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試着したまま逃げたら窃盗罪?詐欺罪?①
試着したまま逃げたら窃盗罪?詐欺罪?①
Aさんは、京都府木津川市の宝飾店を訪れた際、そこで販売されている指輪を試着することができるということを知りました。
そこでAさんは、指輪を試着したまま店から出て、指輪を自分の物にしてしまうことを思いつきました。
Aさんは、宝飾店の店員に100万円する指輪を試着したい旨を伝え、指輪を試着した上で、電話がかかってきたフリをして、「少し離れます、すぐ戻ります」と言って店員から距離を取りました。
そしてAさんは店員が離れていることをいいことに、指輪をつけたまま店外へ逃走しました。
店員がすぐに京都府木津警察署に通報したことから、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されることとなりました。
(※平成31年4月1日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
今回の事例のAさんは、指輪を試着したまま逃走して宝飾店から指輪を奪っています。
Aさんには何らかの犯罪が成立するだろうということは明らかですが、いったいどういった犯罪が成立するのでしょうか。
Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されているものの、ここで、Aさんは試着中に電話がかかってきたフリをして店員から逃げていることから、「嘘を言って持ち逃げをしていることになるのだから詐欺罪になるのではないか」と考える方もいるかもしれません。
窃盗罪も詐欺罪も、いわゆる財産犯と呼ばれる財産に対する犯罪ですが、窃盗罪と詐欺罪はどういったことが異なり、Aさんに成立すると考えられる犯罪はどちらなのでしょうか。
窃盗罪と詐欺罪、それぞれを細かく確認しながら検討していきます。
・窃盗罪はどんな犯罪?
まずは窃盗罪がどういった場合に成立する犯罪なのか確認してみましょう。
刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪は、①「他人の財物を」、②不法領得の意思をもって、③「窃取」することによって成立します。
このうち、①③は条文に書いてある条件となっていますが、②はそれらに加えて必要な意思であると言われています。
①「他人の財物を」
窃盗罪のいう「他人の財物」とは、他人が事実上支配したり、管理したりしている財物のことを指します。
この事実上の支配のことを、法律用語で「占有」と言います。
つまり、他人が占有している財物が窃盗罪の対象となっているのです。
②不法領得の意思をもって
不法領得の意思とは、一般には、他人を排除して自分がその物の所有者であるようにふるまい、その物の経済的な用法に従ってその物を利用・処分する意思のことを指します。
例えば、お金を盗んで使おうという場合には、盗んだお金について自分の所有しているお金と同様に、お金を利用しようという意思があると言えますので、不法領得の意思があると言えます。
③「窃取」する
窃盗罪の「窃取」とは、その物を占有している人の意思に反してその占有を排除し、その物を自分の占有下に置くことを指します。
この①②③を窃盗をするという認識を持ちながら行った場合に、窃盗罪が成立するのです。
つまり、窃盗罪は対象物を利用したりする目的で、対象物を事実上支配している人の意思に反して対象物を自分の支配下に置いてしまう犯罪といえます。
万引きなどでも取り上げられることも多く、刑事事件の中でも多くを占める窃盗罪ですが、詳しく見ていくと成立にはこのような細かい条件が必要とされていることが分かります。
さらに細かい条件や、特定の状況で考えなければならない事項も存在することから、よく聞く犯罪だからと油断することなく、窃盗罪の容疑をかけられたらますは弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に取り扱っている弁護士が初回無料法律相談や初回接見サービスを通して、窃盗事件にお悩みの方のサポートを行っています。
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専門スタッフがご相談者様に応じたサービスをご案内いたします。
次回の記事では詐欺罪について取り上げます。
選挙ポスターを破って器物損壊罪・公職選挙法違反②
選挙ポスターを破って器物損壊罪・公職選挙法違反②
~前回からの流れ~
京都市山科区に住んでいるAさんは、京都市の市議会選挙に出ている候補者のうち、Vさんのことを嫌悪していました。
そして選挙期間中、Aさんの通勤途中の道路脇に、いくつか選挙ポスターを貼っている看板があることに気が付きました。
Aさんは、Vさんの選挙ポスターを目にするのが嫌になり、通勤途中に貼ってあったVさんの選挙ポスターを合計5枚破り捨てました。
後日、Vさんが選挙ポスターが破り捨てられていることに気づき、京都府山科警察署に被害を届け出たことから捜査が始まり、Aさんは公職選挙法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
Aさんは、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に、器物損壊罪と公職選挙法違反では何が異なってくるのか、これからどのような活動が考えられるのかを聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・器物損壊罪と公職選挙法違反の違い
前回の記事では、Aさんの行為は器物損壊罪にも当たるものの、公職選挙法が「特別法」(=特別な人や物、地域、期間に適用される法律)であるために、今回のAさんには自由妨害による公職選挙法違反が成立しうるということに触れました。
