痴漢事件で自首したい

2020-09-17

痴漢事件で自首したい

痴漢事件自首したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府綾部市に住んでいるAさんは、会社からの帰宅途中、好みの女性Vさんが路上を歩いていることに気が付きました。
数日過ごすうち、AさんはVさんと帰路が重なり、毎日帰宅の時間にVさんも同じ道を通ることに気が付きました。
AさんはVさんへの好意を抱くようになり、ついにある日、Vさんに後ろから抱きついて身体を触ってしまいました。
Vさんが叫び声をあげたことで我に返ったAさんはその場から逃走しましたが、その日のうちに京都府綾部警察署の出している不審者情報に自分のことが載っていることに気が付きました。
Aさんは、とんでもないことをしてしまったのだと自首を検討していますが、どのようにすべきなのか分かりません。
そこでAさんは、京都府刑事事件を取り扱っている弁護士自首の対応を含めて自身の起こしてしまった痴漢事件について相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・痴漢は何罪?

痴漢という単語は報道などでもよく使われていますが、日本では「痴漢罪」という犯罪があるわけではありません。
その痴漢行為の態様が個々に定められているどの法律に違反するのかによって、成立する犯罪が異なるのです。

多くの痴漢事件で問題となるのは、各都道府県ごとに定められている迷惑防止条例です。
特に電車内や公共の施設での痴漢事件では、この迷惑防止条例違反が成立することが多く見られます。
京都府では、「京都府迷惑行為等防止条例」という迷惑防止条例が定められており、この中で公共の場所や公共の乗物での痴漢行為が規制されています。
痴漢行為をしたことによる京都府迷惑防止条例違反となった場合、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられることになります(京都府迷惑防止条例第10条第1項)。

しかし、特に今回のAさんのように、被害者に抱きついてその抵抗を封じて痴漢行為をしたような場合には、迷惑防止条例違反ではなく、刑法に定められている強制わいせつ罪が成立する可能性も出てきます。

刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪は、簡単に言えば、「暴行又は脅迫」で相手の抵抗を抑え、それによってわいせつ行為をすることで成立します(被害者が13歳未満の場合はわいせつな行為をしただけで成立します。)。
痴漢」という言葉と強制わいせつ罪が結びつかないという方もいらっしゃるかもしれませんが、「暴行」と「わいせつな行為」が1つの行為であっても強制わいせつ罪が成立することもあり、今回のAさんのように抱きつくなどする痴漢行為をした場合には、強制わいせつ罪の成立も十分考えられます。
また、エレベーターなどの狭く逃げることの困難な空間で痴漢行為をした場合など、痴漢事件の起きた状況によっても強制わいせつ罪が成立する可能性が出てきます。

その痴漢事件で成立する犯罪が迷惑防止条例違反なのか強制わいせつ罪なのかによって、受ける可能性のある刑罰の重さも大きく異なるため、痴漢事件を起こしてしまった場合は弁護士に相談してみることをおすすめいたします。

・自首を検討している時の注意点

一般のイメージでは、自分から警察署などに行けば「自首」であるというイメージが強いかもしれません。
ですが、法律上の「自首」は、自分から警察署などに行くだけでは成立しません。

刑法第42条第1項
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

この条文の「捜査機関に発覚する前に」という部分が重要なポイントです。
つまり、今回のAさんの事例であれば、痴漢事件を起こしたのがAさんであるということがすでに捜査機関に把握されている場合や、Aさんが痴漢事件の捜査線上に浮上しているような場合には、「捜査機関に発覚する前」とは言えないため、法律上の「自首」とはならないのです。
今回のAさんは、すでに京都府綾部警察署の不審者情報で起こした痴漢事件の情報が発信されていることから、痴漢事件の存在自体は捜査機関も把握しているものと考えられます。
捜査が進められ、防犯カメラの映像などからAさんが痴漢事件の被疑者として捜査線上に浮上している可能性もありますから、Aさんが出頭したとしても、法律上の自首が成立しない可能性は考えられます。

とはいえ、自ら警察署等に出頭するという行為は、反省を示したり逃亡や証拠隠滅のおそれのないことを示したりすることのできる行為です。
自首が成立しうるのかどうか、成立しないとして自ら出頭するメリット・デメリットはどういったものなのか、弁護士に相談してから方針を決めることがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士が初回無料法律相談を受け付けています。
痴漢事件を起こしてしまってお困りの方、自首を検討してお悩みの方は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。