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ガールズバーで刑事事件②風営法違反
ガールズバーで刑事事件②風営法違反
ガールズバーで刑事事件となったケースで、特に風営法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市南区でガールズバーを経営していたAさんは、17歳のVさんを、18歳未満だと知りながら雇い、接客の際に性的な行為をさせていました。
しかしある日、Aさんの店に、京都府南警察署の警察官が訪れ、Aさんは児童福祉法違反と風営法違反の容疑で、京都府南警察署に逮捕されてしまいました。
どうやらAさんの店では、しばらくの間京都府南警察署による内偵捜査が行われていたようです。
Aさんの家族は、児童福祉法や風営法という法律を聞いたことがなかったため、刑事事件を専門とする弁護士に詳しく聞いてみることにしました。
そこで、Aさんの家族は、まずは逮捕されているAさんに会いに行ってもらうよう、弁護士に依頼することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・ガールズバーと風営法違反
前回の記事では、Aさんが18歳未満の「児童」であるVさんに性的な行為をさせていたことが児童福祉法違反に当たるだろうということに触れました。
今回の記事では、そもそもAさんの経営しているガールズバー自体が違法である可能性について触れていきます。
ガールズバーは、前回の記事で触れた通り、女性がカウンター越しに接客する形態を取るバーです。
ガールズバー=風俗営業といったイメージをする方もいるかもしれませんが、この形態でガールズバーを経営する分には、営業時間や店の広さ・明るさ等にもよりますが、風営法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の規定する「風俗営業」の許可を受ける必要はありません。
風営法で「風俗営業」とされているのは、以下のものです。
風営法2条1項
この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
1号 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
2号 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
3号 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの
4号 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
5号 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
例えばキャバクラなどは、上記1号の「キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」に当たります。
こうした「風俗営業」は風営法上の許可を受けなければ営業することはできません。
風営法3条1項
風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第1項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。
風営法上の許可を受けずに風俗営業をすれば、無許可営業となり風営法違反となるのです。
風営法49条
次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1号 第3条第1項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだ者
では、風営法2条1項1号の「風俗営業」であるキャバクラとガールズバーでは何が違うのでしょうか。
それは、「接待」の有無です。
風営法のいう「接待」とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」であるとされています(風営法2条3項)。
これは、特定の客または客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うことであるとされています(警察庁の通達より)。
つまり、キャバクラのように客の隣についてサービスを行ったり、スナック等で一緒にカラオケをデュエットしたりといった場合は「接待」といえますが、ガールズバーでカウンター越しに飲食を提供する際に話を交わす程度は「接待」とは考えられていないということです。
しかし、今回のAさんは、ガールズバーでVさんに性的な行為をさせています。
こうした行為だけでなく、「接待」にあたる行為も含んだサービスを提供していたとすれば、Aさんは「風俗営業」にあたるものを無許可営業していたことになります。
そうなれば、Aさんには風営法違反も成立すると考えられるのです。
ガールズバー等で起こった刑事事件では、このように犯罪が複数成立することもあります。
さらに、店の関係者が複数人存在することも多く、逮捕等身体拘束の伴う捜査になることも多いです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、ガールズバーで起きた刑事事件のご相談もお受けしています。
まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
ガールズバーで刑事事件①児童福祉法違反
ガールズバーで刑事事件①児童福祉法違反
ガールズバーで刑事事件となったケースで、特に児童福祉法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市南区でガールズバーを経営していたAさんは、17歳のVさんを、18歳未満だと知りながら雇い、接客の際に性的な行為をさせていました。
しかしある日、Aさんの店に、京都府南警察署の警察官が訪れ、Aさんは児童福祉法違反と風営法違反の容疑で、京都府南警察署に逮捕されてしまいました。
どうやらAさんの店では、しばらくの間京都府南警察署による内偵捜査が行われていたようです。
Aさんの家族は、児童福祉法や風営法という法律を聞いたことがなかったため、刑事事件を専門とする弁護士に詳しく聞いてみることにしました。
そこで、Aさんの家族は、まずは逮捕されているAさんに会いに行ってもらうよう、弁護士に依頼することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・ガールズバーで刑事事件
