Archive for the ‘財産事件’ Category
(京都市上京区)少年窃盗事件と少年院
(京都市上京区)少年窃盗事件と少年院
京都市上京区にある私立高校に通うAさんは他の友人数名と体育の授業中など、教室に人がいない間に他の生徒の財布から現金を盗む行為を繰り返していました。
その後、Aさんらはそれを目撃していた他の生徒の連絡により、京都市上京区を管轄する京都府上京警察署の警察官に窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親はAさんが少年院に入れられるのは避けたいと少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談しました。
(この話はフィクションです。)
~窃盗罪~
窃盗罪は他人の財物を窃取することで成立する罪であり、成人の場合にはその罰則として10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が規定されています。
今回Aさんは少年であるため、原則としてこの罰則が適用されることはありません。
Aさんは少年であるため、少年事件として成人事件とは異なったプロセスで刑事手続きが行われます。
~少年院送致~
少年事件では刑罰ではなく保護処分が下されますが、一番重い保護処分として少年院送致があります。
少年院送致が決定されると当該少年は少年院に収容され、再非行を防止するための矯正教育を受けることになります。
少年を更生させるため、原則として外出は禁止され、厳しい生活訓練が行われます。
少年院に収容される期間は4カ月から2年以内の範囲内で決められます。
少年院に長期間拘束されることで少年自身だけでなく、そのご家族の方にも精神的、身体的な負担がかかるおそれがあります。
また、少年院に長期間拘束されることで、中学高校の出席日数が足りなくなり、留年したり退学せざるを得なくなる可能性もあります。
特に、Aさんが通っている私立高校では少年院送致が決定された段階で退学処分が下されてしまう可能性もあります。
このような不利益を避けるためにも少年院送致を回避することは重要となります。
少年院はいわゆる「重い」犯罪をしてしまった少年が行くというイメージがあるかもしれませんが、少年事件では、少年の更生に重きが置かれているため、窃盗事件であっても少年院に行く可能性があるということに注意が必要です。
~少年院送致を回避するためには~
少年院送致を回避するためには少年の性格や周りの環境などから再び非行に走る危険性がないことを主張し、少年院に収容し一定の期間矯正教育を受けさせて更生させるよりも社会内更生によることがより適切であることを保護処分について決定する権限のある裁判官にアピールする必要があります。
まず、少年院への送致の回避を目指す上で、重要なのが被害者との間で被害弁償若しくは示談を成立させているかということです。
少年事件の制度の趣旨からも被害者との間で被害弁償を済ませていることや示談を成立させていることが必ずしも少年院への送致の回避につながるとは言いきれません。
しかし、今回起こしてしまった事件について被害者への弁償や、謝罪をするなどの誠意ある対応をすることで、少年自身が反省しているのみならず、家族も少年の更生に協力していることとなり、一定の評価を得ることができるのは間違いありません。
そのため、少年院送致の回避に被害者対応はとても重要なものとなります。
次に少年院への送致の回避を目指す上で重要なのが両親や周りの大人の意識改革や少年の周りの生活環境を整えることです。
少年院はあくまでも少年に一定の期間矯正教育を行い、少年が今後同様の犯罪を起こさないように更生させることを目的とするものです。
そのため、少年の周りの生活環境を整えることでその少年を少年院に収容して更生させる必要はないと主張することが重要です。
そのうえで、社会からの隔絶や学校などこれまでの生活の基盤を失うことなどのデメリットに鑑み、少年院より社会内更生の方がより適切であることを訴えていくことができます。
少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は被害者との間の示談成立を目指し、積極的に示談交渉を行います。
被害者と加害少年の両者の意見を取り入れ、両者の利害を調整し、両者が納得する示談案を提示します。
また、少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は加害少年の付添人として、その少年が同様の犯罪を起こさないように家族の方や、時には学校の方とも連絡を取り、少年が更生できるように最善の努力を尽くします。
京都市上京区の少年事件でお困りの方、その家族の方、是非少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
(フリーダイヤル:0120-631-881)
京都市東山区の詐欺事件
京都市東山区の詐欺事件
~事案~
会社員のAさんは、仕事の帰りに京都市東山区の歩道に落ちていたクレジットカードを持ち去りました。
翌日、Aさんは持ち去ったクレジットカードを利用してデパートでネックレスなどを購入しました。
その後、Aさんは京都市東山区を管轄する京都府東山警察署に詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
そこで、Aさんの夫はAさんを執行猶予にしてほしいと刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にまずは初回接見依頼をしました。
(この話はフィクションです)
~どのような罪になるか~
他人の落とし物のような遺失物を持ち去るなどして横領した場合は遺失物横領罪が成立する可能性が高いです。
