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いたずら電話が犯罪に⁈ 偽計業務妨害罪はどんな罪?

2023-11-01

いたずら電話をかけた場合にどのような犯罪が成立するのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

偽計業務妨害罪とは?

偽計業務妨害罪は、刑法第233条に規定されています。
刑法第233条では、偽計業務妨害罪「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定されています。

「業務」と「偽計」の意味
業務: この文脈での「業務」とは、職業や社会生活上反復、継続して行う作業を指します。
例えば、病院の受付や、商店の販売活動などが該当します。

偽計: 「偽計」とは、人を欺く行為や、誤解を利用する行為を指します。
これには、虚偽の情報を提供する、誤った印象を与えるなどが含まれます。

大まかに説明すると、偽計業務妨害罪は、人を欺くことで業務を妨害するおそれがある場合に成立します。

いたずら電話で犯罪に⁈

事例

Aさんは京都市上京区にあるV店に100回以上のいたずら電話をかけました。
後日、Aさんは偽計業務妨害罪の疑いがあるとして、京都府上京警察署の警察官に話を聞かれることになりました。
(事例はフィクションです。)

この事例では偽計業務妨害罪が成立するのでしょうか。

通常、店に電話がかかってくれば、その店の従業員は店に用事があるのだと思い対応するでしょう。
当然、Aさんからのいたずら電話も電話にでるまでは内容がわからないため、店に何らかの用事があってかけてきた電話だと思って電話にでるはずです。
ですので、Aさんがいたずら電話をかける行為は、実際には店に対して用事があるわけではないのに、店側に用事があるかの装い、誤解させていることになります。

かかってくる電話がAさんからのいたずら電話だけとは限りませんから、すべての電話を無視するわけにはいかないでしょう。
100回以上かかってくるいたずら電話にでて、対応をするのにも時間がかかりますし、今後いたずら電話がかかってこないようにするための対策を練るなどの今後の対応も必要になるでしょう。
いたずら電話の対応に割いた時間があれば、客への対応や在庫の管理、新商品の開発などの業務が行えた可能性がありますから、Aさんのいたずら電話は業務を妨害するおそれがある行為だといえます。
偽計業務妨害罪は、偽計行為によって業務が妨害されるおそれがある場合に成立しますから、今回の事例のAさんに偽計業務妨害罪が成立する可能性が高いといえます。

偽計業務妨害罪と刑罰

偽計業務妨害罪は、有罪になると、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。
懲役刑が科されるか、罰金刑が科されるのかは、被害の程度や犯罪の重大性、犯人の過去の犯罪歴などによって判断されます。

軽い気持ちでいたずら電話をかけた場合であっても、懲役刑が科される可能性があり、注意が必要です。

示談と弁護活動

偽計業務妨害罪などの刑事事件では、示談交渉などの弁護活動も重要な選択肢となる場合があります。
示談の可能性、その手続き、そして弁護士の役割について解説します。

示談の可能性
偽計業務妨害罪においては、被害者と加害者のあいだで示談を締結することで、不起訴処分を獲得できる場合があります。
示談は双方が納得する内容で締結するため、双方が納得できる条件を探るために示談交渉を重ねる必要があります。

示談手続き
示談を行う場合、加害者と被害者が直接示談交渉をすることもありますが、そのような場合にはトラブルが生じる可能性も考慮する必要があります。
特に、被害者が加害者に連絡先を知られることや直接なやりとりを避けたい場合、加害者が直接示談交渉を行っても示談を断られる可能性が高く、そもそも示談交渉すら行えない可能性があります。
弁護士を入れることで、そういった事態を避けられる可能性がありますので、弁護士を通して示談交渉を行うことが推奨されます。

弁護士の役割
弁護士は、示談交渉を円滑に進めるための専門的な知識と経験を持っています。
また、弁護士は検察官に対して処分交渉を行うことができ、示談を締結できなかった場合でも、不起訴処分の獲得など、より良い結果を得る可能性があります。

注意点と対策

偽計業務妨害罪は、犯罪になるとは知らなかった場合や軽い気持ちでやったとしても成立してしまうおそれがあります。
偽計業務妨害罪に問われないようにするためにも、以下の注意点について常日頃から注意し、対応していくことが重要になります。

注意点
誤解を招く情報の拡散: SNSや口コミでの情報共有は慎重に行いましょう。誤情報が拡散されると、偽計業務妨害罪の成立要件に該当する可能性があります。
業務妨害の可能性: いたずら電話や無用なクレームなど、他人の業務を妨害するおそれのある行為は避けましょう。
意図の確認: 何らかの行為をする前に、その行為が他人の業務にどのような影響を与えるかを考慮することが重要です。

対策
情報の確認: 情報を共有する前に、その情報が正確であるかを確認しましょう。
コミュニケーション: 業務に関わる人々とのコミュニケーションをしっかりと取ることで、誤解やトラブルを防げる可能性があります。
法的な相談: 何か問題が起きた場合は、早めに法的な相談を行い、適切な対応を取ることが推奨されます。

