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淫行と児童買春の違い
淫行と児童買春の違い
淫行と児童買春の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市下京区に住むAさんは、SNSとメッセージアプリを通じて高校2年生のVさんと知り合いました。
Vさんと親しくなったAさんは、Vさんと食事をすることになりました。
京都市下京区の飲食店でVさんと食事をした後、AさんとVさんは近くのホテルへ向かい、そこで性交をしました。
その後、2人はそろってホテルを出たのですが、巡回中の京都府下京警察署の警察官から職務質問を受けたことで、Vさんが18歳未満であることと、Aさんと性交したことが発覚しました。
Aさんは児童買春の容疑で逮捕されてしまいましたが、Aさん自身としてはお金を払って性交したわけではないと容疑を否認しています。
そこでAさんは、家族が依頼して接見に訪れた弁護士に、自分の認識でも児童買春となってしまうのか相談しました。
(※この事例はフィクションです。)
・「淫行」と「児童買春」の違い
前回までで見てきた通り、淫行も児童買春も、18歳未満の者と性交等をした場合に成立しうる犯罪だということがわかります。
この2つの大きな違いは、「性交等の対償を渡すか対償を渡す約束をしているかどうか」という部分にあります。
例えば、京都府の青少年健全育成条例では、淫行は「何人も、青少年に対し、金品その他財産上の利益若しくは職務を供与し、若しくはそれらの供与を約束することにより、又は精神的、知的未熟若しくは情緒的不安定に乗じて、淫行又はわいせつ行為をしてはならない。」(青少年健全育成条例第21条第1項)と禁止されており、「精神的、知的未熟若しくは情緒的不安定に乗じて」淫行をすれば青少年健全育成条例違反となることから、性交等の対象を渡したりその約束をしたりすることは条件とされていません。
対して、前回の記事で確認した通り、児童買春となるには性交等への対償やその約束が必要となってきます。
この点が、淫行と児童買春の大きな違いなのです。
そして、淫行と児童買春にはもう1つ大きな違いがあります。
それは法定刑、つまり、その犯罪で有罪となった場合に受ける刑罰の重さの範囲が異なるのです。
もう一度、淫行と児童買春の法定刑を確認してみましょう。
青少年の健全な育成に関する条例第31条第1項
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第1号 第21条の規定に違反した者
児童買春禁止法第4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
京都府の場合、淫行をした青少年健全育成条例違反の場合「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります。
それに対し、児童買春をした場合は「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金」ですから、淫行に比べて児童買春となった方がかなり重い刑罰を受ける可能性が出てくることになります。
ですから、実際には淫行にとどまるにも関わらず、児童買春の罪で有罪となってしまえば、不当に重い刑罰を受ける可能性が出てきてしまうということになるのです。
・淫行の事実しかないのに児童買春を疑われたら
今回のAさんの事情を見ると、Aさんは淫行に当たる行為のみを行なっているという認識にも関わらず、児童買春の容疑をかけられているということのようです。
たしかに、Aさんの認識としては対価として何かを支払っている事実はありませんが、例えばVさんとの食事を性交等の対価としていた場合には児童買春となる可能性もありますから、そうした疑いで捜査されているのでしょう、
先ほど触れたように、淫行と児童買春では刑罰の重さが大きく異なってきますから、本当にAさんが対償の供与やその約束をしていないのであれば、淫行にとどまる事実しかないことをきちんと主張し続けなければなりません。
しかし、取調べでは、被疑者となったAさん1人で取調べのプロである警察官や検察官に対応しなければなりません。
気づかぬうちに自身の主張とは異なる形で自供してしまったり、上手く誘動されてしまったりというリスクもあります。
だからこそ、取調べの状況を弁護士と確認し合いながら、逐一アドバイスをもらって対応していくことが重要なのです。
不当に重い刑罰を受けることを避けるためにも、まずは弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、淫行事件・児童買春事件にも刑事事件専門の弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後からご利用いただける初回接見サービスのお申し込みも24時間体制で受け付けています。
まずはお気軽にご連絡ください。
どんなことをしたら児童買春になる?
どんなことをしたら児童買春になる?