では、器物損壊罪ではなく自由妨害による公職選挙法違反が成立することによって、何が異なってくるのでしょうか。
①法定刑が異なる
まずは器物損壊罪と自由妨害による公職選挙法違反、2つの犯罪の条文を見てみましょう。
刑法261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
公職選挙法225条1項
選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
2号 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもって選挙の自由を妨害したとき。
この2つの条文を見比べていただくとお分かりいただけるように、器物損壊罪と自由妨害による公職選挙法違反では、規定されている法定刑、つまりはどの程度の刑罰を受けるのかという範囲が異なります。
器物損壊罪で有罪となった場合に受ける可能性のある刑罰が「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」であるのに対し、自由妨害による公職選挙法違反で有罪となった場合に受ける可能性のある刑罰は「4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」となっています。
つまり、器物損壊罪となるよりも、自由妨害による公職選挙法違反となった方が重く処罰されるということになります。
②親告罪かどうかが異なる
器物損壊罪は、刑法264条に規定されている通り、親告罪です。
刑法264条(親告罪)
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
※注:器物損壊罪は刑法261条。
親告罪とは、被害者等による告訴(被害申告+処罰を希望する申し出)がなければ起訴できない犯罪のことをいいます。
つまり、器物損壊罪は、被害者等による告訴なしには起訴できない=裁判とすることができない犯罪ですので、被害者の方と示談を締結するなどして、告訴を出さないようにしてもらったり告訴を取り下げてもらったりすれば、不起訴となり事件を終息させることができます。
対して、公職選挙法違反は親告罪ではありません(非親告罪)。
すなわち、示談をして告訴をしないようにしてもらえば即終了、とはいかないのです。
しかし、実際に損害を被った選挙ポスターの持ち主等に謝罪し被害弁償をする等の活動は全く無駄になるわけではありません。
起訴・不起訴の判断の際や、量刑を決める際に有利な事情として考慮されることとなるでしょう。
このように、器物損壊罪と比べて公職選挙法違反は様々な面で厳しく判断される可能性があります。
だからこそ、刑事事件のプロである弁護士の力がより必要となってくるともいえるでしょう。
また、器物損壊罪と公職選挙法違反、どちらが成立するのか、詳しくどういった違いが出てくるのかといったことは、それぞれの事案に即して専門知識を照らし合わせて判断しなければなりません。
そうしたお悩みの解決のためにも、弁護士に相談・依頼されることをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、0120-631-881で初回接見サービスや初回無料法律相談のご予約を24時間いつでも受け付けています。
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(京都府山科警察署までの初回接見費用:3万6,900円)
選挙ポスターを破って器物損壊罪・公職選挙法違反①
選挙ポスターを破って器物損壊罪・公職選挙法違反①
京都市山科区に住んでいるAさんは、京都市の市議会選挙に出ている候補者のうち、Vさんのことを嫌悪していました。
そして選挙期間中、Aさんの通勤途中の道路脇に、いくつか選挙ポスターを貼っている看板があることに気が付きました。
Aさんは、Vさんの選挙ポスターを目にするのが嫌になり、通勤途中に貼ってあったVさんの選挙ポスターを合計5枚破り捨てました。
後日、Vさんが選挙ポスターが破り捨てられていることに気づき、京都府山科警察署に被害を届け出たことから捜査が開始され、防犯カメラの映像などによりAさんの犯行が発覚、Aさんは公職選挙法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)
・選挙ポスターと器物損壊罪
上記事例のAさんは、選挙ポスターを破り捨てたことで逮捕されていますが、ここで逮捕容疑が公職選挙法違反であることに疑問を持たれる方がいらっしゃるかもしれません。
物を壊す事件といえば、刑法上の器物損壊罪が適用されるイメージが強いかもしれません。
刑法261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
貼ってある選挙ポスターは「他人の物」ですし、それを破り捨てることは物の効用を害することになりますので「損壊」にも当たることになるでしょう。
こうしたことからも、選挙ポスターを破り捨てることは器物損壊罪になり、その罪によって逮捕されたり捜査されたりするのではないでしょうか。
もちろん、器物損壊罪に該当することに間違いはないのですが、実は公職選挙法という法律で、こうした選挙に関わる妨害行為について規定があるのです。
・選挙ポスターと公職選挙法違反
公職選挙法は、簡単に言えば選挙制度の確立やその選挙の自由・公正を守るための法律です。
そして公職選挙法の中には、以下のような条文があります。
公職選挙法225条1項
選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