偽計業務妨害罪に強い弁護士

一見些細な行為でも、偽計業務妨害罪が成立してしまうおそれがあります。
犯罪にあたると知らなかったという言い訳は効きませんので、犯罪だと知らずに行った場合でも懲役刑や罰金刑が科される可能性があります。
懲役刑や罰金刑が科されれば前科が付きますので、軽はずみな行動が将来に悪影響を及ぼす可能性は十分にあります。
偽計業務妨害罪にあたるような行為をしてしまったとしても、示談交渉処分交渉などの弁護活動により不起訴処分を獲得できる可能性がありますから、弁護士に相談をすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、偽計業務妨害罪など、刑事事件に強い法律事務所です。
初回接見サービス無料法律相談も行っていますので、偽計業務妨害罪などの刑事事件でお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

SNS上で犯罪者だと中傷した名誉棄損事件

2023-10-20

SNS上で特定の人物を「犯罪者で前科もある」などと中傷した名誉毀損事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事件概要

京都市上京区に住むAさんは「Bさんは犯罪者で前科もある」というようなBさんを中傷する内容をSNSに投稿しました。
その後Aさんは上京警察署の警察官に話をきかれ、名誉棄損罪の疑いで逮捕されることになりました。
(事件概要はフィクションです。)

名誉毀損罪とは

刑法230条1項は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」として名誉毀損罪を規定しています。

本罪の対象となる行為は、「公然と事実を摘示して、人の名誉を毀損」することです。

まず、男は「公然と」名誉を毀損したと言えるのでしょうか?

「公然と」というのは、不特定または多数人が認識しうる状態を意味します。
今回の事案では、AさんはBさんを中傷する内容をSNSに投稿しています。
SNSに投稿された内容は不特定の人の目に入ることになりますから、Aさんは「公然と」名誉を毀損したことになりそうです。

次に、男は「事実の摘示」をしたと言えるのでしょうか?

本条の「事実」は、日常用語として用いられる「事実」という言葉よりも広い概念であり、真実の事実に加えて虚偽の事実を含みます。
加えて、本条の「事実」は、人の社会的評価を低下させるに足る具体的なものでなければなりません。
今回の事案では、AさんはBさんについて、「Bさんは犯罪者で前科もある」などと投稿しています。
このような投稿をされたことによって、Bさんは犯罪を犯すような人物としてその社会的評価を低下させられる危険性があると考えられます。
上述の通り、この投稿内容が真実であっても名誉毀損罪の成立自体は妨げられません。

なお、本条の「人の名誉を毀損した」という文言は、現実に被害者の名誉が害されたことを要するかのように見えます。
しかし、被害者の社会的名誉が現実に害されたか否かの認定は極めて困難ですから、本罪は実際に社会的名誉が害されることを要しないものと解されます。
つまり、実際に社会的名誉が害されていなくても、社会的名誉が害される危険性がある内容であれば、名誉棄損罪が成立するおそれがあります。

名誉を毀損しても処罰されない場合

他人の名誉を毀損しうる行為をしても処罰されない場合がいくつかあります。

代表例は、起訴の時点で被害者からの告訴が存在しない場合です。
裁判になることで、かえって被害者の名誉を侵害する恐れがあることから、本罪は告訴を訴訟要件とする親告罪となっています(刑法232条)。
仮に、被害者が告訴をしていたとしても、起訴前に取り下げてもらうことができれば、不起訴処分となります。

弁護士に相談を

実際に他人の名誉を毀損する行為をして、被害者が告訴をした場合、起訴前に告訴を取り消してもらえるかどうかが非常に重要になってきます。
告訴の取下げに成功すれば、不起訴処分となり前科がつくこともないからです。

しかし、被害者は、当然ながら加害者に対して処罰感情を抱いている可能性が高いため、加害者が自ら示談交渉をして、告訴の取下げを含めた示談を成立させるのは困難です。
そこで、示談交渉のプロである弁護士に示談交渉をお任せすることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、名誉毀損事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、告訴を取り下げてもらい不起訴処分を得ることができる可能性があります。
起訴されてしまった後では、告訴を取り下げることはできません。
可能な限り早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】『皆殺しにしてやる』?問い合わせフォームを使った脅迫文の送信

2023-10-13

問い合わせフォームを使って脅迫文を送信したとされる事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例概要

(前略)連合会(京都市北区)に脅迫文を送ったとして、京都府警北署は29日、威力業務妨害の疑いで、(中略)逮捕した。
逮捕容疑は(中略)、同連合会ホームページの問い合わせフォームに「全員機関銃で皆殺しにして殺るからな」などの内容を計4回送信し、正常な業務を妨害した疑い。「間違いない」と容疑を認めているという。
(後略)

(9月29日 京都新聞「部落解放同盟に4回脅迫文 容疑で神戸の男逮捕、差別的表現も」より引用)

威力業務妨害罪とは?

威力業務妨害とは、「威力を用いて人の業務を妨害」するおそれがある行為を言います(刑法234条)。

威力業務妨害罪が成立するためには、以下の3つの要件が必要です。
①手段として「威力」を用いたこと
②その妨害の対象が「業務」であること
③行為により業務が妨害されるおそれがあること

では、具体的には、どのような場合が①威力と②業務に該当するのでしょうか?