ガールズバーとは、通常、カウンター越しに女性が接客する態様のバーを指します。
キャバクラ等は客の隣に従業員の女性、いわゆるキャバ嬢が座って接客する形になりますが、ガールズバーではカウンター越しでの接客になります。
こうしたガールズバーの形態で営業しているバーは多く存在しますが、そんなガールズバーで刑事事件が起こってしまうことがあります。
今回は、Aさんの逮捕容疑である風営法違反と児童福祉法違反について詳しく注目していきます。
・ガールズバーで児童福祉法違反
児童福祉法という法律は、文字通り、児童の福祉の保障のための法律で、児童の健やかな成育や生活の保障、愛護などを理念とし、児童のための施設や禁止行為について規定しています。
児童福祉法では、満18歳未満の者を「児童」と定義しています。
今回の事例のAさんがガールズバーで働かせていたVさんは17歳ですから、児童福祉法の「児童」であることになります。
児童福祉法34条6号では、「児童に淫行をさせる行為」を禁止しており、これに違反して児童に淫行をさせた場合、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその併科という刑に処されます(児童福祉法60条1項)。
児童福祉法34条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
6号 児童に淫行をさせる行為
児童福祉法60条1項
第34条第1項第6号の規定に違反した者は、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
「淫行」とは、「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似をいうもの」と解されています(最判昭和60.10.23)。
この解釈からすると、上記事例のAさんはガールズバーを経営する立場にあり、Vさんを17歳と知りながら雇って接客をさせ、性的な行為をさせていたのですから、「淫行」をさせていたと考えられます。
つまり、Aさんの行為は「児童に淫行をさせる行為」を禁止している児童福祉法の条文にあたり、児童福祉法違反に当たると考えられます。
なお、この他にも「満15歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為」(児童福祉法34条5号)などが児童福祉法違反とされていますから、もしもAさんのガールズバーで「満15歳に満たない児童に主席に侍する行為を業務としてさせる行為」が行われていたとすれば、Aさんはこちらの行為についても児童福祉法違反になると考えられます。
児童福祉法違反事件の量刑については、初犯でも執行猶予がつかずに実刑判決が下る可能性があります。
特に、今回の事例のAさんのように、児童福祉法違反の店を経営していたような場合や、児童を何人も雇って性的な行為を繰り返させていたような場合は、下される判決が重くなることが予想されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士が児童福祉法違反事件にお困りの方のお力になります。
0120-631-881では、いつでも相談予約や初回接見サービスのお申込みを受け付けています。
刑事事件にお困りの方は、お気軽に弊所の弁護士までご相談ください。
次回の記事では風営法違反について取り上げます。
偽造大型免許で刑事事件④複数の犯罪
偽造大型免許で刑事事件④複数の犯罪
偽造大型免許から刑事事件に発展したケースで特に複数の犯罪が成立する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、京都府京田辺市にある運送会社で働いています。
ある日、Aさんは上司から、「Aさんが大型トラックを運転できるようになると任せられる業務も増えて助かる。給料もアップするし大型免許を取得してみたらどうだ」と話されました。
Aさんの会社では、大型免許を取得すると給料が上がる給与体系になっていました。
Aさんは普通運転免許しかもっていなかったため、その話を聞いて大型免許を取得することに決め、上司にもその旨を伝えました。
しかし、教習所に通って試験を受けたものの、Aさんは大型免許の取得試験に落ちてしまいました。
それでも給料が上がることなどをあきらめきれなかったAさんは、インターネットで偽造運転免許を購入できることを知り、自分の名義の偽の大型免許を購入し、上司に大型免許を取得したとして報告し、偽造大型免許を提示しました。
その後、Aさんは大型免許取得者として給料を上げてもらい、いわゆる大型トラックを使用する業務をこなしていました。
すると後日、Aさんは京都府京田辺市の道路で行われていた京都府田辺警察署の交通検問で運転免許証の提示を求められ、偽造大型免許を提示しました。
そこで警察官に偽造大型免許が偽物であることを見破られ、Aさんは無免許運転による道路交通法違反と偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんが家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談したところ、Aさんには詐欺罪の成立も考えられると伝えられました。
(※令和2年1月8日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)
・複数の犯罪が成立する刑事事件
刑事事件と一口に言っても、それぞれ成立する犯罪の種類はもちろん、数も異なります。
例えば、今回のAさんは、複数の種類・数の犯罪を犯してしまっています。
前回までの記事をまとめると、Aさんには以下の犯罪が成立すると考えられます。
①会社の上司へ偽造大型免許を提示したことによる有印公文書行使罪
②警察官に偽造大型免許を提示したことによる有印公文書行使罪
③大型免許を持たずに大型自動車を運転した無免許運転(道路交通法違反)
④大型免許を取得したと見せかけて給料を受け取った詐欺罪
これらの関係を見ていくと、①の会社の上司へ偽造大型免許を提示した行為は、④の大型免許取得者用の給料を受け取るための行為であるといえます。
つまり、④という目的を達成するために①という手段を使ったということです。
このように、複数の犯罪が成立する場合にそれぞれが手段と目的の関係にあるケースを「牽連犯」と呼びます。
牽連犯の関係にある場合、刑罰の重さは以下のような形で判断されます。
刑法54条1項
(略)…犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
つまり、①と④については、その法律で定められている刑罰の範囲のうち、最も重い刑罰の範囲で判断されるということです。
