Archive for the ‘性犯罪’ Category
盗撮事件からストーカー事件に?②
盗撮事件からストーカー事件に?②
~前回からの流れ~
京都府綾部市に住んでいるAさん(17歳)は、男子高校生です。
Aさんは、通っている塾の近くの商業施設でよく見かける女性Vさんに対して好意を寄せていました。
奥手な性格であったAさんは、見知った仲でもないVさんに声をかけることができず、いつもVさんの姿を探しては見ていました。
しかしある日、エスカレーターに乗った際、ふと前を見るとVさんが自分の前の段に乗っていました。
Aさんは出来心でVさんのスカートの中をスマートフォンで盗撮してしまいました。
これに気づかれなかったことに味を占めたAさんは、半年以上、Vさんを探しては近くに行って盗撮するということを繰り返していました。
するとある日、ついに盗撮行為を警備員に見つかり、Aさんは盗撮事件の被疑者として逮捕され、京都府綾部警察署に留置されることとなりました。
警察の捜査では、Aさんのスマートフォンから、Vさんの盗撮写真が大量に出てきていると聞かされています。
Aさんは、両親の依頼した少年事件に強い弁護士と接見した際、今後ストーカー規制法違反でも捜査される可能性があると言われました。
(※この事例はフィクションです。)
・盗撮からストーカーが発覚?
前回の記事では、Aさんの商業施設での盗撮行為が、京都府の迷惑防止条例違反になるだろう、ということに触れました。
そのAさんは、最初は盗撮事件の被疑者として逮捕されているものの、弁護士の話ではストーカー規制法違反での捜査も考えられると言われています。
ストーカー規制法は、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」という法律です。
ストーカー規制法は、その名前の通り、ストーカー行為を規制している法律で、ストーカー規制法の中で、ストーカー行為は以下のように定義されています。
ストーカー規制法2条1項
この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
1 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
(略)
ストーカー規制法2条3項
この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第1項第1号から第4号まで及び第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。
つまり、ストーカー規制法にいう「つきまとい等」の行為を反復=繰り返すことで、ストーカー規制法の禁止しているストーカー行為となるのです。
今回のAさんの行動を見てみましょう。
Aさんは、Vさんに対して好意を持ち、その結果Vさんにつきまとって盗撮することを繰り返しています。
これらは、ストーカー規制法2条1項1号の「つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。」に当たる可能性があります。
ストーカー規制法のいう「つきまとい等」や「ストーカー行為」は、ストーカーの被害者がこれらの行為に気づいていなかったからといって否定されるものではありません。
加えて、ストーカー行為によるストーカー規制法違反は、近年の改正で非親告罪となっています。
ですから、たとえAさんの行為にVさんが気づいていなかったとしても、Aさんはストーカー規制法違反となる可能性があるのです。
特に、今回のように、AさんがVさんと分かる盗撮写真を撮影しており、データが残っていれば、それが継続的に繰り返されていることも分かります。
そうなれば、盗撮写真がきっかけでストーカー規制法違反の容疑で捜査されることも十分考えられます。
このように、最初は違う犯罪で検挙された少年事件でも、後々の捜査で別の犯罪の容疑がかかることが予想されるものもあります。
こうした見通しは、少年事件はもちろんのこと、刑事事件の知識・経験がなければ立てることが難しいです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件専門の弁護士が初回無料相談や初回接見サービスから相談者様のサポートを行います。
まずはお気軽にフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
盗撮事件からストーカー事件に?①
盗撮事件からストーカー事件に?①
京都府綾部市に住んでいるAさん(17歳)は、男子高校生です。
Aさんは、通っている塾の近くの商業施設でよく見かける女性Vさんに対して好意を寄せていました。
奥手な性格であったAさんは、見知った仲でもないVさんに声をかけることができず、いつもVさんの姿を探しては見ていました。
しかしある日、エスカレーターに乗った際、ふと前を見るとVさんが自分の前の段に乗っていました。
Aさんは出来心でVさんのスカートの中をスマートフォンで盗撮してしまいました。
これに気づかれなかったことに味を占めたAさんは、半年以上、Vさんを探しては近くに行って盗撮するということを繰り返していました。
するとある日、ついに盗撮行為を警備員に見つかり、Aさんは盗撮事件の被疑者として逮捕され、京都府綾部警察署に留置されることとなりました。
警察の捜査では、Aさんのスマートフォンから、Vさんの盗撮写真が大量に出てきていると聞かされています。
Aさんは、両親の依頼した少年事件に強い弁護士と接見した際、今後ストーカー規制法違反でも捜査される可能性があると言われました。
(※この事例はフィクションです。)
・商業施設での盗撮
Aさんは今回、Vさんの下着等を盗撮しており、盗撮事件の被疑者として逮捕されています。
そこで、まずは盗撮をした場合に成立する犯罪について確認しておきましょう。
よく言われているように、盗撮それ自体が名前になったような犯罪はありません。
各都道府県で制定されているいわゆる迷惑防止条例や、軽犯罪について定めている軽犯罪法が主に盗撮に対処する法律となっています。
他にも、状況によっては刑法上の建造物侵入罪が問題となる場合もあります。
今回は迷惑防止条例に着目し、盗撮を考えていきましょう。
京都府では、「京都府迷惑行為防止条例」という迷惑防止条例が制定されています。
この中で盗撮に関する条文は以下の条文です。
京都府迷惑行為防止条例第3条
