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食中毒から刑事事件に?②~食品衛生法違反

2019-06-29

食中毒から刑事事件に?②~食品衛生法違反

~前回からの流れ~
Aさんは、京都市下京区でお総菜を販売する飲食店を経営しています。
ある日、Aさんの飲食店でお惣菜を購入したり、食事をしたりした人たちが軒並み体調を崩してしまったと連絡が入りました。
保健所の検査が入り、体調を崩した人たちは、Aさんの飲食店の総菜が原因の食中毒で体調を崩してしまっていたことがわかりました。
その後、Aさんは保健所から、「もしかすると行政処分だけでなく、刑事事件になって刑事処分が下される可能性がある」と聞きました。
Aさんは、そうなれば自分は京都府下京警察署に逮捕されてしまうのではないかと不安になり、まずは刑事事件に詳しい弁護士に聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・食中毒と食品衛生法違反

前回の記事では、食中毒を起こしてしまった場合、場合によっては業務上過失致死傷罪という刑法上の犯罪に該当する可能性があることを取り上げました。
その業務上過失致死傷罪以外にも、食中毒が犯罪になり、刑事事件となる場合があります。
それが、食品衛生法違反事件となる場合です。

食品衛生法は、食品の安全性確保のための規制や措置を定めた法律で、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止と、それによって国民の健康保護を目的とする法律です(食品衛生法1条)。
食品衛生法違反といえば行政罰(例えば営業停止など)のイメージが強いかもしれませんが、食品衛生法にも刑事罰が規定されている条文があります。
ですから、食品衛生法違反となった場合、刑事事件に発展することも十分考えられるのです。

では、食中毒を発生させてしまった際、食品衛生法のどの条文に触れる違反となり、どういった刑事罰を受けることが考えられるのでしょうか。
食品衛生法6条の規定を見てみましょう。

食品衛生法6条
次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。
1 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。
ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
2 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。
ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
3 病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
4 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。

例えば、飲食店において、「少し悪くなっている肉だけどこれくらいならいいだろう」といって料理に使ってしまったような場合には、この食品衛生法6条1項に当てはまる可能性が考えられます。
この食品衛生法6条に違反した場合、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」に処せられることになります(食品衛生法71条1項1号)。

・食中毒の刑事事件と弁護活動

では、食中毒に関連した刑事事件で予想される弁護活動には、どのようなものがあるでしょうか。

まず、前回の記事で取り上げた業務上過失致死傷事件となっている場合には、被害者の方が存在します。
ですから、被害者の方への謝罪や弁償を含む示談交渉が考えられるでしょう。
今回取り上げた食品衛生法違反事件の場合には、食品衛生法が保護しているものが公衆衛生であるため、法律上は被害者がいないことになりますが、それでも事実上被害を受けたという方が存在すれば、その方へ向けた謝罪や弁償をしていくことも考えられます。
食中毒事件では、被害者の方が多数に上ることもありますから、こうした活動に精通した弁護士に相談することが望ましいでしょう。

また、被害者の方の数が多かったり、その被害が重篤であったりした場合には、逮捕・勾留されて捜査されることも考えられます。
そうした場合には、弁護士を通じて釈放を目指した活動を行うことも考えられます。
先ほど触れた示談交渉の結果や進捗、ご家族等による監督体制を主張していくことで釈放を目指すことになるでしょう。

食中毒に関連した刑事事件は頻発するものでもなく、なじみがないからこそ、巻き込まれてしまった場合動揺も大きくなってしまうかもしれません。
しかし、だからこそ専門家である弁護士に相談すべきです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に扱う弁護士が迅速に弁護活動にあたります。
お問い合わせは0120-631-881までいつでもお電話ください。

食中毒から刑事事件に?①~業務上過失致死傷罪

2019-06-27

食中毒から刑事事件に?①~業務上過失致死傷罪

Aさんは、京都市下京区でお総菜を販売する飲食店を経営しています。
ある日、Aさんの飲食店でお惣菜を購入したり、食事をしたりした人たちが軒並み体調を崩してしまったと連絡が入りました。
保健所の検査が入り、体調を崩した人たちは、Aさんの飲食店の総菜が原因の食中毒で体調を崩してしまっていたことがわかりました。
その後、Aさんは保健所から、「もしかすると行政処分だけでなく、刑事事件になって刑事処分が下される可能性がある」と聞きました。
Aさんは、そうなれば自分は京都府下京警察署に逮捕されてしまうのではないかと不安になり、まずは刑事事件に詳しい弁護士に聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・食中毒に注意

