未成年者の連れ回しで刑事事件②未成年者誘拐罪

2020-02-14

未成年者の連れ回しで刑事事件②未成年者誘拐罪

未成年者の連れ回しで刑事事件となってしまったケースで、特に未成年者誘拐罪の容疑をかけられているケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府外に住む会社員のAさん(24歳)は、SNSを通じて知り合った京都府向日市在住のVさん(15歳)と仲良くなりました。
Vさんとやり取りをするうち、AさんはVさんから「家にいても親と喧嘩をすることが増えてきて不満だ。家出をしたい」という話を聞くようになりました。
そこでAさんは、「Vさんさえよければ春休みの間うちに来てもいいよ」とVさんに伝えました。
すると、Vさんは喜んでAさんの家に行くと返答し、Vさんは春休み中Aさんの家に遊びに来ることになりました。
しかしVさんがAさん宅に来て数日後、Aさんの自宅に京都府向日町警察署の警察官がやってきて、Aさんは未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、家族の依頼を受けてやってきた弁護士に「Vさんが来たいといったからうちに呼んだのに誘拐とは納得できない」と相談しました。
(※この事例はフィクションです。)

・相手の同意があっても未成年者誘拐罪に?

今回の事例では、Aさんは未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されてしまっています。
未成年者誘拐罪とは、刑法に定められている犯罪の1つです。

刑法224条
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

この刑法224条は、未成年者を「略取」した場合には未成年者略取罪、未成年者を「誘拐」した場合には未成年者誘拐罪と呼ばれます。
「略取」とは、略取される人(今回でいえば未成年者)の意思に反して、その人を自己又は第三者の支配下に置くことを指しており、この際、暴行や脅迫を手段とするものを指すとされています。
一方、今回のAさんの逮捕容疑にもなっている「誘拐」は、誘拐される人(今回でいえば未成年者)の意思に反しない態様でその人を自己又は第三者の支配下に置くことを指し、さらに欺罔・誘惑を手段とする場合を指します。
例えば、未成年者を無理矢理連れ去ったり、脅してついてこさせたような場合には未成年者略取罪となり、物で釣ったりだましたりして未成年者を連れ去ったりした場合には未成年者誘拐罪となると考えられるのです。
今回のAさんの場合、Aさんは家出をしたいというVさんに自宅へ来ることを提案してVさんをその生活している環境から離れさせ、自分の支配下に置いているため、未成年者誘拐罪の「誘拐」にあたると考えられたのでしょう。

しかし、今回のAさんの事例では、そもそもVさんが家出をしたいと言っていることがきっかけであり、Vさん自身が望んでAさんの家に来ています。
こうした場合でもAさんに未成年者誘拐罪の容疑がかかり、逮捕されているのはなぜなのでしょうか。
実は、未成年者誘拐罪が保護しているのは、誘拐される未成年者自身の自由だけではなく、その未成年者の親権者等がもつ、未成年者に対して保護監督する権利も保護しているとされています。
つまり、未成年者誘拐罪の被害者は、未成年者だけでなく、その親権者等の保護者も当てはまると考えられているのです。
ですから、たとえ未成年者自身が同意していたとしても、その保護者の同意がない状態で未成年者をその生活環境から連れ出して自分の監督下に置いてしまえば、未成年者誘拐罪が成立しうるのです。
今回のAさんも、未成年者であるVさん自身の同意は得ているようですが、その保護者までは話が通っていなかったために、未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されるに至ったのでしょう。

・未成年者誘拐罪と逮捕

未成年者誘拐罪は前掲した条文の通り、その刑罰も非常に重い犯罪です。
また、未成年者を誘拐したという事件の内容としても、被害者への接触等の証拠隠滅のおそれがあると考えられ、逮捕され身体拘束されたうえで捜査が進められることも珍しくありません。
さらに、Aさんの事例のように、被害者である未成年者やその保護者が住んでいる地域を管轄する警察署に被害届等が出され、その警察署が捜査をしていることも多く、その場合は被疑者自身と縁もゆかりもない場所の警察署に逮捕・留置されてしまうこともあります。

こうした場合には、迅速に弁護士を派遣し、取調べへの対応やその後の弁護活動について、被疑者自身はもちろん被疑者の周りの人も把握するようにすることが望ましいでしょう。
逮捕されてしまえば周りの人に相談しながら取調べを受けるようなことはもちろんできませんし、現在の状況を自由に共有するといったことも難しいためです。
Aさんの事例のように、Aさんの住所地ではない警察署で逮捕されてしまったような場合には、ご家族が会いに行くにも一苦労となることが多いですから、その地域に対応が可能な弁護士のサポートを受けることで負担を軽減できます。

また、未成年者誘拐事件では、先ほど触れたように被害者が存在するため、被害者に対する謝罪・弁償や示談交渉も活動の1つとして考えられるところです。
当事者同士で謝罪・賠償などの示談交渉をすることは非常に難しいですし、そもそも被疑者に被害者の個人情報を捜査機関が教えることは非常にまれなことです。
こちらも弁護士を介して活動をしてもらうことで、示談交渉のできる可能性を上げることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件専門の弁護士未成年者誘拐事件などの重大な刑事事件にも対応しています。
京都支部を含め、全国13都市に支部展開していますから、遠方の警察署に逮捕されてしまったという場合にも対応可能です。
まずはお気軽にお問い合わせください(0120-631-881)。