相手が同意していても強制わいせつ罪?

2021-07-19

相手が同意していても強制わいせつ罪?

相手が同意していても強制わいせつ罪に問われたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~

京都府宮津市に住んでいる24歳のAさんは、近所に住んでいる小学生のVさん(12歳)と度々挨拶や立ち話をする仲でした。
ある日、Vさんからキスをしてほしいと言われたAさんは、Vさんにキスをして抱きしめたり、Vさんの胸や臀部といった身体を触ったりするようになりました。
AさんとVさんがキスなどの行為をするようになってしばらくしてから、Vさんの両親が、Vさんが何か隠している様子であることに気が付き、Vさんを問い詰めたことで、AさんとVさんの関係が発覚しました。
Vさんの両親が京都府宮津警察署に相談し、Aさんは強制わいせつ罪の容疑で話を聞かれることになりました。
Aさんは、「キスやハグなどは全てVさんから言い出したことで、相手のVさんは同意していた。それでも犯罪になるのか」と思い、刑事事件に対応している弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・「相手の同意がある=強制わいせつ罪にならない」ではない?

強制わいせつ罪という名前から、強制わいせつ罪は「強制的にわいせつな行為をする」という犯罪のイメージがある方も多いのではないでしょうか。
そのため、「わいせつな行為に対して相手の同意がない=強制わいせつ罪が成立する」、「わいせつな行為に対して相手の同意がある=強制わいせつ罪が成立しない」というイメージの方も少なくありません。

しかし、今回のAさんは、相手であるVさんの同意があった上でキスなどをしているにもかかわらず、強制わいせつ罪に問われているようです。
このように、相手の同意があったにも関わらず強制わいせつ罪に問われることがあるのでしょうか。
まずは、強制わいせつ罪の条文を確認してみましょう。

刑法第176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪の条文の前段では、「暴行又は脅迫を用いて」わいせつな行為をした者に強制わいせつ罪が成立する旨が定められています。
これは先ほど挙げたような、「相手の同意を得ないわいせつな行為に強制わいせつ罪が成立する」といった、世間一般の強制わいせつ罪のイメージと重なるものではないでしょうか。
ただし、ここで注意しなければいけないのは、この「暴行又は脅迫を用いて」わいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立するのは、「13歳以上の者」への行為と限定されているということです。

これに対して、相手が13歳未満の者であった場合については、強制わいせつ罪の条文の後段に定められています。
13歳未満の者が相手であった場合、強制わいせつ罪は「わいせつな行為をした」だけで成立します。
つまり、被害者の年齢次第では、「暴行又は脅迫」という手段が用いられなくとも、わいせつな行為をしただけで強制わいせつ罪が成立することになるのです。
「わいせつな行為をした」だけで成立するのですから、相手がわいせつな行為に同意していたとしても強制わいせつ罪が成立することになるのです。
当然、13歳未満の者に対して暴行や脅迫を用いてわいせつな行為をした場合にも強制わいせつ罪は成立しますが、相手の同意があったからといって必ずしも強制わいせつ罪にはならないというわけではないのです。

今回の事例のAさんは、12歳のVさん相手にキスなどをしているようです。
AさんはVさんの同意を得てした行為だと考えているようにですが、先ほど確認したように、相手が13歳未満の場合、相手に同意があったとしても、わいせつな行為をしただけで強制わいせつ罪が成立します。
ですから、Vさんの同意の有無に関係なく、Aさんには強制わいせつ罪が成立すると考えられるのです。

・被害者が未成年の強制わいせつ事件

強制わいせつ事件は被害者の存在する刑事事件ですから、被疑者・被告人が容疑を認めているのであれば、被害者への謝罪や被害弁償は、重要な弁護活動の1つとなってきます。

しかし、加害者である被疑者・被告人やその家族など近しい人たちが被害者に直接接触することは、刑事手続上よくないと考えられることが多いです。
被疑者・被告人やその家族が被害者に謝罪したいと捜査機関に申し出ても、連絡先等を教えられないと断られることが多いです。

というのも、加害者である被疑者・被告人が直接被害者に接触することで、証拠隠滅(例えば証言の変更を迫るなど)や被害者へ危害を加えるといったおそれが考えられるためです。
被害者側としても、当然加害してきた被疑者・被告人に怒りや恐怖の感情を抱いていることが多く、直接接触することは避けたいという意向であることも多いです。
特に、被害者が未成年である場合には、被害者本人ではなく、その両親などの保護者が謝罪等の相手となります。
自分の子供が性被害にあった状況ですから、被害感情が強いことが当然予想されます。
もしも当事者同士で謝罪の場を設けられたとしても、余計にこじれてしまう可能性も考えられます。

だからこそ、謝罪・被害弁償・示談交渉には、弁護士を間にはさむことがおすすめされます。
被害者の側からしても、直接加害者本人と接触せずに済むため、安心して話を聞くことができます。
被疑者・被告人の側からしても、法律の専門家であり第三者である弁護士が間に入ってくれることは安心できる要素でしょう。
早い段階から弁護士に相談・依頼することが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、強制わいせつ事件などの性犯罪事件も承っています。
京都府の強制わいせつ事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。