①の有印公文書行使罪の法定刑は1年以上10年以下の懲役であり、④の詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。
「1年以上」という下限が定められていることから、①の有印公文書行使罪の方が重い刑といえるため、①と④の関係では、「1年以上10年以下の懲役」の範囲で刑罰が判断されることになります。
しかし、②・③の犯罪や、それらと①・④の犯罪はそれぞれがばらばらの関係であり、目的・手段の関係になっているわけでも、同じ1個の行為で別の犯罪に当たっている(この場合「観念的競合」という考え方になります。)わけでもありません。
こうした場合を「併合罪」と呼びます。
刑法45条
確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪とする。(以下略)
併合罪のケースでは、以下のように刑罰の重さを判断します。
刑法47条
併合罪のうちの2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする。
ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。
併合罪という言葉からは、全ての犯罪の刑罰を単純に足して刑罰の重さを判断するというイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。
併合罪の場合は、最も重い刑について定めた刑の長期の1.5倍が長期となる範囲で判断されるのです(ただし、但し書きにあるようにそれがそれぞれの犯罪の刑の長期の合計を超えることはできませんから、合計を超えるような場合は刑の長期の合計が長期となる範囲で判断されることになるでしょう。)。
例えば、Aさんの場合、有印公文書行使罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」、無免許運転(道路交通法違反)の法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」、詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
となると、最も重い刑について定めた刑の長期は「(1年以上)10年以下の懲役」ということになりますから、「15年以下の懲役」の範囲でAさんに下される刑罰が判断されることになるでしょう。
複数の犯罪が成立している刑事事件では、このように刑罰の範囲だけでも非常に複雑で、刑事事件の知識がなければ見通しを立てることも大変です。
複数の犯罪の相互関係等を専門的立場から考えることのできる弁護士に相談し、見通しや弁護活動について詳しく聞くことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士がご相談者様のニーズに合わせたサービスをご用意しています。
逮捕されてしまっている方、在宅捜査を受けている方、刑事事件化が心配な方など、状況を問わず、遠慮なくお問い合わせください。
偽造大型免許で刑事事件③詐欺罪
偽造大型免許で刑事事件③詐欺罪
偽造大型免許から刑事事件に発展したケースで特に詐欺罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、京都府京田辺市にある運送会社で働いています。
ある日、Aさんは上司から、「Aさんが大型トラックを運転できるようになると任せられる業務も増えて助かる。給料もアップするし大型免許を取得してみたらどうだ」と話されました。
Aさんの会社では、大型免許を取得すると給料が上がる給与体系になっていました。
Aさんは普通運転免許しかもっていなかったため、その話を聞いて大型免許を取得することに決め、上司にもその旨を伝えました。
しかし、教習所に通って試験を受けたものの、Aさんは大型免許の取得試験に落ちてしまいました。
それでも給料が上がることなどをあきらめきれなかったAさんは、インターネットで偽造運転免許を購入できることを知り、自分の名義の偽の大型免許を購入し、上司に大型免許を取得したとして報告し、偽造大型免許を提示しました。
その後、Aさんは大型免許取得者として給料を上げてもらい、いわゆる大型トラックを使用する業務をこなしていました。
すると後日、Aさんは京都府京田辺市の道路で行われていた京都府田辺警察署の交通検問で運転免許証の提示を求められ、偽造大型免許を提示しました。
そこで警察官に偽造大型免許が偽物であることを見破られ、Aさんは無免許運転による道路交通法違反と偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんが家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談したところ、Aさんには詐欺罪の成立も考えられると伝えられました。
(※令和2年1月8日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)
・詐欺罪
前回までの記事では、Aさんが偽造大型免許を警察官に提示したり上司に提示したりする行為が偽造有印公文書行使罪にあたること、さらに普通免許しかもっていないのに大型自動車を運転したことが無免許運転(道路交通法違反)にあたることに触れました。
しかし、今回の事例では、Aさんは弁護士から、さらに詐欺罪の成立も考えられると言われています。
Aさんの行為のどの部分が詐欺罪に当たりえるのでしょうか。
まず、詐欺罪は刑法246条に規定されている犯罪です。
刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪の典型的な例としては、いわゆるオレオレ詐欺に代表される特殊詐欺や、還付金詐欺といったものが挙げられるでしょう。
詐欺罪の「人を欺いて」という行為は、「欺罔行為」とも呼ばれ、その物を引き渡すかどうかの判断をする際に重要な事項を偽ることであるとされています。
つまり、財物を引き渡させるために、その事実が嘘であると分かっていればその財物を引き渡さなかっただろうという事実について嘘をつくことで詐欺罪の「人を欺」く行為となるのです。
その欺罔行為によって相手が騙され、財物を引き渡すことで詐欺罪が成立します。
今回のAさんの行為を考えてみましょう。
Aさんの勤める会社では、大型免許を取得している人は給料を上げてもらうことができることになるという明確な基準があります。
そしてAさんは、実際には大型免許を取得していないにも関わらず、偽造大型免許を示すことで大型免許を受けたかのように見せかけ、給料を上げてもらっています。