2号 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもって選挙の自由を妨害したとき。
このうち「文書図画」には、社会一般で用いられる「文書図画」よりも非常に広い範囲のものが含まれるとされています。
公職選挙法の「文書図画」の例としては、書籍や新聞、挨拶状、ポスター、看板、プラカードなどが挙げられます。
そして「毀棄」とは、物を壊したり捨てたりすることでその物の効用を害することです。
ですから、選挙期間中に選挙ポスターを破り捨てるということは公職選挙法の「文書図画を毀棄し」ていることに当てはまります。
そしてこうした方法によって選挙の自由を妨害したと認められれば、いわゆる「自由妨害」をしたとして、公職選挙法違反となるのです(この公職選挙法違反を「自由妨害罪」と呼ぶこともあります。)。
今回のような選挙ポスターを複数枚破り捨てるという行為は、選挙運動の自由を害すことに繋がると考えられますから、公職選挙法違反となりうるのです。
そして、刑法と公職選挙法を考えた時、公職選挙法は選挙の時に関しての法律であり、いわゆる「特別法」の位置に当たることから、公職選挙法違反が成立するような場合にはこちらが優先して成立する、ということになるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、選挙ポスターに関連した刑事事件のご相談も安心してお任せいただけます。
刑事事件専門の弁護士が、在宅捜査されている方向けの初回無料法律相談から、逮捕・勾留されている方向けの初回接見サービスまで幅広く対応しています。
まずは遠慮なく、0120-631-881までご連絡ください。
次回の記事では、器物損壊罪と自由妨害による公職選挙法違反の2つの違いを詳しく取り上げます。
滋賀県高島市の車両保険詐欺事件
滋賀県高島市の車両保険詐欺事件
滋賀県高島市に住んでいるAさんは、自分の所有している自動車が高級車であることから、近所に支店がある保険会社Vの車両保険に入っていました。
ある日Aさんは、わざと自分で車を傷つけ、修理費を水増しすることで多く保険金をもらって得をすることを思いつきました。
そこで、知り合いの修理業者Bさんにこの話をもちかけ、協力して保険金を多くもらえるように計画を立てました。
そしてAさんは、わざと自損事故を起こし、その後Bさんのところに車を修理に持ち込み、Bさんは実際にかかった修理費用よりも100万円以上多い金額を請求書に記載しました。
Aさんはこの請求書を保険会社Vに提出し、保険金を請求し、保険会社VからAさんに保険金が支払われることになりました。
しかし、それに味を占めたAさんとBさんが、数か月後に再度同じ手口で保険会社Vに保険金を請求したところ、保険会社Vが不審に思い、滋賀県高島警察署に相談しました。
そこから捜査が開始され、AさんとBさんは詐欺罪と詐欺未遂罪の容疑で逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・車両保険詐欺
上記事例のAさんは、車両保険を利用した保険金詐欺事件を起こしています。
保険金詐欺と聞くと、自分の怪我の治療費を水増しして請求する手口のものが思い浮かばれやすいかもしれませんが、Aさんのように車両保険を悪用した保険金詐欺事件も多く起こっています。
車両保険は、自分の持っている自動車が傷ついてしまった時のための保険です。
保険会社や保険の種類によっても異なりますが、自損事故による自動車の破損に対しても保険金の支払われる車両保険もあります。
今回のAさんは、そうした車両保険を悪用して保険金を得ています。
さて、今回Aさん・Bさんが問われている詐欺罪は、刑法246条に規定されています。
刑法246条1項(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
簡単に言えば、詐欺罪は人を騙して(「欺いて」)金品等の財物を渡させることによって成立する犯罪です。
詐欺罪の成立は、人を騙すという行為をし、それによって騙された相手が金品等財物を渡す、という流れをたどります。
この「欺」く部分、つまり相手を騙す部分については、その財物を渡させるかどうかを相手が判断する際に重要な部分であることが求められます。
つまり、「この部分が嘘であるならば金品を渡さなかった」という部分が偽られているのであれば、詐欺罪のいう「人を欺」く行為であると言えるのです。
今回のAさんの件を考えてみましょう。
今回のAさんは、保険金を多くもらうためにわざと自損事故を起こしています。
本来、車両保険は自分の車が傷ついてしまった時のために使われるものですから、保険金目当てに故意に起こした事故の損害を支払うことは想定されていません。
さらに、修理費用についても、通常保険会社は実際にかかった修理費用を支払うはずですから、水増しされた分の修理費用を支払うことも考えられていないと思われます。
ですから、もし保険会社Vが最初からAさんの起こした事故が保険金目的のわざと起こした事故であり、さらにその修理費も水増しされたものであると分かっていれば、Aさんに保険金を支払うことはなかったと考えられます。
こうした事情から、Aさんは保険会社Vを「欺い」たと考えられます。
そして、今回保険会社VはAさん・Bさんの嘘を信じて保険金を交付していることから、Aさん・Bさんには詐欺罪が成立すると考えられるのです。
保険金詐欺事件では、事案によっては被害額が高額となる場合もあります。
詐欺事件では、被害額が高額になれば、起訴され刑事裁判となる可能性も上がります。
先ほど掲載した条文を見ていただければ分かる通り、詐欺罪には罰金刑の規定がなく、起訴されるということは法廷に立って刑事裁判を受けるということに直結します。
