Archive for the ‘刑事事件’ Category

【事例紹介】宗教勧誘を隠し契約 特定商取引法違反で逮捕された事例

2022-12-10

事実を隠して契約の勧誘を行い、クーリングオフの書面を交付しなかったとして逮捕された事件を基に、特定商取引法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

オウム真理教の後継団体「アレフ」に勧誘する目的を隠し、客にヨガの受講契約を結ばせたとして、京都府警公安課と南署などは5日、特定商取引法違反(事実の不告知など)の疑いで、京都市南区の学校職員の女(47)を逮捕した。
逮捕容疑は、2020年2月18日、京都市南区の飲食店で、自身が営むヨガ教室が実際はアレフに勧誘する内容だったのに、男性(22)に事実を告げずに受講契約を結ばせ、クーリングオフなどに関する書類を渡さなかった疑い。「よく分かりません」と容疑を否認しているという。
(後略)

(12月5日 京都新聞 「「地下鉄サリン事件は陰謀」アレフ信者の学校職員、勧誘目的隠して契約疑い逮捕」より引用)

特定商取引法

特定商取引法第6条2項では、訪問販売の際に、商品や提供するサービスの内容などについて事実を隠して契約の勧誘を行うことを禁止しています。

今回の事例では、容疑者は飲食店でヨガ教室が宗教勧誘を行っていることを隠して、被害者男性に契約を結ばせたと報道されています。
報道が事実であれば、容疑者はヨガ教室で提供しているサービスの内容について、宗教勧誘を行っているという事実を隠して、契約の勧誘を行っていることになりますので、特定商取引法に違反しているといえます。

ですので、実際に容疑者が事実を隠して勧誘を行っていた場合には、有罪になってしまうと、3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその両方が科されることになります。(特定商取引法第70条1号)

加えて、報道によると、容疑者はクーリングオフなどに関する書面を被害者に渡していないとされています。
特定商取引法では、訪問販売時に役務(サービス)提供契約の申し込みを受けた際には契約の解除事項に関する書面を交付しなければならないと規定しています。(特定商取引法第4条5号)
ですので、容疑者が報道されているように、クーリングオフに関する書面を被害者に渡していなかったのであれば、容疑者は特定商取引法違反に問われることになります。
報道内容が事実であり、容疑者が特定商取引法違反で有罪になれば、6月以下の懲役または100万円以下の罰金もしくはその両方が科されます。(特定商取引法第71条1号)

今回の事例のように逮捕されてしまった場合は、逮捕後72時間の間に勾留の判断が行われます。
ですので、逮捕されてしまった場合には、勾留の判断が出されるまでの72時間がとても重要になります。
この72時間を過ぎてしまうと、勾留判断前に検察官や裁判官に働きかけることができなくなってしまいます。
釈放を求める機会を逃さないためには、早期に弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弊所では無料法律相談や初回接見サービスを行っています。
ご家族が逮捕された方、特定商取引法違反でお困りの方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】インスタグラムに不正ログインし書類送検

2022-12-08

他人のインスタグラム不正ログインをして不正アクセス禁止法違反の容疑で書類送検された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

知人のインスタグラムに嫌がらせをする目的で不正にログインしたとして、京都府警サイバー犯罪対策課と福知山署は1日、不正アクセス禁止法違反の疑いで、京都府福知山市の無職女性(20)を書類送検した。
府警によると、女性は知人女性のインスタグラムにログインするためのパスワードを名前と生年月日から推測し、入力していた。(中略)
書類送検容疑は、6月4~19日、知人女性のインスタグラムに12回にわたって不正にログインした疑い。「嫌がらせをするためやった」などと容疑を認めているという。

(12月1日 京都新聞 「嫌がらせでわいせつ画像投稿 知人女性のインスタに不正ログイン疑い、女性を書類送検」より引用)

不正アクセス禁止法

アクセスを制限されている者が他人の識別符号(ユーザーIDやパスワードなど)を入力してアクセスできるようにする行為は不正アクセスにあたり、不正アクセス禁止法で禁止されています。

