【事例紹介】労災隠しで書類送検 京都府京田辺市

京都府京田辺市で起きた労災隠し事件を基に、労災隠し労働安全衛生法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都南労働基準監督署は11日、労働安全衛生法違反(労災隠し)の疑いで、京都府京田辺市の建設会社と同社の男性社長(55)を書類送検した。
(中略)
同労基署によると、同社の40代男性が部材の受け渡し作業中に足場から誤って河床に転落し、左手首を骨折して4日以上休業した。同社は、休業中の給与を肩代わりする名目で男性に金銭を渡し、労基署に報告していなかった。(後略)

(11月11日 京都新聞 「金銭渡し、報告せず 労災隠しの疑いで建設会社と社長を書類送検 京都南労基署」より引用)

労災隠し

労災隠しとは、その名のとおり、労働災害が発生しているにもかかわらず労働基準監督署に知らせずに隠していることをいいます。

労災隠しはなぜ犯罪になるのでしょうか。
今回のコラムでは、労災隠しについて簡単に解説していきます。

労働安全衛生法

労災隠しを行った場合、労働安全衛生法違反に該当します。
労働安全衛生法とは、労働災害(いわゆる労災)の防止など労働者の安全と健康の確保を目的として作られた法律です。

厚生労働省が定める労働安全衛生規則では、労働者が労災により4日以上の休業を要するけがを負った場合や死亡した場合には、遅滞なく労働基準監督署に労災を報告しなければならないと定めています。(労働安全衛生規則第97条)
また、休業日数が4日に満たない場合でも、定められた期間内に労災を報告しなければなりません

労働安全衛生法第100条では、労働安全衛生法を施行するために必要がある場合は厚生労働省令で定めるところにより、事業者に必要事項を報告させることができると規定しています。

労働安全衛生法では労災の防止などについて規定していますので、労災の報告は、労働安全衛生法を施行する(今後同種事案での労災の発生を防止する)ために必要であるといえます。
また、労働安全衛生規則は厚生労働省令ですので、労災が発生した場合には、定められている通り遅滞なく、もしくは定められた期間内に労働基準監督署に報告しなければなりません。
ですので、労災隠しをした(労災を報告しなかった)場合は、労働安全衛生法に違反したことになります。

報道によると、京都府京田辺市の建設会社は、男性が足場から転落し4日以上の休業を要するけがを負っているにも関わらず、労働基準監督署に報告をしていません。
ですので、報道が事実であった場合は労災隠しになり、労働安全衛生法に違反していることになります。
また、労災隠しで有罪になった場合は50万円以下の罰金が科されることになります。(労働安全衛生法第120条第5号)

罰金刑となった場合、懲役刑や禁錮刑とは違い刑務所に収容されることはありません。
しかし、罰金刑も刑罰の1種ですので、懲役刑や禁錮刑と同様に前科として扱われます。
前科がついた場合、国家資格のはく奪など何かしらの不利益を被る可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件を多数取り扱う弁護士が初回無料法律相談を行っております。
弁護士による捜査機関への働きかけや的確なアドバイスで刑罰の減軽や不起訴処分の獲得を目指せるかもしれません。
労働安全衛生法違反など刑事事件でお困りの方は、ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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