梅雨入りが遅れていた関西も、つい先日梅雨入りとなりました。
梅雨の時期から夏の時期になると話題に上りやすいことの1つとして、食中毒が挙げられます。
梅雨は雨の日が多くなる関係上、湿気が多い時期です。
梅雨が明ければ本格的な夏となりますが、そうなれば今度は温度が上昇します。
高温多湿の環境では、食品についた菌が増殖しやすく、食中毒のリスクが上がってしまいます。
食中毒は、嘔吐や下痢、それに加えて腹痛が起こるものが多く、皆さんのイメージもそういったものが多いかと思います。
しかし、それらの症状にとどまらず、発熱などの症状が出る食中毒もあり、重症化すれば食中毒といえど命の危険があるものもあります。

こうした食中毒そのものに注意することはもちろん当然ですが、この食中毒に関連して刑事事件となる可能性もあることにも注意が必要です。

・食中毒で業務上過失致死傷罪

食中毒に関連して起こりうる刑事事件の1つに、業務上過失致死傷事件があります。
業務上過失致死傷罪は、刑法に規定されている犯罪です。

刑法211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

この刑法211条の前段が、業務上過失致死傷罪と呼ばれる犯罪の規定です(後段は重過失致死傷罪という犯罪です。)。

業務上過失致死傷罪の「業務」とは、「人は社会生活上の地位に基づき反復・継続して行う行為であり、かつ、他人の生命・身体に危害を加えるおそれのあるもの」というとされています(最判昭和26.6.7)。
今回のAさんのように、当事者が飲食店や飲食物を販売する業者であった場合、そうした業者であるという社会的立場に基づき、飲食物の販売・提供を繰り返しているということができます。
また、飲食物が安全でなかった場合、今回のテーマとなっている食中毒のようなことが起きてしまうことからも、「他人の生命・身体に危害を加えるおそれ」があるとも考えられます。

そして、業務上過失致死傷罪の罪名に入っている「過失」とは、簡単に言えば不注意のことを指します。
条文上では「必要な注意を怠り」と書いてあります。
つまり、「業務」を行うにあたって要求される注意義務に違反すること=すべき注意をしなかったことが業務上過失致死傷罪の「過失」という部分にかかってくるのです。
例えば、今回のAさんの場合、お惣菜を客に提供するまでに、食品や店内、使用する器具などの衛生管理を行い、お惣菜を食べた客が食中毒などにならないようにしなければならないはずです。
そうした注意を怠っていた場合、「過失」があるとされ、業務上過失致死傷罪が成立しうるということになるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした食中毒にかかわる刑事事件のご相談ももちろん受け付けております。
食中毒という言葉と刑事事件という言葉は、なかなか結び付けづらいかもしれません。
だからこそ、いざ当事者になってしまった際に、どうしたらよいのか思いつきづらいことでしょう。
弁護士刑事事件の専門家です。
お困りの際は遠慮なくご相談ください。

サイバーパトロールでわいせつ電磁的記録媒体陳列罪発覚

2019-06-25

サイバーパトロールでわいせつ電磁的記録媒体陳列罪発覚

兵庫県に住んでいるAさんは、とある動画投稿サイトに、自身が全裸になった動画や性器を露出した動画を複数件投稿していました。
するとある日、京都府木津警察署の警察官がAさん宅にやってきて、Aさんはわいせつ電磁的記録媒体陳列罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、動画の件で兵庫県に住んでいる自分が京都府木津川市にある京都府木津警察署に逮捕されることは全く想定外のことであったため、非常に驚きました。
Aさんの家族は、全国展開している刑事事件に強い弁護士初回接見サービスを利用し、Aさんのもとへ弁護士を派遣しました。
弁護士がAさんの話を聞いた結果、Aさんは京都府木津警察署サイバーパトロールによって動画を発見され、検挙されたことがわかりました。
(※令和元年6月25日日テレNEWS24配信記事を基にしたフィクションです。)

・わいせつ電磁的記録媒体陳列罪

今回のAさんの逮捕容疑であるわいせつ電磁的記録媒体陳列罪は、刑法175条に規定されている犯罪です。

刑法175条(わいせつ物頒布等)
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。
電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

この条文は、一般に「わいせつ物頒布等罪」と呼ばれており、内容としてはAさんの逮捕容疑であるわいせつ電磁的記録媒体陳列罪のほか、わいせつ物頒布罪等も含まれています。

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪のいう「わいせつ物」とは、「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反する」ものを指すといわれています。
つまり、①徒に性欲を刺激又は興奮させるものであり、②一般人の正常な性的羞恥心を害するものであり、③善良な性的道義観念に反するものであるという、3つの要件を満たすものがわいせつ電磁的記録媒体陳列罪のいう「わいせつ物」となるのです。

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪は、この「わいせつ物」である「電磁的記録媒体」=動画や写真などのデータを、不特定多数の人が認識できる状態に置く=「公然と陳列」した場合に成立する罪です。