今回の事例では、容疑者は被害者のインスタグラムのパスワードを推測し実際に入力することで、被害者のインスタグラムに不正ログインをしたとされています。
インスタグラムを始めとするSNSでは、ユーザーネームやパスワードを入力させることで、本人以外にログインできないようになっていることが多いでしょう。
しかし、容疑者は、本来であれば被害者のアカウントにログインできないようにアクセスが制限されているにもかかわらず、推測したパスワード(被害者の識別符号)を入力することで、被害者のアカウントに不正にログインしたとされています。
こうした行為は不正アクセスにあたりますので、今回の事例では容疑者が不正アクセス禁止法違反の容疑で書類送検されているということなのでしょう。

今回の事例のように、他人のSNSのアカウントに不正ログインをすると不正アクセス禁止法違反の罪に問われる可能性があります。
もしも不正アクセスを行い、不正アクセス禁止法違反で有罪になった場合には3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることになります。(不正アクセス禁止法第11条)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで、予想される刑事手続の流れや最終的な処分の見通し、適切な対応の仕方などを把握することが期待できます。
不正アクセス禁止法違反や刑事事件でご不安な方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
相談のご予約は0120―631―881でいつでも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

【事例紹介】SMS認証代行でアカウントの不正取得

2022-12-06

SMS認証代行によってアカウントの不正取得を行い逮捕された事件を基に、私電磁的記録不正作出・同供用罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を使った本人確認手続き「SMS認証」を代行し、依頼者にフリーマーケットアプリのアカウントを不正取得させたとして、京都府警サイバー犯罪対策課と田辺署は28日、私電磁的記録不正作出、同供用の容疑で、住所不定、無職の男(24)を逮捕した。
逮捕容疑は、6月9日、携帯電話番号とSMS認証コードを山形県天童市の男子大学生(19)に提供し、大手フリマアプリのアカウントを不正に取得させた疑い。
(後略)

(11月28日 京都新聞 「「SMS認証」代行の男を逮捕 フリマアプリのアカウントを不正取得させた疑い」より引用)

私電磁的記録不正作出・同供用罪

事務処理を誤らせる目的で、事実証明に関する電磁的記録などを不正に作り、提供した場合には、私電磁的記録不正作出・同供用罪に問われることになります。
電磁的記録とは、電子的方式や知覚的に認識することができない記録を指します。
例えば、いわゆるデータはこの電磁的記録に当たるため、今回の事例のフリーマーケットアプリのアカウントなどは、この電磁的記録にあたります。

今回の事例では、容疑者が本人確認手続きであるSMS認証を代行し、アカウントを不正取得させたと報道されています。
SMS認証は本人確認のために用いられるものですので、アカウントの使用者以外がSMS認証を代行することで、間違いなく本人であるという確認を誤らせ、事実証明に関する電磁的記録を不正に作り出したといえます。

また、容疑者が依頼者の代わりにSMS認証(本人確認)を行うことによって、アカウントを使用する本人ではないにも関わらずアカウントを取得してしまっているので、本人確認機能が機能しない(事務処理に誤りが生じている)ことになります。
容疑者は事実証明に関する電磁的記録を不正に作り、本人確認に関して事務処理を誤らせ、その不正に作りだした電磁的記録を依頼者に提供していますので、容疑者の行為は私電磁的記録不正作出・同供用罪にあたります。

私電磁的記録不正作出・同供用罪で有罪になった場合には、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります。(刑法第161条の2第1項)
また、私電磁的記録不正作出・同供用罪は、作った本人だけでなく使用した人も罪に問われますので、今回の事例のSMS認証代行の依頼者も罪に問われる可能性があります。
依頼者が罪に問われ、有罪になった場合にも作り出した本人と同様に、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

SMS認証代行を行うと、私電磁的記録不正作出・同供用罪に問われる場合があります。
犯行の手軽さに反して、有罪になれば懲役刑が科される可能性もあり、私電磁的記録不正作出・同供用罪は刑罰が軽い犯罪とはいえません。
また、現在警察に捜査されていなくても、犯行が発覚してしまえば、今回の事例のように逮捕されてしまうかもしれません。

