Archive for the ‘交通事件’ Category
危険運転致死事件の刑事裁判に向けて
危険運転致死事件の刑事裁判に向けて
危険運転致死事件の刑事裁判に向けた弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、深夜、京都府向日市の交差点で法定速度を大幅に超えるスピードで走行したうえ、赤信号をあえて無視し続けた結果、歩行者Vさんをはねて死亡させてしまいました。
事故を目撃した人が通報したことで、Aさんは京都府向日町警察署の警察官に危険運転致死罪の容疑で逮捕され、その後勾留されました。
Aさんの家族は、弁護士にAさんの接見に行ってもらい、その後の見通しを聞いたのですが、弁護士からは、起訴されて刑事裁判になるだろうということを伝えられました。
そのため、Aさんの家族は、刑事裁判に向けての弁護活動を弁護士に依頼することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・危険運転致死傷罪と刑事裁判
危険運転致死罪とは、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」、いわゆる「自動車運転処罰法」に定められている犯罪です。
最近では自動車の暴走やあおり運転での人身事故事件で報道番組や新聞、ネット記事といった皆さんが目にする場所にもこの危険運転致死罪という犯罪名があることも多いため、知っている方も多いかもしれません。
自動車運転処罰法の中では、赤信号を殊更無視したり、アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難であるにもかかわらず運転したり等することを危険運転行為であるとしています。
その危険運転行為を行い、よって人を死亡させた場合、危険運転致死罪となり、1年以上の有期懲役に処せられるのです(人を負傷させた場合は、危険運転致傷罪となり、15年以下の懲役となります。)。
この危険運転致死傷罪ですが、人が死亡している犯罪であることもあり、比較的起訴される割合の多い犯罪です。
特に危険運転致死罪の場合、危険運転行為という故意の行為によって人を死なせていますから、悪質性が高いと考えられることも起因しているかもしれません。
上記の法定刑からも分かっていただけるように、危険運転致死傷罪には罰金刑の規定がありませんから、起訴される=刑事裁判になるということになるのです。
公判請求され、刑事裁判となれば、公開の法廷に立たなければなりません。
さらに、危険運転致死事件の場合、故意の行為=危険運転行為によって人を死亡させている事件であるため、裁判員裁判の対象事件でもあります。
そして、危険運転致死罪の法定刑には罰金刑の規定がありませんから、執行猶予がつかない有罪判決=すぐに刑務所に行かなければならないということになります。
こうしたことから、危険運転致死事件では、慎重な公判弁護活動が求められます。
ですが、起訴されてから弁護士に相談しても、裁判が間近に迫っていては十分な準備ができないおそれもあります。
先ほど触れたように、危険運転致死事件では高確率で起訴されている現状がありますから、危険運転致死罪の容疑で逮捕されてしまった、取り調べを受けている、という早い段階から弁護士に相談し、見通しとともにこれからとれる弁護活動を詳しく聞いてみることが望ましいでしょう。
そして早い段階から刑事裁判での公判弁護活動を見据えた準備に、弁護士と一緒に取り組んでいくことがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、危険運転致死事件などの交通事故事件の公判弁護活動にも取り組んでいます。
まずは0120-631-881からお問い合わせください。
飲酒運転を隠すことも犯罪?
飲酒運転を隠すことも犯罪?
飲酒運転を隠すことも犯罪になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市中京区の会社に勤めているAさんは、仕事の行き帰りに自動車を運転していました。
ある日、Aさんは仕事帰りにコンビニエンスストアで酒を購入し、車の中で飲酒しました。
Aさんは、「自宅はすぐ近くにあるのだからこのくらいの距離ならいいだろう」とそのまま飲酒運転をして自宅へ向かいました。
しかし、Aさんは自宅へ着く前に通行人のVさんと接触してVさんに怪我を負わせる人身事故を起こしてしまいました。
Aさんは、このままでは飲酒運転をして人身事故を起こしたということが発覚してしまうと思い、どうにかアルコールの数値を低くしたいと、警察等に通報する前にコンビニエンスストアへ行くと、そこで水を購入し、大量に水を飲みました。
その後、通報によって駆け付けた京都府中京警察署の警察官によって、Aさんは捜査を受けることになったのですが、その際、警察官から「飲酒運転を隠そうとしただろう。それも犯罪になる」と言われたAさんは、「飲酒運転を隠すことも犯罪になるのか」と驚き、刑事事件に強い弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・飲酒運転を隠すこと自体が犯罪に
今回の事例のAさんは、飲酒運転をした上に人身事故を起こし、そこで飲酒運転を隠すためにアルコールの数値を低くしようと水を大量に飲むなどしているようです。
飲酒運転をすることは犯罪となる(道路交通法違反)ことは多くの方がご存知の通りです。
しかし、Aさんは飲酒運転を隠そうとした行為も犯罪となると警察官から伝えられて驚いています。
飲酒運転を隠すこと自体も犯罪となるのでしょうか。
実は、人身事故を起こしてしまった際に成立する犯罪(過失運転致死傷罪、危険運転致死傷罪など)を定めている「自動車運転処罰法」(正式名称「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」)では、過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱罪という名前の犯罪を定めています。
