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【事例紹介】暴力団に言うぞと脅し、50万円を受けとった事例①

2023-10-06

近隣男性から現金を脅し取ったとして、恐喝罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

慰謝料名目に近隣に住む男性から現金を脅し取ったとして、伏見署は4日、恐喝の疑いで伏見区深草(中略)の(中略)容疑者(57)を逮捕した。「脅し取ったものではない」などと供述し、容疑を否認している。
(中略)
逮捕容疑は9月30日、男性に対し「金払え、払わんかったら暴力団に言うぞ」などと怒鳴りつけ、慰謝料名目で現金50万円を脅し取ったとしている。

(10月4日 産経新聞 THE SANKEI NEWS 「「咳払いうっとうしいねん」近隣男性に因縁つけ50万円恐喝、容疑で男を逮捕」より引用)

恐喝罪

恐喝罪は、刑法第249条1項で「人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」と規定されています。

簡単に説明すると、暴行脅迫を行い、お金などを受け取ると恐喝罪が成立します。
また、この暴行脅迫が抵抗することが難しいような内容であれば、恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性があります。

暴行とは有形力の行使を指し、殴る行為や肩を掴む行為などが暴行にあたります。
また、脅迫とは、人の命や身体、財産などに危害を加えると知らせる行為をいいます。

今回の事例は恐喝罪の容疑で逮捕されていますが、恐喝罪は成立するのでしょうか。

今回の事例では、容疑者が「金払え、払わんかったら暴力団に言うぞ」などと怒鳴りつけて現金50万円を脅し取ったとされています。
恐喝罪が成立するためには、暴行脅迫が必要です。
報道されている容疑者の行為は暴行脅迫にあたるのでしょうか。

暴力団に怖いイメージを持っている方が多くいると思います。
「暴力団に言うぞ」と言われれば、暴力団に暴力を振るわれるなど、なにか危害を加えられるのではないかと心配になるでしょう。

脅迫は人の命や身体に危害を加えると知らせる行為を指しますので、直接的に「殺すぞ」や「暴力団に襲わせるぞ」などと言わなくても、危害を加えるような内容を相手に伝えられれば、脅迫にあたります。
ですので、「金払え、払わんかったら暴力団に言うぞ」という発言は、直接的に相手に危害を伝える内容ではないものの、暴力団に言うことで危害を加えられる可能性を示唆していると考えられますので、脅迫にあたる可能性があるといえます。
実際に容疑者が報道されているような内容を被害男性に伝え、被害男性から現金を受け取ったのであれば、恐喝罪が成立する可能性があります。

脅迫にあたるかどうかについて、明確に基準があるわけではありません。
ですので、捜査段階で脅迫にあたると判断された場合であっても、実際には脅迫にあたらない可能性があります。
脅迫にあたるかあたらないかは、事案によって異なります。
脅迫にあたるかどうかによって恐喝罪が成立するのかどうかも変わってきますし、処分の見通しも事案によって変わってきますので、一度、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
恐喝罪で捜査を受けている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

次回のコラムでは、逮捕と釈放について解説します。

他人のキャッシュカードを使うと何罪?

2023-10-04

事例概要

京都府下京警察署は、現金30万円を窃取したとして、京都市下京区に住む無職の男(29)を逮捕した。
男は、四条通で泥酔していたVのポケットから財布を抜き取り、中に入っていたVのA銀行のキャッシュカードを使ってA銀行のB支店のATMから現金30万円を引き出した疑いがもたれている。
(事例はフィクションです。)

他人のキャッシュカードで現金を引き出すとどうなる?

結論から申し上げると、この行為は、窃盗罪に該当する行為に当たる可能性があります。

窃盗罪については、刑法235条が「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定しています。
同条の「窃取」とは、他人の占有する財物を、占有者の意思に反して、その占有を侵害し自己又は第三者の占有に移転させることと解されています。

本事例では、引き出された30万を誰が占有していたことになるのでしょうか?キャッシュカードの持ち主でしょうか?それともA銀行でしょうか?
この30万は、ATMを管理するA銀行B支店の支店長が事実上支配する現金であり占有していたのはA銀行となります。
そして事例によれば、男はその占有を侵害して自らの占有に移転した=「窃取した」ということになります。
ですので、事例の男性の行為は窃盗罪が成立する可能性があります。

逮捕された後に、起訴を防ぐためにできることはある?

一般論として、窃盗事件の場合、被害額が小さいケースや初犯である場合に不起訴になることがあります。
しかし、被害額や初犯かどうかといった事情は逮捕後にどうにかできる性質のものではありません。
不起訴の可能性を少しでも高めるために、逮捕後にできる活動としては、被害者との示談交渉が挙げられます。
被害弁償をして被害者に謝罪をした上で示談を成立させることができた場合、起訴前であれば起訴猶予など不起訴となる可能性が上がります。
仮に起訴後であったとしても罰金刑や執行猶予付判決に落ち着つかせることができるかもしれません。