弊所では、自首を検討している方の相談も受け付けておりますので、私電磁的記録不正作出・同供用罪でお困りの方、自首を検討されている方は、ぜひ数多くの刑事事件を扱ってきた弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】小学生の連れ去り 略取・監禁の容疑で逮捕された事例

2022-12-01

京都府城陽市で起きた小学生の連れ去り事件を基に、略取罪・監禁罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府城陽市で10月、下校中の小学2年の女児が車で一時連れ去られた事件で、京都府警捜査1課と城陽署は24日夜、未成年者略取と監禁の疑いで、城陽市の会社員の男(28)を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。府警は、男が女児を連れ去った目的などを詳しく調べる。
逮捕容疑は、10月5日午後3時15分ごろ、城陽市内の路上で、1人で下校していた小学2年の女児を無理やり乗用車に乗せて連れ去り、約7分間にわたり車内に監禁した疑い。
(後略)

(11月24日 京都新聞 「下校中の小学2年女児を車で連れ去り 容疑で会社員の28歳男を逮捕、京都」より引用)

未成年者略取罪

刑法第224条
未成年を略取し、または誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

略取とは、暴行や脅迫を用いて連れ去ることをいいます。
今回の事例の逮捕容疑である未成年略取罪は、未成年者やその家族などに暴行や脅迫を行い、未成年者を連れ去った場合に成立します。

報道によると、容疑者は被害者を無理やり車に乗せ連れ去ったとされています。
例えば、被害者が歩いているところを突然抱き上げるなどして車に乗り込ませるといった態様であれば、それ自体が暴行であると判断され、暴行によって未成年者を連れ去った=未成年者略取罪が成立すると考えられたのではないかと想定されます。

また、被害者を略取した目的が営利、わいせつ、結婚、生命もしくは身体に加害するためであった場合には、営利目的等略取罪になり、有罪になった場合には未成年略取罪よりも重い、1年以上10年以下の懲役が科されます。(刑法第225条)

監禁罪

刑法第220条
不法に人を逮捕し、または監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

大まかに説明すると、一定の場所に閉じ込めるなどして、被害者をそこから脱出できなくしたり、脱出が著しく困難にしたりした場合、監禁罪が成立します。

今回の事例のように、被害者を車に連れ込んで車を走らせた場合、走行する車内から脱出することは難しいでしょうから、被害者を車に乗せて走る行為も監禁罪にあたります。
報道では認否が明らかになっていませんが、容疑者による一連の行為が事実であった場合には、監禁罪も成立することになるでしょう。

報道が事実であった場合、連れ去った時間が7分間であったとしても、容疑者は未成年略取罪監禁罪に問われることになると。
未成年者略取罪監禁罪はどちらも有罪になってしまうと懲役刑が科されてしまいます。
また、営利目的などで略取したと判断された場合には、未成年者略取罪よりも重い法定刑が科されることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、初回接見サービス、無料法律相談を行っております。
弁護士に相談することで、釈放や示談締結、不起訴処分の獲得など、良い結果を得られるかもしれません。
未成年略取罪、監禁罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】訪問販売で契約内容を偽り逮捕された事例

2022-11-29

京都府城陽市などで起きた訪問販売で契約内容を偽り逮捕された事例を基に、特定商取引法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

インターネットの光回線を料金の安いアナログ回線に戻すと偽って不当にサービス契約を結んだとして、京都府警生活保安課と城陽署は21日、特定商取引法違反(不実の告知など)の疑いで、札幌市中央区の通信サービス会社社長の男(28)=東京都渋谷区=と、元契約代行業の男(32)=千葉県柏市=を逮捕した。
逮捕容疑は、共謀し、2月26日~3月6日、城陽市の女性(77)ら男女3人の自宅を訪れ、実際には光回線からアナログ回線に戻す工事をしないのに、「回線に戻すと月々1700円の支払いになる」などと事実と異なる説明をした疑い。会社社長の容疑者は「覚えていない」などと容疑を否認しているという。
(後略)