もちろん、会社としては大型免許を取得しているという事実があるからこそ、Aさんの給料を大型免許取得者として上げているわけですから、その資格が嘘であるなら給料を上げることはしないでしょう。
すなわち、上司等会社の人間をだますことによって、Aさんは上がった給料の分だけお金=財物を引き渡させていると考えられるのです。
ですから、Aさんには詐欺罪の成立も考えられるということになるのです。
ちなみに、詐欺罪には未遂罪も規定されており、財物の交付に向けた「人を欺」く行為を開始した時点で詐欺未遂罪が成立するとされています。
今回のケースで言えば、例えば偽造大型免許を見せられた上司が偽造大型免許であることを見抜いたとしても、Aさんには詐欺未遂罪が成立する可能性が出てくるということになります。
たとえ特殊詐欺のような組織的犯行が行われていない詐欺事件であったとしても、偽造有印公文書行使罪などほかの犯罪が絡むことによってより複雑になってしまうこともあります。
刑事事件専門の弁護士が所属する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、こうした刑事事件のご相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
偽造大型免許で刑事事件②無免許運転
偽造大型免許で刑事事件②無免許運転
偽造大型免許から刑事事件に発展したケースで特に無免許運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、京都府京田辺市にある運送会社で働いています。
ある日、Aさんは上司から、「Aさんが大型トラックを運転できるようになると任せられる業務も増えて助かる。給料もアップするし大型免許を取得してみたらどうだ」と話されました。
Aさんの会社では、大型免許を取得すると給料が上がる給与体系になっていました。
Aさんは普通運転免許しかもっていなかったため、その話を聞いて大型免許を取得することに決め、上司にもその旨を伝えました。
しかし、教習所に通って試験を受けたものの、Aさんは大型免許の取得試験に落ちてしまいました。
それでも給料が上がることなどをあきらめきれなかったAさんは、インターネットで偽造運転免許を購入できることを知り、自分の名義の偽の大型免許を購入し、上司に大型免許を取得したとして報告し、偽造大型免許を提示しました。
その後、Aさんは大型免許取得者として給料を上げてもらい、いわゆる大型トラックを使用する業務をこなしていました。
すると後日、Aさんは京都府京田辺市の道路で行われていた京都府田辺警察署の交通検問で運転免許証の提示を求められ、偽造大型免許を提示しました。
そこで警察官に偽造大型免許が偽物であることを見破られ、Aさんは無免許運転による道路交通法違反と偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんが家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談したところ、Aさんには詐欺罪の成立も考えられると伝えられました。
(※令和2年1月8日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)
・無免許運転
無免許運転と聞くと、そもそも運転免許証を受けずに全く免許を持っていない状態で自動車を運転するケースを思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、今回のAさんは普通運転免許証は持っているようです。
こうしたケースでも、実は無免許運転になりうることに注意が必要です。
道路交通法では、運転免許について、以下のように定めています。
道路交通法84条
1項 自動車及び原動機付自転車(以下「自動車等」という。)を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。
2項 免許は、第一種運転免許(以下「第一種免許」という。)、第二種運転免許(以下「第二種免許」という。)及び仮運転免許(以下「仮免許」という。)に区分する。
3項 第一種免許を分けて、大型自動車免許(以下「大型免許」という。)、中型自動車免許(以下「中型免許」という。)、準中型自動車免許(以下「準中型免許」という。)、普通自動車免許(以下「普通免許」という。)、大型特殊自動車免許(以下「大型特殊免許」という。)、大型自動二輪車免許(以下「大型二輪免許」という。)、普通自動二輪車免許(以下「普通二輪免許」という。)、小型特殊自動車免許(以下「小型特殊免許」という。)、原動機付自転車免許(以下「原付免許」という。)及び牽けん引免許の十種類とする。
そして、道路交通法85条1項の表において、「大型自動車」を運転しようとする場合には、第一種免許の「大型免許」を受けなければならないとしています。
この「大型自動車」とは、道路交通法施行規則2条によると、「大型特殊自動車、大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車以外の自動車で、車両総重量が一一、〇〇〇キログラム以上のもの、最大積載量が六、五〇〇キログラム以上のもの又は乗車定員が三〇人以上のもの」とされており、いわゆる「大型トラック」と呼ばれているものはこの大型自動車に分類されるトラックなのでしょう。
そして、道路交通法では無免許運転を以下のように禁止しています。
道路交通法64条
1項 何人も、第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第90条第5項、第103条第1項若しくは第4項、第103条の2第1項、第104条の2の3第1項若しくは第3項又は同条第5項において準用する第103条第4項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
道路交通法117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
1号 法令の規定による運転の免許を受けている者(第107条の2の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第88条第1項第2号から第4号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が1年を超えている場合を含む。)運転した者
つまり、たとえ普通運転免許を持っていたとしても、道路交通法の定める「大型自動車」を運転しようというときにはそれだけでは足りず、「大型免許」を受けていなければそれは運転免許の効力のある範囲外の許されていない範囲での運転をしていることになりますから、無免許運転ということになってしまうのです。
