Archive for the ‘未分類’ Category

(京都市中京区)器物損壊罪で逮捕

2019-07-03

(京都市中京区)器物損壊罪で逮捕

◇事例◇
Aさんは、京都市中京区にある自宅の近所の居酒屋で飲んでいました。
そして、家への帰り道、酔っぱらっていたAさんは、気が大きくなり、通りすがりの飲食店の看板を「邪魔だ」と言って蹴って壊した後、そのまま帰宅しました。
その日の営業終了後、看板が壊れていることに気付いた飲食店の店長は監視カメラの確認をしました。
そこに看板を蹴るAさんを確認した店長は、京都府中京警察署器物損壊罪の被害届を出しました。
その後、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(事実をもとにしたフィクションです。)

◇器物損壊罪◇

~刑法 261条~
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪における「損壊」とは単純にその物を破損したという意味にとどまりません。
器物損壊罪における「損壊」という言葉は、その物の効用を害する行為全般を指します。
物理的な損壊だけでなく、物の価値を低下させる行為も「損壊」に該当すると言えます。
例えば、バイキング形式の飲食店で他の利用客も使用する可能性のある取り分け用の箸等の器具を口に咥えてしまい、そのまま元の場所に戻すことも「損壊」と認められるでしょう。
次から取ろうとする人は、心理的に使いたくなくなるため、物の効用を害していると言えるからです。

また、外壁への落書きに関しても、見栄えが悪くなるという点で価値を損ねているため、「損壊」となり得るでしょう。
(※ただし、建物などに対する過剰な落書きは、建造物等損壊罪(刑法 260条)という器物損壊罪より重い罪となる場合もあります。)

一方、器物損壊罪における「傷害」とは、主に他人の飼っているペットや動物園等で飼われている動物が対象として想定されています。
犬や猫や鳥などペットは器物損壊罪における器物に含まれ、傷つけると器物損壊罪に該当します。
また、器物損壊罪における「傷害」においても物の価値を低下させる行為も含まれます。
例えば、他人の飼っているペットを勝手に逃がす行為はペットとしての効用を害していると言えるため傷害行為に当たります。

◇今回の事例について◇

今回の場合、Aさんが看板を蹴って壊した行為は看板の価値を低下させており、器物損壊罪に当たると言えるでしょう。

余談として、仮にAさんが酔っぱらっているせいでふらついて意図せず看板に当たってしまい壊れた場合は、どうなるでしょうか。
というのも、器物損壊罪は故意でないと成立しません。
つまり、壊す気はなく偶然転んでしまって看板を壊してしまっても、器物損壊罪には当たりません。
当然、民事上の弁償は必要となりますが、刑事事件とはならない可能性が高いです。
しかし、わざと看板を壊したのではないかと器物損壊罪を疑われる可能性は十分ありますから、もし刑事事件化しそうであるなら、弁護士に相談することをおすすめします。

◇弁護活動◇

器物損壊罪の容疑で逮捕された場合、できるだけ早く弁護士をつけるべきでしょう。
それは、逮捕後勾留決定までの最大72時間は、弁護士なら面会が認められるからです(この時間は原則、一般の方の面会は認められません。)。
また、逮捕直後の混乱した時期に弁護士と会うことで、弁護士が被疑者自身にとって不利な供述をさせられないようにアドバイスすることもできます。

更に、器物損壊罪は親告罪の一つです。
親告罪とは、被害者からの申し出(告訴)がなければ起訴できない犯罪のことです。
器物損壊事件の場合は、損壊したものを弁償し謝罪すれば、被害届や告訴を取り下げてくださる被害者も少なくありません。
逮捕されていても、示談が成立して告訴を取り下げてもらえば不起訴になるため、被疑者は解放されます。
ですが、いったん起訴されてしまうと、その後示談が成立しても起訴を取り下げてもらうことはできず、すぐに釈放されるわけではありません。

つまり、事件が起こってから裁判になるまでのわずかな時間の中でいかに早く動き出すかでその後の人生が大きく変わるといえるのです。
そういった意味でも、早急に刑事事件に強い弁護士に相談し、被害弁償をして、示談を成立させ、身柄を解放してもらうために動いてもらうことをお勧めします。

京都府刑事事件でお困りの方、ご自身やご家族の器物損壊罪に関してお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせは0120-631-881でいつでも受け付けております。

バスで公務執行妨害事件?

2019-07-01

バスで公務執行妨害事件?