(11月22日 京都新聞 「「ネット光回線を安いアナログに」 架空工事契約、容疑の2人逮捕 2200人被害か」より引用)

特定商取引法

特定商取引法では訪問販売に際して、以下の事項について不実(事実とは異なる内容)の告知を行い契約の勧誘を行うことを禁止しています。(特定商取引法第6条1項)

①商品の種類や性能、品質など
②商品などの販売価格
③商品代金などの支払いの時期や方法
④商品の引き渡し時期や権利などの提供時期
⑤契約の解除など
⑥顧客がその契約を締結する際に必要とする事情
⑦顧客が契約を判断するうえで重要なこと

以上の7つの事項について不実の告知を行った場合や故意に事実を告げなかった場合には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその両方が科されます。(特定商取引法第70条1項)

報道によると、容疑者らは工事を行わないにも関わらず、回線を戻す工事を行うと月々1700円の支払いになると事実とは異なる内容の告知をした疑いで逮捕されています。
容疑者らは事実とは異なった内容で契約の勧誘を行い、勧誘を受けた被害者らは工事を行えば今よりも月々の料金が安くなると判断し、契約を結んだのでしょう。
月々の料金が安くなることは被害者らからすれば契約を考えるうえで重要なことでしょうから、容疑者らは上記でいえばに当たる、顧客が契約を判断するうえで重要なことについて不実の告知を行ったといえます。
報道が事実であれば、容疑者らの行為は特定商取引法違反に該当しますので、有罪になった場合には3年以下の懲役か300万円以下の罰金またはその両方が科されることになります。

今回の事例では、容疑者のうちの1人が容疑を否認しています。
容疑を否認している場合は、逮捕されるリスクや、逮捕・勾留後に接見禁止がつく可能性が高くなります。
逮捕されている場合、連日長時間にわたって取調べが行われることがあります。
連日にわたる長時間の取調べのなか、接見禁止がつき家族であっても面会を許されない状態は体力のみならず精神にも大きな悪影響を及ぼすかもしれません。
加えて、否認を貫くためには多大な体力や精神力が必要になりますので、最後まで否認を貫くことが難しい場合もあります。
こういった中、接見禁止がついている場合でも弁護士は接見を行うことができます。
弁護士と接見を行うことで、余裕をもって取調べに臨めるかもしれません。

また、弁護士は接見禁止の一部解除を裁判所に求めることができます。
接見禁止の一部解除が認められた場合には、認められた人に限り面会や手紙の差入れなどを行うことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
特定商取引法違反で逮捕・捜査されている方、冤罪や接見禁止でお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】舞鶴市のマンションへの放火未遂事件で逮捕

2022-11-24

京都府舞鶴市で起きたマンションへの放火未遂事件を基に、現住建造物等放火未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警舞鶴署は17日、現住建造物等放火未遂の疑いで、京都府舞鶴市の職業不詳の男(43)を逮捕した。
逮捕容疑は1(中略)マンション1階の駐車場で段ボールに火を付け、建物を燃やそうとした疑い。出火に気付いた通行人が消火し、未遂に終わったという。
(中略)同様の不審火が他に計4件発生しており、舞鶴署が関連を調べている。

(11月17日 京都新聞 「段ボールに火を付けマンション放火未遂の疑い、43歳の男逮捕 周辺で同様の不審火発生」より引用)

現住建造物等放火罪

刑法第108条
放火して、現に人が住居に使用しまたは現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船または鉱坑を焼損した者は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役に処する。

現住建造物とは、現在人が生活するのに使っている建物などのことをいいます。
例えば、人が現在住んでいるマンション(現住建造物)に放火すると、現住建造物等放火罪に問われることになります。