このように、無免許運転は全く運転免許を持っていないというケース以外にも成立しうることに注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無免許運転事件などの交通違反に関わる刑事事件のご相談も受け付けています。
今回のAさんのような、偽造大型免許に関わる無免許運転事件では、無免許運転以外の部分の容疑も絡み合い、複雑な刑事事件となることが考えられますから、こうしたケースでは早期に弁護士までご相談ください。
偽造大型免許で刑事事件①偽造有印公文書行使罪
偽造大型免許で刑事事件①偽造有印公文書行使罪
偽造大型免許から刑事事件に発展したケースで特に偽造有印公文書行使罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、京都府京田辺市にある運送会社で働いています。
ある日、Aさんは上司から、「Aさんが大型トラックを運転できるようになると任せられる業務も増えて助かる。給料もアップするし大型免許を取得してみたらどうだ」と話されました。
Aさんの会社では、大型免許を取得すると給料が上がる給与体系になっていました。
Aさんは普通運転免許しかもっていなかったため、その話を聞いて大型免許を取得することに決め、上司にもその旨を伝えました。
しかし、教習所に通って試験を受けたものの、Aさんは大型免許の取得試験に落ちてしまいました。
それでも給料が上がることなどをあきらめきれなかったAさんは、インターネットで偽造運転免許を購入できることを知り、自分の名義の偽の大型免許を購入し、上司に大型免許を取得したとして報告し、偽造大型免許を提示しました。
その後、Aさんは大型免許取得者として給料を上げてもらい、いわゆる大型トラックを使用する業務をこなしていました。
すると後日、Aさんは京都府京田辺市の道路で行われていた京都府田辺警察署の交通検問で運転免許証の提示を求められ、偽造大型免許を提示しました。
そこで警察官に偽造大型免許が偽物であることを見破られ、Aさんは無免許運転による道路交通法違反と偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんが家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談したところ、Aさんには詐欺罪の成立も考えられると伝えられました。
(※令和2年1月8日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)
・偽造有印公文書行使罪
今回のAさんについて、まず成立が考えられる犯罪として、偽造有印公文書行使罪という犯罪が挙げられます。
刑法158条(偽造公文書行使等)
第154条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第1項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
参考:刑法155条1項(有印公文書偽造罪)
行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
Aさんがインターネットで購入したのは、偽造されたAさん名義の大型免許です。
そもそも、大型免許などの運転免許証は各都道府県の公安委員会によって発行されるものです。
Aさんが手に入れた偽造大型免許は、本来であれば公安委員会=公務所もしくは公務員が作成するべき文書であり、さらに公安委員会の印章(簡単に言えばハンコ)が用いられている文書です。
それを公安委員会ではない、運転免許証を作成する権限のない第三者が作成したものですから、Aさんの手にした偽造大型免許は、刑法155条1項のいう「公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造」した物であるといえます。
つまり、Aさんの購入した偽造大型免許は刑法158条の「第154条から前条までの文書若しくは図画」であるといえます。
Aさんは、その偽造大型免許を利用して大型トラックを運転し、京都府田辺警察署の交通検問で提示しています。
さらに、Aさんは会社の上司にも偽造大型免許を大型免許を取得したとして提示しています。
これらの行為はこの偽造大型免許を使っていることにほかならず、「行使」しているといえるでしょう。
そのため、Aさんはこれらの偽造大型免許の使用それぞれについて、偽造有印公文書行使罪に問われていると考えられるのです。
今回のAさんはすでに偽造された大型免許を購入しているようですが、自分で大型免許を偽造してしまったような場合は、さらに有印公文書偽造罪も成立することになります。
運転免許証の偽造や偽造された運転免許証の利用だけでも、これだけの犯罪が成立してしまうのです。
どちらも非常に重い刑罰が設定されていますから、これらの刑事事件の当事者となってしまったらすぐに弁護士に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、偽造有印公文書行使罪や有印公文書偽造罪のご相談も刑事事件専門の弁護士がお受けいたします。
まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
ご相談者様の状況に応じ、専門スタッフが弊所弁護士によるサービスをご案内いたします。
お屠蘇を飲んで飲酒運転②
お屠蘇を飲んで飲酒運転②
お屠蘇を飲んで飲酒運転をしてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都府木津川市に住んでいるAさんは、元旦にあった親戚の集まりでお屠蘇を飲みました。
Aさんはその集まりに車で来ていたのですが、Aさんは酒に弱かったため、お屠蘇も少ししか飲んでいませんでした。
Aさんは、「お屠蘇を少し飲んだだけだし大丈夫だろう」と考え、親戚の集まりから家に帰る際にも乗ってきた自動車を自分で運転して帰りました。
しかしその道中、飲酒運転のための交通検問をしていた京都府木津警察署の警察官から車の停止を求められ、検査を求められました。
これに応じたAさんでしたが、呼気検査ではアルコール数値は基準値を下回っていたものの、まっすぐ歩けずよれつが回らないなどの状態であったため、飲酒運転をした容疑で京都府木津警察署で話を聞かれることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・飲酒運転をした人でなくとも犯罪に?
