転売による生活安定緊急措置法違反事件

2020-08-27

転売による生活安定緊急措置法違反事件

転売による生活安定緊急措置法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市山科区に住んでいるAさんは、通販サイトを運営しています。
Aさんは、会社Xが販売している定価1,500円程度のエタノール入りのハンドソープをドラックストア等で購入すると、それを自身の運営する通販サイトで2倍以上の値段をつけて転売しました。
するとある日、京都府山科警察署の警察官がAさんの自宅を訪れ、Aさんは生活安定緊急措置法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんが逮捕された旨を京都府山科警察署の警察官から聞きましたが、聞きなれない犯罪名に不安を感じ、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(※令和2年8月25日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・転売で生活安定緊急措置法違反

生活安定緊急措置法は、正式名称を「国民生活安定緊急措置法」といいます。
生活安定緊急措置法は、第一次オイルショックの際のトイレットペーパーの買い占め騒動をきっかけに定められた法律で、「物価の高騰その他の我が国経済の異常な事態に対処するため」に「国民生活との関連性が高い物資及び国民経済上重要な物資の価格及び需給の調整等」の緊急措置を定める法律です(生活安定緊急措置法第1条)。

生活安定緊急措置法では、「国民生活との関連性が高い物資及び国民経済上重要な物資」を「生活関連物資等」と定めることができ、さらにこの「生活物資等」について、その譲渡等に制限を求めることもできます。

生活緊急安定措置法26条1項
物価が著しく高騰し又は高騰するおそれがある場合において、生活関連物資等の供給が著しく不足し、かつ、その需給の均衡を回復することが相当の期間極めて困難であることにより、国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営に重大な支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められるときは、別に法律の定めがある場合を除き、当該生活関連物資等を政令で指定し、政令で、当該生活関連物資等の割当て若しくは配給又は当該生活関連物資等の使用若しくは譲渡若しくは譲受の制限若しくは禁止に関し必要な事項を定めることができる。

生活緊急安定措置法37条
第26条第1項の規定に基づく政令には、その政令若しくはこれに基づく命令の規定又はこれらに基づく処分に違反した者を5年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する旨の規定及び法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して当該違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する旨の規定を設けることができる。

今年3月にはこの「生活関連物資等」に「衛生マスク」が(生活安定緊急措置法施行令第1条第1号)、今年5月には「消毒等用アルコール(中略)であって、消毒(中略)に使用されることが目的とされているもの(略)」が(生活安定緊急措置法施行令第1条第2号)指定されました。
そして、生活緊急安定措置法施行令では、この「生活関連物資等」の転売についても定められています。

生活緊急安定措置法施行令第2条
前条各号に掲げる生活関連物資等(以下この条において「特定生活関連物資等」という。)を不特定の相手方に対し売り渡す者から特定生活関連物資等の購入をした者は、当該購入をした特定生活関連物資等の譲渡(不特定又は多数の者に対し、当該特定生活関連物資等の売買契約の締結の申込み又は誘引をして行うものであつて、当該特定生活関連物資等の購入価格を超える価格によるものに限る。)をしてはならない。

生活緊急安定措置法施行令第7条
第1項 第2条の規定に違反した場合には、当該違反行為をした者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第2項 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の罰金刑を科する。

すなわち、「生活関連物資等」について、不特定の相手に販売している店や個人、業者等(例:スーパーやドラッグストアなど)から購入した物を、購入価格よりも高い価格で不特定多数の者に転売する行為が生活安定緊急措置法違反となるのです。

法律は時代の流れ等によっても変わっていき、家族等が耳慣れない犯罪の当事者になってしまうことがあります。
聞きなれない犯罪の容疑で逮捕されてしまえば、当事者も周囲の方も混乱してしまうでしょう。
だからこそ、転売による生活安定緊急措置法違反事件逮捕されたら刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
刑事事件に強い弁護士がご相談者様の不安解消のためにサポートいたします。