現住建造物等放火未遂罪

今回取り上げた事例で、容疑者は現住建造物等放火未遂罪の容疑で逮捕されています。
報道によれば、容疑者はマンション1階の駐車場で段ボールに火をつけたとされています。
ここで、すでに段ボールに火をつけているのであれば、「放火」したことになり、「未遂」ではないのではないかと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
すでに段ボールに火をつけていても「未遂」の扱いになるのでしょうか。

現住建造物等放火罪では、現住建造物等が焼損した場合に既遂として扱われます。
ですので、現住建造物等が焼損していない場合には、「火をつけた」という行為があったとしても「未遂」になります。

では、どのような状態が焼損にあたるのでしょうか。

大正7年3月15日にあった大審院の裁判では、焼損について「焼燬(焼損)とは犯人に依って点せられたる火が媒介物を離れ燃焼の目的たる建造物その他同条列記の物に移り独立してその燃焼を継続する事実を指称する」と判断しています。

ですので、放火犯が放った火が媒介としているもの(今回の事例では段ボール)から離れて、放火したい建物(今回の事例ではマンション)に燃え移り、建物自体が燃焼している場合に、既遂になります。
報道だけではマンションの被害の程度はわかりませんが、逮捕容疑が現住建造物等放火未遂罪であることから、おそらく段ボールに点いた火がマンションには燃え移らなかったか、燃え移ったとしてもマンション自体が独立して燃焼するには至らなかったのでしょう。

現住建造物等放火罪で有罪になった場合には、死刑または5年以上の無期懲役が科されます。
報道だけでは認否がわかりませんが、報道が事実であり、容疑者が現住建造物等放火未遂罪で有罪になった場合にも同様の刑罰が科されるか、未遂による刑罰の減軽が考慮され、それよりも少し軽い刑罰が科されることになるでしょう。

過去には、高知地検中村支部のトイレに火を付け、現住建造物等放火未遂罪に問われた裁判では、被告人に懲役5年の判決が下されています。(2021年6月29日 産経新聞 「放火未遂97歳に懲役5年 裁判員裁判で最高齢被告か」より)
高知県の事例と今回の京都府舞鶴市の事例では、事件内容や被害の程度などが異なりますが、既遂ではなく現住建造物等放火未遂罪であっても懲役5年という実刑判決が下されていることから、大変重い犯罪であるということがお分かりいただけるでしょう。

また、今回の事例では、報道されているマンションでの放火以外にも4件の不審火が発生していると報道されています。
その全てで容疑者が関与しており、立件された場合には、余罪の分重い刑罰が科されるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に強い弁護士事務所です。
今回の事例のように、逮捕されている事件の場合は、早期に弁護活動を行うことが重要になります。
逮捕後すぐに弁護活動を開始できた場合には、検察官が勾留の判断を行う前に、弁護士が検察官に対して働きかけを行うことができます。
そういった検察官への働きかけや、その後の裁判所への働きかけを行うには入念な準備が必要です。
そのためにも、逮捕された場合にはなるべく早く、釈放に向けた弁護活動を行うことが望ましいといえます。
弊所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っております。
現住建造物等放火罪現住建造物等放火未遂罪でお困りの方は、刑事事件に強い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】チケットの転売で書類送検 入場券不正転売禁止法違反

2022-11-22

チケット転売書類送検された事件を基に、入場券不正転売禁止法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が簡単に解説します。

事例

京都府警北署は15日、入場券不正転売禁止法違反の疑いで(中略)書類送検した。
書類送検容疑は、3月22日~5月28日ごろ、計約3万9千円で購入したプロ野球公式戦の入場券計6枚を、興行主の同意なしにオークションサイトに出品し、大津市の男性(49)ら3人に計11万1千円で販売した疑い。
(後略)

(11月15日 京都支部 「プロ野球チケットを不正転売疑い、44歳女性を書類送検 京都府警が初摘発」より引用)

入場券不正転売禁止法

入場券不正転売禁止法第3条
何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。

入場券不正転売禁止法では、スポーツ観戦の入場券や演劇の観劇チケットなどを不正に転売することを禁止しています。
しかしこれには例外があり、主催者側が有償譲渡(転売)に同意している場合や有償譲渡(転売)を禁止していない場合、入場できる日時や座席などが指定されていない場合などを除きます。

