Archive for the ‘少年事件’ Category

盗撮事件からストーカー事件に?①

2019-06-02

盗撮事件からストーカー事件に?①

京都府綾部市に住んでいるAさん(17歳)は、男子高校生です。
Aさんは、通っている塾の近くの商業施設でよく見かける女性Vさんに対して好意を寄せていました。
奥手な性格であったAさんは、見知った仲でもないVさんに声をかけることができず、いつもVさんの姿を探しては見ていました。
しかしある日、エスカレーターに乗った際、ふと前を見るとVさんが自分の前の段に乗っていました。
Aさんは出来心でVさんのスカートの中をスマートフォンで盗撮してしまいました。
これに気づかれなかったことに味を占めたAさんは、半年以上、Vさんを探しては近くに行って盗撮するということを繰り返していました。
するとある日、ついに盗撮行為を警備員に見つかり、Aさんは盗撮事件の被疑者として逮捕され、京都府綾部警察署に留置されることとなりました。
警察の捜査では、Aさんのスマートフォンから、Vさんの盗撮写真が大量に出てきていると聞かされています。
Aさんは、両親の依頼した少年事件に強い弁護士と接見した際、今後ストーカー規制法違反でも捜査される可能性があると言われました。
(※この事例はフィクションです。)

・商業施設での盗撮

Aさんは今回、Vさんの下着等を盗撮しており、盗撮事件の被疑者として逮捕されています。
そこで、まずは盗撮をした場合に成立する犯罪について確認しておきましょう。

よく言われているように、盗撮それ自体が名前になったような犯罪はありません。
各都道府県で制定されているいわゆる迷惑防止条例や、軽犯罪について定めている軽犯罪法が主に盗撮に対処する法律となっています。
他にも、状況によっては刑法上の建造物侵入罪が問題となる場合もあります。
今回は迷惑防止条例に着目し、盗撮を考えていきましょう。

京都府では、「京都府迷惑行為防止条例」という迷惑防止条例が制定されています。
この中で盗撮に関する条文は以下の条文です。

京都府迷惑行為防止条例第3条
第1項 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。

第2項 何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、前項に規定する方法で、次に掲げる卑わいな行為をしてはならない。
(1)みだりに、着衣で覆われている他人の下着等を撮影すること。
(2)みだりに、前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣の中をのぞき込み、又は着衣の中が見える位置に写真機その他の撮影する機能を有する機器を差し出し、置く等をすること。
(3)みだりに、写真機等を使用して透視する方法により、着衣で覆われている他人の下着等の映像を撮影すること。

第3項 何人も、みだりに、公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある他人の姿態を撮影してはならない。

京都府の迷惑防止条例第3条第2項では、いわゆる「公共の場所」での盗撮や、盗撮目的でのカメラの設置等を禁止しています。
例えば、駅構内でスマートフォンを差し出して盗撮する行為や、駅の階段に盗撮目的でカメラを仕掛ける行為などは、この条文に違反することになります。
さらに同条例同条第3項では、「公共の場所」以外で公衆の利用できる、公衆が通常着衣の全部又は一部をつけない状態でいるような場所での盗撮を禁止しています。
こちらについては、例えば大型商業施設のトイレで盗撮したような場合はこの条文に違反することになるでしょう。

Aさんは、商業施設内でVさんを盗撮しています。
商業施設内は不特定又は多数の人が出入りする場所であり、誰でも自由に出入りが可能です。
こうしたことから、商業施設内は「公共の場所」と考えられます。
ですから、その中でVさんの下着を盗撮したAさんには、京都府の迷惑防止条例違反が成立すると考えられるのです。

確かにAさんは盗撮行為をしていますし、迷惑防止条例違反が成立することに不思議はないと思いますが、Aさんにはストーカー規制法違反も成立する可能性がある、と話されています。
どうしてそういったことが考えられるのでしょうか。
こちらは次回の記事で取り上げます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年による盗撮事件ストーカー規制法違反事件ももちろんご相談いただけます。
まずはお問い合わせから、0120-631-881までお電話ください。

オヤジ狩りで恐喝罪①

2019-05-23

オヤジ狩りで恐喝罪①

17歳のAさんは、学校の同級生や先輩たちのグループ数人と一緒になって、夜ごと京都市西京区の路上でいわゆるオヤジ狩りをし、被害者から金品を巻き上げていました。
オヤジ狩りの被害が多発したことを受けて、京都府西京警察署は警戒を強化し、その結果、Aさんらは恐喝罪の容疑で逮捕されるに至りました。
Aさんの両親は、これをきっかけにAさんに更生してほしいと思ったものの、そもそもAさんがこの後どういった流れでどのような処分を受けることになるのか、全く分かりません。
さらに、まずはとにかくAさんと話をしたいと警察署に行ったものの、警察からは「逮捕されてすぐは会えません」と言われてしまいました。
困り果てたAさんの両親は、京都滋賀少年事件を多く取り扱っている弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・オヤジ狩りと成立する犯罪

オヤジ狩りとは、少年など比較的年齢層の若い者が中年の男性を標的として襲い、金品を巻き上げることを指します。
オヤジ狩りでは、オヤジ狩りをする方が集団で被害者を脅したり、暴行や凶器を用いて脅したりすることで金品を巻き上げるケースが多いようです。
オヤジ狩りでは一体どういった犯罪が成立するのでしょうか。
以下で成立しうる犯罪を見ていきましょう。