弁護士に相談してより良い結果を

もっとも、加害者本人が示談交渉をすることは得策とはいえません。
今回のような事例では、Vさん相手に示談交渉を行うことになります。
Vさんは事件に遭ったことで事例の男性に恐怖を抱いているかもしれませんし、加害者本人の示談に向けた熱心な行動が、被害者の目には脅迫とうつるかもしれません。
そうなった場合、交渉の場につくことすら拒否されてしまうでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、窃盗事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と交渉を行うことで、不起訴処分、罰金刑、執行猶予付判決などより軽い処分にできる可能性がございます。

特に起訴前に示談が成立すれば不起訴処分となり前科を回避することができるかもしれませんので、可能な限り早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

脅迫罪ってどんな罪?~逮捕と取調べ~

2023-10-01

脅迫罪という言葉を耳にしたことはありますか。
この罪がどのような状況で成立するのか、また、どのような罰が科されるのかについてはあまり知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、脅迫罪についての基本的な成立要件と罰則、さらには具体的な事例を交えて解説します。

脅迫罪の基本的な定義と成立要件

脅迫罪は、刑法第222条に基づき規定されています。
この罪が成立するためには、主に以下の二つの要素が必要です。

①行為者が生命、身体、自由、名誉又は財産に対して危害を加えると対象者(被害者)に示すこと
②一般の人が恐怖に感じるような内容であること

これらの要素が揃うと、脅迫罪が成立します。
行為者が具体的な危害を示さなくても、その意思表示が対象者に恐怖を与えるような内容であれば、脅迫罪は成立します。

また、電子メールやSNSを用いた脅迫も、当然ながらこの範疇に含まれます。
このように、脅迫罪は形態を問わず多様なケースで適用される罪です。

成立要件を理解することで、具体的な事例と照らし合わせながら法的な判断が可能になります。

脅迫罪の成立が確認された場合、刑事責任が問われることになります。
刑法第222条1項によれば、脅迫罪に対する基本的な罰則は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」です。
脅迫罪は、罰則は一概には決められず、事例によって懲役刑が下される場合や罰金刑が下される場合があります。

事例①脅迫メールを送信したケース

具体的な事例を通して脅迫罪の成立要件と罰則を考察してみましょう。
ここでは、インターネットを使って脅迫メールを送信したケースに焦点を当てます。

事例①
Aさんは、仕事のトラブルからBさんに対して強い怒りを感じていました。
その怒りを晴らすため、AさんはBさんに対して「お前を社会的に抹殺してやる」という内容のメールを送信しました。
(事例はフィクションです。)

事例①では脅迫罪は成立するのでしょうか。
脅迫罪を考えるうえで、生命、身体、自由、名誉、財産に対して危害を与える内容であるかどうか、その内容は一般の人が恐怖を感じる内容なのかがポイントになります。
「お前を社会的に抹殺してやる」という内容は名誉に対して危害を加える内容であると解せるので、内容の面では問題ないでしょう。

次に、一般の人が恐怖を感じるかどうかについて考えていきます。
AさんはBさんを社会的に抹殺することが可能なのかどうかが重要になってきます。
例えば、AさんがBさんの名誉が傷つくような重大な秘密を知っているだとか、Aさんが発言をすることで、Bさんの社会的評価が下がるような可能性があるほど影響力があるような場合であれば、社会的に抹殺することも可能なように思えますから、恐怖を感じる可能性があるでしょう。
この場合には、脅迫罪が成立する可能性があります。

しかし、AさんがBさんを社会的に抹殺することが不可能だと考えられる場合、Bさんの発言で恐怖を感じる人はおそらくいないでしょう。
この場合には、脅迫罪が成立する可能性は低いと考えられます。

脅迫罪脅迫をした人やされた人の立場などによっても成立するかどうかが変わってきます。
また、メールを通じた脅迫であっても、条件を満たすのであれば、脅迫罪として処罰されます。

事例②口頭で脅迫したケース

口頭で行われた脅迫について考察していきましょう。

事例②
CさんとDさんは隣人同士で、駐車場の使用についてトラブルがありました。
Cさんは怒りに任せてDさんに対し、「次やったら車に火をつけるからな」と口頭で脅迫しました。
(事例はフィクションです。)

事例②では脅迫罪は成立するのでしょうか。
事例①で考えたようにポイントごとに整理していきましょう。

CさんはDさんに「次やったら車に火をつけるからな」と発言しています。
車は財産にあたりますので、車に火をつけるという発言は脅迫罪の対象になると考えられます。

では、Cさんの発言は一般の人は恐怖に感じるような内容でしょうか。
車に火をつけることは、物理的に可能です。
ですので、実際に車に火をつけられる可能性があり、一般の人が恐怖を感じると判断されてもおかしくはないでしょう。
ですので、事例②は脅迫罪が成立する可能性があります。

事例②のような口頭での脅迫の場合も、脅迫罪が成立するのであれば、当然ながら法的に罰せられる行為です。

逮捕後の取調べはどうしたらいいの?