入場券不正転売禁止法に違反して不正な転売を行い有罪になった場合には、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が科されます。(入場券不正転売禁止法第9条1項)
また、不正転売を目的としてチケットなどを譲りうけた場合も同様になります。

報道内容が事実であった場合、容疑者はプロ野球公式戦の入場券を販売価格よりも高い金額で転売しています。
有償譲渡(転売)が禁止されているチケットを主催者の同意なしにチケットの有償譲渡(転売)を行った場合は不正転売にあたるので、容疑者が主催者の同意なく転売禁止のプロ野球の入場券を転売していた場合には入場券不正転売禁止法違反になります。

今回の事例では容疑者が書類送検されていますが、広島県ではスポーツ観戦チケット3枚を不正に転売したとして入場券不正転売禁止法違反の容疑で男性が逮捕されています。(2022年10月4日 中国新聞 「チケットの不正転売疑いで男を逮捕 広島県内で初摘発」より)

入場券不正転売禁止法は2018年に制定された比較的新しい法律であるため、全国的にみても摘発件数は多くはありません。
ですが、ご紹介した広島県の事例のようにチケットの不正転売で逮捕される事例もあります。
これから不正転売について取り締まりが強化されていくでしょうから、今警察に発覚しておらず事件化していない方も注意が必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、初回無料の法律相談を行っています。
弊所の無料法律相談では、これから捜査を受ける予定であるという刑事事件についてもご相談いただけます。
入場券不正転売禁止法違反に限らず、刑事事件でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
0120―631―881で24時間、無料法律相談のご予約を受け付けております。

【解決事例】業務上横領罪で事件化阻止 弁護士による示談交渉

2022-11-19

事件

Aさんは、京都市南区にあるV社でアルバイトをしていました。
AさんはV社のお金の管理も行っており、V社のお金を少しずつ抜き取ることで数十万円を自分のものにしていました。
ある日、V社からAさんの下に横領していたのではないかと連絡があり、Aさんが少しずつ現金を取っていたことがバレてしまいました。
AさんはV社から示談の条件を出されましたが、V社から連日にわたって連絡が繰り返されたり、要求が過大になっていったりと、Aさんやそのご家族だけでは対応が難しい状態にありました。
Aさんとそのご家族は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部弁護士に相談し、示談交渉を行い、最終的に刑事事件化を防ぎたいと考え、弁護士に依頼することに決めました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

事件解決のながれ

Aさんのご家族は、示談交渉を行い、最終的に刑事事件化させないことを希望されていました。

依頼を受けた弁護士は、Aさんらの意向に沿い、V社とAさんの間に入って示談交渉を行いました。
弁護士はV社と話し合い、AさんとV社それぞれの希望に沿った形で無事示談を締結することができました。
また、示談書の中でV社から警察署への被害申告を行わないことを約束してもらったため、今後Aさんは本件の業務上横領事件について刑事責任を問われる危険性がなくなりました。

示談を締結したことにより、Aさんらの希望通り刑事事件化せずに終了させることができました。

今回の事例では、V社が警察署に被害届を提出する前に示談を締結することができたため、刑事事件化することなく終了しました。

もしも、示談交渉が上手くいかずに被害届が出されていた場合には、警察官に捜査されることになりますので、何度も取調べが行われたり、場合によっては逮捕されてしまうというリスクもありました。
しかし、そもそも刑事事件化させないことにより、Aさんやそのご家族が刑事手続に対応する必要もなくなったことで、時間的にも身体的・精神的にも負担を軽減することができました。

また、Aさんの行為は業務上横領罪にあたる可能性がありました。
もしも業務上横領事件として刑事事件化してしまえば、業務上横領罪の法定刑は10年以下の懲役(刑法第253条)ですので、有罪となった場合には、執行猶予付きの判決を得ない限り懲役刑が科されてしまいます。
刑事事件化を防ぐことで、そもそもこういった刑罰を受けることを回避することもできました。