威力

まず、「威力」とは、人の意思を制圧するに足りる勢力を示すことを意味します。
裁判例をみると、公然と脅迫暴行などを手段とした場合に「威力」を用いたとされます。

威力を用いて人の業務を妨害したとされる裁判例として、大阪拘置所に電話をかけ、元総理を殺害したことで同拘置所に収監されていたCの名前をあげて、「Cは殺さないといけないんですよ」「Cを殺しに行くつもりでいます」などと言って、同拘置所職員の正常な業務の遂行に支障を生じさせた事案があります。(大阪地裁 令和4年12月22日 判決)

業務

次に「業務」とは、職業その他の社会生活上の地位に基づいて継続して従事する事務とされています(大判大10年10月24日)。
典型的には職業としての経済活動が「業務」にあたります。
例えば、営業マンが得意先に向かう際の車の運転や、ラーメン屋がスープを作る行為は「業務」に該当します。
これに対して、ツーリング目的での自家用車の運転や、家族の夕食を作る行為などは社会生活上の活動ではないため「業務」には該当しません。

それでは、本事案で報道されたような、問い合わせホームへの殺害予告の送信は、「威力を用いて、人の業務の妨害」しうる行為にあたるのでしょうか?。

まず、殺害予告の送信は脅迫にあたると推測され、人の意思を制圧するに足りる勢力を示すもの、つまり威力を用いたと評価されると考えられます。

次に、問い合わせ担当者は、当該殺害予告への対処を余儀なくされ、本来すべき問い合わせへの対応業務に支障をきたす危険性があります。
また、同連合会の上層部も、当該殺害予告がされた結果、警察への届出を含む今後の対応について時間を割くことを余儀なくされ、本来すべき管理業務や意思決定業務に費やす時間を犠牲にすることになりかねません。
ですので、本件の問い合わせフォームへの殺害予告の送信は、業務を妨害するおそれがあると判断される可能性が高いと思われます。

したがって、本件の問い合わせフォームを通じての殺害予告は、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。

弁護士に依頼して事件の早期解決を

威力業務妨害罪のように被害者が存在する犯罪については、(被害があればその被害弁償をして)被害者と示談を成立させることが事件の早期解決にとって重要となります。
被害届が出される前に示談が成立していれば、警察沙汰になることも防げるかもしれません。
示談成立が事件化してしまった後であっても、起訴される前であれば、不起訴処分につながる可能性もあります。

もっとも、つい先日まで業務を妨害した当の加害者が被害者と接触を試みても、示談交渉のテーブルにつくこと自体を拒絶されかねません。
したがって、示談交渉のプロである弁護士に示談交渉はお任せすることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、威力業務妨害事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
示談交渉を数多く成立させてきた弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、警察沙汰になることを未然に防いだり、不起訴処分を得ることができる可能性があります。
可能な限り早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

ノルマ未達の部下に対し「どつき殺すぞ」 脅迫罪で起訴された事例

2023-10-11

事案

営業ノルマを達成できなかった部下に対して、「どつき殺すぞ」、「明日があると思うな」などと暴言を吐いたとして、京都府城陽市に営業所をもつ大手飲料メーカーの男性社員が脅迫罪で起訴された。
男性社員は、「確かに暴言は吐いたが、応援のつもりでやった。」「本気で殺すつもりではなかったし、そのことは部下もわかっているはず」と説明している。
(2022年10月28日 京都新聞 「取り調べ中に『どつき殺すぞ』」の記事を参考にしたフィクションです)

脅迫罪とは?

刑法221条1項によると、脅迫罪は、「人の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」する犯罪です。

脅迫罪を犯してしまうと、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます(刑法221条1項)。

脅迫とは、人を畏怖させる程度の害悪を告知することを指します。
本ケースのように、「どつき殺すぞ」と言われれば、普通は恐怖心を起こ(畏怖する)します。
また、「どつき殺すぞ」は人の生命に対する害悪の告知にあたります。
したがって、本ケースでは脅迫罪が成立する可能性があります。

なお、被告人は「本気で殺すつもりではなかったし、そのことは部下もわかっているはず」と言っています。

実際に被害に遭った部下が畏怖していなかった場合には脅迫罪は成立しないのでしょうか?