なかなか耳にすることのない犯罪名かもしれませんが、その条文は以下のようになっています。
自動車運転処罰法第4条(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪)
アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、12年以下の懲役に処する。
簡単に説明すると、自動車の運転に影響が出る程度の飲酒運転をして人身事故を起こした場合に、飲酒運転の発覚を免れるためにさらに飲酒を重ねたり水を飲むなどしてアルコール数値を減らしたりするなどすることで成立するのが、この過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪です。
今回のAさんのように、飲酒運転をして人身事故を起こし、その後にアルコールの数値を減らすために大量の水を飲む行為は、まさにこの過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱罪となります。
過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱罪は、いわゆる「逃げ得」=飲酒運転をして人身事故を起こした場合、その場から逃げるなどして飲酒運転が発覚しないようにした方が、成立する犯罪によって受ける可能性のある刑罰の重さが軽くなってしまうというケースをなくすために作られた犯罪です。
飲酒運転の度合いによっては、人身事故によって問われる犯罪が危険運転致死傷罪という最長で20年の懲役が科せられる犯罪に問われることになりますが、逃げて飲酒運転の発覚を免れればひき逃げと過失運転致死傷罪が成立するにとどまり、その場合は最長で15年の懲役となることから、「(逃げて)飲酒運転の発覚を免れた方が得」とされてしまいます。
そういったことを防ぐために、人身事故後に飲酒運転の発覚を防ごうとすることも犯罪としたのが過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪なのです。
つまり、よく知られている飲酒運転自体だけでなく、その飲酒運転を隠す行為も、場合によっては重い罪となることがあるということなのです。
単なる飲酒運転の場合には被害者は存在しませんが、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱事件となると、人身事故に遭われた被害者が存在します。
ですから、弁護活動でも被害者対応などを含んだ迅速かつ丁寧な活動が求められます。
どういった犯罪の容疑がかけられていて、どのような弁護活動が必要なのかをきちんと把握して刑事手続きに臨むことが大切ですから、まずは弁護士の話を聞いてみることがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕された方向けの初回接見サービスから、在宅で捜査を受けている方向けの初回無料法律相談まで幅広く対応しています。
まずはお気軽にご相談ください。
京都府亀岡警察署に自首したい
京都府亀岡警察署に自首したい
京都府亀岡警察署に自首したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都府亀岡警察署は、京都府亀岡市で発生した人身事故について、過失運転致傷事件として捜査を行っていましたが、未だ犯人を特定するに至っていませんでした。
この人身事故を起こしてしまったAさんは、自首すべきかどうか1人でずっと悩んでいましたが、ついに意を決して京都府亀岡警察署に自首することにしました。
そこでAさんは、自首の前にすべきことはあるのか、刑事事件に対応している弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・自首について
自首とは、犯罪を犯した者が、捜査機関に発覚する前に自ら進んで捜査機関に自己の犯罪事実を申告しその処分にゆだねる意思表示のことをいいます。
自首は刑法第42条第1項によって刑の減軽事由とされています。
刑法第42条第1項
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
ちなみに、刑法第42条第2項によって、親告罪については告訴権者に自己の犯罪事実を申告しその措置にゆだねた場合(首服といいます)も減軽事由とされています。
自首について定めた条文では、「捜査機関に発覚する前」に自首することが自首成立の要件とされています。
今回の事例のAさんは、自身が人身事故を起こした犯人であると警察に発覚する前に自分が人身事故を起こしたという事実=自己の犯罪事実を申告しようとしていますが、この場合も「捜査機関に発覚する前」として自首に当たると考えられます。
もちろん、そもそも犯罪事実がまったく捜査機関に発覚する前に発覚する前であっても自首が成立します。
他にも、捜査機関による質問や取調べの段階で捜査機関に発覚していない余罪を自供した場合なども自首に当たると考えられます。
ただし、被疑者となっている犯罪事実について自身の犯行を認めるような場合は「捜査機関に発覚する前」に当たらなかったり自発的申告でないとして自首が成立しません。
つまり、すでに警察などの捜査機関から犯人であると疑われていたり目星を付けられているような状態で自ら出頭したとしても、刑法の定める「自首」の成立とはならない場合があるということです。
自首の要件である自発性や「捜査機関に発覚する前」に当たるかどうかはかなり厳しく考えられていますので、自首するつもりで警察などに出頭した場合でも実は自首が成立しないといった事態も大いにあり得ます。
さらに、自首や首服は刑の減軽事由ですが、「その刑を減軽することが『できる』」とされている通り、あくまで任意的減軽事由にすぎないため、自首等を行ったからといって必ずしも減軽されるわけではありません。
