ごみの持ち去りで刑事事件①条例違反

ごみの持ち去りで刑事事件①条例違反

ごみの持ち去りから刑事事件に発展したケースで、特に条例違反の容疑をかけられた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府城陽市に住んでいるAさんは、近所のごみステーションにまだ使えそうなものが捨ててあった場合、もったいないから自分で再利用してしまおうと持ち帰っていました。
ある日、近所の住民がAさんのごみの持ち去りについて京都府城陽警察署に相談し、最終的にAさんは京都府城陽市で制定されている条例に基づき、市長からごみの持ち去りに対する禁止命令を出されました。
しかし、Aさんは禁止命令を出された後も、捨てられていた自転車等のごみをごみステーションから持ち去っていました。
近所の住民から京都府城陽警察署に苦情が寄せられ、Aさんは京都府城陽市の条例に違反した容疑で取調べを受けることとなってしまいました。
(※令和2年1月23日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・ごみの持ち去りで条例違反に?

刑事事件条例違反と聞くと、痴漢や盗撮等に適用されることの多い、各都道府県ごとに定められている迷惑防止条例違反が思い浮かべられやすいかもしれません。
しかし、条例は地方公共団体が定めることのできるものであるため、都道府県単位だけではなく各市町村単位でも定めることができ、その中には迷惑防止条例のように刑事罰を定めているものも存在します。

今回のAさんが容疑をかけられているのは、京都府城陽市が制定している「城陽市一般廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例」という条例に違反した罪でしょう。
この条例は、京都府城陽市が制定しているものですから、その効力の及ぶ範囲は京都府城陽市内に限定されます。
具体的にこの条例を見てみましょう。
まず、Aさんはごみの持ち去りについて市長から禁止命令を出されているようです。
この禁止命令について、条例では以下のように定められています。

城陽市一般廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例13条
1項 市(市から収集又は運搬の委託を受けた者を含む。次条及び第15条において同じ。)以外の者は、ごみステーション又は回収拠点に排出された家庭系一般廃棄物のうち、空き缶、空き瓶その他の再生利用が可能な家庭系一般廃棄物として規則で定めるものを収集し、又は運搬してはならない。
ただし、第7条第3項の規定により市民が清潔の保持のために一般廃棄物を収集し、又は運搬する場合及び地域団体が行う再生利用が可能な家庭系一般廃棄物(空き缶に限る。)の回収に際し、地域団体と契約をした者が当該空き缶を収集し、又は運搬する場合は、この限りでない。

2項 市長は、前項の規定に違反する行為をした者に対し、当該行為を行わないよう命ずることができる。

ここで、条文に出てくる「家庭系一般廃棄物」とは、同条例内で以下のように定義されています。

城陽市一般廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例2条
この条例で使用する用語の意義は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)及び循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)で使用する用語の例によるもののほか、次に定めるところによる。
1号 家庭系一般廃棄物 家庭の日常生活に伴って生じた一般廃棄物をいう。

一般廃棄物」とは、廃棄物処理法2条2項によると、「産業廃棄物以外の廃棄物」とされています。
つまり、事業活動で生じた廃棄物や輸入された廃棄物以外で、日常生活で生じた廃棄物はこの条例の「家庭系一般廃棄物」となるのです。
京都府城陽市の条例によると、この「家庭系一般廃棄物」のうち、「再生利用が可能な家庭系一般廃棄物として規則で定めるもの」の収集・運搬が原則として禁止されており(条例13条1項)、市町はその行為をした者に対して禁止命令が出せる(条例13条2項)ということになっています。
再生利用が可能な家庭系一般廃棄物として規則で定めるもの」については、「城陽市一般廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例施行規則」という規則に詳細が定められています。

城陽市一般廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例施行規則5条
条例第13条第1項の再生利用が可能な家庭系一般廃棄物として規則で定める物は、空き缶、空き瓶、ペットボトル、紙パック、プラスチック製容器包装、使用済小型家電、廃食用油、廃蛍光管若しくは廃乾電池又は金属を含む物とする。

すなわち、条例ではこれらに当てはまるものの持ち去り等が禁止されており、Aさんはその対象となるごみの持ち去りをしてしまったために、禁止命令を受けていたということなのです。
Aさんは、禁止命令を受けた後さらにごみの持ち去りをしてしまい、刑事事件の被疑者として取調べを受ける事態にまで発展していますが、実は京都府城陽市の条例では、この禁止命令に違反してさらにごみの持ち去り等をした場合の刑罰が定められています。

城陽市一般廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例32条
第13条第2項の規定による命令に違反して収集し、又は運搬した者は、20万円以下の罰金に処する。

こうしたごみの持ち去り等に関して条例で刑罰まで定めている自治体は珍しく、京都府内では今回の京都府城陽市のほか、京都府木津川市が該当します。
ですから、京都府城陽市京都府木津川市で同様の行為をしてしまった場合には、条例違反として刑事事件化する可能性があるのです。
では、これらの自治体以外でごみの持ち去り等をしてしまった場合には刑事事件とはならないのでしょうか。
次回の記事で取り上げます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、京都府内の条例違反についてのご相談もお受けしています。
条例は各自治体ごとに定められているものであるため、なかなか分かりづらかったり特殊であったりすることも多いです。
刑事事件専門だからこそ、そういった特殊なケースでも安心してご相談いただけます。
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