Aさんは、通勤に京都府京田辺市内を走る市営バスを利用していました。
ある日、Aさんがバス停に向かうと、ちょうどバスがバス停に停まっていました。
Aさんはバスに乗り込もうと走りましたが、バスが発車する様子を見せたので、バスを追いかけ、その後部を手で叩いて停車させました。
そしてバスに乗り込んだAさんは、運転手に向かって暴言を吐きながら胸倉をつかむなどしました。
その場は運転手や乗客に諫められたAさんでしたが、後日、バスの運転手が京都府田辺警察署に相談し、被害届を出したことがきっかけとなり、Aさんは公務執行妨害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和元年6月19日朝日新聞DIGITAL配信記事を基にしたフィクションです。)

・公務執行妨害罪

今回の事例でAさんの逮捕容疑となっている公務執行妨害罪は、刑法95条に規定されている犯罪です。

刑法95条(公務執行妨害罪)
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害事件として多く見られるのが、警察官に対する公務執行妨害事件です。
警察官が職務質問をしたり、証拠品を押収しようとしたりといった場面で、その警察官に抵抗をして暴行を加えたり、脅迫を行ったりして公務執行妨害罪が成立してしまう、というケースが多く見られます。
映画やドラマでも、警察官に対して暴行を行った人が公務執行妨害罪で逮捕される、という場面を見たことのある人も多いのではないでしょうか。

・バスで公務執行妨害罪?

先ほど触れたように、警察官への暴行・脅迫により成立するイメージの強い公務執行妨害罪ですが、条文を見ても分かる通り、公務執行妨害罪の成立には「公務員が職務を執行するに当たり」、暴行や脅迫を加えることが求められています。
ですから、公務執行妨害罪の成立において、暴行・脅迫の対象は警察官だけに限定されるわけではありません。

では、今回の事例を見てみましょう。

市営バスは、市が運営しているものですから、そこに勤務している人は市に雇われた公務員となるでしょう。
その市営バスの運転手が市営バスを運転することは、「その職務を執行する」ことと言えるでしょう。
今回のAさんは、その際に運転手に対し、胸倉をつかむなどの行為をしています。
公務執行妨害罪にいう「暴行」とは、人に対する不法な有形力の行使であるといわれていますから、胸倉をつかむ行為も「暴行」を加える行為と見ることができるでしょう。
したがって、今回のAさんには、市営バスの運転手に暴行を加えたことで運転業務を妨害したとして、公務執行妨害罪が成立しうるということになるのです。

公務執行妨害罪が保護しているのは、公務員の職務です。
そのため、公務執行妨害事件では、被害者は公務を妨害された国や地方公共団体となります。
こうしたことから、公務執行妨害事件での示談交渉相手は国や地方公共団体となることが多く、示談締結が難しいといわれています。
ですが、反省の気持ちを謝罪文としてあらわしそれを受け取っていただくなど、交渉次第では何かしらお詫びの気持ちをお伝えすることができる場合もあります。
公務執行妨害事件だから何もできない、することがないとあきらめず、まずは刑事事件に強い弁護士に相談してみることが望ましいでしょう。

刑事事件専門弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、フリーダイヤル0120-631-881で、24時間365日、いつでも弊所弁護士によるサービスをご案内しています。
京都府公務執行妨害事件で逮捕されてしまった方、そのご家族は、遠慮なくお電話ください。

食中毒から刑事事件に?②~食品衛生法違反

2019-06-29

食中毒から刑事事件に?②~食品衛生法違反

~前回からの流れ~
Aさんは、京都市下京区でお総菜を販売する飲食店を経営しています。
ある日、Aさんの飲食店でお惣菜を購入したり、食事をしたりした人たちが軒並み体調を崩してしまったと連絡が入りました。
保健所の検査が入り、体調を崩した人たちは、Aさんの飲食店の総菜が原因の食中毒で体調を崩してしまっていたことがわかりました。
その後、Aさんは保健所から、「もしかすると行政処分だけでなく、刑事事件になって刑事処分が下される可能性がある」と聞きました。
Aさんは、そうなれば自分は京都府下京警察署に逮捕されてしまうのではないかと不安になり、まずは刑事事件に詳しい弁護士に聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・食中毒と食品衛生法違反

前回の記事では、食中毒を起こしてしまった場合、場合によっては業務上過失致死傷罪という刑法上の犯罪に該当する可能性があることを取り上げました。
その業務上過失致死傷罪以外にも、食中毒が犯罪になり、刑事事件となる場合があります。
それが、食品衛生法違反事件となる場合です。

食品衛生法は、食品の安全性確保のための規制や措置を定めた法律で、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止と、それによって国民の健康保護を目的とする法律です(食品衛生法1条)。
食品衛生法違反といえば行政罰(例えば営業停止など)のイメージが強いかもしれませんが、食品衛生法にも刑事罰が規定されている条文があります。
ですから、食品衛生法違反となった場合、刑事事件に発展することも十分考えられるのです。

では、食中毒を発生させてしまった際、食品衛生法のどの条文に触れる違反となり、どういった刑事罰を受けることが考えられるのでしょうか。
食品衛生法6条の規定を見てみましょう。

食品衛生法6条
次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。
1 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。
ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
2 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。
ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
3 病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
4 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。