この点、大審院判決(明治43年11月15日)によれば、害悪の告知により相手が現実に畏怖したかどうかは問わないとしています。
ですので、男性社員の行為が脅迫にあたるのであれば、部下が畏怖していなかった場合であっても脅迫罪が成立します。

また、本ケースでは、「確かに暴言は吐いたが、応援のつもりでやった。」「本気で殺すつもりではなかったし、そのことは部下もわかっているはず」と男性社員は説明しています。
実際に激励の意を込めて発言したのだとわかるような態度で「どつき殺すぞ」などと言っていた場合にも脅迫罪は成立するのでしょうか。

結論から言うと、脅迫罪が成立しない可能性があります。
脅迫罪が成立するためには、世間一般の人が恐怖を感じる内容を告知された場合に成立します。
ですので、恐怖を感じるに至らない程度であれば脅迫にあたらず、脅迫罪は成立しません。

例えば、上司である男性社員が部下とかなり親密で、普段から冗談を言い合うような関係だったとします。
和やかな雰囲気のなか、冗談のように「どつき殺すぞ」と言えば、部下に冗談だと伝わる可能性が高く、一般の人が部下のような状況に陥った場合にも冗談で発言したのだと伝わる可能性が高いでしょう。

告知した内容が脅迫にあたるのかどうかは、加害者と被害者の関係性や状況、その場の雰囲気などによっても異なります。
ですので、本ケースでも、男性社員の応援したいという気持ちが部下に伝わるような発言の仕方や状況であったのであれば、脅迫罪が成立しない可能性があります。

示談交渉は弁護士におまかせ

脅迫行為をしてしまった場合、相手方との間で示談を成立させることができるかどうかが重要になります。

示談が成立すれば、それを踏まえて量刑が軽くなったり、起訴猶予による不起訴処分となるかもしれません。

不起訴処分になれば前科もつきません。

もっとも、脅迫行為をした当の本人が示談交渉をしようとしても、さらなる加害行為を恐れて被害者が示談交渉のテーブルにつくこと自体を拒否しないとは限りません。
その場合には、弁護士を通じて示談交渉を行うことにより、加害者と直接やりとりをしなくてもよくすることで、示談交渉に応じてもらえる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、脅迫罪の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
弁護士が示談交渉をすることで、少しでも科される刑罰を軽くできるかもしれません。
脅迫事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

脅迫罪ってどんな罪?~逮捕と取調べ~

2023-10-01

脅迫罪という言葉を耳にしたことはありますか。
この罪がどのような状況で成立するのか、また、どのような罰が科されるのかについてはあまり知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、脅迫罪についての基本的な成立要件と罰則、さらには具体的な事例を交えて解説します。

脅迫罪の基本的な定義と成立要件

脅迫罪は、刑法第222条に基づき規定されています。
この罪が成立するためには、主に以下の二つの要素が必要です。

①行為者が生命、身体、自由、名誉又は財産に対して危害を加えると対象者(被害者)に示すこと
②一般の人が恐怖に感じるような内容であること

これらの要素が揃うと、脅迫罪が成立します。
行為者が具体的な危害を示さなくても、その意思表示が対象者に恐怖を与えるような内容であれば、脅迫罪は成立します。

また、電子メールやSNSを用いた脅迫も、当然ながらこの範疇に含まれます。
このように、脅迫罪は形態を問わず多様なケースで適用される罪です。

成立要件を理解することで、具体的な事例と照らし合わせながら法的な判断が可能になります。

脅迫罪の成立が確認された場合、刑事責任が問われることになります。
刑法第222条1項によれば、脅迫罪に対する基本的な罰則は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」です。
脅迫罪は、罰則は一概には決められず、事例によって懲役刑が下される場合や罰金刑が下される場合があります。

事例①脅迫メールを送信したケース

具体的な事例を通して脅迫罪の成立要件と罰則を考察してみましょう。
ここでは、インターネットを使って脅迫メールを送信したケースに焦点を当てます。

事例①
Aさんは、仕事のトラブルからBさんに対して強い怒りを感じていました。
その怒りを晴らすため、AさんはBさんに対して「お前を社会的に抹殺してやる」という内容のメールを送信しました。
(事例はフィクションです。)

事例①では脅迫罪は成立するのでしょうか。
脅迫罪を考えるうえで、生命、身体、自由、名誉、財産に対して危害を与える内容であるかどうか、その内容は一般の人が恐怖を感じる内容なのかがポイントになります。
「お前を社会的に抹殺してやる」という内容は名誉に対して危害を加える内容であると解せるので、内容の面では問題ないでしょう。

次に、一般の人が恐怖を感じるかどうかについて考えていきます。
AさんはBさんを社会的に抹殺することが可能なのかどうかが重要になってきます。
例えば、AさんがBさんの名誉が傷つくような重大な秘密を知っているだとか、Aさんが発言をすることで、Bさんの社会的評価が下がるような可能性があるほど影響力があるような場合であれば、社会的に抹殺することも可能なように思えますから、恐怖を感じる可能性があるでしょう。
この場合には、脅迫罪が成立する可能性があります。

しかし、AさんがBさんを社会的に抹殺することが不可能だと考えられる場合、Bさんの発言で恐怖を感じる人はおそらくいないでしょう。
この場合には、脅迫罪が成立する可能性は低いと考えられます。

脅迫罪脅迫をした人やされた人の立場などによっても成立するかどうかが変わってきます。
また、メールを通じた脅迫であっても、条件を満たすのであれば、脅迫罪として処罰されます。

事例②口頭で脅迫したケース

口頭で行われた脅迫について考察していきましょう。

事例②
CさんとDさんは隣人同士で、駐車場の使用についてトラブルがありました。
Cさんは怒りに任せてDさんに対し、「次やったら車に火をつけるからな」と口頭で脅迫しました。
(事例はフィクションです。)