また、他人のクレジットカードを本人かのように使って商品を買うなど、人を欺いて財物を交付させた場合については、詐欺罪が適用されます。
今回の事例では、Aさんは落ちていた他人のクレジットカードを持ち去り、さらに持ち去ったクレジットカードを利用しています。
そのため、遺失物を横領したとして、遺失物横領罪が成立すると考えられます。
さらに、クレジットカードの正当な使用権限も代金を支払う意思もないにもかかわらず、それがあるように装って同クレジットカードを提示していることから詐欺罪が適用されることになるでしょう。
遺失物横領罪はその罰則として、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料が定められています。
また、詐欺罪はその罰則として、10年以下の懲役が定められています。
詐欺罪については遺失物横領罪のような罰金刑がありません。
そのため、起訴されて有罪となれば、懲役刑が科せられます。
懲役刑となれば、一定の期間刑務所に収容され、労役が科せられてしまいます。
また、刑務所にしばらく収容されることで仕事先から解雇される可能性も高いです。
さらに、しばらく刑務所に収容されることで加害者の家族にも精神的、身体的に負担がかかることは避けられません。
~執行猶予付判決を獲得する重要性~
これらの社会的不利益を被ることを避けるためにも、執行猶予付判決を獲得することは非常に重要になります。
執行猶予付判決とは、罪を犯して判決で一定以下の刑を言い渡された者が、執行猶予期間に他の刑事事件を起こさずに過ごせば、その刑の言渡し自体をなかったことにするという制度です。
つまり、執行猶予期間中に他の刑事事件を起こさなければ、刑を言い渡された者は刑務所に入る必要はなく、通常の生活を送ることができます。
したがって、執行猶予付判決を獲得することで、刑務所において長期間拘束され、自分にも家族にも負担がかかるという不利益を避けることができます。
~執行猶予付判決を獲得するには~
執行猶予付判決にするか実刑判決にするかを決定する権限があるのは裁判官です。
裁判官は加害者における様々な事情を考慮して自らの裁量で量刑や、執行猶予を付けるかを決定します。
そのため、Aさんやその弁護人としては裁判官に対してAさんを直ちに刑務所に収容する必要がないことを説得する必要があります。
執行猶予付判決を獲得する上で、いくつかの重要なポイントがあります。
一つ目は、加害者に更生の意思があること、そして、その更生をサポートする環境が整っていることです。
具体的には、加害者が今回の件を反省している、さらに、今後同様の犯罪を起こさないこと、及び家族の協力などその更生をサポートする環境が整っていることを裁判官にアピールすることが重要になってきます。
二つ目は、被害者との間で被害弁償を済ませていること、若しくは、示談を成立させていることです。
被害弁償とは、今回発生した被害を金銭によって 弁償することです。
示談とは、一般的に加害者が被害者に対して謝罪して相応の弁償金を支払う一方、被害者は被害届を提出しないなど合意することで、当事者間で今回の紛争が解決したと約束することをいいます。
被害弁償を済ませたり、示談を成立させることで刑事裁判において、裁判官に今回の事件は被害は回復され当事者間で解決したことをアピールすることができます。
また、示談書に被害者側から加害者の厳しい刑事処分を望まないという宥恕の条項を書いてもらうことで裁判官に被害者も厳しい処罰を望んでいないので刑務所に収容する必要はないとさらにアピールすることができます。
刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は被害者との間で積極的に示談交渉を行います。
また、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、加害者と被害者の両者が納得のいく示談案を提示し、両者が合意できるように最善の努力を尽くします。
京都市の詐欺事件でお困りの方、また、そのご家族の方、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
車上狙い窃盗事件で再逮捕
車上狙い窃盗事件で再逮捕
Aさんは、京都府京丹後市の駐車場に停めてあったVさん所有の自動車の窓ガラスを割り、中に設置されていたカーナビや、車内に保管されていたDVDなど合計50万円相当のものを盗み出しました。
Aさんはこうした車上狙いの窃盗行為を頻繁に行っており、盗んだカーナビ等を転売して利益を得ていました。
Vさんが被害届を出したことにより捜査が開始され、Aさんは京都府京丹後警察署に窃盗罪と器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまいました。
そしてその後、Aさんはこの件で勾留されていたのですが、さらに別件の車上狙いについて再逮捕されることとなりました。
Aさんが長期の身体拘束を受けていることを心配したAさんの家族は、刑事事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※平成31年3月5日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・車上狙い
車上狙いとは、車上荒らしとも呼ばれる窃盗行為の一種類です。
車上狙いでは、車に積んである積み荷や、車内にあった現金や金品、さらにはその車に設置・搭載されている車の部品が狙われます。
車上狙いで狙われる車の部品は、Aさんの事件のようにカーナビやカーオーディオ、タイヤやホイール、バッテリーが多いと言われています。
・車上狙いと窃盗罪・器物損壊罪
車上狙いによって成立する犯罪として挙げられる代表的なものは、窃盗罪と器物損壊罪です。
刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法261条(器物損壊罪)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
車上狙いの場合、車の積み荷や車内にあった金品、車の部品を勝手に持ち出していることから、窃盗罪にあたります。
さらに、Aさんのように車上狙いをするために車の窓ガラスを割る等、車本来の効用を害するようなことをすれば、器物損壊罪にも当たりうるということになります。
・車上狙いと逮捕
Aさんのように、車内の金品だけでなく車の部品も盗んでいく車上狙い事件の場合、被害額も高額になることが予想されます。
そしてAさんは車上狙いをするにあたって車を傷つけてもいますから、1件1件の被害額が大きくなってしまうでしょう。
さらに、Aさんはこうした車上狙い行為を何度も行っており、被害品を転売していたようです。
窃盗事件において、被害額が高額であったり、何度も犯行を重ねていたり(=余罪が複数あったり)、転売をしていたりする事情があると、逮捕による拘束がされやすくなると言えます。
なぜなら、逮捕は、主に逃亡や証拠隠滅のおそれを防ぐために行われるものであるからです。
例えば、被害額が高額であったり、何度も犯行を重ねていたりするような場合には、有罪となった際の刑罰が重くなる可能性が高まります。
そうした重い刑罰を避けるために、被疑者が逃亡したり証拠隠滅をしたりするのではないか、と判断されることがあります。
また、転売を行っているような場合には、転売先など、事件に関連した関係先が存在することになります。
関係先の証言と被疑者の証言が食い違っていたり、関係先が多かったりすれば、それらに接触して証拠隠滅を図るおそれがあると判断される可能性も出てくるのです。
逮捕を避けたり、逮捕に引き続く身体拘束を避けたりするには、まずはこうしたおそれのないことを、手続きにのっとって適切に主張していくことが必要となります。
ただし、こうした主張はただ釈放してほしいというだけでは足りず、被疑者自身の事情やその周囲の方々の事情を証拠化して主張していくことが求められます。
このサポートを行えるのが、刑事事件の専門知識のある弁護士なのです。
・車上狙いと再逮捕
Aさんのように、車上狙いによる窃盗行為を繰り返している場合には、それぞれ1つ1つの事件について逮捕・勾留が繰り返される可能性があります。
特に前述したように、関係先とAさんとの供述に食い違いがある場合や、Aさんが否認しているような場合には、こうした再逮捕がなされる可能性も高まるでしょう。
この再逮捕が繰り返されれば、起訴前の被疑者段階であっても、1か月以上身体拘束されてしまうことも考えられます。
身体拘束が長引けば、釈放されたいがために本意でない供述をしてしまうリスクも出てきてしまいますから、早期に弁護士に相談し、サポートに入ってもらいましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、再逮捕を伴う刑事事件についてもご依頼を承っております。
車上狙いを含む窃盗事件・器物損壊事件についても、刑事事件専門の弁護士が依頼者様の不安解消のために全力を尽くします。
まずはお電話にてお問い合わせください(0120-631-881)。
滋賀県守山市の詐欺事件 示談で保釈を目指す弁護士
滋賀県守山市の詐欺事件 示談で保釈を目指す弁護士
滋賀県守山市在住のAさんは,滋賀県守山市内の不動産会社のモデルハウスで住宅購入を検討しているように装い,当該不動産会社の従業員のVさんと,翌日自宅への訪問を受けることを約束しました。
そして,Aさんは,全くそのつもりはないのに,「帰りは電車で帰るつもりだったが,財布を息子の車の中に忘れてしまった。
明日Vさんが家に来た際に返すので電車賃を貸してほしい」と虚偽を述べ,Vさんから現金1万円を受け取りました。
しかし翌日,Aさんに伝えられた住所にVさんが行くと,そこはAさんとは縁もゆかりもない人の家でした。
Vさんが滋賀県守山警察署に通報し,Aさんは詐欺罪の容疑で滋賀県守山警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんはこういった詐欺行為を何度も繰り返しており,その後起訴されました。
Aさんの身体拘束が続いていることを心配した家族が弁護士に依頼し,弁護士はまずは示談を行い,Aさんの保釈を求めることにしました。
(2018年11月17日付埼玉新聞の記事を参考にしたフィクションです。)
~詐欺罪~
人を欺いて財物を交付させた者には,詐欺罪(刑法246条1項)が成立し,10年以下の懲役が科せられます。
「財物」とは,財産権,ことに所有権の目的となりうる物をいい,それが金銭的価値ないし経済的価値を有するかは問わないとされています。
現金1万円はもちろん,詐欺罪のいう「財物」に当たります。
そして,詐欺罪の「人を欺いて」といえるような欺く行為(欺罔行為)は,交付の判断の基礎となる重要な事項について人を欺くことをいいます。
Vさんは,Aさんは,翌日1万円を返してくれるだろうと誤信したために1万円を渡しています。
もしもAさんの伝えた住所が嘘の住所で,Aさんがお金を返すつもりもないと知っていれば,Vさんはお金を渡すことはなかったでしょう。
こうしたことから,Aさんの行為は欺罔行為にあたり,詐欺罪が成立する可能性が高いです。
~詐欺罪と弁護活動~
詐欺行為をしてしまったのであれば,刑事事件化前・刑事事件化後に関わらず,一刻も早く弁護士に依頼すべきです。
刑事事件化する前であれば,被害者との示談を成立させることで,そもそも刑事事件化することを阻止することができる可能性があります。
逮捕され,刑事事件化した場合にも,被害者との示談により,不起訴や釈放を目指すことができる可能性があります。
そして,Aさんのように起訴された後の場合でも,保釈を求めたり,示談によって保釈請求の成功率を上げることができます。
保釈請求に当たっては,弁護士は保釈請求書を裁判所に提出するのですが,保釈請求書では,保釈保証金の準備のほか,帰住先の確保,家族による監督が期待できること等の主張をします。
保釈のためには,保釈保証金の準備など,被告人のご家族の協力が不可欠です。
弁護士は,ご家族とともに,被告人を支えます。
特に今回のAさんのように,詐欺行為を複数回行っていたような場合には,示談をするにも被害者が複数いて交渉するだけでも大変です。
保釈請求も上述の通り,専門知識をもって主張するべきことが多いですから,まずは弁護士に相談することが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,起訴後の詐欺事件についてのご相談も承っております。
示談について弁護士の意見を聞きたい,保釈について専門家の詳しい話を聞いてみたい,という方も遠慮なく弊所弁護士までご相談下さい。
(お問い合わせ:0120-631-881)
京都府城陽市で逮捕された被疑者と面会②
京都府城陽市で逮捕された被疑者と面会②
~前回からの流れ~
京都府城陽市に住むAさんの妻Bさんは、Aさんが京都府城陽警察署に逮捕されたことを知りました。
逮捕直後に面会ができないと言われたBさんは、数日経過してから京都府城陽警察署を訪れたものの、警察官から「接見等禁止処分」がついているため、Aさんには面会できないと言われてしまいました。
事件の詳細も分からず困ったBさんは、刑事事件に強い弁護士にAさんとの面会を頼むとともに、自分がAさんと面会できるようにする方法はないのか相談しました。
(※この事例はフィクションです。)
・勾留後の被疑者との面会
前回の記事では、逮捕直後、勾留前の被疑者との面会について取り上げましたが、今回は逮捕に引き続く身体拘束である勾留をされることになった被疑者との面会について触れていきます。
前回の記事でも簡単に触れた通り、基本的には、勾留に切り替わった時点で家族の方を含めた弁護士以外の一般の方と被疑者との面会ができるようになります。
刑事訴訟法80条
勾留されている被告人は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。
しかし、AさんBさんの事例のように、逮捕後勾留されたからといって必ず一般の方との面会ができるようになるわけではありません。
今回のAさんのように、勾留された際にいわゆる「接見等禁止処分」が付く場合があるからです。
この「接見等禁止処分」は、刑事訴訟法81条の規定による処分のことを指します。
刑事訴訟法81条
裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。
但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。
「第39条第1項に規定する者」とは、前回の記事でも取り上げた通り、すでに被疑者に弁護人としてついている弁護士や、これから弁護人となる可能性のある弁護士のことです。
つまり、被疑者に逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあると判断された場合には、勾留された後であっても、弁護士以外の一般の方との面会が禁止される可能性が出てくるのです。
これがいわゆる「接見等禁止処分」です。
この接見等禁止処分は、面会によって口裏合わせされてしまう可能性のある共犯事件や組織犯罪事件に多く見られます。
では、接見等禁止処分が付いてしまったら家族であってもずっと面会できないまま待っているしかないかというと、そういうわけではありません。
弁護士に依頼して、接見等禁止処分を家族に限って解除してもらう、接見等禁止の一部解除を申請してもらうことができます。
先述のように、接見等禁止処分が付くのは逃亡や証拠隠滅を防ぐためです。
面会を希望する家族がその事件に関係ないことや、家族の面会によって逃亡や証拠隠滅が起こる可能性のないことを主張することで、家族に限って面会を許可してもらえるよう訴えることができるのです。
こうした活動によって接見等禁止が(一部)解除されれば、解除された対象の人は被疑者と面会することができるようになります。
このように弁護士のサポートは、弁護士自身が逮捕・勾留された被疑者と面会して助言をしたり、周囲の人との架橋となったりするだけでなく、家族等周囲の人たちが被疑者と面会できるように活動することも含まれる、非常に幅広いものです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件でお困りの方に刑事事件専門の弁護士がフルサポートを行っています。
京都府の逮捕・勾留にお困りの方、面会について悩んでいる方は、まずはお気軽に弊所弁護士までご相談下さい。
(京都府城陽警察署までの初回接見費用:3万8,200円)
京都府城陽市で逮捕された被疑者と面会①
京都府城陽市で逮捕された被疑者と面会①
京都府城陽市に住むAさんの妻Bさんは、ある日、京都府城陽警察署から、「Aさんが強盗罪の容疑で逮捕された」と連絡を受けました。
驚いたBさんは、すぐに京都府城陽警察署に向かいましたが、警察官から「今日Aさんに面会することはできません。できるとすれば明後日からです」と言われました。
そこでBさんは翌々日、再び京都府城陽警察署を訪れたのですが、警察官から「接見等禁止処分がついているのでAさんと面会はできません」と言われてしまいました。
困ったBさんは、刑事事件に強いという弁護士に相談し、弁護士接見を通じて、事件の概要や見通しを聞くことにしました。