どんなことをしたら児童買春になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市下京区に住むAさんは、SNSとメッセージアプリを通じて高校2年生のVさんと知り合いました。
Vさんと親しくなったAさんは、Vさんと食事をすることになりました。
京都市下京区の飲食店でVさんと食事をした後、AさんとVさんは近くのホテルへ向かい、そこで性交をしました。
その後、2人はそろってホテルを出たのですが、巡回中の京都府下京警察署の警察官から職務質問を受けたことで、Vさんが18歳未満であることと、Aさんと性交したことが発覚しました。
Aさんは児童買春の容疑で逮捕されてしまいましたが、Aさん自身としてはお金を払って性交したわけではないと容疑を否認しています。
そこでAさんは、家族が依頼して接見に訪れた弁護士に、自分の認識でも児童買春となってしまうのか相談しました。
(※この事例はフィクションです。)
・「児童買春」とは
児童買春も、前回確認した淫行のように、18歳未満の者と性交等をした場合に成立する可能性のある犯罪です。
児童買春は、通称「児童買春禁止法」(正式名称「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」)で禁止されています。
児童買春禁止法第4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
「児童買春」の定義は、児童買春禁止法では以下のように定められています。
児童買春禁止法第2条第2項
この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
第1号 児童
第2号 児童に対する性交等の周旋をした者
第3号 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
ここで注意すべきなのは、児童買春とは児童本人にお金を渡して性交等をすることだけを指しているわけではないということです。
例えば、児童買春禁止法によれば、児童買春は「対償を供与」するか「その供与の約束」をして児童に対して性交等をすれば児童買春となります。
ですから、お金を渡していなくても性交等をするかわりにお金を渡す約束をして性交等をするだけでも児童買春ですし、「対償」は金銭と限定されているわけでもないですから、性交等をするかわりに物を買い与えたり食事を奢るなどしても児童買春となるのです。
また、性交等の対償を渡す相手は児童本人とも限られません。
児童買春をすすめてきた人や児童の保護者などに対償を渡した場合でも児童買春となり、児童買春禁止法違反となるのです。
前回の記事から、淫行(青少年健全育成条例違反)と児童買春(児童買春禁止法違反)という18際未満の者と性交等をした場合に成立しうる犯罪を取り上げてきました。
では、この2つの違いと注意すべき点はどういった部分になるのでしょうか。
次回の記事で詳しく触れていきます。
京都府の児童買春事件にお困りの際は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。
0120ー631ー881では、専門スタッフがご相談者様の状況に合わせた弊所弁護士によるサービスを24時間いつでもご案内中です。
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「淫行」をしたら何罪?
「淫行」をしたら何罪?
「淫行」をしたら何罪になるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市下京区に住むAさんは、SNSとメッセージアプリを通じて高校2年生のVさんと知り合いました。
Vさんと親しくなったAさんは、Vさんと食事をすることになりました。
京都市下京区の飲食店でVさんと食事をした後、AさんとVさんは近くのホテルへ向かい、そこで性交をしました。
その後、2人はそろってホテルを出たのですが、巡回中の京都府下京警察署の警察官から職務質問を受けたことで、Vさんが18歳未満であることと、Aさんと性交したことが発覚しました。
Aさんは児童買春の容疑で逮捕されてしまいましたが、Aさん自身としてはお金を払って性交したわけではないと容疑を否認しています。
そこでAさんは、家族が依頼して接見に訪れた弁護士に、自分の認識でも児童買春となってしまうのか相談しました。
(※この事例はフィクションです。)
・18際未満の者との性交で成立する犯罪
時折ニュースでも聞かれる「淫行」や「児童買春」が18歳未満の者との性交等によって成立する犯罪であるということは、ご存じの方も多いでしょう。
ぼんやりとでも「18歳未満の者と性交等をすれば犯罪になる」とだけ認識している方もいらっしゃるかもしれません。
その通り、18歳未満の者と性交等をすれば、その態様によって、いわゆる「淫行」や「児童買春」といった犯罪になりえます。
では、その「淫行」や「児童買春」はどういった犯罪で、それぞれの違いはどういったところにあるのでしょうか。
・「淫行」とは
報道などでもよく聞かれる「淫行」ですが、実は「淫行」という犯罪があるわけではありません。
「淫行」とは、各都道府県の青少年健全育成条例が禁止している、青少年=18歳未満の者との「みだらな行為」や「淫行」をしてしまったことによる青少年健全育成条例違反のことを指しています。
京都府の場合、「青少年の健全な育成に関する条例」という条例があり、その中で18歳未満である青少年との淫行を禁止している条文があります。
青少年の健全な育成に関する条例第21条第1項
何人も、青少年に対し、金品その他財産上の利益若しくは職務を供与し、若しくはそれらの供与を約束することにより、又は精神的、知的未熟若しくは情緒的不安定に乗じて、淫行又はわいせつ行為をしてはならない。