事例②では脅迫罪は成立するのでしょうか。
事例①で考えたようにポイントごとに整理していきましょう。

CさんはDさんに「次やったら車に火をつけるからな」と発言しています。
車は財産にあたりますので、車に火をつけるという発言は脅迫罪の対象になると考えられます。

では、Cさんの発言は一般の人は恐怖に感じるような内容でしょうか。
車に火をつけることは、物理的に可能です。
ですので、実際に車に火をつけられる可能性があり、一般の人が恐怖を感じると判断されてもおかしくはないでしょう。
ですので、事例②は脅迫罪が成立する可能性があります。

事例②のような口頭での脅迫の場合も、脅迫罪が成立するのであれば、当然ながら法的に罰せられる行為です。

逮捕後の取調べはどうしたらいいの?

逮捕された場合に、最初に知っておくべき基本的な権利は、「黙秘権」「弁護士との面会権」です。
これらの権利は、警察や検察によって説明されることが多いですが、理解しておくことで、不利な状況を避けられる可能性があります。

黙秘権: 黙秘権は、その名の通り、黙秘することができる権利です。
ですので、聞かれた内容に答えたくなければ答える必要はありません。
犯罪に関する疑いをかけられ取調べを受けた際に、自分自身の発言により後の自分に不利に働く可能性があります。
黙秘権を行使することで、冤罪のリスクを減らすことができます。

また、どんな場合でも黙秘権を行使すればいいというわけでもなく、黙秘権を行使することで、余計に罪を疑われたり、釈放が認められづらくなる可能性があります。
ですので、弁護士と面会した際には、黙秘すべきかどうかについて弁護士のアドバイスを仰ぐことが重要になります。

弁護士との面会権: 前述したように、供述した内容で不利な状況に陥る可能性があり、弁護士がいない状態での任意の供述は避けるべきであり、可能な限り早く弁護士に相談することが推奨されます。
弁護士と面会することで、適切な法的アドバイスを受け、自分の権利を守る方策を練ることができます。

以上のように、基本的な権利を理解し、行使することが、逮捕された際に非常に重要になります。

警察での取り調べと弁護士の役割

逮捕後に警察で行われる取り調べは、一般的には非常に厳しい状況で進行します。
この過程で弁護士が果たす役割は大きく、弁護士がいないと自分自身を不利な立場に置く可能性があります。

取り調べの進行: 取り調べは一対一または複数の警察官によって行われ、時には長時間にわたることもあります。
自分一人で取り調べに臨むのはリスクが高いため、事前に弁護士と打合せを行っておくことが推奨されます。

供述調書の作成: 取り調べの結果、供述調書が作成されますが、この供述調書は後の裁判で重要な証拠となることが多いです。
弁護士がいれば、供述すべき内容や供述の仕方についてのアドバイスが可能です。

弁護士と事前に取調べの打合せを行い、供述すべき内容や黙秘すべき内容を具体的にすることで、自白や不利な証言をしてしまうリスクを減らすことができます。
不必要な自白や、誤解を招くような発言を避けるためにも、弁護士のアドバイスは不可欠です。

刑事事件に強い弁護士を

逮捕後の取調べでは、逮捕された衝撃により気が動転し、警察官に誘導されるがままに供述してしまう可能性があります。
そういった場合には、後に不利な状況に陥る可能性が高いため、落ち着いて取調べを受ける必要があります。
ただ、逮捕後に落ち着いて供述内容を整理しながら、取調べを受けることはかなり難しいです。
ですので、刑事事件に強い弁護士と共に、供述すべき内容の精査を行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部は、刑事事件に強い法律事務所です。
ご家族が逮捕された方、取調べが不安な方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631―881で受け付けております。

名誉毀損罪の成立要件と罰則

2023-09-27

名誉毀損罪は、他人の評価や社会的信用を低下させる行為に対する罰則を定めた犯罪です。
特にインターネット時代においては、SNSやウェブサイトでの発言が瞬く間に広まるため、名誉毀損罪が成立するリスクが高まっています。
この記事では、名誉毀損罪の成立要件と罰則について、具体的な事例を交えて解説します。

名誉毀損罪の定義

名誉毀損罪とは、他人の名誉を傷つける行為を禁止し、罰則を定めた犯罪です。
日本においては、刑法第230条にその規定があります。
名誉とは、他人からの社会的評価や信用を意味し、これを不当に低下させる行為が名誉毀損に当たります。

名誉毀損罪は、犯行の目的や状況、影響範囲などによって、罰則の程度が異なります。
公の場で多数の人々に対して行われた場合や、多くの人々がそれを知る可能性が高い場合は、その罪の重さが増します。
このように、名誉毀損罪の成立要件は多岐にわたるため、具体的な事例を交えて次に解説していきます。