前回の記事では、飲酒運転が「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」に分かれ、さらに「酒酔い運転」の場合には、アルコール値が基準値を下回っていても飲酒運転とされるケースがあることを説明しました。
今回は、Aさんのケースにおいて、Aさん以外の人に犯罪が成立する可能性について触れていきます。
今回の事例のAさんは、お屠蘇を口にして酔っ払い飲酒運転をし、京都府木津警察署の警察官に酒酔い運転であると判断されたようです。
Aさんは実際に飲酒運転をしてしまっていますから、Aさんの状況によっては酒酔い運転として検挙されることは自然に思えるでしょう。
しかし、事例をよく見ると、実はAさん以外にも犯罪が成立する可能性があるのです。
道路交通法では、飲酒運転をした本人だけでなく、飲酒運転に関わった人も処罰する規定があります。
道路交通法65条
1項 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
2項 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
3項 何人も、第1項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
4項 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第117条の2の2第6号及び第117条の3の2第3号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第1項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。
道路交通法117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第2項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が酒に酔つた状態で当該車両等を運転した場合に限る。)
道路交通法117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
4号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第2項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が身体に前号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で当該車両等を運転した場合に限るものとし、前条第2号に該当する場合を除く。)
5号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第3項の規定に違反して酒類を提供した者(当該違反により当該酒類の提供を受けた者が酒に酔つた状態で車両等を運転した場合に限る。)
6号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第4項の規定に違反した者(その者が当該同乗した車両の運転者が酒に酔つた状態にあることを知りながら同項の規定に違反した場合であつて、当該運転者が酒に酔つた状態で当該車両を運転したときに限る。)
飲酒運転については、このように飲酒運転のおそれがあるにもかかわらず車を提供したり、運転を頼んで同乗したり、酒を勧めたりし、最終的にその人が飲酒運転をしてしまった場合には、飲酒運転をした本人でなくとも道路交通法違反となってしまうのです。
お正月となれば、新年会や親せきの集まりなどがある方も多く、その席で飲酒することもあるでしょう。
しかし、車を運転する人に安易にお酒を勧めたり、少しの飲酒だから大丈夫と飲酒運転を容認したりすれば、自分も道路交通法違反で検挙されてしまう可能性が出てきます。
おめでたい席だからこそ、刑事事件に巻き込まれないよう注意しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、年末年始も弁護士による初回無料法律相談・初回接見サービスを受け付けています。
飲酒運転に関連した刑事事件にお困りの際は、遠慮なくご連絡ください(0120-631-881)。
お屠蘇を飲んで飲酒運転①
お屠蘇を飲んで飲酒運転①
お屠蘇を飲んで飲酒運転をしてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都府木津川市に住んでいるAさんは、元旦にあった親戚の集まりでお屠蘇を飲みました。
Aさんはその集まりに車で来ていたのですが、Aさんは酒に弱かったため、お屠蘇も少ししか飲んでいませんでした。
Aさんは、「お屠蘇を少し飲んだだけだし大丈夫だろう」と考え、親戚の集まりから家に帰る際にも乗ってきた自動車を自分で運転して帰りました。
しかしその道中、飲酒運転のための交通検問をしていた京都府木津警察署の警察官から車の停止を求められ、検査を求められました。
これに応じたAさんでしたが、呼気検査ではアルコール数値は基準値を下回っていたものの、まっすぐ歩けずよれつが回らないなどの状態であったため、飲酒運転をした容疑で京都府木津警察署で話を聞かれることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・飲酒運転とアルコール値
今回の事例のAさんは、呼気検査のアルコール値が基準値を下回ったにも関わらず、飲酒運転をした容疑で京都府木津警察署で話を聞かれることとなっています。
「アルコール値が基準値を下回っていれば飲酒運転にはならないのではないか」と不思議に思った方もいるかもしれません。
実は一般に言われている「飲酒運転」は、法律上2つの種類に分けられ、そのために今回のAさんのようなケースが起こりうるのです。
そもそも、道路交通法では以下のように飲酒運転が禁止されています。
道路交通法65条
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
この条文からすれば、たとえ1滴でも酒を飲んでしまえば飲酒運転となり、道路交通法に違反することになります。
しかし、実際に処罰される飲酒運転は、道路交通法の以下の規定にあるものとなります。
道路交通法117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
1号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
