営業秘密侵害による不正競争防止法違反①

営業秘密侵害による不正競争防止法違反①

滋賀県高島市にある会社V社に勤務しているAさんは、営業を担当していました。
Aさんは営業の仕事をするためにと、V社から顧客情報やV社の売上データ、統計などの情報を開示されていました。
それらのデータには、限られた人しかアクセスできず、情報を閲覧するにはパスワードの入力が必要とされていました。
また、データの最初には「マル秘」のマークがついているものもありました。
ある日、AさんはV社から競合他社であるB社へ転職しようと思い立ち、V社から開示されたデータを自身の私用USBにコピーすると、それを持ち出し、B社の面接の際に一部を見せて自分を売り込みました。
そしてAさんはB社に転職し、V社のデータを利用して営業活動を行っていました。
するとある日、滋賀県高島警察署の警察官がAさん宅を訪れ、「営業秘密の侵害をした不正競争防止法違反の容疑がかかっている。警察署で話を聞きたい」と言われました。
その後、Aさんは不正競争防止法違反の容疑で逮捕されてしまい、Aさんの両親は急いで滋賀県京都府刑事事件を扱う弁護士に相談しました。
(※この事例はフィクションです。)

・営業秘密と不正競争防止法

皆さんの中にも、「会社の営業秘密は漏らしてはいけないもの」というイメージは強いでしょう。
しかし、営業秘密を漏らすことで犯罪になってしまうのか、なるならばどういった犯罪になるかまでは知らないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、営業秘密とそれに関連する不正競争防止法について取り上げます。

まず、Aさんは営業秘密を侵害した不正競争防止法違反の容疑で逮捕されていますが、営業秘密の侵害による不正競争防止法違反とはどういった犯罪なのでしょうか。
不正競争防止法の該当条文は以下のようなものになります。

不正競争防止法21条
次の各号のいずれかに該当する者は、10年以下の懲役若しくは2,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3号 営業秘密を保有者から示された者であって、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、次のいずれかに掲げる方法でその営業秘密を領得した者
ロ 営業秘密記録媒体等の記載若しくは記録について、又は営業秘密が化体された物件について、その複製を作成すること。

4号 営業秘密を保有者から示された者であって、その営業秘密の管理に係る任務に背いて前号イからハまでに掲げる方法により領得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、使用し、又は開示した者

このように、不正の利益を得る目的で営業秘密を複製して領得したり、それを任務に背いて使用・開示してしまえば、不正競争防止法違反となってしまうのです。
では、具体的にどういったものがこの不正競争防止法違反に該当するのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。

・「不正の利益を得る目的」

不正競争防止法違反となるには、「不正の利益を得る目的」若しくは「その保有者に損害を加える目的」で営業秘密の侵害をすることが必要です。
「その保有者に損害を加える目的」は文字通り、営業秘密を保有している会社や人に対して損害を与える意図で行うことを指します。
そしてもう一方の「不正の利益を得る目的」とは、公序良俗や信義則(相手の信頼を裏切らないように誠実に行動すべきであるという原則)に反するような形で不当な利益を得ようする意図で行うことを指します。
営業秘密を保有している側からすれば、営業秘密を業務以外で複製して持ち出すというようなことはしないと信頼してその人に開示しているはずですから、業務外に正当な理由がないにも関わらず、自分の利益のために営業秘密の持ち出しをしてしまえば、不当な利益を得ることを目的とした信義則に反する行いをしていると考えられるでしょう。

次回は、そもそもこの不正競争防止法の保護している「営業秘密」がどんなものであるのかを取り上げます。

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