【事例紹介】SMS認証代行でアカウントの不正取得

SMS認証代行によってアカウントの不正取得を行い逮捕された事件を基に、私電磁的記録不正作出・同供用罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を使った本人確認手続き「SMS認証」を代行し、依頼者にフリーマーケットアプリのアカウントを不正取得させたとして、京都府警サイバー犯罪対策課と田辺署は28日、私電磁的記録不正作出、同供用の容疑で、住所不定、無職の男(24)を逮捕した。
逮捕容疑は、6月9日、携帯電話番号とSMS認証コードを山形県天童市の男子大学生(19)に提供し、大手フリマアプリのアカウントを不正に取得させた疑い。
(後略)

(11月28日 京都新聞 「「SMS認証」代行の男を逮捕 フリマアプリのアカウントを不正取得させた疑い」より引用)

私電磁的記録不正作出・同供用罪

事務処理を誤らせる目的で、事実証明に関する電磁的記録などを不正に作り、提供した場合には、私電磁的記録不正作出・同供用罪に問われることになります。
電磁的記録とは、電子的方式や知覚的に認識することができない記録を指します。
例えば、いわゆるデータはこの電磁的記録に当たるため、今回の事例のフリーマーケットアプリのアカウントなどは、この電磁的記録にあたります。

今回の事例では、容疑者が本人確認手続きであるSMS認証を代行し、アカウントを不正取得させたと報道されています。
SMS認証は本人確認のために用いられるものですので、アカウントの使用者以外がSMS認証を代行することで、間違いなく本人であるという確認を誤らせ、事実証明に関する電磁的記録を不正に作り出したといえます。

また、容疑者が依頼者の代わりにSMS認証(本人確認)を行うことによって、アカウントを使用する本人ではないにも関わらずアカウントを取得してしまっているので、本人確認機能が機能しない(事務処理に誤りが生じている)ことになります。
容疑者は事実証明に関する電磁的記録を不正に作り、本人確認に関して事務処理を誤らせ、その不正に作りだした電磁的記録を依頼者に提供していますので、容疑者の行為は私電磁的記録不正作出・同供用罪にあたります。

私電磁的記録不正作出・同供用罪で有罪になった場合には、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになります。(刑法第161条の2第1項)
また、私電磁的記録不正作出・同供用罪は、作った本人だけでなく使用した人も罪に問われますので、今回の事例のSMS認証代行の依頼者も罪に問われる可能性があります。
依頼者が罪に問われ、有罪になった場合にも作り出した本人と同様に、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

SMS認証代行を行うと、私電磁的記録不正作出・同供用罪に問われる場合があります。
犯行の手軽さに反して、有罪になれば懲役刑が科される可能性もあり、私電磁的記録不正作出・同供用罪は刑罰が軽い犯罪とはいえません。
また、現在警察に捜査されていなくても、犯行が発覚してしまえば、今回の事例のように逮捕されてしまうかもしれません。

弊所では、自首を検討している方の相談も受け付けておりますので、私電磁的記録不正作出・同供用罪でお困りの方、自首を検討されている方は、ぜひ数多くの刑事事件を扱ってきた弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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