このように、自首したところで必ずしも自首減軽が適用されるわけではなかったり、そもそも自首が成立しない場合もあるといったことから、これらをリスクと捉え自首することに消極的になる方が少なからずいらっしゃることかと思います。
しかし一方で、発覚を免れようと逃げることで、事件や犯人が発覚した場合には逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして逮捕されてしまうリスクが高まり、起訴されてしまった際には量刑にも悪影響を与えかねないという側面もあります。
ですが、自首の成否にかかわらず、自己の犯罪事実を申告したことは、事件の内容なども考慮しなければなりませんが、逃亡や証拠隠滅等のおそれがないとして逮捕を回避できる要因となりうるほか、たとえ自首減軽として適用されなくても被疑者に有利な情状として不起訴処分や執行猶予を得られる可能性を高めることが期待できます。
自首することには慎重にならないといけませんが、自首が成立するかどうかという点や自首した後に踏まれることが予想される刑事手続など、どのように対応したらよいのかといったアドバイスを事前に弁護士に相談して受けておくことが望ましいです。
犯罪を犯してしまった方以外でその不安があるにすぎないという場合も、刑事事件に強い弁護士に相談していただくことで疑問や不安を解消することができるかもしれません。
なるべく早めに対応しなければ捜査が進んで自首が成立しない段階になってしまったり、示談その他の解決に向けた手段をとることが現実的でなくなったりすることもあり得ますので、まずはお早めにご相談していただくことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回の法律相談を無料で行っていますので、自首についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
飲酒運転を隠そうと逃げたら犯罪?
飲酒運転を隠そうと逃げたら犯罪?
飲酒運転を隠そうと逃げたら犯罪となるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは、京都市中京区にある自宅で飲酒していましたが、いつも飲んでいる飲料水を切らしていたことを思い出しました。
そこでAさんは、「そんなに遠い距離ではないし大丈夫だろう」と思い、飲酒運転をして近所のスーパーへに向かいました。
するとその道中で、Aさんの運転する自動車は歩行者Vさんと接触する事故を起こしてしまい、Vさんに怪我をさせてしまいました。
このままでは飲酒運転に問われてしまうと焦ったAさんは、そのまま自動車で走り去り、スーパーで飲料水を購入して大量に飲料水を飲んでアルコールの数値が出ないようにするなど、飲酒運転の事実を隠そうとしました。
しかし、すぐにVさんからの通報を受けて捜査していた京都府中京警察署の警察官によりAさんが発見され、Aさんはひき逃げなどの容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは飲酒運転を隠そうとしたことも犯罪になると聞いて驚き、接見に訪れた弁護士に犯罪の内容を相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・飲酒運転を隠そうとすることは犯罪?
そもそもAさんが行った飲酒運転や人身事故、事故を起こしたにもかかわらずその場から立ち去るというひき逃げといった行為は、それぞれが犯罪となることに疑問はないでしょう。
飲酒運転やひき逃げは道路交通法違反に、人身事故は過失運転致傷罪などに問われる行為です。
しかしこれだけではなく、上記事例のAさんは、飲酒運転をしていたことが発覚することを防ぐために事故現場から逃げてスーパーでで飲料水を購入して飲むといった行動をしています。
どうやら今回は、こういったAさんの飲酒運転を隠そうとした行為についても犯罪が成立するようです。
自動車運転処罰法の条文を確認してみましょう。
自動車運転処罰法4条(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪)
アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、12年以下の懲役に処する。
この条文で定めている犯罪は、通称「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」という犯罪です。
大まかに説明すると、ある程度の飲酒運転で人身事故を起こしたにも関わらず、飲酒運転の発覚やその程度を分からなくするために、事故後にあえてアルコールを摂取したり、事故現場を離れてアルコール濃度を下げるための行為等をしたときに成立する犯罪がこの「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」ということになります。
この犯罪は、いわゆる「逃げ得」を防止するために規定された犯罪です。
飲酒運転をして人身事故を起こしてしまった場合、その飲酒運転の程度によっては、自動車運転処罰法内に規定されている危険運転致死傷罪にあたる可能性があります。
例えば、酩酊状態で飲酒運転をして人身事故を起こして危険運転致死傷罪が適用された場合、被害者が怪我をしていれば15年以下の懲役、被害者が死亡していれば1年以上の有期懲役(上限20年)となることになります(自動車運転処罰法第2条)。
しかし、その場を立ち去り酔いがさめたりアルコール濃度が下がったりするまで待ったり、水を飲む等してアルコール濃度を下げる行為をして、事故の際のアルコール濃度を検知できないようにしたり酩酊状態でないようにしたりすれば、危険運転致死傷罪の成立要件である「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ」たと確認できず、ひき逃げによる道路交通法違反と過失運転致死傷罪が成立するにとどまることになります。
