スポーツ選手の偽計業務妨害事件

2019-02-13

スポーツ選手の偽計業務妨害事件

Aさんは、とある企業の陸上部に所属して国内外の大会に出場している陸上選手です。
Aさんは、自分の記録が思うように伸びないにもかかわらず、同期であるBさんが記録を伸ばし大会で上位に入り続けていることに焦りを感じていました。
そこでAさんは、京都府京田辺市で開かれた大会の競技直前にBさんが競技で使用するシューズを隠したり、使用すればドーピングに引っかかる禁止薬物をこっそりBさんの飲み物に混ぜたりしました。
結果としてBさんはドーピング検査で異常があるとして大会出場ができなくなってしまいました。
その後、Bさんが自分は薬物を使用していないという主張をしたことから調査がなされ、Aさんの嫌がらせ行為が発覚しました。
そして、Aさんは京都府田辺警察署偽計業務妨害罪の容疑で話を聞かれることになってしまいました。
(※平成30年7月27日産経新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・スポーツ選手の偽計業務妨害事件?

スポーツ選手への嫌がらせ行為と業務妨害罪は、なかなか結び付きづらいかもしれません。
しかし、スポーツ選手の仕事はまさにスポーツ・競技に取り組み、成績を残すことです。
例えば、AさんやBさんのような企業に所属する陸上選手の場合、競技に取り組んだり大会等で活躍したりすることで企業のPR活動を行うことが仕事の1つです。
今回Aさんが容疑をかけられている偽計業務妨害罪だけでなく、業務妨害罪における「業務」とは、人がその社会的地位に基づいて、もしくはその社会的地位と関連して行う職業等の継続して従事することを必要とする仕事を指します。
こう考えると、スポーツ選手という仕事も業務妨害罪のいう「業務」にあたると考えられるでしょう。
ですから、嫌がらせ行為によって競技をすることを妨害することは業務妨害罪となりえるのです。

では、具体的に今回のAさんが容疑をかけられている偽計業務妨害罪の内容を見ていきましょう。

刑法233条(信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

偽計業務妨害罪が成立するには、「虚偽の風説を流布」するか、「偽計を用い」るかして「業務を妨害」していることが必要です。
「虚偽の風説を流布」するとは、文字通り、虚偽の事項を内容とする噂を不特定または多数の者に知れ渡るように伝えることを言います。
そして、「偽計」を用いるとは、人を騙したり誘惑したり、他人の無知や勘違いを利用することを指します。
今回のAさんは、Bさんに関する虚偽の噂を広めることでBさんの業務を妨害したわけではないので、「偽計」を用いたと考えられます。
Aさんの行った嫌がらせ行為は、Bさんのシューズを隠したり、Bさんに隠れてBさんの飲料に禁止薬物を混ぜて飲ませたりしたことです。
このうち、シューズを隠した行為については、Bさんにシューズがないと思わせている=Bさんを騙していると考えられますし、Bさんの飲料に禁止薬物を混ぜて飲ませたことも、Bさんを騙している、もしくはBさんが禁止薬物が入っている飲料であることを知らないことを利用していると言えそうです。
さらに、今回のAさんの嫌がらせ行為によって、Bさんは大会への出場ができなくなっていますから、業務を妨害されていると言えるでしょう。
なお、業務妨害罪は実際に業務を妨害されたかどうかではなく、業務妨害のおそれがあったかどうかで成否が判断されます。
仮に今回のAさんの嫌がらせ行為によってBさんが大会に出られないことにならなかったとしても、Bさんが大会に出られなかったり競技ができなかったりするおそれのある行為をしていれば、偽計業務妨害罪が成立すると考えられるのです。

こうした偽計業務妨害事件では、業務妨害を受けた被害者に対しての謝罪・弁償による示談交渉や、再犯防止対策の構築、取調べ等捜査機関への対応のサポート等の弁護活動が考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の強みを生かして幅広い弁護活動を行っています。
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