「淫行」の定義については、過去の判例で「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為」とされています(最判昭和60.10.23)。
この定義から、例えば結婚を前提とした真剣交際のような場合には、この「淫行」には当たらないと考えられています。
京都府の場合、18歳未満の者との淫行をして青少年健全育成条例違反となった場合、以下の刑罰に処せられます。
青少年の健全な育成に関する条例第31条第1項
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第1号 第21条の規定に違反した者
なお、京都府の場合、淫行に関して相手の年齢を知らなかったという場合でも、以下の規定があることに注意が必要です。
青少年の健全な育成に関する条例第31条第7項
第13条の2第4項、(略)、第21条、(略)の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項から第3項まで、第4項(第4号に係る部分に限る。)及び第5項(第2号、第5号、第6号及び第10号に係る部分を除く。)の処罰を免れることができない。
ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
すなわち、単に相手の年齢を知らなかった(相手が18歳未満だと思わなかった)と言っても、過失がない場合をのぞいて淫行となってしまうということなのです。
例えば、単に年齢を聞いていなくて18歳以上だと思い込んでいたというような場合には、年齢を確認していない過失があるとされ、淫行となってしまうと考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、淫行事件のご相談・ご依頼も多く承っています。
京都府の淫行事件にお困りの際は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。
次回の記事では18歳未満の者と性交等をした際に成立が考えられるもう1つの犯罪「児童買春」について詳しく取り上げます。
開店前の店での窃盗事件で逮捕
開店前の店での窃盗事件で逮捕
開店前の店での窃盗事件で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、自分の欲しい商品が人気商品であり、自分が店に行ったときには売切れになってしまっていることに不満を持っていました。
そこでAさんは、「開店前の店であれば在庫があるに違いない」と考えると、京都府八幡市にあるドラッグストアに開店時間前に忍び込み、目当ての商品を盗み出しました。
しかし、店を出るところで出勤してきた店員に見つかり、京都府八幡警察署に通報され、Aさんは建造物侵入罪と窃盗罪の容疑で逮捕されました。
(※この事例はフィクションです。)
・窃盗事件で逮捕
今回のAさんは、開店前の店に忍び込んで窃盗事件を起こし、京都府八幡警察署に逮捕されてしまっています。
当然、物を盗むことは刑法の窃盗罪に当たります。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
今回のAさんもドラッグストアの商品を盗み出していることから、窃盗罪が成立することには疑いがないでしょう。
しかし、今回のAさんの犯行態様を考えると、成立する犯罪は窃盗罪だけではない可能性が出てきます。
それが、今回のAさんのもう1つの逮捕容疑である建造物侵入罪です。
刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
Aさんは、欲しかった商品を盗むために開店時間前のドラッグストアに忍び込んでいます。
建造物侵入罪での「侵入」とは、その建造物の管理者の意思に反する立ち入りを指すと言われています。
つまり、ドラッグストアの管理者(例えば店長など)が許可しない立ち入りは建造物侵入罪の「侵入」となりうるのですが、ドラッグストアの開店時間前に店員でもない人が商品を盗むために店内に立ち入る行為は、この「侵入」となりうるでしょう。
・窃盗罪と建造物侵入罪の関係
ここまで見てきたように、Aさんには窃盗罪と建造物侵入罪が成立すると考えられます。
Aさんの窃盗事件では、この窃盗罪と建造物侵入罪の2つは、結果と手段の関係にあります。
すなわち、建造物侵入罪に当たる行為を手段として用いられ、窃盗罪に当たる行為が結果になるという関係です。
今回のAさんはドラッグストアに忍び込むことを手段として、商品を盗むという結果を起こしていることから、このような関係となります。
2つ以上の犯罪が成立するとき、このようにそれぞれの犯罪が手段と結果の関係になるものを「牽連犯」と言います。
刑法第54条第1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
条文でいうと、この刑法第54条第1項の後段部分が「牽連犯」にあたります。
「その最も重い刑により処断」されることになるため、窃盗罪と建造物侵入罪では、最も重い窃盗罪の「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という法定刑の中で刑罰の重さが決められることになります。
今回のAさんのような窃盗事件は、窃盗罪に加えて建造物侵入罪という犯罪が成立することもあり、単純な窃盗事件よりも重く処分されることが考えられます。
だからこそ、まずは刑事事件に強い弁護士に相談し、どのように釈放や刑罰の減軽を目指していくのか把握しながら対応していくことが重要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕されている方には初回接見サービスを、在宅捜査を受けている方には初回無料法律相談をご用意しています。
まずは弁護士の話を聞いてみたいという方もお気軽にご利用いただけます。