そして、どうにか家族であるAさんに面会できるようにならないかも、弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・逮捕直後の被疑者との面会
ご家族がいきなり逮捕されてしまったら、まずは逮捕されてしまった家族本人と面会したい、本人の話を聞きたいと考える方も多くいらっしゃるでしょう。
しかし、逮捕されてしまった被疑者と一般の方が面会するためには、様々なハードルが存在します。
まず、逮捕直後はたとえ家族であっても原則として被疑者本人と面会することはできません。
身体拘束された被疑者との面会を規定している刑事訴訟法では、一般の方との面会について、勾留後の被疑者との面会についてしか規定がなされていないのです。
刑事訴訟法80条
勾留されている被告人は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。
ですから、一般の方は逮捕後、被疑者が勾留されるまでは基本的に面会をすることができません(稀に捜査機関の計らいによってごく短時間面会させてもらえることもあるようです。)。
しかし、この条文を見ると、「第39条第1項に規定する者」については例外的に逮捕直後から被疑者との面会が可能であり、勾留を待たずに被疑者に直接会えることになっているようです。
刑事訴訟法39条1項を見てみましょう。
刑事訴訟法39条1項
身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第31条第2項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
この規定を見てみると、「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者」とあります。
ですから、勾留前の逮捕によって「身体の拘束を受けている」被疑者もこの条文の対象となることが分かります。
この条文によると、こうした被疑者は自身の弁護人としてついている弁護士や、弁護人を選任できる者の依頼によって弁護人と「なろうとする」弁護士と接見=面会できるとされています。
つまり、逮捕された被疑者にすでに弁護人としてついている弁護士や、弁護人選任権者からの依頼で弁護人となる可能性のある弁護士は、先述したような時間の制限なく逮捕された被疑者と面会が可能なのです。
なお、「弁護人を選任することができる者」(=弁護人選任権者)は、刑事訴訟法30条に規定されています。
刑事訴訟法30条
1項 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
2項 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。
この条文の通り、逮捕された被疑者本人だけでなく、その配偶者や両親、兄弟姉妹が逮捕された被疑者に弁護士を弁護人としてつけることができます。
そのため、家族が逮捕されてしまって自分たちで面会もできない、というような状況の際に、逮捕されてしまった人の家族が依頼者となって弁護士に「弁護人となろうとする者」としての面会を頼むことで、いち早く逮捕されてしまった人の状況や今後の見通しを知る一助となるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、突然の逮捕にお困りの方に役立つ初回接見サービスをいつでも受け付けています。
初回接見サービスは、依頼を受けた弁護士が、前述した「弁護人となろうとする者」としての面会を行うサービスです。
弊所の初回接見サービスでは、お申込みから24時間以内の面会をお約束していますから、逮捕直後から迅速に被疑者本人との面会と依頼者の方へのご報告が可能です。
逮捕された方の周囲の方は、詳しい事情も分からず困惑されることも多いです。
だからこそ、そんな時は逮捕直後から面会できる弁護士のサポートを受けましょう。
まずはお気軽にお問い合わせください(フリーダイヤル:0120-631-881)。
次回の記事では勾留後の被疑者との面会について取り上げます。
【京都市山科区】盗品等有償譲受罪で逮捕
【京都市山科区】盗品等有償譲受罪で逮捕
Aさんは,知人のBさんから,Bさんが京都市山科区にあるVさん宅から盗んできた自転車を買いました。
Aさんは,自転車が盗品だとは知らず,「中古品の自転車である」と聞いて購入したのですが,ある日訪れた京都府山科警察署の警察官に,盗品等有償譲受罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は,Aさんが逮捕される際,盗品とは知らずに買ったと言っていたことからAさんは無実の容疑をかけられているのではないかと不安になり,京都府の刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
~盗品等有償譲受罪~
盗品その他財産に対する罪に対するあたる行為によって領得された物(盗品等)を有償で譲り受けた場合,盗品等有償譲受罪が成立します。
盗品等有償譲受罪が成立する場合,10年以下の懲役及び50万円以下の罰金が科せられます(刑法256条2項)。
有償譲受とは,有償で盗品等の交付を受け,その処分権を取得することをいい,売買,交換,代物弁済など譲受の形式は問いません。
盗品等有償譲受罪のいう「有償譲受」は,単に売買等の約束が交わされただけでは足りず,盗品等の移転が必要です。
そして,盗品等有償譲受罪の対象である「盗品等」といえるためには,前提犯罪である本犯の被害者が法律上請求できるものに限られます。
また,前提犯罪である財産罪は,犯罪として成立している必要はなく,財産罪に当たる行為によって領得された物が盗品等有償譲受罪の客体となります。
盗品等有償譲受罪が成立するためには,客体が盗品等であることの認識が必要ですが,間違いなく盗品であるとまで思っていなくても,盗品かもしれないと思っていれば,盗品等の認識があるものと考えられています(最判昭和23年3月16日)。
また,前提犯罪である財産罪がいかなる犯罪か,その被害者又は犯人が誰かを知っていることまでは必要ありません(最判昭和30年9月16日)。
なお,配偶者と間又は直系血族,同居の親族もしくはこれらの者の配偶者との間で盗品等罪を犯した者は,その刑を免除されます(刑法257条1項)。
~Aさんの事例~
Aさんのように,自分が買ったものが盗品だと知らず,「盗品かもしれない」とすら思っていなかったにもかかわらず盗品等有償譲受罪の容疑で逮捕され刑事事件化した場合,早急に弁護士に相談して助言を得るべきです。
先ほど触れたように,盗品等有償譲受罪の成立には客体が盗品である認識が必要ですから,その認識が全くなかったのであれば冤罪であるということになるからです。
刑事事件化し,犯罪事実を否認する場合,弁護士に相談して,捜査機関に有利な証拠を与えないことがとても重要です。
一旦認めてしまうと,後から本当のことを言って冤罪であることを主張しても,それを裁判で信用してもらうことが非常に難しいのです。
捜査機関は「もしかしたら盗品かもとは思ったんじゃないの? 」などと巧みに誘導してくることもあります。
逮捕されてしまった被疑者本人の意思にそぐわない不本意な手続きによってやってもいない罪を認めてしまうことのないよう,弁護士に依頼して対策をとるべきと言えます。
弁護士のアドバイスを受けることで,「認めたつもりはなかったのに認めたことになっていた」「上手く誘導されて認めたと判断されるような内容の調書を取られてしまった」というおそれを減らすことができます。
京都の盗品等有償譲受事件にお困りの際は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。
冤罪の主張はもちろん、認めている刑事事件についても弁護士が丁寧に相談に対応いたします。
逮捕されている場合には、初回接見サービスにて弁護士が直接アドバイスを行います。
お問い合わせは0120-631-881でいつでも受け付けていますので、遠慮なくお電話ください。
(京都府山科警察署までの初回接見費用:3万6,900円)
恐喝罪と組織犯罪処罰法違反②
恐喝罪と組織犯罪処罰法違反②
~前回からの流れ~
京都府八幡市に住んでいる17歳のAさんは、不良仲間と恐喝行為をするためにグループを結成し、仲間であるBさんの指示のもと、役割分担をして恐喝行為を繰り返していました。
グループでの恐喝行為をしばらくの間続けていたAさんらでしたが、Aさんらの恐喝行為によって金品を巻き上げられたとして被害者の1人であるVさんが京都府八幡警察署に相談したことから、Aさんらは組織犯罪処罰法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
Aさんの両親はAさんの逮捕を聞き、すぐに京都府・滋賀県周辺の少年事件に対応している弁護士に相談し、今後の見通しのほか、弁護士に依頼した場合どのような弁護活動が可能となるのか詳しく話を聞きました。
(※この事例はフィクションです。)
・Aさんの下される可能性のある処分は?
Aさんは20歳未満の少年であるため、Aさんの起こした恐喝行為による組織犯罪処罰法違反事件は、少年事件として扱われ、少年事件の手続きを踏んでいくことになります。
少年事件の終局処分としては、原則として以下のような処分が下されることが考えられます。
①審判不開始
家庭裁判所に送致された後、そもそも審判を開く必要がないと判断されたときに下されます。
審判が開かれることもなく、処分を受けることもなく事件終了となります。
事件が軽微で少年の環境調整がすでに不要である場合や、行ったとされる非行が確認できない場合等に審判不開始となることがあります。
②不処分
審判の結果、処分を下す必要がないと判断された場合には、不処分とされます。
少年事件の手続きの理念は、「少年の更生」に重きが置かれています。
少年の更生のための環境が十分整えられており、特に処分を加える必要がないと判断された場合などに、審判の結果不処分となることもあります。
③保護観察
保護観察は、ある一定期間、保護観察所や保護司等の指導を受ける処分です。
いわゆる「社会内処遇」と呼ばれる処遇で、少年は施設等に入ることなく、社会の中で生活しながら更生を目指します。
少年やその家族は、ある一定期間、保護司等の担当者と面会したり連絡を取ったりしながら生活します。
保護観察の期間は少年によってまちまちで、3か月程度の保護観察となる少年もいれば、1年2年と保護観察期間を過ごす少年もいます。
④少年院送致
少年院に収容され、少年院の中で生活しながら更生を目指す処分です(年齢の低い少年の場合は児童自立支援施設への送致となる場合もあります。)。
少年の環境等から、現在の環境から隔離した方が少年の更生に適切である、より専門的な教育・指導が必要である等と判断された場合に少年院送致となることが多く見られます。
これらの処分は、少年事件の手続きが理念としている少年の更生を目的に下されるものです。
今回のAさんの場合、不良仲間とつるんでいることや、その仲間と徒党を組んで恐喝行為を繰り返していることから、現在の環境が更生によいとは言えないでしょう。
もしもAさんをそのままの環境においておけば、また同じ仲間とつるんで同じことを繰り返してしまう可能性があるからです。
ですから、Aさんの場合、現在の環境から切り離して更生を目指すために「④少年院送致」という判断が下される可能性もあります。
少年事件の処分は起こしてしまった事件の重さだけでは決まりませんが、被害者の数が多かったり被害金額が大きかったり、罪名が重いものであったりすれば、それだけ重い犯罪をしてしまう環境の改善や、そうした重い犯罪をしてしまった少年に専門的な教育やケアが必要であるとされることも多く、そうした場合には少年院送致が選択されることも多いです。
しかし、逆を言えば、少年がきちんと更生できる環境が整っていると主張し、それが認められれば、社会内処遇が選択される可能性もあると言えます。
そのためには、少年事件の手続きやそのうえで重視する点をよく理解し、環境調整を行い、それを証拠化して主張をしていく必要があります。
こうした活動には、少年事件の専門知識や経験をもつ弁護士の力が必要となってくるでしょう。
また、今触れてきたのは家庭裁判所に事件が送られた後の活動のことですが、その前に少年は被疑者としての捜査を受ける段階があります。
この段階では、少年は成人の被疑者とほぼ同様の扱いを受けることになりますから、そのケアやサポートも重要です。
家庭裁判所へ事件が送られた後のことも踏まえて、この捜査段階から準備を進めていくことが必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件だけでなく少年事件も多く取り扱っているからこそ、捜査段階から家庭裁判所へ送致された後まで、一貫して少年事件に丁寧な対応を行っていくことが可能です。
組織犯罪処罰法違反等、京都府の少年事件にお困りの際は、弊所弁護士までご相談ください。
(お問い合わせ:0120-631-881)
恐喝罪と組織犯罪処罰法違反①
恐喝罪と組織犯罪処罰法違反①
Aさんは、京都府八幡市に住んでいる17歳で、いわゆる不良仲間とよくつるんでいました。
ある日Aさんは、不良仲間のBさん(19歳)から、「何人かでグループになってこの辺りで金を巻き上げよう。年下や女ならちょっと脅せばすぐ金を出すだろう」と話を持ち掛けられました。
そこでAさんは、Bさんら数人とグループになって、Bさんの指揮のもと役割分担をして、京都府八幡市周辺で年下の者や女性を対象として恐喝をし、巻き上げた金品を仲間内で分け合っていました。
こうした恐喝行為をしばらくの間続けていたAさんらでしたが、Aさんらの恐喝行為によって金品を巻き上げられたとして被害者の1人であるVさんが京都府八幡警察署に相談したことから、Aさんらは組織犯罪処罰法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)
・恐喝罪
Aさんらは、自分たちより年下の者や女性をターゲットに恐喝を繰り返していたようです。
ここで思い浮かばれるのは、刑法に規定されている恐喝罪でしょう。
刑法249条(恐喝罪)
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
恐喝罪は、財物奪取に向けられた暴行・脅迫を行い、それに畏怖した相手から金品を交付させることで成立します(なお、この暴行・脅迫の程度が相手の反抗を抑圧する=相手が犯行できないほどのものである場合には、恐喝罪ではなく強盗罪が成立します。)。
Aさんらはこの恐喝行為をおこなって金品を巻き上げていたのですから、単純に考えれば恐喝罪の容疑で逮捕されるのではないでしょうか。
しかし、今回のAさんらは組織犯罪処罰法違反の容疑で逮捕されています。
これはどういった犯罪なのでしょうか。
・組織犯罪処罰法違反
組織犯罪処罰法は、正式名称を「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」と言います。
組織犯罪処罰法は、反社会的組織による犯罪や会社等にカムフラージュされた団体による犯罪など組織による犯罪についての加重規定を定めたり、いわゆるマネーロンダリングと呼ばれる資金洗浄行為を規制したりしている法律です。
最近では、オレオレ詐欺に代表される特殊詐欺をグループとして行っている組織的詐欺に適用され報道されることも多いため、組織的詐欺が組織犯罪処罰法によって取り締まられているイメージのある方も多いのではないでしょうか。
しかし、組織犯罪処罰法が取り締まっている犯罪は、組織的詐欺だけではありません。
組織犯罪処罰法は、先ほど触れたように組織的に行われた犯罪についての加重規定を定めています。
つまり、組織的に行われた犯罪を、単に個人でその犯罪をしたときよりも重く処罰しようということです。
ですが、全ての犯罪がこの組織犯罪処罰法の対象となっているわけではなく、組織犯罪処罰法3条以降にその対象の犯罪や態様が挙げられています。
例えば、今回のAさんは恐喝行為を行って組織犯罪処罰法違反の容疑で逮捕されていますが、それは以下の条文に当てはまると判断されたからだと考えられます。
組織犯罪処罰法3条1項
次の各号に掲げる罪に当たる行為が、団体の活動(団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。以下同じ。)として、当該罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、その罪を犯した者は、当該各号に定める刑に処する。
14号 刑法第249条(恐喝)の罪 1年以上の有期懲役
組織犯罪処罰法のいう「団体」とは、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう。以下同じ。)により反復して行われるもの」とされています(組織犯罪処罰法2条1項)。
今回の事例のAさんは、恐喝行為をするためにグループを結成し、Bさんの指示のもと役割分担をしながら恐喝行為を繰り返し、恐喝行為によって得た金品をグループ内で分け合っていました。
こうしたことから、単純な恐喝罪ではなく、組織犯罪処罰法違反であると判断されたのでしょう。
今回の事例のAさんは20歳未満の少年であることから、この組織犯罪処罰法違反事件は少年事件として扱われます。
Aさんに考えられる処分や弁護活動については、次回の記事で取り上げます。