起訴されないように動くにしても、起訴されたとして刑事裁判をスムーズに進めるにしても、専門家のフルサポートが求められます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件も含む刑事事件を専門に取り扱っています。
警察での捜査段階から、刑事裁判が終わるまで、刑事事件に強い弁護士が一貫して丁寧に対応を行います。
滋賀県の保険金詐欺事件、車両保険に絡んだ詐欺事件にお困りの際は、まずは弊所弁護士にご相談下さい。
~お問い合わせは0120-631-881まで~
京都府亀岡市の児童虐待事件で傷害罪の幇助犯
京都府亀岡市の児童虐待事件で傷害罪の幇助犯
(京都府亀岡警察署に逮捕された方からのご相談)
京都府亀岡市に住む私には幼稚園に通う5歳の子どもVがおります。
私は現在ある男性Aと交際中でして、私とVとAの3人で同棲中です。
Aは酒癖が悪く、酔った時にはVに対し殴打を加えるなどして、怪我を負わせることが多々ありました。
Aは私に対して暴力を振るうことはありませんでしたが、Vへの暴力に対して私が注意や制止をすればAを怒らせ、かえって事態を悪化させてしまってしまうのではないかと考え、AがVに暴力をふるうのを見て見ぬふりをしていました。
ある日、Vの怪我を見て不審に思った幼稚園の先生が児童相談所に通報し、児童相談所職員が家を訪ねてきました。
Vの状態を見た職員が京都府亀岡警察署に通報したため、Aと私は傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
私は直接Vへ暴力を振るったわけではないのですが、それでも犯罪となってしまうのでしょうか。
(フィクションです)
~傷害罪(刑法204条)~
傷害罪は人の身体を傷害した(怪我を負わせた、身体的・精神的疾患等を生じさせた等)ときに成立する犯罪です。
相手に怪我をさせようと思って暴行をして相手が怪我を負ってしまったときはもとより、相手に怪我を負わせようと思っていなくとも、人に暴行を加えた結果その人が怪我を負ってしまったときも同様に傷害罪が成立します(暴行の結果的加重犯としての傷害罪)。
児童虐待といっても精神的虐待や性的虐待など、様々な種類に分けられますが、Aが行っていたような暴力をふるう児童虐待では、暴行罪や傷害罪が問題となることが多いです。
~なにもしていなくても罪に?~
犯罪は、犯罪となる行為を実行した者(正犯)に成立するのが原則ですが、「共犯」として、二人以上で共同して犯罪となる行為を実行する(共同正犯)、人をそそのかして人に犯罪をする意思を生じさせる(教唆)、人に物的あるいは精神的な助けを与え犯罪となる行為を促進する(幇助)ことによっても成立します(刑法60条~62条参照)。
「共同正犯」は、犯罪となる行為を分担して行ったときに成立しますが、共謀に基づいて犯罪が実行された場合には、行為そのものに加担していない人についても、共謀に参加したということをもって「共同正犯」とされる場合があります(共謀共同正犯)
また、「幇助」については、例えば犯罪に使用する道具を準備するなど積極的な援助行為が該当しうるのはもちろん、正犯の行為を防止しない(しようとしない)という消極的な行為(不作為)が該当することもあります。
~見て見ぬふりをしていただけでも犯罪?~
では、今回の児童虐待事件の相談例に登場した相談者様のケースを見てみましょう。
相談者様は犯罪となるような行為をしたのでしょうか?
まず、相談者様は直接V暴行を行っておらず、また、Aと共謀して(=通じ合って)Vを虐待しているとは認められないことから、傷害罪の「正犯」、「(共謀)共同正犯」とはならないでしょう。
また、Aに対してVへの暴行をそそのかしているという事実も認められませんので、「教唆犯」ともならなそうです。
では傷害罪の「幇助犯」はどうでしょうか?
相談者様はAがVに暴行を加えることを見てみぬふりをしていただけで、なにか積極的な行為(作為)にでていたわけではありません。
しかし、前述の通り、不作為(消極的な行為、なにかをしないこと)により幇助したと認められることがあります。
つまり、相談者様がAのVに対する暴行を止めなかったということが幇助に当たり、犯罪となる可能性があるのです。
似た事実関係の過去の実際の裁判例でも、子どもを助けなければならない義務(作為義務)のある母親が、同棲相手の子どもに対する暴行を監視や制止という手段を用いて防止できる(作為可能性がある)のにしなかったこと(不作為)から、そのことによって父親の犯罪の成立を容易にしたと判断され、母親に対する幇助犯の成立を認めたものが見られます(札幌高裁H12.3.16)。
同様の考え方を用いると、本事案においても相談者様に対しても、AのVに対する傷害行為の実行を助けたとして、傷害罪の幇助犯が成立する可能性があります。
しかし、例えば相談者様に作為可能性=AのVに対する傷害行為を止める手立てがあった可能性がなかったということが証明できる事情があれば、傷害罪の幇助犯は成立しないと主張していくことも可能です。
どういった事情がこうした主張のための材料となるかは、専門知識と実際の事件の状況や事情を突き合わせながら検討していかなければなりません。
ですから、事実に争いがある場合でもない場合でも、児童虐待事件の容疑をかけられたら刑事事件に精通している弁護士に相談しましょう。
児童虐待などの傷害事件で弁護士に相談してみたい、専門家の話を聞いてみたいという方は、刑事事件に熟達した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に、ぜひご相談下さい。
初回法律相談:無料
京都府亀岡警察署までの初回接見費用:38,800円
痴漢事件で初犯と余罪を相談②
痴漢事件で初犯と余罪を相談②
~前回からの流れ~
Aさんは、ある日、京都市右京区内にある駅構内で利用客V1さんに対して痴漢行為を行いました。