第1項 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
第2項 何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
(1)みだりに、着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
(2)みだりに、前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、又は着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等をすること。
(3)みだりに、写真機等を使用して透視する方法により、着衣で覆われている他人の下着等の映像を撮影すること。
第3項 何人も、みだりに、公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある他人の姿態を撮影してはならない。
京都府の迷惑防止条例第3条第2項では、いわゆる「公共の場所」での盗撮や、盗撮目的でのカメラの設置等を禁止しています。
例えば、駅構内でスマートフォンを差し出して盗撮する行為や、駅の階段に盗撮目的でカメラを仕掛ける行為などは、この条文に違反することになります。
さらに同条例同条第3項では、「公共の場所」以外で公衆の利用できる、公衆が通常着衣の全部又は一部をつけない状態でいるような場所での盗撮を禁止しています。
こちらについては、例えば大型商業施設のトイレで盗撮したような場合はこの条文に違反することになるでしょう。
Aさんは、商業施設内でVさんを盗撮しています。
商業施設内は不特定又は多数の人が出入りする場所であり、誰でも自由に出入りが可能です。
こうしたことから、商業施設内は「公共の場所」と考えられます。
ですから、その中でVさんの下着を盗撮したAさんには、京都府の迷惑防止条例違反が成立すると考えられるのです。
確かにAさんは盗撮行為をしていますし、迷惑防止条例違反が成立することに不思議はないと思いますが、Aさんにはストーカー規制法違反も成立する可能性がある、と話されています。
どうしてそういったことが考えられるのでしょうか。
こちらは次回の記事で取り上げます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年による盗撮事件・ストーカー規制法違反事件ももちろんご相談いただけます。
まずはお問い合わせから、0120-631-881までお電話ください。
京都府福知山市の青少年保護育成条例違反事件
京都府福知山市の青少年保護育成条例違反事件
~京都府福知山市にお住まいのAさん(男性・20歳)からのご相談~
先日、SNSを通じて知り合った女性と京都府福知山市内のホテルで性交渉をしました。
私とその女性は共通の趣味があったのをきっかけに仲良くなったのですが、実際会ってみると女性は話し方や見た目から意外に幼く見え、私は、「もしかしたら相手は16~17歳くらいなのかもしれない」と思いましたが、深くは考えずに会ったその日に性的な関係を持ってしまいました。
ところが後日京都府福知山警察署から警察官が逮捕状を持って家に来て、京都府の青少年保護育成条例違反で逮捕されてしまいました。
どうやら彼女は17歳だったようです。
私は彼女の年齢を知らなかったのですが、このような場合でも犯罪になるのでしょうか。
(※事例はフィクションです)
~青少年保護育成条例について~
京都府で18歳に満たない青少年(男性・女性)と性交あるいは性交類似行為などを行った場合、いわゆる京都府の青少年保護育成条例(正式名称「青少年の健全な育成に関する条例」)に違反するかが問題となります。
京都府の青少年保護育成条例第12条1号では、18歳未満の者をこの条例のいう「青少年」であるとしています。
そして以下に挙げる通り、「青少年」との性行為は青少年保護育成条例で禁止されています。
第21条
1項 何人も、青少年に対し、金品その他財産上の利益若しくは職務を供与し、若しくはそれらの供与を約束することにより、又は精神的、知的未熟若しくは情緒的不安定に乗じて、淫行又はわいせつ行為をしてはならない。
2項 何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつ行為を教え、又は見せてはならない。
第31条
1項 第21条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
6項 (略)、第21条、(略)の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項、第2項、第3項(第4号に係る部分に限る。)及び第4項(第2号、第5号、第6号及び第10号に係る部分を除く。)の処罰を免れることができない。
ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
第33条
この条例の罰則は、青少年に対しては適用しない。
この条例に違反する行為をしたとき青少年であつた者についても、同様とする。
~「淫行」とは~
第21条では「淫行」を行ってはならないとありますが、ここでいう「淫行」とはどういうものを指すのでしょうか。
福岡県の青少年保護育成条例違反の事例ですが、昭和60年の最高裁大法廷判決では「淫行」について次のように判示されました。
「淫行」とは,「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく,青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似をいうものと解する(昭和60年10月23日最高裁大法廷判決)
続けて、「例えば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為」は処罰の対象に含まれないことが示されています。
条文と最高裁判決から考えると、婚姻・婚約関係あるいは単なる性的欲望を満足させるためだけの関係を超えた恋愛関係が当事者間にあれば、「淫行」には当たらないと考えられます。
しかし、この関係性の判断は客観的になされ、具体的には例えば当事者の年齢差、性行為にいたる過程、性交の態様などの事情を総合的に考慮されることになる事が多いため、当事者の間で事前に恋愛関係を結ぶ合意をした、婚約をした、というだけでは「淫行」と判断される可能性がありますので、注意が必要です。
