選挙ポスターを破って器物損壊罪・公職選挙法違反②

2019-04-09

選挙ポスターを破って器物損壊罪・公職選挙法違反②

~前回からの流れ~
京都市山科区に住んでいるAさんは、京都市の市議会選挙に出ている候補者のうち、Vさんのことを嫌悪していました。
そして選挙期間中、Aさんの通勤途中の道路脇に、いくつか選挙ポスターを貼っている看板があることに気が付きました。
Aさんは、Vさんの選挙ポスターを目にするのが嫌になり、通勤途中に貼ってあったVさんの選挙ポスターを合計5枚破り捨てました。
後日、Vさんが選挙ポスターが破り捨てられていることに気づき、京都府山科警察署に被害を届け出たことから捜査が始まり、Aさんは公職選挙法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
Aさんは、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に、器物損壊罪公職選挙法違反では何が異なってくるのか、これからどのような活動が考えられるのかを聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・器物損壊罪と公職選挙法違反の違い

前回の記事では、Aさんの行為は器物損壊罪にも当たるものの、公職選挙法が「特別法」(=特別な人や物、地域、期間に適用される法律)であるために、今回のAさんには自由妨害による公職選挙法違反が成立しうるということに触れました。
では、器物損壊罪ではなく自由妨害による公職選挙法違反が成立することによって、何が異なってくるのでしょうか。

①法定刑が異なる

まずは器物損壊罪と自由妨害による公職選挙法違反、2つの犯罪の条文を見てみましょう。

刑法261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

公職選挙法225条1項
選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
2号 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもって選挙の自由を妨害したとき。

この2つの条文を見比べていただくとお分かりいただけるように、器物損壊罪と自由妨害による公職選挙法違反では、規定されている法定刑、つまりはどの程度の刑罰を受けるのかという範囲が異なります。
器物損壊罪で有罪となった場合に受ける可能性のある刑罰が「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」であるのに対し、自由妨害による公職選挙法違反で有罪となった場合に受ける可能性のある刑罰は「4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」となっています。
つまり、器物損壊罪となるよりも、自由妨害による公職選挙法違反となった方が重く処罰されるということになります。

②親告罪かどうかが異なる

器物損壊罪は、刑法264条に規定されている通り、親告罪です。

刑法264条(親告罪)
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
※注:器物損壊罪は刑法261条。

親告罪とは、被害者等による告訴(被害申告+処罰を希望する申し出)がなければ起訴できない犯罪のことをいいます。
つまり、器物損壊罪は、被害者等による告訴なしには起訴できない=裁判とすることができない犯罪ですので、被害者の方と示談を締結するなどして、告訴を出さないようにしてもらったり告訴を取り下げてもらったりすれば、不起訴となり事件を終息させることができます。

対して、公職選挙法違反は親告罪ではありません(非親告罪)。
すなわち、示談をして告訴をしないようにしてもらえば即終了、とはいかないのです。
しかし、実際に損害を被った選挙ポスターの持ち主等に謝罪し被害弁償をする等の活動は全く無駄になるわけではありません。
起訴・不起訴の判断の際や、量刑を決める際に有利な事情として考慮されることとなるでしょう。

このように、器物損壊罪と比べて公職選挙法違反は様々な面で厳しく判断される可能性があります。
だからこそ、刑事事件のプロである弁護士の力がより必要となってくるともいえるでしょう。
また、器物損壊罪公職選挙法違反、どちらが成立するのか、詳しくどういった違いが出てくるのかといったことは、それぞれの事案に即して専門知識を照らし合わせて判断しなければなりません。
そうしたお悩みの解決のためにも、弁護士に相談・依頼されることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、0120-631-881で初回接見サービスや初回無料法律相談のご予約を24時間いつでも受け付けています。
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京都府山科警察署までの初回接見費用:3万6,900円)