試着したまま逃げたら窃盗罪?詐欺罪?③

2019-04-12

試着したまま逃げたら窃盗罪?詐欺罪?③

~前回からの流れ~
Aさんは、京都府木津川市の宝飾店を訪れた際、そこで販売されている指輪を試着することができるということを知りました。
そこでAさんは、指輪を試着したまま店から出て、指輪を自分の物にしてしまうことを思いつきました。
Aさんは、宝飾店の店員に100万円する指輪を試着したい旨を伝え、指輪を試着した上で、電話がかかってきたフリをして、「少し離れます、すぐ戻ります」と言って店員から距離を取りました。
そしてAさんは店員が離れていることをいいことに、指輪をつけたまま店外へ逃走しました。
店員がすぐに京都府木津警察署に通報したことから、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されることとなりました。
(※平成31年4月1日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・窃盗罪と詐欺罪の違い

前回までの2回の記事で、窃盗罪詐欺罪がどういった犯罪であるのか詳しくみてきました。
では、この2つの犯罪は具体的にどういった部分が異なるのでしょうか。

窃盗罪詐欺罪の2つの犯罪の大きな違いは、財物の占有(事実上の支配)の移転の際、相手方の処分行為があるかないかという点です。
窃盗罪は、財物の占有者、つまり財物を事実上支配している人の意思によらずにその支配を自分の方へ移してしまう犯罪です。
それに対して、詐欺罪は、相手を騙して相手方の錯誤に基づいた処分行為によって財物の占有が移転しますから、財物の占有の移転に際して相手方の行為が挟まる形になります。
つまり、窃盗罪詐欺罪は財物の占有の移転の仕方に違いがあるということになります。
こうしたことから、窃盗罪が「奪取罪」、詐欺罪が「交付罪」と分類されています。

また、窃盗罪詐欺罪では、法定刑が全く違うことにも注意が必要です。
窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですが、詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。
窃盗罪であれば、略式罰金手続による正式裁判の回避も考えられるのですが、詐欺罪となると懲役刑しか規定されていませんから、詐欺罪で起訴される場合には、法廷に立って正式裁判を受けることになります。
100万円以下の罰金であれば、略式罰金手続という手続きに基づき、罰金の納付によって刑事事件を終息させることができますが、詐欺罪には罰金の規定がないため、この略式罰金手続を利用することはできないのです。
そして、詐欺罪で有罪となるということは、執行猶予がつかなければ刑務所へ入ることになります。
これらも、窃盗罪詐欺罪の大きな違いの1つと言えるでしょう。

なお、こうした刑罰の重さの違いもあることから、窃盗罪で処罰されるべきである事案で詐欺罪として処罰されるような事態は避けなければなりません。
成立する犯罪が窃盗罪なのか詐欺罪なのかという事案では、特に慎重に検討しなければなりません。
しかし、刑事事件の知識・経験がない一般の方のみでこうした検討をすることは困難ですし、そもそも事案を聞いて「もしかしたら成立すべきは詐欺罪ではなく窃盗罪の方なのではないか」と思うことすら難しいのが現実でしょう。
だからこそ、窃盗事件や詐欺事件に関わらず刑事事件の容疑をかけられてしまったら、すぐに弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談することで、自分たちだけでは気づけなかった可能性に気づけたり、判断できなかった見通しが見えたりする可能性も出てきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回無料の法律相談も行っています。
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京都府木津警察署までの初回接見費用:3万8,900円)