0120ー631ー881では、スタッフがサービスについていつでもご案内しています。
まずはお電話ください。
給付金詐欺事件・助成金詐欺事件で逮捕
給付金詐欺事件・助成金詐欺事件で逮捕
給付金詐欺事件・助成金詐欺事件で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市東山区に住んでいるVさんは、「給付金の申請代行のご案内」という葉書を受け取りました。
そこには、京都市東山区から頼まれて、政府からの給付金を受け取るための手続きを代行するサービスをしている業者であること、申請から給付金を受け取るまで全て任せられることといった内容が書いてありました。
Vさんはその葉書の内容をすっかり信じ込み、葉書に書いてあった電話番号に電話すると、やってきた代行業者を名乗るAさんに自身の口座情報とキャッシュカードを手渡しました。
しかし、Vさんの元にAさんが戻ってくることはなく、Vさんが京都府東山警察署に相談したことで、これが給付金詐欺であることが発覚。
捜査の結果、Aさんがこの給付金詐欺事件に関わっていることが判明し、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・給付金詐欺事件・助成金詐欺事件
今回のAさんが行った形態の詐欺行為は、給付金詐欺や助成金詐欺と呼ばれる種類のものです。
今回のAさんの事例のように、給付金や助成金の申請代行をすると偽ってキャッシュカード等を騙し取ったり、存在しない給付金自体を偽ってATMなどに誘導し、預金を犯人の口座へ振り込ませたりといった手口が考えられます。
こういった行為は、名前の通り詐欺罪に当たることになります。
刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪の「人を欺」く行為は、「欺もう行為」とも呼ばれます。
詐欺罪の「欺もう行為」は、簡単に言えば人を騙す行為であるのですが、「財物を交付」するかどうかの判断に際して重要な事項について人を騙す行為でなければいけません。
ですから、単純に嘘をついていたからといって必ずしも詐欺罪の「欺もう行為」に当てはまるわけではありません。
今回のAさんの給付金詐欺事件では、AさんはVさんに給付金の申請代行サービスであると偽ってキャッシュカードを引き渡させていますが、この代行サービスが嘘であれば、当然Vさんはキャッシュカードを引き渡すことはしなかったでしょう。
すなわち、Aさんは、財物(=キャッシュカード)を引き渡すに当たって重要な事項(=給付金代行サービス)を偽っていたと言えますから、Aさんは詐欺罪の「欺もう行為」をしてVさんを騙し、それによって財物を交付させていることから詐欺罪が成立すると考えられるのです。
・給付金詐欺事件・助成金詐欺事件で逮捕されたら
今回のような給付金詐欺事件や助成金詐欺事件は、複数人で構成されるグループによって犯行が行われていることも多いです。
当然、捜査機関としてもそうした場合を想定して捜査を行うでしょう。
共犯者がいる刑事事件の場合、口裏合わせなどによる逃亡・証拠隠滅のおそれがあることから、逮捕されて捜査が進められる可能性が高いです。
釈放を求めたい場合、捜査段階から迅速に活動することはもちろん、起訴後の保釈請求も粘り強く活動していくことが求められます。
また、給付金詐欺事件や助成金詐欺事件では、Vさんのような被害者が存在します。
被害者への謝罪・弁償の有無は釈放・保釈を求める上でも、裁判で量刑が決められる際にも重要な事情となります。
ですから、示談交渉についても並行して活動することが求められます。
こうした活動は、刑事事件に精通した弁護士に相談しながら活動してもらうことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士が給付金詐欺事件の逮捕にも迅速に対応しています。
京都府の刑事事件にお困りの際は、お気軽にご連絡ください。
放火罪と器物損壊罪
放火罪と器物損壊罪
放火罪と器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市中京区の会社に勤めるAさんは、同寮のVさんを恨んでいました。
ある日、AさんはどうしてもVさんへの恨みを抑えることができなくなり、会社の駐車場に停めてあったVさんの自動車のタイヤ付近に火をつけました。
しかし、火がつけられてすぐに駐車場を警備していた警備員が火に気付き消し止めたため、火は燃え上がることなく、Vさんの自動車のタイヤを焦がした程度でした。
その後、Vさんからの被害届を受けて捜査をしていた京都府中京警察署がAさんの犯行であることを突き止め、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
「Aさんが火をつけて逮捕された」と聞いたAさんの家族は、Aさんが容疑をかけられている罪名が放火罪ではなく器物損壊罪であることを不思議に思い、今後の手続きなども含めて弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・放火と器物損壊罪
前回の記事では、建造物等以外放火罪について取り上げました。
今回の記事では、建造物等以外放火罪に当てはまらなかった場合について、Aさんの事例と照らし合わせながら検討をしていきます。
前回の記事で触れた通り、建造物等以外放火罪の成立には、放火・焼損だけでなく、「公共の利益」の発生が求められます。
「公共の利益」は、「放火行為によって一般不特定の多数人をして、所定の目的物に延焼しその生命、身体、財産に対し危害を感じせしめるにつき相当の理由がある状態」を指すとされています(大判明治44.4.24)。
ですから、例えば周囲に延焼する危険性が一切ない広い空き地の中心で何かを燃やした、というような場合には、この「公共の危険」の発生がないと考えられ、建造物等以外放火罪は成立しないということも考えられるのです。
今回のAさんの事例を考えると、Aさんは駐車場でVさんの自動車に火をつけています。
火をつけた対象だけ考えれば、Aさんには建造物等以外放火罪が成立しそうですが、Aさんには建造物等以外放火罪の容疑はかかっていないようです。
事例からは明らかではありませんが、Aさんのつけた火が「焼損」の域まで達していなかった可能性や、Vさんの車周辺に他の車や建物がなく延焼の危険性がなかった=「公共の危険」が発生していると判断されなかった可能性が考えられます。
そうした事情があれば、Aさんには建造物等以外放火罪が成立しないということになりそうです。
そうした時に成立が考えられるのは、今回のAさんの逮捕容疑でもある器物損壊罪です。
刑法第261条(器物損壊等罪)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
器物損壊罪の「損壊」とは、その物の効用を失わせしめる行為を広く含んでいるとされています。
「焼損」や「公共の危険」の発生までいかずとも、火をつけていることから、その火をつけられたものは「損壊」されている可能性が高いでしょう。
今回のAさんの事例についても、Vさんの自動車のタイヤは焦げてしまっていますから、そのままでは使えない状態になってしまっていると考えられます。
ですから、Vさんの自動車は「損壊」されていると考えられ、Aさんには器物損壊罪が成立すると考えられるのです。
器物損壊罪の場合、放火罪とは異なり親告罪という犯罪になります。
親告罪は、被害者等の告訴権者の告訴がなければ起訴することのできない犯罪です。
つまり、示談締結によって告訴を提出しない旨や取り下げる旨を約束してもらえることができれば、不起訴処分の獲得が可能となるのです。
しかし、今回のように被疑者本人が逮捕されてしまっていれば、自分で被害者へ謝罪することはもちろんできません。
そうでなかったとしても、捜査機関としては被疑者と被害者が接触することをよしとしないことが多いです。
だからこそ、プロである弁護士に相談・依頼し、迅速に示談交渉を含めた活動を開始してもらうことが重要となるのです。
弁護士が介入したからといって必ずしも示談交渉の席についてもらえるというわけではありませんが、専門家であり弁護士という立場の第三者が間に入ることで、安心して話し合いができると示談交渉の機会を設けてくださる被害者も少なくありません。
まずは弁護士に相談してみることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、放火事件や器物損壊事件のような刑事事件・少年事件を専門に取り扱っています。
京都府の刑事事件・少年事件にお困りの際は、お気軽にご連絡ください。
放火罪の種類~建造物等以外放火罪
放火罪の種類~建造物等以外放火罪
放火罪の種類のうち、特に建造物等以外放火罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市中京区の会社に勤めるAさんは、同寮のVさんを恨んでいました。
ある日、AさんはどうしてもVさんへの恨みを抑えることができなくなり、会社の駐車場に停めてあったVさんの自動車のタイヤ付近に火をつけました。
しかし、火がつけられてすぐに駐車場を警備していた警備員が火に気付き消し止めたため、火は燃え上がることなく、Vさんの自動車のタイヤを焦がした程度でした。
その後、Vさんからの被害届を受けて捜査をしていた京都府中京警察署がAさんの犯行であることを突き止め、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
「Aさんが火をつけて逮捕された」と聞いたAさんの家族は、Aさんが容疑をかけられている罪名が放火罪ではなく器物損壊罪であることを不思議に思い、今後の手続きなども含めて弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・色々な「放火罪」~「建造物等以外」への放火
前回の記事では、「建造物等」への放火罪について取りあげましたが、今回の記事では「建造物等」以外への放火罪を紹介します。
「建造物等」以外=「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」以外のものに対しての放火罪は、刑法第110条に規定されている建造物等以外放火罪です。
刑法第110条(建造物等以外放火罪)
第1項 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
建造物等以外放火罪の対象となるのは、刑法第108条・第109条のいう「建造物等」=「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」以外のものですから、今回のAさんがターゲットとした自動車なども含まれます。
では、この建造物等以外放火罪が前回の記事で紹介した放火罪と異なる点は対象とするもの以外にあるのでしょうか。
建造物等以外放火罪も、現住建造物等放火罪や非現住建造物等放火罪と同様、火をつけるだけで成立するものではありません。
条文を見れば分かる通り、建造物等以外放火罪の成立にも、放火して「焼損」することが必要とされています。
この「焼損」の意味は、他の放火罪同様、火が媒介物を離れて目的物に移り、独立して燃焼作用を継続しうる状態に達した時点であるとされています(最判昭和23.11.2)。
しかし、建造物等以外放火罪の成立要件は、これだけではありません。
放火し、焼損したことに加え、それによって「公共の危険を生じさせた」必要があるのです。
これは現住建造物等放火罪や非現住建造物等放火罪にはない、建造物等以外放火罪独特の条件です。
「公共の危険」の発生とは、「放火行為によって一般不特定の多数人をして、所定の目的物に延焼しその生命、身体、財産に対し危害を感じせしめるにつき相当の理由がある状態」を指すとされています(大判明治44.4.24)。
つまり、たとえ「建造物等以外」のものに放火し、それが焼損したとしても、「公共の危険」が発生していないような場合には、建造物等以外放火罪は成立しないということになるのです。
では、建造物等以外放火罪が成立しないということになれば、何罪が成立することになるのでしょう。
次回の記事でAさんの事例と照らし合わせながら検討していきます。
刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、建造物等以外放火罪についてのご相談も安心してお任せいただけます。
「放火」という単語は知っていても、その種類や区別の仕方が分からず、どういった刑罰が見込まれるのか等悩まれる方も少なくないでしょう。
専門家の弁護士であれば、刑事事件の見通しや手続の注意点、適切な活動についてアドバイスをすることが可能です。
まずはご相談だけでも、お気軽にご利用ください。
放火罪の種類~2つの建造物等放火罪
放火罪の種類~2つの建造物等放火罪
放火罪の種類のうち、特に2つの建造物等放火罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市中京区の会社に勤めるAさんは、同寮のVさんを恨んでいました。
ある日、AさんはどうしてもVさんへの恨みを抑えることができなくなり、会社の駐車場に停めてあったVさんの自動車のタイヤ付近に火をつけました。
しかし、火がつけられてすぐに駐車場を警備していた警備員が火に気付き消し止めたため、火は燃え上がることなく、Vさんの自動車のタイヤを焦がした程度でした。
その後、Vさんからの被害届を受けて捜査をしていた京都府中京警察署がAさんの犯行であることを突き止め、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
「Aさんが火をつけて逮捕された」と聞いたAさんの家族は、Aさんが容疑をかけられている罪名が放火罪ではなく器物損壊罪であることを不思議に思い、今後の手続きなども含めて弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
多くの方のイメージでは、「火をつけたら放火罪が成立する」という印象が強いのではないでしょうか。
しかし、放火罪とひと口にいっても、実は放火罪の中にも種類がある上、さらにただ「火をつけた」ということだけで放火罪が成立するわけではありません。
今回から複数回に分けて、放火罪とAさんの逮捕容疑でもある器物損壊罪について見ていきます。
・色々な「放火罪」~「建造物等」への放火
刑法には、単純な「放火罪」という犯罪は存在しません。
放火され、焼損した対象がどういったものだったかによって、どういった「放火罪」となるのか種類が分かれるのです。
刑法に定められている放火罪は、現住建造物等放火罪・非現住建造物等放火罪・建造物等以外放火罪です。
刑法第108条(現住建造物等放火罪)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
刑法第109条(非現住建造物等放火罪)
第1項 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
第2項 前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。
ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
刑法第110条(建造物等以外放火罪)
第1項 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
刑法第108条・第109条に定められている放火罪は、どちらも「建造物等」に対して放火し、焼損した場合に成立する放火罪です。
この2つの放火罪は、放火・焼損した「建造物等」に放火時に人がいたか若しくは住居として使用されていた場合(=現住建造物等放火罪)か、放火・焼損した「建造物等」に放火時に人がいない上に住居としても使用されていなかった場合(=非現住建造物等放火罪)かで分かれます。
例えば、マンションに放火し焼損した場合、マンションは人の住居として使用されている建造物ですから、現住建造物等放火罪となります。
一方、閉店後で誰もいない飲食店に放火し焼損した場合、飲食店は住居として使用されていない上に誰もいない状態であることから、非現住建造物等放火罪の成立が考えられるということになります。
そして、この「建造物等」への放火罪は、どちらも建造物等に火をつけるだけで成立するものではありません。
これらの放火罪が成立するには、放火して「焼損」することが必要とされています。
「焼損」とは、火が媒介物を離れて目的物に移り、独立して燃焼作用を継続しうる状態に達した時点であるとされています(最判昭和23.11.2)。
つまり、家を燃やそうとして火をつけたとしても、火が家に燃え移って独立して燃え続ける程度にならなければ放火罪の成立には満たないということになるのです(その場合、放火未遂罪の成立や、態様によっては別罪の成立も考えられます。)。
「建造物等」への放火罪は、放火罪の中でも重い刑罰が定められており、特に現住建造物等放火罪は死刑も含まれている重大犯罪です。
だからこそ、もしも自身や家族が当事者となってしまったら、刑事事件に強い弁護士のサポートを受けることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士が、重大犯罪の弁護活動についてのご相談・ご依頼も承っています。
まずはお気軽にご相談ください。
次回の記事では、建造物等以外放火罪について取りあげます。
18歳以上だと思っていても青少年健全育成条例違反?