~18歳未満だとは知らなかった場合~
この条例において、「青少年」は18歳未満の人を意味するものですが、ご相談にあったように、相手が18歳未満であることを知らなかった場合にはどうなるのでしょうか。
前述した通り、京都府の青少年保護育成条例第31条6項では、相手の年齢を知らなかったからといって淫行での処罰を免れることはできない、とあります。
しかし、過失なく相手の年齢を知らなかった場合にはこの限りではない、とありますから、相手の女性の年齢が18歳未満であることを知らなかったことについてAさんの落ち度がなければ、Aさんは処罰されずに済む可能性が出てきます。
今回、Aさんは相手の女性から年齢を聞いていませんでしたが、しかし風貌や挙動から幼さを感じたと言っています。
年齢は、厳密に確認しなくとも、外観からある程度分かる場合も多いです。
「Aさんは相手女性の外観等から彼女が18歳未満であることを認識していたはずだ」と判断された場合には、18歳以上であることを認識したことを証明できなければ(例えば身分証で年齢を確認した、等)、「18歳未満」の認識があった、もしくは年齢を知らなかったことに過失があったとされる可能性があります。
ゆえに、単に「年齢を直接聞かなかった」というだけでは、青少年保護育成条例違反が成立してしまうことを防げない、というのが実情です。
青少年保護育成条例はあいまいな判断要素も含まれるため、自分が行った行為が実際に罪に問われるか、警察に捜査されるかをご自分で判断することは難しいと思われます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、各都道府県の青少年保護育成条例違反事件に関して詳しい弁護士が多数在籍しています。
青少年保護育成条例違反事件でお困りの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
お問い合わせ:0120-631-881
(逮捕)滋賀県米原市の盗撮事件
(逮捕)滋賀県米原市の盗撮事件
~滋賀県米原市にお住いのAさんからのご相談~
私は滋賀県米原市に住む会社員です。
ある日の午後、近所のスーパーマーケットに入り、店内にいる女性のスカートの中を盗撮しようとしました。
カメラ付携帯電話を膝ぐらいの高さに持ち、スカート内に差し入れようとする途中でその女性に気づかれてしまいました。
何も知らないふりをしてその場を立ち去ろうとしましたが、逃げようとしたところをその女性に通報され、その後滋賀県米原警察署から来た警察官に逮捕されてしまいました。
その日に釈放されましたが、警察官からはまた後日取調べをすると言われています。
私にはどのような犯罪が成立してしまうのでしょうか。
(この相談例はフィクションです。)
~「盗撮」が犯罪になるとき~
まず、刑事事件として「盗撮」が犯罪となるときには、いわゆる「迷惑防止条例」(略称)違反となっていることが多いです(軽犯罪法にいう「のぞき見」に該当するとして軽犯罪法違反になる場合もありますが、以下では「迷惑防止条例」に限定して解説させていただきます)。
各都道府県ごとに制定されている「迷惑防止条例」は、地方公共団体によって制定される法である「条例」に当たります。
「条例」に違反した場合の罰則が規定されているならば、「条例」違反も刑法などの「法律」に違反した時と同じように、「犯罪」となります。
滋賀県では、「滋賀県迷惑行為等防止条例」が条例の正式名称となっていますが、以下では「滋賀県迷惑防止条例」と略称で表記して、検討していきたいと思います。
~「滋賀県迷惑防止条例」~
以下には、「滋賀県迷惑防止条例」の条文で今回の事件に関係ありそうな部分を抜粋しています。
第3条第1項
何人も、公共の場所または公共の乗物において、みだりに人を著しく羞恥させ、または人に不安もしくは嫌悪を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
(1)直接または衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から人の身体に触れること。
(2)人の下着または身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
(3)前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
第3条第2項
何人も、公共の場所、公共の乗物または集会所、事務所、学校その他の特定多数の者が集まり、もしくは利用する場所にいる人の下着等を見、またはその映像を記録する目的で、みだりに写真機、ビデオカメラその他撮影する機能を有する機器(以下「写真機等」という。)を人に向け、または設置してはならない。
第3条第3項
何人も、公衆または特定多数の者が利用することができる浴場、便所、更衣室その他の人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいる場所において、当該状態にある人の姿態を見、またはその映像を記録する目的で、みだりに写真機等を人に向け、または設置してはならない。
滋賀県迷惑防止条例の第3条第2項では、いわゆる「公共の場所」にいる人の、通常隠されている下着・身体を盗撮する、あるいは撮影機器等を差し向ける、あるいは設置することを禁止しています。
例えば、駅で女性のスカート内を盗撮する、レストランで下着を盗撮しようと携帯についているカメラを向ける、商業施設の階段に盗撮目的でカメラを設置する、などが該当します。
さらに、第3条第3項では、「公共の場所」でなくとも、公衆又は特定多数の者が利用できる特定の場所に関して、盗撮や盗撮する目的でのカメラの設置やカメラを向けることを禁止しています。
例えば、特定の会社のトイレに盗撮目的でカメラを仕掛けることなどは、この条文に当てはまることになるでしょう。
では、盗撮の対象が下着などののぞき見るような部分ではなかった場合、例えば、胸やお尻といった部分を服の上から盗撮しようとしたような場合はどうなるのでしょうか。
この点については、第3条第1項の(3)にいう「卑猥な言動」に当たるかが問題となり、例えば隠れて至近距離で全身を撮影した場合、あるいは下半身などを接写した場合には「卑猥な言動」と判断される可能性があります。
「下着や裸じゃないから大丈夫」と思ったとしても、人に性的な羞恥心を与えるような撮影をすることは犯罪となりうる危険な行為ですので、控えた方がいいでしょう。