事故後にアルコールを摂取した場合でも「得」になるのかと疑問に思われる方もいるかもしれませんが、検知されたアルコールが事故前に飲まれていたものなのか、事故後に飲まれたものなのか分からなくなってしまえば、飲酒運転をしていたかどうかの確認ができなくなってしまいます。
そうなると、ひき逃げと過失運転致死傷罪では最高でも15年の懲役となりますので、最高20年の懲役となる危険運転致死傷罪よりも軽くなってしまいます。
これが許されてしまえば、逃げて飲酒運転を隠した方が「得」である、「逃げ得」であるとされてきたのです。
そういった「逃げ得」を防止するため、今回取り上げた「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が規定されたのです。
「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が認められた場合、ひき逃げと合わせて最高18年の懲役が科される可能性があります。
今回のAさんは、飲酒運転の発覚を免れるために、事故現場から逃亡して飲料水を飲み、アルコール数値を分からないようにしようとしています。
ですから、Aさんは過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪とひき逃げに問われる可能性が考えられます。
ただし、もしもAさんが、実は飲酒運転発覚を避けるために逃げたり飲料水を飲んだりしていたわけではなかったような場合、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪については冤罪であることになります。
先ほど触れたように、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪はひき逃げと合わさると非常に重い刑罰が科せられる可能性があります。
冤罪である場合はもちろん、そうでない場合も、弁護士の助言を逐一受けながら、取調べに臨むことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部には、飲酒運転に関連した刑事事件のご相談も数多く寄せられています。
刑事事件専門の弁護士が、それぞれの事件ごとの事情をお伺いし、丁寧に対応や見通しをお話いたします。
初回の法律相談は無料、初回接見サービスは最短即日対応です。
まずはお気軽にお電話ください(0120-631-881)。
「いけず石」で道路交通法違反に?
「いけず石」で道路交通法違反に?
「いけず石」で道路交通法違反に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
〜事例〜
京都市北区に住んでいるAさんは、自宅周辺の道路を通行する自動車に自宅の周囲にある壁や自宅に傷をつけられたくないという思いから、いわゆる「いけず石」として大きな石を自宅周りに置いていました。
Aさんは、たびたび「ここは公道だから通行の邪魔になってしまう。石を撤去してほしい」と言われていたものの、それを無視していけず石を置き続けていました。
するとある日、京都府北警察署からAさんの元に「道路交通法違反の容疑で話を聞かせてほしい」という連絡が入りました。
Aさんは、運転する自動車で交通違反をした記憶もないのになぜ道路交通法違反の容疑をかけられているのか疑問に思い、弁護士に相談したところ、Aさんの置いた「いけず石」が問題になっている可能性があると言われました。
(※この事例はフィクションです。)
・「いけず石」とは
そもそも、「いけず石」とはどういったものなのでしょうか。
「いけず石」とは、家屋の横や家屋に接する曲がり角に置かれている石のことです。
いけず石は、家屋に接する道路を通行する自動車が家屋を傷つけないように=自動車が家屋に近づかないようにするために置かれる石であるとされています。
京都の道路は細く曲がりづらい道が多いことから、自動車と家屋の接触も多く、そのためいけず石が置かれることが多くなったと言われています。
いけず石は京都独特の文化と言えるでしょう。
・「いけず石」で刑事事件になる?
では、今回のAさんの事例を考えてみましょう。
どうやらAさんはこのいけず石の件で道路交通法違反を疑われているということのようです。
いけず石を私道や自分の所有する土地の敷地内に設置することは問題ありません。
しかし、今回のAさんは公道にいけず石を設置してしまっているようです。
公道では、道路交通法による規制が適用されます。
ここで道路交通法の条文を確認してみましょう。
道路交通法第76条第3項
何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
このように、道路交通法では、公道に交通の妨害になるように物を置くことを禁止しています。
Aさんは公道にいけず石を置いていたことから、そのいけず石の設置方法によってはこの道路交通法の条文に違反することになるのです。
なお、この条文に違反すると、以下の刑罰を受ける可能性が出てきます。
道路交通法第119条第1項
次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
第12号の4 第76条(禁止行為)第3項又は第77条(道路の使用の許可)第1項の規定に違反した者
なお、いけず石の設置方法が道路を通れないほどに道路を塞いでいる方法であれば、道路交通法違反ではなく、刑法の往来妨害罪という犯罪になる場合もあります。
刑法第124条第1項(往来妨害罪)
陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
そもそもいけず石は家屋に自動車が接触することを避けるために置かれるものと言われていますから、往来妨害罪に当たるほど道路を塞ぐことは考えづらいですが、やりすぎてしまえばこれほど重い犯罪になりうるということは注意しておくべきでしょう。
道路交通法違反と言われると、自動車の運転による交通違反というイメージが強いかもしれませんが、今回のAさんのように、運転に関わらずとも道路に関わる事柄であれば道路交通法違反の当事者になってしまいます。