名誉毀損罪の成立要件

名誉毀損罪が成立するためには、いくつかの要件が必要です。
これらは一般に「公然性」「事実の適示」の二つに分類されます。

公然性
公然性とは、不特定多数の人が知ることができることをいいます。

事実の適示
事実の適示とは、人の社会的評価を低下させるような具体的な内容を示すことを指します。

以上のように、名誉毀損罪の成立要件は多面的であり、一概には判断できません。
事例を通じて、これらの要件がどのように適用されるのかを後述の項目で解説します。

名誉毀損罪の罰則

名誉毀損罪に関する罰則は、刑法第230条に規定されています。
この条文によれば、名誉毀損を犯した者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処される可能性があります。

真実の公表
事実を公表する形での名誉毀損であっても、その事実が社会的評価を下げるような内容であれば罰せられる可能性があります。
真実であっても、他人の名誉を不当に傷つけるような公表は、名誉毀損罪の罰則の対象となり得ます。

罰則は、犯行の状況や被害者の立場、公共性など多くの要素によって変動します。
具体的な事例を交えて、名誉毀損罪がどのように適用されうるかを解説します。

事例1:SNSでの名誉毀損
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、名誉毀損が起こりやすいプラットフォームとされています。
このような場での名誉毀損は、多くの人々がその発言にアクセスできるため、影響力が大きいです。

事例概要
例えば、AさんがBさんに対して、Bさんが犯罪を犯したと誤ってSNSに投稿した場合、これは名誉毀損罪に該当する可能性が高いです。
Aさんが多くのフォロワーを持っている場合、Bさんの名誉は大きく傷つく可能性があります。

成立要件と罰則
この場合、Aさんは「公然性」「事実の摘示」の二つの成立要件を満たしていると考えられます。
名誉毀損「公然性」は、不特定多数の人が閲覧可能なSNSに投稿していること。
「事実の摘示」は、事実はどうであれ、Bさんが犯罪を犯したという具体性のある内容、かつ、Bさんの社会的評価が低下するおそれのある内容であることです。

この事例から、SNSを使った発言は不特定多数の人が閲覧することができるため、名誉毀損罪が成立するおそれがあることが分かります。
ですので、SNSに投稿する際には、名誉毀損罪にあたる内容ではないか、注意深く言動を選ぶ必要があります。

事例2:職場内での名誉毀損
職場内での人間関係も、名誉毀損罪の成立要件を満たす場合があります。
被害者に悪影響があるような噂が広がることで、被害者の職場内での評価やキャリアに影響を及ぼす場合があるためです。

事例概要
E社の社員Fが、同僚のGに対して社会的評価が下がるような噂を広めたとしましょう。
この行為がGの評判を落としたり、昇進や評価に影響を与えるおそれがある場合、名誉毀損罪が成立する可能性があります。

成立要件と罰則
このケースでは、「公然性」「事実の適示」の二要素が重要です。
「公然性」は、不特定多数の人が知ることができる状態をさしますので、Gのうわさが車内全体に広がり、多数の人が噂を知っている状態であれば、公然性があると判断されるおそれがあります。
「事実の適示」は、社会的評価が下がるような具体的な内容を示すことをさしますので、Gのキャリアが脅かされるような内容であれば、事実の摘示に該当するでしょう。

職場内での名誉毀損は、その影響が限定的であるとはいえ、被害者にとっては深刻な結果をもたらすことがあります。
噂の力は侮れず、慎重な言動が求められます。
人の悪口や影口により、名誉毀損罪が成立してしまう場合がありますので、注意が必要です。

名誉毀損罪はすぐに相談を

名誉毀損罪が成立するためには、不特定多数の人が知ることができる状態で、具体性のある社会的評価がさがるような内容を示すことが必要になります。
名誉毀損罪はどういった内容であれば名誉毀損にあたるのかの線引きが難しく、事件内容によっては名誉毀損罪が成立しないケースが存在します。
名誉毀損罪が成立するのか疑わしいケースが生じた場合、法律の専門家である弁護士に相談することも有効な手段です。
法的リスクや処分の見通しなどを事前に把握することで、後のトラブルを避けることができます。

予防策をしっかりと講じることで、名誉毀損罪のリスクを大きく減らすことが可能です。
特に今日のように情報が瞬時に拡散する社会において、一人一人が責任を持つ時代です。
名誉毀損罪を防ぐために、これらの対策を日常生活に取り入れましょう。

名誉毀損罪の理解と予防

この記事では、名誉毀損罪についての基本的な成立要件や罰則、さまざまな事例を通じて詳しく解説しました。
名誉毀損罪は、SNSや職場など、日常生活の多くの場面で起こり得るリスクがあります。

今の時代、情報は瞬時に拡散し、その影響力も大きいため、一人一人が名誉毀損罪についての知識と認識を持つことが求められます。
この記事が、名誉毀損罪に対する理解を深める一助となれば幸いです。
何か疑問や不明点があれば、弁護士への相談も考慮しながら、慎重な行動を心がけましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
名誉毀損罪でご不安な方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【事例紹介】手製の銃を見せ、威力業務妨害罪で逮捕

2023-08-23

手製の銃を見せて生活保護を停めないように警告したとして、威力業務妨害罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