~罰則~
「滋賀県迷惑防止条例」で禁止される「盗撮」の罰則は、第11条に規定があります。
第11条によると、滋賀県では、盗撮しようとカメラを設置したり人に向けたりといった行為をした場合、さらには「卑わいな言動」をしたような場合には6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
そして、第3条2項に違反して下着を盗撮し映像を記録した場合や、第3条第3項に違反して衣服の全部もしくは一部をつけていない人の状態を盗撮し映像を記録した場合には、さらに重い1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
~Aさんのご相談に対する回答~
Aさんが盗撮しようとしたスーパーマーケットは様々な人が出入りする公共の場所であり、Aさんは撮影の目的をもってカメラをスカート内に差し向けたのですから、Aの行為は「滋賀県迷惑防止条例」で禁止される「盗撮」として条例違反となる可能性が高いです。
結果としてスカート内の映像は取れていないとしても、盗撮しようとカメラを向けているため、滋賀県迷惑防止条例の第3条2項に違反し、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」の処分を受ける可能性が出てくると考えられます。。
こうした盗撮事件にお困りの際は、各都道府県の迷惑防止条例に詳しい「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」の無料の初回法律相談を是非ご利用ください。
「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」の弁護士は、刑事専門弁護士の手腕を発揮し、事件の早期解決のために迅速かつ的確に行動します。
(お問い合わせ:0120-631-881)
京都市上京区のストーカー事件で逮捕
京都市上京区のストーカー事件で逮捕
Aさんは,京都市上京区内に住むVさんの自宅に押し掛け,自分と会うように要求する内容の手紙をVさん宅のポストに入れるといった行為を繰り返していました。
Vさんが京都府上京警察署に通報し,Aさんは京都府上京警察署の警察官にストーカー規制法違反の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は,まさか自分の家族がストーカー事件を起こして逮捕されるとは思わず,刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
~ストーカー規制法違反~
ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)上のストーカー行為を行った場合,1年以下の懲役または100万円以下の罰金刑が科せられます(ストーカー行為規制法18条)。
「ストーカー行為」(ストーカー規制法2条3項)とは,同一の者に対し,好意等によりつきまとい等を反復してすることとされています。
つまり,①「つきまとい等」を②同一人物に反復しておこなえば,ストーカー行為となります。
このうち①「つきまとい等」とは,(a)好意や怨恨目的で,(b)特定の人やその関係者に,(c)(一部の行為については不安を感じさせる方法で)つきまといや電話,メールなどをすることとされています(ストーカー規制法2条)。
次に,②反復性は,行為全体をみて判断されます。
つまり,具体的に何回以上当該行為を行えば反復性があるということではなく,つきまとい1回,待ち伏せ1回でも,全体をみて反復していたと判断されることがあります。
こうしたことから,Aさんの行為は,ストーカー行為に当たる可能性が高いです。
なお,好意等ではなく嫌がらせ等の目的でつきまとい行為をしていた場合には,ストーカー規制法違反ではなく,各都道府県に定められている迷惑防止条例違反として捜査される可能性があります。
ストーカー規制法違反事件では,被害者へのストーカー行為をしていることから,逮捕によって身体拘束されて捜査をされるケースも多く見られます。
逮捕されてしまったり勾留されてしまったりという場合には,弁護士は早期釈放と,最終的な処分の軽減のために動きます。
なるべく早く弁護士に依頼し,被害者に対して被害弁償を行うことや示談交渉をすることが重要なポイントとなります。
被害者と示談が成立し,被害者が処罰を望んでいないというところまで持っていけば,早期釈放や不起訴処分へとつながりやすくなります。
示談ができれば,起訴されたとしても,正式な裁判をせずに罰金を支払うだけで刑事処分が終了する略式裁判となる可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,釈放を目指した活動や示談交渉など,刑事事件の様々な活動を一貫して迅速に行います。
京都・滋賀の刑事事件にお困りの際は,弊所の弁護士までご相談ください。
(お問い合わせ:0120-631-881)
淫行で滋賀県青少年健全育成条例違反②
淫行で滋賀県青少年健全育成条例違反②
~前回からの流れ~
京都市に住んでいるAさんは、三重県に住んでいる女子高生Vさん(16歳)とスマートフォンアプリを通じて知り合い、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
AさんはVさんが16歳の女子高生であると知っていましたが、性交渉をすることを打診し、Vさんが了承したため、2人はホテルで性交渉をしました。
しかし、ホテルから2人で出てきたところを、巡回していた滋賀県甲賀警察署の警察官に職務質問され、AさんとVさんの関係が露見しました。
Aさんは滋賀県甲賀警察署に任意同行され、その後、滋賀県青少年健全育成条例違反(淫行)の容疑で逮捕されるに至りました。
Aさんの家族が依頼した刑事事件に強い弁護士は、すぐに逮捕されたAさんのもとに向かい、事件内容の把握をするとともに、取調べで注意すべき点を説明しました。
(※この事例はフィクションです。)
・淫行事件での取調べ
前回の記事では、Aさんが滋賀県の青少年健全育成条例違反(淫行)にあたるということを取り上げました。
上記事例では、Aさんは接見に訪れた弁護士から取調べで注意すべき点を説明されているようですが、淫行事件の取調べにおいて気を付けなければならないことはあるのでしょうか。