V1さんが激しく抵抗しなかったことに味を占め、Aさんは数日後に、今度は別の利用客V2さんにも痴漢行為をしました。
するとV2さんがAさんの手をつかみ、「この人痴漢です」と声を上げ、Aさんのことを現行犯逮捕しました。
そしてAさんは、痴漢事件の被疑者として京都府右京警察署に引致され、取調べを受けました。
その後Aさんは家族を身元引受人として釈放されましたが、初めて被疑者として取り調べられるという状況になったAさんは、自身がどういった手続きで処分を決められるのだろうかと不安になり、インターネットで痴漢事件の手続きを調べてみました。
すると、「初犯であれば…」「余罪がある場合は…」という文章が並んでいたのですが、Aさんはどういった状態であれば「初犯」であるのか、「余罪」とは何なのかが分からず、それらの意味も含めて弁護士に相談してみようと、刑事事件に強い弁護士の初回無料法律相談を利用してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
前回の記事では「初犯」という言葉に触れました。
今回の記事では「余罪」という言葉に注目していきます。
・「余罪」
前回に引き続き、「余罪」について触れていきますが、まずは「余罪」とはどういう意味なのでしょうか。
「余罪」とは、本件以外にしてしまった犯罪のことを言います。
今回のAさんで考えてみると、現行犯逮捕され、現在まさに捜査されているのはV2さんに対する痴漢事件ですから、V2さんに対する痴漢事件が「本件」となり、それ以外にAさんが犯してしまっている罪が「余罪」となります。
つまり、V1さんに対する痴漢事件が「余罪」となるのです。
痴漢事件に限らず、刑事事件では本件以外の余罪についても捜査が及ぶことも多いです。
余罪が刑事事件として立件され、複数の刑事事件の被疑者となることもあります。
その場合、複数の犯罪をしているということですから、1つの刑事事件を起こしてしまった時よりもより重い処分が見込まれることとなります。
また、余罪が正式に立件されなかったとしても、「余罪がある」ということは分かっている状態であれば、悪質性が高いと判断され、余罪がない状態と比べて重く処分されることも考えられます。
ただし、先ほどの「初犯」の話と同様、余罪があるからといって必ずしも非常に厳しい判断がなされるか、というとそういうわけでもありません。
被害者への対応や今後の再犯防止への取り組みなど、他にも考慮されるべき事情は多くあります。
ですから、余罪があるのであれば、余罪を含めて見通しや活動の方針を判断できるよう、刑事事件の経験・知識の豊富な弁護士に相談することが望ましいでしょう。
もちろん、「初犯」の記事で触れたように、余罪がないからといって弁護士が不要、というわけでもありません。
余罪がないにも関わらず余罪を疑われるというケースもありますし、万が一ないはずの余罪で立件され有罪となれば冤罪をかぶってしまうことになります。
こうした事態を防ぐためにも、また、本件の刑事事件での結果をより有利なものにするためにも、弁護士のサポートは欠かせません。
前回の記事と今回の刑事で「初犯」と「余罪」という言葉に着目してきましたが、実はこの言葉は法律用語ではなく、どこかの法律に意味が定義されているわけではありません。
だからこそ、場面や状況によって微妙にニュアンスが異なってくることもあり、分かりづらいこともあるかもしれません。
しかし、そういった刑事事件や法律の「分かりづらいこと」を聞くために、専門家の弁護士がいます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う弁護士の事務所です。
初回無料法律相談も行っておりますので、「刑事事件について不安だ」「痴漢事件について分からないことがある」とお悩みの方にお気軽にご利用いただけます。
0120-631-881でいつでも相談予約を受け付けておりますので、まずは遠慮なくお電話ください。
(京都府右京警察署までの初回接見費用:3万6,300円)
痴漢事件で初犯と余罪を相談①
痴漢事件で初犯と余罪を相談①
Aさんは、ある日、京都市右京区内にある駅構内で利用客V1さんに対して痴漢行為を行いました。
V1さんが激しく抵抗しなかったことに味を占め、Aさんは数日後に、今度は別の利用客V2さんにも痴漢行為をしました。
するとV2さんがAさんの手をつかみ、「この人痴漢です」と声を上げ、Aさんのことを現行犯逮捕しました。
そしてAさんは、痴漢事件の被疑者として京都府右京警察署に引致され、取調べを受けました。
その後Aさんは家族を身元引受人として釈放されましたが、初めて被疑者として取り調べられるという状況になったAさんは、自身がどういった手続きで処分を決められるのだろうかと不安になり、インターネットで痴漢事件の手続きを調べてみました。
すると、「初犯であれば…」「余罪がある場合は…」という文章が並んでいたのですが、Aさんはどういった状態であれば「初犯」であるのか、「余罪」とは何なのかが分からず、それらの意味も含めて弁護士に相談してみようと、刑事事件に強い弁護士の初回無料法律相談を利用してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
痴漢事件に限らず、刑事事件の手続きや処分について調べている際に「初犯」や「余罪」といった言葉が出てきます。
実はこれらは刑事事件の処分が決められるうえで重要な事情の1つなのですが、なかなかはっきりとした意味が分からない、という方もいらっしゃると思います。
今回はこの「初犯」と「余罪」という言葉に着目していきます。
・「初犯」
まずは「初犯」という言葉について考えてみましょう。
文字通り受け取れば、「初犯」とは「初めて犯罪をした」ということであり、実際にそういった意味で使われることも多いでしょう。