18歳以上だと思っていても青少年健全育成条例違反?
18歳以上だと思っていても青少年健全育成条例違反になるのかということについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは,京都府南丹市のホテルで,SNSで知り合ったVさんと性交しました。
Aさんは,SNSのVさんのプロフィールに18歳以上であると記載されていたため,Vさんは18歳以上だと思っていました。
しかし,実際は,Vさんは16歳の高校生でした。
その後,AさんとVさんの関係を知ったVさんの母が京都府南丹警察署へ通報し,Aさんは,青少年健全育成条例違反の容疑で京都府南丹警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんは,家族の依頼で接見に来た弁護士に,自分は18歳未満だと分かっていたわけではないこと,そうした状況でも青少年保護育成条例違反になるのかということを相談することにしました。
(フィクションです。)
~青少年保護育成条例違反~
18歳未満の者に対し,みだらな行為等をすると,各都道府県で定められている青少年健全育成条例違反(青少年保護育成条例違反)となる可能性があります。
よく報道で見られる「淫行」は,この青少年健全育成条例違反のことを指しています。
青少年健全育成条例の条文中で「(18歳未満の青少年と)淫らな行為」や「淫行」をすることを禁止していることから,「淫行」と言われているのです。
京都府にも青少年健全育成条例があり,正式名称は「青少年の健全な育成に関する条例」(以下、「京都府青少年健全育成条例」)と言います。
この条例により,京都府では18歳未満の青少年と淫らな行為,例えば性交や性交類似行為をすることは禁止されており(京都府青少年健全育成条例21条1項),18歳未満と淫行した場合には,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられます(京都府青少年健全育成条例31条1項1号)。
京都府青少年健全育成条例21条1項
何人も,青少年に対し,金品その他財産上の利益若しくは職務を供与し,若しくはそれらの供与を約束することにより,又は精神的,知的未熟若しくは情緒的不安定に乗じて,淫行又はわいせつ行為をしてはならない。
京都府青少年健全育成条例31条1項
次の各号のいずれかに該当する者は,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
1号 第21条の規定に違反した者
~18歳未満と知らなくても青少年健全育成条例違反?~
犯罪が成立するためには,故意=犯罪に当たる行為の認識が必要です。
つまり,今回のような淫行による青少年健全育成条例違反が成立するには,「18歳未満と淫行をする」という認識がなければならないことになります。
しかし,今回のAさんは,Vさんが18歳未満であることを知りませんでした。
ですから,AさんにはVさんが18歳未満であるという認識=淫行による青少年健全育成条例違反の故意がなく,たとえAさんがVさんにした行為が青少年健全育成条例違反「淫行」に当たるとしても,犯罪は成立しないように思えます。
ですが,京都府青少年健全育成条例を確認すると,次のような条文があります。
京都府青少年健全育成条例31条7項
第13条の2第4項,…,第21条,…の規定に違反した者は,当該青少年の年齢を知らないことを理由として,第1項から第3項まで,第4項(第4号に係る部分に限る。)及び第5項(第2号,第5号,第6号及び第10号に係る部分を除く。)の処罰を免れることができない。
ただし,当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは,この限りでない。
つまり,京都府青少年健全育成条例の場合,相手が18歳未満であることを知らなかったとしても,必ずしも故意がなく京都府青少年健全育成条例違反にならないというわけではないということなのです。
「相手の年齢を知らなかった」と言えば処罰を受けずに済むというわけではないことに注意が必要です。
一方,但し書きにあるように,相手が18歳未満であることを知らなかったことに対し過失がない場合には処罰されずに済む可能性が出てきます。
過失があるかないかは,相手の見た目や相手とのやり取り等も含めて事件ごとに判断されることになりますから,弁護士に詳しい事情を伝えて見通しを立ててもらうことをおすすめします。
青少年健全育成条例違反の容疑を認めるにせよ否認するにせよ,取調べへの対応や,逮捕されている場合の身柄解放活動等の弁護活動は大切になってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では,青少年健全育成条例違反事件のご相談・ご依頼も多くいただいています。
まずはお気軽にフリーダイヤルよりお問い合わせください(0120-631-881)。