淫行事件に限らず、刑事事件を起こして逮捕されてしまった場合、取調べで何を供述するのか(又は供述しないのか)ということは非常に重要な点の一つです。
取調べで供述した内容から調書が作成され、裁判となった際にはその調書が証拠として使われる可能性があります。
この際、後から「やっぱり供述した内容は事実と異なる」と言っても、覆すことは簡単ではありません。
争いたいと思った事実があっても、取調べでの対応次第では意図しない形で争わないことになってしまっていたり、逆に認めているのに事実を争っているように捉えられてしまったりという可能性が出てきてしまうのです。
ですから、淫行事件を含む刑事事件では、取調べでどういった対応をするのかということが重要なのです。
この点を踏まえて淫行事件について考えてみましょう。
淫行をしてしまって取調べを受けるという際、青少年健全育成条例違反以外にも、容疑をかけられる可能性のある犯罪があります。
それが児童買春防止法違反という犯罪です。
児童買春は、18歳未満の児童に対価を供与したり、供与する約束をしたりして性交等をすること等を指します。
各都道府県で定められている青少年健全育成条例の対象となる「青少年」も18歳未満ですから、児童買春防止法の対象とする「児童」と重なることになります。
青少年健全育成条例違反は青少年に淫行をするだけで成立します。
対して、児童買春をしたと認められるには、児童に対価の供与やその約束をして性交等をする必要があります。
つまり、18歳未満の者と性交等をした場合に、対価の供与やその約束があったかどうかによって、淫行として青少年健全育成条例違反になるのか、児童買春防止法違反となるのかが分かれてくるのです。
では、淫行事件となるのか児童買春事件となるのかで何が変わってくるのでしょうか。
児童買春防止法4条
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
こちらの条文を見ていただければお分かりいただけるように、児童買春をしたことによる刑罰は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金と非常に重いものです。
前回取り上げた滋賀県青少年健全育成条例違反(淫行)の法定刑が1年以下の懲役又は100万円以下の罰金であることからも、その重さがよく分かります。
不当に重い刑罰を受けることを避けるためにも、淫行をしてしまった場合には、その事実をきちんと主張していく必要があるのです。
しかし、淫行事件なのか児童買春事件なのかを見極めるために、取調べでも対価の供与やその約束がなかったかどうかといった点は詳しく聞かれていくことが予想されます。
取調べに不慣れな被疑者は1人でその対応をしなければなりません。
あいまいに答えてしまったり、捜査員への印象を気にして定かでない部分についても認めてしまったりということで、後々不利になってしまう可能性もあります。
だからこそ、取調べに臨む際には、注意すべき点やその対応の仕方を専門家から詳しく聞いておく必要があるのです。
ですが、一般の方が逮捕されてしまった方に面会することは非常に難しく、さらに逮捕された被疑者自身も、取調べ前に何かで対応を調べて臨む、ということはできません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、そうした状況にもスピーディーに対応すべく、弁護士による初回接見サービスをご用意しています。
初回接見サービスでは、お申込みから24時間以内に刑事事件専門の弁護士が逮捕された方のもとへ向かい、接見(面会)、依頼者様へご報告いたします。
弁護士から直接アドバイスを聞けるため、取調べへの不安の解消にもつながります。
お申込み・お問い合わせは0120-631-881で24時間いつでも受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。
(滋賀県甲賀警察署までの初回接見費用:4万3,100円)
淫行で滋賀県青少年健全育成条例違反①
淫行で滋賀県青少年健全育成条例違反①
京都市に住んでいるAさんは、三重県に住んでいる女子高生Vさん(16歳)とスマートフォンアプリを通じて知り合い、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
AさんはVさんが16歳の女子高生であると知っていましたが、性交渉をすることを打診し、Vさんが了承したため、2人はホテルで性交渉をしました。
しかし、ホテルから2人で出てきたところを、巡回していた滋賀県甲賀警察署の警察官に職務質問され、AさんとVさんの関係が露見しました。
Aさんは滋賀県甲賀警察署に任意同行され、その後、滋賀県青少年健全育成条例違反(淫行)の容疑で逮捕されるに至りました。
Aさんの家族が依頼した刑事事件に強い弁護士は、すぐに逮捕されたAさんのもとに向かい、事件内容の把握をするとともに、取調べで注意すべき点を説明しました。
(※この事例はフィクションです。)
・青少年健全育成条例違反(淫行)
今回のAさんは、16歳のVさんと知り合い、性交渉をしています。
こうしたケースでまず疑われるのが、各都道府県で規定されている青少年健全育成条例の中の、いわゆる淫行条例に当たることです。
各都道府県では、青少年(多くの都道府県で18歳未満の者と定義されています)の健全な成長を保護するために、青少年健全育成条例と呼ばれる条例を定めています。
滋賀県では、滋賀県青少年の健全育成に関する条例という条例が定められています。
この青少年健全育成条例の中では、青少年に淫行することを禁止する規定が定められていることが多く、その条文を指して淫行条例などと呼ばれたりもします。
滋賀県の場合、その24条に規定があり、罰則は27条1項に規定されています。
滋賀県青少年の健全育成に関する条例24条1項
何人も、青少年に対していん行またはわいせつな行為をしてはならない。
同条例27条1項
第24条第1項の規定に違反した者は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
Aさんについて考えてみると、滋賀県の青少年健全育成条例では、「青少年」のことを、6歳以上18歳未満の者(同条例10条より)としているため、16歳であるVさんは「青少年」であると言えます。
Aさんはそれを知りながらVさんと性交渉をしていますから、青少年に対して淫行又はわいせつな行為をしたとして、滋賀県青少年健全育成条例違反となりうるのです。
・どこの条例違反になる?