例えば、飲食店において、「少し悪くなっている肉だけどこれくらいならいいだろう」といって料理に使ってしまったような場合には、この食品衛生法6条1項に当てはまる可能性が考えられます。
この食品衛生法6条に違反した場合、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」に処せられることになります(食品衛生法71条1項1号)。

・食中毒の刑事事件と弁護活動

では、食中毒に関連した刑事事件で予想される弁護活動には、どのようなものがあるでしょうか。

まず、前回の記事で取り上げた業務上過失致死傷事件となっている場合には、被害者の方が存在します。
ですから、被害者の方への謝罪や弁償を含む示談交渉が考えられるでしょう。
今回取り上げた食品衛生法違反事件の場合には、食品衛生法が保護しているものが公衆衛生であるため、法律上は被害者がいないことになりますが、それでも事実上被害を受けたという方が存在すれば、その方へ向けた謝罪や弁償をしていくことも考えられます。
食中毒事件では、被害者の方が多数に上ることもありますから、こうした活動に精通した弁護士に相談することが望ましいでしょう。

また、被害者の方の数が多かったり、その被害が重篤であったりした場合には、逮捕・勾留されて捜査されることも考えられます。
そうした場合には、弁護士を通じて釈放を目指した活動を行うことも考えられます。
先ほど触れた示談交渉の結果や進捗、ご家族等による監督体制を主張していくことで釈放を目指すことになるでしょう。

食中毒に関連した刑事事件は頻発するものでもなく、なじみがないからこそ、巻き込まれてしまった場合動揺も大きくなってしまうかもしれません。
しかし、だからこそ専門家である弁護士に相談すべきです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に扱う弁護士が迅速に弁護活動にあたります。
お問い合わせは0120-631-881までいつでもお電話ください。

食中毒から刑事事件に?①~業務上過失致死傷罪

2019-06-27

食中毒から刑事事件に?①~業務上過失致死傷罪

Aさんは、京都市下京区でお総菜を販売する飲食店を経営しています。
ある日、Aさんの飲食店でお惣菜を購入したり、食事をしたりした人たちが軒並み体調を崩してしまったと連絡が入りました。
保健所の検査が入り、体調を崩した人たちは、Aさんの飲食店の総菜が原因の食中毒で体調を崩してしまっていたことがわかりました。
その後、Aさんは保健所から、「もしかすると行政処分だけでなく、刑事事件になって刑事処分が下される可能性がある」と聞きました。
Aさんは、そうなれば自分は京都府下京警察署に逮捕されてしまうのではないかと不安になり、まずは刑事事件に詳しい弁護士に聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・食中毒に注意

梅雨入りが遅れていた関西も、つい先日梅雨入りとなりました。
梅雨の時期から夏の時期になると話題に上りやすいことの1つとして、食中毒が挙げられます。
梅雨は雨の日が多くなる関係上、湿気が多い時期です。
梅雨が明ければ本格的な夏となりますが、そうなれば今度は温度が上昇します。
高温多湿の環境では、食品についた菌が増殖しやすく、食中毒のリスクが上がってしまいます。
食中毒は、嘔吐や下痢、それに加えて腹痛が起こるものが多く、皆さんのイメージもそういったものが多いかと思います。
しかし、それらの症状にとどまらず、発熱などの症状が出る食中毒もあり、重症化すれば食中毒といえど命の危険があるものもあります。

こうした食中毒そのものに注意することはもちろん当然ですが、この食中毒に関連して刑事事件となる可能性もあることにも注意が必要です。

・食中毒で業務上過失致死傷罪

食中毒に関連して起こりうる刑事事件の1つに、業務上過失致死傷事件があります。
業務上過失致死傷罪は、刑法に規定されている犯罪です。

刑法211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

この刑法211条の前段が、業務上過失致死傷罪と呼ばれる犯罪の規定です(後段は重過失致死傷罪という犯罪です。)。

業務上過失致死傷罪の「業務」とは、「人は社会生活上の地位に基づき反復・継続して行う行為であり、かつ、他人の生命・身体に危害を加えるおそれのあるもの」というとされています(最判昭和26.6.7)。
今回のAさんのように、当事者が飲食店や飲食物を販売する業者であった場合、そうした業者であるという社会的立場に基づき、飲食物の販売・提供を繰り返しているということができます。
また、飲食物が安全でなかった場合、今回のテーマとなっている食中毒のようなことが起きてしまうことからも、「他人の生命・身体に危害を加えるおそれ」があるとも考えられます。

そして、業務上過失致死傷罪の罪名に入っている「過失」とは、簡単に言えば不注意のことを指します。
条文上では「必要な注意を怠り」と書いてあります。
つまり、「業務」を行うにあたって要求される注意義務に違反すること=すべき注意をしなかったことが業務上過失致死傷罪の「過失」という部分にかかってくるのです。
例えば、今回のAさんの場合、お惣菜を客に提供するまでに、食品や店内、使用する器具などの衛生管理を行い、お惣菜を食べた客が食中毒などにならないようにしなければならないはずです。
そうした注意を怠っていた場合、「過失」があるとされ、業務上過失致死傷罪が成立しうるということになるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした食中毒にかかわる刑事事件のご相談ももちろん受け付けております。
食中毒という言葉と刑事事件という言葉は、なかなか結び付けづらいかもしれません。
だからこそ、いざ当事者になってしまった際に、どうしたらよいのか思いつきづらいことでしょう。
弁護士刑事事件の専門家です。
お困りの際は遠慮なくご相談ください。