手製の銃のようなものを職員に見せて生活保護の継続を求めたとして、京都府警木津署は23日、威力業務妨害の疑いで、京都府木津川市加茂町の男(74)を逮捕した。
逮捕容疑は(中略)、自宅に訪れた同市地域包括支援センターの女性職員に手製の銃のようなものを見せ、「生活保護を止めたらすぐ行く」となどと警告し、市役所に対応策を協議させて業務を妨害した疑い。「業務を妨害したつもりはない」と容疑を否認しているという。
(後略)

(8月23日 京都新聞 「手製の銃?で生活保護継続求める 威力業務妨害容疑で男を逮捕」より引用)

威力業務妨害罪

刑法第233条 
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第234条
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

刑法第234条が威力業務妨害罪の条文になります。
威力業務妨害罪は簡単に説明すると、脅迫や暴行を行ったり、権力を用いることで相手の業務が妨害されるおそれがある場合に成立します。
業務とは、「職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務または事業」をいい(大審院 判決 大正10年10月24日)、仕事などが業務にあたります。

今回の事例では、容疑者が手製の銃のようなものをセンター職員に見せて「生活保護を止めたらすぐ行く」となどと警告したとされています。
手製の銃のようなものを見せられながらそのようなことを言われれば、普通の人は恐怖に感じるでしょう。
ですので、手製の銃を見せながら「生活保護を止めたらすぐ行く」と言う行為は、脅迫にあたる可能性があります。
また、職員が脅迫されたとなれば、センター側も何かしらの対策を講じる必要があるでしょうから、仕事が妨害されるおそれがあります。
今回の事例で報道されているように、容疑者が手製の銃を見せてセンター職員に警告したのであれば、容疑者が威力業務妨害罪に問われる可能性があります。

威力業務妨害罪と不起訴処分

威力業務妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
ですので、威力業務妨害罪で有罪になると、懲役刑か罰金刑が科されることになるのですが、不起訴処分を獲得することができれば、刑罰を科されることはありません。

相手と示談を締結することで、不起訴処分を獲得できる可能性があります。
今回の事例では、被害者がセンターなので、センターの責任者と示談を締結することになります。
センターなどの公的な施設では、責任者と連絡をとることができても、示談に応じてもらえない場合があります。
弁護士であれば示談に応じてもらえる場合がありますので、公的な施設との示談でお悩みの方は弁護士に相談をすることをお勧めします。

また、示談を一度断られている場合でも、再度弁護士が連絡を取ることで示談に応じてもらえる場合があります。
ですので、示談を断られてしまった場合であっても、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで、不起訴処分の獲得を目指せるかもしれません。
威力業務妨害罪示談のことでお悩みの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

【解決事例】暴行罪で不起訴処分を獲得した事例

2023-08-21

事例

京都市南区の路上でAさんはVさんと口論になり、Vさんの胸倉を掴みました。
Vさんが警察を呼んだことにより、Aさんは京都府南警察署の警察官に暴行罪の容疑で逮捕されました。
その後、Aさんは釈放され、前科が付くことを避けたいと考えたAさんは弁護士に相談をするため、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部無料法律相談を利用しました。
(※守秘義務により、一部事実とは異なります。)

事件解決のながれ

Aさんが示談締結を望んでいたことから、弁護士は被害者に連絡を取りました。
弁護士は被害者と直接示談交渉をする機会を得ることができ、複数回被害者と示談交渉のやり取りを行うことで、Aさんと被害者の両者が納得できる形で示談を締結することができました。
また、示談を締結する際に宥恕条項を付けてもらうことができました。

宥恕条項付きの示談を締結したことが功を奏し、Aさんは不起訴処分を獲得することができました。
不起訴処分を獲得したことにより、Aさんの当初の希望通り、前科を付けずに事件を解決することができました。

示談締結と弁護活動

今回の事例の様に、刑事事件では示談を締結することで不起訴処分を獲得できる場合があります。

示談交渉は加害者が直接行うことも不可能ではありませんが、証拠隠滅のおそれから被害者の連絡先などを教えてもらえない可能性があります。
また、被害者が知り合いであっても、連絡を取ることで証拠隠滅を疑われる可能性がありますし、思わぬトラブルに発展してしまうおそれがあります。
弁護士であれば被害者の連絡先を教えてもらえる可能性がありますし、トラブルを避けられる可能性もあります。
ですので、示談を考えている方は、弁護士に相談をしてみることがいいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、無料法律相談を行っています。
刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、今回の事例のように不起訴処分を獲得できる可能性がありますので、暴行罪でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、0120―631―881までお電話くださいませ。

【事例紹介】同じ団地に住む男性に重症を負わせた事例

2023-08-16

京都市山科区で起きた傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警山科署は12日、傷害の疑いで京都市山科区、自営業の男(51)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)同じ団地に住む男性(73)の胸ぐらをつかみ、足払いをするなどの暴行を加えて転倒させ、外傷性くも膜下出血などの重傷を負わせた疑い。
(後略)