さて、今回のAさんは、自身が全裸になった動画や性器を露出した動画を動画投稿サイトに投稿していたようです。
これらの動画の内容は先ほどの「わいせつ物」の3つの要件に当てはまるといえるでしょう。
動画投稿サイトに投稿された動画は、もちろん不特定多数の人が見る可能性のある状態にありますから、「公然と陳列」されているといえます。
これらのことから、今回のAさんの行為にはわいせつ電磁的記録媒体陳列罪が成立しうるということになるのです。

・弁護活動

わいせつ電磁的記録媒体陳列罪は、性秩序の維持等を保護するために規定されていると考えられています。
つまり、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪は社会に対する犯罪であり、法律上具体的な被害者は存在しません。
そのため、具体的被害者の存在する刑事事件(例えば痴漢事件等)とは異なり、被害者への謝罪や弁償を行って示談を締結し、刑罰の軽減や釈放を目指すことができません。
だからこそ、そのほかしょく罪寄附や再犯防止策の構築などを専門的な知識・経験をもつ弁護士のサポートを受けながら行い、刑罰の軽減や釈放を目指していく必要があるのです。

わいせつ電磁的記録媒体陳列事件は、Aさんの事例のように、被疑者自身が住んでいる場所に近い警察署が検挙を行うとは限りません。
現在では、多くの警察署でサイバーパトロールが行われており、遠隔地の警察署がサイバーパトロールの結果わいせつ電磁的記録媒体陳列行為を発見するということも十分あり得るのです。
そうなった場合、ご家族もなかなか被疑者のもとへ行くことも難しく、事件の状況を把握するのにも一苦労です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、全国に13支部を展開する刑事事件専門の法律事務所です。
わいせつ電磁的記録媒体陳列事件に御困りの際は、弊所弁護士までご相談ください。

京都市左京区で廃掃法違反(不法投棄)

2019-06-23

京都市左京区で廃掃法違反(不法投棄)

京都市左京区在住のAさんは,隣人のBさんとトラブルになり,Bさん宅の庭に中央区のごみ集積所から持ち去った可燃ごみを捨てました。
Bさんが通報し,Aさんは,京都市左京区を管轄する京都府下鴨警察署の警察官に,廃掃法違反不法投棄)の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は,京都府下鴨警察署からAさん逮捕の連絡を受け,ひとまず弁護士に接見に行ってもらい,事件の概要やAさん自身の認否などを確認してきてもらうことにしました。
(フィクションです。)

~廃掃法違反(不法投棄)~

私有地などにごみを捨てた場合,廃棄物の処理及び清掃に関する法律廃掃法)違反によって罰せられる可能性があります。
廃棄物を投棄した場合,5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその両方が科せられます(廃掃法25条14号,16条)。
「廃棄物」とは,ごみ・粗大ごみ・燃えがら・汚泥・糞尿・廃油・廃酸・廃アルカリ・動物の死体・その他汚物・その他不要物をいいます(廃掃法2条1項)。
「不要物」とは,価値のない物を指し,占有者自らが利用し,または他人に有償で売却することができない物と解されています。
Aさんが,Bさん宅の庭という私有地に集積所にあった可燃ごみを捨てる行為は,廃掃法違反不法投棄)となる可能性が高いです。

~不法投棄で廃掃法違反以外は成立する?~

今回のAさんは,隣人トラブルからBさん宅の庭にごみを捨てています。
これを繰り返し行っていた場合,京都府の迷惑防止条例違反となる可能性もあります。

京都府迷惑港防止条例6条
何人も、特定の者に対する職場、学校、地域社会、商取引、金銭貸借、係争又は調停の関係に起因するねたみ、うらみその他悪意の感情(これらの感情のうち、ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第1項に規定する怨えん恨の感情を除く。)を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次に掲げる行為(第1号から第4号までに掲げる行為については、身体の安全若しくは住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復して行ってはならない。
(1)~(5)略
(6)汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

ごみはこの「汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物」にあたる可能性がありますし,その人の家の庭にごみを置くことは「知り得る状態に置くこと」といえるでしょう。
ですから,Aさんがこの不法投棄行為を繰り返していた場合には,京都府迷惑行為防止条例違反となる可能性が出てくるのです。
こちらに違反した場合,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることになります。

廃掃法違反不法投棄)は,前述のとおり重い犯罪です。
廃掃法違反不法投棄)で逮捕され,刑事事件化してしまったような場合には,なるべく早く弁護士に依頼すべきです。
廃掃法違反のような社会的法益を侵害する刑事事件は,証拠隠滅のおそれが高いと認識されており,逮捕や勾留の上,取り調べを受けるリスクが高いといえます。
そのため,廃掃法違反事件の発覚または逮捕された場合には,すぐに刑事事件に詳しい弁護士に相談し,適切な見通しと取調べ対応等を知ることが大切です。
依頼を受けた弁護士は,身体拘束からの解放のための活動,取調べ対応の助言,裁判になった場合の情状弁護活動などを行います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,24時間いつでもお問合せを受け付けております。
0120-631-881までお電話ください。