想像しづらい内容で刑事事件の当事者になるということは、刑事手続きや見通しに対しての不安も強くなりやすいということです。
刑事事件の専門家である弁護士に相談することで、その不安を軽減できることが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弁護士による初回無料法律相談を実施しています。
いけず石による道路交通法違反事件など、交通事件にも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。
自転車のひき逃げで逮捕されたら②
自転車のひき逃げで逮捕されたら②
自転車のひき逃げで逮捕されてしまったケースで、特にひき逃げによる道路交通法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
〜事例〜
京都府亀岡市に住んでいるAさんは、移動の際、スポーツタイプの電動アシスト付き自転車を利用していました。
ある日Aさんがその自転車に乗って移動している際、Aさんがよそ見運転をしていたことをきっかけに、通行人Vさんに衝突してしまいました。
Aさんは、「自転車に当たったくらい大丈夫だろう」と思い、「すみません」とだけ言ってその場を去りました。
しかし、Vさんは衝突によって骨折などの大怪我を負っており、後日、京都府亀岡警察署の捜査によってAさんは重過失傷害罪とひき逃げによる道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、自転車でもひき逃げになることに驚き、接見に訪れた弁護士に今後の対応や見通しについて相談することにしました。
(※令和3年1月25日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・自転車のひき逃げ事件〜道路交通法違反
前回の記事でも簡単に触れましたが、自動車の場合でも自転車の場合でも、ひき逃げ事件は「ひき逃げ」という罪名の犯罪が成立するわけではなく、人身事故を起こしたこと自体に犯罪が成立し(自動車の場合は過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪が、自転車の場合は過失の程度により過失傷害罪・過失致死罪や重過失傷害罪・重過失致死罪が成立します。)、さらにその場から適切な行為をせずに逃げた行為について道路交通法違反が成立するという構図になります。
今回の記事では、適切な行為をせずに逃げた行為、いわゆるひき逃げ行為によって成立する道路交通法違反について確認していきます。
道路交通法では、事故を起こしてしまった場合の対応について、いくつかの義務を定めています。
道路交通法第72条第1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
この条文の中に定められている義務は、一般に「救護義務」(負傷者の救護)、「危険防止措置義務」(道路上の危険を防止する)、「報告義務」(警察官等への通報・報告)と呼ばれています。
ひき逃げは「逃げる」という言葉が入っているものの、正確にはこれらの義務を果たさないことを指します。
ですから、ひき逃げをした際に「救護義務違反」や「報告義務違反」と言ったことを言われる場合がありますが、これはこの道路交通法の義務に違反しているということなのです。
この道路交通法の条文を見ると、「車両等の運転者その他の乗務員」が対象となっています。
過失運転致死傷罪などを定める自動車運転処罰法では、対象の乗り物が「自動車」となっていたのに対し、道路交通法のこの条文では「車両等」となっています。
この「車両等」は道路交通法でどのように定義づけられているのでしょうか。
道路交通法第2条第1項
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
第8号 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
第11号 軽車両 次に掲げるものであつて、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のものをいう。
イ 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)
つまり、道路交通法のひき逃げに関する条文の対象となる「車両等」には「軽車両」が含まれており、その「軽車両」の中に「自転車」が含まれていることから、先程挙げた道路交通法のひき逃げの条文は、自転車にも当てはまるということになるのです。
ひき逃げはあくまで自動車事故の問題だと思われがちですが、自転車でも人身事故を起こした場合、道路交通法上の義務が発生します。
昨今ではスポーツタイプなどのスピードの出る自転車も多く流通していますから、自転車による人身事故を気をつけることはもちろん、もしも事故を起こしてしまったら道路交通法上の義務を果たすよう気をつけましょう。
それでもパニックになってしまうなどしてひき逃げ行為をしてしまった場合、早めに弁護士に相談し、迅速に対応してもらいましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕されてしまった方にも在宅捜査を受けている方にも、まだ捜査はされていないがこれから刑事事件化が心配だという方にもお気軽にご相談いただけるサービスをご用意しています。
まずはお気軽にご相談ください。
自転車のひき逃げで逮捕されたら①
自転車のひき逃げで逮捕されたら①
自転車のひき逃げで逮捕されてしまったケースで、特に自転車による人身事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
〜事例〜
京都府亀岡市に住んでいるAさんは、移動の際、スポーツタイプの電動アシスト付き自転車を利用していました。
