暴行罪・傷害罪・傷害致死罪

(1)暴行罪

【暴行罪(刑法208条)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

1.「暴行」とは?

暴行とは、他人の身体に対する物理力の行使、不法な有形力の行使などと定義されます。

典型例は、殴る、蹴るなどの行為です。

しかし、有形力の行使は、必ずしも身体への接触を伴うものでなくても構いません。

例えば、被害者の耳元で拡声器により大声を発することも「暴行」にあたります。

 

2.他の犯罪にも「暴行」という言葉があるのですが、意味は同じですか。

犯罪によって「暴行」の意味は異なります。

 

≪各犯罪の「暴行」の意義≫

  1. 騒乱罪(106条)
    多衆で集合して「暴行」又は脅迫をした者は、騒乱の罪とし~処断する。
    ⇒物に対する物理力の行使も含み(器物損壊、建造物侵入など)、もっとも概念としては広いです。
  2. 公務執行妨害罪(95条1項)
    公務員が職務を執行するに当たり、これに対して「暴行」又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
    ⇒人に向けられた物理力の行使をいいます。
  3. 強盗罪(236条1項)
    「暴行」又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
  4. 強姦罪(177条)
    「暴行」又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強盗の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。
    ⇒人の反抗を抑圧し、または、著しく困難にする程度のものであることを要します。

 

3.暴行罪についてのQ&A

①不注意で他人にぶつかってしまったり、他人の足をふんでしまっても暴行罪が成立しますか?

暴行罪は成立しません。
暴行罪は故意犯(認識をもってやったというニュアンスです)ですので、この場合は成立しません。

②プロレスなどは暴行罪が成立するように思えるのですが、あれは犯罪なのですか。

暴行罪は成立しません。
スポーツ行為は正当な業務による行為として処罰されません。

③他人が殴ってきました。それを払いのけるためその人を押しました。暴行罪が成立しますか。

程度にもよると考えられますが、通常、正当防衛(36条1項)として暴行罪は成立しません。

 

(2)傷害罪

【傷害罪(刑法204条)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 

1.傷害とは

傷害とは、人の生理的機能に障害を生じさせたことを意味します。

例えば、けがをさせたり、打撲させたりすることが挙げられます。

 

2.傷害罪についてのQ&A

①嫌いな人と2人きりになって会話するのが嫌なので、ジュースに睡眠薬を入れて眠らせました。このとき何か犯罪が成立するのですか。

傷害罪が成立します。
睡眠薬を飲ませて、起きて生活するという生理的な機能を害しているからです。
この他、疲労倦怠、めまい、嘔吐、失神、病気の罹患、PTSD等も傷害にあたります。

②学校で先生が生徒を指導するために殴ることは暴行罪や傷害罪にあたりますか?

態様によると考えられます。
学校教育法11条には次のような規定があります。
「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」
体罰はできませんが、指導の一環として必要かつ相当な範囲で有形力の行使をすることも可能であると考えられます。
ただし、傷害を負わせるような場合は通常、必要かつ相当な範囲とはいえず傷害罪が成立する可能性が考えられます。

 

(3)傷害致死罪

【傷害致死罪(刑法205条)
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

人を殴ったり、ナイフで切りつける等して、相手を死亡させた場合には「傷害致死罪」が成立します。

 

傷害事件・暴行事件の弁護活動

1 示談活動

暴行・傷害事件は、被害者がいる犯罪ですので、示談の成立が処分を軽くするのに非常に重要です。

初犯であって、重大な傷害事件でなければ、示談の成立により「不起訴処分」や「略式請求」による罰金が見込まれます。

不起訴処分であれば、前科がつきません。

また、略式請求であれば前科はつきますが、罰金を支払うことにより手続きから早期に解放されることとなります(テレビドラマで見るような法廷に立つ必要がなくなります)。

特に、暴行事案や相手の怪我が軽傷にとどまっているような事案であれば、示談の成立により、警察段階で事件が終了することもあります。

また、被害者の方が被害届を提出する前であれば、被害届の提出をしないよう説得し、事件化を防ぐことができる可能性もあります。

早期の示談交渉が有利な結果を導きやすくします。

示談交渉は、事件の当事者同士で行うと感情的になりやすく、うまくいかなかったり、更なるトラブルになったりすることがあります。

示談は、法律の専門家である弁護士に任せましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、示談に長けた刑事専門の弁護士が依頼者の立場に立ち、親身になって、示談交渉に当たります。

 

2.早期の身柄開放活動

逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。

そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放や保釈による身柄解放を目指します。

 

3.無罪を主張する場合

① 正当防衛の主張

現実に何らかの暴行を行ってしまったとしても、それが相手からの暴力を防ぐために咄嗟の判断で行ってしまったということもあります。

このような場合、相手からの突然の暴力から身を守るために採った行為が、やむを得ないものであるとして、正当防衛の成立を主張することが考えられます。

正当防衛の主張が認められると、犯罪は成立しません。

つまり、無罪です。

しかし、正当防衛の主張をする場合、裁判所にいって突如主張するのではなく、取調べの段階から周到に準備が必要です。早期対策がキーとなります。

弁護士が付いた場合、当事者の間に入り速やかに事実関係・主張の食い違いを整理して、依頼者の方の主張が正当であるということを主張・証明していくことが可能です。

 

② 因果関係不存在の主張 
傷害罪が成立するためには、被害者が負った傷害結果が、加害者の暴行行為によって引き起こされたものである必要があります。

加害者の暴行行為がなければ、けがもなかった(「あれなくば、これなし」)という関係(因果関係)がなければ傷害罪は成立しません。

なお、傷害致死罪において因果関係が否定された場合、傷害罪の範囲で処罰されることもあります。

もし、暴行態様や暴行を加えた部位から、起こりえない傷害結果が認定されているとき、また認定された傷害結果が不当に重いときには、その旨を主張して傷害罪の成立を否定したり、量刑を軽くしてもらうことができます。

もっとも、因果関係がないという主張・証明を、客観的証拠に基づいて説得的に行っていくことは、一般の方には難しいと思います。

 

暴行事件・傷害事件で犯罪となるか不安・不明な点があり、ご心配の方は、暴行事件・傷害事件に強い弁護士法人あいち刑事総合法律事務所京都支部にご相談ください。

刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。

被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。

 

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