加えて、示談を締結すれば必ず不起訴処分を獲得できるわけではありませんので、警察署に被害届が出された後(刑事事件化した後)に示談を締結できたとしても起訴されてしまう可能性はあります。
そうなれば、示談ができたとしても有罪判決を受け刑罰を受けることも予想されます。
ですので、前科を避けるという点では、今回の事例のように早期に示談交渉を行うことが重要になります。

また、当事者間で直接行う示談交渉では、無茶な提案をされることや思わぬトラブルを招いてしまう危険性もあります。
そういった事態を避けるためにも、専門家である弁護士を介して示談交渉を行うことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回無料法律相談を行っております。
刑事事件示談交渉でご不安な方、業務上横領罪でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回無料法律相談のご予約は0120―631―881で承っております。

【事例紹介】労災隠しで書類送検 京都府京田辺市

2022-11-17

京都府京田辺市で起きた労災隠し事件を基に、労災隠し労働安全衛生法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都南労働基準監督署は11日、労働安全衛生法違反(労災隠し)の疑いで、京都府京田辺市の建設会社と同社の男性社長(55)を書類送検した。
(中略)
同労基署によると、同社の40代男性が部材の受け渡し作業中に足場から誤って河床に転落し、左手首を骨折して4日以上休業した。同社は、休業中の給与を肩代わりする名目で男性に金銭を渡し、労基署に報告していなかった。(後略)

(11月11日 京都新聞 「金銭渡し、報告せず 労災隠しの疑いで建設会社と社長を書類送検 京都南労基署」より引用)

労災隠し

労災隠しとは、その名のとおり、労働災害が発生しているにもかかわらず労働基準監督署に知らせずに隠していることをいいます。

労災隠しはなぜ犯罪になるのでしょうか。
今回のコラムでは、労災隠しについて簡単に解説していきます。

労働安全衛生法

労災隠しを行った場合、労働安全衛生法違反に該当します。
労働安全衛生法とは、労働災害(いわゆる労災)の防止など労働者の安全と健康の確保を目的として作られた法律です。

厚生労働省が定める労働安全衛生規則では、労働者が労災により4日以上の休業を要するけがを負った場合や死亡した場合には、遅滞なく労働基準監督署に労災を報告しなければならないと定めています。(労働安全衛生規則第97条)
また、休業日数が4日に満たない場合でも、定められた期間内に労災を報告しなければなりません

労働安全衛生法第100条では、労働安全衛生法を施行するために必要がある場合は厚生労働省令で定めるところにより、事業者に必要事項を報告させることができると規定しています。

労働安全衛生法では労災の防止などについて規定していますので、労災の報告は、労働安全衛生法を施行する(今後同種事案での労災の発生を防止する)ために必要であるといえます。
また、労働安全衛生規則は厚生労働省令ですので、労災が発生した場合には、定められている通り遅滞なく、もしくは定められた期間内に労働基準監督署に報告しなければなりません。
ですので、労災隠しをした(労災を報告しなかった)場合は、労働安全衛生法に違反したことになります。

報道によると、京都府京田辺市の建設会社は、男性が足場から転落し4日以上の休業を要するけがを負っているにも関わらず、労働基準監督署に報告をしていません。
ですので、報道が事実であった場合は労災隠しになり、労働安全衛生法に違反していることになります。
また、労災隠しで有罪になった場合は50万円以下の罰金が科されることになります。(労働安全衛生法第120条第5号)

罰金刑となった場合、懲役刑や禁錮刑とは違い刑務所に収容されることはありません。
しかし、罰金刑も刑罰の1種ですので、懲役刑や禁錮刑と同様に前科として扱われます。
前科がついた場合、国家資格のはく奪など何かしらの不利益を被る可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件を多数取り扱う弁護士が初回無料法律相談を行っております。
弁護士による捜査機関への働きかけや的確なアドバイスで刑罰の減軽や不起訴処分の獲得を目指せるかもしれません。
労働安全衛生法違反など刑事事件でお困りの方は、ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】暴力行為等処罰法違反事件と脅迫罪 現行犯逮捕された事例