サイバーパトロールでわいせつ電磁的記録媒体陳列罪発覚

2019-06-25

サイバーパトロールでわいせつ電磁的記録媒体陳列罪発覚

兵庫県に住んでいるAさんは、とある動画投稿サイトに、自身が全裸になった動画や性器を露出した動画を複数件投稿していました。
するとある日、京都府木津警察署の警察官がAさん宅にやってきて、Aさんはわいせつ電磁的記録媒体陳列罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、動画の件で兵庫県に住んでいる自分が京都府木津川市にある京都府木津警察署に逮捕されることは全く想定外のことであったため、非常に驚きました。
Aさんの家族は、全国展開している刑事事件に強い弁護士初回接見サービスを利用し、Aさんのもとへ弁護士を派遣しました。
弁護士がAさんの話を聞いた結果、Aさんは京都府木津警察署サイバーパトロールによって動画を発見され、検挙されたことがわかりました。
(※令和元年6月25日日テレNEWS24配信記事を基にしたフィクションです。)

・わいせつ電磁的記録媒体陳列罪

今回のAさんの逮捕容疑であるわいせつ電磁的記録媒体陳列罪は、刑法175条に規定されている犯罪です。

刑法175条(わいせつ物頒布等)
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。
電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

この条文は、一般に「わいせつ物頒布等罪」と呼ばれており、内容としてはAさんの逮捕容疑であるわいせつ電磁的記録媒体陳列罪のほか、わいせつ物頒布罪等も含まれています。

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪のいう「わいせつ物」とは、「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反する」ものを指すといわれています。
つまり、①徒に性欲を刺激又は興奮させるものであり、②一般人の正常な性的羞恥心を害するものであり、③善良な性的道義観念に反するものであるという、3つの要件を満たすものがわいせつ電磁的記録媒体陳列罪のいう「わいせつ物」となるのです。

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪は、この「わいせつ物」である「電磁的記録媒体」=動画や写真などのデータを、不特定多数の人が認識できる状態に置く=「公然と陳列」した場合に成立する罪です。

さて、今回のAさんは、自身が全裸になった動画や性器を露出した動画を動画投稿サイトに投稿していたようです。
これらの動画の内容は先ほどの「わいせつ物」の3つの要件に当てはまるといえるでしょう。
動画投稿サイトに投稿された動画は、もちろん不特定多数の人が見る可能性のある状態にありますから、「公然と陳列」されているといえます。
これらのことから、今回のAさんの行為にはわいせつ電磁的記録媒体陳列罪が成立しうるということになるのです。

・弁護活動

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪は、性秩序の維持等を保護するために規定されていると考えられています。
つまり、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪は社会に対する犯罪であり、法律上具体的な被害者は存在しません。
そのため、具体的被害者の存在する刑事事件(例えば痴漢事件等)とは異なり、被害者への謝罪や弁償を行って示談を締結し、刑罰の軽減や釈放を目指すことができません。
だからこそ、そのほかしょく罪寄附や再犯防止策の構築などを専門的な知識・経験をもつ弁護士のサポートを受けながら行い、刑罰の軽減や釈放を目指していく必要があるのです。

わいせつ電磁的記録媒体陳列事件は、Aさんの事例のように、被疑者自身が住んでいる場所に近い警察署が検挙を行うとは限りません。
現在では、多くの警察署でサイバーパトロールが行われており、遠隔地の警察署がサイバーパトロールの結果わいせつ電磁的記録媒体陳列行為を発見するということも十分あり得るのです。
そうなった場合、ご家族もなかなか被疑者のもとへ行くことも難しく、事件の状況を把握するのにも一苦労です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、全国に13支部を展開する刑事事件専門の法律事務所です。
わいせつ電磁的記録媒体陳列事件に御困りの際は、弊所弁護士までご相談ください。

京都市左京区で廃掃法違反(不法投棄)

2019-06-23

京都市左京区で廃掃法違反(不法投棄)

京都市左京区在住のAさんは,隣人のBさんとトラブルになり,Bさん宅の庭に中央区のごみ集積所から持ち去った可燃ごみを捨てました。
Bさんが通報し,Aさんは,京都市左京区を管轄する京都府下鴨警察署の警察官に,廃掃法違反不法投棄)の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は,京都府下鴨警察署からAさん逮捕の連絡を受け,ひとまず弁護士に接見に行ってもらい,事件の概要やAさん自身の認否などを確認してきてもらうことにしました。
(フィクションです。)