道路交通法117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
3号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
このうち、先にあげた道路交通法117条の2の1号に該当する飲酒運転を「酒酔い運転」、道路交通法117条の2の2の3号に該当する飲酒運転を「酒気帯び運転」と呼びます。
酒気帯び運転の条文にある「身体に政令で定める程度」が呼気検査などで確認されるアルコール値の基準値ということになります。
これは道路交通法施行令に詳しい数値が定められています。
道路交通法施行令44条の3
法第117条の2の2第3号の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムとする。
※注:「法」とは道路交通法を指します。
この基準値を超えたアルコール値で運転した場合には、「酒気帯び運転」として飲酒運転となり、道交法違反として処罰されることになるのです。
さて、この「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」について、先ほど挙げた2つの条文をもう一度確認してみましょう。
「酒気帯び運転」については今確認したようなアルコール値の基準値を超えるアルコール値が検出された場合に該当するものであると分かります。
対して、「酒酔い運転」については、条文内で特にアルコールの数値については触れられておらず、あくまで「その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)」としか定められていません。
つまり、「酒気帯び運転」が数値が引っかかれば飲酒運転として処罰されるのに対し、「酒酔い運転」はアルコール値に関係なく、「その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)」と認められるかどうかによって「酒酔い運転」の飲酒運転となるかどうかが判断されることになるのです。
そのため、Aさんのように酒に弱いような人の場合には、「酒気帯び運転」になるアルコール値に満たない程度の飲酒運転であっても、「酒酔い運転」と認められるケースが出てくるのです。
「酒酔い運転」となるかどうかは、千鳥足になっていたりろれつがはっきりしなかったりといった部分を警察官が見て判断されるようです。
今回のAさんのように、少しの飲酒だから大丈夫といった考えで飲酒運転してしまうと、刑事事件として検挙され、被疑者として捜査されることにもなりかねません。
そもそも、飲酒運転によって事故を起こしてしまう可能性もあります。
飲酒運転は絶対にやめましょう。
それでも飲酒運転をしてしまった、刑事事件に発展してしまったという場合には、すぐに弁護士に相談し、飲酒運転事件への対応や再犯防止に取り組んでいきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、飲酒運転の絡む刑事事件にも対応しています。
お正月でも通常通り無料法律相談や初回接見サービスのお問い合わせも受け付けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
お年玉の兄弟喧嘩から少年事件(傷害事件)④
お年玉の兄弟喧嘩から少年事件(傷害事件)④
お年玉の兄弟喧嘩から少年事件(傷害事件)に発展してしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
会社員のBさんは、妻のCさんと息子のAさん(17歳)・Vさん(15歳)の4人で京都市西京区に住んでいます。
年が明け、AさんとVさんはBさん・Cさんや親戚からお年玉をもらいました。
しかし、もらったお年玉の額の違いでAさんとVさんは口論になり、取っ組み合いの兄弟喧嘩となってしまいました。
そして結果的にAさんがVさんを一方的に殴る展開になってしまいました。
Bさん・Cさんは兄弟喧嘩を止めようとしましたが、Aさんが激しく怒っていた様子だったため、これ以上ひどいことにならないようにしなければいけないと考え、京都府西京警察署に通報しました。
Aさんは駆け付けた警察官に傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Bさん・Cさん・Vさんはまさか兄弟喧嘩でAさんが逮捕されることになるとは思わず、慌ててしまいました。
Bさんらは、Aさんの学校が始まる前になんとか釈放してもらえないか、兄弟喧嘩であることからどうにか穏便に済ますことはできないか、と少年事件を扱う弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・兄弟喧嘩事件と釈放を求める活動
前回までの記事で、少年事件全体を通しての身体拘束について説明してきました。
では、Aさんの事例を見ながら、どういった形で釈放を求めていく活動をしていけるのか考えてみましょう。
まず、Aさんはお正月の冬休みのうちに傷害事件を起こしてしまい、逮捕されてしまっているようです。
前回の記事で取り上げた通り、逮捕を伴う少年事件の場合、捜査段階では最大23日間の身体拘束が考えられます。
事例の中でBさんらが心配しているように、Aさんは通っている学校がありますから、どうにかそれまでに釈放をしたいということになるでしょう。
冬休みがどれほどの期間取られているかは学校にもよりますが、捜査段階の最大23日間は冬休み期間中であったとしても、観護措置を取られて加えて4週間も身体拘束されるとなれば、高確率で学校にも影響が出てしまうことになります。
ですから、Aさんらの要望を叶えるためには、逮捕・勾留の段階で釈放を求めることはもちろん、観護措置ともならないよう活動をしていく必要があるということになります。
しかし、前回までの記事で取り上げた通り、少なくとも捜査期間中に関しては、傷害事件の加害者であるAさんと被害者であるVさんが同居している状態であることを、証拠隠滅のおそれがあるととらえられてしまう可能性があります。
ですから、釈放を求めていく場合には、例えば両親であるBさん・CさんのどちらかがAさん・Vさんそれぞれにつき、捜査が落ち着くまではAさん・Vさんが別々の場所で過ごすなど、証拠隠滅のおそれがないといえる状況を作り、釈放を求めることが考えられます。
また、家庭裁判所に送られた段階で観護措置を避ける活動でも、Aさん・Vさんが同じような状況を作り出さない環境を整えられていることや、今回事件を起こしてしまった原因を考えられていることを主張する必要が出てくるでしょう。