逮捕された場合に、最初に知っておくべき基本的な権利は、「黙秘権」「弁護士との面会権」です。
これらの権利は、警察や検察によって説明されることが多いですが、理解しておくことで、不利な状況を避けられる可能性があります。

黙秘権: 黙秘権は、その名の通り、黙秘することができる権利です。
ですので、聞かれた内容に答えたくなければ答える必要はありません。
犯罪に関する疑いをかけられ取調べを受けた際に、自分自身の発言により後の自分に不利に働く可能性があります。
黙秘権を行使することで、冤罪のリスクを減らすことができます。

また、どんな場合でも黙秘権を行使すればいいというわけでもなく、黙秘権を行使することで、余計に罪を疑われたり、釈放が認められづらくなる可能性があります。
ですので、弁護士と面会した際には、黙秘すべきかどうかについて弁護士のアドバイスを仰ぐことが重要になります。

弁護士との面会権: 前述したように、供述した内容で不利な状況に陥る可能性があり、弁護士がいない状態での任意の供述は避けるべきであり、可能な限り早く弁護士に相談することが推奨されます。
弁護士と面会することで、適切な法的アドバイスを受け、自分の権利を守る方策を練ることができます。

以上のように、基本的な権利を理解し、行使することが、逮捕された際に非常に重要になります。

警察での取り調べと弁護士の役割

逮捕後に警察で行われる取り調べは、一般的には非常に厳しい状況で進行します。
この過程で弁護士が果たす役割は大きく、弁護士がいないと自分自身を不利な立場に置く可能性があります。

取り調べの進行: 取り調べは一対一または複数の警察官によって行われ、時には長時間にわたることもあります。
自分一人で取り調べに臨むのはリスクが高いため、事前に弁護士と打合せを行っておくことが推奨されます。

供述調書の作成: 取り調べの結果、供述調書が作成されますが、この供述調書は後の裁判で重要な証拠となることが多いです。
弁護士がいれば、供述すべき内容や供述の仕方についてのアドバイスが可能です。

弁護士と事前に取調べの打合せを行い、供述すべき内容や黙秘すべき内容を具体的にすることで、自白や不利な証言をしてしまうリスクを減らすことができます。
不必要な自白や、誤解を招くような発言を避けるためにも、弁護士のアドバイスは不可欠です。

刑事事件に強い弁護士を

逮捕後の取調べでは、逮捕された衝撃により気が動転し、警察官に誘導されるがままに供述してしまう可能性があります。
そういった場合には、後に不利な状況に陥る可能性が高いため、落ち着いて取調べを受ける必要があります。
ただ、逮捕後に落ち着いて供述内容を整理しながら、取調べを受けることはかなり難しいです。
ですので、刑事事件に強い弁護士と共に、供述すべき内容の精査を行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に強い法律事務所です。
ご家族が逮捕された方、取調べが不安な方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631―881で受け付けております。

【事例紹介】教師が生徒と性交し、執行猶予判決になった事例

2023-09-29

元教師が教え子と性交したとして児童福祉法違反の罪に問われ、執行猶予付判決を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例概要

教え子の女子生徒にホテルでみだらな行為をしたとして、児童福祉法違反の罪に問われた元(中略)教諭の男(中略)の判決公判が(中略)あり、(中略)裁判官は懲役2年6月、執行猶予5年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。
判決によると、男は授業を担当していた女子生徒が18歳未満と知りながら、教諭の立場を利用し、(中略)ホテルで自身を相手に性交させた。(中略)
その上で、男が性障害の専門治療を受け、二度と教育や子どもに関わる仕事はしないと約束していることなどから執行猶予を付けた。

(7月7日 京都新聞 「教え子にみだらな行為、元中学教諭に有罪判決 「結局は性欲満たす目的」大津地裁」より引用)

18歳未満と性行為等をするとどうなる?

18歳未満の者との性行為は、その行為態様や犯罪主体により、「青少年の健全な育成に関する条例(京都府条例第2号)」のほか、「児童売春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」、「児童福祉法」等さまざまな法令の規制対象となっています。
その中の1つとして、児童福祉法は、「児童に淫行をさせる行為」を処罰の対象とし(同法34条1項6号)、 このような行為に及んだ場合には、「10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」としています(同法60条1項)。

ここで、同法のいう「淫行」とは、児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又は性交類似行為をさします。
次に「させる行為」とは、「直接間接を問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をすることを助長促進する行為」を指し、その該当性判断にあたっては、「行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮」して判断されます。 (以上の解釈については最高裁平成28年6月21日決定)
具体的には、児童と性交等の行為をした者が当該児童の教師である場合が、「淫行させる行為」をしたと評価される代表例となります。

今回の事例では、被告人の元教師が教え子に性交させたとされています。
児童福祉法では、満18歳に満たない者を児童と定義しています(児童福祉法第4条1項)ので、今回の事例の被害者は児童福祉法が定義する児童にあたります。
今回の事例では、被告人と被害者の関係性は教師と教え子です。
被告人が被害者にさせたとされている性交は「淫行」にあたりますし、教師と教え子という立場から、被告人が被害者に影響力を及ぼして淫行することを助長促進させたと判断されたのでしょう。
児童福祉法では、淫行させる行為の相手が被告人本人である場合も「淫行させる行為」に該当します。(最高裁平成10年11月2日決定)
ですので、今回の事例では、被告人が児童福祉法違反で有罪判決を下されたのでしょう。