~廃掃法違反(不法投棄)~

私有地などにごみを捨てた場合,廃棄物の処理及び清掃に関する法律廃掃法)違反によって罰せられる可能性があります。
廃棄物を投棄した場合,5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその両方が科せられます(廃掃法25条14号,16条)。
「廃棄物」とは,ごみ・粗大ごみ・燃えがら・汚泥・糞尿・廃油・廃酸・廃アルカリ・動物の死体・その他汚物・その他不要物をいいます(廃掃法2条1項)。
「不要物」とは,価値のない物を指し,占有者自らが利用し,または他人に有償で売却することができない物と解されています。
Aさんが,Bさん宅の庭という私有地に集積所にあった可燃ごみを捨てる行為は,廃掃法違反不法投棄)となる可能性が高いです。

~不法投棄で廃掃法違反以外は成立する?~

今回のAさんは,隣人トラブルからBさん宅の庭にごみを捨てています。
これを繰り返し行っていた場合,京都府の迷惑防止条例違反となる可能性もあります。

京都府迷惑港防止条例6条
何人も、特定の者に対する職場、学校、地域社会、商取引、金銭貸借、係争又は調停の関係に起因するねたみ、うらみその他悪意の感情(これらの感情のうち、ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第1項に規定する怨えん恨の感情を除く。)を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次に掲げる行為(第1号から第4号までに掲げる行為については、身体の安全若しくは住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復して行ってはならない。
(1)~(5)略
(6)汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

ごみはこの「汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物」にあたる可能性がありますし,その人の家の庭にごみを置くことは「知り得る状態に置くこと」といえるでしょう。
ですから,Aさんがこの不法投棄行為を繰り返していた場合には,京都府迷惑行為防止条例違反となる可能性が出てくるのです。
こちらに違反した場合,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることになります。

廃掃法違反不法投棄)は,前述のとおり重い犯罪です。
廃掃法違反不法投棄)で逮捕され,刑事事件化してしまったような場合には,なるべく早く弁護士に依頼すべきです。
廃掃法違反のような社会的法益を侵害する刑事事件は,証拠隠滅のおそれが高いと認識されており,逮捕や勾留の上,取り調べを受けるリスクが高いといえます。
そのため,廃掃法違反事件の発覚または逮捕された場合には,すぐに刑事事件に詳しい弁護士に相談し,適切な見通しと取調べ対応等を知ることが大切です。
依頼を受けた弁護士は,身体拘束からの解放のための活動,取調べ対応の助言,裁判になった場合の情状弁護活動などを行います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,24時間いつでもお問合せを受け付けております。
0120-631-881までお電話ください。

(京都府亀岡市)振り込め詐欺とだまされたふり作戦②

2019-06-21

(京都府亀岡市)振り込め詐欺とだまされたふり作戦②

~前回からの流れ~
京都府亀岡市に住んでいるVさんは、Aさんから、Vさんの息子を装った電話を受けました。
AさんはVさんに「事故を起こしてしまって示談金100万円が必要だ。今から友人を向かわせるから100万円を渡してくれ」と伝えました。
Vさんは、とりあえず話を聞きましたが、よく報道されている振り込め詐欺だと思い、相手にしないようにしようと考えました。
すると、今度は京都府亀岡警察署の警察官を名乗るBさんから電話が入りました。
Bさんは、「私は京都府亀岡警察署の警察官です。今捜査している振り込め詐欺グループの電話番号リストにこの番号があったので電話させてもらいました。もし振り込め詐欺グループから電話があれば、だまされた作戦にご協力ください」と言ってきました。
Vさんは、警察官が張り込んでいるのでだまされたふりをしてお金を渡してほしいというBさんの言葉を信じて、自宅にやってきた息子の友人を名乗る人物に100万円を渡しました。
しかし、その後いくら待っても警察から連絡が来ないことを不審に思ったVさんが、京都府亀岡警察署に連絡すると、Aさんという警察官がいないこと、現在だまされたふり作戦を頼んでいる事件がないことを知りました。
そこでVさんは、今までの経緯を京都府亀岡警察署に話し、被害届を出しました。
その後の捜査により、AさんとBさん、友人役をしたCさんが、詐欺罪の容疑で逮捕されました。
(※この事例はフィクションです。)

・だまされたふり作戦を装った詐欺事件

前回の記事では、振り込め詐欺だまされたふり作戦について触れました。
今回は、Aさんらの詐欺事件のような、だまされたふり作戦を装った詐欺事件について取り上げます。

振り込め詐欺事件は、複数人が一緒になって役割分担をして、詐欺を計画・実行していることも多い詐欺事件です。
だまされたふり作戦を装った詐欺事件でも、被害者にあたかもだまされたふり作戦に協力しているかのように思わせるため、典型的な振り込め詐欺を装った電話をかける役(今回の事例で言えばAさん)と、その詐欺についてだまされたふり作戦を提案する警察の役(今回の事例であればBさん)、さらに現金やキャッシュカードを受け取るいわゆる「受け子」の役(今回の事例で言えばCさん)といった役割分担がなされていることが多いです。
だまされたふり作戦を装った詐欺事件では、先に詐欺らしき怪しい電話がかかってきた後で警察を名乗る電話が来ることから、後でかかってきた警察を装った電話を信じてしまいやすく、さらにだまされたふり作戦に協力して犯人を検挙するのだという善意からも信じてしまうこともあるようです。