こうした事情や環境を作り出すことだけでなく、作り出したことを証拠として適切に主張するためには、少年事件に強い弁護士のサポートが重要となります。
少年事件に強い弁護士であれば、どういった環境をどのように整えるべきなのかといったアドバイスが可能です。
逮捕・勾留の伴う刑事事件・少年事件では厳しい時間制限があるために、弁護士への早めの相談・依頼をすることで釈放を求める機会を多く得ることができますから、子どもが逮捕されてしまった場合にはお早めに弁護士へ相談されることをお勧めいたします。
・年末年始に相談できる弁護士
さて、今回のAさんの傷害事件はお正月に起きた事件です。
早めに弁護士に相談したいと思っても、年末年始はなかなか営業している法律事務所が見つからない、ということも考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、年末年始も通常通り、無料法律相談の受付や初回接見サービスの受付を行っています。
京都府の少年事件にお困りの際は、遠慮なく弊所弁護士までご相談ください。
お年玉の兄弟喧嘩から少年事件(傷害事件)③
お年玉の兄弟喧嘩から少年事件(傷害事件)③
お年玉の兄弟喧嘩から少年事件(傷害事件)に発展してしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
会社員のBさんは、妻のCさんと息子のAさん(17歳)・Vさん(15歳)の4人で京都市西京区に住んでいます。
年が明け、AさんとVさんはBさん・Cさんや親戚からお年玉をもらいました。
しかし、もらったお年玉の額の違いでAさんとVさんは口論になり、取っ組み合いの兄弟喧嘩となってしまいました。
そして結果的にAさんがVさんを一方的に殴る展開になってしまいました。
Bさん・Cさんは兄弟喧嘩を止めようとしましたが、Aさんが激しく怒っていた様子だったため、これ以上ひどいことにならないようにしなければいけないと考え、京都府西京警察署に通報しました。
Aさんは駆け付けた警察官に傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Bさん・Cさん・Vさんはまさか兄弟喧嘩でAさんが逮捕されることになるとは思わず、慌ててしまいました。
Bさんらは、Aさんの学校が始まる前になんとか釈放してもらえないか、兄弟喧嘩であることからどうにか穏便に済ますことはできないか、と少年事件を扱う弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・少年事件と観護措置
前回の記事では、少年事件が警察と検察に捜査されている段階での身体拘束について触れましたが、今回の記事ではまず、少年事件が家庭裁判所に送られた後の身体拘束について触れていきます。
少年事件の手続きとしては、警察や検察での捜査の後、家庭裁判所に事件が送致され、そこで調査や審判が行われ、少年の処分が決まるという流れが原則です。
前回の記事で、捜査段階では最大23日間の身体拘束が考えられると触れましたが、実は少年事件で考えられる身体拘束はこれだけではありません。
少年事件では家庭裁判所に送致された後も身体拘束をされる可能性があり、それが「観護措置」という措置です。
少年法17条
1項 家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、決定をもつて、次に掲げる観護の措置をとることができる。
1号 家庭裁判所調査官の観護に付すること。
2号 少年鑑別所に送致すること。
2項 同行された少年については、観護の措置は、遅くとも、到着のときから24時間以内に、これを行わなければならない。
検察官又は司法警察員から勾留又は逮捕された少年の送致を受けたときも、同様である。
3項 第1項第2号の措置においては、少年鑑別所に収容する期間は、2週間を超えることができない。
ただし、特に継続の必要があるときは、決定をもつて、これを更新することができる。
4項 前項ただし書の規定による更新は、1回を超えて行うことができない。
ただし、第3条第1項第1号に掲げる少年に係る死刑、懲役又は禁錮こに当たる罪の事件でその非行事実(犯行の動機、態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実を含む。以下同じ。)の認定に関し証人尋問、鑑定若しくは検証を行うことを決定したもの又はこれを行つたものについて、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合には、その更新は、更に2回を限度として、行うことができる。
5項 第3項ただし書の規定にかかわらず、検察官から再び送致を受けた事件が先に第1項第2号の措置がとられ、又は勾留状が発せられた事件であるときは、収容の期間は、これを更新することができない。
(略)
観護措置は、その少年事件で適切な処分を決めたり審判をスムーズに進めたりするために、少年本人の資質やその周囲の環境について専門家が調査や検査を行ったりするために、少年を少年鑑別所に収容する措置です。
少年法では原則2週間とされていますが、通常4週間程度とられることが多いです。
逮捕・勾留されたまま家庭裁判所に送られた少年事件ではそのまま観護措置に移行することも多いです。
特に、前回の記事で取り上げた勾留に代わる観護措置をされていた場合には、基本的にそのまま少年法の観護措置が取られることになっています。
説明したように、観護措置は少年に適切な処分を判断するためのものですから、少年本人にとって悪いことだけの措置というわけではありません。
しかし、4週間身体拘束されてしまうということは、約1か月学校や就業先と連絡は取れず出勤・出席することもできないということになります。
逮捕・勾留されている場合、最大で約2か月近くの期間就業先や学校に行けないということは少年にとって大きな不利益となりかねません。
ですから、逮捕・勾留から釈放を求める活動や、観護措置をせずに在宅での調査を求める活動を望まれる方も多いでしょう。
そうした時に頼りになるのが弁護士です。
弁護士と協力することで、釈放を求める活動を効率的に行っていくことができます。
刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部でも少年事件での釈放を求める活動についてのご相談・ご依頼を受け付けていますので、まずはお気軽にご相談ください。