京都市バスの運転手の胸ぐらを掴み、公務執行妨害罪の疑いで川端署の警官に逮捕された事件

京都市バスの運転手の胸ぐらを掴み、公務執行妨害罪の疑いで川端署の警官に逮捕された事件

被害者の胸ぐらを掴む暴行を加える加害者

京都市バスへの駆け込み乗車を拒まれ腹を立てた男が、運転手の胸ぐらを掴んだとして公務執行妨害罪の容疑で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事案

京都市バスの車体をたたき、運転手の胸ぐらをつかんで運転を妨害したとして、京都府警は19日、放射線技師の男(65)=京都市中京区=を公務執行妨害の疑いで逮捕し、発表した。「走って乗ろうとしていたのに発車したので腹が立った」と容疑を認めているという。
川端署によると、男は3月28日午後8時ごろ、女性運転手(40)の胸ぐらをつかみ、運転業務を妨害した疑いがある。男は熊野神社(京都市左京区)前の停留所を出発したバスを追いかけ、後部のドア付近をたたき停車させて乗り込んだ後、車内では「走っているのがわからんのか、ぼけ」と暴言も吐いたという。(後略)

(2019年6月19日 朝日新聞デジタル「駆け込み乗車拒まれ「ぼけ」市バス追いかけ妨害容疑」より引用)

公務執行妨害罪と職務

刑法95条1項は、「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」として公務執行妨害罪を規定しています。

公務執行妨害罪は、公務員による公務の円滑な執行を守ることを目的として規定されています。
ですので、公務執行妨害罪が成立するためには、公務員の職務の執行に対して、暴行や脅迫が加えられる必要があります。
例えば、職務時間外に暴行や脅迫が加えられた場合、公務員による公務の円滑な執行が妨げられることはないので、公務執行妨害罪は成立しません。

では、本件の京都市バスの運転手がバスを運転する行為は公務員の職務にあたるのでしょうか。
判例では、公務員の職務について、「ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれる」としています(最判昭和35年3月1日)。
京都市バスの運転手は公務員にあたりますので、京都市バスの運転手の主な業務であるバスを運転する行為は、間違いなく公務員の職務に該当するでしょう。

公務執行妨害罪の暴行、脅迫

公務執行妨害罪における「暴行」とは、公務員に向けられた不法な有形力の行使をいいます(最判昭和37年1月23日)。
先ほども書きましたが、公務執行妨害罪の規定は、公務員による公務の円滑な執行を守ることを目的としており、公務員の身体の安全そのものを守ることを目的としているわけではありません。
したがって、暴行が公務員の「身体」に向けられていることまでは要求されていない点が特徴です。
ですので、警察官が押収した証拠品を壊す行為など、一見すると暴行にはあたらないような行為でも、公務執行妨害罪が規定する「暴行」に該当します。

また、公務執行妨害罪が規定する「脅迫」についても、脅迫罪が成立する行為よりも広く規定されています。
ですので、脅迫罪では脅迫にあたらないような害悪の告知であっても、公務の執行が妨害されるおそれがあるのであれば、公務執行妨害罪が規定する「脅迫」にあたります。

本件では、容疑者の男は公務員である京都市バスの運転手の胸ぐらを掴んだとされています。
胸ぐらを掴む行為は間違いなく暴行にあたりますので、実際に容疑者が京都市バスの運転手の胸ぐらを掴んだのであれば、公務員に向けられた不法な有形力の行使があったと評価できます。
したがって、報道されている容疑者の行為は公務執行妨害罪が規定する「暴行」にあたる可能性が非常に高く、容疑者に公務執行妨害罪が成立する可能性があります。

できるだけ早く弁護士への相談を

公務執行妨害罪では、被害者が警察官の場合は現行犯逮捕されることが多いですが、本件のように被害者が警察官以外の場合には現行犯逮捕はされずに後日逮捕されるケースもあります。

当然、逮捕されてしまうと、いつも通り仕事に行くことはできません。
逮捕はある日突然されますから、前もって職場に欠勤の連絡を入れることもできず、無断欠勤になってしまう可能性が非常に高いです。
逮捕後、勾留されてしまうと、勾留期間は最長で20日間にも及びますから、長い間、職場と連絡をとれない状況に陥ってしまうことも少なくありません。
長期間、職場に連絡を入れられないことで、上司に逮捕されたことを知られてしまうおそれがありますし、無断欠勤が続き連絡が取れないことで解雇されてしまうことも考えられます。

逮捕前に弁護士に相談をしておくことで、弁護士が警察官へ働きかけを行い、逮捕を回避できる可能性がありますし、逮捕された場合でも早期に身柄開放活動を行うことで、勾留されずに釈放を認めてもらえる可能性があります。
早い段階で動くことで、あなたやご家族様にとって有利に進むこともあるでしょうから、公務執行妨害罪などの刑事事件を起こしてしまった際は、なるべく早く弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、公務執行妨害事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
身柄開放活動に精通した弁護士に相談をすることで、早期釈放を実現できるかもしれません。
公務執行妨害罪でお困りの方は、できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。

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