ここで注意すべきなのは、先ほど触れたように、青少年健全育成条例は各都道府県で定められているものであり、その内容は都道府県ごとに異なっているということです。
つまり、どの都道府県の青少年健全育成条例が適用されるかによって罰則の重さが変わったり、どの条文のどの部分に当たるかが異なったりする可能性が出てくるため、どの都道府県の青少年健全育成条例が適用されるのかということを分かっておくことは重要なのです。
例えば今回、Aさんの居住地は京都市、Vさんの居住地は三重県、2人が性行為をしたのは滋賀県甲賀市となっています。
青少年を保護する条例であるのだから、Vさんの居住地である三重県の条例が適用されるのではないか、Aさんが違反したのだからAさんの居住地である京都府の条例ではないか、と考える方もいるかもしれませんが、事例の通り、今回の場合には行為地である滋賀県の条例が適用されます。
今回の淫行事件のような、各都道府県の条例が問題となるような刑事事件では、原則として行為地(事件地)の都道府県の条例が適用されます。
ですから、もし今回、職務質問によって淫行が発覚せずに、後程Vさんが補導される、Vさんが被害届を出す、といった形で三重県の警察に今回の淫行が発覚するという形になったとしても、適用される条例は滋賀県の青少年健全育成条例ということになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、全国に13支部を展開する刑事事件専門の法律事務所です。
全国展開をしている刑事事件に強い法律事務所だからこそ、各都道府県の青少年健全育成条例違反事件にも対応が可能です。
淫行事件にお悩みの際は、まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。
(お問い合わせ:0120-631-881)
次回の記事では、今回のケースで弁護士がつくことによるメリットを中心に取り上げます。
盗撮事件を家族に隠したい(京都府宇治市)
盗撮事件を家族に隠したい(京都府宇治市)
~京都府宇治市に住んでいるAさんの相談~
先日、私は京都府宇治市にある駅の構内で、利用客の女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮してしまいました。
すると、その様子を見ていた駅員に声をかけられ、京都府宇治警察署に通報されました。
京都府宇治警察署では簡単に話を聞かれ、後日また取調べに呼ばれることになりました。
私は結婚しており、妻もいるのですが、今回の盗撮事件のことを知られてしまえば家庭が崩壊してしまうのではないかと心配しています。
どうして盗撮などということをしてしまったのかと、自分でも深く反省しているところなのですが、どうにか家族に盗撮事件を知られずに解決することのできる可能性はないでしょうか。
(※この相談例はフィクションです。)
・駅での盗撮
駅での盗撮行為は、多くの都道府県において、いわゆる「迷惑防止条例」に違反することになります。
京都府では、「京都府迷惑行為防止条例」に盗撮行為についての条文が規定されています。
京都府迷惑行為防止条例3条2項
何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法(※注:同条例3条1項「他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法」)で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
1号 みだりに、着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
駅は不特定又は多数の人が出入り・利用する場所であると言えますから、「公共の場所」です。
そこで他人の下着を盗撮することは、この条文に違反することになるのです。
京都府迷惑行為防止条例では、この条文に違反した場合には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(常習として行っていた場合には2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)に処せられることになっています(同条例10条2項、4項)。
・家族に知られたくない
さて、上記事例のAさんは、盗撮事件を起こして京都府宇治警察署で取調べを受け、後日さらに呼び出しを受ける予定でいますが、盗撮事件が家族に露見することによって家庭内の不和が起こることを心配しているようです。
弊所に寄せられるご相談の中にも、盗撮事件等の刑事事件の被疑者となってしまったということを家族に知られたくないというご相談も散見されます。
盗撮事件等の刑事事件が家族に知られてしまうケースとして多いのは、被疑者として逮捕されてしまうケースが挙げられます。
事例のAさんは逮捕されることなく帰宅を許されているようですが、もしも現行犯逮捕等されてしまった場合には、警察から家族に逮捕の連絡がいってしまったり、帰宅しないことを心配した家族が問い合わせたりした結果、盗撮事件等の刑事事件を起こしてしまったことが露見する、ということが考えられます。
ですから、家族に刑事事件を知られたくない場合には、まずは弁護士を通じて逃亡や証拠隠滅のおそれのないことを主張し、逮捕のリスクを減らす活動を行うことが考えられます。
そして、起訴されて正式な裁判を受けることになれば、公開の法廷に立つことになりますし、今後の監督について家族の方に証人として出廷してもらいお話ししてもらうということも考えられますから、刑事事件について話をしなくてはならない可能性が非常に高まります。