ある日Aさんがその自転車に乗って移動している際、Aさんがよそ見運転をしていたことをきっかけに、通行人Vさんに衝突してしまいました。
Aさんは、「自転車に当たったくらい大丈夫だろう」と思い、「すみません」とだけ言ってその場を去りました。
しかし、Vさんは衝突によって骨折などの大怪我を負っており、後日、京都府亀岡警察署の捜査によってAさんは重過失傷害罪とひき逃げによる道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、自転車でもひき逃げになることに驚き、接見に訪れた弁護士に今後の対応や見通しについて相談することにしました。
(※令和3年1月25日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・自転車のひき逃げ事件〜重過失傷害罪
自動車によるひき逃げ事件は、たびたび報道などで目にすることも多いでしょう。
ですから、「ひき逃げと言えば自動車のことで自転車には関係ない」というイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、自転車であってもひき逃げ事件になり、犯罪行為になることに注意が必要です。
とはいえ、自動車とひき逃げ事件と自転車のひき逃げ事件では成立する犯罪が異なる部分もあります。
まずはその異なる部分について確認してみましょう。
自動車のひき逃げ事件の場合、まずは人身事故を起こしたこと自体に過失運転致傷罪(場合によっては危険運転致傷罪)が成立します。
自動車運転処罰法第5条(過失運転致死傷罪)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
しかし、条文を見て分かる通り、過失運転致死傷罪は「自動車」を運転している際の事故について定めているのであり、ここに自転車は含まれていません。
では自転車のひき逃げ事件の場合どうなるのかというと、刑法の過失傷害罪や重過失傷害罪が適用されると考えられます(被害者が亡くなっている場合には過失致死罪や重過失致死罪になります。)。
刑法第209条(過失傷害罪)
第1項 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
第2項 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
刑法第210条(過失致死罪)
過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。
刑法第211条(業務上過失致死傷罪、重過失致死傷罪)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
過失とは、簡単にいえば故意ではなく不注意で、ということです。
例えば、今回のAさんのようなよそ見運転は、自転車を運転する上で注意を払って運転すべきところを注意を払わず運転してしまったということになりますから、Aさんの過失となるでしょう。
こうした過失によって人に怪我をさせてしまったり人を死なせてしまったりすれば過失傷害罪や過失致死罪、重過失傷害罪や重過失致死罪となるため、自転車による人身事故の場合はこれらの犯罪が該当すると考えられているのです。
では、単なる「過失」=過失傷害罪と「重大な過失」=重過失傷害罪の違いは一体なんなのでしょうか。
重過失傷害罪にいう「重大な過失」とは、僅かでも注意を払えばその結果を簡単に予見・回避できたであろうことを指します。
つまり、過失よりも著しく大きな注意義務違反(注意すべきところでしなかったこと)がある場合に「重大な過失」があると判断されるのです。
とはいえ、「何をすれば/していなければ過失で、何をすれば/していなければ重過失」と具体的に決められているわけではありません。
あくまでその事件当時の状況や当事者の認識など、事件ごとの事情を総合的に考えなければ過失なのか重過失なのか=過失傷害罪なのか重過失傷害罪なのかの判断はできません。
今回のAさんは重過失傷害罪の容疑で逮捕されていることから、著しい注意義務違反があり、それによってVさんとの衝突事故を起こしたと考えられているのでしょう。
その自転車事故で成立するのが過失傷害罪なのか重過失傷害罪なのかということによって、刑罰の重さが大きく異なることはもちろん、親告罪(被害者等の告訴がなければ起訴できない犯罪)なのかどうかといったことも変わってきます。
正式裁判の可能性の有無など、罪名によっては弁護活動にも違いが出てきますから、専門家の弁護士に詳しい事情を聞いてもらった上で判断してもらい、サポートを受けることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、自転車のひき逃げ事件などによる重過失傷害事件にも対応しています。
まずはお気軽にご相談ください。
次回の記事ではひき逃げによる道路交通法違反部分について解説します。
無免許運転で人身事故
無免許運転で人身事故
無免許運転で人身事故を起こしてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市中京区に住んでいるAさんは、度重なる交通違反によって運転免許を取り消されてしまいましたが、「近所で買い物のために運転するくらいなら問題ないだろう」と考え、免許取消後も自動車の運転を続けていました。
しかしある日、Aさんは京都市中京区内の路上で、通行人Vさんと接触してVさんに怪我を負わせてしまうという人身事故を起こしてしまいました。
Aさんは、急いで京都府中京警察署に通報しましたが、そこでAさんが無免許運転をしていたことが発覚。
Aさんは無免許運転で人身事故を起こしたとして、捜査されることになりました。
Aさんは、今後の手続や自分の受ける処分が気になって不安になり、京都府の人身事故を含む刑事事件を取り扱う弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・無免許運転で人身事故…何罪に?
