エステのクーリングオフに関わる特商法違反事件④

2020-01-27

エステのクーリングオフに関わる特商法違反事件④

エステクーリングオフに関わる特商法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都府八幡市で個人経営のエステ店を経営しています。
ある日、Aさんは、自身のエステに来店した客Vさんに対し、10万円で半年間エステに20回通える長期コースを勧めました。
その際、AさんはVさんに対し、あえてクーリングオフの説明をせず、案内をしていました。
その後、VさんはAさんに勧められたエステの長期コースを契約し、帰宅しました。
しかし、帰宅したVさんが家族にエステのことを話したところ、クーリングオフの話題となりました。
Vさんがクーリングオフの話をされていないことを話すと、Vさんの家族がおかしいと気づき、京都府八幡警察署に相談。
その結果、Aさんは特商法違反の容疑で京都府八幡警察署に話を聞かれることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・クーリングオフ可能なことをあえて知らせないと…

前回の記事で取り上げた通り、Aさんの事例のようなエステの長期コースは、特商法クーリングオフを使うことができると決められています。
しかし今回のAさんは、先述のようにクーリングオフが利用できるはずのエステの長期コースの勧誘・契約の際に、Vさんにクーリングオフについてあえて知らせずに案内しています。
このことに何か問題はないのでしょうか。

実は今回のAさんが捜査を受けているのは、このクーリングオフをあえてVさんに教えずに案内をしていることが原因であると考えられます。
特商法では、今回のAさんのエステの長期コースのような「特定継続的役務提供契約」に際して、以下のような禁止行為を定めています。

特商法44条
1項 役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し、又は特定継続的役務提供等契約の解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。
1号 役務又は役務の提供を受ける権利の種類及びこれらの内容又は効果(権利の場合にあつては、当該権利に係る役務の効果)その他これらに類するものとして主務省令で定める事項
2号 役務の提供又は権利の行使による役務の提供に際し当該役務の提供を受ける者又は当該権利の購入者が購入する必要のある商品がある場合には、その商品の種類及びその性能又は品質その他これらに類するものとして主務省令で定める事項
3号 役務の対価又は権利の販売価格その他の役務の提供を受ける者又は役務の提供を受ける権利の購入者が支払わなければならない金銭の額
4号 前号に掲げる金銭の支払の時期及び方法
5号 役務の提供期間又は権利の行使により受けることができる役務の提供期間
6号 当該特定継続的役務提供等契約の解除に関する事項(第48条第1項から第7項まで及び第49条第1項から第6項までの規定に関する事項を含む。)
7号 顧客が当該特定継続的役務提供等契約の締結を必要とする事情に関する事項
8号 前各号に掲げるもののほか、当該特定継続的役務提供等契約に関する事項であつて、顧客又は特定継続的役務の提供を受ける者若しくは特定継続的役務の提供を受ける権利の購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの

2項 役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し、前項第1号から第6号までに掲げる事項につき、故意に事実を告げない行為をしてはならない。

3項 役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約を締結させ、又は特定継続的役務提供等契約の解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。

この特商法44条2項では、「前項第1号から第6号までに掲げる事項」について故意に事実を告げない行為を禁止しています。
この「前項第1号から第6号までに掲げる事項」には、特商法44条1項6号「当該特定継続的役務提供等契約の解除に関する事項(第48条第1項から第7項まで及び第49条第1項から第6項までの規定に関する事項を含む。)」という事項も含まれています。
この中には、前回までの記事で取り上げてきた「特定継続的役務提供等契約」のクーリングオフに関する事項(特商法48条1項以降)が入っているのです。
つまり、特商法では、今回のAさんのエステの長期コースが該当したような「特定継続的役務提供等契約」について、クーリングオフについて故意に伝えないことは違反になるのです。
なお、特商法では「特定継続的役務提供等契約」締結時にその契約のクーリングオフについて明らかにした書面を交付しなければならないことになっています(特商法42条2項5号)。

故意にクーリングオフについて告げない行為をして特商法違反となった場合には、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」するという刑罰を受けることになります(特商法70条1項)。

このように、クーリングオフに関する規定は法律の様々な部分に定められており、クーリングオフに関する刑事事件を理解するだけでも苦労することでしょう。
もしも自分やご家族がこういった刑事事件に関与してしまったら、刑事事件専門弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部までご相談ください。
ご相談者様の状況に合わせて、専門スタッフが丁寧に弊所弁護士によるサービスをご案内いたします(0120-631-881)。