執行猶予付判決を取るためには

上記記載の児童福祉法の「淫行させる行為」の量刑は、その他法令の量刑と比較しても重くなっています。
児童福祉法では児童に淫行させた場合の法定刑が、「10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」のため、執行猶予付判決の前提条件である3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡し(刑法25条)を満たさない可能性があります。
そこで、執行猶予付判決にするためには、そもそも下される量刑を軽くする必要があり、そのためには示談を成立していることが非常に重要になってきます。

まずは弁護士へ早めの相談を

このように、量刑を軽くする上でも、執行猶予付判決を得るためにも示談が成立していることは裁判で重要な意味を持ちます。
ところが、実際には加害者本人が示談交渉を成功させることは非常に困難です。
被害者が18歳未満の場合には、その保護者と話し合いをすることになりますが、通常、保護者の加害者に対する処罰感情は強く、示談交渉で落とし所を見つける過程での言動が火に油を注ぐ結果になりかねません。
そこで、加害当事者による示談は避け、交渉のプロである弁護士に任せることをおすすめします。

裁判は示談交渉を待ってくれませんから判決前に示談を成立させるためにも、可能な限り早い段階で弁護士に相談することも非常に重要です。
早期に弁護士に相談することで起訴前に示談が成立すれば、不起訴になり前科がつかない可能性もなくはありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、児童福祉法など18歳未満の者に対する法令違反行為の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と交渉を行うことで執行猶予付判決を獲得できる可能性がございますので、早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

名誉毀損罪の成立要件と罰則

2023-09-27

名誉毀損罪は、他人の評価や社会的信用を低下させる行為に対する罰則を定めた犯罪です。
特にインターネット時代においては、SNSやウェブサイトでの発言が瞬く間に広まるため、名誉毀損罪が成立するリスクが高まっています。
この記事では、名誉毀損罪の成立要件と罰則について、具体的な事例を交えて解説します。

名誉毀損罪の定義

名誉毀損罪とは、他人の名誉を傷つける行為を禁止し、罰則を定めた犯罪です。
日本においては、刑法第230条にその規定があります。
名誉とは、他人からの社会的評価や信用を意味し、これを不当に低下させる行為が名誉毀損に当たります。

名誉毀損罪は、犯行の目的や状況、影響範囲などによって、罰則の程度が異なります。
公の場で多数の人々に対して行われた場合や、多くの人々がそれを知る可能性が高い場合は、その罪の重さが増します。
このように、名誉毀損罪の成立要件は多岐にわたるため、具体的な事例を交えて次に解説していきます。

名誉毀損罪の成立要件

名誉毀損罪が成立するためには、いくつかの要件が必要です。
これらは一般に「公然性」「事実の適示」の二つに分類されます。

公然性
公然性とは、不特定多数の人が知ることができることをいいます。

事実の適示
事実の適示とは、人の社会的評価を低下させるような具体的な内容を示すことを指します。

以上のように、名誉毀損罪の成立要件は多面的であり、一概には判断できません。
事例を通じて、これらの要件がどのように適用されるのかを後述の項目で解説します。

名誉毀損罪の罰則

名誉毀損罪に関する罰則は、刑法第230条に規定されています。
この条文によれば、名誉毀損を犯した者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処される可能性があります。

真実の公表
事実を公表する形での名誉毀損であっても、その事実が社会的評価を下げるような内容であれば罰せられる可能性があります。
真実であっても、他人の名誉を不当に傷つけるような公表は、名誉毀損罪の罰則の対象となり得ます。

罰則は、犯行の状況や被害者の立場、公共性など多くの要素によって変動します。
具体的な事例を交えて、名誉毀損罪がどのように適用されうるかを解説します。

事例1:SNSでの名誉毀損
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、名誉毀損が起こりやすいプラットフォームとされています。
このような場での名誉毀損は、多くの人々がその発言にアクセスできるため、影響力が大きいです。

事例概要
例えば、AさんがBさんに対して、Bさんが犯罪を犯したと誤ってSNSに投稿した場合、これは名誉毀損罪に該当する可能性が高いです。
Aさんが多くのフォロワーを持っている場合、Bさんの名誉は大きく傷つく可能性があります。

成立要件と罰則
この場合、Aさんは「公然性」「事実の摘示」の二つの成立要件を満たしていると考えられます。
名誉毀損「公然性」は、不特定多数の人が閲覧可能なSNSに投稿していること。
「事実の摘示」は、事実はどうであれ、Bさんが犯罪を犯したという具体性のある内容、かつ、Bさんの社会的評価が低下するおそれのある内容であることです。

この事例から、SNSを使った発言は不特定多数の人が閲覧することができるため、名誉毀損罪が成立するおそれがあることが分かります。
ですので、SNSに投稿する際には、名誉毀損罪にあたる内容ではないか、注意深く言動を選ぶ必要があります。

事例2:職場内での名誉毀損
職場内での人間関係も、名誉毀損罪の成立要件を満たす場合があります。
被害者に悪影響があるような噂が広がることで、被害者の職場内での評価やキャリアに影響を及ぼす場合があるためです。