だまされたふり作戦を装った詐欺の場合、「警察に協力してだまされたふりをしているだけなので犯人はすぐに検挙され、お金等はすぐに返ってくる」と被害者に信じ込ませることで、お金等をだまし取っていることから、ほかの手口の詐欺同様、刑法の詐欺罪にあたります。

刑法246条(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪の「人を欺いて」とは、簡単に言えば「人をだまして」ということになりますが、このだます内容については、その事実が嘘であると知っていれば(その事実についてだまされていると知っていれば)、被害者が財物を渡さなかったであろう内容である必要があるとされています。
今回のようなだまされたふり作戦を装った詐欺事件では、被害者が本物の警察のだまされたふり作戦に協力しているのであって、犯人の検挙やお金の返還がなされると思って財物であるお金を渡しているということになります。
もしもこれが本物のだまされたふり作戦でないと知っていれば、お金を渡さなかったでしょうから、詐欺罪の「人を欺いて」にあたることになるのです。

・だまされたふり作戦を装った詐欺事件の弁護活動

先ほど触れたように、だまされたふり作戦を装った詐欺事件では、複数人共犯者が存在することが多いです。
そうなれば、口裏合わせを防止するために、逮捕・勾留といった身体拘束を伴う捜査が行われる可能性も高く、さらに弁護士以外との接見を禁止する接見禁止処分も付される可能性があります。
そうなれば、身体拘束によって会社や学校にいけないだけでなく、ご家族とも面会できずに1人で長期間の身体拘束期間を乗り切らなければなりません。
これは被疑者にとって非常に負担の重いことです。
弁護士に依頼することで、ご家族との伝言のやり取りを行えるだけでなく、この接見禁止処分自体をご家族に限って解除する活動もしてもらうことができます。

さらに、詐欺事件には被害者が存在するため、弁護士を通じて謝罪と弁償を行い、示談締結を目指すことも重要な活動の1つです。
だまされたふり作戦を装った詐欺事件は計画性もあり、悪質であると判断される可能性があります。
きちんと謝罪を行い、被害弁償を行うことで、反省の意を伝えることができます。
こうした活動にも、専門家である弁護士の力が大きな助けとなります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士詐欺事件にも迅速に対応いたします。
まずはお電話にて、お気軽にお問合せください。
(フリーダイヤル:0120-631-881

(京都府亀岡市)振り込め詐欺とだまされたふり作戦①

2019-06-19

(京都府亀岡市)振り込め詐欺とだまされたふり作戦①

京都府亀岡市に住んでいるVさんは、Aさんから、Vさんの息子を装った電話を受けました。
AさんはVさんに「事故を起こしてしまって示談金100万円が必要だ。今から友人を向かわせるから100万円を渡してくれ」と伝えました。
Vさんは、とりあえず話を聞きましたが、よく報道されている振り込め詐欺だと思い、相手にしないようにしようと考えました。
すると、今度は京都府亀岡警察署の警察官を名乗るBさんから電話が入りました。
Bさんは、「私は京都府亀岡警察署の警察官です。今捜査している振り込め詐欺グループの電話番号リストにこの番号があったので電話させてもらいました。もし振り込め詐欺グループから電話があれば、だまされた作戦にご協力ください」と言ってきました。
Vさんは、警察官が張り込んでいるのでだまされたふりをしてお金を渡してほしいというBさんの言葉を信じて、自宅にやってきた息子の友人を名乗る人物に100万円を渡しました。
しかし、その後いくら待っても警察から連絡が来ないことを不審に思ったVさんが、京都府亀岡警察署に連絡すると、Aさんという警察官がいないこと、現在だまされたふり作戦を頼んでいる事件がないことを知りました。
そこでVさんは、今までの経緯を京都府亀岡警察署に話し、被害届を出しました。
その後の捜査により、AさんとBさん、友人役をしたCさんが、詐欺罪の容疑で逮捕されました。
(※この事例はフィクションです。)

・振り込め詐欺

振り込め詐欺は、電話や手紙などによって被害者をだまし、金銭の振込をさせる手口の詐欺です。
振り込め詐欺は注意喚起も多くなされており、報道でもよく取り上げられるタイプの詐欺ですから、振り込め詐欺ときいてどういった詐欺なのかイメージしやすいという方も多いでしょう。
振り込め詐欺の例としては、オレオレ詐欺や架空請求詐欺、還付金詐欺が挙げられます。
振り込め詐欺はその名前の通り、刑法246条に規定のある詐欺罪にあたる犯罪行為です。

