営業秘密侵害による不正競争防止法違反②

2019-02-15

営業秘密侵害による不正競争防止法違反②

~前回からの流れ~
滋賀県高島市にある会社V社で営業として勤務していたAさんは、競合他社であるB社に転職しようと、V社から業務のために開示されていたV社の顧客情報やV社の売上データ、統計などの情報を私物のUSBにコピーし、それをB社の面接の際に見せ、自分を売り込みました。
それらのデータには、限られた人しかアクセスできず、情報を閲覧するにはパスワードの入力が必要とされていました。
また、データの最初には「マル秘」のマークがついているものもありました。
そしてAさんはB社に転職し、V社のデータを利用して営業活動を行っていましたが、滋賀県高島警察署の警察官から営業秘密の侵害をした不正競争防止法違反の容疑で逮捕されてしまい、Aさんの両親は急いで滋賀県京都府刑事事件を扱う弁護士に相談しました。
(※この事例はフィクションです。)

・不正競争防止法の「営業秘密」とは

前回は、営業秘密を不正の利益を得るため等に複製して領得することや、それを営業秘密の管理に係る任務に背いて私用・開示することが不正競争防止法違反に当たること、不正の利益を得る目的とは公序良俗や信義則に反するような行為によって不当な利益を得ることを目的とすることであるという内容を取り上げました。
今回は、ではそもそも不正競争防止法の言う「営業秘密」とは具体的にどういったものなのかを考えていきます。
不正競争防止法では、「営業秘密」について以下のように定義しています。

不正競争防止法2条6項
この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

つまり、「営業秘密」であると認められるためには、①「秘密として管理されている」こと(秘密管理性)、②「事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」であること(有用性)、③「公然と知られていない」こと(非行知性)の3点が必要であるということなのです。
そのため、会社がただ単に「これは営業秘密だ」と言うだけでは、不正競争防止法上の「営業秘密」とはならない可能性もあるのです。
では、これらの条件を詳しく見てみましょう。

①「秘密として管理されている」こと(秘密管理性)
営業秘密」と言えるには、その情報が秘密として管理されていることが必要です。
これは社外には情報が開示されていないということでは足りず、その情報にアクセスできる者が限られているのかどうか、その情報が秘密であることが明確に分かるのかどうか(社員等が認識していたのかどうか)等の事情をもって判断されます。
ですから、例えば「社外秘」というスタンプが押してある書類であっても、それが社内のだれでも見られるものであれば、一般常識として「営業秘密」と判断されても、不正競争防止法上の「営業秘密」とはならない可能性もあるのです。

②「事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」であること(有用性)
その情報が客観的に見て役に立つものである必要があるということです。
直接的に使えるものでなくとも、その情報があることによって経費の節約や将来の企画立案に役立つといった間接的に使えるものでも有用性があると認められます。
ですから、「その会社が成功したケース」というポジティブな情報だけでなく、「その会社が失敗したケース」というネガティブな情報であっても、有用性のある情報と認められます。

③「公然と知られていない」こと(非行知性)
営業秘密」であるには、文字通り、その情報が公に知られていないことが必要であるとされています。
情報を保有している者の管理下以外でその情報を手に入れることができない状況であり、公に知られていない状況であることが必要です。

これらの①~③に該当する場合には不正競争防止法上の「営業秘密」であると認められ、不正競争防止法の保護を受けることとなります。
次回は、Aさんの行為について具体的に検討するとともに、考えられる弁護活動についても触れていきます。

刑事事件専門弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士は、不正競争防止法違反のような複雑な経済犯罪についてもご相談を承っています。
触れてきたように、「営業秘密」であるかどうか等は、具体的な事情と法律知識を突き合わせて判断しなければいけません。
こうした場面でこそ、法律の専門家である弁護士のサポートが大切となります。
弊所の弁護士による初回接見サービスや初回無料法律相談のご予約・お問い合わせは24時間いつでも0120-631-881で受け付けておりますので、まずはお気軽にお電話ください。
滋賀県高島警察署までの初回接見費用:3万9,200円)