組織犯罪処罰法違反はなかなかなじみのない犯罪であり、成立の可否や見通し等、分かりづらいことも多い犯罪です。
こうした犯罪の容疑をかけられてしまった時、それによって逮捕されてしまった時こそ、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談ください。
お問い合わせは0120-631-881でいつでも受け付けております。
(京都府八幡警察署までの初回接見費用:3万8,200円)
営業秘密侵害による不正競争防止法違反③
営業秘密侵害による不正競争防止法違反③
~前回からの流れ~
滋賀県高島市にある会社V社に勤務していたAさんは、競合他社であるB社に転職しようと、V社から業務のために開示されていたV社の顧客情報やV社の売上データ、統計などの情報を私物のUSBにコピーし、それをB社の面接の際に見せ、自分を売り込みました。
それらのデータには、限られた人しかアクセスできず、情報を閲覧するにはパスワードの入力が必要とされていました。
また、データの最初には「マル秘」のマークがついているものもありました。
そしてAさんはB社に転職し、V社のデータを利用して営業活動を行っていましたが、滋賀県高島警察署の警察官から営業秘密の侵害をした不正競争防止法違反の容疑で逮捕されてしまい、Aさんの両親は急いで滋賀県を含む京都府周辺の刑事事件を扱う弁護士に相談しました。
(※この事例はフィクションです。)
・Aさんの行為
前回の記事では、不正競争防止法上の「営業秘密」がどんなものであるのかに触れましたが、今回の記事では具体的にAさんの行為と不正競争防止法を照らし合わせていきます。
もう一度、Aさんが容疑をかけられているであろう不正競争防止法の該当条文を見ながら検討してみましょう。
不正競争防止法21条
次の各号のいずれかに該当する者は、10年以下の懲役若しくは2,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3号 営業秘密を保有者から示された者であって、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、次のいずれかに掲げる方法でその営業秘密を領得した者
ロ 営業秘密記録媒体等の記載若しくは記録について、又は営業秘密が化体された物件について、その複製を作成すること。
4号 営業秘密を保有者から示された者であって、その営業秘密の管理に係る任務に背いて前号イからハまでに掲げる方法により領得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、使用し、又は開示した者
まず、今回のAさんがV社のデータをUSBにコピーして持ち出した目的は、B社への転職で自分の売り込みに使うためです。
一番最初の記事でも触れた通り、不正競争防止法の「不正の利益を得る目的」とは、公序良俗や信義則に反する形で不当な利益を得ることを目的とすることを指します。
V社としては、社員を信頼してデータを開示していたと考えられますから、競合他社に開示することはV社の信用を裏切るような形となっているでしょう。
そして、Aさんが情報を利用して自分を売り込むことは不当な利益を得ようとしていると考えられるため、Aさんの行為は「不正の利益を得ることを目的」と考えられるでしょう。
また、AさんがUSBにコピーしたV社の情報は、限られた人しかアクセスできず、パスワードも必要な情報でした。
そして、「マル秘」のマークもついていたことから、秘密の情報であることは明確に示されていたと考えられます。
これらのことから、当該情報が「秘密として管理されている」と言えそうです。
さらに、当該情報はV社の顧客データや売上データなど、競合他社からすれば役に立つ営業の情報ですから、「事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」とも言えるでしょう。
加えて、先ほど触れたように情報はアクセスできる人が限定されているうえ閲覧にパスワードがかかっているものですから、「公然と知られていない」情報であるでしょう。
よって、AさんがUSBにコピーしたV社の情報は不正競争防止法上の「営業秘密」であると考えられそうです。
この営業秘密をAさんはUSBにコピー=「複製を作成」しているのですが、先ほど触れたように、V社の業務のために情報を競合他社に開示したり競合他社で使用することは、V社の業務に反することですから、「その営業秘密の管理に係る任務に背」いていることであると言えるでしょう。
このことからAさんにはまず、不正競争防止法21条3号ロに該当する不正競争防止法違反が成立する可能性があることになります。
さらに、Aさんはその複製した営業秘密をB社に開示し、B社転職後に使用していることから、不正競争防止法21条4号にも該当する可能性があります。
こうした不正競争防止法違反事件では、営業秘密の侵害によって損害が出ている場合には被害弁償活動を行ったり、逮捕・勾留されている場合は身柄解放活動を行ったりする弁護活動が考えられます。
営業秘密の侵害による不正競争防止法違反事件では、示談交渉の相手が会社となることも多く、弁護士のような示談交渉のプロのサポートが必要です。
また、容疑を認めている場合だけでなく、「営業秘密」かどうかを争ったり「不正の利益を得る目的」を争ったりする否認の場合にも、専門的知識とそれを的確に主張することが求められますから、やはり弁護士の存在が必要となってくるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が不正競争防止法違反事件にお困りの方のご相談をお待ちしています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
(滋賀県高島警察署までの初回接見費用:3万9,200円)