刑法246条(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

振り込め詐欺では、被害者の親族や関係者や公務員、そのほかの会社の職員など別の身分を装ったり、嘘の事実を本当のように伝えたりしてお金を振り込ませているため、「人を欺いて財物を交付させ」るということになるのです。

・だまされたふり作戦

こうした振り込め詐欺や特殊詐欺といった詐欺事件に対して、最近注目されているのが「だまされたふり作戦」です。
だまされたふり作戦は、その名前の通り、詐欺にだまされたふりをして、詐欺事件の被疑者の検挙を行うというものです。
詐欺のターゲットとされた被害者が、振り込め詐欺事件でだますための電話がかかってきた段階で詐欺だと気づき、警察に通報した場合、警察と協力して振り込め詐欺事件の被疑者を検挙する、というパターンが多いです。
この時、振り込め詐欺の中でいわゆる「受け子」と呼ばれている、金銭やキャッシュカード等を被害者から受け取る役割をしている人が現行犯逮捕されるケースが多く、そこから振り込め詐欺グループが検挙されていくこともあります。

このだまされたふり作戦で実際に被疑者が検挙されているケースもあり、報道されることもあります。
ですから、だまされたふり作戦についてご存じの方も少なくないかもしれません。
しかし、上記事例のように、このだまされたふり作戦を騙って詐欺をする手口も現れ始めています。
次回の記事ではこの手口について詳しく触れていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に取り扱っています。
振り込め詐欺事件ももちろん、弊所弁護士が迅速に対応を開始いたします。
振り込め詐欺事件は集団で行われることも多く、そうしたことから逮捕・勾留がなされることも珍しくありません。
身柄解放活動や身体拘束時の対応を含め、弁護士に早急に相談されることがおすすめです。
0120-631-881ではいつでもお問合せを受け付けておりますので、まずはお気軽にお電話ください。

チケット不正転売禁止法違反事件で逮捕されたら②

2019-06-17

チケット不正転売禁止法違反事件で逮捕されたら②

~前回からの流れ~
京都市伏見区に住んでいるAさんは、チケット転売により儲けようと考え、チケット会社Xから、人気アイドルグループYのコンサートのチケットを購入しました。
そして、定価より数倍高い値段をつけてインターネットで転売先を募ることを繰り返していました。
するとある日、Aさんの自宅に京都府伏見警察署の警察官がやってきて、Aさんはチケット不正転売禁止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・「不正転売」とは

前回の記事では、チケット不正転売禁止法の対象となるチケットについて詳しく触れましたが、今回の記事では、チケット不正転売禁止法のいうチケットの「不正転売」はどういった行為を指すのか見ていきます。

チケット不正転売禁止法2条4項
この法律において「特定興行入場券の不正転売」とは、興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものをいう。

「特定興行入場券」とは、いわゆるチケットのことを指していますから、この条文がチケットの不正転売について定義づけている条文であるといえます。
この条文によると、①「興行主の事前の同意を得ない」、②「業として行う有償譲渡であり」、③「興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とする」という条件を満たしたとき、チケットの不正転売とされることがわかります。

①「興行主の事前の同意を得ない」
その興行、例えばライブやコンサートの興行主の同意なしの転売を指します。
例えば、興行主が公式で行っているチケットのリセールシステムや交換サイトを利用した転売の場合、公式が運営しているわけですから、興行主は転売に同意しているものと考えられます。
しかし、フリマアプリやネットオークションで勝手にチケット転売することは、わざわざ興行主に連絡を取って許可を得ない限り、同意を得ていない転売であると考えられるでしょう。

②業として行う有償譲渡
この「業として」とは、反復継続の意思をもって、ということです。
つまり、チケット不正転売禁止法では、チケットの不正転売を、繰り返すつもりでする行為に限定しているのです。
この場合、反復継続の意思をもって行う行為であればよいので、たとえ1回目の不正転売であっても反復継続の意思が認められれば「業として」に該当すると考えられます。

③「興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とする」
簡単にいえば、これは定価より高い値段でチケット転売行為をすることを指します。
つまり、定価での取引はチケット不正転売禁止法のいうチケットの不正転売にはあたりません。

・チケット不正転売禁止法の禁止していること

では、チケット不正転売禁止法はどういったことを禁止しているのでしょうか。

チケット不正転売禁止法3条
何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。

チケット不正転売禁止法4条
何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。

チケット不正転売禁止法3条では、先ほど詳しく触れたチケットの不正転売そのものを禁止しています。
そして、同法4条は、チケットの不正転売そのものではなく、チケット転売目的でのチケットの購入を禁止しています。
ですから、たとえチケット転売行為を成し遂げていなかったとしても、チケット転売目的でチケットを購入しただけでチケット不正転売禁止法違反になるのです。
なお、これらの行為をしてチケット不正転売禁止法違反となれば、「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらの併科」となります(チケット不正転売禁止法9条)。