それを回避するためには、不起訴処分の獲得を目指したり、略式罰金手続きの利用による事件の終息を図ったりということが考えられます。
そのためには、自身でできる再犯防止策を計画・実行したり、被害者の方がいれば被害者の方への対応を行い、これらの処分が適切であると主張していくことが考えられますが、それには専門知識に基づいたスピーディーな対応が必要となりますから、やはり弁護士のサポートが重要と言えるでしょう。
もちろん、家族に起こしてしまった刑事事件について包み隠さずお話をすることで得られるサポートも大きく、そうした家族のサポートを主張することで有利な結果を求めていくこともあります。
どういった方針で行くべきなのか、メリット・デメリットはどういったものなのか、刑事事件の内容やご本人・ご家族の環境それぞれによって異なります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、盗撮事件等の刑事事件を起こしてしまったが家族に知られたくない、といったご相談も多く受け付けております。
ご相談内容が外に漏れる心配もないということも、弁護士に相談するメリットの一つです。
まずは初回無料相談のご予約から、0120-631-881までお問い合わせください。
京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件②
京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件②
~前回からの流れ~
京都市中京区の高校に通っているA(17歳)は、3歳年下の妹にいたずらしようと思い、妹が寝ているときに、妹が着ていたパジャマを気付かれないように脱がせました。
パジャマを脱がせたところ、妹が下着を着けておらず、胸があらわになっており、ムラムラしたAは、妹が寝ていることをいいことに、妹の胸を揉みしだいてしまいました。
Aが胸を揉んでいるときに妹が起きてしまい、悲鳴を上げられたため、Aは胸を揉む行為をやめて妹に謝りました。
その場はそれで収まりましたが、次の日に妹が兄に胸を揉まれたことを学校で友達と話したところ、その友達が学校の先生に言ってしまい、学校の先生から児童相談所に通報され、妹は児童相談所に一時保護されることになってしまいました。
その後、児童相談所から通報を受けた京都府中京警察署の警察官がA宅に来て、Aは準強制わいせつ罪の容疑で通常逮捕されてしまいました。
Aの親は今後Aや妹がどうなってしまうのか知るため、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に弁護活動を依頼することにしました。
(フィクションです。)
前回の記事では、Aに成立する「準強制わいせつ罪」という犯罪について解説しました。
今回は、Aが20歳未満の少年であることから、少年事件の特色について触れていきます。
~少年事件の特殊性~
本件のAは17歳であり、未成年です。
未成年は法律上「少年」と呼ばれ、少年の起こした事件は「少年法」の適用を受け、「少年事件」と呼ばれます。
少年事件は、成人の事件とは異なった手続きがとられます。
たとえば、本件のAのように逮捕された場合、一般的に「勾留」と呼ばれる長期の身体拘束も引き続き受けることになりますが、少年を勾留する場合には、成人の事件での勾留の要件に加えて「やむを得ない場合」といえることが必要になります。
特に成人事件と少年事件の違いが大きく出るところは、①原則全件送致主義がとられていること、②「調査」という手続きがあること、③基本的に「保護処分」が下されることが挙げられます。
①全件送致主義とは、成人事件では被害者と示談をするなどした場合、犯罪の嫌疑が十分である場合でも検察官が公訴提起をしない処分(不起訴処分)をすることができますが(「起訴便宜主義」といいます)、少年事件の場合にはこの起訴便宜主義がなく、犯罪の嫌疑がある場合には原則としてすべて家庭裁判所に送致しなければならないということを意味しています。
したがって、少年事件の場合には、犯罪の嫌疑がない場合を除き、仮に示談があったとしても家庭裁判所の判断を仰ぐことになります。
②「調査」とは、警察や検察といった捜査機関が行う「捜査」とは違い、主に「なぜその犯罪(非行)が行われたのか」という原因を探る手続きをいいます。
少年事件の場合、犯罪行為のことを「非行」と言いますが、少年法の建前として、少年の置かれていた環境に悪い面があり、その悪い面のせいで「非行」が発生したという考えをとっているため、悪い環境を探る必要があるために「調査」が必要となっています。
この「調査」には大きく分けて「在宅調査」と「観護措置」の2種類があります。
「在宅調査」は、身体拘束を受けずに調査されるものですが、「観護措置」は「少年鑑別所」というところに身体拘束されて調査を受けるものです。
観護措置は通常4週間とられることになります。
③「保護処分」とは、刑罰とは違い、前科にはなりません。
「保護処分」には、「少年院送致」、「児童自立支援施設などの施設送致」、「保護観察」という3種類があります。
「保護観察」以外はすべて身体拘束を受ける処分です。
このように、少年事件では、成人事件と違った手続きが多数あり、身体拘束期間も長くなりがちです。
そこで、早期の身体解放や、最終的な処分を軽くするためには専門的な知識を有した弁護士に依頼することが大切です。
~一時保護~
ここで、本件でAの妹は児童相談所に一時保護されています。
児童相談所の一時保護は法律上2か月とされていますが、更新ができるため、長期間にわたって児童相談所に保護され続けることになってしまう場合もあります。