Aさんの場合を考えてみると、Aさんは今回、V2さんへの痴漢行為をする数日前にV1さんへの痴漢行為もしています。
ですから、V1さんへの痴漢行為をした時が「初めて犯罪をした」時であり、V2さんへの痴漢行為をした時、厳密には「初めて犯罪をした」とは言えず、Aさんは「初犯」とは言えないのではないでしょうか。
しかし、刑事事件で「初犯」と使われる際には、「今までに前科・前歴がない」という意味で使われることが多いです。
Aさんの場合、確かにV2さんへ痴漢行為をした時には初めて違法行為をする、というわけではありませんでしたが、初めて被疑者として取調べを受けていることからも、今まで前科・前歴がなかったと考えられますから、Aさんは「初犯」であると考えられるのです。
また、前科・前歴があったとしても、犯罪の種類が違う場合には、その犯罪については「初犯」であると表現されることもあります。
例えば、Aさんが実は過去に窃盗罪で刑罰を受けたことがあったとしても、「痴漢事件については初犯」と言われることもあるということです。
初犯かどうか、という点は、刑事事件で処分が判断される際に考慮される点の1つです。
何度も同種類の犯罪を繰り返しているとなれば、当然悪質であると判断されやすくなってしまいますから、初犯でないことは不利に働く事情となりえます。
ですが、もちろん初犯がどうかだけで処分が決められるわけではありません。
例えば、同種類の犯罪の前科があった場合(こうした前科を「同種前科」と呼んだりもします。)には、また同じ犯罪を繰り返してしまった、ということになります。
そうなれば、「今回の後にもまた同じ犯罪をするのではないか」と考えられてしまう可能性が高いです。
ですから、そういったことがないと主張するためにも、初犯でない刑事事件の場合、特に再犯防止の取り組みを強化することが考えられます。
今回のAさんのような痴漢事件を繰り返してしまっている場合には、性依存症など心に問題を抱えていないかどうか、専門機関でカウンセリングを受けることも考えられます。
そうした対策を継続することで再犯のおそれがないことを証拠化できれば、寛大な処分を求める際の強い事情となります。
その他にも被害者への対応や取調べへの対応、逮捕等されている場合には釈放を目指した活動等、専門家のサポートが必要とされる場面は多くあります。
これはたとえ初犯の刑事事件であったとしても変わりません。
被害者対応や再犯防止の取り組み、取調べ対応を軽視すれば、態様や後程出てくる「余罪」等の事情にもよりますが、初犯であったとしても刑事罰を受けることに繋がります。
初犯である場合にも、まずは弁護士に相談・依頼するなどしてより有利な結果を導くにはどういった活動をすべきか詳しく聞いてみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初犯で刑事事件を起こしてしまった方もそうでない方も、お気軽にご相談いただけるよう、初回無料の法律相談を行っています。
「初犯でないから相談できない」「初犯だから時間をかけた弁護活動をしない」といったことはありません。
まずは遠慮なく、0120-631-881までお電話ください。
滋賀県で傷害致死事件②
滋賀県で傷害致死事件②
~前回からの流れ~
滋賀県長浜市で居酒屋を営んでいるAは、店で大学の卒業コンパをしていた大学生が酒に酔った勢いで店の机や椅子を投げ始めたため、ほかのお客さんに迷惑がかかると思い、「暴れるのであれば帰ってくれ、迷惑だ」と大学生のグループを注意しました。
すると、酔った大学生のうちの一人Vが、「こっちは客なのに何言ってんねんおっさん」と言ってきたので、これに腹を立てたAはVの顔面を右こぶしで思い切り殴ってしまいました。
Aには全く殺意はなかったものの、Vが酔っていたこともあり、殴られた拍子に大きく態勢を崩し、近くに倒れていた先ほど自分が投げていた机の角に頭をぶつけてしまいました。
Aは、頭から血を流して動かなくなったVを見て冷静になり、すぐに救急車を呼びましたが、救急隊が駆けつけてきたときには、すでにVは亡くなっていました。
救急隊と共に現場に駆け付けた滋賀県木之本警察署の警察官により、Aは傷害致死罪の容疑で逮捕されてしまったため、Aの妻は今後の見通しや示談交渉について依頼するため、京都府や滋賀県の刑事事件を取り扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~裁判員裁判での弁護活動~
前回の記事で触れた通り、傷害致死事件は裁判員裁判の対象事件です。
裁判員裁判は、専門家である裁判官に加え、一般の方の中から裁判員として選ばれた方が参加する裁判です。
裁判員裁判では、一般の方が参加されるため、通常の裁判に比べて「わかりやすさ」が重視されます。
どれだけ一般の方にもわかりやすいように説得的に主張ができているかが、裁判員裁判でのカギとなります。
本事例では、①Aが暴行する原因となったのは、Vの暴言にあり、被害者側に落ち度があること、②そもそもVらが店で暴れており、Aが腹を立てた経緯にも酌量の余地が多分にあること、③AがVが怪我をしているのを見てすぐに救急車を呼んでいることなどを主張することになるでしょう。
これらの事情をどれだけ説得的にかつ裁判員の方々の胸に響くように裁判で明らかにできるかが、最終的な量刑判断に強く影響します。
そのためには、それぞれの事情をどのように証拠化して主張を組み立てるのか等、刑事裁判に精通した弁護士のサポートを受けながら方針を固めていくことが必要となってくるでしょう。
また、本事例では、Vの遺族との示談交渉を行い、示談が締結できれば被害者遺族の処罰感情が低いことなども併せて主張していくことも考えられます。
傷害致死事件では被害者の方が亡くなられているわけですから、被害感情も大きいことが想定され、当事者だけで謝罪や弁償を行いたいと思っても、そもそも連絡すら取らせてもらえないというケースも見られます。
そうした場合、第三者であり、法律の専門家でもある弁護士を間に挟むことが有効であることも多いです。
そして、裁判員裁判であるからには、いずれの主張も、前回の記事で述べた公判前整理手続で適切に証拠を検討し、必要であれば弁護側からも証拠を提出しておく必要があります。
さらに、傷害致死事件などの裁判員裁判対象事件は重大犯罪に限られている為、逮捕から公判終了まで身体拘束が継続されてしまう可能性も高いです。
そこで、保釈等の身体解放に向けた活動も行っていく必要があります。
保釈は被告人や周りの方の生活を考えた時にも重要ですが、裁判に向けた弁護活動の準備を考えた時にも非常に重要です。
どういった弁護活動を行っていくのか、今まで出てきた証拠は被告人の主張と違っていないのか等、弁護士と詳しく打ち合せて裁判の準備をしていくには、保釈によって身体解放されている方が円滑に進めることができるからです。
保釈等を含めた早期の身体解放や十分な公判準備のためには、刑事事件に精通した弁護士に依頼することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱っており、裁判員裁判を含めた刑事事件の解決事例も多数あります。
傷害致死事件など裁判員裁判対象事件を起こしてしまった方やその家族の方には、初回接見や無料法律相談を通じて、事案に即した対応を丁寧に説明差し上げます。
また、充実した公判活動に向けた準備や実際の公判活動についても、刑事事件に精通した弁護士が一貫して対応いたします。
京都府・滋賀県で傷害致死事件等裁判員裁判対象事件でお困りの方はぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
(滋賀県木之本警察署までの初回接見費用:4万2560円)
滋賀県で傷害致死事件①
滋賀県で傷害致死事件①
滋賀県長浜市で居酒屋を営んでいるAは、店で大学の卒業コンパをしていた大学生が酒に酔った勢いで店の机や椅子を投げ始めたため、ほかのお客さんに迷惑がかかると思い、「暴れるのであれば帰ってくれ、迷惑だ」と大学生のグループを注意しました。
すると、酔った大学生のうちの一人Vが、「こっちは客なのに何言ってんねんおっさん」と言ってきたので、これに腹を立てたAはVの顔面を右こぶしで思い切り殴ってしまいました。
Aには全く殺意はなかったものの、Vが酔っていたこともあり、殴られた拍子に大きく態勢を崩し、近くに倒れていた先ほど自分が投げていた机の角に頭をぶつけてしまいました。
Aは、頭から血を流して動かなくなったVを見て冷静になり、すぐに救急車を呼びましたが、救急隊が駆けつけてきたときには、すでにVは亡くなっていました。
救急隊と共に現場に駆け付けた滋賀県木之本警察署の警察官により、Aは傷害致死罪の容疑で逮捕されてしまったため、Aの妻は今後の見通しや示談交渉について依頼するため、京都府や滋賀県の刑事事件を取り扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~傷害致死罪~
刑法205条は、「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する」と傷害致死罪を規定しています。
本事例のAは、殺意をもってVを殴りつけたわけではありません。
ですから、殺人罪の故意をもっていたわけではありません。
しかし、AはVの顔面を殴っているため、少なくとも暴行の故意が認められ、その暴行によって生じた怪我によってVが死亡しているといえます。
よって、Aには傷害致死罪が成立することになります。
なお、VらはAの店の机などを投げており、店の客や店自体に迷惑をかけているということができます。
こうしたことから、Aには正当防衛が成立するのではないか、と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、Aが暴力を振るったのはVに暴言を吐かれたためであるので、店や客を守るために行った暴行とは言えず、Aに正当防衛が成立する可能性は極めて低いといえます。
正当防衛が成立するために必要な要件のひとつとして、自分や第三者の権利を守るためにした行為でなければいけない、という要件があるためです。
~裁判員裁判~
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項2号により、傷害致死事件は裁判員裁判対象事件となっています。
裁判員裁判とは、通常の刑事裁判とは異なり、刑事裁判の第1審に職業裁判官だけでなく、一般の市民の方も裁判員として審理や判決の内容を判断する手続きに参加してもらう裁判です。
裁判員裁判は、裁判員として一般の方が参加するため、通常とは異なった手続きが多数設けられています。
その一つが、公判前整理手続が必ず行われることです。
公判前整理手続とは、第1回公判の前に、検察官や弁護人と裁判官とで事前に協議を行い、争点や証拠の整理を行う手続きです。
あくまで公判前の準備手続きですので、裁判員の方たちはこの手続きには参加しませんが、実際の公判になった際には、公判前整理手続で整理された争点と証拠に絞って裁判が進行し、公判前整理手続終了後に新たな証拠を提出することは原則としてできないことになっています。
ですので、この公判前整理手続でどのような争点が考えられ、どのような証拠が必要なのかをしっかりと検討しつくしておく必要があります。
特に、否認している事件では、この公判前整理手続がどれだけ充実しているかによって、判決にまで大きな影響を及ぼすことになります。