2022-11-12

暴力行為等処罰法違反事件で現行犯逮捕された事例を基に、暴力行為等処罰法違反と脅迫罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合京都支部が解説します。

事例

京都府警宇治署は2日、暴力行為等処罰法違反の疑いで、(中略)現行犯逮捕した。
逮捕容疑は(中略)宇治市役所内の相談室で、小型ナイフを机の上に置き、「刺したら痛いんやで。あんたら痛みを知らんやろ」などと(中略)脅した疑い。
「刺すとは言っていない」と容疑を否認しているという。

(11月2日 京都新聞 「「あんたら痛み知らんやろ」ナイフ置き市職員脅す 容疑で79歳女を逮捕」より引用)

脅迫罪

簡単に説明すると、生命や身体に対して害を与えると伝えて、人を脅した(脅迫した)場合に脅迫罪が成立します。

今回の事例では、容疑者が被害者を脅した疑いで逮捕されていますが、容疑者は「刺すとは言っていない」と容疑を否認しているようです。
今回の事例のように、「刺す」と被害者に直接言ったわけではない場合にも、脅迫罪は成立するのでしょうか。
今回の報道が事実であった場合を仮定して、容疑者の行為で脅迫罪が成立するのかについて説明していきます。

一般の人が恐怖を感じるような内容を相手に伝えることを脅迫といいます。
しかし、恐怖を感じるような内容であれば何でもいいというわけではなく、伝えた人が実際に実行できるような内容でなくてはなりません。

今回の事例では、容疑者が小型ナイフを机に置き、「刺したら痛いんやで。あんたら痛みを知らんやろ」と被害者に言ったとされています。
この言葉の中身を見ると、直接的に「刺す」とは言っていないものの、小型ナイフを机に置かれて、「刺したら痛い」と伝えられれば、一般の人は机に置かれた小型ナイフで刺されるのかもしれないと恐怖を感じるでしょう。
今回の事例でも「小型ナイフで刺されるのかもしれない」といった、一般の人が恐怖を感じるような内容が被害者に伝わっていると考えられるため、容疑者は被害者に対して脅迫したと疑われているのだと考えられます。
小型ナイフで刺された場合は当然生命や身体が害されるでしょうから、今回の事例では、被害者は生命や身体に害を与えると容疑者に脅迫されたとされ、容疑者の行為は脅迫罪と疑われる行為であると考えられます。

暴力行為等処罰法と脅迫罪

しかし、報道によると、容疑者は暴力行為等処罰法違反の容疑で逮捕されています。
なぜ脅迫罪ではなく、暴力行為等処罰法違反での逮捕なのでしょうか。
暴力行為等処罰法について簡単に説明していきます。

暴力行為等処罰法第1条では、多人数や凶器を用いて暴行罪、脅迫罪、器物損壊罪の罪を犯した場合についての処罰を定めています。
小型ナイフは凶器にあたりますので、今回の事例のように小型ナイフを用いて脅迫罪に当たる行為を行った場合は、暴力行為等処罰法違反にあたります。
ですので、今回の報道が事実であった場合には、容疑者は脅迫罪ではなく暴力行為等処罰法違反の罪に問われることになります。

また、暴力行為等処罰法第1条に違反した場合の法定刑は3年以下の懲役または30万円以下の罰金脅迫罪の法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金(刑法第222条1項)になっており、暴力行為等処罰法第1条と脅迫罪では法定刑が少し異なっています。
これは、暴力行為等処罰法が、凶器を用いるなどして脅迫罪などを犯した場合を、刑法で定めるよりもより重く処罰するために定められているものであるためです。
脅迫罪などの犯罪を一定の条件・態様で行うと、暴力行為等処罰法によってより厳しく処罰されるというイメージとなります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス、無料法律相談を行っております。
ご相談等のご予約・お問い合わせは、0120ー631ー881でいつでも承っておりますので、脅迫罪暴力行為等処罰法違反などの刑事事件でご不安な方は、ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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