食中毒から刑事事件に?②~食品衛生法違反

食中毒から刑事事件に?②~食品衛生法違反

~前回からの流れ~
Aさんは、京都市下京区でお総菜を販売する飲食店を経営しています。
ある日、Aさんの飲食店でお惣菜を購入したり、食事をしたりした人たちが軒並み体調を崩してしまったと連絡が入りました。
保健所の検査が入り、体調を崩した人たちは、Aさんの飲食店の総菜が原因の食中毒で体調を崩してしまっていたことがわかりました。
その後、Aさんは保健所から、「もしかすると行政処分だけでなく、刑事事件になって刑事処分が下される可能性がある」と聞きました。
Aさんは、そうなれば自分は京都府下京警察署に逮捕されてしまうのではないかと不安になり、まずは刑事事件に詳しい弁護士に聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・食中毒と食品衛生法違反

前回の記事では、食中毒を起こしてしまった場合、場合によっては業務上過失致死傷罪という刑法上の犯罪に該当する可能性があることを取り上げました。
その業務上過失致死傷罪以外にも、食中毒が犯罪になり、刑事事件となる場合があります。
それが、食品衛生法違反事件となる場合です。

食品衛生法は、食品の安全性確保のための規制や措置を定めた法律で、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止と、それによって国民の健康保護を目的とする法律です(食品衛生法1条)。
食品衛生法違反といえば行政罰(例えば営業停止など)のイメージが強いかもしれませんが、食品衛生法にも刑事罰が規定されている条文があります。
ですから、食品衛生法違反となった場合、刑事事件に発展することも十分考えられるのです。

では、食中毒を発生させてしまった際、食品衛生法のどの条文に触れる違反となり、どういった刑事罰を受けることが考えられるのでしょうか。
食品衛生法6条の規定を見てみましょう。

食品衛生法6条
次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。
1 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。
ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
2 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。
ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
3 病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
4 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。

例えば、飲食店において、「少し悪くなっている肉だけどこれくらいならいいだろう」といって料理に使ってしまったような場合には、この食品衛生法6条1項に当てはまる可能性が考えられます。
この食品衛生法6条に違反した場合、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」に処せられることになります(食品衛生法71条1項1号)。

・食中毒の刑事事件と弁護活動

では、食中毒に関連した刑事事件で予想される弁護活動には、どのようなものがあるでしょうか。

まず、前回の記事で取り上げた業務上過失致死傷事件となっている場合には、被害者の方が存在します。
ですから、被害者の方への謝罪や弁償を含む示談交渉が考えられるでしょう。
今回取り上げた食品衛生法違反事件の場合には、食品衛生法が保護しているものが公衆衛生であるため、法律上は被害者がいないことになりますが、それでも事実上被害を受けたという方が存在すれば、その方へ向けた謝罪や弁償をしていくことも考えられます。
食中毒事件では、被害者の方が多数に上ることもありますから、こうした活動に精通した弁護士に相談することが望ましいでしょう。

また、被害者の方の数が多かったり、その被害が重篤であったりした場合には、逮捕・勾留されて捜査されることも考えられます。
そうした場合には、弁護士を通じて釈放を目指した活動を行うことも考えられます。
先ほど触れた示談交渉の結果や進捗、ご家族等による監督体制を主張していくことで釈放を目指すことになるでしょう。

食中毒に関連した刑事事件は頻発するものでもなく、なじみがないからこそ、巻き込まれてしまった場合動揺も大きくなってしまうかもしれません。
しかし、だからこそ専門家である弁護士に相談すべきです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に扱う弁護士が迅速に弁護活動にあたります。
お問い合わせは0120-631-881までいつでもお電話ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら