自転車のひき逃げで逮捕されたら②

自転車のひき逃げで逮捕されたら②

自転車ひき逃げ逮捕されてしまったケースで、特にひき逃げによる道路交通法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

〜事例〜

京都府亀岡市に住んでいるAさんは、移動の際、スポーツタイプの電動アシスト付き自転車を利用していました。
ある日Aさんがその自転車に乗って移動している際、Aさんがよそ見運転をしていたことをきっかけに、通行人Vさんに衝突してしまいました。
Aさんは、「自転車に当たったくらい大丈夫だろう」と思い、「すみません」とだけ言ってその場を去りました。
しかし、Vさんは衝突によって骨折などの大怪我を負っており、後日、京都府亀岡警察署の捜査によってAさんは重過失傷害罪ひき逃げによる道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、自転車でもひき逃げになることに驚き、接見に訪れた弁護士に今後の対応や見通しについて相談することにしました。
(※令和3年1月25日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・自転車のひき逃げ事件〜道路交通法違反

前回の記事でも簡単に触れましたが、自動車の場合でも自転車の場合でも、ひき逃げ事件は「ひき逃げ」という罪名の犯罪が成立するわけではなく、人身事故を起こしたこと自体に犯罪が成立し(自動車の場合は過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪が、自転車の場合は過失の程度により過失傷害罪・過失致死罪や重過失傷害罪・重過失致死罪が成立します。)、さらにその場から適切な行為をせずに逃げた行為について道路交通法違反が成立するという構図になります。
今回の記事では、適切な行為をせずに逃げた行為、いわゆるひき逃げ行為によって成立する道路交通法違反について確認していきます。

道路交通法では、事故を起こしてしまった場合の対応について、いくつかの義務を定めています。

道路交通法第72条第1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

この条文の中に定められている義務は、一般に「救護義務」(負傷者の救護)、「危険防止措置義務」(道路上の危険を防止する)、「報告義務」(警察官等への通報・報告)と呼ばれています。
ひき逃げは「逃げる」という言葉が入っているものの、正確にはこれらの義務を果たさないことを指します。
ですから、ひき逃げをした際に「救護義務違反」や「報告義務違反」と言ったことを言われる場合がありますが、これはこの道路交通法の義務に違反しているということなのです。

この道路交通法の条文を見ると、「車両等の運転者その他の乗務員」が対象となっています。
過失運転致死傷罪などを定める自動車運転処罰法では、対象の乗り物が「自動車」となっていたのに対し、道路交通法のこの条文では「車両等」となっています。
この「車両等」は道路交通法でどのように定義づけられているのでしょうか。

道路交通法第2条第1項
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
第8号 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
第11号 軽車両 次に掲げるものであつて、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のものをいう。
イ 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)

つまり、道路交通法のひき逃げに関する条文の対象となる「車両等」には「軽車両」が含まれており、その「軽車両」の中に「自転車」が含まれていることから、先程挙げた道路交通法のひき逃げの条文は、自転車にも当てはまるということになるのです。

ひき逃げはあくまで自動車事故の問題だと思われがちですが、自転車でも人身事故を起こした場合、道路交通法上の義務が発生します。
昨今ではスポーツタイプなどのスピードの出る自転車も多く流通していますから、自転車による人身事故を気をつけることはもちろん、もしも事故を起こしてしまったら道路交通法上の義務を果たすよう気をつけましょう。
それでもパニックになってしまうなどしてひき逃げ行為をしてしまった場合、早めに弁護士に相談し、迅速に対応してもらいましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕されてしまった方にも在宅捜査を受けている方にも、まだ捜査はされていないがこれから刑事事件化が心配だという方にもお気軽にご相談いただけるサービスをご用意しています。
まずはお気軽にご相談ください。

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