通常、無免許運転をすれば道路交通法に違反することになり、道路交通法違反という犯罪になります。
道路交通法第64条第1項
何人も、第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第90条第5項、第103条第1項若しくは第4項、第103条の2第1項、第104条の2の3第1項若しくは第3項又は同条第5項において準用する第103条第4項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
道路交通法第117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第1号 法令の規定による運転の免許を受けている者(第107条の2の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第88条第1項第2号から第4号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が1年を超えている場合を含む。)運転した者
そして、人身事故を起こしてしまった場合、通常であれば自動車運転処罰法(正式名称「」)という法律にある過失運転致傷罪となることが多いです(故意に危険運転行為をして人身事故を起こしてしまった場合は危険運転死傷罪に問われることになります。)。
自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
ここで注意しなければいけないのは、無免許運転で人身事故を起こした場合、単純に無免許運転による道路交通法違反と人身事故を起こしたことによる過失運転致傷罪(自動車運転処罰法違反)が成立するわけではないということです。
自動車運転処罰法では、過失運転致死傷罪にあたる人身事故を無免許運転をして起こしてしまった場合の加重規定を設けているのです。
自動車運転処罰法第6条
第4項 前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、10年以下の懲役に処する。
通常の過失運転致傷罪の刑罰が「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」とされているのに対し、無免許運転をして人身事故を起こした場合の刑罰は「10年以下の懲役」とされており、罰金刑が消え、懲役刑の上限が引き上げられています。
さらに、もしも無免許運転による道路交通法違反と通常の過失運転致傷罪の2つが成立すると考えた場合でも、その刑罰は「10年以下の懲役若しくは禁錮又は150万円以下の罰金」となり、罰金刑が定められることになるため(刑法第45条)、自動車運転処罰法第6条の無免許運転による過失運転致傷罪の加重規定はより厳しく処罰されるよう規定されていることが分かります。
・無免許運転による人身事故を起こしたら
人身事故を起こして刑事事件となった場合、被害者の方と保険とは別に刑事示談をするなどの弁護活動が考えられます。
こうした活動は刑事事件に詳しい弁護士に相談・依頼されることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、こうした交通事件についても初回無料法律相談を受け付けています。
まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。
あおり運転で妨害運転罪
あおり運転で妨害運転罪
あおり運転で妨害運転罪になったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
京都市右京区に住んでいるAさんは、自宅近くの道路で自動車を運転していた際、後続車を運転していたVさんの運転にいらだち、突然急ブレーキを踏むあおり運転を複数回行いました。
Vさんは危険を感じて停車し、京都府右京警察署に通報。
Vさんの車に搭載されていたドライブレコーダーからAさんのあおり運転行為が発覚し、Aさんは京都府右京警察署で妨害運転罪の容疑で取調べを受けることになりました。
Aさんは、あおり運転に関わる刑事事件にも対応している弁護士に相談し、取調べへの対応や今後の手続の流れを詳しく聞くことにしました。
(※令和2年9月8日毎日新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・妨害運転罪
昨今、あおり運転が問題となり、あおり運転に関連するニュースもよく目にするようになりました。
あおり運転は重大な交通事故に繋がり得る危険な行為であることもあり、あおり運転を規制する流れができてきました。
その流れの中で、今年の6月に道路交通法が改正され、「妨害運転罪」が創設されたのです。
妨害運転罪は、あおり運転を処罰するものです。
妨害運転罪という名前ではあるものの、正式な犯罪名としては、道路交通法違反となります。
道路交通法では、もともと危険な運転行為を個別に定め、刑罰を決めていましたが、今回の改正では、以下のようにして「妨害運転」=あおり運転に当てはまる運転態様を挙げ、これに当てはまった場合には妨害運転罪として処罰することを定めています。
道路交通法第117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第11号 他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者
イ 第17条(通行区分)第4項の規定の違反となるような行為
ロ 第24条(急ブレーキの禁止)の規定に違反する行為
ハ 第26条(車間距離の保持)の規定の違反となるような行為
ニ 第26条の2(進路の変更の禁止)第2項の規定の違反となるような行為
ホ 第28条(追越しの方法)第1項又は第四項の規定の違反となるような行為
ヘ 第52条(車両等の灯火)第2項の規定に違反する行為
ト 第54条(警音器の使用等)第2項の規定に違反する行為
チ 第70条(安全運転の義務)の規定に違反する行為
リ 第75条の4(最低速度)の規定の違反となるような行為
ヌ 第75条の8(停車及び駐車の禁止)第1項の規定の違反となるような行為
この条文で挙げられているイ~ヌの10個の類型が、いわゆるあおり運転として処罰される運転態様となります。
このあおり運転をして妨害運転罪となった場合、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります。
これは無免許運転や酒気帯び運転の刑罰と同じ重さの刑罰であることからも、あおり運転が厳罰化されたことがお分かりいただけると思います。