侵入盗事件で逮捕されたら
侵入盗事件で逮捕されたら
侵入盗事件で逮捕されたケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市北区に住むAさんは,ある日,近所に住んでいるVさんが,「今自宅には200万円の現金が保管してある」と話していたのを聞き,Vさん宅からその200万円を盗み出すことを思いつきました。
AさんはVさんが出かけた時間を狙ってVさん宅に侵入し,部屋内から金庫の合い鍵を見つけ金庫の鍵を開けて現金200万円を盗みました。
帰宅したVさんが金庫が開いていることに気づき,200万円の盗難が発覚。
Vさんの通報により,京都府北警察署が捜査を開始しました。
捜査の結果,防犯カメラの映像からAさんの犯行であると発覚し,Aさんは,住居侵入罪と窃盗罪の容疑で京都市北区を管轄する京都府北警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)
~侵入盗事件~
他人の財物を盗んだ(窃取した)者には,窃盗罪(刑法235条)が成立します。
窃盗罪で有罪となれば,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられます。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪は,他人の財物を窃取した場合に成立します。
「窃取」とは,その物の持ち主の意思に反して財物の占有を移転し,それを取得することをいいます。
窃盗罪の典型例である万引きや,侵入盗・空き巣の手口を考えれば,持ち主の意思に反して勝手にその物を自分の物としてしまっていることがわかると思います。
もちろん,今回のAさんの行為も窃盗罪に当たると考えられます。
さて,この窃盗罪は様々な手口によって犯行が行われていますが,今回のAさんの手口は,人の家や建物に侵入して物を盗む,いわゆる侵入盗という分類にあたるでしょう。
侵入盗としては,空き巣や忍び込み,金庫破り,事務所荒らしや出店荒らしなどが挙げられます。
今回のAさんはVさんの留守中を狙って忍び込んで窃盗行為をしていることから,侵入盗のうち空き巣にあたるでしょう。
なお,窃盗事件の中には侵入盗とは反対に,家等に侵入せずに盗みをはたらく非侵入盗と呼ばれる分類もあります。
非侵入盗の手口としては,万引きやすりといった手口が挙げられます。
侵入盗事件の場合,窃盗行為をするためにどこかに侵入しているわけですから,窃盗罪だけでなく住居侵入罪や建造物侵入罪(刑法130条)にも問われることになります。
刑法130条
正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
例えば今回のAさんは,窃盗行為をする目的で勝手にVさん宅に侵入しています。
窃盗行為をする目的で立ち入っていることから,もちろん「正当な理由」とは言えませんし,家主であるVさんもこの立ち入りには同意しないでしょうから,Aさんには窃盗罪に加えて住居侵入罪も成立することになるでしょう。
Aさんのような侵入盗事件では,窃盗罪に当たる行為と住居侵入罪に当たる行為は,手段と目的の関係に立ちます(窃盗罪という目的のために住居侵入罪という手段を使ったということです。)。
そのため,牽連犯という考えが用いられ,重い窃盗罪の刑で処断されることになります(刑法54条1項前段)。
刑法54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ,又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは,その最も重い刑により処断する。
~侵入盗事件と弁護活動~
侵入盗事件を起こしたことに争いがない場合,弁護士を通じて早期に被害者の方に対する被害弁償や示談交渉を進めることが重要です。
侵入盗事件の被害届が提出される前であれば,示談締結により警察の介入を回避し,逮捕されたりすることなく,刑事事件化を阻止できる可能性もあります。
また,警察が介入して刑事事件化し,逮捕されてしまったような場合でも,示談締結ができれば早期釈放や不起訴処分など早期の職場復帰や社会復帰を実現できる可能性が高くなります。
なお,刑事事件化し,裁判が始まった後の示談であっても,示談締結の事実により執行猶予付き判決や減刑など効果が期待できます。
侵入盗事件では,窃盗罪だけでなく住居侵入罪も成立することから,犯行が悪質であると判断されやすく,厳しい処分がくだされることも考えられます。
なるべく早く弁護士に相談し,示談交渉等の活動に取り掛かってもらうのが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では,侵入盗事件の逮捕にお悩みの方のご相談も受け付けています。
まずはお気軽に,弊所弁護士までご相談ください。