本事例のAは、Vの顔面を殴ったことやそれによりバランスを崩したVが怪我をし死亡したことについては争わないと考えられるので、主な争点は、犯罪の成否ではなく、量刑に影響を及ぼすAに有利な事情若しくは不利な事情がどれくらいあるかということになりそうです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が京都府・滋賀県の刑事事件にお困りの方のご相談に対応いたします。
傷害致死事件は、被害者の方が亡くなられている重大な刑事事件です。
重大な刑事事件だからこそ、弁護士の専門的な分析を相談で聞くことで、今後の見通しや取るべき方針を判断する手助けとなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、在宅で捜査されている方向けのサービスも逮捕・勾留されている方向けのサービスもご用意しておりますので、まずは0120-631-881から、相談者様・依頼者様に合ったサービスをご予約下さい。
京都で高校生同士の児童ポルノ製造事件
京都で高校生同士の児童ポルノ製造事件
~事例~
京都府南丹市の高校に通っているA(17歳)は、SNSで知り合った京都市の別の高校に通っている女子生徒V(16歳)から、SNSで「最近彼氏が構ってくれなくて寂しい」と言われたので、下心から「じゃあ、寂しさを紛らわせるために、エッチな話をしようか」と持ち掛け、それにVも乗ってきたため、Aは「Vちゃんの裸の写真送って」とメッセージを送ったところ、Vから裸の写真が送られてきました。
その後、他愛のないことからVとケンカしたところ、Vから「以前裸の写真を送ったことを親に言ったら、親が京都府南丹警察署に行くと言っている」旨のメッセージが届きました。
不安になったAは、自分の親にこのことを相談し、Aの親は今後の見通しを聞くために、刑事事件・少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による無料法律相談を受けることにしました。
(フィクションです。)
~本件で当たり得る犯罪~
本事例でAが当たりえる犯罪としては、①児童ポルノ製造罪、②児童ポルノ単純所持罪、③強要罪が考えられます。
このうち①と②については、「児童売春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に規定されており、本事例では、送ってもらった裸の写真は一枚なので、①が成立する場合には②は成立しないことになります。
当然、②よりも①の方が重く処罰されます。
そして、本事例の「裸の写真」は、18歳未満の卑わいな写真であるため、「児童ポルノ」に該当することは間違いありません。
そこで、①児童ポルノ製造罪が成立するかが問題となります。
本事例では、実際に裸の写真を撮影して送信しているのはVであり、Aはあくまでもその写真を受信したにすぎないため、Aには児童ポルノ製造罪ではなく、児童ポルノを保存していることによる児童ポルノ単純所持罪が成立するにとどまるように思えます。
しかし、現実の捜査や裁判例では、18歳未満の者に対して卑わいな写真を撮影して送るように仕向けたことが児童ポルノ製造罪にあたると解されています。
したがって、本事例のAも、「Vちゃんの裸の写真送って」とVに裸の写真を撮影して送るようにお願いしていることから、児童ポルノ製造罪が成立する可能性があります。
では、A自身も18歳未満であることは何か関係があるでしょうか。
答えはノーです。
被疑者がたとえ18歳未満であったとしても児童ポルノ製造罪が成立することに変わりはありません。
もっとも、単にお願いに留まるような場合には、児童ポルノ製造罪に当たらないとされた例もあり、どのような事情があれば児童ポルノ製造罪が成立し、逆に単純所持罪しか成立しないのかは、専門家に相談して判断してもらうしかありません。
軽い気持ちで卑わいな写真を送り合ってしまうことは、現在のインターネット社会ではよくあることです。
もし、そのような写真を送ってもらって不安な方は、児童ポルノに関する事件についての経験が豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
~強要罪との関係~
強要罪とは、脅迫や暴行を用いて人に義務のないことを行わせたりした場合に成立する犯罪です(刑法223条参照)。
本事例のAは、「Vちゃんの裸の写真送って」とお願いしただけですので、その点を考慮すれば強要罪にあたる可能性は低いといえます。
しかし、仮に「前に送ってもらった裸の写真をばらまかれたくなかったら、また新しい裸の写真を送れ」と言って裸の写真をさらに送らせたとしたらどうでしょうか。
この場合は、裸の写真をばらまくことはVの名誉を害することになるので、脅迫して義務のない裸の写真を送るという行為をさせたことになり、Aには強要罪が成立することになります。
また、このように児童ポルノを送らせる行為に強要罪が成立する場合、さらに児童ポルノ製造罪も成立する可能性が非常に高くなります。
~少年事件手続~
本事例のAは未成年なので、仮に警察が捜査を始めたとしても、最終的な処分として刑事罰を受ける可能性はかなり低いでしょう。
しかし、強要罪や児童ポルノ製造罪が成立する場合には、逮捕されたり、少年鑑別所に収容されて調査を受けたり(観護措置と言います)する可能性が高くなります。
そこで、そのような身体拘束を避ける若しくは早期に身体拘束を解くために、早めに弁護士に相談して、今後の予想される手続きに向けたアドバイスを受けるべきです。
特に少年事件手続は通常の刑事事件手続に比べて特殊な部分が多くあるため、経験を積んでいる弁護士に相談すべきでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に精通した弁護士が、丁寧に少年事件手続について説明します。
ぜひ一度ご相談ください。
(京都府南丹警察署までの初回接見費用:4万1,100円)