今回のAさんは、後続車であるVさんの運転する車に急ブレーキを繰り返していたということですから、このあおり運転の態様のうち「ロ」に該当するとして妨害運転罪の容疑をかけられたものと考えられます。
さらに、あおり運転をしたことによって道路上に著しい危険を生じさせた場合については、以下のように定められています。
道路交通法第117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第6号 次条第11号の罪を犯し、よつて高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者
この場合、ただあおり運転をした場合よりもさらに厳しく罰せられることになります。
最近のあおり運転への世間の関心の高まりにより、今回のAさんの事例のように、ドライブレコーダーをきっかけとしてあおり運転事件が発覚し、刑事事件の当事者となることも少なくないでしょう。
妨害運転罪のような新設された犯罪については、なかなか理解することが難しかったり、見通しが立てづらかったりしますから、まずは刑事事件の専門家に話を聞いてみることをおすすめいたします。
刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、あおり運転による妨害運転事件のご相談も受け付けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
普通免許で準中型車を運転して無免許運転
普通免許で準中型車を運転して無免許運転になってしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
◇無免許運転で検挙◇
Aさんは2018年に普通免許を取得し、いつも自家用車で通勤していましたが、ある日、仕事で2トントラックを使う必要が出てきたため、知人から2トントラックを借りて運転しました。
するとその道中、京都府城陽警察署の警察官が行なっていた交通検問にかかりました。
そこでAさんは、警察官から、「あなたが持っているのは普通免許で、このトラックは準中型車だから今あなたは無免許運転していることになる」と言われました。
Aさんは、今まで2トントラックを運転して問題ないという認識だったため、非常に驚きました。
Aさんは京都府城陽警察署で取調べを受けたのですが、その後の刑事手続きが不安で、京都府内の刑事事件を専門にしている弁護士に相談しました。
※フィクションです。
◇無免許運転◇
無免許運転というと、運転免許自体を取得していない人が自動車を運転することで成立する犯罪だというイメージが強いかもしれません。
しかし、運転免許を持っている人であっても、取得した免許の種別以外の自動車を運転すれば無免許運転となってしまいます。
無免許運転は、正式には道路交通法という法律に違反する、道路交通法違反という犯罪のことを指します。
道路交通法では、以下のように無免許運転について定めています。
道路交通法第64条第1項
何人も、第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第90条第5項、第103条第1項若しくは第4項、第103条の2第1項、第104条の2の3第1項若しくは第3項又は同条第5項において準用する第103条第4項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
そして、道路交通法では、その運転免許について以下のように定めています。
道路交通法第84条
第1項 自動車及び原動機付自転車(以下「自動車等」という。)を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。
第2項 免許は、第一種運転免許(以下「第一種免許」という。)、第二種運転免許(以下「第二種免許」という。)及び仮運転免許(以下「仮免許」という。)に区分する。
第3項 第一種免許を分けて、(略)、準中型自動車免許(以下「準中型免許」という。)、普通自動車免許(以下「普通免許」という。)、(略)と及び牽けん引免許の10種類とする。
さらに、道路交通法では、この次の第85条で、準中型自動車を運転するには準中型免許が必要である旨定めています。
つまり、たとえ普通免許を持っていたとしても、準中型免許を持たずに準中型自動車を運転すれば、それは道路交通法が求めている運転免許を持たずに運転したということになり、無免許運転となってしまうのです。
◇普通免許と準中型免許◇
では、普通免許で運転できる範囲の車と準中型免許で運転できる範囲の車はどういった車なのでしょうか。
現在、普通免許で運転できる車は最大積載量が2.0トン未満の車、準中型免許で運転できる車は最大積載量が4.5トン未満の車となっています。
Aさんが今回運転した2トントラックとは、一般に「2トン積載できるトラック」という意味で使われていますから、2トン以上積載できるトラックであったことが伺われます。
そうなると、Aさんは普通免許で運転できる範囲外の車を運転してしまったこととなり、それにより無免許運転となってしまったのだと考えられます。
なお、実は道路交通法の改正以前は普通免許でも最大積載量3.0トン未満の車であれば運転することができました。
しかし、2017年3月12日の道路交通法の改正により、先ほどあげたような現在の形になったのです。
そして、2007年6月2日から2017年3月11日の間に普通免許を取得した方については、普通免許であっても最大積載量3.0トン未満、車両総重量5.0トン未満の車についても運転ができるという限定がついています。
今回のAさんは2018年に普通免許を取得しているため、これには当てはまりません。
免許を取得した時期や種類で運転できる車の種類が変わってきますので、自分の免許がどれに該当するのか、現在の法律と照らし合わせてよく確認しておくことがおすすめです。
◇無免許運転に強い弁護士◇
無免許運転といっても、こうした運転免許自体は持っているのに無免許運転になってしまうという事例もあります。
そして、無免許運転をしてしまえば3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となる可能性が出てきます(道路交通法第117条の2の2 1号)。
単なる交通違反だと軽く考えず、刑事事件専門の弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、交通違反に関わる刑事事件のご相談も受け付けています。
お困りの際はお気軽にご相談ください。