①恐喝罪
上記事例のAさんが容疑をかけられて逮捕されているように、オヤジ狩りで成立する犯罪としては、まず恐喝罪が考えられます。
恐喝罪は、刑法249条に規定されている犯罪です。

刑法249条(恐喝罪)
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

恐喝罪のいう「恐喝」とは、脅迫または暴行を用いて相手を畏怖させ、財物の交付を要求することを言います。

脅迫は害悪の告知(害悪を加えることの告知)、暴行は有形力の行使を言います。

この時、脅迫または暴行の程度が相手の犯行を抑圧しない程度であることが求められます。
そして、この「恐喝」によって畏怖した被害者が財物を引き渡すことによって、恐喝罪は成立します。

オヤジ狩りは被害者を脅して金品を巻き上げる行為ですから、恐喝罪に当たりえます。

②強盗罪
オヤジ狩りで成立する犯罪として、もう一つ考えられるのが強盗罪です。
強盗罪は刑法236条に規定されている犯罪です。

刑法236条(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

強盗罪の「暴行又は脅迫」は、①の恐喝罪とは異なり、相手の反抗を抑圧するに足りる程度であることが求められます。
そして、強盗罪のいう「強取」は、暴行・脅迫によって被害者の反抗を抑圧し、被害者の意思に反して財物の支配を自分(又は第三者)に移すことを指します。
①で取り上げた恐喝罪とこの強盗罪はどちらも暴行や脅迫を用いて他人の財物を手に入れる犯罪ですが、恐喝罪は財物を被害者から交付させるいわゆる「交付罪」であるのに対し、強盗罪は財物を被害者から奪ういわゆる「奪取罪」であるのはこういった理由からです。

さらに、この強盗罪を犯してしまった際に被害者に傷害を負わせてしまった場合には強盗致傷罪、被害者を志望させてしまった場合には強盗致死罪が成立します。

オヤジ狩りでも、暴行・脅迫の程度が被害者の反抗を抑圧するほど強いと判断された場合には、強盗罪が成立することになるでしょう。
暴行・脅迫の程度については、その態様や互いの年齢・人数・性別・体格、犯行の時間帯や場所等、様々な状況を考慮して判断されます。

事例のAさんは20歳未満であることから少年事件の手続きにのっとって処分が決められるため、原則として刑罰を受けることはありませんが、①の恐喝罪も②の強盗罪も非常に重い犯罪です。
「子どもがやんちゃしただけ」と軽く考えず、まずは専門家の弁護士に相談されることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、成人の刑事事件のみならず、少年事件についても数多くの取り扱いがございます。
まずはお気軽に、お問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
京都府西京警察署までの初回接見費用:3万6,800円)

次回の記事では、Aさんに対してどういった弁護活動・付添人活動が考えられるのか、詳しく見ていきます。

京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件②

2019-05-06

京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件②

~前回からの流れ~
京都市中京区の高校に通っているA(17歳)は、3歳年下の妹にいたずらしようと思い、妹が寝ているときに、妹が着ていたパジャマを気付かれないように脱がせました。
パジャマを脱がせたところ、妹が下着を着けておらず、胸があらわになっており、ムラムラしたAは、妹が寝ていることをいいことに、妹の胸を揉みしだいてしまいました。
Aが胸を揉んでいるときに妹が起きてしまい、悲鳴を上げられたため、Aは胸を揉む行為をやめて妹に謝りました。
その場はそれで収まりましたが、次の日に妹が兄に胸を揉まれたことを学校で友達と話したところ、その友達が学校の先生に言ってしまい、学校の先生から児童相談所に通報され、妹は児童相談所に一時保護されることになってしまいました。
その後、児童相談所から通報を受けた京都府中京警察署の警察官がA宅に来て、Aは準強制わいせつ罪の容疑で通常逮捕されてしまいました。
Aの親は今後Aや妹がどうなってしまうのか知るため、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に弁護活動を依頼することにしました。
(フィクションです。)

前回の記事では、Aに成立する「準強制わいせつ罪」という犯罪について解説しました。
今回は、Aが20歳未満の少年であることから、少年事件の特色について触れていきます。

~少年事件の特殊性~

本件のAは17歳であり、未成年です。
未成年は法律上「少年」と呼ばれ、少年の起こした事件は「少年法」の適用を受け、「少年事件」と呼ばれます。

少年事件は、成人の事件とは異なった手続きがとられます。
たとえば、本件のAのように逮捕された場合、一般的に「勾留」と呼ばれる長期の身体拘束も引き続き受けることになりますが、少年を勾留する場合には、成人の事件での勾留の要件に加えて「やむを得ない場合」といえることが必要になります。

特に成人事件と少年事件の違いが大きく出るところは、①原則全件送致主義がとられていること②「調査」という手続きがあること③基本的に「保護処分」が下されることが挙げられます。
全件送致主義とは、成人事件では被害者と示談をするなどした場合、犯罪の嫌疑が十分である場合でも検察官が公訴提起をしない処分(不起訴処分)をすることができますが(「起訴便宜主義」といいます)、少年事件の場合にはこの起訴便宜主義がなく、犯罪の嫌疑がある場合には原則としてすべて家庭裁判所に送致しなければならないということを意味しています。
したがって、少年事件の場合には、犯罪の嫌疑がない場合を除き、仮に示談があったとしても家庭裁判所の判断を仰ぐことになります。

②「調査」とは、警察や検察といった捜査機関が行う「捜査」とは違い、主に「なぜその犯罪(非行)が行われたのか」という原因を探る手続きをいいます。
少年事件の場合、犯罪行為のことを「非行」と言いますが、少年法の建前として、少年の置かれていた環境に悪い面があり、その悪い面のせいで「非行」が発生したという考えをとっているため、悪い環境を探る必要があるために「調査」が必要となっています。
この「調査」には大きく分けて「在宅調査」と「観護措置」の2種類があります。
「在宅調査」は、身体拘束を受けずに調査されるものですが、「観護措置」は「少年鑑別所」というところに身体拘束されて調査を受けるものです。
観護措置は通常4週間とられることになります。

③「保護処分」とは、刑罰とは違い、前科にはなりません。
「保護処分」には、「少年院送致」、「児童自立支援施設などの施設送致」、「保護観察」という3種類があります。
「保護観察」以外はすべて身体拘束を受ける処分です。
このように、少年事件では、成人事件と違った手続きが多数あり、身体拘束期間も長くなりがちです。
そこで、早期の身体解放や、最終的な処分を軽くするためには専門的な知識を有した弁護士に依頼することが大切です。

~一時保護~

ここで、本件でAの妹は児童相談所に一時保護されています。
児童相談所の一時保護は法律上2か月とされていますが、更新ができるため、長期間にわたって児童相談所に保護され続けることになってしまう場合もあります。
本件のような場合、同じ家庭でAと妹は生活しており、Aの処分によっては、今後も妹と同じ空間で生活することになってしまうため、児童相談所の一時保護が長期化する可能性が十分にあります。
Aの処分等によって妹の一時保護の解除時期等も変わってくることになるため、やはり専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件も多く取り扱っており、早期の身体解放や軽い処分に向けた調査対応など実績のある弁護士が丁寧に活動します。
少年事件でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
(お問い合わせ:0120-631-881

京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件①

2019-05-05

京都市中京区で少年の準強制わいせつ事件①

~事案~
京都市中京区の高校に通っているA(17歳)は、3歳年下の妹にいたずらしようと思い、妹が寝ているときに、妹が着ていたパジャマを気付かれないように脱がせました。
パジャマを脱がせたところ、妹が下着を着けておらず、胸があらわになっており、ムラムラしたAは、妹が寝ていることをいいことに、妹の胸を揉みしだいてしまいました。
Aが胸を揉んでいるときに妹が起きてしまい、悲鳴を上げられたため、Aは胸を揉む行為をやめて妹に謝りました。
その場はそれで収まりましたが、次の日に妹が兄に胸を揉まれたことを学校で友達と話したところ、その友達が学校の先生に言ってしまい、学校の先生から児童相談所に通報され、妹は児童相談所に一時保護されることになってしまいました。
その後、児童相談所から通報を受けた京都府中京警察署の警察官がA宅に来て、Aは準強制わいせつ罪の容疑で通常逮捕されてしまいました。
Aの親は今後Aや妹がどうなってしまうのか知るため、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に弁護活動を依頼することにしました。
(フィクションです。)

~準強制わいせつ罪~

準強制わいせつ罪」とは、心神喪失又は抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせてわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
一般に「強制わいせつ罪」という場合には、暴行脅迫を用いてわいせつ行為をすることが必要で、例外的に13歳未満の者に対してわいせつ行為をした場合には、暴行脅迫を用いなくても「強制わいせつ罪」となります。
しかし、「準強制わいせつ罪」は、暴行脅迫がなくても、抵抗ができない状態にある人にわいせつな行為をした場合に成立し、「強制わいせつ罪」と同様に扱われることになります。
したがって、抵抗ができないような状態にある人にわいせつな行為をした場合には、成人の場合、懲役6月以上10年以下の刑罰が法律上科せることになります。

本件のAは、妹が寝ていることに乗じて胸を揉むという明らかにわいせつな行為をしており、寝ている妹は抵抗ができない状態にあったということができるため、Aには「準強制わいせつ罪」が成立することになります。

~パジャマを脱がせた行為~

また、Aが寝ている妹のパジャマを脱がせた行為自体も、わいせつな行為と評価することができるといえるため、パジャマを脱がせた行為も「準強制わいせつ罪」当たる行為ということができます。

もっとも、パジャマを脱がせた段階では、Aはいたずらの目的しかなく、わいせつな目的があったといえません。
強制わいせつ罪」には、「わいせつな目的」が必要とされているのと同様に、「準強制わいせつ罪」にも「わいせつな目的」が必要です。
そこで、「わいせつな目的」がなかった場合、「準強制わいせつ罪」が成立しないと主張することが考えられます。

しかし、最近の最高裁判所の判断によれば、「強制わいせつ罪」の事例ではありますが、行為自体がわいせつな行為と評価できる場合にはわいせつな目的があったものということができると判断したものがあり、行為自体がわいせつといえるか微妙な場合のみ「わいせつな目的」の有無が問題となると評価できるような判断となっています。
そうすると、本件でパジャマを脱がせた行為は、一般的に女子の服を脱がせる行為はわいせつな行為と評価することができるため、「わいせつな目的」がなかったとしても、「準強制わいせつ罪」に問われる可能性があることになります。
この場合には、厳密に考えるとパジャマを脱がせた行為と胸を揉んだ行為それぞれに「準強制わいせつ罪」が成立することになりますが、実質的には一連の行為といえるため、これらを一つの行為として「準強制わいせつ罪」1個が成立することになると考えられます。
もっとも、厳密には2つの行為が行われているといえるため、量刑の判断においては、パジャマを脱がせていない場合に比べて重く判断される可能性があります。

そこで、パジャマを脱がせた行為については「準強制わいせつ罪」に当たらないと主張することが考えられます。
準強制わいせつ罪」に当たるかどうかは、上記の判例の評価も含めて非常に複雑で専門的な判断が必要になるため、専門家に判断をゆだねることが賢明です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱っており、このような判断についても専門的な知識を有した弁護士が、事案の内容を細かく聞き取り、しっかりと判断することができます。
準強制わいせつ罪にあたるかどうかでお悩みの方はぜひ一度弊所の弁護士までお問い合わせください。
京都府中京警察署までの初回接見費用:3万4,800円

大麻バター所持で逮捕

2019-05-01

大麻バター所持で逮捕

京都府城陽市に住んでいる19歳のAさんは、大麻に興味を持っていました。
するとある日、インターネットで知り合ったBさんから、「大麻バターというものがあって、気軽に大麻を使える」という話を聞きました。
インターネットで大麻バターのことを調べたAさんは、大麻バターは合法だと書いてあるホームページも見受けられたし、大麻バターであれば大麻草自体を所持するわけではないのだから大丈夫だろうと思い、Bさんから大麻バターを購入し、使用していました。
しかしある日、京都府城陽警察署の警察官がAさんの家に家宅捜索に訪れました。
そこでAさんの所持していた大麻バターは押収され、Aさんは大麻取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・大麻バター

大麻バターとは、大麻成分を含むバターのことで、その成分からカンナビスバターなどとも呼ばれることがあるようです。
大麻草にはカンナビノイドという化学物質が含まれており、このカンナビノイドという化学物質が、大麻を利用した際に多幸感をもたらすなどの精神作用を与えると言われています。
そのカンナビノイドという大麻成分は、油に溶ける性質を持っているため、この性質を利用してバターに大麻成分を溶け込ませたのが大麻バターです。
大麻バターは通常のバターと同様、食事に利用することで用いられ、そうして大麻を摂取するのです。

一般的に広まっているイメージとしては、乾燥させた大麻をパイプなどで喫煙することによって摂取するイメージが強いかもしれませんが、大麻バターのような大麻草そのものではなく、大麻入り食品を摂取することで大麻を使用するケースもあるのです。
大麻バターの他にも、大麻成分を油に溶け込ませた大麻オイルや、そもそも大麻自体を食品に混ぜる大麻クッキーなどがあると言われています。

・大麻入り食品と大麻取締法違反

さて、今回のAさんは大麻バターという大麻成分の入った食品を所持していたことによって、大麻取締法違反の容疑で逮捕されてしまったようです。
しかし、Aさんの考えていたように、大麻草そのものを持っていたわけではなくとも、大麻取締法違反となってしまうのでしょうか。
大麻取締法を見てみましょう。

大麻取締法1条
この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。
ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。

この条文によると、大麻取締法のいう「大麻」とは、大麻草そのものだけでなく大麻草を使用した製品のことも含んでいるということが分かります。
つまり、大麻草からバターに大麻成分を溶け込ませたものである大麻バターも、大麻取締法の規制対象である「大麻」に該当するということになるのです。

大麻取締法24条の2
大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。

ですから、大麻バターを所持することはこの大麻取締法24条の2に違反することになるのです。

ただし、今回のAさんは19歳であり20歳未満の少年であるため、原則的には少年事件として扱われることになり、刑罰を受けることは基本的にはありません。
しかし、Aさんの年齢が19歳であることから、手続き途中に成人し、刑事事件としての扱いに切り替わる可能性があることも注意が必要です。
今回のAさんの事案では、大麻取締法違反という犯罪の性質に注目した弁護活動はもちろんのこと、刑事事件としての手続きに切り替わる可能性のある少年事件としての弁護活動も意識しなければならないということです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件だけでなく少年事件も多く取り扱っています。
だからこそ、それぞれの犯罪の特色に注目した弁護活動も、刑事事件少年事件それぞれの特徴を抑えた弁護活動も可能です。
京都府滋賀県大麻取締法違反事件などの刑事事件少年事件逮捕にお困りの際は、弊所弁護士までご相談下さい。
京都府城陽警察署までの初回接見費用:3万8,200円)

アプリ上の児童ポルノの公然陳列事件

2019-04-19

アプリ上の児童ポルノの公然陳列事件

京都府京田辺市に住んでいるAさんは、スマートフォン向けの写真・動画共有アプリ上に、18歳未満の児童がわいせつな行為をしている動画を投稿していました。
そのアプリでは、アプリ利用者であれば投稿された写真や動画を閲覧したりダウンロードしたりすることが可能となっていました。
するとある日、Aさんの自宅に京都府田辺警察署の警察官がやってきて、Aさんを児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)の容疑で逮捕してしまいました。
その際、Aさんの自宅は家宅捜索も行われ、Aさんの家族は何が起こったのか分からず不安に駆られています。
Aさんの家族は、京都滋賀刑事事件に対応している弁護士に相談し、まずはAさんのもとへ弁護士の接見を依頼することにしました。
(※平成31年4月17日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・アプリ上でも「公然陳列」?

Aさんは児童のわいせつな行為が写っている動画をスマートフォン向け共有アプリに投稿したことで、児童ポルノ公然陳列したことによる児童ポルノ禁止法違反の疑いをかけられて逮捕されています。
児童ポルノ禁止法(正式名称:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)では、以下のような規定がなされています。

児童ポルノ禁止法7条6項
児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
電気通信回線を通じて第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

※注:児童ポルノ禁止法2条3項では、児童ポルノがどういったものかが定義されています。

Aさんはこのうち、児童ポルノを「公然と陳列した」容疑をかけられているということになります。
Aさんの投稿した動画は、18歳未満の児童がわいせつな行為をしている内容であったことから、この動画が児童ポルノであることは間違いがなさそうです。
この際、共有アプリにその児童ポルノを投稿したことが「公然と陳列した」という文言とイメージが合わないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この「公然と陳列した」という言葉の意味は、不特定又は多数の人が見られる状態に置くことを指します。
つまり、不特定又は多数の人がその児童ポルノを見ることができる状態に置くことをすれば「公然と陳列した」ことになります。
Aさんは、共有アプリに児童ポルノを投稿していますが、そのアプリを利用している人は投稿を自由に見ることができるため、不特定又は多数の人が見ることのできる状態にしているといえます。
ですから、Aさんは児童ポルノを「公然と陳列した」といえ、児童ポルノ禁止法違反になりえるのです。

こうした児童ポルノ禁止法違反事件では、Aさんもそうであったように家宅捜索の上逮捕されることも多く、被疑者本人はもちろん、そのご家族も大きな不安を抱えられることもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、被疑者本人だけでなくその周囲の方の不安も解消できるよう、刑事事件専門の弁護士がフルサポートを行います。
まずは0120-631-881までお問い合わせください。
専門スタッフが24時間いつでも対応いたします。
京都府田辺警察署までの初回接見費用:37,600円)

京都で高校生同士の児童ポルノ製造事件

2019-04-01

京都で高校生同士の児童ポルノ製造事件

~事例~
京都府南丹市の高校に通っているA(17歳)は、SNSで知り合った京都市の別の高校に通っている女子生徒V(16歳)から、SNSで「最近彼氏が構ってくれなくて寂しい」と言われたので、下心から「じゃあ、寂しさを紛らわせるために、エッチな話をしようか」と持ち掛け、それにVも乗ってきたため、Aは「Vちゃんの裸の写真送って」とメッセージを送ったところ、Vから裸の写真が送られてきました。
その後、他愛のないことからVとケンカしたところ、Vから「以前裸の写真を送ったことを親に言ったら、親が京都府南丹警察署に行くと言っている」旨のメッセージが届きました。
不安になったAは、自分の親にこのことを相談し、Aの親は今後の見通しを聞くために、刑事事件少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士による無料法律相談を受けることにしました。
(フィクションです。)

~本件で当たり得る犯罪~

本事例でAが当たりえる犯罪としては、①児童ポルノ製造罪、②児童ポルノ単純所持罪、③強要罪が考えられます。
このうち①と②については、「児童売春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に規定されており、本事例では、送ってもらった裸の写真は一枚なので、①が成立する場合には②は成立しないことになります。
当然、②よりも①の方が重く処罰されます。
そして、本事例の「裸の写真」は、18歳未満の卑わいな写真であるため、「児童ポルノ」に該当することは間違いありません。

そこで、①児童ポルノ製造罪が成立するかが問題となります。
本事例では、実際に裸の写真を撮影して送信しているのはVであり、Aはあくまでもその写真を受信したにすぎないため、Aには児童ポルノ製造罪ではなく、児童ポルノを保存していることによる児童ポルノ単純所持罪が成立するにとどまるように思えます。
しかし、現実の捜査や裁判例では、18歳未満の者に対して卑わいな写真を撮影して送るように仕向けたことが児童ポルノ製造罪にあたると解されています。
したがって、本事例のAも、「Vちゃんの裸の写真送って」とVに裸の写真を撮影して送るようにお願いしていることから、児童ポルノ製造罪が成立する可能性があります。

では、A自身も18歳未満であることは何か関係があるでしょうか。
答えはノーです。
被疑者がたとえ18歳未満であったとしても児童ポルノ製造罪が成立することに変わりはありません。
もっとも、単にお願いに留まるような場合には、児童ポルノ製造罪に当たらないとされた例もあり、どのような事情があれば児童ポルノ製造罪が成立し、逆に単純所持罪しか成立しないのかは、専門家に相談して判断してもらうしかありません。
軽い気持ちで卑わいな写真を送り合ってしまうことは、現在のインターネット社会ではよくあることです。
もし、そのような写真を送ってもらって不安な方は、児童ポルノに関する事件についての経験が豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

~強要罪との関係~

強要罪とは、脅迫や暴行を用いて人に義務のないことを行わせたりした場合に成立する犯罪です(刑法223条参照)。
本事例のAは、「Vちゃんの裸の写真送って」とお願いしただけですので、その点を考慮すれば強要罪にあたる可能性は低いといえます。
しかし、仮に「前に送ってもらった裸の写真をばらまかれたくなかったら、また新しい裸の写真を送れ」と言って裸の写真をさらに送らせたとしたらどうでしょうか。
この場合は、裸の写真をばらまくことはVの名誉を害することになるので、脅迫して義務のない裸の写真を送るという行為をさせたことになり、Aには強要罪が成立することになります。
また、このように児童ポルノを送らせる行為に強要罪が成立する場合、さらに児童ポルノ製造罪も成立する可能性が非常に高くなります。

~少年事件手続~

本事例のAは未成年なので、仮に警察が捜査を始めたとしても、最終的な処分として刑事罰を受ける可能性はかなり低いでしょう。
しかし、強要罪や児童ポルノ製造罪が成立する場合には、逮捕されたり、少年鑑別所に収容されて調査を受けたり(観護措置と言います)する可能性が高くなります。
そこで、そのような身体拘束を避ける若しくは早期に身体拘束を解くために、早めに弁護士に相談して、今後の予想される手続きに向けたアドバイスを受けるべきです。
特に少年事件手続は通常の刑事事件手続に比べて特殊な部分が多くあるため、経験を積んでいる弁護士に相談すべきでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に精通した弁護士が、丁寧に少年事件手続について説明します。
ぜひ一度ご相談ください。
京都府南丹警察署までの初回接見費用:4万1,100円)

滋賀県長浜市で窃盗 少年逮捕

2019-03-29

滋賀県長浜市で窃盗 少年逮捕

滋賀県長浜市の公立高校に通っているA(17歳)は、体育の授業中、授業をさぼって更衣室に侵入し、授業を受けている同級生のカバンに入っていた財布を盗み、学校の近くにあるゲームセンターで、その財布に入っていたお金で遊んでいたところ、授業中の時間なのにゲームセンターにいることを不審に思った店員から通報され、駆けつけた滋賀県長浜警察署の警察官から職務質問をされ、持っていた財布を任意で提出しました。
警察官が財布の中身を確認したところ、Aとは別の生徒の身分証明書が入っていたため、警察官から問い詰められたAは、財布を盗んでしまったことを自白したため、警察官から窃盗罪の容疑で緊急逮捕されてしまいました。
滋賀県長浜警察署から逮捕の連絡を受けたAの両親は、Aが今後どのような処分を受けることになるのか心配になり、少年事件に強い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~窃盗罪以外に犯罪が成立するか~

今回の事例のAは、同級生の財布を盗んでいるので、刑法235条に規定されている窃盗罪に当たる行為をしてしまったことになります。
では、Aはその後財布に入っていた現金を使用していますが、この行為は罪に問われるでしょうか。
Aが使用した現金は、Aが窃取して占有している財布の中に入っていたものですから、「自己が占有する他人の物」を処分したことになり、横領罪(刑法252条1項)が成立するように思えます。
しかし、Aは財布に入っている現金も含めて窃取しており、当然窃取した段階で財布に入っている現金を使用することも考えていたということができます。

このように、通常窃盗罪が成立する場合、その窃取した被害品を処分することは当然の帰結として考えられるため、その後の処分は処罰せず、窃盗罪のみで処罰するというのが一般的です。
この場合の窃取後の処分行為のことを専門的には「不可罰的事後行為」といいます。
したがって、本件のAの場合、現金を使用したことについては別途犯罪を構成することはなく、不可罰的事後行為として処罰されず、窃盗罪のみが成立することになります。

~少年事件手続(捜査)~

本件のAは窃盗罪の容疑で緊急逮捕されています。
緊急逮捕とは、重大犯罪でかつ緊急を要する場合に、逮捕状を示すことなく行う逮捕手続ですが、その後の身体拘束に関する手続きについては、通常の逮捕手続によった場合と異なることはありません。
成人の方の事件の場合には、逮捕に引き続き「勾留」という手続きが採られるのが一般的です。
少年事件でも勾留が採られることは変わりませんが、成人事件と違い、勾留の要件が加重されています。
具体的には、少年を勾留するためには成人事件の勾留の要件に加えて「やむを得ない場合」に当たることが必要とされています(少年法48条1項)。

もっとも、実際上は検察官が勾留請求をした場合、やむを得ない場合に当たるかどうかについては慎重に判断されることなく、勾留が決定されることが多いです。
そこで、裁判官に対して「やむを得ない場合」に当たるかどうかの慎重な判断を促し、さらに勾留の理由についても乏しいこと等を主張し、早期に釈放を求めていくことが必要です。
そのためには、少年事件に詳しい弁護士に依頼することが一番です。
早期の身体解放を目指したい場合には、少年事件を多く扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご依頼下さい。

~少年事件手続(家裁送致後)~

少年事件の特殊なところは、どのような事件であれ、家庭裁判所に送致されるところです。
家庭裁判所に事件が送致されると、捜査とは違う「調査」が行われます。
この調査に関しては、身体拘束せずに行う「在宅調査」と身体拘束を伴って調査を行う「観護措置」の2パターンがあります。
観護措置が採られた場合には、通常4週間、少年鑑別所に収容されて調査を受けることになります。
相当な長期間身体を拘束されてしまうことになるので、学校に事件が知られてしまったり、就職している方であれば、職場に事件のことが知られてしまい、退学や免職となってしまう可能性もあります。
そこで、捜査のときと同様に、少年事件に詳しい弁護士に依頼して、早期の釈放を目指してもらいましょう。

また、少年事件では、この調査期間にどのような改善が見られたかが最終的な処分に大きく影響します。
そこで、どのような事情について調査が行われ、どのような活動をしていけば改善を見せられるのかについて専門的なアドバイスを適宜受けていくことが、よりよい調査対応につながっていきます。
本件のAの場合であれば、勾留がついた状態で家庭裁判所に送致されると、観護措置がほぼ採られることになりますので、早めに身体解放に向けた活動をするとともに、調査に向けて反省文の作成などの活動を行っていくことが必要になります。
家庭裁判所送致後は、特に少年事件の特殊なところが出てくるところですので、刑事事件少年事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご依頼ください。
滋賀県長浜警察署までの初回接見費用:4万4,060円

京都府綾部市の少年大麻所持事件②

2019-03-28

京都府綾部市の少年大麻所持事件②

~前回からの流れ~
Aさんは、京都府綾部市に住んでいる中学3年生です。
不眠で悩んでいたAさんは、インターネットで大麻を使用すればよく眠れるという内容の記事を見かけ、インターネットを通じて知り合った男性Bさんから大麻を購入し、大麻を使用するようになりました。
その後Aさんは、大麻だけでなく、MDMAなども購入して使用していたのですが、ある大麻を使用した日に大麻の作用で自宅内で暴れ、それをきっかけに家族から救急車を呼ばれ、病院に運ばれました。
そして、病院の検査で大麻の使用が発覚し、Aさんは大麻取締法違反の容疑によって京都府綾部警察署に逮捕されてしまうことになりました。
その後の捜査で、Aさんの部屋から大麻だけでなくMDMAも見つかり、Aさんは麻薬取締法でも追送検される予定です。
Aさんの家族は、どうにかAさんを釈放してほしい、また、どうにか同じことを繰り返さずに更生できるようにしたいと、京都少年事件を扱う弁護士に相談することにしました。
(※平成31年3月25日産経新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・「追送致」とは?

今回のAさんは、まず最初に大麻取締法違反の容疑で逮捕され、その後、MDMA所持等による麻薬取締法違反で「追送致」されることになっています。
ではこの「追送致」とはいったい何で、どういった時に行われるのでしょうか。

まず、刑事事件少年事件については、原則的に警察などによって捜査が行われ、その後検察庁へ事件が送られます。
この検察庁に事件が送られる手続きのことを「送致」と言います。
逮捕されている場合には被疑者の身柄と一緒に証拠等の書類を検察庁へ送致します。
そして、逮捕等身体拘束を伴わない刑事事件、いわゆる在宅事件では、証拠等書類のみが検察庁へ送致されます(これがいわゆる「書類送検」です。)。
そして検察庁に送致された後に、検察官が逮捕に引き続く身体拘束である「勾留」を請求するかどうか、被疑者を起訴するか否か、少年事件の場合は家庭裁判所に送致するかどうか等を判断していくことになります。
「追送致」は、この検察官へ事件を送る「送致」について、すでに送致を行った同じ被疑者の別件の刑事事件少年事件(いわゆる「余罪」と呼ばれるもの)を追加で送致していく手続きです。
つまり、Aさんの場合、当初発覚していた大麻取締法違反の容疑で逮捕され、検察庁に送致された後、MDMAの所持や使用が発覚したため、そのMDMAに関する麻薬取締法違反事件が追加で検察庁に送致=「追送致」されたということになります。

なお、Aさんのような少年事件の場合、原則として検察官に事件が送られた後、家庭裁判所への事件の送致が行われます。
ここでも、家庭裁判所に事件が送致された後に余罪が発覚したり、余罪の捜査が行われている間に本件として立件されていた事件が先に家庭裁判所への送致が行われていたような場合には、「追送致」が行われることになります。

・Aさんのための弁護・付添人活動

Aさんの事件に限らず、大麻等違法薬物に関連した刑事事件少年事件では、事件の性質上証拠隠滅が容易なことから、逮捕や勾留といった身体拘束の処分が行われやすいと言われています。
しかし、だからといって釈放を目指した活動ができないわけではありません。
ご家族等周りの方との協力のもと、検察官や裁判官に対して証拠隠滅のおそれがないことを法律に基づいた主張を行うことで、釈放を目指していくことができます。
どのような方法によって証拠隠滅のおそれのないことを示していくのか等は、刑事事件・少年事件それぞれによって異なります。
Aさんの場合であれば、ご家族による監督によって証拠隠滅の機会をなくしていくことなどが考えられますが、それもAさんのご家族やAさん自身の環境がどういったものかにもよりますから、一度弁護士に具体的な事情と共に相談されることが望ましいでしょう。

そして、前回の記事でも触れた通り、大麻は他の違法薬物の使用の入り口となってしまう可能性もある薬物です。
現にAさんはMDMAという別の違法薬物に手を出してしまっています。
現在受けている身体拘束から解放してもらう、という活動ももちろん大切ですが、その後を考えることも大切です。
Aさんは20歳未満であるため、少年事件の手続きにのっとり、原則刑事罰を受けることはありませんが、違法薬物を複数種類使用していたことから、少年の更生に適さない環境であると判断されれば、少年院送致といった処分も考えられます。
もちろん、そういった処分を受けなかったとしても、Aさんがまた違法薬物を繰り返してしまえば元も子もありません。
ですから、今後Aさんが同様の犯罪に触れないよう、再犯防止のための活動をしていくこと、さらにはそれを証拠化し、Aさんが社会のもとで更生できるという主張をしていくことが必要となってきます。
こうした活動も、薬物事件に関する知識だけでなく、少年事件の手続きにも精通していることが求められますから、弁護士への相談・依頼をされることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件少年事件についてのご相談・ご依頼に迅速に対応できるよう、24時間いつでもお問い合わせが可能です。
0120-631-881では専門スタッフがお問い合わせに合ったサービスをご案内いたしますので、まずは遠慮なくお電話ください。

京都府綾部市の少年大麻所持事件①

2019-03-27

京都府綾部市の少年大麻所持事件①

Aさんは、京都府綾部市に住んでいる中学3年生です。
Aさんは、高校受験等について悩むことも多く、眠れない日が続いていました。
するとある日、インターネットで検索をしていると、「大麻を使用すればよく眠れる」といった記事が出てきました。
その記事の内容に惹かれたAさんは、インターネットを通じて知り合った男性Bさんから大麻を購入し、大麻を使用するようになりました。
その後Aさんは、大麻だけでなく、MDMAなども購入して使用していたのですが、ある大麻を使用した日に大麻の作用で自宅内で暴れ、それをきっかけに家族から救急車を呼ばれ、病院に運ばれました。
そして、病院の検査で大麻の使用が発覚し、Aさんは大麻取締法違反の容疑によって京都府綾部警察署に逮捕されてしまうことになりました。
その後の捜査で、Aさんの部屋から大麻だけでなくMDMAも見つかり、Aさんは麻薬取締法でも追送検される予定です。
Aさんの家族は、どうにかAさんを釈放してほしい、また、どうにか同じことを繰り返さずに更生できるようにしたいと、京都少年事件を扱う弁護士に相談することにしました。
(※平成31年3月25日産経新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・大麻とMDMA

いわゆる大麻は、ご存知の方も多いように、大麻草という植物の一部を乾燥させたり樹脂化させたり、あるいは液体化させたりしたものを指します。
一方、MDMAはいわゆる合成麻薬と呼ばれる薬物であり、幻覚剤に分類される薬物です。
MDMAを使用することによって多幸感を感じるという効果があると言われていますが、その乱用によって死亡者が出ることもある危険な薬物です。

現在の日本では、大麻大麻取締法で、MDMAは麻薬の一種として麻薬取締法で規制されています。
大麻については使用の規制はありませんが、所持や譲渡については大麻取締法で規制がなされており、実際問題、大麻を所持せずに使用することは不可能ですから、大麻を使用していれば大麻所持を行ったとして大麻取締法違反で摘発される可能性が高いと言えるでしょう。

大麻取締法24条の2
大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。

麻薬取締法66条
ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に該当する者を除く。)は、7年以下の懲役に処する。

大麻取締法66条の2
第27条第1項又は第3項から第5項までの規定に違反した者は、7年以下の懲役に処する。
(※注:麻薬取締法27条5項 何人も、第1項、第3項又は第4項の規定により禁止される麻薬の施用を受けてはならない。)

こうした規制のある大麻MDMAですが、上記事例のAさんは、まず大麻取締法違反の容疑で逮捕されているところ、MDMAも所持・使用をしていたようです。
大麻取締法違反事件では、このように違う種類の違法薬物の所持や使用も発覚するケースが少なからず見られます。
というのも、大麻は「ゲートウェイドラッグ」とも呼ばれており、より依存性や副作用の強力な他の違法薬物の使用の入り口になる薬物であると言われている側面があるのです。
大麻は、他の違法薬物と比べて安価な相場であるともいわれており、そうしたことから最初に大麻に手を出す、という人も多くいるようです。
しかし、一度大麻等違法薬物に手を出してしまうと、再度同じ大麻やその他違法薬物に手を出すときのハードルが低くなり、手を出しやすくなってしまいます。
そして、使用感に慣れていってしまうと、より大きい効果を求めて、副作用や依存性の高い薬物に手を広げてしまうということもあるようです。
こうしたことから、大麻はゲートウェイドラッグであるとも言われており、大麻取締法違反だけでなく、その他の違法薬物の所持や使用の罪が重なってしまう刑事事件も少なからずあるのです。

大麻などの薬物事件に限らず、複数の犯罪をしてしまった場合、事件の見通しや弁護活動を推し量ることは、一般の方だけではなかなか難しくなってしまうでしょう。
そうした時こそ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談ください。
弊所の弁護士刑事事件少年事件専門の弁護士ですから、複数の犯罪に関わる複雑な刑事事件のご相談・ご依頼も安心してお任せいただけます。
まずはフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

次回の記事では、Aさんの事件に焦点を当てて、詳しく検討していきます。

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