本件のような場合、同じ家庭でAと妹は生活しており、Aの処分によっては、今後も妹と同じ空間で生活することになってしまうため、児童相談所の一時保護が長期化する可能性が十分にあります。
Aの処分等によって妹の一時保護の解除時期等も変わってくることになるため、やはり専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件も多く取り扱っており、早期の身体解放や軽い処分に向けた調査対応など実績のある弁護士が丁寧に活動します。
少年事件でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
(お問い合わせ:0120-631-881)
京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件①
京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件①
~事案~
京都市中京区の高校に通っているA(17歳)は、3歳年下の妹にいたずらしようと思い、妹が寝ているときに、妹が着ていたパジャマを気付かれないように脱がせました。
パジャマを脱がせたところ、妹が下着を着けておらず、胸があらわになっており、ムラムラしたAは、妹が寝ていることをいいことに、妹の胸を揉みしだいてしまいました。
Aが胸を揉んでいるときに妹が起きてしまい、悲鳴を上げられたため、Aは胸を揉む行為をやめて妹に謝りました。
その場はそれで収まりましたが、次の日に妹が兄に胸を揉まれたことを学校で友達と話したところ、その友達が学校の先生に言ってしまい、学校の先生から児童相談所に通報され、妹は児童相談所に一時保護されることになってしまいました。
その後、児童相談所から通報を受けた京都府中京警察署の警察官がA宅に来て、Aは準強制わいせつ罪の容疑で通常逮捕されてしまいました。
Aの親は今後Aや妹がどうなってしまうのか知るため、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に弁護活動を依頼することにしました。
(フィクションです。)
~準強制わいせつ罪~
「準強制わいせつ罪」とは、心神喪失又は抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせてわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
一般に「強制わいせつ罪」という場合には、暴行脅迫を用いてわいせつ行為をすることが必要で、例外的に13歳未満の者に対してわいせつ行為をした場合には、暴行脅迫を用いなくても「強制わいせつ罪」となります。
しかし、「準強制わいせつ罪」は、暴行脅迫がなくても、抵抗ができない状態にある人にわいせつな行為をした場合に成立し、「強制わいせつ罪」と同様に扱われることになります。
したがって、抵抗ができないような状態にある人にわいせつな行為をした場合には、成人の場合、懲役6月以上10年以下の刑罰が法律上科せることになります。
本件のAは、妹が寝ていることに乗じて胸を揉むという明らかにわいせつな行為をしており、寝ている妹は抵抗ができない状態にあったということができるため、Aには「準強制わいせつ罪」が成立することになります。
~パジャマを脱がせた行為~
また、Aが寝ている妹のパジャマを脱がせた行為自体も、わいせつな行為と評価することができるといえるため、パジャマを脱がせた行為も「準強制わいせつ罪」当たる行為ということができます。
もっとも、パジャマを脱がせた段階では、Aはいたずらの目的しかなく、わいせつな目的があったといえません。
「強制わいせつ罪」には、「わいせつな目的」が必要とされているのと同様に、「準強制わいせつ罪」にも「わいせつな目的」が必要です。
そこで、「わいせつな目的」がなかった場合、「準強制わいせつ罪」が成立しないと主張することが考えられます。
しかし、最近の最高裁判所の判断によれば、「強制わいせつ罪」の事例ではありますが、行為自体がわいせつな行為と評価できる場合にはわいせつな目的があったものということができると判断したものがあり、行為自体がわいせつといえるか微妙な場合のみ「わいせつな目的」の有無が問題となると評価できるような判断となっています。
そうすると、本件でパジャマを脱がせた行為は、一般的に女子の服を脱がせる行為はわいせつな行為と評価することができるため、「わいせつな目的」がなかったとしても、「準強制わいせつ罪」に問われる可能性があることになります。
この場合には、厳密に考えるとパジャマを脱がせた行為と胸を揉んだ行為それぞれに「準強制わいせつ罪」が成立することになりますが、実質的には一連の行為といえるため、これらを一つの行為として「準強制わいせつ罪」1個が成立することになると考えられます。
もっとも、厳密には2つの行為が行われているといえるため、量刑の判断においては、パジャマを脱がせていない場合に比べて重く判断される可能性があります。
そこで、パジャマを脱がせた行為については「準強制わいせつ罪」に当たらないと主張することが考えられます。
「準強制わいせつ罪」に当たるかどうかは、上記の判例の評価も含めて非常に複雑で専門的な判断が必要になるため、専門家に判断をゆだねることが賢明です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱っており、このような判断についても専門的な知識を有した弁護士が、事案の内容を細かく聞き取り、しっかりと判断することができます。
準強制わいせつ罪にあたるかどうかでお悩みの方はぜひ一度弊所の弁護士までお問い合わせください。
(京都府中京警察署までの初回接見費用:3万4,800円)