での行為は処罰されない窃盗罪とは異なります。

(3)窃盗罪?占有離脱物横領罪?

窃盗罪占有離脱物横領罪のどちらかに該当するかは、財物に対して占有が及んでいるか否かで決まります。
過去の判例や裁判例では、どのように評価しているのでしょうか。

〇窃盗罪が成立したケース
バスの乗車待ちの列に並んでいたV1さんが、列を前進する際に傍に置いていたカメラを置きっ放しにしていた。途中で気付いて引き返したが、既にBさんに持ち去られた後だった。

このケースでは、置き忘れたカメラとV1さんが気付いて取りに戻ろうとした場所との距離が20メートル弱、置き忘れてから取りに戻るまでの時間が5分程度でした。
最高裁判所はカメラについて未だV1さんの占有下にあると判断して、Bさんの行為を窃盗罪に当たると判断しました。

〇占有離脱物横領罪が成立したケース
V2さんは、大規模スーパーの6階のベンチに財布を置いたまま地下1階に降りてしまった。約10分後そのことに気が付いたV2さんが取りに戻った時には、既にCさんが持ち去っていた。

高等裁判所は置き忘れた地点とV2さんが引き返そうとした地点との具体的な距離を明示せず、フロア数を示したのみでしたが、このケースの場合はV2さんの占有が及んでいないと判断しました。

さて、以上を踏まえて今回のケースを検討します。
通常ファミリーレストランの飲食スペースとトイレは本件と同様に同じフロア、離れていても1~2階程度の隔たりでしかないと判断できます。
距離としても数メートルでしょう。
Vさんが不在にしていた時間も5分程度であることを考慮して、財布にはVさんの占有が及んでいると判断できます。
つまり、Aさんの置き引き行為窃盗罪であると判断される可能性が高いと考えられるのです。

今回のケースでは、逮捕による身柄拘束がされることはありませんでした。
もっとも、事件を早期に解決するためには被害者の方への一刻も早い謝罪や示談を進める必要があります。
実際は、被疑者自身が直接被害者の方と謝罪や接触をすることは難しく、接触できた場合にも被害感情が峻烈になる場合もあります。
被害者対応に関して、間に入る弁護士の有無は非常に重要です。
早期に上記の対応がなされれば、被害届の取下げや不起訴処分での終結になる可能性も十分にあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、窃盗占有離脱物横領事件の経験豊富な弁護士による、身柄の早期解放や示談交渉について最善のアドバイスを受けることができます。
置き引き事件にお困りの際は、遠慮なく弊所弁護士までご相談ください。

下着泥棒・住居侵入事件で逮捕

2020-04-02

下着泥棒・住居侵入事件で逮捕

下着泥棒住居侵入事件逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、女性Vさんの自宅である京都市山科区にあるアパートの一室のベランダに侵入し、ベランダに干されていたVさんの下着を盗もうと考えました。
しかし、いざAさんがベランダに侵入し下着を手に取り、立ち去ろうとした時点で、通行人に見つかってしまいました。
Aさんの姿を見た通行人が「泥棒!」と声を上げたため、Aさんは急いでその場から逃走しました。
通報を受けた京都府山科警察署が捜査を開始した結果、Aさんの犯行が発覚。
Aさんは下着泥棒事件の被疑者として逮捕され、京都府山科警察署に連行されました。
(事例はフィクションです。)

~下着泥棒事件と住居侵入罪~

さて、今回のAさんは下着泥棒事件の犯人として逮捕されていますが、どのような犯罪の容疑で逮捕されたのでしょうか。
まず今回のAさんに成立が考えられるのは、住居侵入罪です。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する

・住居侵入罪の「住居」

住居侵入罪の「住居」には、人の起臥寝食に使用される場所であるとされています。
人の気が浸食に使用される「住居」というと、継続的に人が生活の拠点としている一軒家やマンションの一室が思い浮かばれやすいですが、日常生活に使用されるのは一時的であってもよいので、ホテルや旅館の一室も宿泊者の「住居」とされています。

・住居侵入罪の「侵入」

住居侵入罪の「侵入」の意味は、管理権者(住居における住民など)の意思に反する立入りであると解されています。
このことから、住居侵入罪の保護法益は住居などに誰を立ち入らせるかの自由(住居権)であるとされています。
つまり、その「住居」を管理している人の同意のない立ち入りは、住居侵入罪の「侵入」行為になりうるということです。
ですから、例えば、友人の自宅に招かれていたような場合でも、立ち入りを許されていない部屋にまで勝手に入ってしまえば、それは家=「住居」の管理者の意思に反する立ち入りであることから、住居侵入罪のいう「侵入」行為になりうるということなのです。

そして、管理権者が予め立ち入り拒否の意思を積極的に明示しておらず、行為者の立ち入りにも外見上不審な点が見られない場合であっても、住居侵入罪の「侵入」と判断される可能性があります。
住居侵入罪の「侵入」に当たるか否かは、当該住居の性質、使用目的、管理状況、管理者の態度、立ち入りの目的などを勘案して、合理的に判断されることになります。
判例は、一般的に立ち入りが許容されている場所への立ち入りについても、目的が違法である場合には広く住居侵入罪の成立を認めています。

今回のAさんは、下着泥棒目的でVさんの住むマンションの一室のベランダに立ち入っています。
ベランダは確かに室外ではありますが、ベランダと外部を仕切る柵や壁があることや、マンションの一室の一部と考えられるだろうことを考慮すれば、住居侵入罪の「住居」と判断される可能性も十分あるといえるでしょう。
そして、当然部屋に住んでいるVさんからすれば、下着泥棒をしようという人の立ち入りを許可することはないと考えられますから、住居侵入罪の「侵入」行為にも当たりそうです。
こうしたことから、Aさんには住居侵入罪が考えられるのです。

~住居侵入罪と他の犯罪の関係~

住居侵入事件では、別の犯罪行為の前提として住居侵入罪に該当する行為を行うケースも多くあります。

住居等内にある財物を盗むこと=窃盗罪に当たる行為を目的としているケースを例に挙げます。
具体的には、本件のように下着泥棒をするためにベランダへ侵入する行為や、詐欺グループの出し子が騙し取ったキャッシュカードを用いて現金を引き出そうと無人ATMコーナーへ立ち入る行為などが挙げられます。
双方とも窃盗罪(刑法第235条)の手段として、住居侵入罪を犯していることになります。
この場合、住居侵入罪は牽連犯(刑法第54条第1項)として扱われます。

刑法第54条1項
1個の行為が2個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の犯罪に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

窃盗罪の刑罰は住居等侵入罪よりも重い(10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)ので、窃盗罪の刑で処断されるのみになります。

特に本件のような窃盗目的の住居侵入行為が認められる場合、逮捕などの身柄拘束を受ける可能性があります。
逮捕の場合最大72時間、逮捕後勾留までされた場合には前述の72時間に加えて最大20日間拘束されることになります。
本件のように現行犯としてその場で逮捕されなかったとしても、警察が目撃者や周囲の監視カメラからの情報によって、後日逮捕されるケースもあります。
警察が家に来ていないから大丈夫と安心せず、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。
警察の捜査が開始されていない段階で弁護士に動いてもらうことで、被害者の方との和解交渉もスムーズに行うことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弁護士による無料相談のご予約を24時間体制で受け付けております。
刑事事件を起こしてしまったがどうしたらいいのか分からない、まずはこのようなご質問からでも構いませんので、お電話をお待ちしております。

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