刑事事件では、一般の方のみで見通しを立てたり手続きへの対応を行ったりすることが難しい場面が多く存在します。
特にチケット不正転売禁止法はまだ施行されて日が浅く、過去の事例があるわけではないため、チケット不正転売禁止法違反事件逮捕された場合にどうしてよいかわからず困ってしまうということも想定されます。
そういった時こそ、刑事事件の専門家である弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。
0120-631-881では、24時間いつでも弊所弁護士によるサービスをご案内しております。

チケット不正転売禁止法違反事件で逮捕されたら①

2019-06-15

チケット不正転売禁止法違反事件で逮捕されたら①

 

京都市伏見区に住んでいるAさんは、チケット転売により儲けようと考え、チケット会社Xから、人気アイドルグループYのコンサートのチケットを購入しました。
そして、定価より数倍高い値段をつけてインターネットで転売先を募ることを繰り返していました。
するとある日、Aさんの自宅に京都府伏見警察署の警察官がやってきて、Aさんはチケット不正転売禁止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・チケット不正転売禁止法

先日、2019年6月14日に、チケット不正転売禁止法が施行されました。
チケット不正転売禁止法とは、正式名称を「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」という法律です。
昨今話題に上っている、アーティストのコンサートやライブ、展示会といったチケットの転売行為を取り締まる法律で、これに違反してチケット転売を行えば、刑事事件となり刑罰が科されます。
今回の記事では、チケット不正転売禁止法を詳しく見ていきましょう。

・チケット不正転売禁止法の対象

まず、チケット不正転売禁止法の対象となるチケットは、どのようなチケットなのでしょうか。
チケット不正転売禁止法の条文を見てみましょう。

チケット不正転売禁止法2条
1項 この法律において「興行」とは、映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツを不特定又は多数の者に見せ、又は聴かせること(日本国内において行われるものに限る。)をいう。

2項 この法律において「興行入場券」とは、それを提示することにより興行を行う場所に入場することができる証票(これと同等の機能を有する番号、記号その他の符号を含む。)をいう。

3項 この法律において「特定興行入場券」とは、興行入場券であって、不特定又は多数の者に販売され、かつ、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
1号 興行主等(興行主(興行の主催者をいう。以下この条及び第5条第2項において同じ。)又は興行主の同意を得て興行入場券の販売を業として行う者をいう。以下同じ。)が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、かつ、その旨を当該興行入場券の券面に表示し又は当該興行入場券に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に当該興行入場券に係る情報と併せて表示させたものであること。
2号 興行が行われる特定の日時及び場所並びに入場資格者(興行主等が当該興行を行う場所に入場することができることとした者をいう。次号及び第5条第1項において同じ。)又は座席が指定されたものであること。
3号 興行主等が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める事項を確認する措置を講じ、かつ、その旨を第1号に規定する方法により表示し又は表示させたものであること。
イ 入場資格者が指定された興行入場券 入場資格者の氏名及び電話番号、電子メールアドレス(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)第2条第3号に規定する電子メールアドレスをいう。)その他の連絡先(ロにおいて単に「連絡先」という。)
ロ 座席が指定された興行入場券(イに掲げるものを除く。) 購入者の氏名及び連絡先

つまり、チケット不正転売禁止法の対象とされているチケットは、①販売の際に興行主の同意のない有償譲渡が禁止されている旨を明示しており、それがチケットに記載されており、②興行日時・場所・座席又は入場資格者が特定されており、③チケット購入者の氏名や連絡先が確認できる措置が講じられており、それがチケットに記載されているものとなります。
ですから、例えば、開催日時の指定がされていないチケットや、販売時に購入者の連絡先等の確認のないチケットは、チケット不正転売禁止法の対象外となるのです。

現在、インターネットを利用して大手チケット会社からチケットを購入しようとすれば、チケット会社への会員登録を求められたり、その場限りの利用であってもメールアドレスや氏名等を登録する必要が出てくることが大半です。
さらに、そうしたチケットサイトの利用規約では、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する規約が定めてあることが多く、販売の際にはその利用規約の確認を求められることになっているでしょう。
そして、配信または発行されたチケットには、注意事項として、同意のない有償譲渡の禁止等が書いてあることがほとんどです。
そうなれば、上記①や③に当てはまるチケットが大半であることがわかります。
ですから、「このチケットは大丈夫だろう」と甘く考えてチケット転売行為をしてしまう、ということは避けた方がよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の弁護士の所属する法律事務所です。
刑事事件専門だからこそ、新しい法律・犯罪にも迅速に丁寧に対応をしていくことができます。
チケット不正転売禁止法違反事件でお困りの際は、弊所弁護士までご相談ください。

次回の記事では、チケットの「不正転売」とはどのようなことを指しているのか、法律を確認しながら見ていきます。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら