Archive for the ‘刑事事件’ Category

ペットの連れ去りで刑事事件に

2021-05-31

ペットの連れ去りで刑事事件に

ペット連れ去りから刑事事件化したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説いたします。

~事例~

京都府京田辺市に住んでいるAさんが自宅付近を散歩していると、赤い首輪を付けた小型犬がスーパーマーケットのすぐ前にある柵にリードで繋いであるところを見つけました。
その小型犬は、飼い主であるVさんがスーパーマーケットで買い物をする10分程度の間、外に繋いでおいた犬でした。
Aさんは、もともと犬を飼いたいと思っていたこともあり、一目を盗んで犬のリードを外すと犬を抱えて持ち帰り、自分のペットとして飼育し始めました。
その後5分ほどして買い物を終えてスーパーマーケットを出てきたVさんは、繋いでおいたはずの犬がいなくなっていることに気が付き周囲を探しましたが、犬が見つからないことから、京都府田辺警察署に相談。
その後の捜査で、AさんがVさんの犬を連れ去ったことが発覚し、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されるに至りました。
Aさんの家族は、まさかAさんが他人のペットを連れ去って逮捕されるとは思わず、刑事事件を取り扱っている弁護士に相談し、Aさんに成立する犯罪やその見通し、可能な弁護活動について詳しく聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・ペットの法律上の立ち位置

犬や猫に代表されるペットを、自分の家族と同じように大事な存在として大切に飼育されている方も多いでしょう。
しかし、法律上、ペットのような動物は「物」として扱われます。
したがって、誰かがペットが傷つけても人を傷つけたときのように傷害罪(刑法第208条)は成立しませんし、ペットを連れ去ったとしても人を誘拐したときのように誘拐罪(刑法第224条)は成立しません。
大切にしているペットだからこそ、こういった扱いが腑に落ちないという方もいらっしゃるかもしれませんが、現在の法律上、ペットの扱いはそのようになっているのです。

・ペットの連れ去りで成立する犯罪?

今回の事例では、AさんはVさんのペットの犬を勝手に連れ帰っています。
こうしたケースでは、今回のAさんの逮捕容疑でもある窃盗罪が問題となります。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

条文を確認すると、窃盗罪が成立するためには①「他人の財物を」、②「窃取」することが必要です。

まず①について、他人の財物とは他人が「占有」する「他人の財物」を意味します。
先ほど触れた通り、法律上ペットは「物」ですから、Vさんのペットの犬も法律上は「物」と考えられます。
そして、窃盗罪の「財物」は、財産的価値がなくとも、社会通念上刑法的価値に値する主観的・感情的価値があるものであればよいとされます(大判明治44.8.15)。
したがって、例えばVさんのペットの犬が血統書付きの犬などではなくとも、窃盗罪の「財物」といえるでしょう。

そして、②「窃取」するということは、持ち主の意思に反してその物の占有を自分や第三者に移転することです。
「占有」とは、財物に対する事実上の支配をいいます。
今回のAさんの事例の場合、犬の飼い主であるVさんは犬のもとを離れてスーパーマーケットの中に行っていることから、Vさんが犬を占有しているかどうか疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、Vさんが犬のもとを離れたのは10分程度という短い時間であり、Vさんとしてもすぐに戻るつもりで犬を柵に繋いでおり、距離的にも近い位置にいます。
こうしたことから、一時的に犬と離れていたとしても、Vさんは犬を占有している状態であったと考えられるでしょう。
その状況からAさんはVさんの意思に反して勝手に犬を連れ去り自分のペットとして扱っている=犬の支配をAさんのもとに移していると考えられるため、窃盗罪の「窃取」に該当する行為をしていると考えられます。

なお、窃盗罪には条文にある条件以外にも「不法領得の意思」という意思が必要とされています。
「不法領得の意思」を簡単に言えば、持ち主の権利を排除して自分が持ち主のようにその物を利用したり処分したりする意思のことを指します。
今回のAさんは、Vさんのもとからペットの犬を連れ去り、自分のペットとする=Vさんを排除して自分が犬の持ち主のようにふるまう意思をもって行動しているので、この「不法領得の意思」もあったと考えられます。

こうしたことから、Aさんのペットの連れ去り行為は窃盗罪にあたると考えられるのです。

先ほども触れた通り、法律上ペットは「物」として扱われますが、飼い主からすれば家族同然であったりします。
そうしたペットを連れ去られたとなれば、被害感情が大きいことも当然考えられます。
被害者対応なども慎重に行うことが求められますから、刑事事件の専門家である弁護士に相談してみることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、窃盗事件を含む刑事事件を専門的に取り扱っています。
お悩みの際はお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

美人局で逮捕されてしまったら

2021-05-27

美人局で逮捕されてしまったら

美人局逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、「人妻です。京都市西京区で会える不倫相手募集」というようなメッセージを出会い系サイトに投稿し、その投稿に男性会社員のVさんが反応しました。
AさんはVさんと何通かメッセージのやりとりをし、京都市西京区で会う約束をしました。
後日、AさんとVさんが京都市西京区で約束通り会い、ラブホテルから出てきたところ、Aさんの夫を名乗るBさんが現れ、「人妻に手を出して不倫してただで済むと思っているのか」「誠意をもって対応しなければ裁判にしてやる」「裁判になれば職場にも不倫をしたことがばれるぞ」などと言って慰謝料として30万円を支払うよう言ってきました。
VさんはBさんの言葉に怖くなってしまい、Bさんの要求通り30万円を支払ってしまいました。
実は、AさんとBさんは一緒に計画を立てて美人局をしていたのでした。
しかし、その後もBさんから何か言われるのではないかと不安になったVさんが京都府西京警察署に相談したことから被害が発覚し、捜査が開始されました。
AさんとBさんは、恐喝罪の容疑で逮捕され、京都府西京警察署で取調べを受けることになりました。
(※この事例はフィクションです。)

・美人局

美人局(つつもたせ)とは、女性が被害者となる男性を誘って肉体関係をもったり関係をもとうとしたりしたときに、事前に共謀していた第三者(多くは男性)が現れ因縁をつけ、金銭などを脅し取ることをいいます。
美人局を行う女性と男性は実際に夫婦関係や恋愛関係にある場合もありますが、そうでないこともあります。
今回のケースでも、AさんはVさんを誘い出し、ラブホテルで密会した後に夫を名乗るBさんが現れ30万円を脅し取っています。
この美人局によってBさんが行った金銭を脅し取る行為は、恐喝罪(刑法第249条)によって処罰される可能性があります。

刑法第249条(恐喝罪)
第1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

条文中にある「恐喝」とは、暴行または脅迫を手段として相手方をその反抗を抑圧するに至らない程度に畏怖させることをいいます。
もし、財物や財産上不法の利益を得る手段として行った暴行または脅迫が相手方の反抗を抑圧する程度のものであった場合には、恐喝罪ではなく強盗罪(刑法第236条)が成立する可能性があります。
強盗罪の法定刑は5年以上の懲役となります。

また、同じような行為であっても害悪を告知して畏怖させた行為であるとして脅迫罪(刑法第222条)が適用されたり、威迫して人に義務のないことを行わせたとして強要罪(刑法第223条)が適用されたりすることも考えられます。
法定刑は、脅迫罪が2年以下の懲役または30万円以下の罰金で、強要罪が3年以下の懲役です。

さらに、美人局では、女性がまったく性交を行う気がないのに性交を行おうと被害者を呼出し金銭を要求したり、18歳未満であると偽って児童買春が成立するとして慰謝料や示談金の名目で金銭を要求するパターンもあります。
こうしたパターンでは、虚偽の事実を示して金銭などを要求する行為は場合によっては詐欺罪(刑法第246条)に問われる可能性もあります。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。

加えて、ここまでに挙げた主に脅迫行為を行う第三者に成立することが考えられる犯罪だけでなく、被害者を誘い出したり性的な行為を行ったに過ぎない女性(今回の事例でいうAさんの立ち位置)も、共犯(共同正犯あるいは幇助犯など)として第三者と共に罪に問われる可能性があります。

行われた美人局にここまでに挙げたどの罪名が適用されるかは、美人局を行った具体的な状況などによってさまざまで、美人局だからこの犯罪であると断定することは難しいです。
専門家に自身の行った美人局の詳細を話したうえで、どの犯罪に該当し得るのかを聞くことがベストでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、逮捕された方向けの初回接見サービスから、在宅捜査を受けていたり刑事事件化がまだされていなかったりする方向けの初回無料法律相談まで幅広くサービスをご用意しています。
美人局逮捕されてしまった、美人局刑事事件となりそうとお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

大麻使用と大麻取締法違反

2021-05-24

大麻使用と大麻取締法違反

大麻使用大麻取締法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

大学生のAさんは、友人に誘われて京都府八幡市にあるクラブに行きました。
喫煙者でもあったAさんは、友人におすすめだと渡されたタバコを吸っていました。
すると、そこに京都府八幡警察署の警察官が踏み込んできて、捜査が開始されました。
どうやらこのクラブでは薬物の取引が行われており、Aさんが手にしていたタバコにも大麻が含まれていたようです。
Aさんは大麻取締法違反の容疑で京都府八幡警察署に同行するよう求められました。
Aさんは、今後自分がどのようなことになるのか分からず、不安に思っています。
(※この事例はフィクションです)

・大麻取締法違反の規制

大麻大麻取締法によって規制されているということは、多くの方がご存知であることでしょう。
大麻取締法第1条によると、大麻取締法にいう大麻は、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く)並びに大麻草の種子及びその製品を除く」と定義されています。
この定義に含まれる大麻や大麻製品の所持・栽培・輸出入を行うには都道府県知事や厚生労働大臣の免許を受けるなどの必要があります。
この免許制度によって大麻関連の研究者などが大麻の栽培や所持が可能となっています。

ここで注意したいのが、現行の大麻取締法では、大麻の使用は大麻取締法で処罰対象とされていないということです。
大麻草の栽培や大麻の輸出入の法定刑は7年以下の懲役(大麻取締法第24条第1項)、営利目的でこれらを行えば10年以下の懲役(大麻取締法第24条第2項)とされています。
大麻の所持や譲渡・譲受についても、私的な目的であれば5年以下の懲役(大麻取締法第24条の2第1項)、営利目的で7年以下の懲役(大麻取締法第24条の2第2項)という法定刑が定められています。
しかし、現在の大麻取締法には大麻の使用を処罰する規定はありません。

大麻の使用が処罰対象とされていない理由は複数存在しますが、その1つには大麻が古くから生活の中で利用されており、そのために麻を栽培している農家などが栽培の際に大麻の成分を吸ってしまう可能性があるとされていたことが挙げられます。
しかし、最近では大麻の使用罪を大麻取締法に加える法改正の準備も進められており、今後法改正が行われれば、大麻の使用自体も大麻取締法違反となる可能性はあります。

今回の事例について検討してみましょう。
大麻に限らず、捜査機関が薬物事犯の検挙を行うためには、取引現場や使用現場を押さえることが重要でしょう。
そのために噂や情報提供者からの情報をもとに事前に入念な捜査が行われたり(いわゆる内偵捜査など)、薬物の売人などをあえて泳がせて取引の現場で一網打尽にするというような手法(おとり捜査など)がとられたりします。
今回のケースでも、捜査機関は得られた情報をもとにした事前に念入りな捜査をした上で検挙に踏み切ったのでしょう。

そしてAさんは、その検挙の場に居合わせた上、大麻の含まれた煙草を吸っていたようです。
大麻を吸う=大麻の使用行為自体は、先ほど触れた通り、現行の大麻取締法では処罰される行為ではありません。
しかし、大麻を使用するためには大麻を所持しなければいけませんから、大麻の使用行為で大麻取締法違反にはならないとしても、大麻の所持行為によって大麻取締法違反となると考えられるのです。

ですが、当然Aさんが大麻であるということを全く知らなかったという場合には、Aさんには大麻取締法違反の故意がないということになりますので、大麻取締法違反は成立しないことになります。
その場合は取調べなどにおいて故意がなかったことをきちんと主張するべきでしょう。
ただし、「大麻である」とはっきりわかっていたわけではなくとも、「違法薬物かもしれない(がそれでもいい)」というような形で認識していた場合には故意が認められる可能性も出てきますので、まずは専門家に相談し、自分のケースがどのような判断をされうるのか把握しておくことが大切でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、大麻の使用やそれに関わる大麻取締法違反事件のご相談も受け付けています。
まずはお気軽に0120-631-881までお問い合わせください。

風俗店の本番強要トラブルが刑事事件に

2021-05-20

風俗店の本番強要トラブルが刑事事件に

風俗店の本番強要トラブルが刑事事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんは、京都市北区にある風俗店を利用した際、好みの女性キャストVさんからサービスを受けることになりました。
このお店ではいわゆる本番行為が禁止されていましたが、Aさんは、Vさんがあまりに好みに合致していたため、Vさんに対して本番行為を強要し、無理矢理本番行為に及ぼうとVさんを押し倒して押さえつけるなどしました。
しかし、Vさんが声をあげて人を呼んだため、店の男性スタッフが駆け付けたことでAさんはVさんから引き離されました。
そしてAさんは店側から「本番行為の強要をしただろう。対応次第では京都府北警察署に届け出ることも考える」と言われてしまいました。
自分がどうなるのか怖くなったAさんは、ひとまず風俗店との話し合いの前に弁護士に相談して詳しい話を聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・風俗店と本番強要トラブル

そもそも原則として、風俗店ではいわゆる「本番行為」は禁止されています。
というのも、お金をもらって本番行為をするということは売春に当たるため、それを風俗店として認めてしまえば風俗店が売春防止法違反という犯罪に問われてしまうためです。
ですから、風俗店では本番行為が禁止されており、利用客にもその旨は伝えられます。
しかし、今回のAさんは風俗店を利用した際に女性キャストVさんに対して本番行為を強要してしまったようです。
こうした行為はどのような犯罪になる可能性があるのでしょうか。

相手方の同意がないにもかかわらず無理に本番行為を行ってしまった場合は強制性交等罪(刑法第177条)の成立が考えられます。

刑法第177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

強制性交等罪が成立する場合で、さらにその行為時に相手に怪我をさせてしまったときは強制性交等致傷罪(刑法第181条第2項)に問われる可能性もあります。
強制性交等致傷罪の法定刑は無期または6年以上の懲役となっています。

強制性交等罪には未遂犯処罰規定(刑法第180条)がありますので、本番を強要したものの実際に行為は行わなかったというときでも、強制性交等未遂罪として罪に問われる可能性は残ります。
また、先ほど挙げた強制性交等致傷罪は強制性交等未遂罪の機会に怪我をさせた場合にも成立しますので、注意が必要です。

強制性交等罪の成立要件である暴行・脅迫は、相手方の反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫でなければなりません。
「反抗を抑圧する」とは、物理的・精神的に反抗できない状態にすることを意味します。
したがって強制性交等罪の要件である暴行・脅迫は、少なくとも被害者の反抗を著しく困難にする程度の強度が必要であるということになります。
しかし、実際は相手方の意思に反するという事実が認められれば、暴行・脅迫があった場合、それは相手の反抗を抑圧する暴行・脅迫であると扱われる傾向が強く、さらに単純に加えられた力の強さや脅迫の強さだけでなく、その行為時の他の事情についても考慮に入れて判断されることもあります。
例えば、場所的な要素としてエレベーターのような狭い場所であればそれほど強い力を加えずとも相手の抵抗を押さえつけることができますし、加害者と被害者の事情としてそれらの体格や年齢などが違えばそういった事情も考慮されることになるでしょう。

ここで、被害者側が容易に抵抗できたと考えられるのに抵抗されなかったという理由で、強制性交等罪が要求する程度の暴行・脅迫がなかったと無罪を言い渡されたり訴追されなかったりするという意見もあります。
たしかに過去にそのような判断が下されたこともありました(最判平成23.7.25)が、性犯罪被害者が被害に遭った際に容易には抵抗できない心理状態にあることなど種々の事情から当該被害者にとって抵抗が困難であると認められた際には、比較的軽微な暴行・脅迫しかなかったとしても反抗を抑圧する程度のものであったと認められるケースも存在します。

また、先ほど触れた強制性交等致傷罪の結果である「傷害」には、キスマークをつけることや性病をうつすことも含まれます。
もちろん、本番を強要する際に行われた暴行行為によって傷害結果が生じた場合も強制性交等致傷罪の成立が考えられます。

今回の事例にあてはめて考えてみると、Aさんはまだ本番行為を行っていないので強制性交等罪に問われることはないでしょう。
しかし、AさんにはVさんの意に反して無理に本番行為をする目的があり、Vさんを押し倒したことなどがその目的を達成するための行為であったと考えられるときには強制性交等未遂罪として捜査が行われる可能性があります。

・本番強要トラブルと弁護活動

風俗店での本番強要トラブルについては、被害者が直接またはお店を経由して警察に被害届を出すことなどによって捜査が開始される場合がほとんどです。
捜査が開始された場合、容疑がかかる犯罪が強制性交等罪という重い犯罪であることから逮捕されてしまう可能性もあります。

ですから、本番行為を強要してしまったら、お早めに刑事事件に強い弁護士に相談されることをおすすめします。
刑事事件化してしまった場合や刑事事件化が心配される場合、弁護士が被害者と示談交渉をしたり、警察等と逮捕を回避する交渉することにより逮捕されるリスクを減らす活動が考えられます。

そして、示談交渉に関しては、弁護士を介して示談交渉を行うべきと考えられます。
当事者間で直接交渉を行おうとしても、風俗店側が無理な要求を行ったり、話し合いが進まない場合も多いです。
示談がまとまらないまま時間が過ぎてしまうと、その間に刑事手続きが進み取り返しの付かない状況になってしまうおそれもあります。
刑事事件に強い弁護士に依頼することで円滑に示談交渉を進めることが期待できますし、依頼者にとって不当な不利益を回避することにもつながります。

本番行為による風俗トラブルに関わるものだけに限らず、刑事事件はスピードが命です。
早期に動き出すことによって逮捕や起訴を回避できる可能性を高めることができます。
もし起訴に至ってしまった場合でも、早めに準備をしておくことによって執行猶予の獲得を狙うこともできます。
風俗店で本番行為を強要してしまった方、強制性交等罪や強制性交等致傷罪の被疑者となってしまった方は、お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の弁護士にご相談ください。

シャワー室への侵入で取調べ

2021-05-17

シャワー室への侵入で取調べ

シャワー室への侵入で取調べを受けたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府城陽市の会社Xに勤務している男性会社員のAさんは、会社にある女性用シャワー室侵入したとして、その現場を目撃した同僚に、京都府城陽警察署に通報されてしまいました。
Aさんは、京都府城陽警察署で事情を聞かれることになり、そこで自身に建造物侵入罪京都府迷惑防止条例違反の容疑がかけられているということを知りました。
自分への処分や自分がたどる刑事手続が今後どのようになるのか不安になったAさんは、京都府刑事事件に対応している弁護士の初回無料法律相談を利用して、弁護士に詳しい話を聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・シャワー室やトイレへの侵入

今回の事例のAさんは、会社内にある女性用のシャワー室に立ち入ったことで犯罪を行った疑いをかけられています。
ただ単純に男性が女性用の、あるいは女性が男性用のシャワー室やトイレなどに立ち入ったということが絶対に犯罪となるわけではありません。
しかし、事情によっては犯罪に問われる可能性のある行為であるということにも注意しなければなりません。
以下では、シャワー室やトイレへの侵入によって問われうる犯罪について確認していきます。

・建造物侵入罪

今回の事例のAさんにかけられている容疑の1つとして建造物侵入罪という犯罪があります。
建造物侵入罪は、刑法第130条前段に規定されている犯罪です。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪という名前から、建造物侵入罪は建物そのものに立ち入る行為を処罰する犯罪であるというイメージのある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、建造物侵入罪では、建造物その物への侵入行為のほかにも、立ち入りが許された建造物内部において立ち入ることが禁止されている区画に立ち入る場合についても処罰することになっています。
立ち入り行為が建造物侵入罪にいう侵入に当たるかどうかは、居住者や看守者の意思に反する立ち入りであるかどうか、立ち入りによって事実上の平穏が侵害されたといえるかどうかという2つの点を考慮して判断されます。

例えば、今回の事例で問題となっているシャワー室やトイレといった場所は、普段衣服によって隠されている身体の一部または全部を露出する場所です。
そこに異性が正当な理由なく立ち入るとなれば、安心してそのシャワー室やトイレなどを利用できない状態になると考えることができます。
さらに、正当な理由なしに異性がシャワー室やトイレに入るようなことは、その建造物の看守者(管理している者)の意思にも反することになるでしょう。
こうしたことから、正当な理由なしに異性用とされているシャワー室やトイレに立ち入ることは建造物侵入罪に当たることになると考えられるのです。

ただし、建造物侵入罪の条文にも「正当な理由がないのに」とあるように、シャワー室やトイレへの立ち入りに正当な理由があれば、建造物侵入罪は成立しないということになります。
例えば、異性によるトイレへの立ち入りについては、本来使用すべきトイレがいっぱいで失禁してしまうのを回避するために止む無く立ち入った場合や、トイレに清掃目的で立ち入った場合などが考えられます。

・迷惑防止条例違反

今回の事例のAさんは、先ほど触れた建造物侵入罪だけでなく、京都府迷惑防止条例違反の疑いもかけられています。
各都道府県の迷惑防止条例では、盗撮やのぞき行為を禁止していることが多く、今回の事例のAさんは女性用シャワー室に立ち入っていたという事情から、そうした行為による迷惑防止条例違反を疑われている可能性があります。

京都府迷惑防止条例第3条
第3項 何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。
第2号 前号に掲げる行為をしようとして、他人の姿態に撮影機器を向けること。

例えば、Aさんが女性用シャワー室に立ち入って盗撮行為をしようとカメラなどをシャワー室を利用している人に向けていたり、その様子を盗撮していたりすれば、Aさんにはこの迷惑防止条例違反も成立することになるのです。
都道府県や行為の行われた場所によっては、のぞき行為でも迷惑防止条例違反となるケースもあります。

・軽犯罪法違反

のぞき行為については、軽犯罪法第1条第23号でも「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を罰する規定があります。
場所などの関係上迷惑防止条例違反にはならない場合でも、立ち入り行為の目的がのぞきであり、実際にのぞき行為をしていたような場合には、軽犯罪法違反に問われる可能性も出てくることになります。

このように、シャワー室やトイレへの侵入によって成立する可能性のある犯罪は複数存在します。
侵入の目的や侵入してからした行為によっても成立する犯罪は異なりますから、シャワー室やトイレへの侵入によって刑事事件化してしまい、取調べを受けることになったら、まずは弁護士に相談し、自分が問われうる犯罪についてきちんと聞いておきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、弁護士による初回無料法律相談も受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。

おふざけがエスカレートして強制わいせつ事件に?

2021-05-13

おふざけがエスカレートして強制わいせつ事件に?

おふざけがエスカレートして強制わいせつ事件に至ったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市南区に住むAさんは、自宅で友人の女性Vさんと酒を飲んでいました。
お酒が回ってきたAさんは、おふざけのつもりでVさんの太ももを触りはじめました。
Vさんが嫌がるそぶりを見せないことからAさんの行為はエスカレートし、Vさんのお尻や胸を揉むなどした上、無理矢理キスしようとしたところで突如Vさんが激怒し、そのまま京都府南警察署に通報されてしまいました。
Aさんは、警察官から簡単に話を聞かれた後、強制わいせつ事件の被疑者として京都府南警察署で取調べを受けることになりました。
おふざけの延長線上の行為だったつもりなのに強制わいせつ罪という犯罪の容疑をかけられてしまったと不安になったAさんは、刑事事件を取り扱う弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・強制わいせつ罪

今回のAさんは、Vさんの太ももを触るのに加え、Vさんのお尻や胸を揉み無理矢理キスしようとしています。
この行為は、Aさんに容疑をかけられている強制わいせつ罪(刑法第176条)という犯罪になる可能性のある行為です。

刑法第176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪における「わいせつな行為」とは、被害者の意思に反して他人から触れられたり見られたくない身体の一部に触れたりするなどして被害者の性的羞恥心を害し、かつ一般通常人でも性的羞恥心を害されるであろう行為のことをいいます。
つまり、性的に恥ずかしいと思わせるような行為を相手の意思に反して行うことが強制わいせつ罪の「わいせつな行為」となるのです。
具体的には、陰部や胸、お尻や太ももなどに触れる行為や、裸にして写真を撮る行為、無理矢理キスしようとする行為などが挙げられます。

強制わいせつ罪が成立するためには、この「わいせつな行為」を行う手段として暴行・脅迫が用いられることが必要です。
この暴行・脅迫は被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度のものでなければなりません。
すなわち、相手の抵抗を押さえつける程度に強い暴行・脅迫が用いられることが求められるのです。
ここで注意したいのは、実際に反抗されたとしても、客観的に反抗することが著しく困難であったと認められる限り強制わいせつ罪の成立は妨げられないということです。
ですから、相手が反抗してきたからといって必ずしも強制わいせつ罪の暴行・脅迫に当たらない(強制わいせつ罪が成立しない)とは限らず、加害者と被害者の体格や年齢、関係性、事件の起こった現場の状況など、様々な事情を総合的に考慮して強制わいせつ罪にあたるか判断されることになります。

また、強制わいせつ罪を含む性犯罪ではわいせつな行為と手段としての暴行・脅迫が必ずしも別個に存在しません。
例えば、陰部をもてあそぶという「わいせつな行為」に当たる行為が、手段としての「暴行」としての性格ももつとして、強制わいせつ罪が成立するということもあります。
今回の事例についても、AさんがVさんに行った太ももを触る行為に始まる一連の行為は、その強度などによっては、強制わいせつ罪にいう「わいせつな行為」に当たるおそれがあると同時に、Vさんへの「暴行」でもあると判断される可能性があります。

・おふざけから刑事事件に発展?

ここまでの検討で、Aさんの行為は強制わいせつ罪にあたり得る行為であるということが確認できました。
しかし、強制わいせつ罪は故意犯=故意がなければ成立しない犯罪なので、Aさんに強制わいせつ罪が成立するとなると、Aさんに強制わいせつ罪の故意がなければならないことになります。
AさんはおふざけのつもりでVさんに触れる等の行為をしていますが、こうした場合に「故意」があると判断できるのかと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

刑事事件で「故意がある」というためには、悪いことをしているという意識までは必要ではありませんが、その行為が構成要件(条文に定められているその犯罪が成立するために必要な条件のこと)に該当する行為であることの認識とその行為によって生じる結果の予見が必要です。
したがって、たとえ本人がおふざけのつもりでやった行為だったとしても、必ずしも故意が否定されるわけではありません。
ですから、今回のAさんがおふざけのつもりでVさんの身体を触ったり無理矢理キスしようとしたりしていたのだとしても、事件の状況によっては強制わいせつ罪の故意が認められる可能性もあるということになります。

しかし、今回の事例でいえば、Aさんの行為を嫌がらなかったのだからVさんがわいせつな行為を行われることに同意していたとAさんが考えていた可能性があります。
もしも被害者が行われる行為に同意していたのであれば、それは犯罪とはなりません。
このときに問題となるのは錯誤(=勘違い)です。
勘違いをしていたからといって必ずしも犯罪とならないわけではありませんが、例えば、Aさんがどの程度酒に酔っていたのか、AさんとVさんの関係性はどのような関係性だったのか、事件に至る経緯はどのようなものだったのかといった細かい事情によっては、AさんがVさんの同意があるものだと錯誤をしてしまったことに相当性があるとして、強制わいせつ罪に問われることを避けられる可能性もあります。
ですが、こうした検討は細かい事情全てを専門的に調べていかなければできないものです。
一般の方のみで検討を行うことは困難でしょうから、早い段階で専門家である弁護士に相談し、検討してもらうことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、おふざけからエスカレートして刑事事件に発展してしまったとお困りの方のご相談も受け付けています。
在宅捜査を受けている、または、まだ捜査は受けていないが刑事事件化が不安であるという方については、初回無料法律相談がおすすめです。
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実子なのに未成年者略取罪・未成年者誘拐罪に?

2021-05-10

実子なのに未成年者略取罪・未成年者誘拐罪に?

実子なのに未成年者略取罪未成年者誘拐罪に問われてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

Aさんには、京都府宇治市に住む妻のBさんと実子のVさん(3歳)がいますが、現在は別居中です。
Aさん夫婦は離婚係争中であり、AさんとBさんの実子であるVさんの親権者がどちらになるかについても争っていました。
Aさんは、BさんとVさんが京都府宇治市の自宅へ帰宅している途中に、Bさんの隙をついてVさんを抱きかかえ、付近に停めていた自身の車に同乗させ、Bさんの制止を振り切り連れ去ってしまいました。
するとしばらくして、Aさんの自宅に京都府宇治警察署の警察官が来て、Aさんに「未成年者略取事件の被疑者として話を聞きたい」とAさんを逮捕してしまいました。
Aさんは、Vさんは自分の実子であるのに自分が誘拐や略取をしたと言われるのはおかしいのではないかと感じ、Aさんの両親の依頼を受けて接見にやってきた弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・未成年者略取罪・未成年者誘拐罪

未成年者略取罪未成年者誘拐罪は、刑法第224条に定められている犯罪です。

刑法第224条(未成年者略取及び誘拐)
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

条文を見てみると、未成年者略取罪未成年者誘拐罪の主体に制限はありません。
そのため、たとえ実の親であっても未成年者略取罪未成年者誘拐罪の主体となり得ます。

未成年者略取罪未成年者誘拐罪の客体としては、「未成年者」、つまり20歳未満の者に限定されています。

そして、未成年者略取罪未成年者誘拐罪の「略取」とは暴行又は脅迫を手段とする場合のことであり、「誘拐」とは欺罔(嘘をついて騙すこと。)又は誘惑を手段とする場合のことをいいます(両方を合わせて「拐取」と表現することもあります。)。
ここでの暴行には、嬰児をこっそり連れ去るような行為(「窃取」)も略取に含まれます。
具体的には、子供を無理矢理車に引き込み連れていく行為を「略取」、親が入院したから連れて行ってあげると言ったり、お菓子で気を惹いて連れて行ってしまう行為は「誘拐」となります。

・実子の連れ去りと未成年者略取罪・未成年者誘拐罪

今回の事例を考えてみましょう。
まず、AさんとBさんは別居中であり離婚係争中の夫婦です。
まだ離婚係争中であり親権についても争っていることから、2人の実子Vさんの親権は現状AさんとBさんの2人が共同で持っているという状態と考えられます。
ですから、Aさんが実子であるVさんの親権を持っている状態なのにもかかわらず、未成年者略取罪が成立するのかという問題が出てきます。

こういった問題について、過去の判例では、「離婚係争中の他方親権者」の下から実子を奪取して自分の手元に置こうとした行為について、その実子の「監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情は認められないから、その行為は、親権者によるものであるとしても、正当なものということはできない。」としています(最決平成17年12月6日)。
そして、「本件の行為態様が粗暴で強引なものであること」、連れ去られた実子が「自分の生活環境についての判断・選択の能力が備わっていない2歳の幼児であること」、実子の「年齢上、常時監護養育が必要とされるのに、略取後の監護養育について確たる見通しがあったとも認め難いことなどに徴すると、家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内にとどまるものと評することもできない。」として、実子の連れ去りについて共同親権者であることは違法性阻却自由にならず、未成年者略取罪が成立するとしました。

この判例を基に考えてみると、今回の事例のAさんの行為も、Aさんと同じくVさんの親権者であるBさんの下から無理矢理Vさんを連れ去るという行為ですから、Aさんが共同親権者であるからといって必ずしも未成年者略取罪が成立しないということにはならないといえるでしょう。
もちろん個々の事件によって細かい事情は変わりますから、自分の事例がどのような判断をされえるのかということは弁護士に事件の詳細を話したうえで聞いてみることがおすすめです。

家族間トラブルの末、刑事事件に発展してしまうケースは多々あります。
そのような場合、当事者同士で解決しようとしても却って紛糾してしまうことも珍しくはありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、実子の連れ去りによる未成年者略取事件未成年者誘拐事件を含む刑事事件を専門に扱っています。
専門的な知識を持った第三者を間に介在させることで、事態の解決を迅速に図ることが期待できます。
まずはお気軽にご相談ください。

盗品をもらってしまった~盗品等無償譲受罪~

2021-05-06

盗品をもらってしまった~盗品等無償譲受罪~

盗品をもらってしまって盗品等無償譲受罪に問われてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市右京区に住むAは友人が高価であろうスピーカーを持っていることに気が付きました。
友人に「やろうか」と言われたAはどうせ盗んだ物だろうと思っていましたが、どうしてもスピーカーが欲しかったので、そのままもらい受けました。
その後、友人は京都府右京警察署の警察官に窃盗罪で逮捕されることになってしまいました。
京都府右京警察署の捜査の結果、Aが友人からスピーカーをもらい受けたことが発覚し、Aも盗品等無償譲受罪で警察署から呼び出しを受けることになりました。
(この事例はフィクションです)

~盗品等無償譲受罪~

今回の事例では、盗品であるそのスピーカーを譲り受けたAも盗品等無償譲受罪で警察の捜査を受けています。
盗品等無償譲受罪とは、その名の通り盗品等を無償で譲り受けた場合に成立します。

刑法第256条第1項
「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。」

そして刑法第256条第2項では盗品等を運搬、保管、有償譲受、有償の処分あっせんをした者に対して、「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」を規定しています。
これらの罪については盗品等関与罪と呼ばれています。
今回のAも盗品を無償で譲り受けているので、盗品等無償譲受罪が成立することになるでしょう。

盗品等関与罪における「盗品その他財物に対する罪」とは、窃盗罪や横領罪によって不法領得した財物は当然のこと、詐欺罪や恐喝罪によって不正に取得した財物も対象となります。
また、財産罪によって領得された財物が盗品等となるのですが、ここにいう犯罪行為は、構成要件に該当する違法行為であれば足り、必ずしも有責であることを必要としません。
つまり財産罪を犯した犯人が、刑事未成年者であったり、親族間の犯罪に関する特例の適用によって刑の免除を受たりしている場合や、本犯の公訴時効が完成している場合でも、盗品等関与罪は成立してしまうのです。

そして、盗品等関与罪が成立するには、行為者に盗品であることの認識がなければなりません。
この認識は、いかなる財産罪によって取得した物なのか、犯人や被害者が誰なのか等の詳細まで必要とされませんが、その財物が何らかの財産罪によって領得された物であることの認識は必要です。
今回の事例の盗品等無償譲受罪では、譲り受けたりした物が盗品であると理解している場合だけでなく、それが盗品であるかもしれないと考えながらそのものを譲り受ける場合も含まれます。
そのため、今回のAがどうせ盗品だろうと思っていたとするならば、盗品等無償譲受罪が成立する可能性は高いでしょう。
しかし、盗品を譲り受ける時点でそのものが盗品であるという認識が全くなかった場合盗品等無償譲受罪は成立しません。
もしもこういった主張をしていくという場合には刑事事件に強い弁護士のアドバイスが必要となってくるので、すぐに相談するようにしましょう。

~親族等の間の犯罪に関する特例~

上記の盗品等関与罪には、親族等の間の犯罪に関する特例があります。

第257条
「配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で前条の罪を犯した者は、その刑を免除する。」

つまり、親族が窃盗を行った場合にその親族を庇護しようと盗品等関与罪をしてしまった場合には刑が免除されます。
なお、この規定は親族ではない共犯には適用されません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件に強い弁護士無料法律相談初回接見サービスを行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

児童ポルノ単純所持罪は弁護士に相談

2021-05-03

児童ポルノ単純所持罪は弁護士に相談

児童ポルノ単純所持罪弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府向日市に住むAはネット上で見つけた児童ポルノ画像をアップロードしているサイトから自身のパソコンに画像をダウンロードして保存していました。
すると、あるとき京都府向日町警察署の警察官がAの自宅を訪れ、Aは児童ポルノ所持の疑いで警察署に連行されることになってしまいました。
Aは逮捕はされませんでしたが、このままでは前科がついてしまうと考え、刑事事件に強い弁護士の無料法律相談へ行くことにしました。
(この話はフィクションです。)

~児童ポルノ法~

まず、児童ポルノに関する規定は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、児童買春、児童ポルノ法)」にあります。
児童買春、児童ポルノ法はその名の通り、児童ポルノ関連事件や児童買春関連事件など児童(18歳未満の者)に関する性犯罪を幅広く防止する目的のため設立されました。

今回は、Aが逮捕されてしまった児童ポルノの単純所持について詳しく見ていきましょう。
まず児童ポルノとは、どのようなものを指すのか確認しましょう。
児童ポルノの定義については児童買春、児童ポルノ法第2条第3項に規定されています。

児童買春、児童ポルノ法第2条第3項
この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
1号「児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態」
2号「他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」
3号「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」

そして、児童ポルノの所持については児童買春、児童ポルノ法第7条に規定されており、罰則は、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となっています。

~児童ポルノ所持を疑われてしまったら弁護士に相談を~

今回の事例では、詳しく記載されていませんが、Aが誤って児童ポルノに当たる画像をダウンロードしてしまったかもしれません。
例えば、誤って児童ポルノをダウンロードした場合や他人から勝手に児童ポルノが送られてきたという場合には、しっかりと事実を主張していくことで、不起訴処分の獲得や無罪判決獲得の可能性もあります。
ただ、不起訴処分や無罪判決の獲得を目指していくという場合には刑事事件に強い弁護士に弁護活動を依頼した方がよいでしょう。
刑事事件に強い弁護士であれば、それぞれの事件に合わせた効果的な主張をしていくことができます。
弁護活動の依頼を検討されている方だけでなく、児童買春、児童ポルノ法違反事件を疑われている方や、児童買春、児童ポルノ法違反になってしまうのではないか、と不安を抱えている方は、ひとまず刑事事件に強い弁護士に見解を聞くようにしましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスを行っています。
フリーダイヤル0120-631-881にて24時間体制でご予約を受け付けておりますので、京都府向日市児童買春、児童ポルノ法関連事件でお困りの方やそのご家族がおられましたらお気軽にお問い合わせください。

窃盗罪と住居侵入罪

2021-04-29

窃盗罪と住居侵入罪

窃盗罪住居侵入罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都市山科区に住むAは近所に住むVが出かけているのに家の鍵が開いていることに気が付きました。
お金に困っていたAは、Vの家に空き巣に入ることに決め、Vの家に侵入し、現金約10万円と腕時計など数点を盗みました。
帰宅したVが部屋を見ると、明らかに荒らされており、Vはすぐに京都府山科警察署に連絡しました。
周囲の防犯カメラの映像や部屋に残された指紋や靴跡などからAの犯行であることが特定され、Aは、窃盗罪住居侵入罪の疑いで逮捕されることになってしまいました。
Aが逮捕されてしまったと聞いたAの両親は窃盗罪住居侵入罪という2つの罪を犯してしまったAがどうなってしまうのか不安になり、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです)

~窃盗罪と住居侵入罪~

今回のAは、窃盗罪住居侵入罪という二つの罪に該当する行為をしています。
このような場合、どのような範囲で処罰されることになってしまうのでしょうか。
まずは、住居侵入罪窃盗罪の条文を確認してみましょう。

刑法第130条 住居侵入罪
「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」

刑法第235条 窃盗罪
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」

単純に考えると二つの罪に規定されている罰則を足してしまうという方法が思いつくかもしれません。
しかし、それでは不当に重い刑罰となってしまう可能性が高まってしまいます。
そこで、刑法では二つ以上の罪にあたる場合についていくつかの規定をおいています。

~牽連犯~

二つの罪名にあたる行為のうち、今回の事例の窃盗罪住所侵入罪のような関係となるような場合は牽連犯と呼ばれます。
牽連犯は刑法第54条に規定されています。

刑法第54条
「一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。」

上記条文の前段にある「一個の行為が二個以上の罪名に触れ」る場合を観念的競合といい、後段に規定されている「犯罪の手段又は結果である行為」を牽連犯といいます。
そして、この観念的競合や牽連犯だとされる場合については、複数ある罪名のうち、「最も重い刑により処断する」とされています。

今回の事例である侵入等事件の場合、窃盗罪の手段として住居侵入罪をしていますので、牽連犯の代表的な態様であるといえます。
そして、こうした場合の処断刑の範囲は住居侵入罪窃盗罪を比べたときに重い罪である窃盗罪の「10年以下の懲役又は50万以下の罰金」の範囲で処断されることになります。
このように、法律の規定自体は条文を見ればわかるかもしれませんが、実際の事例においてどのように運用されていくのかについては、刑事事件に強い弁護士の見解を聞いたほうがよいでしょう。
なお、二つ以上の罪についての規定は、このほかにも併合罪などがありますので、詳しくは刑事事件に強い弁護士の見解を聞くようにしましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスを行っています。
初回無料での対応となる法律相談、逮捕されている方のもとへ弁護士を派遣する初回接見サービスのご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間体制で専門スタッフが受付を行っています。
京都市山科区窃盗罪住居侵入罪やその他刑事事件でお困りの方がおられましたらまずはお気軽にお問い合わせください。

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