事例概要
E社の社員Fが、同僚のGに対して社会的評価が下がるような噂を広めたとしましょう。
この行為がGの評判を落としたり、昇進や評価に影響を与えるおそれがある場合、名誉毀損罪が成立する可能性があります。

成立要件と罰則
このケースでは、「公然性」「事実の適示」の二要素が重要です。
「公然性」は、不特定多数の人が知ることができる状態をさしますので、Gのうわさが車内全体に広がり、多数の人が噂を知っている状態であれば、公然性があると判断されるおそれがあります。
「事実の適示」は、社会的評価が下がるような具体的な内容を示すことをさしますので、Gのキャリアが脅かされるような内容であれば、事実の摘示に該当するでしょう。

職場内での名誉毀損は、その影響が限定的であるとはいえ、被害者にとっては深刻な結果をもたらすことがあります。
噂の力は侮れず、慎重な言動が求められます。
人の悪口や影口により、名誉毀損罪が成立してしまう場合がありますので、注意が必要です。

名誉毀損罪はすぐに相談を

名誉毀損罪が成立するためには、不特定多数の人が知ることができる状態で、具体性のある社会的評価がさがるような内容を示すことが必要になります。
名誉毀損罪はどういった内容であれば名誉毀損にあたるのかの線引きが難しく、事件内容によっては名誉毀損罪が成立しないケースが存在します。
名誉毀損罪が成立するのか疑わしいケースが生じた場合、法律の専門家である弁護士に相談することも有効な手段です。
法的リスクや処分の見通しなどを事前に把握することで、後のトラブルを避けることができます。

予防策をしっかりと講じることで、名誉毀損罪のリスクを大きく減らすことが可能です。
特に今日のように情報が瞬時に拡散する社会において、一人一人が責任を持つ時代です。
名誉毀損罪を防ぐために、これらの対策を日常生活に取り入れましょう。

名誉毀損罪の理解と予防

この記事では、名誉毀損罪についての基本的な成立要件や罰則、さまざまな事例を通じて詳しく解説しました。
名誉毀損罪は、SNSや職場など、日常生活の多くの場面で起こり得るリスクがあります。

今の時代、情報は瞬時に拡散し、その影響力も大きいため、一人一人が名誉毀損罪についての知識と認識を持つことが求められます。
この記事が、名誉毀損罪に対する理解を深める一助となれば幸いです。
何か疑問や不明点があれば、弁護士への相談も考慮しながら、慎重な行動を心がけましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
名誉毀損罪でご不安な方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

京都市左京区の駅で盗撮した事例

2023-09-24

【事件概要】

Aさんは京都市左京区にある駅で女性のスカート内を盗撮しました。
その後Aさんの盗撮行為が発覚し、京都府川端警察署の警察官に性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影等処罰法」といいます。)違反の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

【性的姿態撮影等処罰法とは】

従来、盗撮行為は、刑法ではなく各都道府県の迷惑防止条例によって処罰されてきました。
その結果、都道府県ごとに刑の重さや規制対象が異なったり、盗撮行為の場所が不明の場合に処罰できないといった問題が生じていました。

そこで、以上の問題点を解消し、全国で統一的に盗撮等の撮影行為を処罰することを可能にするため、令和5年に成立したのが性的姿態撮影等処罰法です。

性的姿態撮影等処罰法では、性器・臀部・胸部などの人体の性的部位、性的な部位を隠すために着用している下着及びわいせつ行為、又は性交等がされている間の姿等を性的姿態等といい、正当な理由なくこれらを密かに撮影する行為等が禁止されています。(性的姿態撮影等処罰法第2条1項1号)

【本事件の場合】

今回の事例では、Aさんは女性のスカート内を盗撮しています。
スカート内の下着は性的姿態等に該当すると考えられますし、駅で見ず知らずの女性のスカート内を盗撮する正当な理由は存在しないでしょう。

本件の場合、Aさんは、正当な理由がないのに、密かに性的姿態等を撮影していると考えられますので、性的姿態撮影等処罰法違反が成立する可能性が高いです。
また、今回の事例のAさんが、性的姿態等処罰法違反で有罪になった場合には、3年以下の拘禁刑または300万以下の罰金に処されます。(性的姿態撮影等処罰法2条1号イ)

【刑事事件に精通した弁護士へ相談を】

盗撮行為をしてしまった場合、示談が成立しているという事情が考慮され、不起訴処分になり前科がつくことを防げる可能性を高めることができます。

もっとも、盗撮行為をした当の本人が被害者と示談交渉を進めることは、被害者の処罰感情を激化させてしまう可能性や被害者が加害者に個人情報を知られたくないといった理由から困難です。

結果として、示談交渉がうまくいかず事件が長期化してしまい、職場復帰・社会復帰から遠のく恐れがあります。

そこで、刑事時事件に精通し交渉のプロである弁護士を通じて被害者と示談交渉を行うことをおすすめします。
刑事事件に精通した弁護士が代理人として示談交渉を行うことで、順調に示談を進められるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の弁護士は日頃より刑事事件・少年事件を数多く受任し、扱ってきた実績がございますので、刑事事件・少年事件について安心してご相談頂けます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで、示談の締結不起訴処分の獲得を目指せる可能性があります。
盗撮でお悩みの方、示談交渉でお悩みの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、0120―631―881で受け付けております。

職務質問で大麻所持発覚 大麻取締法違反で逮捕

2023-09-22

【事件概要】

京都市伏見区の路上を歩いていた大学生のAさんは、京都府伏見警察署の警察官に職務質問を受けることになりました。
職務質問でAさんが大麻を所持していることが発覚し、Aさんは大麻取締法違反の容疑で現行犯逮捕されることになりました。
(事例はフィクションです。)

【大麻所持するとどうなる?】

・大麻取締法 第3条 第1項
大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。

日本では、法律で認められた者を除いて、大麻を所持することは認められていません。
もし、大麻を所持すると、以下のような刑罰が科されます。

・大麻取締法 第24条の2 第1項
大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。

今回の事例では、Aさんは大麻を所持したしたとして大麻取締法違反の容疑で逮捕されています。
Aさんは大麻の所持を認められていないのであれば、Aさんに大麻取締法違反が成立する可能性が高いです。

【逮捕されるとどうなる?】

そもそも警察が逮捕という手段を取るのは、罪を犯した疑いのある人が証拠を隠滅したり、逃亡する恐れがある場合です。

今回のような大麻の所持などの薬物事件は、証拠となる大麻などを処分することが容易であることから、その性質上証拠の隠滅がされるおそれが高いと判断される可能性があります。

したがって、逮捕される場合が非常に多い上、逮捕に引き続く身柄拘束(勾留)も長期にわたることが一般的です。

このように、身柄拘束が長期化すると、その間、大学に通うことができない状態が続くことになり、単位が足りずに留年してしまうおそれや、長期間にわたって講義に出席できないことで大学に事件のことが発覚し、退学処分になってしまうおそれもあります。

【まずは弁護士への相談を】

弁護士に相談をすることで、早期釈放を実現できる可能性があります。
刑事事件では、逮捕後72時間以内に勾留の判断が行われます。
弁護士は勾留が決定される前であれば、検察官や裁判官に勾留請求に対する意見書を提出することができます。

また、勾留が決定した場合であっても、弁護士は勾留決定に対する準抗告の申し立てを行えますので、勾留満期を待たずに釈放を望める可能性があります。

先ほども述べたように、勾留期間中は大学に通うことができませんので、単位の取得が難しくなったり、大学に事件が発覚するリスクも高くなってしまいます。
早期釈放を実現することができれば、今まで通り大学に通うことができますので、留年や退学処分に付されることを回避できる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、大麻取締法違反など薬物事件の豊富な弁護経験をもつ法律事務所です。
経験豊富な弁護士が意見書や準抗告の申し立てを行うことで、釈放が認められる場合がありますので、ご家族が逮捕された方はお早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】特殊詐欺事件 成立するのは何罪?②~窃盗罪~

2023-09-20

前回に引き続き、京都府宇治市で起きた特殊詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警宇治署は13日、京都府宇治市の女性(81)がキャッシュカード2枚をだまし取られ、現金計223万円6千円を引き出されたと発表した。特殊詐欺事件として捜査している。
同署によると、(中略)女性宅に警察官を名乗る女から「名前がリストに載って(個人情報が外部に)漏れている」などと電話があった。通話中の約40分後に男が訪れ、キャッシュカード2枚が入った封筒を別の封筒にすり替えて持ち去った。
(中略)複数回にわたり同市内など京都府内のATMで現金が引き出されたという。

(9月13日 京都新聞 「【速報】キャッシュカード入り封筒をすり替え 81歳女性、ATMから現金引き出される」より引用)

窃盗罪

前回のコラムでは、今回の事例では詐欺罪が成立しないのではないかと解説しました。
では何罪が成立するのでしょうか。

今回の事例で成立する可能性があるのは窃盗罪です。

窃盗罪は刑法第235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

窃盗罪は簡単に説明すると、人のものをその人の許可なく勝手に盗ると成立する罪です。

今回の事例では、キャッシュカードが入った封筒と別の封筒をすり替えることで、キャッシュカードを手に入れています。
被害女性は犯人がキャッシュカードを持っていくことを許可していないでしょうから、犯人は持ち主である被害女性に許可を得ずにキャッシュカードを持ち去ったことになります。
ですので、今回の事例では、窃盗罪が成立する可能性が高いです。

詐欺罪、窃盗罪の弁護活動

今回の事例では、詐欺罪ではなく窃盗罪が成立する可能性が高いです。

詐欺罪の法定刑は十年以下の懲役(刑法第246条1項)、窃盗罪の法定刑は十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金(刑法第235条)です。
詐欺罪には罰金刑の規定はありませんが、窃盗罪には罰金刑が規定されています。
上記のように詐欺罪窃盗罪では規定されている刑罰が違いますが、特殊詐欺事件の場合は、詐欺罪が成立する場合と窃盗罪が成立する場合とで大幅に科される刑罰が変わることはありません。

ですので、同じ被害額の特殊詐欺事件で、詐欺罪が成立する場合には懲役刑が科されるが、窃盗罪が成立する場合には罰金刑が科されるなどといったことは、ほとんどありません。
ということは、特殊詐欺事件窃盗罪が成立する場合は、懲役刑が科される可能性が高いということです。
実際に、初犯で前科がなくとも、特殊詐欺事件窃盗罪の罪に問われた場合に懲役刑が科されているケースが多くあります。

刑事事件では、示談を締結することで、執行猶予付き判決を獲得できる場合があります。
加害者が被害者と直接示談交渉をしてしまうと、被害者感情を逆撫でしてしまったり、処罰感情を苛烈にさせてしまう可能性があります。
そうなると、示談を締結することは難しくなってしまいますので、示談を考えている方は、一度弁護士に相談をしてみることをお勧めします。
弁護士を間に入れて示談交渉をすることで、トラブルなく示談を締結できる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、詐欺罪窃盗罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。
詐欺罪窃盗罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631―881までご連絡ください。

【事例紹介】特殊詐欺事件 成立するのは何罪?①~詐欺罪~

2023-09-17

京都府宇治市で起きた特殊詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警宇治署は13日、京都府宇治市の女性(81)がキャッシュカード2枚をだまし取られ、現金計223万円6千円を引き出されたと発表した。特殊詐欺事件として捜査している。
同署によると、(中略)女性宅に警察官を名乗る女から「名前がリストに載って(個人情報が外部に)漏れている」などと電話があった。通話中の約40分後に男が訪れ、キャッシュカード2枚が入った封筒を別の封筒にすり替えて持ち去った。
(中略)複数回にわたり同市内など京都府内のATMで現金が引き出されたという。

(9月13日 京都新聞 「【速報】キャッシュカード入り封筒をすり替え 81歳女性、ATMから現金引き出される」より引用)

特殊詐欺事件と成立する罪

今回の事例では、警察官を名乗る女性から電話があり、キャッシュカード2枚が入った封筒を別の封筒ですり替えられ、持ち去られたと報道されています。
今回の事例では、何罪が成立するのでしょうか。

詐欺罪

報道によると、今回の事例は特殊詐欺事件として捜査されているそうです。
特殊詐欺事件ということは、今回の事例では詐欺罪が成立するのでしょうか。

詐欺罪について考えていきましょう。

詐欺罪は刑法第246条1項で、「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」と規定されています。

詐欺罪は簡単に説明すると、人にうそをついて信じこませ、財物などを渡させると成立します。
また、うそをつけば何でもいいかと言うとそうでもなく、財物を渡すことを判断するうえで、重要な要素になる事柄でなくてはなりません。

詐欺罪が成立するためには、
①財物を渡す判断をするうえで重大なうそをつく
②相手がうそを信じる
③相手から財物を受け取る

以上の3つが必要になります。

では、今回の事例にあてはめて詐欺罪が成立するのかを考えていきましょう。

今回の事例では、警察官を名乗る女性が「名前がリストに載って(個人情報が外部に)漏れている」と電話しています。
おそらく電話をかけた女性は警察官ではないでしょうし、電話の内容も事実ではないでしょう。
警察官の身分を使われてしまうと話している内容なども信じてしまいますし、指示通りに動いてしまうことも多いでしょうから、警察官の身分を騙りうその内容の電話をすることは、財物を渡す判断をするうえで重大なうそにあたると考えられます。
ですので、上記の詐欺罪が成立するための要件の①は満たしていると考えられます。

報道によれば、電話の後に男が訪れてキャッシュカードが入った封筒を別の封筒と入れ替え持ち去ったと報道されています。
被害女性がキャッシュカードを封筒に入れて訪れた男性の応答をしていることから、被害者はうそを信じたのでしょう。
詐欺罪の成立要件②は満たしていると思われます。

では③の財物を受け取るはどうでしょうか。
今回の事例では、キャッシュカードが入った封筒を別の封筒と入れ替えています。
結果として、犯人はキャッシュカードを手に入れていますが、すり替えることで手に入れたのであって、被害者から受け取ったわけではありません。
ですので、③は満たしませんので、詐欺罪は成立しないと考えられます。

詐欺罪が成立しないとなると今回の事例では何罪が成立するのでしょうか。
次回のコラムでは、今回の事例で成立する可能性のある犯罪について解説します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に精通した法律事務所です。
弁護士に相談をすることで、科される刑罰が軽くなることや不起訴処分などを獲得できる場合があります。
窃盗罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部無料法律相談をご利用ください。

窃盗罪と弁護活動:事例を通して見る効果的な対応策

2023-09-15

窃盗罪は一見単純な犯罪のように思えますが、実際には成立要件や罰則が非常に複雑です。
この記事では、窃盗罪で起訴された場合にどのような弁護活動が行われるのか、具体的な事例を交えて解説します。

窃盗罪の基本的な成立要件

窃盗罪とは、簡単に説明すると、他人の所有物を所有者に無断で盗むと成立します。

窃盗罪が成立するためには、いくつかの成立要件が必要です。
まず、物の不正な取得が必要です。
これは、所有者の許可なく物を手に入れる行為を指します。
また、加害者が物を盗む意図を持って取得していることが必要です。