(8月12日 京都新聞 「「ベランダから因縁」で暴行 同じ団地の住人に重傷負わす 容疑で男逮捕」より引用)

傷害罪

傷害罪とは、簡単に説明すると、人に故意に暴行を加え、けがをさせた場合に成立します。
傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法第204条)ですので、傷害罪で有罪になると、懲役刑や罰金刑が科されてしまう可能性があります。

今回の事例では、容疑者が被害者に足払いなどをして転倒させ、外傷性くも膜下出血などを負わせたとされています。
暴行とは相手に物理的な力を加えることをいいますので、足払いも暴行にあたります。
報道によれば、足払いをした結果、外傷性くも膜下出血を負わせていますので、今回の事例では、傷害罪が成立する可能性が高いです。

傷害罪と釈放

今回の事例では、容疑者が同じ団地に住む被害者にけがを負わせたとされています。
容疑者は被害者の住んでいる部屋番号をおそらく知っているでしょうし、同じ団地に住んでいるとのことですから、容疑者は被害者の家の近所に住んでいることになります。

被害者の家を知っていたり、被害者の家の近所に住んでいる場合、被害者の保護や証拠隠滅のおそれなどから、逮捕勾留のリスクがかなり高くなりますし、釈放は認められづらいです。
ですが、近所に住んでいたり、被害者の住所を知っているからといって、必ずしも釈放が認められないわけではありません。

弁護士は、勾留判断前には検察官や裁判官に意見書を提出できますし、勾留が決定した後でも、裁判所に準抗告の申し立てを行えます。
意見書準抗告の申し立てにより、監視監督できる親族がいること、証拠隠滅のおそれがないことを主張することで、釈放が認められる可能性があります。

意見書の提出は、勾留の判断がなされるまでですので、逮捕後72時間以内に提出する必要があります。
ですので、ご家族が逮捕された方は、お早めに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120―631―88124時間受け付けております。

【事例紹介】服薬自殺の手助けを行い、自殺ほう助未遂罪で逮捕

2023-08-04

女子高生の自殺を手助けしようとして、自殺ほう助未遂罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警向日町署は4日、女子高校生の自殺を手助けしようとした自殺ほう助未遂の疑いで、京都市上京区の無職男(22)を逮捕した。
逮捕容疑は(中略)自宅で、自殺をほのめかした府内の女子高校生(15)にせきやたんを鎮める市販薬を約60錠飲ませ、自殺を手助けしようとした疑い。
(後略)

(7月4日 京都新聞 「女子高校生の自殺ほう助未遂?市販薬60錠飲ませた疑い 22歳無職男を逮捕」より引用)

自殺ほう助罪

刑法第202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

自殺ほう助罪は、簡単に説明すると、相手の同意を得て自殺を手助けすると成立する犯罪です。
自殺ほう助罪未遂であっても処罰されます(刑法第203条)ので、手助けした相手が死亡するに至らなかった場合にも罪に問われることになります。

今回の事例では、容疑者が女子高生に市販薬約60錠を飲ませ、自殺を手助けしたとされています。
被害者が服薬による自殺に同意しており、実際に容疑者が薬を飲ませる手助けを行ったのであれば、容疑者が自殺ほう助未遂罪に問われる可能性があります。

自殺ほう助罪と弁護活動

人を殺した場合に成立する罪として真っ先に思い浮かぶのは殺人罪ではないでしょうか。

殺人罪は刑法第199条に「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と規定されており、簡単に説明すると、殺意を持って人を殺すと成立します。
自殺ほう助罪殺人罪は人の命を奪う点で似通っているのですが、自殺ほう助罪が成立するためには同意が必要である点が異なります。

繰り返しになりますが、自殺ほう助罪が成立するためには、自殺の手助けをすることを相手に同意してもらう必要があります。
ですので、相手が同意していなかったと判断されれば、自殺ほう助罪ではなく、科される刑罰がかなり重い殺人罪もしくは殺人未遂罪が成立する可能性があります。
殺人罪の成立を避けるためにも、取調べ対策が重要になってきます。

取調べでは、後の裁判で証拠として使用される供述調書が作成されます。
ですので、あなたの意に反した供述調書が作成されてしまうと、裁判で不利になってしまうばかりか、殺人罪で有罪になってしまうおそれもあります。
そういった状況に陥らないためにも、事前に取調べ対策を行っておくことが重要です。

取調べでは事件当時の状況や犯行の動機などを聴かれます。
例えば今回の事例では、市販薬の入手経路や被害者の同意の有無、犯行に至った経緯などを聴かれるのではないでしょうか。
あらかじめ聴かれることを予測し、供述内容を整理しておくことで、あなたの不利になる証拠の作成を防げる可能性があります。
ですので、取調べを受ける際は、事前に弁護士に相談して対策を行っておくことが望ましいといえます。

また、被害者と示談を締結することで、科される刑罰が軽くなる場合があります。
加害者自らが被害者と接触をすることで、証拠隠滅を疑われる可能性がありますので、示談交渉を行う際には弁護士を介して行うことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
自殺ほう助罪やその他刑事事件でお困りの方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部にご相談ください。

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