(京都府亀岡市)振り込め詐欺とだまされたふり作戦②

2019-06-21

(京都府亀岡市)振り込め詐欺とだまされたふり作戦②

~前回からの流れ~
京都府亀岡市に住んでいるVさんは、Aさんから、Vさんの息子を装った電話を受けました。
AさんはVさんに「事故を起こしてしまって示談金100万円が必要だ。今から友人を向かわせるから100万円を渡してくれ」と伝えました。
Vさんは、とりあえず話を聞きましたが、よく報道されている振り込め詐欺だと思い、相手にしないようにしようと考えました。
すると、今度は京都府亀岡警察署の警察官を名乗るBさんから電話が入りました。
Bさんは、「私は京都府亀岡警察署の警察官です。今捜査している振り込め詐欺グループの電話番号リストにこの番号があったので電話させてもらいました。もし振り込め詐欺グループから電話があれば、だまされた作戦にご協力ください」と言ってきました。
Vさんは、警察官が張り込んでいるのでだまされたふりをしてお金を渡してほしいというBさんの言葉を信じて、自宅にやってきた息子の友人を名乗る人物に100万円を渡しました。
しかし、その後いくら待っても警察から連絡が来ないことを不審に思ったVさんが、京都府亀岡警察署に連絡すると、Aさんという警察官がいないこと、現在だまされたふり作戦を頼んでいる事件がないことを知りました。
そこでVさんは、今までの経緯を京都府亀岡警察署に話し、被害届を出しました。
その後の捜査により、AさんとBさん、友人役をしたCさんが、詐欺罪の容疑で逮捕されました。
(※この事例はフィクションです。)

・だまされたふり作戦を装った詐欺事件

前回の記事では、振り込め詐欺だまされたふり作戦について触れました。
今回は、Aさんらの詐欺事件のような、だまされたふり作戦を装った詐欺事件について取り上げます。

振り込め詐欺事件は、複数人が一緒になって役割分担をして、詐欺を計画・実行していることも多い詐欺事件です。
だまされたふり作戦を装った詐欺事件でも、被害者にあたかもだまされたふり作戦に協力しているかのように思わせるため、典型的な振り込め詐欺を装った電話をかける役(今回の事例で言えばAさん)と、その詐欺についてだまされたふり作戦を提案する警察の役(今回の事例であればBさん)、さらに現金やキャッシュカードを受け取るいわゆる「受け子」の役(今回の事例で言えばCさん)といった役割分担がなされていることが多いです。
だまされたふり作戦を装った詐欺事件では、先に詐欺らしき怪しい電話がかかってきた後で警察を名乗る電話が来ることから、後でかかってきた警察を装った電話を信じてしまいやすく、さらにだまされたふり作戦に協力して犯人を検挙するのだという善意からも信じてしまうこともあるようです。

だまされたふり作戦を装った詐欺の場合、「警察に協力してだまされたふりをしているだけなので犯人はすぐに検挙され、お金等はすぐに返ってくる」と被害者に信じ込ませることで、お金等をだまし取っていることから、ほかの手口の詐欺同様、刑法の詐欺罪にあたります。

刑法246条(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪の「人を欺いて」とは、簡単に言えば「人をだまして」ということになりますが、このだます内容については、その事実が嘘であると知っていれば(その事実についてだまされていると知っていれば)、被害者が財物を渡さなかったであろう内容である必要があるとされています。
今回のようなだまされたふり作戦を装った詐欺事件では、被害者が本物の警察のだまされたふり作戦に協力しているのであって、犯人の検挙やお金の返還がなされると思って財物であるお金を渡しているということになります。
もしもこれが本物のだまされたふり作戦でないと知っていれば、お金を渡さなかったでしょうから、詐欺罪の「人を欺いて」にあたることになるのです。

・だまされたふり作戦を装った詐欺事件の弁護活動

先ほど触れたように、だまされたふり作戦を装った詐欺事件では、複数人共犯者が存在することが多いです。
そうなれば、口裏合わせを防止するために、逮捕・勾留といった身体拘束を伴う捜査が行われる可能性も高く、さらに弁護士以外との接見を禁止する接見禁止処分も付される可能性があります。
そうなれば、身体拘束によって会社や学校にいけないだけでなく、ご家族とも面会できずに1人で長期間の身体拘束期間を乗り切らなければなりません。
これは被疑者にとって非常に負担の重いことです。
弁護士に依頼することで、ご家族との伝言のやり取りを行えるだけでなく、この接見禁止処分自体をご家族に限って解除する活動もしてもらうことができます。

さらに、詐欺事件には被害者が存在するため、弁護士を通じて謝罪と弁償を行い、示談締結を目指すことも重要な活動の1つです。
だまされたふり作戦を装った詐欺事件は計画性もあり、悪質であると判断される可能性があります。
きちんと謝罪を行い、被害弁償を行うことで、反省の意を伝えることができます。
こうした活動にも、専門家である弁護士の力が大きな助けとなります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士詐欺事件にも迅速に対応いたします。
まずはお電話にて、お気軽にお問合せください。
(フリーダイヤル:0120-631-881