もしも窃盗罪の成立要件が満たされていない場合、無罪を勝ち取れる可能性があります。

弁護士の役割と重要性

窃盗罪で起訴された場合、窃盗罪の弁護活動に精通した弁護士に相談をすることが重要です。
弁護士は、成立要件や罰則に詳しい専門家ですので、その知識と経験を活かしてあなたの権利を守ります。
具体的には、あなたの有利になるような証拠を集め、少しでも裁判で有利な結果を得られるように目指します。

まず、弁護士は事前調査を行い、被告が実際に窃盗罪の成立要件を満たしているかどうかを確認します。
この段階で、成立要件が満たされていないと判断した場合には、無罪を主張するための証拠を集めます。

窃盗罪の弁護経験が豊富な弁護士による弁護活動で、あなたに科される刑罰が少しでも軽くなる可能性があります。
また、場合によっては無罪を獲得することも可能な場合があります。
そのため、窃盗罪に精通した弁護士に相談をすることが非常に重要になります。

事例1:成立要件が満たされていないケース
窃盗罪の成立要件が満たされていないケースも少なくありません。

例えば、Aさんはお店に設置してあるアンケート記入すベースでアンケートの記入をしました。
そのアンケートスペースではペンが誰でも自由に使えるように置かれあり、Aさんは置かれているペンはアンケート記入のお礼品として持ち帰れると思い、使用したペンを持ち帰りました。
実際は、アンケートのお礼品はなく、ペンを持ち帰ってもいいというのはAさんの誤解でした。
客観的に見ればAさんはお店の許可なく、お店の所有物であるペンを持ち帰っているため窃盗罪にあたるように思われます。
しかし、Aさんは持って帰ってもいいものだと誤解していたので、他人の物を盗る意識はなかったことになります。

このようなケースでは、窃盗罪の故意性が欠けていることから、窃盗罪が成立しない可能性があります。
弁護士が具体的な証拠を集め、Aさんには盗む意図がなかったことを主張することで、無罪を獲得できるかもしれません。

上記の事例のように成立要件が明確に満たされていないケースでは、弁護士による弁護活動によって無罪を獲得できる可能性があります。

事例2:被害者と示談を締結したケース

窃盗罪においては、被害者と示談を締結することで科される刑罰が軽くなる可能性があります。
加害者が被害者と直接示談交渉をすることは不可能ではありませんが、加害者と被害者が直接やり取りを行うことでトラブルを生む可能性があります。
弁護士が間に入ることで円滑に示談を締結できる場合がありますので、示談交渉をするときには弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
また、示談を締結することで、執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。

事例3:犯行が立証されないケース

窃盗罪で有罪になるためには、犯行が明確に立証される必要があります。
例として、Cさんが店内で商品を盗もうとしたが、その瞬間に店員に見つかり逮捕されました。
しかし、店内の防犯カメラは故障しており、Cさんが実際に商品を手に取った瞬間が映っていないとします。
このようなケースでは、犯行の立証が困難となります。

弁護士が証拠が不十分であること、目撃証言が曖昧であることなどを指摘することで無罪を目指せる場合があります。
他にも犯行を犯した可能性がある第三者がいる場合、その点を強調するなど、あなたに有利になる証拠を集めることで無罪を獲得できる可能性があります。

事例4:前科がある場合

窃盗罪の前科がある場合、その事実が量刑に大きな影響を与えることが考えられます。
例えば、Fさんが過去にも窃盗で有罪判決を受けている場合、再度窃盗を犯したとされた場合の刑罰は通常よりも重くなる可能性が高いです。

窃盗を繰り返してしまう場合には、クレプトマニア(窃盗症)である可能性があります。
カウンセリングや自助グループに参加し、クレプトマニア(窃盗症)の治療を行うことで、症状が緩和されることがあります。
弁護士がカウンセリングや自助グループに参加し、更生に向けた生活を送っていることを主張することで、科される刑が軽くなる可能性があります。

また、前科がある場合でも、その罪状や経緯、時間がどれだけ経過しているかなども考慮されます。
弁護士はこれらの要素を踏まえて、被告人の社会復帰が可能であると訴えることもあります。
ただし、前科がある場合の弁護は、裁判官や検察官を納得させるためには相当なスキルと戦術が要求されます。

まとめ

この記事では、窃盗罪における様々な事例とそれに対する弁護活動を解説しました。
窃盗罪は一見単純な犯罪に見えますが、成立要件や刑罰、弁護活動は多岐に渡ります。
例えば、盗んだ物の価値や犯行が立証されない場合、前科がある場合といった多くの要素が、最終的な判決に影響を与える可能性があります。

弁護士はこれらの特定の事情や証拠を精査し、それに基づいて少しでもいい結果を得られるように弁護をします。
各ケースにはそれぞれ独自の弁護活動が必要であり、高度な法律的知識と経験が求められます。
窃盗罪に関わる可能性がある場合、専門の弁護士に相談することが非常に重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、窃盗罪の弁護経験が豊富な法律事務所です。
窃盗罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部無料法律相談をご利用ください。

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