(京都府亀岡市)振り込め詐欺とだまされたふり作戦①

2019-06-19

(京都府亀岡市)振り込め詐欺とだまされたふり作戦①

京都府亀岡市に住んでいるVさんは、Aさんから、Vさんの息子を装った電話を受けました。
AさんはVさんに「事故を起こしてしまって示談金100万円が必要だ。今から友人を向かわせるから100万円を渡してくれ」と伝えました。
Vさんは、とりあえず話を聞きましたが、よく報道されている振り込め詐欺だと思い、相手にしないようにしようと考えました。
すると、今度は京都府亀岡警察署の警察官を名乗るBさんから電話が入りました。
Bさんは、「私は京都府亀岡警察署の警察官です。今捜査している振り込め詐欺グループの電話番号リストにこの番号があったので電話させてもらいました。もし振り込め詐欺グループから電話があれば、だまされた作戦にご協力ください」と言ってきました。
Vさんは、警察官が張り込んでいるのでだまされたふりをしてお金を渡してほしいというBさんの言葉を信じて、自宅にやってきた息子の友人を名乗る人物に100万円を渡しました。
しかし、その後いくら待っても警察から連絡が来ないことを不審に思ったVさんが、京都府亀岡警察署に連絡すると、Aさんという警察官がいないこと、現在だまされたふり作戦を頼んでいる事件がないことを知りました。
そこでVさんは、今までの経緯を京都府亀岡警察署に話し、被害届を出しました。
その後の捜査により、AさんとBさん、友人役をしたCさんが、詐欺罪の容疑で逮捕されました。
(※この事例はフィクションです。)

・振り込め詐欺

振り込め詐欺は、電話や手紙などによって被害者をだまし、金銭の振込をさせる手口の詐欺です。
振り込め詐欺は注意喚起も多くなされており、報道でもよく取り上げられるタイプの詐欺ですから、振り込め詐欺ときいてどういった詐欺なのかイメージしやすいという方も多いでしょう。
振り込め詐欺の例としては、オレオレ詐欺や架空請求詐欺、還付金詐欺が挙げられます。
振り込め詐欺はその名前の通り、刑法246条に規定のある詐欺罪にあたる犯罪行為です。

刑法246条(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

振り込め詐欺では、被害者の親族や関係者や公務員、そのほかの会社の職員など別の身分を装ったり、嘘の事実を本当のように伝えたりしてお金を振り込ませているため、「人を欺いて財物を交付させ」るということになるのです。

・だまされたふり作戦

こうした振り込め詐欺や特殊詐欺といった詐欺事件に対して、最近注目されているのが「だまされたふり作戦」です。
だまされたふり作戦は、その名前の通り、詐欺にだまされたふりをして、詐欺事件の被疑者の検挙を行うというものです。
詐欺のターゲットとされた被害者が、振り込め詐欺事件でだますための電話がかかってきた段階で詐欺だと気づき、警察に通報した場合、警察と協力して振り込め詐欺事件の被疑者を検挙する、というパターンが多いです。
この時、振り込め詐欺の中でいわゆる「受け子」と呼ばれている、金銭やキャッシュカード等を被害者から受け取る役割をしている人が現行犯逮捕されるケースが多く、そこから振り込め詐欺グループが検挙されていくこともあります。

このだまされたふり作戦で実際に被疑者が検挙されているケースもあり、報道されることもあります。
ですから、だまされたふり作戦についてご存じの方も少なくないかもしれません。
しかし、上記事例のように、このだまされたふり作戦を騙って詐欺をする手口も現れ始めています。
次回の記事ではこの手口について詳しく触れていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に取り扱っています。
振り込め詐欺事件ももちろん、弊所弁護士が迅速に対応を開始いたします。
振り込め詐欺事件は集団で行われることも多く、そうしたことから逮捕・勾留がなされることも珍しくありません。
身柄解放活動や身体拘束時の対応を含め、弁護士に早急に相談されることがおすすめです。
0120-631-881ではいつでもお問合せを受け付けておりますので、まずはお気軽にお電話ください。

チケット不正転売禁止法違反事件で逮捕されたら②

2019-06-17

チケット不正転売禁止法違反事件で逮捕されたら②

~前回からの流れ~
京都市伏見区に住んでいるAさんは、チケット転売により儲けようと考え、チケット会社Xから、人気アイドルグループYのコンサートのチケットを購入しました。
そして、定価より数倍高い値段をつけてインターネットで転売先を募ることを繰り返していました。
するとある日、Aさんの自宅に京都府伏見警察署の警察官がやってきて、Aさんはチケット不正転売禁止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・「不正転売」とは

前回の記事では、チケット不正転売禁止法の対象となるチケットについて詳しく触れましたが、今回の記事では、チケット不正転売禁止法のいうチケットの「不正転売」はどういった行為を指すのか見ていきます。

チケット不正転売禁止法2条4項
この法律において「特定興行入場券の不正転売」とは、興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものをいう。

「特定興行入場券」とは、いわゆるチケットのことを指していますから、この条文がチケットの不正転売について定義づけている条文であるといえます。
この条文によると、①「興行主の事前の同意を得ない」、②「業として行う有償譲渡であり」、③「興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とする」という条件を満たしたとき、チケットの不正転売とされることがわかります。

①「興行主の事前の同意を得ない」
その興行、例えばライブやコンサートの興行主の同意なしの転売を指します。
例えば、興行主が公式で行っているチケットのリセールシステムや交換サイトを利用した転売の場合、公式が運営しているわけですから、興行主は転売に同意しているものと考えられます。
しかし、フリマアプリやネットオークションで勝手にチケット転売することは、わざわざ興行主に連絡を取って許可を得ない限り、同意を得ていない転売であると考えられるでしょう。

②業として行う有償譲渡
この「業として」とは、反復継続の意思をもって、ということです。
つまり、チケット不正転売禁止法では、チケットの不正転売を、繰り返すつもりでする行為に限定しているのです。
この場合、反復継続の意思をもって行う行為であればよいので、たとえ1回目の不正転売であっても反復継続の意思が認められれば「業として」に該当すると考えられます。

③「興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とする」
簡単にいえば、これは定価より高い値段でチケット転売行為をすることを指します。
つまり、定価での取引はチケット不正転売禁止法のいうチケットの不正転売にはあたりません。

・チケット不正転売禁止法の禁止していること

では、チケット不正転売禁止法はどういったことを禁止しているのでしょうか。

チケット不正転売禁止法3条
何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。

チケット不正転売禁止法4条
何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。

チケット不正転売禁止法3条では、先ほど詳しく触れたチケットの不正転売そのものを禁止しています。
そして、同法4条は、チケットの不正転売そのものではなく、チケット転売目的でのチケットの購入を禁止しています。
ですから、たとえチケット転売行為を成し遂げていなかったとしても、チケット転売目的でチケットを購入しただけでチケット不正転売禁止法違反になるのです。
なお、これらの行為をしてチケット不正転売禁止法違反となれば、「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらの併科」となります(チケット不正転売禁止法9条)。

刑事事件では、一般の方のみで見通しを立てたり手続きへの対応を行ったりすることが難しい場面が多く存在します。
特にチケット不正転売禁止法はまだ施行されて日が浅く、過去の事例があるわけではないため、チケット不正転売禁止法違反事件逮捕された場合にどうしてよいかわからず困ってしまうということも想定されます。
そういった時こそ、刑事事件の専門家である弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。
0120-631-881では、24時間いつでも弊所弁護士によるサービスをご案内しております。

チケット不正転売禁止法違反事件で逮捕されたら①

2019-06-15

チケット不正転売禁止法違反事件で逮捕されたら①

 

京都市伏見区に住んでいるAさんは、チケット転売により儲けようと考え、チケット会社Xから、人気アイドルグループYのコンサートのチケットを購入しました。
そして、定価より数倍高い値段をつけてインターネットで転売先を募ることを繰り返していました。
するとある日、Aさんの自宅に京都府伏見警察署の警察官がやってきて、Aさんはチケット不正転売禁止法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・チケット不正転売禁止法

先日、2019年6月14日に、チケット不正転売禁止法が施行されました。
チケット不正転売禁止法とは、正式名称を「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」という法律です。
昨今話題に上っている、アーティストのコンサートやライブ、展示会といったチケットの転売行為を取り締まる法律で、これに違反してチケット転売を行えば、刑事事件となり刑罰が科されます。
今回の記事では、チケット不正転売禁止法を詳しく見ていきましょう。

・チケット不正転売禁止法の対象

まず、チケット不正転売禁止法の対象となるチケットは、どのようなチケットなのでしょうか。
チケット不正転売禁止法の条文を見てみましょう。

チケット不正転売禁止法2条
1項 この法律において「興行」とは、映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツを不特定又は多数の者に見せ、又は聴かせること(日本国内において行われるものに限る。)をいう。

2項 この法律において「興行入場券」とは、それを提示することにより興行を行う場所に入場することができる証票(これと同等の機能を有する番号、記号その他の符号を含む。)をいう。

3項 この法律において「特定興行入場券」とは、興行入場券であって、不特定又は多数の者に販売され、かつ、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
1号 興行主等(興行主(興行の主催者をいう。以下この条及び第5条第2項において同じ。)又は興行主の同意を得て興行入場券の販売を業として行う者をいう。以下同じ。)が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、かつ、その旨を当該興行入場券の券面に表示し又は当該興行入場券に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に当該興行入場券に係る情報と併せて表示させたものであること。
2号 興行が行われる特定の日時及び場所並びに入場資格者(興行主等が当該興行を行う場所に入場することができることとした者をいう。次号及び第5条第1項において同じ。)又は座席が指定されたものであること。
3号 興行主等が、当該興行入場券の売買契約の締結に際し、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める事項を確認する措置を講じ、かつ、その旨を第1号に規定する方法により表示し又は表示させたものであること。
イ 入場資格者が指定された興行入場券 入場資格者の氏名及び電話番号、電子メールアドレス(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)第2条第3号に規定する電子メールアドレスをいう。)その他の連絡先(ロにおいて単に「連絡先」という。)
ロ 座席が指定された興行入場券(イに掲げるものを除く。) 購入者の氏名及び連絡先

つまり、チケット不正転売禁止法の対象とされているチケットは、①販売の際に興行主の同意のない有償譲渡が禁止されている旨を明示しており、それがチケットに記載されており、②興行日時・場所・座席又は入場資格者が特定されており、③チケット購入者の氏名や連絡先が確認できる措置が講じられており、それがチケットに記載されているものとなります。
ですから、例えば、開催日時の指定がされていないチケットや、販売時に購入者の連絡先等の確認のないチケットは、チケット不正転売禁止法の対象外となるのです。

現在、インターネットを利用して大手チケット会社からチケットを購入しようとすれば、チケット会社への会員登録を求められたり、その場限りの利用であってもメールアドレスや氏名等を登録する必要が出てくることが大半です。
さらに、そうしたチケットサイトの利用規約では、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する規約が定めてあることが多く、販売の際にはその利用規約の確認を求められることになっているでしょう。
そして、配信または発行されたチケットには、注意事項として、同意のない有償譲渡の禁止等が書いてあることがほとんどです。
そうなれば、上記①や③に当てはまるチケットが大半であることがわかります。
ですから、「このチケットは大丈夫だろう」と甘く考えてチケット転売行為をしてしまう、ということは避けた方がよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の弁護士の所属する法律事務所です。
刑事事件専門だからこそ、新しい法律・犯罪にも迅速に丁寧に対応をしていくことができます。
チケット不正転売禁止法違反事件でお困りの際は、弊所弁護士までご相談ください。

次回の記事では、チケットの「不正転売」とはどのようなことを指しているのか、法律を確認しながら見ていきます。

京都府南丹市の児童ポルノ製造事件

2019-06-13

京都府南丹市の児童ポルノ製造事件

Aさんは,SNSで知り合った京都府南丹市在住の小学6年生のVさんを,自宅に呼び,Vさんの裸の写真を撮りました。
帰宅したVさんがAさんに裸の写真を撮られたことを親に話したことで,親が京都府南丹警察署まで通報しました。
その後,Aさんは,捜査を開始した京都府南丹警察署の警察官に児童ポルノ規制法違反(製造)の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は,Aさんが警察に連れていかれたことで慌ててしまい,どうしたらよいのかわからなくなってしまいました。
そこで,Aさんの家族は,インターネットで弁護士を探し,すぐに対応をしてくれるという刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

~児童ポルノ規制法違反(製造)~

児童ポルノを製造することは,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律児童ポルノ規制法)で禁止されています。
児童ポルノを製造した場合,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられます(児童ポルノ規制法7条4項,2項)。
児童ポルノ」には,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを写した写真等が含まれます(児童ポルノ規制法2条3項)。
18歳未満の児童であるVさんの裸を撮影した写真は児童ポルノ(児童ポルノ規制法2条3項1号)に該当します。
ですから,その写真を作成することで児童ポルノ製造をしたAさんの行為は,児童ポルノ規制法違反となる可能性が高いのです。

なお,今回のAさんの場合,小学6年生のVさん相手に児童ポルノ製造を行っています。
もしもこの際,Vさんにわいせつな行為をしていれば,児童ポルノ製造による児童ポルノ規制法違反だけでなく,刑法上の強制わいせつ罪や,児童福祉法違反といった別の犯罪も成立しうることに注意が必要です。

~弁護活動~

児童ポルノ規制法違反(製造)の罪は,前述のとおり,決して軽い犯罪ではありません。
警察への相談や通報によって刑事事件化すれば,逮捕されてしまう可能性も低くありません。
もし,児童ポルノ規制法違反事件で警察の捜査を受け,逮捕され,刑事事件になれば,自宅や職場等を捜索され,事件が周囲に知れてしまうおそれがあります。
さらに,取調べでは,児童ポルノの入手先や余罪についても追及されることになるので,事前に信頼できる刑事事件専門の弁護士に相談する事をお勧めします。

また,児童ポルノを製造したことに争いがないのであれば,弁護士に相談して示談することをお勧めします。
示談ができれば,略式罰金等によって公の法廷に立たずに事件を収束させることができる可能性が出てくる他,裁判になったとしても有利な情状となります。
しかし,児童ポルノ製造事件での示談の相手方は,被害者本人が未成年であるため,被害者の親となりますが,自分の子供が被害に遭っているわけですから,被害感情を強く持っていらっしゃる方も多いです。
そうした場合,当事者同士のやりとりでは,示談交渉が難しい場合もあります。
その意味でも,第三者的立場で専門的な意見を述べることのできる弁護士に依頼すべきです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,児童ポルノ製造事件等,児童に関連する刑事事件のご相談も受け付けております。
事件の性質上,児童ポルノにかかわる刑事事件はなかなか人に相談しづらいという声も聴かれます。
弁護士であれば,相談内容が外に漏れる心配もありませんから,安心してご相談いただけます。
京都府児童ポルノ製造事件に御困りの際は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。

軽犯罪法違反で逮捕?

2019-06-11

軽犯罪法違反で逮捕?

京都市山科区に住んでいるAさんは、ハードロックなどの音楽を聴くことを趣味としていました。
Aさんは朝早くや夜遅くという時間帯にも関わらず自宅の窓を開けて音楽を大音量で聞いており、周辺住民から苦情が入ることもありましたが、それを無視していました。
しばらくこうしたことが続き、周辺住民が京都府山科警察署に通報しました。
通報を受け、京都府山科警察署から警察官がやってきてAさんに注意をしましたが、Aさんは警察官に言い返し、注意に従わず無視したり、警察官を追い返したりしていました。
そうしたことが半年ほど続いたある日、Aさんはついに軽犯罪法違反の容疑で京都府山科警察署逮捕されてしまいました。
(※令和元年6月10日朝日新聞DIGITAL配信記事を基にしたフィクションです。)

・軽犯罪法違反

軽犯罪法とは、33個の行為を挙げ、それらについて取り締まっている法律です。
今回のAさんの場合、警察官の注意を無視して騒音を発生させていたことから、軽犯罪法1条14号「公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者」に該当すると判断され、軽犯罪法違反とされたのでしょう。
軽犯罪法では、こういったいわゆる静穏妨害の罪以外にも、虚偽通報の罪(1条16号)や覗きの罪(1条23号)などが規定されています。

なお、軽犯罪法の規定されている刑罰は全て拘留または科料とされています。
拘留は1日以上30日未満の刑事施設への拘置、科料は1,000円以上1万円未満の没収です。
これだけ見ると比較的軽い刑罰であるように見えますが、刑罰であることには変わりありませんから、軽犯罪法違反で有罪が確定し、これらの刑罰を受ければ前科となります。

・軽犯罪法違反では逮捕されない?

この記事を読まれている方の中には、もしかすると上記事例に疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
上記事例のAさんは、軽犯罪法違反の容疑で逮捕されていますが、インターネット等では、「軽犯罪法違反では逮捕されない」という情報が散見されるからです。
それでは、刑事訴訟法の逮捕についての規定を確認してみましょう。

刑事訴訟法199条
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。
ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

先ほど触れたように、軽犯罪法違反の法定刑は拘留または科料ですので、刑事訴訟法の言う「拘留又は科料に当たる罪」であることになります。
ですから、軽犯罪法違反の場合、逮捕をするには「被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合」に限られることになるのです。
ここで「前条の規定」とは、刑事訴訟法198条の「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。」という規定を指しています。
つまり、軽犯罪法違反の場合、住所不定の場合か正当な理由なく任意出頭を拒否した場合にのみ逮捕される可能性が出てくることになります。
こうしたことから軽犯罪法違反の容疑で逮捕されることが珍しくなり、「軽犯罪法違反逮捕されない」というイメージがついてしまう原因となったのだと考えられます。

しかし、住所不定もしくは正当な理由のない任意出頭の拒否という条件に当てはまれば、軽犯罪法違反であっても逮捕される可能性はあるわけですから注意が必要です。
上記事例のAさんは警察官を追い返すといった行為もしていることから、正当な理由なく任意出頭を拒否したと判断されたのではないかと考えられます。

逮捕されてしまえば一定期間身体拘束されることになりますし、逮捕されたことによって事件が報道され、世間に刑事事件を起こしたと知られてしまう可能性も出てきてしまいます。
ですから、そもそも逮捕をされないようにすること、逮捕されてしまったら釈放を求めていくこと、その後の取調べ等の手続きへの対応を知っておくことが重要となります。
そうしたことは、刑事事件に強い専門家である弁護士に早めに相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、0120-631-881でいつでも専門スタッフが弊所弁護士によるサービスを案内しています。
逮捕が不安な方、ご家族ご友人が逮捕されてしまったという方は、まずは遠慮なくお電話ください。

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